特許第6282151号(P6282151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282151
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】地盤改良機
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   E02D3/12 102
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-57577(P2014-57577)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-183354(P2015-183354A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 庸公
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 一平
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−036213(JP,A)
【文献】 実公昭50−009287(JP,Y1)
【文献】 実開昭57−018089(JP,U)
【文献】 特開平08−121072(JP,A)
【文献】 特開2002−105947(JP,A)
【文献】 特開2011−084966(JP,A)
【文献】 実開昭63−121691(JP,U)
【文献】 特開平07−189576(JP,A)
【文献】 特表2008−531892(JP,A)
【文献】 特開平11−266984(JP,A)
【文献】 特開2011−167238(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0093126(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
E21B 1/00−49/10
A47G 1/16
A47K 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンの前部に立設したリーダに沿って昇降可能に設けられるロッド回転駆動装置に把持されるとともに、前記リーダに設けられた下部振れ止めに挿通支持される全長に亘って断面多角形状の撹拌ロッドを備えた地盤改良機において、
前記撹拌ロッドに、外側を円形とし、内側を撹拌ロッドの外形に対応し、前記撹拌ロッドが軸方向に摺動可能な多角形状とした円筒状のガイド部材を取り付け、
前記下部振れ止めは、前記リーダのブラケットに開閉可能に設けられた左右一対のアームを有し、前記左右一対のアームの対向面にそれぞれ半円弧状の凹部を設けるとともに、前記左右一対のアームの上下に凹部内周側に突出する鍔を設け、
前記左右一対のアームが閉じたときに、前記凹部と前記上下の鍔とにより、前記ガイド部材を回転可能に収容するガイド溝を形成したことを特徴とする地盤改良機。
【請求項2】
前記ガイド部材が一対の半割体で形成されていることを特徴とする請求項1記載の地盤改良機。
【請求項3】
前記ガイド部材が金属製であり、前記ガイド部材の内側に合成樹脂製のプレートが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の地盤改良機。
【請求項4】
前記ガイド部材が合成樹脂製であることを特徴とする請求項1又は2記載の地盤改良機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良機に関し、詳しくは、ベースマシンの前部に立設したリーダに沿って昇降可能に設けられるロッド回転駆動装置の回転軸内に係合するとともに、前記リーダに設けられた下部振れ止めに挿通支持される断面多角形状の撹拌ロッドを備えた地盤改良機に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良機の撹拌ロッドの下部振れ止めとして、リーダのブラケットに開閉可能に設けられた左右一対のアームの対向面に半割筒を着脱可能に取り付け、両半割筒がアームを閉じた状態で撹拌ロッドの挿通を許容し、かつ、振れ止め機能を維持する挿通孔となるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の撹拌ロッドは、ロッド回転駆動装置の回転軸内に係合される角形軸部と、該角形軸部の下部に連結される丸形軸部とを有し、丸型軸部の外径を角形軸部の最大外径と同等以上とすることにより、両半割筒による挿通孔に角形軸部も挿通可能にしている。撹拌ロッドの回転に伴い、角形軸部の角部によって半割筒の内面が摩耗した場合には、半割筒を交換することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−36213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、全長に亘って断面多角形状の撹拌ロッドを用いた場合、ロッド回転時の角部による摩耗が激しくなり、半割筒を頻繁に交換する必要があった。また、断面多角形状の撹拌ロッドの場合、平面部に泥等が付着しやすく、ロッドチャック時にロッドが滑る原因となるため、別途ゴムプレート等による泥落としの機構を設ける必要があった。
そこで本発明は、全長に亘って断面多角形状の撹拌ロッドを用いた場合でも、下部振れ止めがロッドの角部で摩耗することがなく、泥落とし機構を別途設ける必要がない地盤改良機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の地盤改良機は、ベースマシンの前部に立設したリーダに沿って昇降可能に設けられるロッド回転駆動装置に把持されるとともに、前記リーダに設けられた下部振れ止めに挿通支持される全長に亘って断面多角形状の撹拌ロッドを備えた地盤改良機において、前記撹拌ロッドに、外側を円形とし、内側を撹拌ロッドの外形に対応し、前記撹拌ロッドが軸方向に摺動可能な多角形状とした円筒状のガイド部材を取り付け、前記下部振れ止めは、前記リーダのブラケットに開閉可能に設けられた左右一対のアームを有し、前記左右一対のアームの対向面にそれぞれ半円弧状の凹部を設けるとともに、前記左右一対のアームの上下に凹部内周側に突出する鍔を設け、前記左右一対のアームが閉じたときに、前記凹部と前記上下の鍔とにより、前記ガイド部材を回転可能に収容するガイド溝を形成したことを特徴としている。
【0007】
また、前記ガイド部材が一対の半割体で形成されていることを特徴としている。さらに、前記ガイド部材が金属製であり、前記ガイド部材の内側に合成樹脂製のプレートが取り付けられているか、前記ガイド部材が合成樹脂製であると好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の地盤改良機によれば、撹拌ロッドに円筒状のガイド部材を取り付け、下部振れ止めの左右一対のアームに設けられたガイド溝内に収容することによって、撹拌ロッドの角部との接触による下部振れ止めの摩耗は生じない。また、撹拌ロッドが引き上げられた際に、撹拌ロッドに付着した泥等が、ガイド部材との接触によって落とされるため、泥落とし機構を別途設ける必要がない。
【0009】
また、ガイド部材を一対の半割体で形成することにより、撹拌ロッドへの脱着を容易に行うことができる。さらに、鉄製のガイド部材の内側に合成樹脂製のプレートを取り付けることにより、撹拌ロッドの軸方向への摺動によりプレートが摩耗しても、プレートのみを交換すればよい。また、ガイド部材全体を合成樹脂製にすることにより、下部振れ止めの摩耗がより少なく、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1形態例を示す地盤改良機の側面図である。
図2】同じく地盤改良機のガイド部材と下部振れ止めの分解斜視図である。
図3】同じく地盤改良機の下部振れ止めの側面図である。
図4図3のIV−IV断面図である。
図5図3のV−V断面図である。
図6】本発明の第2形態例を示す地盤改良機のガイド部材と下部振れ止めの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図5は、本発明の地盤改良機の第1形態例を示すものである。図1に示すように地盤改良機1は、走行部を備えたベースマシン2の前部にリーダ3を立設し、該リーダ3をバックステー4にて支持している。リーダ3の長手方向に沿って設けられた左右一対のガイドパイプ3aに、ロッド回転駆動装置5が、ガイドギブ6を介して連結されるとともに、リーダ3の長手方向に掛け渡したチェーン3bによって昇降可能に設けられている。また、リーダ3の下部には、ロッド回転駆動装置5により回転する撹拌ロッド7の鉛直性を確保する下部振れ止め8が設けられている。また、下部振れ止め8の上側には、撹拌ロッド7を把持したロッド回転駆動装置5がリーダ3の下端部に到達したときに、撹拌ロッド7の把持を解除したロッド回転駆動装置5を上昇させて、ロッドの掴み換えをする際に、撹拌ロッド7を固定するための下部チャック9が設けられている。
【0012】
撹拌ロッド7は、リーダ3より長尺で全長に亘り断面が正六角形状で、内部軸方向に地盤改良剤の注入孔10を有するパイプ状のものであり、下端には掘削具11と撹拌具12とが設けられている。
【0013】
また、撹拌ロッド7の上端には、注入ホース13から注入孔10内に地盤改良剤を導入するスイベルジョイント14が設けられ、該スイベルジョイント14のつれ回りを防止する回り止めロッド15の一端がロッド回転駆動装置5に固設され、他端が撹拌ロッド7の上端に設けられた取付部材に取り付けられている。
【0014】
ロッド回転駆動装置5は、油圧モータ16によって回転される回転軸(図示ない)内に撹拌ロッド7を挿通しており、撹拌ロッド7を把持するためのロッドチャック機構と撹拌ロッド7の把持を解除するためのチャック解除機構とを備えている。
【0015】
撹拌ロッド7の下部振れ止め8に対応する位置には、外側を円形とし、内側を撹拌ロッド7の外形に対応した多角形状とする円筒状のガイド部材17が取り付けられている。ガイド部材17は、半円弧状で金属製、例えば、鉄製の一対の半割体18,18で形成され、半割体18の両端に設けられたボルト挿通孔19に挿通されたボルト20をナット21で締結することにより、撹拌ロッド7の外周を囲むように取り付けられる。また、半割体18の内周面には、撹拌ロッド7の各面に対応して、平板状の合成樹脂製のプレート22がビス23によって取り付けられている。
【0016】
下部振れ止め8は、リーダ3下部に固設されたブラケット24にピン25にてそれぞれ開閉可能に設けられた左右一対のアーム26,26からなり、両アーム26,26の対向面には、半円弧状の凹部26a,26aがそれぞれ形成されるとともに、両アームの上下に凹部26aの内周側に突出する鍔26b,26cが設けられている。
【0017】
両アーム26,26が閉じたときに、凹部26aの内周面と上側の鍔26bの下面と下側の鍔26cの上面とでガイド部材17を収容可能にするガイド溝27を形成している。両アーム26,26の先端に設けられたピン挿通孔28にピン29を挿入することにより、アームの閉状態が維持される。
【0018】
このように構成することにより、ガイド部材17は、撹拌ロッド7の回転に伴って、ガイド溝27内を回転可能とされるとともに、上下の鍔26b,26cによりガイド部材17のロッド軸方向の動きが規制されるため、撹拌ロッド7は、ガイド部材17に対して軸方向に摺動可能となっている。
【0019】
ロッド回転駆動装置5の上昇に伴って、撹拌ロッド7が軸方向上側に引き上げられた際に、撹拌ロッド7の平面上に泥等が付着している場合には、ガイド部材17の下端面との接触によってそぎ落とされるので、ロッド回転駆動装置5や下部チャック9で把持する部分には泥等が付着していることはない。
【0020】
また、撹拌ロッド7がガイド部材17の挿通孔を軸方向に摺動することにより、プレート22が摩耗することがあるが、ビス23によって取り付けられているだけなので、容易に脱着交換が可能である。
【0021】
図6は、第1形態例の図5に相当する本発明の地盤改良機の第2形態例のガイド部材と下部振れ止めの断面図である。なお、以下の説明において、前記第1形態例に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】
本形態例に示すガイド部材30は、半円弧状の一対の半割体31,31の全体を合成樹脂製で形成している。半割体31を合成樹脂製にすることにより、第1形態例におけるプレート22が不要となるとともに、回転時におけるガイド部材30との接触による両アーム26の摩耗や発生音が低減される。
【符号の説明】
【0023】
1…地盤改良機、2…ベースマシン、3…リーダ、3a…ガイドパイプ、3b…チェーン、4…バックステー、5,…ロッド回転駆動装置、6…ガイドギブ、7…撹拌ロッド、8…下部振れ止め、9…下部チャック、10…注入孔、11…掘削具、12…撹拌具、13…注入ホース、14…スイベルジョイント、15…回り止めロッド、16…油圧モータ、17…ガイド部材、18…半割体、19…ボルト挿通孔、20…ボルト、21…ナット、22…プレート、23…ビス、24…ブラケット、25…ピン、26…アーム、26a…凹部、26b,26c…鍔、27…ガイド溝、28…ピン挿通孔、29…ピン、30…ガイド部材、31…半割体
図1
図2
図3
図4
図5
図6