【実施例】
【0017】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本明細書中、「左右方向」とは、収納ケース20内に装着状態の巻取ユニット10の長手方向(軸方向)を意味し、この方向を開閉体幅方向又はスクリーン幅方向という場合もある。また、「前後方向」とは、前記左右方向と略直交する方向であって且つ上下方向とも略直交する方向を意味し、この方向を開閉体厚さ方向又はスクリーン厚さ方向という場合もある。さらに、「後(後方向)」とは、前記前後方向のうち、収納ケース20内に装着状態の巻取ユニット10の中心に対して建物側に向かう方向を意味する。また、「前(前方向)」とは、前記前後方向のうち、前記後(後方向)に対する反対の方向を意味する。なお、前(前方向)や後(後方向)とは、相対的なものであって、前述の後(後方向)を前(前方向)と定義し、この反対の方向を後(後方向)と定義することも可能である。
【0018】
このロールスクリーン装置は、
図1〜
図7に示すように、可撓性のスクリーン11を巻取体12によって巻き取ったり繰り出したりする巻取ユニット10と、巻取ユニット10の上方側を覆うとともに後部側に取付部21c,22aを有する収納ケース20と、収納ケース20の内部で前記巻取ユニット10を脱着可能に支持する被装着部30とを備え、巻取ユニット10から引き出されるスクリーン11は前後に揺動可能である。
【0019】
巻取ユニット10は、
図6に示すように、スクリーン11と、該スクリーン11を巻き取る巻取体12と、該巻取体12を両端側で支持する軸受ブラケット13,13と、これら軸受ブラケット13,13を後部側で連結する基部14と、軸受ブラケット13,13と共に基部14の両端側に固定された被支持部15,15とを具備し、巻取体12内の図示しない付勢部材(例えば、ねじりコイルバネ等)によって巻取体12を巻取り回転方向へ付勢している。
【0020】
スクリーン11は、巻取体12に巻かれた長尺帯状の部材であり、例えば、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、フッ素加工を施した塩化ビニル樹脂シート材、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材等、耐火性(難燃性を含む)を有する可撓性シート材料から形成され、特に好ましくは、不燃性の可撓性シート材料から形成される。
このスクリーン11の上端部は、巻取体12の外周部に止着され、下端部には、バー11aが接続される。
【0021】
バー11aは、スクリーン11の幅よりも若干長い円筒状の部材であり、スクリーン11が引き出された際に、スクリーン11を幅方向の全長にわたって引き張って、該スクリーン11に皺等が生じるのを防ぐ。このバー11aの略中央部には、該バー11aを引っ張るための紐状部材11bが吊り下げられている(
図1参照)。
【0022】
なお、スクリーン11の上下方向の長さは、スクリーン11が巻取体12から全て繰り出された状態で、バー11aの下端が床やサッシ下枠等の被当接部材に当接する程度の長さとしてもよいし、同状態で、バー11aの下端が前記被当接部材に当接せずに空中に留まる程度の長さとしてもよい。
【0023】
また、巻取体12は、スクリーン11の幅の長さを有する略円筒状の部材であり、両側の軸受ブラケット13,13及びベアリング等(図示せず)を介して回転自在に支持されるとともに、内部の付勢部材(例えば、ねじりコイルバネ等)によって巻取り方向へ付勢されている。
【0024】
各軸受ブラケット13は、
図6に示すように、巻取体12を支持する支持片部13aと、該支持片部13aに対し略直角に曲げられた接続片部13bとからなる略L金具状に形成され、接続片部13bが基部14の端部側に嵌合固定されている。
支持片部13aに巻取体12を接続する手段は、図示例によれば、ネジやボルト等の止着具16を用いているが、他例としては、巻取体12を軸受ブラケット13に対し回転可能に嵌合した態様等とすることも可能である。
【0025】
基部14は、
図6に示すように、断面略横向き凹状の被係合部14aを横幅方向へわたって連続させた長尺状の部材である。
被係合部14aの上端側には、巻取体12側へ突出するとともにその先端側が下方側へ曲げられた突片を有する。また、同被係合部14aの下端側には、巻取体12側へ突出するとともにその先端側が上方側へ曲げられた突片を有する。そして、これら上下の突片間には、軸受ブラケット13の接続片部13bと、被支持部15の接続片部15dとが差し込まれる。
【0026】
被支持部15は、
図6に示すように、前方へ突出する下側片部15aと、該下側片部15aに対し上方へ間隔を置くとともに前方へ突出する上側片部15bと、これら下側片部15aと上側片部15bを連結する連結片部15cと、該連結片部15cから基部14側へ突出する接続片部15dとを具備し、一体に形成される。
下側片部15aは、略平板状に形成され、略水平に配置される。
上側片部15bは、下側片部15aの前端よりも前方へ突出する略平板状に形成され、略水平に配置される。
連結片部15cは、下側片部15aと上側片部15bを接続する平板状の部位である。これら下側片部15a、上側片部15b及び連結片部15cは、側面視略コ字状に構成される(
図6参照)。
接続片部15dは、連結片部15cから基部14側へ突出する平板状に形成され、軸受ブラケット13の接続片部13bの後側に重ね合わせられて、基部14の被係合部14aの端部へ挿入され嵌合固定される。
【0027】
収納ケース20は、下面側に開口部Aを有する略立方体状に形成される。この収納ケース20内には、巻取ユニット10を、開口部Aを通過させて上下方向へ移動可能であって、且つ前後方向へも移動可能にする着脱空間Sが確保される(
図4参照)。そして、収納ケース20内における着脱空間Sの後側には、被装着部30が固定される。
詳細に説明すれば、この収納ケース20は、上方及び前方を囲む本体部21と、該本体部21の左右の側方を覆う側部22,22と、開口部Aの後半部を塞ぐ着脱可能なカバー部材23(
図3参照)とを具備し、該カバー部材23よりも前側を、スクリーン11を繰出すためのスクリーン繰出開口部a(
図5参照)としている。
【0028】
本体部21は、被支持部15の上方に位置する天板部21aと、該天板部21aの前端で下方へ延設された前板部21bと、本体部21の後端で上下方向へ延設された取付部21cと、下面側において開口部Aよりも後側に位置する後下板部21d(
図4参照)とから一体に形成される。
取付部21cは、
図4に示すように、天板部21aよりも下側へ延設された掛止片部21c1と、天板部21aよりも上側に延設された止着片部21c2とを一体に有する。掛止片部21c1は、建物側に予め固定された掛止金具24に引っ掛けられる。また、止着片部21c2は、挿通される止着具(例えば、ネジやボルト、釘等)によって建築物の基体X1に止着される。
前記掛止金具24は、突端部を略フック状に形成した金具であり、建築物の基体X1に対し、止着具(例えば、ネジやボルト、釘等)によって予め止着されている。
【0029】
左右の側部22,22の各々は、本体部21の側方を覆う部材である。図示例の側部22の後端側には、横方向へ曲げられた片状の取付部22aが設けられる。この取付部22aは、止着具(例えば、ネジやボルト、釘等)によって基体X1に止着される。
各側部22の内面(換言すれば、収納ケース20内側の側面)には、巻取ユニット10を脱着可能に支持する被装着部30(
図3参照)が固定されている。
【0030】
また、カバー部材23は、巻取体12の略真下に配置されるとともに、巻取体12の下半部に対し間隔を置くようにして断面凹状に形成され、巻取体軸方向へ連続する長尺凹板状に形成される。
このカバー部材23は、収納ケース20下面の開口部Aの後側を防ぐように配置され、収納ケース20に対し、ネジやボルト等の止着具によって着脱可能に止着される。このカバー部材23を収納ケース20に止着した後、該カバー部材23の前側には、スクリーン11及びバー11aを上下に通過可能なスクリーン繰出開口部aが確保される(
図5参照)。
【0031】
被装着部30は、
図7に詳細に示すように、受部31と、後側当接部32と、上側当接部33と、これらを一体に接続する基板部34とを一体に具備し、例えば、金属板金材料をプレス加工や曲げ加工等することで構成される。
この被装着部30は、
図4に示すように、巻取ユニット10内の着脱空間Sの後側に位置し、基板部34が、側部22の内側面に対し、ネジ止めやリベット止め、溶接等の止着手段により固定される。
【0032】
受部31は、略水平板状の部位であり、
図4に示す一例によれば、前後方向(図示の左右方向)の位置関係において、その前端縁が、開口部Aの後端縁(換言すれば、収納ケース20の後下板部21dの前端)と略一致するように設けられる。そして、この受部31は、
図5に示すように、巻取ユニット10の被支持部15を下方から受ける。なお、図示例によれば、受部31は、被支持部15の下側片部15aと前後方向の長さが略同一である。
【0033】
後側当接部32は、受部31に載置されて後方へ移動した際の被支持部15に対し、その後方側から当接する部位であり、基板部34の後端部の下端寄りから巻取体軸方向に沿って突出する板状を呈する。
【0034】
上側当接部33は、受部31の上方側で受部31の前端よりも前方側へ突出するとともに、受部31との間に、被支持部15を嵌脱可能な空間を確保している。
この上側当接部33の前側には、被支持部15に挿通される止着具(ネジやボルト等)を螺合し支持する雌ネジ部33aが設けられる。この雌ネジ部33aは、図示例によれば、上側当接部33に形成された孔及び該孔に連通するように固定されたウェルドナットによって構成される。
【0035】
基板部34は、受部31、後側当接部32及び上側当接部33を、側部22側で連結する板状に形成される。なお、他例としては、この基板部34を省き、受部31、後側当接部32及び上側当接部33がそれぞれ側部22に固定された態様や、側部22の一部を切り起こすように曲げて受部31、後側当接部32及び上側当接部33を形成した態様等とすることも可能である。
【0036】
次に、上記構成のロールスクリーン装置を、建物の壁面に設置する手順について詳細に説明する。
先ず、
図2(a)に示すように、建物の基体X1に、掛止金具24,24が止着され固定される。この際、掛止金具24,24は、建物に固定されたサッシ枠X2の上端に当接するようにして位置合わせされ、左右に適宜な間隔を置いて配設される。各掛止金具24は、挿通される止着具(例えば、ネジやボルト、釘等)によって、基体X1に止着固定される。なお、基体X1は、建物の外壁の内側にはられたボード等である。
【0037】
次に、巻取ユニット10を外した状態の収納ケース20が、左右の掛止金具24,24に掛けられる。詳細には、収納ケース20後端側の取付部21cの掛止片部21c1が、掛止金具24前端のフック状部分に掛けられ(
図2(b)参照)、収納ケース20の重量の一部が掛止金具24に加わるようにして、収納ケース20が支えられる。
【0038】
次に、収納ケース20の取付部21c,22aに止着具(例えば、ネジやボルト、釘等)が挿入され、該止着具が基体X1に止着される(
図2(b)参照)。
【0039】
この後、収納ケース20の上方側や側方側に、外壁X3(例えば、サイディング壁や、モルタル壁等)が施工され、さらに、外壁X3と収納ケース20の間の水密処理等が施される(
図4参照)。
【0040】
次に、収納ケース20内に、巻取ユニット10が装着される。
詳細に説明すれば、巻取ユニット10は、
図4に示すように、収納ケース20の下方から、開口部Aを通過させるようにして上方へ持ち上げられ、該被支持部15の上側片部15bを、被装着部30の上側当接部33に当接させる。
そして、この当接状態のまま、巻取ユニット10は、後方へ移動される。したがって、被支持部15が、受部31に載置されるとともに、受部31と上側当接部33の間に嵌り込む。この状態では、巻取ユニット10の重量が被装着部30に加わるようにして、巻取ユニット10が支えられる。
【0041】
さらに、前記嵌合状態のまま、巻取ユニット10を後方へ移動すれば、各被支持部15の後端部が、被装着部30後端の後側当接部32に当接し、巻取ユニット10が位置決めされる。
この後、被支持部15は、上側当接部33に対し、止着具(ネジやボルト等)によって不動に固定される。
【0042】
この後、
図5に示すように、収納ケース20の下面に対し、カバー部材23が止着固定される。
【0043】
また、長期間の使用や強風によりスクリーン11が損傷した場合や、スクリーン11の色やデザインを変更したい場合等には、巻取ユニット10を収納ケース20から取り外して、他の巻取ユニット10に交換すればよい。
巻取ユニット10を外す手順は、上記した装着手順の逆であり、カバー部材23を外し、巻取ユニット10を止着している止着具を外し、巻取ユニット10を前方へずらすように移動し、この巻取ユニット10を開口部Aに通過させるようにして下方へ移動すればよい。
【0044】
よって、上記構成のロールスクリーン装置及び該ロールスクリーン装置の設置方法によれば、スクリーン交換のために収納ケースを外す必要のあった従来技術等に比較し、スクリーン11の交換作業が容易であり、ひいては、交換作業中に、建物側の部材を傷つけてしまうようなことを防ぐことができる。
【0045】
また、収納ケース20から取り外した巻取ユニット10から、さらにスクリーン11を取り外し交換することも容易である。
すなわち、この場合には、
図6に示すように、軸受ブラケット13と巻取体12の間の止着具を外し、基部14の端部から軸受ブラケット13及び被支持部15を抜き取れば、巻取体12、スクリーン11及びバー11aをフリーにすることができる。この後、巻取体12からスクリーン11を繰出して、スクリーン11を巻取体12から外し、他のスクリーン11の上端を巻取体12に止着すればよい。組立順序は前記と逆である。
【0046】
また、上記ロールスクリーン装置において、スクリーン11を巻き取った際には、巻取ユニット10の周りにスクリーン11が巻き太って垂れ下がるおそれがあるが、この垂れ下がり部分の下方は、
図5に示すように、カバー部材23内面による凹部となっているため、前記垂れ下がり部分が、収納ケース20内の下面に接触するようなことを防ぐことができ、ひいては、収納ケース20の上下寸法を比較的小さくしたデザインが可能となる。
【0047】
なお、上記実施例によれば、特に組立作業性の好ましい態様として、上方へ移動した巻取ユニット10を後方へずらして被支持部15と被装着部30が嵌り合う構造としたが、他例としては、上方へ移動した巻取ユニット10をそのまま止着具(ネジやボルト等)によって収納ケース20内に脱着可能に止着する態様とすることも可能である。
【0048】
さらに、上記実施例によれば、特に組立作業性の好ましい態様として、被装着部30を側面視略コ字状に形成したが、他例としては、上記被装着部30から後側当接部32及び/又は上側当接部33を省いた態様とすることも可能である。
【0049】
また、上記実施例では、特に好ましい設置方法として、建物の基体X1外側面に収納ケース20を装着した後に外壁X3を設け、その後で、収納ケース20内に巻取ユニット10を装着するようにしたが、他例としては、基体X1外側面に収納ケース20を装着した後に、該収納ケース20内に巻取ユニット10を装着し、その後で、外壁X3を設けるようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、建物における外壁X3の内側の基体X1に、収納ケース20を設置するようにしたが、他例としては、外壁X3の外面に対し、収納ケース20を装着した設置構造とすることも可能である。
【0051】
また、可撓性のスクリーン11とは、スクリーン11が巻取体12によって巻き取ったり繰り出したりすることが可能であり、且つ、繰り出されたスクリーン11が前後に揺動可能にするものであればよく、スクリーン11全体やその大部分を可撓性にするのではなく、スクリーン11の一部分を可撓性にした構成とすることも可能である。例えば、可撓性のスクリーン11には、横幅方向へ長尺な硬質部材を上下方向へ複数並べ設けるとともに、これら上下に並ぶ硬質部材を軟質の紐状部材により互いに結合した態様や、横幅方向へ長尺な構成部材を上下方向へ複数並べ設けるとともに、これらを上下間で互いに緩く係合してなる態様等とすることも可能である。
【0052】
また、図示例によれば、スクリーン11の繰出し位置を巻取体12の前側(
図4によれば左側)としたが、他例としては、前記とは反対に、スクリーン11の繰出し位置を巻取体12の後側(
図4によれば右側)とすることも可能である。なお、この他例では、引き出されるスクリーン11が邪魔にならないようにカバー部材23や受部31を構成する。