特許第6282169号(P6282169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282169
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】集積スマートパワースイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20180208BHJP
   H01L 23/62 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 23/58 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   H01L23/34 D
   H01L23/56 A
   H01L23/56 C
   H01L23/56 D
   H01L25/04 C
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-95820(P2014-95820)
(22)【出願日】2014年5月7日
(62)【分割の表示】特願2008-504143(P2008-504143)の分割
【原出願日】2006年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-197684(P2014-197684A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年5月19日
【審判番号】不服2016-59(P2016-59/J1)
【審判請求日】2016年1月4日
(31)【優先権主張番号】11/098,033
(32)【優先日】2005年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147681
【弁理士】
【氏名又は名称】夫馬 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブソン,ボーリス・エス
【合議体】
【審判長】 深沢 正志
【審判官】 小田 浩
【審判官】 飯田 清司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−209922(JP,A)
【文献】 国際公開第05/22747(WO,A1)
【文献】 特開2002−280886(JP,A)
【文献】 特開昭64−68005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 25/18
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
制御可能な半導体デバイスであって、該制御可能な半導体デバイスが第1の動作パラメータ及び第2の動作パラメータと関連し、前記制御可能な半導体デバイスが作動している間、少なくとも該第1の動作パラメータは制御可能である、制御可能な半導体デバイスと、
前記制御可能な半導体デバイスと通信する第1のセンサであって、前記制御可能な半導体デバイスについての前記第2動作パラメータに関連するデータを取得する、第1のセンサと、
前記制御可能な半導体デバイス、ストレージ・デバイス及び前記第1センサと通信するコントローラであって、該コントローラは制御可能な半導体に関連付けられ前記ストレージ・デバイスに格納されるデバイスデータにアクセスし、制御可能な半導体デバイスが作動している間、前記制御可能な半導体についての前記第1動作パラメータを制御し、前記第2の動作パラメータに関連する前記第1センサからデータを受信するように構成される、コントローラとを備え、
前記デバイスデータが、デフォルト電力(P)、デフォルトRMS電流(IDRMS)、及びデフォルトRDS(on)制限電流のうちの少なくとも1つを含み、
前記コントローラが、前記デバイスデータに基づいて第1の予測値を求め、前記第2動作パラメータに関連する前記第1センサからのデータを前記第1予測値と比較し、該比較に基づいて、第1の条件が検出される場合に、前記第1条件、前記デバイスデータ、及び前記制御可能半導体デバイスの所定の信頼性特性に基づいて、前記制御可能な半導体デバイスに関する安全動作領域(SOA)条件を動的に判断し、制御可能な半導体が前記SOA条件と所定の信頼性特性との両方によって作動することを補償するように、制御可能な半導体が作動している間、前記第1の動作パラメータを動的に変更し、
前記第1の動作パラメータが、ゲートドライブ、トランジスタバイアス、安全動作領域(SOA)条件、ドレイン−ソース間電圧閾値(VDS)、RMSドレイン電流閾値(IDRMS)、順方向及び逆方向バイアス安全動作領域(SOA)パルス電流閾値(IDM)、ドレイン−ソース間オン抵抗(RDS(on))によって制限される順方向バイアスSOAドレイン電流(I)境界、及びパワーデバイスの動作領域、ドレイン−ソース間電圧、コレクタ−エミッタ間電圧、アノード−カソード間電圧、ゲート電圧、ゲート電流、ベース電流、平均ドレインデバイス電流、平均コレクタデバイス電流、平均アノードデバイス電流、ピークドレイン電流、ピークコレクタ電流、ピークアノード電流、RMSドレイン電流、RMSコレクタ電流、RMSアノード電流、スイッチング周波数及び、デューティサイクルから構成されるグループから選択される少なくとも1つのパラメータを含み、
前記第2の動作パラメータは、ゲートドライブ、トランジスタバイアス、安全動作領域(SOA)条件、ドレイン−ソース間電圧閾値(VDS)、RMSドレイン電流閾値(IDRMS)、順方向及び逆方向バイアス安全動作領域(SOA)パルス電流閾値(IDM)、ドレイン−ソース間オン抵抗(RDS(on))によって制限される順方向バイアスSOAドレイン電流(I)境界、前記パワーデバイスの動作領域、ドレイン電圧、ゲート電圧、ゲート電流、平均ドレインデバイス電流、ピークドレイン電流、RMSドレイン電流、ダイ温度、ケース温度、接合部温度(T)、スイッチング周波数、及びデューティサイクルから構成されるグロープから選択される少なくとも1つの動作パラメータを含む、ことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記制御可能な半導体デバイスは、パワートランジスタ、静電誘導トランジスタ(SIT)、サイリスタ、MOS制御サイリスタ(MCT)、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ、及びエミッタターンオフ(ETO)サイリスタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1センサは、温度センサ、電圧センサ、及び電流センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1センサ及び前記コントローラのうちの少なくとも1つは、定期的及び概ね連続的の少なくとも一方において、前記第2動作パラメータ・データを取得するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1条件が、温度過昇、電流トンネル現象、過電力、過電流、過電圧、冷媒問題、ヒートシンク問題、ダイ欠陥、ダイ相互接続ボンディング欠陥、ダイアタッチメント欠陥、及びデバイスパッケージ実装欠陥のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1条件の検出時に、或る動作を実行するように構成される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記動作は、
(a)制御可能な半導体デバイスの動作を変更し、
(b)制御可能な半導体デバイスをシャットダウンさせ、
(c)制御可能な半導体デバイスの動作を中断し、
(d)制御可能な半導体デバイスの動作モードを切り替え、
(e)検出された第1の条件に基づいて制御可能な半導体のための安全動作領域(S
OA)条件を決定し、第1のパラメータを調整してSOAを保持するステップと、
(f)異なる第2の動作パラメータを検査するステップと、
(g)第1の条件を診断するステップと、
(h)第1の条件に基づいて、第2の条件が生じる可能性があるか否かを判定するステップであって、第2の条件は、温度過昇、電流トンネル現象、過電力、過電流、過電圧、冷媒
問題、ヒートシンク問題、ダイ欠陥、ダイボンディング欠陥、ダイアタッチメント欠陥、
デバイスパッケージ実装欠陥、パワーデバイスのための熱インターフェース問題、パワー
デバイスの信頼性の低下、高電流負荷下でのパワーデバイスの故障、高電力負荷下でのパ
ワーデバイスの故障のうちの少なくとも1つを含み、
(i)通知を提供する
ことのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1センサが、2つ以上の場所において、前記制御可能な半導体デバイスをモニタする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記制御可能な半導体デバイスは、ドレイン電極、ゲート電極、及びソース電極を有する電界効果トランジスタ(FET)を含み、前記コントローラは、前記制御可能な半導体デバイスの前記ゲート電極にゲートドライブ信号を与える第1の出力と、前記コントローラが前記第2動作パラメータ・データを受信できるようにするために、前記第1のセンサに接続される第1の入力とを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記コントローラは第2の入力をさらに備え、該第2の入力は、バイアス電源を受信して、前記ゲートドライブ信号のための信号源を与えるように構成される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記コントローラは、前記制御可能な半導体デバイスに関連付けられる前記デバイスデータを受信するように構成される第3の入力をさらに備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記コントローラは第2の出力をさらに備え、前記第2の出力は通知信号を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記通知信号は、前記制御可能な半導体デバイスの動作モード、該制御可能な半導体デバイスのステータス、前記第1条件、障害通知、及び障害予測のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記所定の信頼性特性が、平均故障間隔(MTBF)及び故障率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記SOA条件が、境界のセットによって決定され、該境界のセットが、SOAドレイン−ソース間電圧(VDS)境界、SOA電力境界(P)、SOARMS電流境界(IDRMS)、及びSOA RDS(on)制限電流境界を含み、前記コントローラが、更に、前記第2動作パラメータ・データに基づいて前記境界セットのうち少なくとも1つの境界を調整するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2動作パラメータが、前記SOA条件を含み、前記デバイスデータが、ノーマルモード及びアバランシェモードのうちの少なくとも一方の場合の接合部−ケース間過渡熱インピーダンス曲線、ヒートシンク−ケース間熱インピーダンスZthhc、接合部−ケース間安定状態熱インピーダンスZthjc、所定の温度Tにおけるオン状態抵抗RDS(on)(attemp T)、正規化されたオン状態抵抗RDS(ON)対温度のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスデータが、更に、破壊ドレイン−ソース間電圧BVDSS、破壊ドレイン−ソース間電圧BVDSS保護閾値、定格ドレイン−ソース間電圧VDSS、定格ドレイン−ソース間電圧VDSS保護閾値、最大単一パルス電流IDM、最大単一パルス電流IDM保護閾値、連続ドレイン電流I、連続ドレイン電流I保護閾値、アバランシェ電流IAR、アバランシェ電流IAR保護閾値、所定の接合部温度Tにおける単一パルスの場合のデフォルト順方向バイアス安全動作領域(FBSOA)、所定の接合部温度Tにおける単一パルスの場合のデフォルト逆方向バイアス安全動作領域(RBSOA)、所定の温度Tにおけるオン状態抵抗RDS(on)(attemp T)、正規化されたオン状態抵抗RDS(ON)対温度、電力損THS(P)の関数としてのヒートシンク温度THS、接合部温度T閾値、インテグラルボディダイオードのリバースリカバリ電荷Qrr及び前記インテグラルボディダイオードQrrのリバースリカバリ時間trrのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1動作パラメータが、ドレイン−ソース間電圧閾値(VDS)、RMSドレイン電流閾値(IDRMS)、パルス電流閾値(IDM)、ドレイン−ソース間オン抵抗(RDS(on))によって制限される順方向バイアスSOAドレイン電流(ID)境界から構成されるグループから選択される1又はそれ以上のパラメータを含み、
前記第2の動作パラメータが、ケース温度T、前記接合部温度T及び前記デバイスに動作可能に接続された負荷特性から構成されるグループから選択される1又はそれ以上のパラメータを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記コントローラが、更に、
所定の温度範囲における前記制御可能な半導体デバイスの各接合部温度について、境界のセットを計算し、各境界が、前記制御可能な半導体デバイスについての前記デバイスデータ、及び前記制御可能な半導体デバイスについてのドレイン電流I及びドレイン−ソース間電圧VDSの関数としての所定の信頼性特性に基づいており、各境界が各SOAを定めており、
所望される所定の信頼性特性に基づきSOAを選択し、
前記選択されたSOAに関連付けられる各境界及び所定の信頼性特性に従って、前記第1動作パラメータを動的に修正する、
ように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記所定の信頼性特性が、平均故障間隔(MTBF)を含み、前記計算された境界のセットが、最大MTBFに対応する最小SOAを定める少なくとも1つの境界、及び最小MTBFに対応する最大SOAを定める少なくとも1つの境界を含む、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
デバイスであって、
第1の動作パラメータ及び第2の動作パラメータと関連し、少なくとも該第1の動作パラメータは、制御可能な半導体が動作中に制御可能である、制御可能な半導体デバイスと、
前記制御可能な半導体デバイスと通信する第1のセンサであって、前記制御可能な半導体デバイスについての前記第2の動作パラメータと関連するデータを取得する、第1のセンサと、
前記制御可能な半導体デバイス、ストレージ・デバイス及びセンサと通信するコントローラであって、該コントローラは前記制御可能な半導体に関連付けられ、前記ストレージ・デバイスに格納されるデバイスデータにアクセスし、前記制御可能な半導体が作動している間、制御可能な半導体についての前記第1の動作パラメータを制御し、前記第2の動作パラメータに関する前記第1のセンサからデータを受信するように構成される、コントローラとを備え、
デバイスデータが、ノーマルモード及びアバランシェモードのうちの少なくとも一方の場合の接合部−ケース間過渡熱インピーダンス曲線、ヒートシンク−ケース間熱インピーダンスZthhc、接合部−ケース間安定状態熱インピーダンスZthjc、所定の温度Tにおけるオン状態抵抗RDS(on)(attemp T)、正規化されたオン状態抵抗RDS(ON)対温度のうちの少なくとも1つを含み、
前記コントローラが、前記デバイスデータに基づいて第1の予測値を求め、前記第2の動作パラメータに関連する前記第1のセンサからのデータを前記第1の予測値と比較し、該比較に基づいて、第1の条件が検出される場合、前記第1の条件、前記デバイスデータ、及び前記制御可能な半導体の所定の信頼性特性に基づいて、制御可能な半導体に関する安全動作領域(SOA)条件を動的に判断し、制御可能な半導体が前記SOA条件と所定の信頼性特性との両方によって作動することを補償するように、制御可能な半導体が作動している間、前記第1の動作パラメータを動的に変更する、デバイス。
【請求項22】
前記所定の信頼性特性が、平均故障間隔(MTBF)及び故障率のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1動作パラメータが、ドレイン−ソース間電圧、コレクタ−エミッタ間電圧、アノード−カソード間電圧、ゲート電圧、ゲート電流、ベース電流、平均ドレインデバイス電流、平均コレクタデバイス電流、平均アノードデバイス電流、ピークドレイン電流、ピークコレクタ電流、ピークアノード電流、RMSドレイン電流、RMSコレクタ電流、RMSアノード電流、ダイ温度、ケース温度、接合部温度(T)、スイッチング周波数及び、デューティサイクルのうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第2動作パラメータが、ゲートドライブ、トランジスタバイアス、安全動作領域(SOA)条件、ドレイン−ソース間電圧閾値(VDS)、RMSドレイン電流閾値(IDRMS)、順方向及び逆方向バイアス安全動作領域(SOA)パルス電流閾値(IDM)、ドレイン−ソース間オン抵抗(RDS(on))によって制限される順方向バイアスSOAドレイン電流(ID)境界、及びパワーデバイスの動作領域のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1条件が、温度過昇、電流トンネル現象、過電力、過電流、過電圧、冷媒問題、ヒートシンク問題、ヒートシンク−デバイス間パッケージインターフェース問題、ダイ欠陥、ダイ相互接続ボンディング欠陥、ダイアタッチメント欠陥、及びデバイスパッケージ実装欠陥のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は概括的には半導体及びシステムに関する。より詳細には、本発明
は、パワー半導体及びシステムを動作させ、制御し、及びモニタするためのシステム、方
法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体デバイスは当業者によく知られており、電子工学的な電力変換、レギュレ
ーション、及び制御のために一般的に用いられる。パワーシステムの構成ブロックとして
、パワー半導体デバイスはスイッチングモード及びリニアモードの両方において動作する
。パワー半導体は、軽量且つ小型であること、高電流レベルでの信頼性、障害分離、及び
診断能力のような競合する要件を満足させる。
【0003】
パワートランジスタは1つのタイプのパワー半導体であり、ワットないしメガワット単
位の電力範囲の種々の用途において用いられる。用途の大部分はスイッチングモードでパ
ワー半導体を使用するが、用途によっては、デバイスを線形(リニア)領域で動作させる
必要ある。そのような用途には、定電流キャパシタ(コンデンサ)充放電、負荷において
徐々に電圧を立ち上げること(「ソフトスタート」)、及び誘導性負荷のスイッチングが
含まれる。
【0004】
たとえば、Boris S. Jacobson他の発明者によって、2003年10月24日に特許出
願第10/692,580号(代理人整理番号第RTN−183AUS)として出願され
、2004年5月20日に公開された、「Intelligent Power System」と題するU.S.
第2004/0095023号において、制御モードパワーシステムの応用形態を見つけ
ることができる。
【0005】
たとえば、図1は、キャパシタバンクC〜Cを電圧源Vinから充電することによ
って、リニアモードにおいて動作するトランジスタQの一例を示しており、図2は、図1
のトランジスタ回路のためのパラメータを示すグラフである。tの前に、トランジスタ
はソース電圧を遮断している。瞬間tにおいて、トランジスタは徐々にオンに切り替わ
り、キャパシタ(コンデンサ)バンクを充電し始める。時間間隔t〜t中に、トラン
ジスタには線形に減衰する電圧が印加され、定電流が流れる。トランジスタによって散逸
(消費)される電力は、P=1/(t−t)∫IV(t)dtである。ただし、v(
t)はトランジスタにかかる電圧であり、積分区間はt〜tであり、Iはトランジス
タの中に流れる定電流である。
【0006】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)として知られているタイプの
パワートランジスタ、並びに絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)に関連する
問題は、それらのトランジスタはスイッチとして最適化することはできるが、リニアモー
ドでの動作に関連付けられる連続的な電力損に耐えることができないことである。この1
つの理由は、ホットスポット又は電流トンネリングと呼ばれる現象である。理想的なデバ
イスの場合、ダイにわたる電流密度及び温度プロファイルはいずれも概ね均一である。し
かしながら、ドーピングが不均一であったり、ダイアタッチメント材料内に空隙があった
りすると、デバイスにわたる電流密度及び温度に変動が生じる可能性がある。トランジス
タゲート閾値電圧Vthは通常、負の温度係数を有する。結果として、ダイのいくつかの
場所(特にダイの中央付近)が、他の場所よりも高い温度において動作し始めるとき、こ
れらの場所のVthが降下し、トランジスタ利得Gによって、電流密度が局所的に増加
せざるを得なくなる。電流が多くなると、利得がさらに増加し、結果として、最終的には
、デバイスに熱暴走及び壊滅的な故障が生じる。したがって、電流トンネル現象は、現時
点で入手することができるMOSFET及びIGBTをリニアモードの応用形態において
用いるのを実質的に妨げる。
【0007】
たとえば、図3は、図1のトランジスタQのようなトランジスタの場合の、温度の関数
としてのトランジスタゲート閾値電圧のグラフである。図3に示されるように、トランジ
スタゲート閾値電圧Vthは、負の温度係数を有する。ダイのいくつかの場所(特に中央
付近)が、他の場所よりも高い温度で動作し始めるとき、これらの場所のVthが降下し
、トランジスタ利得Gによって、電流密度が局所的に増加せざるを得なくなる。電流が
多くなると、利得がさらに増加し、結果として、最終的には、デバイスに熱暴走及び壊滅
的な故障が生じる。
【0008】
別の例として、図4は、図1のトランジスタのようなトランジスタの場合の、種々のド
レイン電流におけるトランジスタゲート−ソース間電圧対接合部温度のグラフである。図
4の傾きが0である曲線に対応するIの値は、クロスオーバ電流Icrcと呼ばれる。
リニアモードにおけるトランジスタ性能を改善するための最も効率的な方法のうちの1つ
は、そのクロスオーバ電流を低減することである。
【0009】
最新の処理技法を用いて製造されるMOSFETデバイスは、前の世代のデバイスより
も、ゲート電荷が少なく、ゲート−ドレイン間電荷が少なく、オン抵抗RDSonが小さ
い傾向がある。たとえば、表1は、Advanced Power Technology(APT)によって製造され
る3つの世代のAPT5010MOSFETの場合のクロスオーバ電流を示す。最新のM
OS VI(登録商標)製法を用いて製造されるAPT5010LLCは、前の世代のデ
バイスよりも、ゲート電荷が少なく、ゲート−ドレイン間電荷が少なく、オン抵抗RDS
onが小さい。残念なことに、このデバイスのスイッチング性能を改善すると、クロスオ
ーバ電流が増加し、そのリニア動作が劣化する。したがって、電流トンネル現象は、現在
のMOSFET及びIGBTをリニアモードの応用形態において用いることを実質的に妨
げる。
【0010】
【表1】
【0011】
従来のパワー半導体デバイスが問題に直面する可能性がある別の領域は、その安全動作
領域である。一般的に、順方向バイアス安全動作領域(FBSOA)曲線は、パワーデバ
イスがターンオン中に、又は順方向バイアス条件下で耐えることができる最大ドレイン電
圧及び電流を定義する。逆方向バイアス安全動作領域(RBSOA)曲線は、トランジス
タドレイン電圧が、その定格ドレイン−ソース破壊電圧BVDSSにクランプされるとき
に、誘導性負荷時のターンオフ下でのピークドレイン電流及び電圧を定義する。図5は、
順方向バイアス安全動作領域(FBSOA)曲線の例示的なグラフであり、図6は、逆方
向バイアス安全動作領域(RBSOA)曲線の例示的なグラフである。
【0012】
トランジスタは、全ての条件下で、FBSOA及びRBSOAの一定の境界内で動作し
なければならないことが期待されるであろう。しかしながら、FBSOA曲線及びRBS
OA曲線は、最大ドレイン−ソース電圧定格だけを制限する。そうでなければ、デバイス
のための絶対的な限界を指示するのとは対照的に、それらの曲線は、しばしば平均故障間
隔(MTBF)として表される、「許容できる」信頼性のエリアを表す。また、FBSO
A曲線は標準的には、25℃のケース温度において、単一電流パルス及びいくつかの異な
るパルス幅の場合のデータを示す。大部分の応用形態は、連続動作と、より高いケース温
度とを必要とするので、FBSOAを具体的な事例毎に計算し直さなければならない。
【0013】
結果として、多くの設計は、冷媒(冷却液)流が減少している非常時に高い接合部温度
で動作すること、又は止まっているモータにより多くの電流を供給すること等の、変化し
た環境条件又は電流条件を許容することができない。変化した環境条件を許容することが
できるパワー半導体デバイスを提供する1つの方法は、その用途にとって必要以上に大き
なデバイスを提供することである。しかしながら、そのように必要以上に大きくしても、
依然として、或る動作モードにおいてはデバイスが十分に活用されなくなり、別の動作モ
ードではデバイスに過度に負荷がかかるのは避けられない。
【0014】
現在のところ、パワートランジスタは、診断能力及び予測能力がないという問題を抱え
ており、動作中のパワー半導体にとって何か良くないことがあるか否かを判定するのが難
しい。故障したデバイスは、故障したという事実が生じた後に、故障の考えられる原因を
判定するために検査されることができる。パワートランジスタ信頼性に共通の予測の方法
は、デバイスの接合部温度による。その予測の方法は、理論的なモデルに基づいており、
製造欠陥又は実際の動作条件のいずれかを考慮に入れない。たとえば、パワートランジス
タ信頼性を予測するための既存の方法は、ダイと基板との接触によって過大な応力がかか
ること、又はヒートシンクに完全に取り付けられていないことによって引き起こされるデ
バイス故障を考慮に入れないであろう。さらに、現在のところ、導入されるトランジスタ
の電力処理能力に従って、それらを検査すると共に較正する方法は存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施の形態では、本発明は、制御可能な半導体デバイス、第1のセンサ及びコントロ
ーラを備えるデバイスを提供する。制御可能な半導体デバイス(たとえば、パワートラン
ジスタ、静電誘導トランジスタ(SIT)、サイリスタ、MOS制御サイリスタ(MCT
)、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ、及びエミッタターンオフ(ETO)サイリ
スタのうちの少なくとも1つ)が、第1の動作パラメータ及び第2の動作パラメータに関
連付けられ、少なくとも第1の動作パラメータは制御可能である。
【0016】
第1の動作パラメータは、たとえば、ドレイン−ソース間電圧、コレクタ−エミッタ間
電圧、アノード−カソード間電圧、ゲート電圧、ゲート電流、ベース電流、平均ドレイン
デバイス電流、平均コレクタデバイス電流、平均アノードデバイス電流、ピークドレイン
電流、ピークコレクタ電流、ピークアノード電流、RMSドレイン電流、RMSコレクタ
電流、RMSアノード電流、ダイ温度、ケース温度、接合部温度(T)、スイッチング
周波数、及びデューティサイクルのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
第2の動作パラメータは、たとえば、ゲートドライブ、ベースドライブ、トランジスタ
バイアス、安全動作領域(SOA)条件、ドレイン−ソース間電圧閾値(VDS)、RM
Sドレイン電流閾値(IDRMS)、順方向及び逆方向バイアス安全動作領域(SOA)
パルス電流閾値(IDM)、ドレイン−ソース間オン抵抗(RDS(on))によって制
限される順方向バイアスSOAドレイン電流(I)境界、及びパワーデバイスの動作領
域のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0018】
第1のセンサ(たとえば、温度センサ、電圧センサ、及び電流センサのうちの少なくと
も1つ)は、制御可能な半導体デバイスと通信し、第1のセンサは、制御可能な半導体デ
バイスの第2の動作パラメータに関連するデータを取得する。第1のセンサは、2つ以上
の場所において、制御可能な半導体をモニタすることができる。制御可能な半導体に影響
を及ぼす環境条件(たとえば、温度、冷媒流、及び湿度のうちの少なくとも1つ)並びに
機械的条件(たとえば、応力、歪み、力、運動、振動、加速度、及び衝撃のうちの少なく
とも1つ)を取得するセンサのような、さらに別のセンサを設けることもできる。
【0019】
コントローラは制御可能な半導体デバイス及びセンサと通信する。コントローラは制御
可能な半導体に関連付けられるデバイスデータにアクセスし、制御可能な半導体の第1の
動作パラメータを制御し、第1のセンサから、第2の動作パラメータに関連するデータを
受信するように構成される。コントローラは、デバイスデータに基づいて第1の予測値を
求め、第2の動作パラメータに関連するデータを第1の予測値と比較し、この比較に基づ
いて第1の条件(たとえば、温度過昇、電流トンネル現象、過電力、過電流、過電圧、冷
媒問題、ヒートシンク問題、ダイ欠陥、ダイ相互接続ボンディング欠陥、ダイアタッチメ
ント欠陥、及びデバイスパッケージ実装欠陥のうちの少なくとも1つ)が検出される場合
には、コントローラは第1の動作パラメータを動的に変更する。
【0020】
別の実施の形態では、本発明は、制御可能な半導体を動作させる方法を提供し、制御可
能な半導体は第1のセンサと通信する。制御可能な半導体が使用可能にされ、第1の動作
パラメータ(たとえば、ドレイン−ソース間電圧、コレクタ−エミッタ間電圧、アノード
−カソード間電圧、ゲート電圧、ゲート電流、ベース電流、平均ドレインデバイス電流、
平均コレクタデバイス電流、平均アノードデバイス電流、ピークドレイン電流、ピークコ
レクタ電流、ピークアノード電流、RMSドレイン電流、RMSコレクタ電流、RMSア
ノード電流、ダイ温度、ケース温度、接合部温度(T)、スイッチング周波数、及びデ
ューティサイクルのうちの少なくとも1つ)が制御される。
【0021】
第2の動作パラメータ(たとえば、ゲートドライブ、ベースドライブ、トランジスタバ
イアス、安全動作領域(SOA)条件、ドレイン−ソース間電圧閾値(VDS)、RMS
ドレイン電流閾値(IDRMS)、順方向及び逆方向バイアス安全動作領域(SOA)パ
ルス電流閾値、(IDM)、ドレイン−ソース間オン抵抗(RDS(on))によって制
限される順方向バイアスSOAドレイン電流(I)境界、制御可能な半導体の動作領域
のうちの少なくとも1つ)がモニタされる。
【0022】
制御可能な半導体に関連するデバイスデータ情報(たとえば、破壊(ブレークダウン)
ドレイン−ソース間電圧BVDSS、破壊ドレイン−ソース間電圧BVDSS p保護閾
値、定格ドレイン−ソース間電圧VDSS、定格ドレイン−ソース間電圧VDSS保護閾
値、最大単一パルス電流IDM、最大単一パルス電流IDM保護閾値、連続ドレイン電流
、連続ドレイン電流I保護閾値、アバランシェ(なだれ)電流IAR、アバランシ
ェ電流IAR保護閾値、所定の接合部温度Tにおける単一パルスの場合のデフォルト順
方向バイアス安全動作領域(FBSOA)、所定の接合部温度Tにおける単一パルスの
場合の場合のデフォルト逆方向バイアス安全動作領域(RBSOA)、ノーマルモード及
びアバランシェモードのうちの少なくとも一方の場合の接合部−ケース間過渡熱インピー
ダンス曲線、ヒートシンク−ケース間熱インピーダンスZthhc、接合部−ケース間熱
インピーダンスZthjc、所定の温度Tにおけるオン状態抵抗RDS(on)(at
temp T)、正規化されたオン状態抵抗RDS(ON)対温度、電力損THS(P
)の関数としてのヒートシンク温度THS、接合部温度T閾値、内蔵(インテグラル:
integral)ボディダイオードのリバースリカバリ(逆回復)電荷Qrr及び内蔵ボディダ
イオードQrr.の逆回復時間trr.のうちの少なくとも1つ)がアクセスされる。
【0023】
デバイスデータ情報及び第2の動作パラメータに基づいて、第1の条件(たとえば、温
度過昇、電流トンネル現象、過電力、過電流、過電圧、冷媒問題、ヒートシンク問題、ダ
イ欠陥、ダイ相互接続ボンディング欠陥、ダイアタッチメント欠陥、及びデバイスパッケ
ージ実装欠陥のうちの少なくとも1つ)が存在するか否かに関する判定が行われる。
【0024】
第1の条件が存在している場合に、第1の動作が行われる。第1の動作は、たとえば、
(a)制御可能な半導体の動作を変更すること、
(b)制御可能な半導体をシャットダウンすること、
(c)制御可能な半導体の動作を中断すること、
(d)制御可能な半導体の動作モードを切り替えること、
(e)検出された第1の条件に基づいて、制御可能な半導体のための安全動作領域(S
OA)条件を決定し、第1のパラメータを調整してSOAを保持すること、
(f)異なる第2の動作パラメータを検査すること、
(g)第1の条件を診断すること、
(h)第1の条件に基づいて、第2の条件が生じる可能性があるか否かを判定すること
であって、第2の条件は、温度過昇、電流トンネル現象、過電力、過電流、過電圧、冷媒
問題、ヒートシンク問題、ダイ欠陥、ダイボンディング欠陥、ダイアタッチメント欠陥、
デバイスパッケージ実装欠陥、パワーデバイスのための熱インターフェース問題、パワー
デバイスの信頼性の低下、高電流負荷下でのパワーデバイスの故障、高電力負荷下でのパ
ワーデバイスの故障のうちの少なくとも1つを含む、こと、及び
(i)通知を与えること、
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0025】
さらなる実施の形態では、本発明は、制御可能な半導体のための動作条件を判定する方
法であって、制御可能な半導体は接合部とケースとを有し、当該方法は、
制御可能な半導体に関連付けられるデバイスデータにアクセスすることであって、デバ
イスデータは所定の平均故障間隔(MTBF)を含む、こと、
制御可能な半導体の接合部とケースとの間の熱インピーダンスZthjcを計算するこ
と、
制御可能な半導体の接合部温度T及びケース温度Tを少なくとも定期的に測定する
こと、
、T及びZthjcに少なくとも或る程度基づいて、許容できる電力損を計算す
ること、及び
許容できる電力損及びMTBFに少なくとも或る程度基づいて、制御可能な半導体のた
めの少なくとも1つの動的な安全動作領域(SOA)境界を画定することであって、動的
なSOAは、T及びTの定期的な測定に基づいて、少なくとも定期的に調整される、
こと、
を含む方法を提供する。
【0026】
別の実施の形態では、本発明は、スイッチングモード及びリニアモードにおいて動作す
ることができると共にダイを含む制御可能な半導体デバイスのために、制御可能な半導体
デバイス内の電流トンネル現象を検出するための方法であって、順不同に、
(a)ダイの概ね中央付近の場所において中央ダイ温度をモニタするステップと、
(b)ダイの概ね周辺付近の場所において周辺ダイ温度をモニタするステップと、
(c)ダイの中央ダイ温度が、周辺温度よりも高く、且つ制御可能な半導体の動作モー
ドがスイッチングモードである場合には、制御可能な半導体の動作をシャットダウンする
ステップと、
(d)ダイの中央ダイ温度が、周辺温度よりも高く、且つ制御可能な半導体の動作モー
ドがリニアモードである場合には、制御可能な半導体の動作を中断し、動作モードをスイ
ッチングモードに変更するステップと、
を含む方法を提供する。
【0027】
さらなる実施の形態では、本発明は、制御可能な半導体の動作中に実際の不良及び潜在
的な不良を判定するための方法であって、順不同に、
(a)制御可能な半導体の1組のパラメータをモニタするステップであって、1組のパ
ラメータは、デバイスパラメータ、動作パラメータ、及び温度パラメータのうちの少なく
とも1つを含む、モニタするステップと、
(b)制御可能な半導体のための1組のデバイスデータにアクセスするステップと、
(c)1組のパラメータ及び1組のデバイスデータに少なくとも或る程度基づいて、制
御可能な半導体の予測される電力損及び予測される接合部温度を求めるステップと、
(d)制御可能な半導体の実際の電力損及び実際の接合部温度を測定するステップと、
(e)実際の電力損を予測される電力損と比較するステップと、
(f)実際の接合部温度を予測される接合部温度と比較するステップと、
(g)ステップ(e)及び(f)の比較に少なくとも或る程度基づいて、制御可能な半
導体において、実際の不良が生じたか否か、又は潜在的な不良が生じている可能性がある
か否かを判定するステップと、
(h)制御可能な半導体の動作中にステップ(a)ないし(g)を少なくとも定期的に
繰り返すステップと、
を含む方法を提供する。
【0028】
さらに別の実施の形態では、本発明は、導入されるデバイスの電力処理能力を判定する
方法であって、
導入されるデバイスの温度を測定すること、
テストパルスの結果として予想される、導入されるデバイスのための予測される温度変
化を求めること、
導入されるデバイスにテストパルスを送信すること、
テストパルスの結果として生じる、導入されるデバイスの実際の温度変化を測定するこ
と、及び
実際の温度変化を予測される温度変化と比較すること、
を含む方法を提供する。
【0029】
本発明のこれらの実施の形態及び他の実施の形態に関する詳細については、本明細書に
おいてさらに十分に説明する。
本発明の利点及び態様は、以下の詳細な説明及び添付図面との関連において、さらに十
分に理解されるであろう。
【0030】
図面は縮尺どおりに描かれているわけではなく、本発明の原理を例示することに重点が
置かれている。さらに、図面では、同様の参照符号は類似の構成要素を指している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下の説明は、MOSFETデバイスを用いる例、特性及び特徴を提供することによっ
て、本発明の或る特定の特徴を説明する。しかしながら、本明細書において説明される本
発明の概念及び実施形態は、限定はしないが、制御可能な半導体、3端子半導体、並びに
バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT
)、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ、エミッタターンオフ(ETO)サイリスタ
のようなパワー半導体を含む、数多くの他のタイプの半導体デバイスに適応可能であるこ
とは理解すべきである。
【0032】
一態様では、本発明は、従来のパワー半導体に、或るレベルの機能を追加し、新たなク
ラスの構成変更可能なパワーシステムを定義し、使用可能にする新たな特徴を提供する。
その新たなクラスの構成変更可能なパワーシステムは、これ以降、集積スマートパワース
イッチ(Integrated Smart Power Switch)(ISPS)と呼ばれるデバイスを含む。I
SPSの少なくともいくつかの実施態様は、電流トンネル現象、静的な安全動作領域(S
OA)、予測情報の不足、診断能力の不足、較正の不足、及び導入されるデバイスの不十
分な検査方法のような、一般的なパワー半導体の種々の問題を解決するのを助けることが
できる。
【0033】
本発明の少なくともいくつかの実施態様は、以下の有利な特徴も提供する。
(1)複数の場所においてダイ温度をモニタすることによる電流トンネル現象の検出及
び/又は防止;
(2)デバイスのための許容されるダイ温度、デバイス電圧及び/又は電流、並びにデ
バイスに要求される信頼性のうちの1つ又は複数による安全動作領域(SOA)の動的な
制御;
(3)ダイ、ダイボンディング、ダイアタッチメント、及びデバイス実装欠陥のような
欠陥を予め検出すると共に警告して、壊滅的な故障を防ぐのを助け、信頼性を高めるため
の自己診断及び予測;
(4)導入されるデバイスにパルスを与え、そのケース温度をモニタすることによる、
導入されるデバイスの較正及び検査;
(5)ケース温度上昇及び/又は電力処理能力によるデバイスのマッピング;並びに
(6)故障の可能性の事前警告。
【0034】
図7は、本発明の一実施形態による、集積スマートパワースッチ(ISPS)100の
第1のブロック図であり、図8は、本発明の一実施形態による、集積スマートパワースイ
ッチ(ISPS)の第2のブロック図である。
【0035】
図7及び図8を参照すると、ISPS100は、制御可能な半導体デバイス(本明細書
では、制御可能な半導体102とも呼ばれ、MOSFETパワーデバイスとして、図8
おいてのみ例示される)と、少なくとも1つのセンサ106と、コントローラ104とを
備える。図7に示されるように、ISPS100はオプションで、付加的なセンサ(第2
のセンサ106’及び第3のセンサ106’’として示される)を備えることができ、I
SPS100は、外部負荷150に電力を供給する。図7のブロックでは、簡単にするた
めに、複数の接続が簡略化された形で示されており、1本の線が各接続を指示しているこ
とに留意されたい。たとえば、第1のセンサ106は、2つ以上の場所において、制御可
能な半導体102をモニタすることができ、コントローラ104に2つ以上の信号を与え
ることができるが、図7はそれでも、1本の接続線を示す。
【0036】
ISPS100の動作中に、コントローラ104は、センサ106からの入力に応じて
(たとえば、フィードバックループとして)、制御可能な半導体102の動作を制御する
。たとえば、図8に示されるように、コントローラ104は、制御可能な半導体102の
ゲートドライブを制御し、センサ106(及びオプションではISPS100内の他のセ
ンサ)から、コントローラ104が適切なゲートドライブを判定するのを助ける(オプシ
ョンでは、デバイスデータ125のような付加情報も合わせて用いる)ための種々の検出
された入力を受信する。コントローラ104は、少なくとも定期的に、センサ106から
データを受信する。コントローラ104は概ね連続的にセンサ106からデータを受信し
て、コントローラが、制御可能な半導体102に与える制御信号を介して、制御可能な半
導体102の動作を迅速且つ動的に変更できるようにすることが好都合である。
【0037】
図8では、制御可能な半導体102は、金属酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFE
T)として例示されるが、その特定のタイプの半導体には限定されない。本発明の少なく
ともいくつかの実施形態のために用いることができるMOSFETの一例は、オレゴン州
、ベンド(Bend)のAdvanced Power Technology社から市販される部品番号APT100
21JFLLを有する1000V、37A、0.21オームMOSFETである。制御可
能な半導体102として、限定はしないが、ほとんどのタイプの3端子半導体、パワー半
導体、接合型FET(JFET)、及びMOSFETを含む電界効果トランジスタ、バイ
ポーラ接合トランジスタ(BJT)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、
静電誘導トランジスタ(SIT)、MOS制御サイリスタ(MCT)、ゲートターンオフ
(GTO)サイリスタ、並びにエミッタターンオフ(ETO)サイリスタを含む、任意の
タイプの制御可能な半導体デバイスを用いることができる。
【0038】
図8に示されるような、制御可能な半導体102がMOSFETである例では、制御可
能な半導体102は種々の動作パラメータに関連付けられ、それらのパラメータのうちの
いくつかは、外部から制御することができるパラメータに関連し、それらのパラメータの
うちのいくつかは測定可能であり(たとえば、センサによる)、それらのパラメータのう
ちのいくつかは、制御可能な半導体102そのものに関連付けられる。たとえば、測定す
ることができる制御可能な半導体102の動作パラメータは、(限定はしないが)ドレイ
ン電圧、ゲート電圧、ゲート電流、平均ドレインデバイス電流、ピークドレイン電流、R
MSドレイン電流、ダイ温度、ケース温度、接合部温度(T)、スイッチング周波数、
及びデューティサイクルを含む。
【0039】
制御することができる(たとえば、コントローラ104又は他の外部制御による)、制
御可能な半導体102の動作パラメータは、(限定はしないが)ゲートドライブ、トラン
ジスタバイアス、安全動作領域(SOA)条件、ドレイン−ソース間電圧閾値(VDS
、RMSドレイン電流閾値(IDRMS)、順方向及び逆方向バイアス安全動作領域(S
OA)パルス電流閾値(IDM)、ドレイン−ソース間オン抵抗(RDS(on))によ
って制限される順方向バイアスSOAドレイン電流(I)境界、パワーデバイスの動作
領域を含む。
【0040】
デバイスそのものに関連付けられる、制御可能な半導体102の動作パラメータは、(
限定はしないが)、破壊(ブレークダウン)ドレイン−ソース間電圧BVDSS、破壊ド
レイン−ソース間電圧BVDSS p保護閾値、定格ドレイン−ソース間電圧VDSS
定格ドレイン−ソース間電圧VDSS保護閾値、最大単一パルス電流IDM、最大単一パ
ルス電流IDM保護閾値、連続ドレイン電流I、連続ドレイン電流I保護閾値、アバ
ランシェ電流IAR、アバランシェ電流IAR保護閾値、所定の接合部温度Tにおける
単一パルスの場合のデフォルト順方向バイアス安全動作領域(FBSOA)、所定の接合
部温度Tにおける単一パルスの場合のデフォルト逆方向バイアス安全動作領域(RBS
OA)、ノーマルモード及びアバランシェモードのうちの少なくとも一方の場合の接合部
−ケース間過渡熱インピーダンス曲線、ヒートシンク−ケース間熱インピーダンスZth
hc、接合部−ケース間熱インピーダンスZthjc、所定の温度Tにおけるオン状態抵
抗RDS(on)(at temp T)、正規化されたオン状態抵抗RDS(ON)対
温度、電力損THS(P)の関数としてのヒートシンク温度THS、接合部温度T
値、インテグラル(内蔵)ボディダイオードのリバースリカバリ(逆回復)電荷Qrr
び内蔵ボディダイオードQrrの逆回復時間trr・のようなデバイスデータ125を含
む。
【0041】
上記のデバイスデータ125は、たとえば、製造業者のデータシートの一部として提供
されることができ、コントローラ104に与えることができる。一実施形態では、デバイ
スデータがISPS100の外部に位置する場合、コントローラ104は、必要に応じて
、デバイスデータ125にアクセスする。別の実施形態では、コントローラ104は、デ
バイスデータを受信して、その内蔵メモリ(たとえば、図8の不揮発性メモリ)に格納す
る。
【0042】
動作パラメータは、制御可能な半導体102の動作に影響を及ぼすことがある、環境パ
ラメータ及び/又は機械的パラメータも含むことができる(同じく、図7において、環境
情報107及び機械的情報109と呼ばれる)。環境パラメータは、限定はしないが、温
度、冷媒流、湿度、及び外部負荷によって引き込まれる電流を含む。機械的パラメータは
、限定はしないが、応力、歪み、力、移動、振動、加速度、及び衝撃を含む。環境パラメ
ータ、特に温度及び湿度が、半導体デバイスの動作に大きな影響を及ぼす可能性があるこ
とは当業者には理解されよう。同様に、機械的パラメータも、特に機械的パラメータが半
導体デバイスの全て又は一部への物理的な損傷を引き起こす場合には、半導体デバイスの
性能に影響を及ぼす可能性がある。
【0043】
センサ106として、上記の動作パラメータのうちの1つ又は複数を検出するように構
成される、当該技術分野において知られている任意のデバイスを用いることができる。本
発明の少なくともいくつかの実施形態は、複数のセンサ(たとえば、図7に示されるよう
な、第1のセンサ、第2のセンサ及び第3のセンサ106、106’及び106’’)を
用いることが好都合である。センサ106として、たとえば、電圧センサ、電流センサ、
温度センサ、機械センサ等を用いることができる。図8に示されるように、センサ106
として温度センサを用いることができる。図8のISPS100は、電流センス108の
形で第2のセンサも備え、そのセンサはセンス抵抗110も含む。センサ106、電流セ
ンス108及びセンス抵抗110はともに、コントローラ104に動作パラメータデータ
を与える。この動作パラメータデータは、図8において、一例として、「温度センス」、
「ドレイン電圧センス」、「ゲート電圧センス」、「ゲート電流センス」、及び「電流セ
ンス」を付される、コントローラ104への入力として示される。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、センサ106は、或る特定のタイプの不良及び問題を
検出するのを助けるために、ISPS100上の2つ以上の場所において同じパラメータ
を検出するように構成される。たとえば、一実施形態では、センサ106は、制御可能な
半導体102上の2つ以上の場所において温度(たとえば、制御可能な半導体102のダ
イの中央における温度、ダイの周辺の1つ又は複数のスポットにおける温度等)を検出す
るように構成される。制御可能な半導体102が電流トンネル現象のような問題を引き起
こすとき、ダイの中央の温度が、その周辺の温度よりも高くなる。したがって、ダイの中
央とその周辺との間の温度差を検出することによって、電流トンネル現象の兆候が指示さ
れる。
【0045】
センサ106を実装するための複数の方法があることは、当業者には理解されよう。た
とえば、センサ106は、特定の応用形態に応じて、複数の個別のセンサとして、また種
々の個々の点のための複数の入力を有する単一のセンサとして、さらには数多くの他の構
成で実装することができる。またセンサ106は、制御可能な半導体102及び/又はコ
ントローラ104の一部にすることもできる。
【0046】
コントローラ104は、(a)1つ又は複数のセンサ106から入力を受信し;(b)
バイアス電源122を(制御可能な半導体102をドライブするための入力として)受信
し;(c)コマンド/制御信号128を受信し;(d)制御可能な半導体102に関連付
けられるデバイスデータ125にアクセス及び/又はそれを格納し;(e)(a)〜(d
)の情報のうちの1つ又は複数を処理して、半導体デバイスの動作を制御し;(e)ステ
ータス/通知信号124を与えることができるプログラマブルデバイスである。
【0047】
図8に示されるように、一実施形態では、コントローラ104は、オンボードレギュレ
ータ及びフィルタ112と、入力受信バイアス電源122(たとえば、離隔しているバイ
アス電源)、ステータス、予測及び診断情報124を与えるための第1のインターフェー
ス118、並びにデバイスデータ及びコマンド信号126を受信するための第2のインタ
ーフェース120を含む入力及び出力信号インターフェースと、ゲートドライブ回路11
4(たとえば、テキサス州、ダラスのTexas Instrumentsから市販されるUCD7100
)と、オプションで不揮発性メモリ(たとえば、デバイスデータを格納するため)を有す
るデジタルシグナルプロセッサ(DSP)又はマイクロコントローラ114と、アナログ
/デジタル(A/D)コンバータ及びデジタル/アナログ(D/A)コンバータとを備え
る。
【0048】
コントローラ104は、後で説明する、図9図10図13図14及び図15の方
法のうちの1つ又は複数を実施するようにプログラム可能であることが好都合である。こ
れらの方法は、限定はしないが、電流トンネル現象の保護、動的な安全動作領域、診断及
び予測、並びに導入されるデバイスの較正を含む、本発明の少なくともいくつかの新たな
特徴を実現する。一例として、それらの方法は、MOSFETとして実装される制御可能
な半導体102を用いて詳細に例示されるが、図9図10図13図14及び図15
の方法は概ね任意のタイプのパワーデバイスに適用することができ、概ねの任意のタイプ
のパワーデバイスに合わせて構成することができることは、当業者には理解されよう。
【0049】
たとえば、一実施形態では、図7及び図8のISPS100のようなパワーデバイスを
制御するための方法は、2つ以上の場所において制御可能な半導体102のダイ温度を連
続的にモニタし、ホットスポットを検出して、制御可能な半導体102への損傷を防ぐ。
制御可能な半導体102が電流トンネル現象を生じるとき、ダイの中央の温度が、その周
辺の温度よりも高くなる。したがって、ダイの中央とその周辺との間の温度差を検出する
ことによって、電流トンネル現象の兆候が示される。
【0050】
制御可能な半導体102がスイッチングモードにおいて動作するときに、温度センサの
ようなセンサ106が、ホットスポットを検出する場合には、制御可能な半導体102は
、シャットダウンするように指示される。別法では、制御可能な半導体102がリニアモ
ードにおいて動作する場合には、シャットダウンする代わりに、コントローラ104は、
制御可能な半導体102の動作を中断し、制御可能な半導体102のモードをスイッチン
グモードに変更し、等価な平均電流を与える動作、又は引き込む動作を再開することがで
きる。電流トンネル現象保護方法の1つの実施態様が図9に示されており、図9は、本発
明の一実施形態による、ISPS100のようなパワーデバイスを制御するための制御方
法200の流れ図(フローチャート)である。
【0051】
図7図8及び図9を参照すると、制御方法200では、デバイスデータ125が、コ
ントローラ104において受信される(ブロック210)。コントローラ104は、数多
くの異なる方法で、デバイスデータ125を受信することができる。たとえば、デバイス
データ125は、ユーザ又は他のエンティティがコントローラ104に手動で入力するこ
とができる。またコントローラは、他の任意の場所(リモートデバイス上等)に格納され
るデバイスデータにアクセスすることができる。またコントローラ104は、電源投入時
に、デバイスデータ125をロードされるように初期化することができる。他の方法も実
現可能である。コントローラ104は、この方法の他のブロックのはるか以前に、デバイ
スデータを受信することができる。またブロック210では、コントローラ104がオン
ボードメモリを有する場合には、オプションで、デバイスデータ125は、コントローラ
104のメモリ等のISPS100内に格納することができる。別法では、コントローラ
104は、外部に格納されるデバイスデータ125にアクセスすることができるか、又は
コントローラ104が必要とするときにいつでも、デバイスデータ125を要求すること
ができる。
【0052】
該当する場合には、ステータス又は通知メッセージを生成して(ブロック215)、外
部ユーザに与えることができる。たとえば、ステータスメッセージは、デバイスデータ1
25についての情報を含むことができる。図9の制御方法200が進行するのに応じて、
ブロック215のステータスメッセージは、ISPS100のための安全動作領域(SO
A)についての通知、及び/又は検出されたISPS100の実際の欠陥又は潜在的な欠
陥についての通知を含むことができる。
【0053】
ISPS100が使用可能にされる(ブロック220)。一例として、図1のISPS
の場合、これは、コントローラ104が、制御可能な半導体102を使用可能するだけの
十分な信号をパワーデバイスに与えることによって果たされる。たとえば、制御可能な半
導体102がMOSFETである場合には、ISPSは、コントローラ104が、そのM
OSFETをリニアモード又はスイッチングモードのいずれかのモード(所与の応用形態
の場合に当てはまるいずれかのモード)になるようにドライブするだけの十分なゲートド
ライブ信号を与えることによって使用可能にされる。
【0054】
ISPS100の動作がモニタされる(ブロック230)。このモニタリングは、少な
くとも定期的に行われ、さらには、概ね連続的に行われることが好都合である。モニタリ
ング動作は、以下のデバイスパラメータ及び/又は動作パラメータ、すなわちダイ温度、
ケース温度、ドレイン電圧、ゲート電圧、ピークドレイン電流、二乗平均平方根(RMS
)ドレイン電流、平均ドレイン電流、ゲート電流、接合部温度(T)、スイッチング周
波数、及びデューティサイクルのうちの1つ又は複数をモニタすることを含む。
【0055】
ブロック230において、さらに多くの動作パラメータをモニタすることができる。た
とえば、モニタすることができる他の動作パラメータは、(限定はしないが)環境情報1
09(たとえば、温度、冷媒流、湿度、及び/又は外部負荷によって引き込まれる電流)
のような環境パラメータ又は条件、及び機械的情報109(たとえば、応力、歪み、力、
移動、振動、加速度、及び/又は衝撃)のような機械的パラメータ又は条件を含む。
【0056】
ブロック230の後に、制御方法200の過程は、3つの方法に分割され、それぞれが
概ね同時に実行されることがある(必ずしも実行される必要はない)。ブロック400は
、安全動作領域(SOA)方法400を表しており、それは図13に関連して、本明細書
においてさらに説明する。ブロック300は、保護方法300を表しており、それは、図
10に関連して、本明細書においてさらに説明する。ブロック500は、診断及び予測の
方法500を表しており、それは、図14に関連して、本明細書においてさらに説明する
【0057】
保護方法300(ブロック300)の1つの出力は、シャットダウン及び障害タイプ報
告(ブロック314)であり、それは(ISPS100がシャットダウンされる場合には
)、ISPS100の動作を終了する(それゆえ、制御方法200を終了する)ことに留
意されたい。
【0058】
図10は、本発明の一実施形態による、ISPS100のようなパワーデバイスを保護
するための保護方法300の流れ図である。保護方法300は、概ね任意のタイプのパワ
ーデバイスを保護するように構成できることは当業者には理解されよう。保護方法300
は、図9の制御方法200の一部として実施することができるか、又は独立した方法とし
て実施することができる。図10の保護方法300が図9の制御方法200の一部として
実施される場合には、ブロック301の一部であるブロック(ブロック302、304、
306を含む)は、図9のブロック210〜230を介して達成されるので、保護方法3
00は、図10のブロック306の後から開始する。
【0059】
一方、保護方法300が独立した方法として実施される場合には、ブロック302、3
04及び306が実行される。図10のブロック302において実行される「データを入
力及び格納する」機能は、図9のブロック210の「デバイスデータを受信する(及びオ
プションで格納する)」機能と概ね同じであり、ブロック210について上記で与えられ
た説明がブロック302にも当てはまる。図10のブロック304の「ISPSを使用可
能にする」機能は、図9のブロック220の「ISPSを使用可能にする」機能と概ね同
じであり、ブロック220について上記で与えられた説明がブロック304にも当てはま
る。同様に、図10のブロック306の「デバイスパラメータ及び動作パラメータ並びに
ケース温度をモニタする」機能は、図10のブロック230の「デバイスパラメータ及び
動作パラメータをモニタする」機能と概ね同じであり、ブロック230について上記で与
えられた説明がブロック306にも当てはまる。
【0060】
再び図10を参照し、合わせて図7及び図8も参照するとき、デバイスパラメータ及び
動作パラメータがモニタされた後に、保護方法300は、その保護タスクを、4つのサブ
グループ、すなわち温度過昇及び電流トンネル現象保護309、過電力保護310、過電
流保護311、並びに過電圧保護312に分割する(ただし、サブグループは同時に機能
することができるが、そうする必要はない)。
【0061】
温度過昇及び電流トンネル現象保護309サブグループ(ブロック315〜320)で
は、コントローラ104が、制御可能な半導体102内の接合部温度(T)がT閾値
(ブロック302のデバイスデータによって求められる)以上である否かを検査する(ブ
ロック315)。TがT閾値以上である場合には、コントローラ104は制御可能な
半導体102をシャットダウンすると共に故障タイプを報告する通知を与える(ブロック
314)。
【0062】
がT閾値未満である場合には、コントローラ104は、制御可能な半導体102
内にホットスポット現象(電流トンネル現象とも呼ばれる)が検出されているか否かを検
査する。これは、当業者は理解するように、種々の異なる方法で果たすことができる。た
とえば、コントローラ104は、(a)デバイスにわたる電流密度及び温度の変化;(b
)制御可能な半導体102のダイのいくつかの場所、特にダイの中央付近の場所が、低い
トランジスタゲート閾値電圧Vthで動作し始めているか否か;及び/又は(c)制御可
能な半導体102のいずれかの部分における電流密度の局所的な増加(順方向相互コンダ
クタンスが高くなることによって引き起こされる)を検査することができる。好ましい方
法は、ダイにわたる温度変化をモニタすることである。
【0063】
ホットスポット/電流トンネル現象が検出されていない場合には、保護方法300はブ
ロック306にジャンプして戻る。しかしながら、ブロック316が、ホットスポット/
電流トンネル現象が検出されており、且つISPS100がスイッチングモードにあるこ
とを示す場合には(ブロック318)、コントローラは制御可能な半導体102をシャッ
トダウンし、故障タイプを報告する(314)。ブロック316が、ホットスポット/電
流トンネル現象が検出されていることを示す場合には、動作モードを変更することができ
るか否かが確かめられる(ブロック319)。たとえば、ISPS100がリニアモード
にある場合には(ブロック318)、ISPS100をオフに切り替えることなく、制御
可能な半導体デバイス102の動作を中断することができる(たとえば、ゲートドライブ
信号を変更することによって、制御可能な半導体デバイス102のバイアスを遮断するこ
とによる)(ブロック320)。負荷特性によって、パルス電流で動作することが許され
る場合には、コントローラ104は、制御可能な半導体102のモードをスイッチングモ
ードに変更し(ブロック302)、ISPS100が等価な平均電流又は電力(応用形態
による)を与える動作、又は引き込む動作を再開して、ブロック306にジャンプして戻
る。ブロック219において、モードを変更できない(たとえば、負荷特性がパルス電流
に適合しないため)場合には、制御可能な半導体102はシャットダウンされ、故障タイ
プが報告される(ブロック314)。
【0064】
過電力保護サブグループ310では、コントローラ104は、2つの測定される動作パ
ラメータ、すなわちドレイン−ソース間電圧(VDS)及びドレイン電流Iから全トラ
ンジスタ損失Pを求める(ブロック322)。これは、その瞬間の電圧及び電流の積を
時間間隔Tにわたって積分すること等の、いくつかの方法で果たすことができる。制御可
能な半導体102が一定の周波数でスイッチングする場合には、時間間隔Tはスイッチン
グ周波数の周期である。制御可能な半導体102がリニアモードにおいて、又は可変周波
数のスイッチングモードにおいて動作する場合には、制御可能な半導体の電力損は、或る
時間間隔にわたって損失を平均することによって求められ(find)、その時間間隔は、多
数のターンオン事象及びターンオフ事象を含むことが好ましい。損失が計算されるとき(
ブロック322)、その情報は、図14に関連してさらに説明される診断及び予測の方法
500に与えられる(ブロック313)。全損失Pが損失P閾値よりも大きい場合に
は(ブロック324)、コントローラ104はISPS100をシャットダウンし、故障
/障害タイプに関する通知を与える(ブロック314)。しかしながら、全損失Pが損
失閾値未満である場合には、その方法はブロック306にジャンプして戻る。
【0065】
図10を再び参照すると、過電流保護サブグループ311では、コントローラ104は
、パルス電流IDMが閾値を超えているか否かを検査する(ブロック326)。超えてい
る場合には、コントローラ104はISPS100をシャットダウンし、故障/障害タイ
プを報告する(ブロック214)。パルス電流IDMが閾値を超えていない場合には、そ
の方法はブロック306にジャンプして戻る。
【0066】
過電圧保護の場合、本発明の少なくともいくつかの実施形態では、ISPS100が、
ISPS100への主電源を切る付加的な手段を有するとき、又はISPS100が、半
導体、金属酸化物バリスタ(MOV)、スパークギャップ、又は任意の他の適切なデバイ
スのような過渡電圧抑制素子を含む外部回路を有する場合にのみ、過電圧保護を与えるこ
とが実現可能であることに留意されたい。
【0067】
過電圧保護サブグループ312では、コントローラ104は、制御可能な半導体102
のドレイン−ソース間過電圧VDSを検査し(ブロック328)、それが制御可能な半導
体102の破壊(ブレークダウン)電圧VDSS未満であるか否かを確かめる。たとえば
、コントローラ104がこれを果たすことができる1つの方法は、漏れ電流を測定するこ
とによる(たとえば、電流センサ108を用いる)。トランジスタ電圧VDSが、その破
壊電圧未満VDSSである場合には、その方法はブロック306に戻る。VDSが、その
破壊電圧以上である場合には、コントローラは、アバランシェ(なだれ)条件を検査する
(ブロック330)。これを検査するための1つの方法は、制御可能な半導体の中にドレ
イン電流が流れている間に、ドレイン−ソース間電圧VDSが一定であるか否かを検査す
ることである。VDSが一定でない(そして、ブロック328の条件が満たされる)場合
には、制御可能な半導体102の中にアバランシェ条件は存在せず、最も起こる可能性が
高い結果は、制御可能な半導体102の故障である。したがって、ブロック330におい
て、アバランシェ条件が検出されない場合には、コントローラ104は、ISPS100
をシャットダウンし、故障/障害タイプを報告する(ブロック214)。
【0068】
しかしながら、コントローラ104が、VDSが一定のままであり、制御可能な半導体
の中に大きく減衰したドレイン電流が流れ、ブロック328の条件が満たされると判定す
る場合には、制御可能な半導体102はアバランシェ条件にある。その際、コントローラ
104は、ドレイン電流Iがアバランシェ電流IAR以上である否かを検査する(ブロ
ック312)か、又は接合部温度Tが最大接合部温度TJmax以上であるか否かを検
査する(ブロック332)。これらの条件のうちのいずれかが満たされる場合には、制御
可能な半導体102は故障しているか、又は故障に近づきつつあり、コントローラ104
はISPS100をシャットダウンして、故障/障害タイプを報告する(ブロック214
)。ブロック322においていずれの条件も満たされない場合には、その方法はブロック
306にジャンプして戻る。
【0069】
本発明の別の態様は、制御可能な半導体102の安全動作領域(SOA)を動的に制御
するための方法を提供する(図7図8)。この方法によれば、制御可能な半導体102
のダイ(たとえば、トランジスタダイ)を十分に使用できるようになり、また制御可能な
半導体102に要求される信頼性及び接合部温度に従って、電流を安全に増加させること
ができる。
【0070】
図11は、例示的な制御可能な半導体102(この例では、MOSFET)の場合の順
方向バイアス安全動作領域(FBSOA)の境界を例示するグラフである。これらの境界
は、制御可能な半導体102の場合に与えられるデバイスデータ(たとえば、デバイスデ
ータシート内にある)に基づいて与えられる(又は計算され得る)。たとえば、MOSF
ETのドレイン−ソース間抵抗RDSはわかっているので、図11に示されるRDS(o
n)制限電流境界は、ドレイン−ソース間に印加する電圧を増加していき、流れている電
流の量を測定することによって求めることができる。電圧を増加しても、流れることがで
きる電流の量には限界があり(すなわち、ピーク電流境界)、さらに、図11のFBSO
A境界に沿って、制御可能な半導体102が電力境界に制約されて、最終的には、図11
の電圧境界によって示される限界に達することも確認することができ、電圧境界を超えた
場合、制御可能な半導体102は、要求される/所望のMTBFでは動作しないであろう
【0071】
図12は、本発明の一実施形態による、動的な安全動作領域の概念を示すグラフである
。一定の接合部温度の場合の電圧及び電流のMTBFの関数を表す曲線が、3次元の表面
を形成する(この表面の断面は、図12において、「平行な平面454」を付される斜線
部分として示される)。明確にするために、図11のRDS(on)制限電流境界は図1
2には示されない。図12において破線によって画定される平面上のエリアは、最小(「
減少した」とも呼ばれる)MTBFに対応する最大安全動作領域452(MSOA)を表
す。平行な平面454上のエリアは、増加したMTBF及び減少したSOA456を表す
。動的な安全動作領域(DSOA)の概念を実現するために、図13の方法は、MTBF
軸458に沿って上下にSOAを効率的に「スライド」して、所望の性能を達成する。
【0072】
図13の方法(後でさらに説明する)によれば、接合部温度及びケース温度並びに負荷
特性に基づいてトランジスタ電圧及び電流を調整することによって、SOAをリアルタイ
ムに制御できるようになる。図13の方法の動作は、(a)概ね全ての動作条件下でのI
SPS100の自己保護(すなわち、安全動作領域の保持するために、そのコントローラ
104によって、及びセンサ108を介して行われる測定によって、ISPS100が自
己補正及び自己調整することができる);(b)ダイサイズの最適化及びコスト削減;並
びに(c)バトルショート状態におけるパルス電流の安全な増加(たとえば、ISPS1
00のSOAを、危機又は緊急時に最大SOA452)によって許されるレベルまで増加
し、ISPS100が大事な時にシャットダウンするのを防ぐ−ISPS100は、たと
えば、コマンド/制御128を介して、そのようなバトルショート状態に入ることができ
る)を確保するのを助ける。
【0073】
たとえば、電力損の偶発的な増加(たとえば、始動中、又はスイッチング損が上昇する
ときの高いスイッチング周波数での動作中)があることが予想される場合に、且つISP
S100が出力を下げた、すなわち「中間レベル」のSOA456でのみ動作することが
できるものと予想される場合には、1つの解決策は、指定された低い出力レベルにおいて
、より高い電力を取り扱うことができる、より大きなダイを用いることである。図13
方法を用いるとき、過渡条件の持続時間中に、より高い電力に向かって下方に平行な平面
をスライドし、それにより、より小型で、安価なダイで、その目的を果たすことができる
【0074】
図13は、本発明の一実施形態による、ISPS100のようなパワーデバイスの場合
の安全動作領域(SOA)を動的に制御するための方法400(「SOA方法」)の流れ
図である。SOA方法400は、概ね任意のタイプのパワーデバイスの動作パラメータを
動的に調整するように構成できることは当業者には理解されよう。さらに、図13のSO
A方法400は、図9の制御方法200の一部として実施することができるか、又は独立
した方法として実施することができる。図13のSOA方法400が制御方法200の一
部として実施される場合には、ブロック401の一部であるブロック(ブロック402、
404、406を含む)は実際には、図9のブロック210〜230によって達成されて
、SOA方法400は、図13のブロック406の後から開始する。
【0075】
一方、保護方法400が独立した方法として実施される場合には、ブロック402、4
04及び406が実行される。図13のブロック402において実行される「データを入
力及び格納する」機能は、図9のブロック210の「デバイスデータを受信する(及びオ
プションで格納する)」機能と概ね同じであり、ブロック210の場合に上記で与えられ
た説明がブロック402にも当てはまる。図13のブロック404の「ISPSを使用可
能にする」機能は、図9のブロック220の「ISPSを使用可能にする」機能と概ね同
じであり、ブロック220の場合に上記で与えられた説明がブロック404にも当てはま
る。同様に、図13のブロック406の「デバイスパラメータ及び動作パラメータ並びに
ケース温度をモニタする」機能は、図9のブロック230の「デバイスパラメータ及び動
作パラメータをモニタする」機能と概ね同じであり、ブロック230の場合に上記で与え
られた説明がブロック406にも当てはまる。
【0076】
図7図8及び図11を参照すると、コントローラ104がT、I、MTBF、及
び他の適用可能な係数の関数として、電圧係数kを計算する(ブロック410)。以下の
式(1)に示されるように、順方向バイアス安全動作領域(FBSOA)及び逆方向バイ
アス安全動作領域(RBSOA)電圧境界Vを計算するのを助けるために、この結果が
用いられる(ブロック402)。
【0077】
=kBVDSS 式(1)
ブロック402においてアクセスされるデバイスデータの一部である、単一パルス、2
5℃のSOA曲線から導出されるデフォルト境界を調整するために、ブロック402に、
電圧係数k及び電圧境界Vが与えられる。
【0078】
ブロック414では、以下の式(2)に示されるように、コントローラ104が、パル
ス幅T、周波数及びデューティサイクルDを用いて、接合部−ケース間過渡熱インピー
ダンスZthjc(t)を計算する。
Zthjc=ZthD+(1-D)Zth(Tp+T)-Zth(T)+Zth(Tp) 式(2)
ブロック416では、以下の式(3)に示されるように、コントローラ104が、Z
hjcを用いて、FBSOA電力境界Pを計算する。
【0079】
=(T−Tcase)/Zthjc 式(3)
ブロック418では、コントローラ104が、電力境界PからRMSドレイン−ソー
ス間電流IDSRMSを計算し(以下の式(4)を参照)、この情報は、ステップ402
に戻されるデフォルトRMS電流閾値を調整するために用いられる(ブロック420)。
すなわち、デフォルトRMS電流閾値を調整し、ブロック402においてアクセスされる
デバイスデータにフィードバックして、安全動作領域のこの態様が動的に調整される。
【0080】
DRMS=√(P/RDS(on)) 式(4)
ブロック422では、コントローラ104が、以下の式(5)に従って、デューティサ
イクルD、スイッチング周波数f、接合部温度T及び信頼性(すなわち、故障MTBF
間又は別の適切な信頼性特性間の平均時間)の関数として、FBSOA及びRBSOAパ
ルス電流(IDM)境界を計算し、この情報は、ステップ402に戻されるデフォルトパ
ルス電流閾値IDMを調整するために用いられる(ブロック242)。
【0081】
DM=IDM(D,f,T,MTBF) 式(5)
ブロック426では、コントローラ104が、以下の式(6)に従って、接合部温度の
関数として、正規化されたオン状態抵抗RDS(ON)を用いて、FBSOAドレイン−
ソース間オン状態抵抗RDS(on)制限境界を計算し、このデータは、ステップ402
に戻される、RDS(on)によって制限されるFBSOA境界を調整するために用いら
れる(ブロック428)。
【0082】
=V/RDS(on)DS(ON) 式(6)
また本発明は、ISPS100のようなパワーデバイスにおける不良を自己診断及び/
又は予測するのを助ける診断及び予測の方法も提供する。たとえば、この自己診断及び予
測によれば、ISPS100は、(限定はしないが)ダイ欠陥、ダイボンディング欠陥、
ダイアタッチメント欠陥及びデバイスパッケージ実装欠陥を含む欠陥を検出及び/又は予
測できるようになる。その診断及び予測の方法は予め警告を与え、それにより、パワーデ
バイスそのもの、及びそのパワーデバイスが導入される任意のシステムの壊滅的な故障を
防ぎ、信頼性を高めるのを助けることができる。自己診断及び予測の方法500の1つの
実施態様が、図14に例示される。
【0083】
図14の自己診断及び予測の方法500が、図9の制御方法200の一部として実施さ
れる場合には、ブロック501の一部であるブロック(ブロック502、504、506
を含む)は実際には、図9のブロック210〜230によって達成されるので、自己診断
及び予測の方法500は、図14のブロック506の後から開始する。
【0084】
一方、自己診断及び予測の方法500が独立した方法として実施される場合には、ブロ
ック502、504及び506が実行される。図14のブロック502において実行され
る「データを入力し、出力し、格納する」機能は、図9のブロック210の「デバイスデ
ータを受信する(そしてオプションで格納する)」機能と概ね同じであり、ブロック21
0について上記の説明がブロック502にも当てはまる。図14のブロック504の「I
SPSを使用可能にする」機能は、図9のブロック220の「ISPSを使用可能にする
」機能と概ね同じであり、ブロック220について上記で与えられた説明がブロック50
4にも当てはまる。同様に、図14のブロック506の「デバイス及び動作パラメータ並
びにケース温度をモニタする」機能は、図9のブロック230の「デバイス及び動作パラ
メータをモニタする」機能と概ね同じであり、ブロック230について上記で与えられた
説明がブロック506にも当てはまる。
【0085】
図7図8及び図14を参照すると、コントローラ104が、ISPS100がスイッ
チングモードにあるか否かを検査する(ブロック510)。制御可能な半導体102がリ
ニアモードにおいて動作する場合には、その方法はブロック514までスキップする。し
かしながら、制御可能な半導体102がスイッチングモードもある場合には、コントロー
ラ104は、ゲート電力損PGT、スイッチング損PSW、内蔵ボディダイオード電力損
及びトランジスタ漏れ電力損PLKを含む電力損を計算する(ブロック512)。こ
れらの計算はそれぞれ、後にさらに説明される。式(7)は、ゲート電力損PGTを計算
するために用いられる。積分区間が0〜Tである場合に、次のようになる。
【0086】
GT=1/T∫|VGS(t)||I(t)|dt 式(7)
式(7)〜式(12)の場合、時間間隔Tは以下のように定義される。制御可能な半導
体102が一定の周波数でスイッチングする場合には、時間間隔Tはスイッチング周波数
の周期である。制御可能な半導体102が可変周波数で動作する場合には、制御可能な半
導体102の電力損は、多数のターンオン事象及びターンオフ事象を含む動作時間間隔に
わたって、式(7)〜式(12)において定義される損失を平均することによって求めら
れる。式(8)は、スイッチング電力損PSWを計算するために用いられる。VDS>0
、I>0であり、積分区間がt〜tである場合に、次のようになる。
【0087】
SW=1/T∫VDS(t)I(t)dt 式(8)
ただし、tは、正のigの場合にi>0.1Igpkであり、且つVDS<0.1
DSSであるときの瞬間として定義され、tは、負のigの場合にi<0.1I
pkであり、且つIDS<0.1VDSSであるときの瞬間として定義される。
【0088】
本発明の内容に影響を及ぼすことなく、積分区間を定義するための他の判定基準を用い
ることができる。
式(9)〜式(11)は、内蔵ボディダイオード電力損Pを計算するために用いられ
る。
【0089】
=PD COND+PD SW(t) 式(9)
DS<0、I<0であり、積分区間が0〜Tである場合に、
D COND=1/T∫VDS(t)I(t)dt 式(10)
積分区間0〜trrの場合に、
D SW=Qrr/T∫VDS(t)dt 式(11)
ただし、Qrrは逆回復電荷であり、trrは逆回復時間である。
【0090】
式(12)は、漏れ電力損PLKを計算するために用いられる。VDS=VDD0、I
>0であり、積分区間が0〜Tである場合に、次のようになる。
LK=1/T∫VDS(t)I(t)dt 式(12)
ブロック514では、R. Severns(編集長)「MOSPOWER Applications Handbook」(Si
liconix Inc., 1984, pp. 4-17‐4-21)に記述されるのと類似の数値計算手順を用いて、
コントローラ104が、電力損PCALC及び接合部温度TJCALCについての2つの
非線形方程式(それぞれ、以下の式(13)及び式(14))を解く。
【0091】
PCALC=PG+PSW+PD+PLK+IRMS2RDS(on)(25℃)RDSN 式(13)
TJCALC=THS+PCLAC(Zthhc+Zthjc) 式(14)
測定されたトランジスタ電力損Pが、保護アルゴリズムからアクセスされる(P
、保護方法300、ブロック313から等の、数多くの異なる方法において特定及び/又
は取得されることができる)。計算された電力損及び接合部温度と、それらの測定された
ものとが、ブロック518、522、526及び530において比較される。ブロック5
18、522、526及び530は、任意の順序で実行することができることに留意され
たい。例示される順序は一例として与えられており、限定するものではない。
【0092】
CALC≧Pであり、且つTJCALC≧TJMである場合には(ブロック518
)、ブロック520の条件が存在するものと見なされる(すなわち、オン状態抵抗RDS
(on)が限度内にあり、熱インピーダンスZthhc及びZthjcも同様である)。
ISPS100は、問題がないものと見なされ、その方法はブロック506にジャンプし
て戻る。オプションでは、予測及び診断の情報は、ブロック502へのフィードバックの
一部として報告されることができる。
【0093】
CALC≧Pであり、且つTJCALC<TJMである場合には(ブロック522
)、オン状態抵抗RDS(on)は限度内にあるが、Zthhc若しくはZthjcのい
ずれか、又はZthhc及びZthjcの両方を含む、熱インターフェースインピーダン
スが、規定された値を超える(ブロック524)。熱インピーダンスが高くなる結果とし
て、接合部温度が高くなるので、デバイスが熱平衡に達するまで、RDS(on)が増加
する。こうして、検出された条件は過渡的な性質を有し、ターンオン中の或るパルス負荷
の場合、又は一定負荷の場合の熱インターフェース問題を診断するであろう。その予測は
、高電力負荷下でのデバイス信頼性の低下及び故障の可能性である。予測及び診断の情報
は、ブロック502へのフィードバックの一部として報告されることができ、その方法そ
のものは、ブロック506にジャンプして戻る。
【0094】
CALC<Pであり、且つTJCALC≧TJMである場合には(ブロック526
)、ブロック522について上記で説明した状況が逆になる。この条件では、合成熱イン
ピーダンスZthhc+Zthjcは規定された値よりも小さいが、オン状態抵抗RDS
(on)は、正常値よりも高い(ブロック528)。これらの条件は、ダイ欠陥又はダイ
接続欠陥のいずれかを診断し、その予測は、高電流又は高電力負荷下でのデバイス信頼性
の低下及び故障の可能性である。予測及び診断の情報は、ブロック502へのフィードバ
ックの一部として報告することができ、その方法そのものは、ブロック506にジャンプ
して戻る。
【0095】
CALC<Pであり、且つTJCALC<TJMである場合には(ブロック530
)、ISPS100は、上記の欠陥のうちのいずれかを有することがあり、すなわち、合
成熱インピーダンス若しくはオン状態抵抗、又は熱インピーダンス及びオン状態抵抗の両
方が正常値よりも高い(ブロック532)。これらの条件は、制御可能な半導体102内
のダイ欠陥又はダイ接続欠陥のいずれかを指示することができる。その予測は、高電流又
は高電力負荷下でのデバイス信頼性の低下及び故障の可能性である。予測及び診断の情報
は、ブロック502へのフィードバックの一部として報告することができる。
【0096】
ブロック534では、ヒートシンク温度THSが、関数THS(P)から求められる
予想される温度THS SETと比較される。ヒートシンク温度が、測定された電力損の
場合に予想される温度よりも高い場合には、ヒートシンク問題又はヒートシンク冷却問題
が報告され(ブロック536)、その方法そのものは、ブロック506にジャンプして戻
る。ブロック534及び536は、ブロック510〜532のいずれかの前、又はそれら
のいずれかの間を含む、ブロック506の後の実質的にいかなる時点でも実行することが
できるので、診断及び予測の方法500において、この時点においてブロック534及び
536が実行されることを示すことは、一例として与えられており、限定するものではな
いことに留意されたい。
【0097】
さらに別の態様では、本発明は、図7及び図8のISPS100のような、導入される
パワーデバイスを較正する方法も提供する。この方法は、少なくとも1つには、ISPS
100の電力処理能力が、そのケース−ヒートシンク間熱インピーダンスに依存すること
を基にする。すなわち、ISPS100のその設計及び動作によれば、ISPS100が
導入されるときに、その実装及び電力処理能力に基づいてISPS100が較正されるよ
うになる。
【0098】
図15は、本発明の一実施形態による、分散制御及び集積スマートパワースイッチを用
いる、パワーデバイスを導入しているインテリジェントパワーシステム600の第1の例
示的なブロック図である。システム600は、任意の数の負荷、及び階層制御とは対照的
な分散制御で機能することができる、インテリジェントで構成変更可能なシステムである
【0099】
3つの分散制御レベルを有する図15のインテリジェントパワーシステム600は、主
要エネルギー源及び蓄積装置を含む監視システム612を備え、それは、1つ又は複数の
ローカルパワーサブシステム614を制御し、ローカルパワーサブシステム614と通信
することができる。各ローカルパワーサブシステム614は、負荷と、図7及び図8の多
数のISPS100とを含む。各ローカルパワーサブシステム614は、その動作のいく
つかの態様を制御し(パワー制御判定を行い、他のローカルコントローラと通信するロー
カルコントローラ626による)、ステータス及び動作の判定を監視システム612に通
信し(同じくローカルコントローラ626による)、必要に応じて、監視システム612
から監視制御を受信することができる。監視システム612は、必要に応じて、各パワー
サブシステム614間で電力を分配できるようにする。
【0100】
監視システム612は、監視コントローラ616と、1つ又は複数のモニタリングセン
サ618と、共用電力620を制御できるようにする複数のISPSとを備える。共用電
力620は、概ね全てのローカルパワーサブシステム614の要求を満たすことができる
、1組の1つ又は複数の電力源を表す。各ローカルパワーサブシステム614は、1つ又
は複数のローカルパワーデバイス623(先に説明された制御可能な半導体102に類似
)を含み、それらのパワーデバイスは1つ又は複数のローカルモニタリングセンサにデー
タを与え、ローカルモニタリングセンサは、ローカルコントローラ626に情報を伝達す
る。監視システム612では、モニタリングセンサ618が、共用電力620からデータ
を取得し、そのデータを監視コントローラ616に伝達する。
【0101】
ローカルパワーサブシステム614が負荷625に接続されると、監視コントローラ6
16は、全てのローカルパワーサブシステム614に、所定の幅のターンオン(イネーブ
ル用)パルスを送信する。パワーデバイス623は、そのパルスの持続時間にわたって負
荷をかけられ、ローカルモニタリングセンサ619を介して、そのケース温度上昇をモニ
タし、ローカルコントローラ626に報告する。ローカルコントローラ626は、この情
報を監視コントローラ616に報告する。予想されるケース温度上昇は、監視コントロー
ラ616によってアクセスされ、ローカルコントローラ626のメモリに格納される、規
定されているケース−ヒートシンク間熱インピーダンス、及び各ローカルパワーサブシス
テム614の電力損に基づく。したがって、そのケース温度上昇に従って、そして最終的
には、その電力処理能力に従って、全てのローカルパワーサブシステム614がマップ化
される。一例として、この状況においては、マップ化は、パワーシステム全体の接続を示
す回路図において、各ISPSが、その電力処理能力、たとえば統計的に平均的であるこ
と、平均よりも上であること及び平均よりも下であることを特定する対応する番号を有す
る状況を含む。マップ化することによって、監視コントローラ616は、各ローカルパワ
ーサブシステム614の中で電力をいかに分配するのが最も良いかを判定できるようにな
る。予想よりも高いケース温度上昇を有するデバイスは実装欠陥を有することがあるので
、ローカルパワーサブシステムをマップ化することは、改良保守を要するローカルパワー
サブシステムを特定する機会も与える。
【0102】
こうして、一実施形態では、本発明は、パワーデバイスのような導入されるデバイスの
温度を測定して、導入されるデバイスの電力処理能力を特定する方法を提供する。導入さ
れるデバイスのための予測される温度変化(たとえば、温度上昇)が求められる。予測さ
れる温度変化は、テストパルスの結果として予想される。テストパルスが、導入されるデ
バイスに送信される。テストパルスの結果として、導入されるデバイスの実際の温度変化
が測定される。実際の温度変化が、予測される温度変化と比較される。実際の温度変化と
予測される温度変化との比較を用いて、導入されるデバイスの電力処理能力を判定するこ
とができる。少なくとも或る程度、その電力処理能力に基づいて、導入されるデバイスに
負荷を割り当てること、少なくとも或る程度、その電力処理能力に基づいて、導入される
デバイスに動作可能に接続される負荷を調整すること、及び/又は少なくとも或る程度、
その電力処理能力に基づいて、導入されるデバイスに動作可能に接続される負荷を分配し
直すこと等の動作を行うことができる。
【0103】
マップ化した後に、各ローカルサブシステム614は、2つの制御レベルを用いて動作
し、各ローカルコントローラ626が他のローカルコントローラと通信すると共に、SO
A判定を行うこと及び自己診断を与えること等を実施し続けるローカルISPSを監視す
る。しかしながら、システム600(一例にすぎないが、それは3つの制御レベルを有す
る)では、電力全体の流れ、ローカルコントローラ626間の競合の解決、及び各ローカ
ルサブシステムからのステータス情報の処理に関する判定は、監視コントローラ616に
よって実行され、監視コントローラ616は、(たとえば)ローカルサブシステム614
の電力容量のうちの或る量又は全ての量を別のローカルサブシステムに切り替えること、
ローカルサブシステム614のシャットダウンを無効にすること、報告される不良及び/
又は予測される不良についてのフィードバックを外部ユーザ628に与えること等によっ
て応答することができる。
【0104】
図16は、図15のインテリジェントパワーシステム600のさらに別の実施態様を提
供する、2つの制御レベルを有するカスケード接続されたパワーシステム700であり、
複数のISPSデバイスをいかにカスケード接続することができるかを示す。図16では
、コントローラ616が、4つのISPSデバイス、ISPS614A、614B、61
4C及び614Dを監視する。ISPS614Aは、電力源617Aによって電力を供給
され、電源619Aに電力を供給するために用いられる。同様に、ISPS614Bは、
電力源617Bによって電力を供給され、電源619Bに電力を供給するために用いられ
る。電源619AはISPS614Cに電力を供給し、電源619BはISPS614C
に電力を供給する。ISPS614C及びISPS614Dはそれぞれ、負荷625A、
625B、625C、及び625Dに電力を与えることができる。コントローラ616は
、カスケード接続されるパワーシステム700の全ての構成要素の中の電力の流れを制御
し(電力分配を含む)、各ISPS614をモニタして、シングルポイント故障を防止/
低減するのを助ける。しかしながら、このモニタリング及び制御の大部分の詳細は、シス
テム毎に固有のアルゴリズムの一部である。
【0105】
図17は、本明細書において説明するISPSの別の応用形態である。図17は、エネ
ルギー蓄積ユニットを有する直流(DC)バスのために用いることができる、ISPSベ
ーススイッチ及び放電回路800を用いる、より単純な単一レベル制御を示す。この応用
形態では、ISPSは、相互接続信号の数を削減し、性能(安全性、応答速度、及びシス
テムレベルの信頼性)を改善し、機能を追加する(本明細書において図9図10図1
3、及び図15に示される方法を用いる)。
【0106】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、限定はしないが、上記で引用した、Boris S. Jac
obson等の発明人によって、2003年10月24日に米国特許出願第10/692,5
80号(代理人整理番号第RTN−183AUS)として出願され、2004年5月20
日に公開された、「Intelligent Power System」と題するU.S.第2004/0095
023号を含む、数多くの異なるタイプのパワーシステムにおいて機能するように構成す
ることができる。
【0107】
これまでの説明及び関連する図に示されるように、本発明は、全て実際の動作条件を考
慮に入れる、故障の自己診断、故障の可能性の予測、導入されるデバイス/システムの較
正、及び動作パラメータの動的な自己調整を提供する、パワーシステムのためのシステム
、方法及びデバイスを提供する。本発明の少なくともいくつかの実施形態は、正常に機能
しているように見えるパワーデバイスにとって何か良くないことがあるか否かを判定する
能力を与える。さらに、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、導入されるトランジ
スタの電力処理能力に従って、導入されるトランジスタを検査し、較正する方法を提供す
る。
【0108】
この応用形態の図において、いくつかの例では、特定のシステム構成要素の例示として
、複数のシステム構成要素又は方法ブロックが示され、複数の特定のシステム構成要素又
は方法ブロックの例示として、ただ1つのシステム要素又は方法ブロックが示されること
がある。複数の特定の構成要素又はブロックを示すことによって,本発明に従って実現さ
れるシステム又は方法が、その構成要素又はブロックを2つ以上含まなければならないこ
とを意味するものでもなければ、ただ1つの構成要素又はブロックを例示することによっ
て、その個々の構成要素又はブロックのうちのただ1つを有する実施形態に本発明を限定
するものでもないことは理解されたい。さらに、特定のシステム構成要素又は方法の場合
に示される構成要素又はブロックの全数は限定することを意図するものではない。いくつ
かの例では、特定のシステム構成要素又は方法ブロックの数は、特定のユーザ要件に対応
するように選択できることは、当業者には理解されよう。
【0109】
また複数の図面において、方法又は過程を例示する図、流れ図及び/又はフローダイヤ
グラムの場合に、長方形のブロックは「処理ブロック」であり、コンピュータソフトウエ
ア命令のような、1つ若しくは複数の命令(又は一群の命令)を表すことができる。菱形
のブロックは「判定ブロック」であり、処理ブロックによって表されるコンピュータソフ
トウエア命令の実行に影響を及ぼす、コンピュータソフトウエア命令のような1つ若しく
は複数の命令(又は一群の命令)を表すことができる。別法では、処理ブロック及び判定
ブロックは、デジタルシグナルプロセッサ回路、マイクロコントローラ、又は特定用途向
け集積回路(ASIC)のような機能的に等価な回路によって実行される動作を表す。さ
らに、動作及びブロックは、ハードウエア及びソフトウエアの組み合わせを用いて実施す
ることもできる。
【0110】
図、流れ図、ブロック図及びフローダイヤグラムは、任意の特定のプログラミング言語
の構文(シンタックス)を表すものではない。むしろ、図、流れ図、ブロック図及びフロ
ーダイヤグラムフローは、本発明に従って要求される処理を実行するための回路を製造し
、且つ/又はコンピュータソフトウエアを作成するために、当業者が必要とする機能的な
情報を例示する。ループ及び変数の初期化、並びに一時的変数の使用等の数多くのルーチ
ンプログラム要素は示されていないことに留意されたい。本明細書において別段の指示が
されない限り、示されるステップの特定のシーケンスは例示にすぎず、本発明の精神から
逸脱することなく変更することができることは当業者には理解されよう。したがって、他
に述べられない限り、本明細書において記述されるステップは順序どおりである必要はな
く、それは、可能であれば、それらのステップを任意の都合の良い、又は所望の順序で実
行することができることを意味する。
【0111】
さらに、本発明の全て又は一部を実施するために用いられるソフトウエアは、コンピュ
ータ使用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品において具現することができる。た
とえば、そのようなコンピュータ使用可能媒体は、その上にコンピュータ読取り可能プロ
グラムコードセグメントを格納している、ハードドライブデバイス、CD−ROM、DV
D−ROM、又はコンピュータディスケットのような読取り可能メモリデバイスを含むこ
とができる。コンピュータ読取り可能媒体は、その上でデジタル信号又はアナログ信号と
してプログラムコードセグメントを搬送する、光通信リンク、有線通信リンク又は無線通
信リンクのいずれかの通信リンクを含むこともできる。
【0112】
図に示される本発明の実施形態を説明する際に、明確にするために、特定の用語(たと
えば、言語、言い回し、製品ブランド名等)が用いられる。これらの名称は、単なる一例
として与えられており、限定するものではない。本発明は、そのように選択される特定の
用語には限定されず、それぞれの特定の用語は、少なくとも、全ての文法的な均等物、字
義的な均等物、科学的な均等物、技術的な均等物及び機能的な均等物、並びに類似の目的
を果たすために同じように動作する他のものを含む。さらに、実例、図面及び本文におい
て、具体的な特徴、構成要素、回路、モジュール、表、ソフトウエアモジュール、システ
ム等に特定の名称が与えられることがある。しかしながら、本明細書において用いられる
そのような用語は、説明するためのものであり、限定するものではない。
【0113】
本発明は、或る程度の詳細な事柄を伴う好ましい形態において説明及び図示してきたが
、好ましい形態の本開示は、単なる一例として行われたこと、並びに本発明の精神及び範
囲から逸脱することなく、構成の細部並びに部品の組み合わせ及び配列において多数の変
更を行うことができることは理解されたい。
【0114】
具体的な実施態様を参照しながら技術の原理を説明及び例示してきたが、その技術は、
数多くの他の異なる形態において、且つ数多くの環境において実施できることは理解され
よう。本明細書において開示される技術は、他の技術と組み合わせて用いることができる
。したがって、本発明は、説明した実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、特許請
求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されるべきであると考える。
【図面の簡単な説明】
【0115】
図1】リニアモードにおいて動作するトランジスタ回路の回路図である。
図2図1のトランジスタ回路のためのパラメータを示すグラフである。
図3図1のトランジスタの場合の、温度の関数としてのトランジスタゲート閾値電圧のグラフである。
図4図1のトランジスタの場合の、種々のドレイン電流におけるトランジスタゲート−ソース間閾値電圧対接合部温度曲線のグラフである。
図5】順方向バイアス安全動作領域(FBSOA)曲線の例示的なグラフである。
図6】逆方向バイアス安全動作領域(RBSOA)曲線の例示的なグラフである。
図7】本発明の一実施形態による、集積スマートパワースイッチ(ISPS)の第1のブロック図である。
図8】本発明の一実施形態による、集積スマートパワースイッチ(ISPS)の第2のブロック図である。
図9】本発明の一実施形態による、パワーデバイスを制御するための方法の流れ図である。
図10】本発明の一実施形態による、パワーデバイスを保護するための方法の流れ図である。
図11】本発明の一実施形態による、順方向バイアス安全動作領域の境界を示すグラフである。
図12】本発明の一実施形態による、動的な安全動作領域の概念を示すグラフである。
図13】本発明の一実施形態による、パワーデバイスのための安全動作領域(SOA)の動的に制御するための方法の流れ図である。
図14】本発明の一実施形態による、パワーデバイスのための不良を診断及び予測するための方法の流れ図である。
図15】本発明の一実施形態による、分散制御及び集積スマートパワースイッチを用いるインテリジェントパワーシステムの第1の例示的なブロック図である。
図16】本発明の一実施形態による、インテリジェントパワーシステムの第2の例示的なブロック図である。
図17】本発明の一実施形態による、インテリジェントパワーシステムの応用形態を例示する図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17