特許第6282064号(P6282064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 立川ブラインド工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000002
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000003
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000004
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000005
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000006
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000007
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000008
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000009
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000010
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000011
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000012
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000013
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000014
  • 特許6282064-日射遮蔽材昇降装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282064
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】日射遮蔽材昇降装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/323 20060101AFI20180208BHJP
   E06B 9/324 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   E06B9/323
   E06B9/324
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-180182(P2013-180182)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48620(P2015-48620A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山岸 万人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健一
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/031523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/323−9/326
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射遮蔽材を昇降させる昇降コードと、前記昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持するサポート部材を備える日射遮蔽材昇降装置であって、
前記サポート部材は、前記昇降コードを挿通させる挿通孔と、前記サポート部材の下側から前記挿通孔に挿通された前記昇降コードを前記巻取軸に向けて案内するスリット状ガイド部を備え、前記スリット状ガイド部の幅は、前記昇降コードの直径と実質的に等しい、日射遮蔽材昇降装置
【請求項2】
日射遮蔽材を昇降させる昇降コードと、前記昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持するサポート部材を備える日射遮蔽材昇降装置であって、
前記サポート部材は、前記昇降コードを挿通させる挿通孔と、前記サポート部材の下側から前記挿通孔に挿通された前記昇降コードを前記巻取軸に向けて案内するスリット状ガイド部を備え、
前記サポート部材に前記巻取軸を支持した状態で、前記スリット状ガイド部を構成する壁と前記巻取軸の間の隙間は、前記昇降コードの直径以下である、日射遮蔽材昇降装置。
【請求項3】
日射遮蔽材を昇降させる昇降コードと、前記昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持するサポート部材を備える日射遮蔽材昇降装置であって、
前記サポート部材は、前記昇降コードを挿通させる挿通孔と、前記サポート部材の下側から前記挿通孔に挿通された前記昇降コードを前記巻取軸に向けて案内するスリット状ガイド部を備え、
前記サポート部材は、前記巻取軸を回転可能に支持するサポート本体と、前記サポート本体に嵌合可能であり且つ前記挿通孔を有するサポートアダプタとを備え、
前記スリット状ガイド部は、前記サポート本体に設けられた壁と、前記サポートアダプタに設けられた壁によって構成される、日射遮蔽材昇降装置。
【請求項4】
前記サポート本体は、前後方向の中央面に対して対称形状であり、
前記サポートアダプタは、幅方向の中央面に対して対称形状である、請求項3に記載の日射遮蔽材昇降装置。
【請求項5】
日射遮蔽材を昇降させる昇降コードと、前記昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持するサポート部材を備える日射遮蔽材昇降装置であって、
前記サポート部材は、前記昇降コードを挿通させる挿通孔と、前記サポート部材の下側から前記挿通孔に挿通された前記昇降コードを前記巻取軸に向けて案内するスリット状ガイド部を備え、
前記昇降コードは、中間レールを昇降させる第1昇降コードと、ボトムレールを昇降させる第2昇降コードとを備え、
前記巻取軸は、第1昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う第1巻取軸と、第2昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う第2巻取軸を備え、
前記サポート部材は、第1及び第2巻取軸を回転可能に支持し、
前記サポート部材は、第1昇降コードを挿通させる第1挿通孔と、第2昇降コードを挿通させる第2挿通孔とを備え、
前記スリット状ガイド部は、前記サポート部材の下側から第1挿通孔に挿通された第1昇降コードを第1巻取軸に向けて案内す、日射遮蔽材昇降装置。
【請求項6】
前記スリット状ガイド部は、前記巻取軸の外周面に近接した位置にまで延びる、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の日射遮蔽材昇降装置。
【請求項7】
前記スリット状ガイド部と前記挿通孔の間に、前記スリット状ガイド部よりも広い空間からなるコード溜まりを備える、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の日射遮蔽材昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、日射遮蔽材の昇降を可能にする日射遮蔽材昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリーツスクリーンは、上下方向にジクザグ状に折り曲げ可能としたスクリーンをヘッドボックスから吊下支持し、そのスクリーンを操作装置により昇降して採光量を適宜に調節するものである。
【0003】
このようなプリーツスクリーンの一種類として、ボトムレールと中間レールとを備え、ヘッドボックスから吊下支持される上部スクリーンの下端に中間レールを取着し、中間レールから吊下支持される下部スクリーンの下端にボトムレールを取着したものがある。上部スクリーンは、例えばレース生地等の光を一部透過させる半透過性の生地で形成され、下部スクリーンは遮光性を備えた生地で形成される。
【0004】
特許文献1には、ボトムレールで中間レールを押し上げるときに、中間レールを吊下支持する昇降コードも巻取軸に巻取ることによって、中間レールを吊下支持する昇降コードが緩むことを防止する実施形態が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2011/052772
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、特許文献1の上記実施形態のプリーツスクリーンでは、中間レールを吊下支持する昇降コードが緩むことを防止する機構が組み込まれているが、本発明者らがさらに検証を進めたところ、ボトムレールを勢いよく上昇させた場合には、中間レールを吊下支持する昇降コードに緩みが発生し、その結果、この昇降コードが巻取軸に乱巻きされてしまって昇降不良の原因になることが分かった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、昇降コードが巻取軸に乱巻きされることを防ぐことを可能にする日射遮蔽材昇降装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、日射遮蔽材を昇降させる昇降コードと、前記昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持するサポート部材を備える日射遮蔽材昇降装置であって、前記サポート部材は、前記昇降コードを挿通させる挿通孔と、前記サポート部材の下側から前記挿通孔に挿通された前記昇降コードを前記巻取軸に向けて案内にするスリット状ガイド部を備える、日射遮蔽材昇降装置が提供される。
【0009】
本発明者らは昇降コードに緩みが発生したときにも乱巻きが生じないようにするための構成について鋭意検討を行ったところ、従来技術では、昇降コードが巻取軸に最初に巻き取られるときの方向が垂直から大きく傾斜しており、そのために昇降コードに緩みが発生して巻取軸上において昇降コードが浮き上がると、その浮き上がった部分がすでに巻き取られたコードの上に乗り上げてしまうために、乱巻きになってしまうことが分かった。この知見に基づき、本発明者は、巻取軸の周面に近接した位置にまで昇降コードを案内するための長い貫通穴からなるガイド部を設けることを検討したが、このような長い貫通穴内に昇降コードを挿通させることは容易ではなく、生産性を著しく害するために、このような方法を採用することを断念した。そして、さらに検討を進め、長い貫通穴の代わりに、スリット状ガイド部を用いて昇降コードを巻取軸に向けて案内することを思い付き、本発明の完成に到った。スリット状ガイド部であれば、昇降コードをスリット内に挿入することが容易であり生産性を害することがなく、かつ、サポート部材にスリット状ガイド部を設けることによって、昇降コードが巻取軸に乱巻きされることを防ぐことができる。
【0010】
好ましくは、前記スリット状ガイド部は、前記巻取軸の外周面に近接した位置にまで延びる。
好ましくは、前記スリット状ガイド部の幅は、前記昇降コードの直径と実質的に等しい。
好ましくは、前記スリット状ガイド部と前記挿通孔の間に、前記スリット状ガイド部よりも広い空間からなるコード溜まりを備える。
好ましくは、前記サポート部材に前記巻取軸を支持した状態で、前記スリット状ガイド部を構成する壁と前記巻取軸の間の隙間は、前記昇降コードの直径以下である。
好ましくは、前記サポート部材は、前記巻取軸を回転可能に支持するサポート本体と、前記サポート本体に嵌合可能であり且つ前記挿通孔を有するサポートアダプタとを備え、前記スリット状ガイド部は、前記サポート本体に設けられた壁と、前記サポートアダプタに設けられた壁によって構成される。
好ましくは、前記サポート本体は、前後方向の中央面に対して対称形状であり、前記サポートアダプタは、幅方向の中央面に対して対称形状である。
好ましくは、前記昇降コードは、中間レールを昇降させる第1昇降コードと、ボトムレールを昇降させる第2昇降コードとを備え、前記巻取軸は、第1昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う第1巻取軸と、第2昇降コードの巻取り及び巻戻しを行う第2巻取軸を備え、前記サポート部材は、第1及び第2巻取軸を回転可能に支持し、前記サポート部材は、第1昇降コードを挿通させる第1挿通孔と、第2昇降コードを挿通させる第2挿通孔とを備え、前記スリット状ガイド部は、前記サポート部材の下側から第1挿通孔に挿通された第1昇降コードを第1巻取軸に向けて案内にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のペアタイプのプリーツスクリーンを示す正面図である。
図2図1のプリーツスクリーンの右側面図である。
図3図1プリーツスクリーンの平面図である。
図4図1のプリーツスクリーンの操作装置13を示す断面図である。
図5】(a)〜(c)はスクリーンの昇降動作を示す説明図である。
図6】(a)〜(b)は、サポート本体58を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)中のD−D断面図である。
図7】(a)〜(c)は、それぞれ、図6(a)中のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図である。
図8】(a)〜(d)は、サポートアダプタ49の構成を示す互いに異なる角度からの斜視図である。
図9】(a)〜(d)は、サポートアダプタ49をサポート本体58に嵌合させる方法の説明図である。
図10】(a)〜(d)は、サポートアダプタ49をサポート本体58に嵌合させた後の状態を示し、(a)は平面図であり、(b)〜(d)は、それぞれ、(a)中のC−C断面図、D−D断面図、E−E断面図である。
図11】(a)〜(d)は、昇降コード6,7が巻かれた巻取軸9,10をサポート部材8に取り付けた状態を示し、(a)は平面図であり、(b)〜(d)は、それぞれ、(a)中のC−C断面図、D−D断面図、E−E断面図である。なお、図示の便宜上、(b)では第1巻取軸9及び第1昇降コード6は正面図を示し、(c)〜(d)では、巻取軸9,10の内部の詳細構造を省略している。
図12】本実施形態の作用効果を説明するための、図11(b)に対応する図である。
図13】比較実施形態についての、図11(a)〜(b)に対応する図である。
図14】比較実施形態についての、図12に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0013】
図1図3に示すペアタイプのプリーツスクリーンは、ヘッドボックス1から上部スクリーン2が吊下支持され、上部スクリーン2の下端に中間レール3が取着されている。中間レール3から下部スクリーン4が吊下支持され、下部スクリーン4の下端にボトムレール5が取着されている。
【0014】
上部スクリーン2はレース生地等の半透過性の生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものであり、下部スクリーン4は遮光性を備えた生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。
【0015】
上部スクリーン2の幅方向両側には第1及び第2昇降コード6,7が挿通され、第1昇降コード6の下端は中間レール3に取着されている。第2昇降コード7は、中間レール3を貫通し、さらに下部スクリーン4に挿通され、下端がボトムレール5に取着されている。
【0016】
昇降コード6,7の上端部は、ヘッドボックス1内でサポート部材8に回転可能に支持される第1及び第2巻取軸9,10にそれぞれ巻着されている。すなわち、図3に示すように、巻取軸9,10はヘッドボックス1内において昇降コード6,7の上方位置で水平方向に並列する状態でサポート部材8に回転可能に支持されている。
【0017】
そして、第1昇降コード6の上端部が第1巻取軸9に巻着され、第2昇降コード7の上端部が第2巻取軸10に巻着され、昇降コード6,7は、巻取軸9,10に対し互いに逆方向に巻着されている。また、昇降コード6,7は、巻取軸9,10の回転に基づいて、螺旋状に巻き取られ、あるいは巻戻されるようになっている。
【0018】
第1巻取軸9には六角棒状の第1駆動軸11が相対回転不能に挿通され、第2巻取軸10には同じく六角棒状の第2駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。そして、第1駆動軸11が第1昇降コード6の巻取り方向に回転されると、第1巻取軸9に第1昇降コード6が巻き取られ、第2駆動軸12が第2昇降コード7の巻取り方向に回転されると、第2巻取軸10に第2昇降コード7が巻き取られるようになっている。
【0019】
ヘッドボックス1の一方の端部には、第1及び第2駆動軸11,12を回転駆動するための操作装置13が取着されている。図4に示すように、操作装置13のケース14内の基端側にはプーリー15が回転可能に支持され、そのプーリー15には無端状のボールチェーン16が掛装されて下方へ垂下されている。そして、ボールチェーン16の操作によりプーリー15を回転駆動可能となっている。
【0020】
プーリー15には歯車15aが一体に形成され、その歯車15aにケース14に回転可能に支持された伝達歯車17が噛み合わされている。従って、プーリー15が回転されると、伝達歯車17が回転される。
【0021】
伝達歯車17には、同伝達歯車17の径方向両側においてケース14に回転可能に支持された一対の第1及び第2クラッチ歯車18,19が噛み合わされている。そして、伝達歯車17が回転されると、クラッチ歯車18,19が同方向に回転される。
【0022】
ケース14の先端側には、同一構成の第1及び第2伝達クラッチ20,21が収容され、その伝達クラッチ20,21の入力軸22がクラッチ歯車18,19の中心部に嵌着されている。従って、クラッチ歯車18,19が回転されると、伝達クラッチ20,21の入力軸22が同方向に回転されるようになっている。
【0023】
伝達クラッチ20,21は、入力軸22の一方向の回転のみを各出力軸23に伝達する公知の機能を備え、伝達する回転方向は互いに逆方向である。そして、第1伝達クラッチ20の出力軸23に第1駆動軸11の端部が嵌着され、第2伝達クラッチ21の出力軸23に第2駆動軸12の端部が嵌着されている。
【0024】
このような構成により、ボールチェーン16を例えば図2に示す矢印A方向に操作すると、第2駆動軸12のみが回転されて、第2巻取軸10が第2昇降コード7の巻取り方向に回転される。
【0025】
また、ボールチェーン16を図2に示す矢印B方向に操作すると、第1駆動軸11のみが回転されて、第1巻取軸9が第1昇降コード6の巻取り方向に回転される。
【0026】
一方のサポート部材8の一側には中間クラッチ41が配設されている。中間クラッチ41には、駆動軸11,12が挿通されている。中間クラッチ41は、中間レール3を独立して昇降する場合及びボトムレール5を独立して昇降する場合は、駆動軸11,12の回転に対し、何ら影響しない。従って、中間レール3とボトムレール5が離れている状態では、第2昇降コード7の巻取り方向に第2駆動軸12が回転されても、その回転は、第1駆動軸11には伝達されないので、第2駆動軸12のみが回転されて、第2昇降コード7のみが巻き取られて、ボトムレール5のみが上昇する。ボトムレール5が上昇して中間レール3に接触した後に、ボトムレール5で中間レール3を押し上げるとき、中間レール3がボトムレール5によって支えられているので第1昇降コード6に加わる張力が弛む。中間クラッチ41は、この弛みを検出したときに、第2駆動軸12に加わった回転が第1駆動軸11に伝達するように構成されているので、ボトムレール5で中間レール3を押し上げるときには、第2巻取軸10で第2昇降コード7が巻き取られるとともに、第1巻取軸9で第1昇降コード6が巻き取られる。このような構成によって、第1昇降コード6がヘッドボックス1内あるいは上部スクリーン2の折り目の間で弛まないようになっている。中間クラッチ41の構成例としては、特許文献1に開示されているものが挙げられる。
【0027】
駆動軸11,12は、ヘッドボックス1の中間部においてストッパー装置24に挿通されている。このストッパー装置24は、中間レール3若しくはボトムレール5の引き上げ操作の後にボールチェーン16を手放したとき、中間レール3及びボトムレール5の自重降下を防止する公知の作用をなす。
図1及び図3に示すように、ストッパー装置24の側方において、駆動軸11,12はガバナー装置36,37にそれぞれ挿通されている。各ガバナー装置36,37は、駆動軸11,12の回転速度を所定値以下に抑制して、中間レール3及びボトムレール5の自重降下時の下降速度を所定速度以下に抑制する。
【0028】
ヘッドボックス1の他方の端部には、第2巻取軸10からの第2昇降コード7の最大巻戻し量を設定して、ボトムレール5の下限位置を設定する下限リミット装置38が配設されている。
【0029】
図2に示すように、昇降コード6,7の挿通位置において、上部スクリーン2及び下部スクリーン4の背面側にはピッチ保持コード39が配設されている。このピッチ保持コード39は、上部スクリーン2と下部スクリーン4の折り目のピッチを一定にするように動作する。
【0030】
次に、上記のように構成されたプリーツスクリーンの動作を説明する。
ボールチェーン16を矢印A方向に引き下げると、第2駆動軸12のみが回転されて第2巻取軸10に第2昇降コード7が巻き取られ、ボトムレール5が引き上げられる。そして、ボトムレール5を所望高さまで引き上げた後ボールチェーン16を手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作により、ボトムレール5が所望高さに保持される。この状態から、ボールチェーン16を矢印A方向に引いた後に手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作が解除され、ボトムレール5が自重降下する。
【0031】
ボールチェーン16を矢印B方向に引き下げると、第1駆動軸11のみが回転されて第1巻取軸9に第1昇降コード6が巻き取られ、中間レール3が引き上げられる。そして、中間レール3を所望高さまで引き上げた後ボールチェーン16を手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作により、中間レール3が所望高さに保持される。この状態から、ボールチェーン16を矢印B方向に引いた後に手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作が解除され、中間レール3が自重降下する。
【0032】
図5(a)に示すように、中間レール3が昇降範囲の中間に保持され、ボトムレール5が下限近傍に位置する状態からボトムレール5を引き上げるとき、図5(b)に示すように、ボトムレール5が中間まで引き上げられると、ボトムレール5が中間レール3を押し上げる状態となる。
【0033】
次いで、ボトムレール5をさらに引き上げると、ボトムレール5とともに中間レール3が押し上げられ、図5(c)に示すように、ボトムレール5及び中間レール3を上限まで引き上げた状態でボールチェーン16を手放すと、ボトムレール5及び中間レール3がヘッドボックス1の直下に保持される。ボトムレール5で中間レール3を押し上げているときには、第2巻取軸10で第2昇降コード7が巻き取られるとともに、第1巻取軸9で第1昇降コード6が巻き取られるので、第1昇降コード6がヘッドボックス1内あるいは上部スクリーン2の折り目の間で弛まないようになっている。
【0034】
ここで、サポート部材8の詳細な構成を説明する。サポート部材8は、図6図7に示すサポート本体58に、図8に示すサポートアダプタ49が嵌合されて構成される。
図6に示すように、サポート本体58は、前後方向の中央面に対して対称な形状である。サポート本体58は、基端側巻取軸支持部61a,62aと、先端側巻取軸支持部61b,62bを備え、巻取軸9,10は、これらの支持部によってサポート本体58に回転可能に支持される。また、サポート本体58は、サポートアダプタ49との嵌合に用いられるアダプタ嵌合部を備え、アダプタ嵌合部は、中央開口部58aと、第1及び第2支持部61c,62cと、そこから中央開口部58aに向かって突出する第1及び第2係止凸部61d,62dを備える。
【0035】
先端側巻取軸支持部61b,62bの間には中央壁58bが設けられており、中央壁58bから基端側に向かって突出する中央突出壁58cが設けられている。中央突出壁58cの前後方向の両側には、巻取軸9,10の外形形状に沿って湾曲して延びる傾斜壁61e,62eが設けられている。さらに、中央突出壁58cから基端側に向かってさらに突出するように中央ガイド壁58dが設けられている。
【0036】
図8に示すように、サポートアダプタ49は、幅方向の中央面に対して対称な形状である。基部49aと、基部49aの前後方向の一方の側から突出する第1係止凸部49bと、基部49aの前後方向の他方の側から突出する第2係止凸部49cとを備える。第2係止凸部49cにはテーパー面49dが設けられている。第1、第2係止凸部49b,49cは、2つずつ設けられている。2つの第2係止凸部49cの幅方向の間には、係止凸部49lが設けられており、第2係止凸部49cと係止凸部49lは、上下方向に隙間を設けて配置されており、サポートアダプタ49をサポート本体58に嵌合させたときに、第2係止凸部49cと係止凸部49lの隙間に第1支持部61c又は第2支持部62cが挟まれる。
【0037】
基部49aには、第1昇降コード6を挿通させる第1挿通孔49gと、第2昇降コード7を挿通させる第2挿通孔49hが設けられており、挿通孔49g,49hは、基部49aの前後方向の中央よりも、第2係止凸部49cに近い位置に設けられている。挿通孔49g,49hの間には、サポートアダプタ49の前後方向の中央に向かって傾斜する中央傾斜壁49iが設けられている。中央傾斜壁49iと基部49aの間には、第1挿通孔49gを挟むように2つの隔壁49j,49kが設けられている。隔壁49j,49kは、中央傾斜壁49iと基部49aを連結するように設けられる。また、隔壁49j,49kは、基部49aに対して略垂直に設けられる。中央傾斜壁49iに近い位置では、隔壁49j,49kの間が若干狭まっている。このような形状にすることによって、後述するコード溜まりRの空間を広げつつ、スリット状ガイド部Sの幅を狭くすることが可能になっている(図10図11を参照)。
【0038】
サポートアダプタ49をサポート本体58のアダプタ嵌合部に嵌合させる際には、図9(a)〜(b)に示すように、サポート本体58の下側から、サポートアダプタ49の中央傾斜壁49iをサポート本体58の中央開口部58aに挿入した状態で、サポートアダプタ49の第1係止凸部49bをサポート本体58の第1支持部61cに引っ掛ける。その状態でサポートアダプタ49に対して上方向(矢印X方向)の力を加えると、サポートアダプタ49のテーパー面49dが第2支持部62cに当接し、そのまま押し込むとサポートアダプタ49の第2係止凸部49cが第2支持部62cを乗り越えて、第2支持部62cで支持される。これによって、サポートアダプタ49の前後方向の両側がサポート本体58の第1及び第2支持部61c,62cで支持されるので、サポートアダプタ49は下方向には動かない。また、この状態からサポートアダプタを上方向に動かそうとすると、図9(b)に示すように、サポートアダプタ49の係止凸部49lがサポート本体58の底面に当接し、中央傾斜壁49iが中央突出壁58c及び中央ガイド壁58dが当接し、さらに、図10(d)に示すように、第1及び第2係止凸部61d,62dが基部49aの上面に当接する。このため、サポートアダプタ49は、上方向にも動かない。このようにして、サポートアダプタ49がサポート本体58に対して嵌合される。
【0039】
サポートアダプタ49は、前後方向に反転させてサポート本体58のアダプタ嵌合部に嵌合させることもできる。この場合、図9(c)〜(d)に示すように、サポートアダプタ49の第1係止凸部49bをサポート本体58の第2支持部62cに引っ掛け、第2係止凸部49cを第1支持部61cに係合させる。このように、サポートアダプタ49を前後方向に反転させてサポート部材58に嵌合可能にすることによって、図1及び図3に示す右向きのサポート部材8と左向きのサポート部材8を共通部品化することを可能にしている。サポートアダプタ49に2つの隔壁49j,49kを設けているのは、サポートアダプタ49を左右対称形状にして前後方向に反転させて取り付け可能にするためである。従って、2つの隔壁49j,49kを備えるサポートアダプタ49の代わりに、隔壁49jを備えるサポートアダプタ49と、隔壁49kを備えるサポートアダプタ49をそれぞれ準備してもよい。なお、サポート部材8は、複数部品で構成する必要はなく、一体成形品であってもよい。
【0040】
サポートアダプタ49をサポート本体58に嵌合させた後の状態を図10に示す。サポート本体58の傾斜壁61eと、サポートアダプタ49の隔壁49jの間に、スリット状ガイド部Sが形成されている。このスリット状ガイド部Sの幅は、第1昇降コード6の直径と実質的に等しい。スリット状ガイド部Sと第1挿通孔49gの間には、比較的広い空間であるコード溜まりRが存在している。なお、上記の通り、サポートアダプタ49は、前後方向に反転させて取り付けることも可能である。その場合、サポート本体58の傾斜壁62eと、サポートアダプタ49の隔壁49kの間に、スリット状ガイド部Sが形成される。
【0041】
次に、昇降コード6,7が巻かれた巻取軸9,10をサポート部材8に取り付けた状態を図11に示す。第1昇降コード6は、サポート部材8の下側から第1挿通孔49gに挿通され、スリット状ガイド部Sによって第1巻取軸9に案内されて、第1巻取軸9に巻き取られる。第2昇降コード7は、サポート部材8の下側から第2挿通孔49hに挿通され、第2巻取軸10に巻き取られる。図11(d)に示すように、挿通孔49g,49hは、サポート部材8の前後方向中央からずれた位置に設けられており、昇降コード6,7は、中央傾斜壁49iによってサポート部材8の前後方向の中央に案内された後に、巻取軸9,10に巻き取られる。スリット状ガイド部Sは、第1巻取軸9の外周面に近接した位置にまで延びているので、このスリット状ガイド部Sによって案内される第1昇降コード6が第1巻取軸9に最初に巻き取られるときの方向Pは、垂直に近い方向になっている。このスリット状ガイド部Sは、図11(c)に示すように、第1巻取軸9の周面に近接した位置にまで延びている。また、隔壁49jと第1巻取軸9の間の隙間は、第1昇降コード6の直径と同じかそれよりも小さくなっている。このため、第1昇降コード6をスリット状ガイド部S内に挿入した後に、第1巻取軸9をサポート部材8に取り付けると、第1昇降コード6は、容易にはスリット状ガイド部Sから離脱しないようになる。
【0042】
ここで、本実施形態の作用効果について説明する。
上述した通り、本実施形態では、サポート部材8の一側には中間クラッチ41が配設されているため、ボトムレール5で中間レール3を押し上げるときには、第2巻取軸10で第2昇降コード7が巻き取られるとともに、第1巻取軸9で第1昇降コード6が巻き取られる。このため、通常の操作時には、ボトムレール5で中間レール3を押し上げるときに第1昇降コード6はほとんど緩まない。しかし、ボトムレール5を勢いよく上昇させた場合には、その勢いで第1昇降コード6に緩みが生じる場合がある。また、第1昇降コード6が弛む原因として、中間クラッチ41の空転角により、第1昇降コード6に加わる張力が弱まってから、第1昇降コード6の巻き取りが開始されるまでのタイミングが多少遅れる場合があることも挙げられる。
【0043】
図13に示すようなスリット状ガイド部Sが存在しない比較実施形態のサポート部材8の場合、第1昇降コード6は上方向に自由に移動可能であり、且つ第1昇降コード6がスリット状ガイド部Sによって案内されない分だけ、第1昇降コード6が第1巻取軸9に最初に巻き取られるときの方向Pが本実施形態の場合よりも傾いているので、第1昇降コード6が緩むと、図14に示すように、第1昇降コード6が方向Pの方向に大きく浮き上がり、すでに巻き取られたコードの上に乗り上げ、その結果、第1昇降コード6が第1巻取軸9に乱巻きされてしまうことがある。
【0044】
本実施形態では、スリット状ガイド部Sの幅が第1昇降コード6の直径とほぼ等しいため、スリット状ガイド部Sを構成する隔壁49j及び傾斜壁61eとの摩擦によって第1昇降コード6の上方向の移動がいくらか妨げられる。このため、第1昇降コード6に緩みが生じた場合、図12に示すように、第1昇降コード6が矢印P方向に押し上げられる共に、摩擦によって上方向の移動が妨げられた分だけ、第1昇降コード6がコード溜まりRで屈曲する。この屈曲によって、第1昇降コード6の浮きの程度が緩和される。そして、第1昇降コード6は、スリット状ガイド部Sによって第1巻取軸9の外周面に近接した位置にまで案内されているので、第1昇降コード6が浮き上がる方向Pが垂直に近い方向になる。このため、第1昇降コード6が浮き上がっても、すでに巻き取られたコードの上に乗り上げることがなく、乱巻きが抑制される。
【0045】
以上のように本実施形態によれば、昇降コードの乱巻きの抑制が可能である。本発明は、以下の態様でも実施可能である。
上記実施形態では、ペアタイプのプリーツスクリーンで生じる特定の課題を解決する手段として本発明の説明を行ったが、本発明は、スリット状ガイド部を用いて乱巻きを抑制するための手段を提供するものであり、ペアタイプ以外のプリーツスクリーンや、プリーツスクリーン以外の日射遮蔽装置(横型ブラインド、たくし上げカーテン等)にも適用可能である。また、サポート部材8が支持する巻取軸の数は、1本であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1:ヘッドボックス、2:上部スクリーン、3:中間レール、4:下部スクリーン、5:ボトムレール、6:第1昇降コード、7:第2昇降コード、8:サポート部材、9:第1巻取軸、10:第2巻取軸、16;ボールチェーン、41:中間クラッチ、49:サポートアダプタ、49j,49k:隔壁、58:サポート本体、61e,62e:傾斜壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14