(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料ガスが導入される導入通路を備える導入ブロックと、前記燃料ガスが導出される導出通路を備える導出ブロックと、前記燃料ガスの流量及び圧力を調節するための少なくとも一つのインジェクタと、を有し、前記導入通路に導入された前記燃料ガスを前記インジェクタにより前記導出通路へ噴射することで前記燃料ガスを減圧する燃料供給ユニットにおいて、
前記導入通路または前記導出通路のいずれかの通路の内圧が所定値以上となった場合に前記通路の内部の前記燃料ガスを前記通路の外部に放出するリリーフバルブを有し、
前記リリーフバルブは、前記導入ブロックと前記導出ブロックとの間で挟持されるように配置されていること、
を特徴とする燃料供給ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される燃料電池システムは燃料ガス供給配管系のユニット化を図ることができるものの、特許文献1にはリリーフ弁の設置方法については特に開示されていない。一般的にリリーフ弁を出口側マニホールドに設けようとすると、リリーフ弁を出口側マニホールドに固定するためのプラグやボルトなどの部品が必要になると考えられる。そうすると、リリーフ弁を出口側マニホールドに組み付ける作業が煩雑となってしまう。そのため、ユニットを構成する部品点数を低減することが望まれる。また、リリーフ弁が出口側マニホールドから外部に突出するように設けられる場合には、その分だけユニットのコンパクト化が阻害されてしまう。そうすると、このようなユニットを、例えば、車両のエンジンルームの限られたスペースに余裕をもって搭載できないおそれがある。そのため、ユニットの更なる小型化が望まれる。
【0005】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、構成部品の点数を低減でき、かつ、小型化を図ることができる燃料供給ユニットを提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、燃料ガスが導入される導入通路を備える導入ブロックと、前記燃料ガスが導出される導出通路を備える導出ブロックと、前記燃料ガスの流量及び圧力を調節するための少なくとも一つのインジェクタと、を有し、前記導入通路に導入された前記燃料ガスを前記インジェクタにより前記導出通路へ噴射することで前記燃料ガスを減圧する燃料供給ユニットにおいて、前記導入通路または前記導出通路のいずれかの通路の内圧が所定値以上となった場合に前記通路の内部の前記燃料ガスを前記通路の外部に放出するリリーフバルブを有し、前記リリーフバルブは、前記導入ブロックと前記導出ブロックとの間で挟持されるように配置されていること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、リリーフバルブを導入ブロックや導出ブロックに固定するための留め具を廃止することができるので、燃料供給ユニットの構成部品の点数を低減できる。また、リリーフバルブを導入ブロックと導出ブロックから張り出させることなく導入ブロックと導出ブロックに組み付けることができるので、燃料供給ユニットの小型化を図ることができる。
【0008】
上記の態様においては、前記導入ブロックと前記導出ブロックの少なくともいずれか一方は、前記通路に接続する凹部を備え、前記リリーフバルブは、弁体とスプリングとを備え、前記スプリングが前記弁体を前記通路側に向かって付勢している状態で、前記凹部の内部に配置されていること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、より効果的に、燃料供給ユニットの小型化を図ることができる。
【0010】
上記の態様においては、前記導入ブロックと前記導出ブロックの少なくともいずれか一方は、前記スプリングを保持する部分にてざぐりを備えること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、スプリングがズレ難くなるので、リリーフバルブの動作が安定する。
【0012】
上記の態様においては、前記リリーフバルブとして、前記導入通路の内部の前記燃料ガスを前記導入通路の外部に放出する第1リリーフバルブと、前記導出通路の内部の前記燃料ガスを前記導出通路の外部に放出する第2リリーフバルブと、を有すること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、導入通路用のリリーフバルブと導出通路用のリリーフバルブとを1つのユニット内にコンパクトに収めることができる。
【0014】
上記の態様においては、前記第1リリーフバルブと前記第2リリーフバルブとが一体的に形成されていること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、構成部品の点数をさらに低減でき、かつ、さらに小型化を図ることができる。
【0016】
上記の態様においては、前記リリーフバルブから前記燃料ガスが放出されるガス放出部は、前記導入ブロックまたは前記導出ブロックのいずれかに設けられた切欠き部により形成されていること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、導入ブロックや導出ブロックにおいて流路を加工する工数を減らすことができるので、燃料供給ユニットの製造時の作業負担が低減される。
【0018】
上記の態様においては、前記第1リリーフバルブから前記燃料ガスが放出される第1ガス放出部は、前記導出通路に連通していること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、燃料供給ユニットの外部に放出する燃料ガスの量を低減できるので、無駄に放出してしまう燃料ガスの量を低減でき、安全性も向上できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る燃料供給ユニットによれば、構成部品の点数を低減でき、かつ、小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔燃料電池システムの説明〕
まず、燃料電池システム1について説明する。燃料電池システム1は、燃料電池10、水素ボンベ12、水素供給通路14、水素排出通路16、主止弁18、第1切換弁20、高圧レギュレータ22、水素供給ユニット24、エア供給通路26、エア排出通路28、エアポンプ30、第2切換弁32、1次圧センサ34、2次圧センサ36、3次圧センサ38、エア圧センサ40、コントローラ42などを有している。
【0023】
この燃料電池システム1は、電動自動車に搭載され、その駆動用モータ(図示略)に電力を供給するために使用される。燃料電池10は、燃料ガスとしての水素ガスと酸化剤ガスとしてのエアの供給を受けて発電を行う。燃料電池10で発電した電力は、インバータ(図示略)を介して駆動用モータ(図示略)に供給される。水素ボンベ12には、高圧の水素ガスが蓄えられる。
【0024】
燃料電池10のアノード側には、水素供給システムが設けられている。この水素供給システムは、水素ボンベ12から供給先の燃料電池10へ水素ガスを供給するための水素供給通路14と、燃料電池10から導出される水素オフガスを排出するための水素排出通路16とを備えている。水素ボンベ12の直下流の水素供給通路14には、水素ボンベ12から水素供給通路14への水素ガスの供給と遮断を切り換える電磁弁よりなる主止弁18が設けられる。水素排出通路16には、電磁弁よりなる第1切換弁20が設けられる。
【0025】
主止弁18より下流の水素供給通路14には、水素ガスの圧力を減圧するための高圧レギュレータ22が設けられる。主止弁18と高圧レギュレータ22との間の水素供給通路14には、その中の圧力を1次圧P1として検出するための1次圧センサ34が設けられる。
【0026】
高圧レギュレータ22より下流の水素供給通路14には、2次圧センサ36が設けられる。2次圧センサ36は、高圧レギュレータ22と水素供給ユニット24との間の水素供給通路14の中の圧力を2次圧P2として検出する。
【0027】
2次圧センサ36より下流の水素供給通路14には、燃料電池10へ供給される水素ガスの流量及び圧力を調節するための水素供給ユニット24が設けられる。水素供給ユニット24は、本発明の燃料供給ユニットの一例に相当する。なお、水素供給ユニット24の詳細は、後述する。
【0028】
水素供給ユニット24より下流の水素供給通路14には、3次圧センサ38が設けられる。3次圧センサ38は、水素供給ユニット24と燃料電池10との間の水素供給通路14の中の圧力を3次圧P3として検出する。
【0029】
一方、燃料電池10のカソード側には、燃料電池10にエアを供給するためのエア供給通路26と、燃料電池10から導出されるエアオフガスを排出するためのエア排出通路28とが設けられている。エア供給通路26には、燃料電池10に供給されるエア流量を調節するためのエアポンプ30が設けられている。エアポンプ30より下流のエア供給通路26には、エア圧力P4を検出するためのエア圧センサ40が設けられる。エア排出通路28には、電磁弁よりなる第2切換弁32が設けられる。
【0030】
上記構成において、水素ボンベ12から導出される水素ガスは、水素供給通路14を通り、主止弁18、高圧レギュレータ22、水素供給ユニット24を介して燃料電池10に供給される。燃料電池10に供給された水素ガスは、燃料電池10にて発電に使用された後、燃料電池10から水素オフガスとして水素排出通路16及び第1切換弁20を介して排出される。
【0031】
また、上記構成において、エアポンプ30によりエア供給通路26へ吐出されたエアは燃料電池10に供給される。燃料電池10に供給されたエアは、燃料電池10にて発電に使用された後、燃料電池10からエアオフガスとしてエア排出通路28及び第2切換弁32を介して排出される。
【0032】
この燃料電池システム1は、システムの制御を司るコントローラ42を更に備える。コントローラ42は、燃料電池10へ供給される水素ガスの流れを制御するために、1次圧センサ34、2次圧センサ36及び3次圧センサ38の検出値に基づき、主止弁18、水素供給ユニット24に備わるインジェクタ52を制御する。また、コントローラ42は、水素排出通路16の水素オフガスの流れを制御するために、第1切換弁20を制御する。一方、コントローラ42は、燃料電池10へ供給されるエアの流れを制御するために、エア圧センサ40の検出値に基づきエアポンプ30を制御する。
【0033】
また、コントローラ42は、エア排出通路28のエアオフガスの流れを制御するために、第2切換弁32を制御する。また、コントローラ42は、燃料電池10の発電に係る電圧値及び電流値をそれぞれ入力するようになっている。コントローラ42は、中央処理装置(CPU)及びメモリを備え、燃料電池10へ供給される水素ガス量及びエア量を制御するために、メモリに記憶された所定の制御プログラムに基づいてインジェクタ52及びエアポンプ30等を制御する。
【0034】
〔水素供給ユニットの説明〕
次に、水素供給ユニット24に関して説明する。
【0035】
<第1実施例>
本実施例において、水素供給ユニット24は、
図1と
図2に示すように、導入ブロック44と、導出ブロック46と、1次側リリーフバルブ48と、2次側リリーフバルブ50と、インジェクタ52と、ボルト54などを備えている。なお、1次側リリーフバルブ48は本発明の「第1リリーフバルブ」の一例であり、2次側リリーフバルブ50は本発明の「第2リリーフバルブ」の一例である。
【0036】
導入ブロック44は、水素供給通路14の水素ガスをインジェクタ52へ分配する部材である。導入ブロック44は、導入通路56と、第1凹部58と、1次側取込口60と、第2凹部62と、2次側放出口64(ガス放出部)と、凹部66と、導入孔68と、雌ネジ穴70などを備えている。
【0037】
導入通路56は、水素供給通路14から水素ガスが導入される通路である。
【0038】
第1凹部58は、導入ブロック44における導出ブロック46側の面44aに対して凹んで形成されている。第1凹部58の内部には、1次側リリーフバルブ48が配置されている。1次側取込口60は、導入通路56と第1凹部58とに接続する通路である。これにより、第1凹部58は、1次側リリーフバルブ48の開弁時に、1次側取込口60を介して、導入通路56に連通する。また、第1凹部58の底面部分において、1次側リリーフバルブ48の閉弁時に後述する弁体82が当接する弁座部58aを備えている。
【0039】
第2凹部62は、導入ブロック44の面44aに対して凹んで形成されている。第2凹部62の内部には、2次側リリーフバルブ50が配置されている。2次側放出口64は、第2凹部62と水素供給ユニット24の外部とに連通する通路である。これにより、第2凹部62は、2次側放出口64を介して、水素供給ユニット24の外部に連通している。
【0040】
凹部66は、導入ブロック44の面44aに対して凹んで形成されている。凹部66の内部には、インジェクタ52が配置されている。導入孔68は、導入通路56と凹部66とに接続している。導入孔68には、インジェクタ52の入口側にある入口パイプ52bが嵌め込まれている。そして、このようにして、
図2に示す例において、導入通路56に、3つのインジェクタ52の入口パイプ52bが並列に並んで接続されている。なお、凹部66の内側は、
図2の紙面奥側および紙面手前側について空洞になっており、水素供給ユニット24の外部(大気)に連通している。また、雌ネジ穴70には、ボルト54が締結されている。
【0041】
また、導出ブロック46は、インジェクタ52から噴射される水素ガスを合流させる部材である。導出ブロック46は、導出通路72と、1次側放出口74(ガス放出部)と、2次側取込口76と、ノズル孔78、ボルト穴80などを備えている。
【0042】
導出通路72は、インジェクタ52から水素ガスが導出される通路である。
【0043】
1次側放出口74は、第1凹部58と水素供給ユニット24の外部とに連通する通路である。これにより、第1凹部58は、1次側放出口74を介して、水素供給ユニット24の外部に連通している。2次側取込口76は、第2凹部62と導出通路72とに接続する通路である。これにより、第2凹部62は、2次側リリーフバルブ50の開弁時に、2次側取込口76を介して、導出通路72に連通する。また、導出ブロック46における導入ブロック44側の面46aにおいて、2次側取込口76の開口部分の周囲に、2次側リリーフバルブ50の閉弁時に後述する弁体86が当接する弁座部46bを備えている。
【0044】
ノズル孔78には、インジェクタ52の出口側にあるノズルパイプ52cが嵌め込まれている。そして、このようにして、
図2に示す例において、導出通路72に、3つのインジェクタ52のノズルパイプ52cが並列に並んで接続されている。また、ボルト穴80には、ボルト54が挿入されている。
【0045】
また、1次側リリーフバルブ48は、導入ブロック44と導出ブロック46との間で挟持されるように配置されている。具体的には、1次側リリーフバルブ48は、弁体82とスプリング84などを備えている。弁体82は、円筒状に形成されており、小径部82aと大径部82bを備えている。小径部82aは、大径部82bよりも直径が小さく、導入通路56側に配置されている。また、弁体82は、小径部82aの内側と大径部82bの内側に流路82cを備えている。そして、大径部82bの内側における流路82c内に、スプリング84が配置されている。また、弁体82は、小径部82aにおいて、第1凹部58と流路82cとを連通させる連通孔82dを備えている。そして、1次側リリーフバルブ48は、スプリング84が弁体82を導入通路56側に向かって付勢している状態で、第1凹部58の内部に配置されている。
【0046】
このような構成の1次側リリーフバルブ48は、導入通路56の内圧が第1所定値(1次側の作動圧)以上となった場合に、導入通路56の内部の水素ガスを導入通路56の外部に放出することにより、導入通路56の内圧を下げる。具体的には、1次側リリーフバルブ48は、導入通路56の内圧が第1所定値以上となった場合に、弁体82がスプリング84の付勢力に対抗して、小径部82aが第1凹部58の弁座部58aから離れることにより、開弁する。そして、このように1次側リリーフバルブ48が開弁すると、導入通路56の内部の水素ガスは、1次側取込口60を通って第1凹部58の内部に取り込まれる。さらに、水素ガスは、弁体82の連通孔82dと流路82cを通って1次側リリーフバルブ48から1次側放出口74に放出され、1次側放出口74を通って水素供給ユニット24の外部へ排出される。これにより、導入通路56の内圧が下がる。
【0047】
また、2次側リリーフバルブ50は、導入ブロック44と導出ブロック46との間で挟持されるように配置されている。具体的には、2次側リリーフバルブ50は、弁体86とスプリング88などを備えている。弁体86は、円筒状に形成されており、小径部86aと大径部86bを備えている。小径部86aは、大径部86bよりも直径が小さく、導出通路72側に配置されている。また、弁体86は、小径部86aの内側と大径部86bの内側に流路86cを備えている。そして、大径部86bの内側における流路86c内に、スプリング88が配置されている。また、弁体86は、小径部86aにおいて、第2凹部62と流路86cとを連通させる連通孔86dを備えている。そして、2次側リリーフバルブ50は、スプリング88が弁体86を導出通路72側に向かって付勢している状態で、第2凹部62の内部に配置されている。
【0048】
このような構成の2次側リリーフバルブ50は、導出通路72の内圧が第2所定値(2次側の作動圧)以上となった場合に、導出通路72の内部の水素ガスを導出通路72の外部に放出することにより、導出通路72の内圧を下げる。具体的には、2次側リリーフバルブ50は、導出通路72の内圧が第2所定値以上となった場合に、弁体86がスプリング88の付勢力に対抗して、小径部86aが導出ブロック46の弁座部46bから離れることにより、開弁する。そして、このように2次側リリーフバルブ50が開弁すると、導出通路72の内部の水素ガスは、2次側取込口76を通って第2凹部62の内部に取り込まれる。さらに、水素ガスは、弁体86の連通孔86dと流路86cを通って2次側リリーフバルブ50から2次側放出口64に放出され、2次側放出口64を通って水素供給ユニット24の外部へ排出される。これにより、導出通路72の内圧が下がる。
【0049】
また、インジェクタ52は、水素ガスの流量及び圧力を調節する。インジェクタ52は、本体52aと、入口パイプ52bと、ノズルパイプ52cとを備えている。本体52aは、円筒形に形成されている。入口パイプ52bは、本体52aの一端から突出し、本体52aよりも小径な円筒形に形成されている。ノズルパイプ52cは、本体52aの他端から突出し、本体52aより小径な円筒形に形成されている。そして、水素ガスは、入口パイプ52bから入って、ノズルパイプ52cから吐出される。
図2に示す例において、水素供給ユニット24は、インジェクタ52を3つ有している。なお、インジェクタ52の数は、特に限定されず、1つであっても2つであっても4つ以上であってもよい。
【0050】
このような構成の水素供給ユニット24は、導入通路56に導入された水素ガスをインジェクタ52により導出通路72へ噴射することで、水素ガスを減圧する。
【0051】
以上のように、本実施例においては、1次側リリーフバルブ48と2次側リリーフバルブ50は、導入ブロック44と導出ブロック46との間で挟持されるように配置されている。このようにして、1次側リリーフバルブ48の弁体82とスプリング84や、2次側リリーフバルブ50の弁体86とスプリング88が、導入ブロック44と導出ブロック46に保持されている。
【0052】
これにより、1次側リリーフバルブ48や2次側リリーフバルブ50を導入ブロック44や導出ブロック46に固定するための留め具(締結部品)を廃止することができるので、水素供給ユニット24の構成部品の点数を低減できる。また、1次側リリーフバルブ48や2次側リリーフバルブ50を導入ブロック44と導出ブロック46から張り出させることなく導入ブロック44と導出ブロック46に組み付けることができるので、水素供給ユニット24の小型化を図ることができる。
【0053】
さらに、インジェクタ52は、導入ブロック44と導出ブロック46との間で挟持されるように配置されている。これにより、インジェクタ52を導入ブロック44や導出ブロック46に固定するための留め具を廃止することができるので、水素供給ユニット24の構成部品の点数をさらに低減できる。また、インジェクタ52を導入ブロック44と導出ブロック46から張り出させることなく導入ブロック44と導出ブロック46に組み付けることができるので、水素供給ユニット24のさらなる小型化を図ることができる。
【0054】
また、導入ブロック44は、導入通路56に接続する第1凹部58と導出通路72に接続する第2凹部62を備えている。そして、1次側リリーフバルブ48は、スプリング84が弁体82を導入通路56側に向かって付勢している状態で、第1凹部58の内部に配置されている。さらに、2次側リリーフバルブ50は、スプリング88が弁体86を導出通路72側に向かって付勢している状態で、第2凹部62の内部に配置されている。このようにして、1次側リリーフバルブ48と2次側リリーフバルブ50を導入ブロック44の内部に配置させることができるので、より効果的に、水素供給ユニット24の小型化を図ることができる。また、導入通路56用の1次側リリーフバルブ48と導出通路72用の2次側リリーフバルブ50の2つのリリーフバルブを、1つのユニット内にコンパクトに収めることができる。
【0055】
次に、第2実施例〜第7実施例について説明するが、第1実施例や他の実施例と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。
【0056】
<第2実施例>
本実施例において、水素供給ユニット24は、
図3に示すように、1次側リリーフバルブ48と2次側リリーフバルブ50とが一体的に形成される一体型リリーフバルブ90を有する。一体型リリーフバルブ90は、導入ブロック44と導出ブロック46との間で挟持されるように配置されている。具体的には、一体型リリーフバルブ90は、弁体82とスプリング84と弁体92などを備えている。そして、1次側リリーフバルブ48は弁体82とプリング84により形成され、2次側リリーフバルブ50はスプリング84と弁体92により形成されている。本実施例において、弁体82は、連通孔82d(
図2参照)を備えておらず、簡素な構造に形成されている。弁体92は、円筒状に形成されており、大径部92aと小径部92bを備えている。大径部92aは、小径部92bよりも直径が大きく、導出通路72側に配置されている。そして、小径部92bは、スプリング84の内側に配置されている。
【0057】
そして、一体型リリーフバルブ90は、スプリング84が弁体82を導入通路56側に向かって付勢し、かつ、スプリング84が弁体92を導出通路72側に向かって付勢している状態で、第1凹部58の内部に配置されている。このようにして、一体型リリーフバルブ90は、1次側リリーフバルブ48と2次側リリーフバルブ50においてスプリング84を共有する構造となっている。
【0058】
また、弁体92のシール径d2は、弁体82のシール径d1よりも大きい。これにより、一体型リリーフバルブ90において、弁体92の受圧面積が弁体82の受圧面積よりも大きくなるので、2次側の作動圧(第2所定圧)が1次側の作動圧(第1所定圧)よりも小さくなる。ここで、シール径d1は、弁体82の小径部82aにおける弁座部58aとの当接部分の外径である。また、シール径d2は、弁体92の大径部92aにおける弁座部46bとの当接部分の外径である。このように、1シール径d1とシール径d2により、一体型リリーフバルブ90の1次側の作動圧と2次側の作動圧を調整できる。
【0059】
また、2次側取込口76は、第1凹部58と導出通路72とに接続する通路である。これにより、第1凹部58は、一体型リリーフバルブ90の2次側の開弁時に、2次側取込口76を介して、導出通路72に連通する。なお、第1凹部58は、一体型リリーフバルブ90の1次側の開弁時に、1次側取込口60を介して、導入通路56に連通する。
【0060】
また、導入ブロック44は、1次側放出口94(ガス放出部)と2次側放出口96(ガス放出部)を備えている。1次側放出口94は、第1凹部58と水素供給ユニット24の外部とに連通する通路である。2次側放出口96は、第1凹部58と水素供給ユニット24の外部とに連通する切欠き部である。
【0061】
このような構成の一体型リリーフバルブ90は、導入通路56の内圧が第1所定値以上となった場合に、弁体82の小径部82aが第1凹部58の弁座部58aから離れることにより、開弁する。そして、このように一体型リリーフバルブ90の1次側が開弁すると、導入通路56の内部の水素ガスは、1次側取込口60と第1凹部58と1次側放出口94を通って、凹部66から水素供給ユニット24の外部へ排出される。これにより、導入通路56の内圧が下がる。
【0062】
また、一体型リリーフバルブ90は、導出通路72の内圧が第2所定値以上となった場合に、弁体92の大径部92aが導出ブロック46の弁座部46bから離れることにより、開弁する。そして、このように一体型リリーフバルブ90の2次側が開弁すると、導出通路72の内部の水素ガスは、2次側取込口76と第1凹部58と2次側放出口96を通って、凹部66から水素供給ユニット24の外部へ排出される。これにより、導出通路72の内圧が下がる。
【0063】
以上のように、本実施例においては、1次側リリーフバルブ48と2次側リリーフバルブ50とが一体的に形成されている。これにより、1次側リリーフバルブ48と2次側リリーフバルブ50において、スプリング84を共有することができる。そのため、水素供給ユニット24の構成部品の点数をさらに低減でき、かつ、さらなる水素供給ユニット24の小型化を図ることができる。
【0064】
また、2次側リリーフバルブ50から水素ガスが放出される2次側放出口96は、導入ブロック44に設けられた切欠き部により形成されている。これにより、導入ブロック44において2次側放出口64(
図2参照)を加工する必要がなくなる。そのため、導入ブロック44において流路を加工する工数を減らすことができるので、水素供給ユニット24の製造時の作業負担が低減される。
【0065】
<第3実施例>
本実施例において、
図4に示すように、導入ブロック44は、1次側放出口98(ガス放出部)を備えている。1次側放出口98は、第1凹部58と水素供給ユニット24の外部とに連通する切欠き部である。このように、本実施例の水素供給ユニット24は、前記の1次側放出口74(
図2参照)の代わりに、1次側放出口98を備えている。
【0066】
そして、本実施例では、1次側リリーフバルブ48の開弁時に、水素ガスは、1次側放出口98を通って、凹部66から水素供給ユニット24の外部へ排出される。
【0067】
以上のように、本実施例においては、1次側リリーフバルブ48から水素ガスが放出される1次側放出口98は、導入ブロック44に設けられた切欠き部により形成されている。これにより、導出ブロック46において1次側放出口74(
図2参照)を加工する必要がなくなる。そのため、導出ブロック46において流路を加工する工数を減らすことができるので、水素供給ユニット24の製造時の作業負担が低減される。
【0068】
<第4実施例>
本実施例において、
図5に示すように、導出ブロック46は、面46aにおけるスプリング84を保持する部分(座面)にて、ざぐり100を備えている。
【0069】
以上のように、本実施例においては、導出ブロック46は、スプリング84を保持する部分にてざぐり100を備える。これにより、スプリング84は、ざぐり100の内部に嵌め込まれた状態で保持される。そのため、スプリング84がズレ難くなるので、1次側リリーフバルブ48の動作が安定する。なお、導入ブロック44においても、ざぐり100と同様に、第2凹部62の底面におけるスプリング88を保持する部分(
図2参照)にて、ざぐり(不図示)を備えていてもよい。
【0070】
<第5実施例>
本実施例において、
図6に示すように、導入ブロック44は、2次側放出口102(ガス放出部)を備えている。2次側放出口102は、第2凹部62と水素供給ユニット24の外部とに連通する切欠き部である。このように、本実施例の水素供給ユニット24は、前記の2次側放出口64(
図2参照)の代わりに、2次側放出口102を備えている。
【0071】
また、本実施例において、弁体86は、連通孔86d(
図2参照)を備えておらず、簡素な構造に形成され、かつ、小型化されている。
【0072】
そして、本実施例では、2次側リリーフバルブ50の開弁時に、水素ガスは、2次側放出口102を通って、凹部66から水素供給ユニット24の外部へ排出される。
【0073】
以上のように、本実施例においては、2次側リリーフバルブ50から水素ガスが放出される2次側放出口102は、導入ブロック44に設けられた切欠き部により形成されている。これにより、導入ブロック44において2次側放出口64(
図2参照)を加工する必要がなくなる。そのため、導入ブロック44において流路を加工する工数を減らすことができるので、水素供給ユニット24の製造時の作業負担が低減される。また、2次側リリーフバルブ50が簡素化され、かつ、小型化される。
【0074】
<第6実施例>
本実施例において、
図7に示すように、導出ブロック46は、1次側放出口104(第1ガス放出部)を備えている。1次側放出口104は、第1凹部58と導出通路72とに連通する通路である。このように、本実施例の水素供給ユニット24は、前記の1次側放出口74(
図2参照)の代わりに、1次側放出口104を備えている。なお、2次側リリーフバルブ50は、
図7に示す例では示されていないが、
図2に示すように導入ブロック44と導出ブロック46との間で挟持されるように配置されていてもよい。
【0075】
以上のように、本実施例においては、1次側リリーフバルブ48から水素ガスが放出される1次側放出口104は、導出通路72に連通している。これにより、水素ガスは、1次側リリーフバルブ48から、水素供給ユニット24の外部に放出されるのではなく、導出通路72に放出される。そのため、水素供給ユニット24の外部に放出する水素ガスの量を低減できるので、無駄に放出してしまう水素ガスの量を低減でき、安全性も向上できる。
【0076】
<第7実施例>
本実施例において、
図8に示すように、導入ブロック44と導出ブロック46は、略L字型に形成されている。そして、導入ブロック44は2次側取込口76を介して導出通路72に接続する第2凹部62を備え、導出ブロック46は1次側取込口60を介して導入通路56に接続する第1凹部58を備えている。また、導入ブロック44は、2次側放出口102を備えている。また、導出ブロック46は、1次側放出口106(ガス放出部)を備えている。1次側放出口106は、第1凹部58と水素供給ユニット24の外部とに連通する切欠き部である。
【0077】
また、弁体82は、連通孔82d(
図2参照)を備えておらず、簡素な構造に形成され、かつ、小型化されている。また、弁体86は、連通孔86d(
図2参照)を備えておらず、簡素な構造に形成され、かつ、小型化されている。また、導入ブロック44の面44aにおいて、1次側取込口60の開口部分の周囲に、1次側リリーフバルブ48の閉弁時に弁体82が当接する弁座部44bを備えている。
【0078】
このように本実施例によれば、導入ブロック44において2次側放出口64(
図2参照)を加工する必要がなくなり、かつ、導出ブロック46において1次側放出口74(
図2参照)を加工する必要がなくなるので、水素供給ユニット24の製造時の作業負担が低減される。また、1次側リリーフバルブ48と2次側リリーフバルブ50が簡素化され、かつ、小型化される。
【0079】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、第2凹部62は、導出ブロック46に備わっていてもよい。