(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サイドスタンド格納状態判断部は、前記パルス信号において、起点エッジを検出してから前記第1の周期の長さを超える期間が経過しても、その次の起点エッジを検出しない場合には、前記非格納済み状態であると判断することを特徴とする請求項1に記載の車両のサイドスタンド格納状態検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成においては、単にサイドスタンドの起立状態と格納状態とを検出するに過ぎないため、サイドスタンドが起立状態でも格納状態でもない中間状態を検出することができないものである。このため、特許文献1の構成を、例えば、サイドスタンドが格納状態であることを検出したときにエンジンの始動を許可するシステムに適用した際には、サイドスタンドが中間状態にある場合にエンジンを始動することができず、運転者等がエンジンの故障であると誤判断する可能性が考えられる。
【0008】
また、特許文献2の構成においては、サイドスタンドの中間状態を検出できる利点があるが、2つの磁気センサの各々から位相差を有して出力される2つのパルス信号をエンジン制御装置に入力するものであるため、エンジン制御装置における外部接続用のコネクタピンや入出力ポートの数を削減することに一定の限界があるものと考えられ、サイドスタ
ンドの格納状態を示す検出結果をどのような態様のパルス信号等によりエンジン制御装置に出力をすべきかという点について改良の余地がある。
【0009】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、電気的な接続先の電子制御装置のコネクタピンや入出力ポートの数を削減した態様で、サイドスタンドの格納状態を精度よくかつ迅速に判断して把握することができ、その判断結果をエンジン制御に反映させることができるサイドスタンド格納状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するべく、本発明は、車両のサイドスタンドの格納状態を検出し、検出した前記格納状態を示すパルス信号を出力するサイドスタンドセンサと、前記パルス信号に基づいて前記格納状態を判断するサイドスタンド格納状態判断部と、を備えた車両のサイドスタンド格納状態検出装置であって、前記格納状態は、前記サイドスタンドが格納された格納済み状態、及び前記格納済み状態以外の非格納済み状態を含み、前記パルス信号の周期は、前記格納済み状態及び前記非格納済み状態に対応して設定された複数の長さを有し、前記パルス信号は、前記複数の長さのいずれかの長さの周期を有した態様で
前記サイドスタンドセンサから出力されて前記サイドスタンド格納状態判断部に入力され、
前記複数の長さの内で、前記格納済み状態に対応した第1の周期の長さは、前記非格納済み状態に対応した周期の長さよりも短く設定されたことを第1の局面とする。
【0011】
また、本発明は、第1の局面に加えて、前記サイドスタンド格納状態判断部は、前記パルス信号において、起点エッジを検出してから前記第1の周期の長さを超える期間が経過しても、その次の起点エッジを検出しない場合には、前記非格納済み状態であると判断することを第2の局面とする。
【0012】
また、本発明は、第2の局面に加えて、前記非格納済み状態は、前記サイドスタンドが格納されていない未格納状態、並びに前記格納済み状態及び前記未格納状態以外の不明状態を含み、前記複数の長さの内で、前記不明状態に対応した第2の周期の長さは、前記第1の周期の長さより長く、かつ、前記未格納状態に対応した第3の周期の長さよりも短く設定されたことを第3の局面とする。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明の第1の局面にかかるサイドスタンド格納状態検出装置によれば、格納状態が、サイドスタンドが格納された格納済み状態、及び格納済み状態以外の非格納済み状態を含み、パルス信号の周期が、格納済み状態及び非格納済み状態に対応して設定された複数の長さを有し、パルス信号が、複数の長さのいずれかの長さの周期を有した態様でサイドスタンドセンサから出力されてサイドスタンド格納状態判断部に入力され、周期の複数の長さの内で、格納済み状態に対応した第1の周期の長さが、非格納済み状態に対応した周期の長さよりも短く設定されるものであるため、電気的な接続先の電子制御装置のコネクタピンや入出力ポートの数を削減した態様で、サイドスタンドの格納状態を精度よくかつ迅速に判断して把握することができ、その判断結果をエンジン制御に反映させることができる。
【0014】
また、本発明の第2の局面にかかるサイドスタンド格納状態検出装置によれば、サイドスタンド格納状態判断部が、パルス信号において、起点エッジを検出してから第1の周期の長さを超える期間が経過しても、その次の起点エッジを検出しない場合には、非格納済み状態であると判断するものであるため、サイドスタンドが格納されていない未格納状態をいち早く判断することができ、これに応じて、エンジンの始動の許可・禁止を素早く制御することができる。
【0015】
また、本発明の第3の局面にかかるサイドスタンド格納状態検出装置によれば、非格納済み状態は、サイドスタンドが格納されていない未格納状態、並びに格納済み状態及び未格納状態以外の不明状態を含み、周期の複数の長さの内で、不明状態に対応した第2の周期の長さは、第1の周期の長さより長く、かつ、未格納状態に対応した第3の周期の長さよりも短く設定されるものであるため、サイドスタンドの格納済み状態の次にサイドスタンドの格納状態が不明状態を判断することができ、サイドスタンドの格納状態が不明状態である状況を迅速に把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置につき、詳細に説明する。
【0018】
〔サイドスタンド格納状態検出装置の構成及びその関連構成〕
まず、
図1から
図3を参照して、本実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置の構成及びその関連構成につき、詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態のサイドスタンド格納状態検出装置において、磁気センサの出力の種別及びパルス信号生成部の出力の種別の対応関係、並びにパルス信号生成部のパルス信号の出力周波数(出力周期)の値、つまり出力周波数の値(出力周期の長さ)を示す図である。また、
図3は、本実施形態のサイドスタンド格納状態検出装置において、サイドスタンド格納状態判断部の判断の種別及びエンジン制御部の判断の種別の対応関係、並びにエンジン制御部の判断の理由を示す図である。
【0020】
サイドスタンド格納状態検出装置1は、サイドスタンドセンサ10及びサイドスタンド格納状態判断部20を備えている。サイドスタンド格納状態判断部20は、エンジン制御装置40の構成要素である。サイドスタンド格納状態検出装置1及びエンジン制御装置40は、自動二輪車等の二輪車両(以下、車両と記す)に搭載される。
【0021】
エンジン制御装置40は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するマイクロコンピュータ等の演算処理装置であり、典型的にはECU(Engine Control Unit)である。エンジン制御装置40は、メモリから必要な制御プログラム及び制御データを読み出して、エンジン制御処理及びサイドスタンドの格納状態判断処理等の制御プログラムを実行する。ここで、エンジン制御装置40は、サイドスタンド格納状態判断部20と、エンジン制御部30と、を備えている。サイドスタンド格納状態判断部20及びエンジン制御部30は、サイドスタンド状態検出装置1内において、CPUの機能ブロックとして実現されてもよいし、電気回路として実現されてもよい。
【0022】
サイドスタンドセンサ10は、エンジン制御装置40から必要な電力の供給を受けて動作するもので、車両の図示を省略するサイドスタンドの格納位置や起立位置といった姿勢位置に応じた検出信号を各々出力する典型的には2つの磁気センサ11及び磁気センサ12と、磁気センサ11及び磁気センサ12から各々入力される検出信号に基づいて、サイドスタンドの姿勢位置に応じて最終的な検出信号を生成するパルス信号生成部13と、を備える。かかるサイドスタンドの姿勢位置に応じて最終的に生成される検出信号は、サイドスタンドの格納状態を示すパルス信号である。サイドスタンドセンサ10は、パルス信号生成部13から、サイドスタンドの格納状態を示すパルス信号をサイドスタンド格納状態判断部20に出力する。なお、サイドスタンドは、格納位置と起立位置との間で運転者等の操作により揺動自在であり、それが起立位置にあるときに地面等の支持面に対して車両を起立させて自立支持自在である。
【0023】
磁気センサ11及び磁気センサ12の各々は、サイドスタンドが運転者等の操作により揺動されたその姿勢位置を示す検出信号を、パルス信号設定部13に各々出力する。もちろん、かかる磁気センサの個数は、2個に限定されるものではなく、必要に応じて3個以上又は1個であってもよいし、サイドスタンドの姿勢位置に応じた検出信号を出力できるものであれば、磁気センサの代わりに他の種類のセンサを用いてもかまわない。
【0024】
パルス信号生成部13は、典型的にはマイコンであり、磁気センサ11及び磁気センサ12から入力された各々の検出信号に基づいて、サイドスタンドの格納状態に応じた周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号を、サイドスタンド格納状態判断部20に出力する。ここで、サイドスタンドの格納状態には、サイドスタンドが格納位置にある格納済み状態と、サイドスタンドが格納位置以外、つまりサイドスタンドが起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある未格納状態と、を含む。但し、磁気センサ11及び磁気センサ12から入力された各々の検出信号が示すサイドスタンドの姿勢位置が一致しない、つまり各々の検出信号が異なっている場合には、パルス信号生成部13は、それに応じた周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号を、サイドスタンド格納状態判断部20に出力する。なお、必要に応じて、未格納状態を細分化して、サイドスタンドが起立位置にある起立状態と、サイドスタンドが格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある中間状態と、を設定してもよい。
【0025】
詳しくは、パルス信号生成部13は、磁気センサ11及び磁気センサ12から入力された各々の検出信号が一致してサイドスタンドの格納位置を示している場合には、サイドスタンドが格納位置にある格納済み状態を示す第1の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号を生成し、磁気センサ11及び磁気センサ12から入力された各々の検出信号が一致していない場合には、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態を示す第2の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号を生成し、また、磁気センサ11及び磁気センサ12から入力された各々の検出信号が一致してサイドスタンドの起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置を示している場合には、サイドスタンドがこれらの姿勢位置にある未格納状態を示す第3の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号を生成し、対応して、これらのパルス信号を、サイドスタンド格納状態判断部20に出力することになる。
【0026】
ここで、第1の周期の長さは、第2の周期の長さよりも短く設定され、第2の周期の長さは、第3の周期の長さよりも短く設定されている。第1の周期の長さが、第2の周期の長さ及び第3の周期の長さよりも短く設定されているのは、サイドスタンドが格納位置にある格納済み状態を最も優先順位を高くして早期に判断するためである。また、第2の周期の長さが、第3の周期の長さよりも短く設定されているのは、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態をその次に優先順位を高くして早期に判断するためである。また
、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態をこのように早期に判断するためには、第2の周期の長さは、第1の周期の長さと第3の周期の長さとの中間値よりも小さい値に設定されていることが好ましい。なお、構成を簡略化する場合には、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態を示すパルス信号を省略してもよいし、磁気センサが1個のみ設けられている場合には、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態を示すパルス信号は省略される。
【0027】
具体的には、
図2に示すように、パルス信号生成部13は、サイドスタンドの格納位置を示すSSP−IN信号が磁気センサ11から入力されると共に、サイドスタンドの格納位置を示すSSP−IN信号が磁気センサ12から入力された場合には、サイドスタンドが格納済み状態にあることを示す周波数100Hz(周期10msec)のパルス信号であるSSP−IN信号をサイドスタンド格納状態判断部20に出力する。
【0028】
パルス信号生成部13は、サイドスタンドの起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置を示すSSP−OUT信号が磁気センサ11から入力されると共に、サイドスタンドの起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置を示すSSP−OUT信号が磁気センサ12から入力された場合には、サイドスタンドが未格納状態にあることを示す周波数10Hz(周期100msec)のパルス信号であるSSP−OUT信号をサイドスタンド格納状態判断部20に出力する。
【0029】
パルス信号生成部13は、サイドスタンドの格納位置を示すSSP−IN信号が磁気センサ11から入力されると共に、サイドスタンドの起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置を示すSSP−OUT信号が磁気センサ12から入力された場合には、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態を示す周波数50Hz(周期20msec)のパルス信号であるSSP−MAL信号をサイドスタンド格納状態判断部20に出力する。
【0030】
パルス信号生成部13は、サイドスタンドの起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置を示すSSP−OUT信号が磁気センサ11から入力されると共に、サイドスタンドの格納位置を示すSSP−IN信号が磁気センサ12から入力された場合には、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態を示す周波数50Hz(周期20msec)のパルス信号であるSSP−MAL信号をサイドスタンド格納状態判断部20に出力する。
【0031】
サイドスタンド格納状態判断部20は、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号に基づいてサイドスタンドの格納状態を判断する。つまり、サイドスタンド格納状態判断部20は、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号がサイドスタンドの格納済み状態を示す第1の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号である場合には、サイドスタンドの格納状態がサイドスタンドが格納位置にある格納済み状態であると判断し、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号がサイドスタンドの姿勢位置の不明状態を示す第2の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号である場合には、サイドスタンドの格納状態が、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態であると判断し、また、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号がサイドスタンドの未格納状態を示す第3の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号である場合には、サイドスタンドの格納状態が、サイドスタンドが起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある未格納状態であると判断し、対応して、これらの判断結果をエンジン制御部30に出力する。
【0032】
詳しくは、サイドスタンド格納状態判断部20は、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号の起点エッジ(
図1に示す立ち上がりエッジE1又は立ち下がりエッジE2
)を検出した後、その次の起点エッジを検出した際に、それらの時間間隔がスタンドが格納位置にある格納済み状態に対応した第1の周期の長さに等しい場合には、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号が、サイドスタンドの格納済み状態を示す第1の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号であると判別して、サイドスタンドの格納状態が、サイドスタンドが格納位置にある格納済み状態であると判断し、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号の起点エッジを検出した後、その次の起点エッジを検出した際に、それらの時間間隔がサイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態に対応した第2の周期の長さに等しい場合には、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号が、サイドスタンドの姿勢位置の不明状態を示す第2の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号であると判別して、サイドスタンドの格納状態が、サイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態であると判断し、また、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号の起点エッジを検出した後、その次の起点エッジを検出した際に、それらの時間間隔がサイドスタンドが起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある未格納状態に対応した第3の周期の長さに等しい場合には、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号が、サイドスタンドの未格納状態を示す第3の周期の長さ(周波数の値)を有するパルス信号であると判別して、サイドスタンドの格納状態が、サイドスタンドが起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある未格納状態であると判断し、対応して、これらの判断結果をエンジン制御部30に出力する。なお、最初に、サイドスタンドの格納状態が格納済み状態でないことが判別され、次に、サイドスタンドの格納状態が不明状態でないことが判別された場合には、残余のサイドスタンドの格納状態は未格納状態のみであるので、かかる場合には、サイドスタンドの格納状態が未格納状態であることが、直ちに判別され得る。
【0033】
また、サイドスタンド格納状態判断部20は、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号の起点エッジを検出してから、スタンドが格納位置にある格納済み状態を示す第1の周期の期間が経過しても、その次の起点エッジを検出しない場合には、サイドスタンドの格納状態が、格納済み状態以外の非格納済み状態(サイドスタンドが起立位置若しくは格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある未格納状態、又はサイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態)であると判断し、この判断結果をエンジン制御部30に出力する。
【0034】
具体的には、
図3に示すように、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンドの格納状態がサイドスタンドが格納位置にある格納済み状態であると判断した判断結果を、エンジン制御部30にSSP−IN出力として出力する。
【0035】
サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンドの格納状態がサイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態であると判断した判断結果を、エンジン制御部30にSSP−MAL出力として出力する。
【0036】
サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンドの格納状態がサイドスタンドが起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある未格納状態であると判断した判断結果を、エンジン制御部30にSSP−OUT出力として出力する。
【0037】
〔エンジン制御部の判断〕
次に、
図3をも参照して、本実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置1に関連するエンジン制御部30の判断につき、詳細に説明する。
【0038】
図3に示すように、エンジン制御部30は、サイドスタンド格納状態判断部20から入力されたサイドスタンドの格納状態の判断結果に基づいて、エンジン運転の可否に関する判断を行う。
【0039】
詳しくは、エンジン制御部30は、サイドスタンド格納状態判断部20から、サイドスタンドの格納状態がサイドスタンドが格納位置にある格納済み状態である判断結果を示すSSP−IN出力を入力された場合には、車両の図示を省略するエンジンの運転を可能と判断してエンジンの始動を許可する。その理由は、かかる場合には、サイドスタンドが車両へ格納されており、地面等に干渉する可能性が低いためである。
【0040】
エンジン制御部30は、サイドスタンド格納状態判断部20から、サイドスタンドの格納状態がサイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態である判断結果を示すSSP−MAL出力を入力された場合には、原則としてエンジンの運転を禁止と判断してエンジンの始動を許可しない。その理由は、かかる場合には、サイドスタンドの格納状態が定かには判別できないので、サイドスタンドが車両へ格納されていない可能性があり、地面等に干渉する可能性があるためである。但し、エンジン制御部30は、車両の図示を省略する変速機がニュートラル状態の場合には、エンジンを始動させても車両の急発進に繋がるものではないし、エンジンが始動できないと却って運転者等が違和感を感じてしまうことを考慮して、エンジンの運転を可能と判断してエンジンの始動を許可する。
【0041】
エンジン制御部30は、サイドスタンド格納状態判断部20から、サイドスタンドの格納状態がサイドスタンドが起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置にある未格納状態である判断結果を示すSSP−OUT出力を入力された場合には、原則として、車両の図示を省略するエンジンの運転を禁止と判断してエンジンの始動を許可しない。その理由は、かかる場合には、サイドスタンドが車両に格納されておらず、地面等に干渉する可能性があるためである。但し、エンジン制御部30は、車両の変速機がニュートラル状態の場合には、エンジンを始動させても車両の急発進に繋がるものではないし、エンジンが始動できないと却って運転者等が違和感を感じてしまうことを考慮して、エンジンの運転を可能と判断してエンジンの始動を許可する。
【0042】
〔サイドスタンド格納状態検出装置及びエンジン制御部の動作〕
次に、
図4をも参照して、以上の構成を有する本実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置1及びエンジン制御部30の動作につき、詳細に説明する。
【0043】
図4は、本発明の実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置1及びエンジン制御部30の処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
図4に示すように、本実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置1におけるサイドスタンド格納状態判断処理及びそれに関連するエンジン制御部30のエンジン運転可否判断処理は、車両の図示を省略するイグニッションスイッチがONされて、エンジン制御装置40に対して、車両に搭載された図示を省略するバッテリ等の電源から電力が供給されてそれが稼働したタイミングで開始となる。なお、かかる処理は、エンジン制御装置40が稼働している間は、繰り返し実行される。
【0045】
ステップS1の処理では、サイドスタンド格納状態判断部20が、サイドスタンド格納状態判断処理において、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号における起点エッジを検出したか否かを判別する。判別の結果、起点エッジを検出した場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、その検出時刻をメモリに記憶すると共に、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS7の処理に進める。一方、起点エッジを検出しない場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS2の処理に進める。
【0046】
ステップS2の処理では、サイドスタンド格納状態判断部20が、前回のステップS1
の処理で起点エッジを検出した時刻をメモリから読み出し、その前回の検出時刻から、サイドスタンドが格納位置にあることを示すSSP−IN信号の第1の周期(以下、SSP−IN周期と記す)を超える期間が経過したか否かを判別する。判別の結果、SSP−IN周期を超える期間が経過した場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンドの格納状態が格納済み状態以外の非格納済み状態であると判断し、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS3のエンジン運転可否判断処理に進める。一方、SSP−IN周期を超える期間が経過していない場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、今回の一連の処理を終了する。
【0047】
ステップS3の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転可否判断処理において、変速機が1速等に変速されている状態(以下、非ニュートラル記す)であるか否かを判別する。判別の結果、非ニュートラルである場合には、エンジン制御部30は、エンジン運転可否判断処理をステップS5の処理に進める。一方、非ニュートラルでない場合には、エンジン制御部30は、エンジン運転可否判断処理をステップS4の処理に進める。
【0048】
ステップS4の処理では、エンジン制御部30が、エンジンの運転を可能とする(以下、エンジン運転可能と記す)と判断し、エンジン運転可否判断処理をステップS6の処理に進める。
【0049】
ステップS5の処理では、エンジン制御部30が、エンジンの運転を禁止する(以下、エンジン運転禁止と記す)と判断し、エンジン運転可否判断処理をステップS6の処理に進める。
【0050】
ステップS6の処理では、エンジン制御部30が、サイドスタンドの格納状態が非格納済み状態(非SSP−IN状態)であると確定判断し、今回の一連の処理を終了する。なお、かかる確定判断結果は、必要に応じてメモリに記憶される。
【0051】
ステップS7の処理では、サイドスタンド格納状態判断部20が、メモリから処理を実行した回数等に関する情報を読み出し、今回の処理が初回の処理であるか否かを判別する。判別の結果、今回の処理が初回の処理である場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、今回の処理が初回である旨の情報をメモリに記憶する共に、今回の一連の処理を終了する。また、この際、サイドスタンド格納状態判断部20は、今回ステップS1の処理を実行した際に起点エッジを検出したその検出時刻を初回の起点エッジの検出時刻としてメモリに記憶する。一方、今回の処理が初回の処理でない場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS8の処理に進める
【0052】
ステップS8の処理では、サイドスタンド格納状態判断部20が、サイドスタンド格納状態判断処理において、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号の周波数が規約通りであるか否かを判別する。ここで、周波数が規約通りであるとは、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号の周波数の値が、サイドスタンドが格納位置にあることを示すSSP−IN信号の周波数の値、サイドスタンドが起立位置又は格納位置と起立位置との間の姿勢位置を示すSSP−OUT信号の周波数の値、又はサイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態を示すSSP−MAL信号の周波数の値に一致することをいう。判別の結果、周波数が規約通りでない場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS18の処理に進める。一方、周波数が規約通りである場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS9の処理に進める。
【0053】
ステップS9の処理では、サイドスタンド格納状態判断部20が、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号がSSP−IN信号であるか否かを判別する。具体的には、
サイドスタンド格納状態判断部20は、前回のステップS1の処理で起点エッジを検出した時刻をメモリから読み出し、その前回の検出時刻と今回のステップS1の処理で起点エッジを検出した時刻との時間間隔がSSP−IN周期の長さに等しい場合には、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号が、SSP−IN信号であると判別し、さもなくばSSP−IN信号でないと判別する。判別の結果、パルス信号がSSP−IN信号でない場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS12のエンジン運転可否判断処理に進める。一方、パルス信号がSSP−IN信号である場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンドの格納状態が格納済み状態であると判断し、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS10のエンジン運転可否判断処理に進める。
【0054】
ステップS10の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転可否判断処理において、エンジン運転可能と判断し、エンジン運転可否判断処理をステップS11の処理に進める。
【0055】
ステップS11の処理では、エンジン制御部30が、サイドスタンドの格納状態が格納済み状態(SSP−IN状態)であると確定判断し、今回の一連の処理を終了する。なお、かかる確定判断結果は、必要に応じてメモリに記憶される。
【0056】
ステップS12の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転可否判断処理において、変速機が非ニュートラルであるか否かを判別する。判別の結果、非ニュートラルである場合には、エンジン制御部30は、エンジン運転可否判断処理をステップS14の処理に進める。一方、非ニュートラルでない場合には、エンジン制御部30は、エンジン運転可否判断処理をステップS13の処理に進める。
【0057】
ステップS13の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転可能と判断し、エンジン運転可否判断処理をステップS15の処理に進める。
【0058】
ステップS14の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転禁止と判断し、エンジン運転可否判断処理をステップS15の処理に進める。
【0059】
ステップS15の処理では、サイドスタンド格納状態判断部20が、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号がサイドスタンドの姿勢位置が不明である不明状態を示すSSP−MAL信号であるか否かを判断する。具体的には、サイドスタンド格納状態判断部20は、前回のステップS1の処理で起点エッジを検出した時刻をメモリから読み出し、その前回の検出時刻と今回のステップS1の処理で起点エッジを検出した時刻との時間間隔がSSP−MAL信号の第2の周期の長さに等しい場合には、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号が、SSP−MAL信号であると判別し、さもなくばSSP−MAL信号でないと判別する。判別の結果、パルス信号がSSP−MAL信号である場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンドの格納状態が不明状態であると判断し、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS17のエンジン運転可否判断処理に進める。一方、パルス信号がSSP−MAL信号でない場合には、サイドスタンド格納状態判断部20は、サイドスタンドの格納状態が未格納状態であると判断し、サイドスタンド格納状態判断処理をステップS16のエンジン運転可否判断処理に進める。
【0060】
ステップS16の処理では、エンジン制御部30が、サイドスタンドの格納状態が未格納状態(SSP−OUT状態)であると確定判断し、今回の一連の処理を終了する。なお、かかる確定判断結果は、必要に応じてメモリに記憶される。
【0061】
ステップS17の処理では、エンジン制御部30が、サイドスタンドの格納状態が不明
状態(SSP−MAL状態)であると確定判断し、今回の一連の処理を終了する。なお、かかる確定判断結果は、必要に応じてメモリに記憶される。
【0062】
ステップS18の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転可否判断処理において、非ニュートラルであるか否かを判断する。判別の結果、非ニュートラルである場合には、エンジン制御部30は、エンジン運転可否判断処理をステップS20の処理に進める。一方、非ニュートラルでない場合には、エンジン制御部30は、エンジン運転可否判断処理をステップS19の処理に進める。
【0063】
ステップS19の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転可能と判断し、エンジン運転可否判断処理をステップS21の処理に進める。
【0064】
ステップS20の処理では、エンジン制御部30が、エンジン運転禁止と判断し、エンジン運転可否判断処理をステップS21の処理に進める。
【0065】
ステップS21の処理では、エンジン制御部30が、パルス信号生成部13から入力されたパルス信号の周波数が規約違反であると確定判断し、今回の一連の処理を終了する。なお、かかる確定判断結果は、必要に応じてメモリに記憶される。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置1においては、車両のサイドスタンドの格納状態を検出し、検出した格納状態を示すパルス信号を出力するサイドスタンドセンサ10と、そのパルス信号に基づいて格納状態を判断するサイドスタンド格納状態判断部20と、が備えられ、格納状態が、サイドスタンドが格納された格納済み状態、及び格納済み状態以外の非格納済み状態を含み、パルス信号の周期が、格納済み状態及び非格納済み状態に対応して設定された複数の長さを有し、パルス信号が、複数の長さのいずれかの長さの周期を有した態様でサイドスタンドセンサ10から出力されてサイドスタンド格納状態判断部20に入力され、周期の複数の長さの内で、格納済み状態に対応した第1の周期の長さが、非格納済み状態に対応した周期の長さよりも短く設定されるものであるため、電気的な接続先の電子制御装置のコネクタピンや入出力ポートの数を削減した態様で、サイドスタンドの格納状態を精度よくかつ迅速に判断して把握することができ、その判断結果をエンジン制御に反映させることができる。
【0067】
また、本実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置1においては、サイドスタンド格納状態判断部20が、パルス信号において、起点エッジを検出してから第1の周期の長さを超える期間が経過しても、その次の起点エッジを検出しない場合には、非格納済み状態であると判断するものであるため、サイドスタンドが格納されていない未格納状態をいち早く判断することができ、これに応じて、エンジンの始動の許可・禁止を素早く制御することができる。
【0068】
また、本実施形態におけるサイドスタンド格納状態検出装置1においては、非格納済み状態は、サイドスタンドが格納されていない未格納状態、並びに格納済み状態及び未格納状態以外の不明状態を含み、周期の複数の長さの内で、不明状態に対応した第2の周期の長さは、第1の周期の長さより長く、かつ、未格納状態に対応した第3の周期の長さよりも短く設定されるものであるため、サイドスタンドの格納済み状態の次にサイドスタンドの格納状態が不明状態を判断することができ、サイドスタンドの格納状態が不明状態である状況を迅速に把握することができる。
【0069】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。