(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
[0002]微小電気機械システム(MEMS)は、一般的には薄いシリコンウェハに部品を刻み込むことにより形成される。MEMSデバイスは肉眼で見える機械に比べて非常に小さいが、多くのMEMSデバイスはそれら肉眼で見えるもののように動く部分を必要とし、MEMSデバイスのいくつかの部品は動くことができるようにフリースペースにより囲まれることが要求される。MEMS部品が動くことができるようにするフリースペースは、MEMSデバイスの部品を囲むシリコン層にトレンチをエッチングすることにより形成され得る。さらに、いくつかのMEMSデバイスがシリコンウェハからエッチングされた後、ポリシリコン材料のキャップ層がMEMSの上部に配置されて、デバイスを封止する。このキャップ層は、内部の運動部分を内部のキャビティに封止し、同様にMEMSデバイスと電気的な接続経路を定め得る。
【0004】
[0003]現在、ポリシリコン堆積層が密閉した外殻を形成するためにデバイスの周囲を封止するのに用いられるとき、深さに対して大きい幅のアスペクト比を有する厚みが数ミクロンよりも大きいMEMS構造は、数ミクロン以下のオーダーでの変位に制限される。この制限が存在するのは、酸化物、しばしばSiO
2の層がスペーサとして使用されてポリシリコンキャップをMEMSの下層部品から分離するからである。酸化物層は、ポリシリコンキャップが堆積され得る平坦な表面を形成するために、シリコン又はデバイス層に形成されたトレンチに広がる必要がある。トレンチの幅が大きくなるにつれて、堆積されなければならない酸化物の総量が、所望の平坦性を供給するために同様に増加しなくてはならない。より厚い酸化物層は装置の体積を増加させる。さらに、酸化物層の厚さが増加するにつれて、酸化物層により下層のウェハに加わる応力が増加する。したがって、特定の酸化物層が厚すぎると、下層のウェハが変形により割れる可能性がある。
【0005】
[0004]前述の制限のため、典型的な従来技術のMEMS密閉封止プロセスは、約0.2μm以上1.5μm以下に至るサイズの内部トレンチを可能にする。多くのMEMS構造は作動するために運動可能でなければならないので、小さい内部トレンチのサイズは現在のトレンチ形成技術を用いて得られる運動範囲を制限する。例えば、従来のトレンチ形成技術は、存在するトレンチの0.52μm以上0.58μm以下の範囲内だけを動く必要がある容量性の共振器及び発振器のようなMEMSデバイスの形成を可能とする。加速度計やジャイロスコープのような異なる種類のMEMSは、より大きい運動距離を必要とし、同様の一般的なシリコン技術では製造することができない。典型的なMEMSの振動ジャイロスコープは、数1で表される駆動モード速度の関数として角速度検知モードでのコリオリの反応変位を機械的に増幅するために、5μm以上10μm以下のオーダーの運動範囲を要する。
【0006】
【数1】
【0007】
[0005]この増加した移動範囲の要求は、所望の移動量を提供するために、およそ5μm以上10μm以下の移動範囲を可能にするトレンチ幅の増加を必要とする。従来技術を使用すると、これらのより幅の広いトレンチは、厚さおよそ10μm以上20μm以下の上部酸化物層を要し、大量の酸化物を要する。その上、厚い層は、下部のシリコンウェハを砕き得る応力を発生させる。したがって、従来技術のトレンチ形成方法は、上述した方法で製造される加速度計やジャイロスコープのような多くの便利なMEMS部品を可能にしない。
【0008】
[0006]等角の堆積膜で封止されたMEMSデバイスにおける広域のトレンチを形成する方法が必要とされている。大きな変位のMEMSデバイスの製造に使用されるシリコンウェハにおいて膜応力を避ける方法がさらに必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0027]
図1は、幅広のトレンチを使用してシリコンウェハに形成された共振器100の部分断面図である。図示の層102は、典型的にはポリシリコンからなるキャップ層104を含む。キャップ層104は酸化物層116の上方に位置し、酸化物層116は典型的にはSiO
2のような酸化物からなる。
図1のキャップ層104は、MEMS共振器の回りに密閉シールを形成する。酸化物層116は、固定シリコン部品112の上方に形成される。固定シリコン部品112は、共振器MEMSの動かない部品であり、この部品はその下面の下方に位置する酸化物層120を同様に有する。下部酸化層120は、シリコン基板124から固定シリコン部品112を絶縁する。
【0013】
[0028]共振器アーム108は、固定シリコン部品112と同じ層に形成され、固定シリコン部品112と同じシリコン材料から形成される。固定シリコン部品112とは異なり、共振器アーム108はその上面又は下面のいずれにも酸化物層を有していない。これにより、共振器アーム108は矢印132に示されるように共振することができる。
【0014】
[0029]共振器アーム108は、共振器アーム108の両側面に形成されたトレンチ128の幅により制限される移動範囲を有する。
図1の共振器においては、これらのトレンチ128は、共振器アーム108の所望の移動範囲に応じて、5μm以上10μm以下の幅を有して形成される。
【0015】
[0030]
図1は、同様に、キャップ層104の上面に設けられる選択的な絶縁層136及び電極140を示す。絶縁層136は、電気配線(図示せず)をポリシリコンキャップ104から分離し、電極140は、電力をMEMSに伝達し、又はMEMSにより発生された電気信号を受信するために用いられる。
【0016】
[0031]
図2は、
図1に示される幅広のトレンチ128を形成するために用いられ得る方法200を示す。酸化物絶縁層(埋め込み酸化物層)及び埋め込み酸化物層の上方に配置されるシリコンワーキング又はデバイス層を支持するシリコン基板(ハンドル層)(SOIウェハ)が準備される(ブロック204)。フォトリソグラフのマスクが、続いてデバイス層の上面に適用され(ブロック208)、MEMSデバイスの輪郭が、マスクに描かれたパターンに従ってトレンチをエッチングすることによりデバイス層に形成される(ブロック212)。トレンチは、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)プロセスを使用してエッチングされ得る。
【0017】
[0032]一連のストリップを有する第2マスクが、続いて、デバイス層上に形成される(ブロック216)。狭いストリップパターンが、最終製品が動作することができるようにするために後に取り除かれる酸化物領域をMEMSに形成するために使用される。一実施形態のストリップパターンは、0.4μmの隙間で分離され、物体をマスクする0.8μmの同一のストリップで各領域を覆う。マスクが適用されると、エッチングによりデバイス層にトレンチが形成され、各トレンチは埋め込まれた酸化物層を露出するためにデバイス層を通じて全体的に延在する(ブロック220)。
図2の実施形態では、エッチングプロセスは、マスクの隙間の直下のシリコンと、各隙間の両側のシリコンの一部との両方を除去する。したがって、エッチングプロセスは、幅が約0.55μm以上0.6μm以下のシリコンのスラブにより分離されるおよそ幅0.55μm以上0.6μm以下の狭いトレンチを形成する。これらのシリコンスラブは、ここでは犠牲シリコンスラブともいわれる。その理由は、これらのスラブは、最終MEMSデバイスにおいて幅広のトレンチを形成するために取り除かれる(犠牲になる)からである。この実施形態で狭いトレンチをエッチングするために用いられるプロセスは、「“Deep Reactive Ion Etched Submicron Beam/Trench Characterization,” ASME International Mechanical Eng. Congress and Expo, Vol3, pp.97−101, New York City,New York, 2001」においてG.O´Brienらにより記載された、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)であり得る。幅に対して深さの大きいアスペクト比を有するトレンチをエッチングする他の方法が、同様に
図2のプロセスでの使用に効果的であろう。
【0018】
[0033]引き続き
図2を参照すると、トレンチ埋め込みプロセスは、狭いトレンチに酸化物、典型的にはSiO
2を堆積させ、完全にこれらのトレンチを補充する(ブロック224)。トレンチ埋め込みプロセスは、犠牲シリコンスラブの上面に堆積されている酸化物物質の一部を同様にもたらす。犠牲シリコンスラブの上面を露出させるために、UVフォトレジストマスクがボイド領域に適用され(ブロック228)、そのボイド領域がエッチャントに露出されて、犠牲シリコンスラブを覆うSiO
2を除去する。SiO
2のエッチャントは、ドライプラズマベースのエッチャントであり得る。
【0019】
[0034]露出された犠牲シリコンスラブは、6フッ化硫黄(SF
6)のようなシリコン化学エッチャントに露出されることにより犠牲になる(ブロック236)。このエッチャントは、シリコンスラブを蒸発させつつ、無傷の狭いトレンチを埋めたSiO
2指状物を除去する。シリコンエッチングプロセスは、犠牲シリコンスラブが完全に除去されるまで継続し、空のキャビティをシリコンスラブが最初に塞いでいたスペースに対応するおよそ0.6μm幅にする。キャビティは実質的に、SiO
2を埋め込む第2トレンチ補充プロセスにより埋め込まれ、一連の第2のインターロッキングSiO
2指状物を形成する(ブロック240)。
【0020】
[0035]厚くされたSiO
2指状物の上面の平坦化プロセスは、ボイド領域の上面に酸化物、典型的にはSiO
2の平坦な層を堆積させ、ポリシリコンキャップ層を受けるための平坦面を形成する(ブロック244)。平坦化された酸化物層は、短時間の低圧化学気相成長プロセス(LPCVD)を通じて、又はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の薄いシートを上面に適用し、TEOSシートを公知の方法を使用してSiO
2に変換させることにより、追加され得る。
図2のプロセスにおいては、平坦化された酸化物層は好ましくは1.2μmの厚さである。
【0021】
[0036]ポリシリコンキャップが、平坦化された酸化物層の上面に適用される(ブロック248)。ポリシリコン層は、気相成長技術を含む所望のプロセスを使用して平坦化された酸化物層に形成され得る。一実施形態のポリシリコンキャップは、キャップを通る一連のベントホールをエッチング可能にするために、初めはエピタキシャル成長により中間の厚さまで成長する(ブロック252)。これらのベントホールは、犠牲になる酸化物の部分の上方に選択的に位置決めされる。
図2のプロセスのために、これは、全体のボイド領域を含み、全体のボイド領域は、一部のボイド領域を封止する可能性があるSiO
2物質のみを含む。蒸気の状態のフッ化水素(HF)のような化学エッチャントがベントを通過し、ベントの下に位置するSiO
2をエッチングするときに、犠牲プロセスが発生する(ブロック256)。エッチングプロセスは、
図1に示される幅広トレンチ128を形成する。したがって、SiO
2指状物及びSiO
2上面は、最終的な幅広トレンチが形成されるスペースを埋める犠牲層を形成する。
【0022】
[0037]その表面にエッチングされたベントホールを備えるポリシリコンキャップは、ポリシリコンキャップ層が成長することにより厚くなる(ブロック260)。キャップを厚くする一つの方法は、化学気相成長プロセスである。ポリシリコンキャップを厚くすることに加えて、その厚くするプロセスはベントホールを封止し、MEMSデバイスはポリシリコンキャップにより密に封止される。
【0023】
[0038]
図3ないし
図14は、
図2のプロセスを使用したデバイス形成を示す。
図3は、シリコンウェハ300の部分断面図を示す。ウェハ300は、埋め込み酸化物層308の下部にシリコンの基板又はハンドル層304を含む。埋め込み酸化物層308は、典型的にはSiO
2である。シリコンデバイス層312は、埋め込み酸化物層308の上面の上に形成される。酸化物絶縁体上のシリコン実用層312の配置は、シリコンオンインシュレータ(SOI)構造を形成する。
【0024】
[0039]次に、フォトリソグラフのマスク306が、
図4に示されるようにデバイス層312の上面の上に形成される。マスク306は複数の隙間310を有し、夫々およそ0.4μmの幅であり、およそ0.8μm幅のマスクレジストストリップ311により互いに分離される。隙間310及びレジストストリップ311は、犠牲になるデバイス層312の領域318上に選択的に配置される。
【0025】
[0040]狭いトレンチ324がデバイス層312にエッチングされ、それにより、
図5に示されるトレンチ324間に残る犠牲シリコンスラブ320を画定する。
図2を参照して説明したように、一実施形態では、間に犠牲シリコンスラブを画定する2つの隣接するトレンチを備えた狭いトレンチを形成するためにDRIEエッチングプロセスが使用される。
【0026】
[0041]
図5の狭いトレンチ324は、デバイス層312全体を通じて延在し、埋め込み酸化物層308の部分を露出させる。エッチングプロセスは、交互の狭いトレンチ324と犠牲シリコンスラブ320をおよそ0.6μmの等しい幅で設ける。
【0027】
[0042]
図6を参照すると、酸化物物質328が狭いトレンチ324を埋めるために使用される。酸化物物質328、典型的にはSiO
2は、デバイス層312の上面から埋め込み酸化物層308に延在する。堆積された酸化物の部分332は、デバイス層312の上面の上に延び、犠牲シリコンスラブ320の上面を覆う。
【0028】
[0043]UVフォトレジストマスク(図示せず)がその後、ウェハ300に適用され、エッチングプロセスが犠牲シリコンスラブ320を覆う酸化物層の部分332を除去するために用いられる。したがって、各犠牲シリコンスラブ320の上面が
図7に示されるように露出される。
【0029】
[0044]次に、化学エッチング、典型的には6フッ化硫黄(SF
6)をエッチャントとして使用することにより、犠牲シリコンスラブ320がシリコンウェハ300から除去され、
図8の構成をもたらす。
図8では、キャビティ336が酸化物物質328の指状構造物を分離する。キャビティ336は、犠牲シリコンスラブ320により最初に確保されたものと同じスペースを占める。
【0030】
[0045]第2トレンチ補充プロセスは、
図9に示されるように、キャビティ336を酸化物、典型的にはSiO
2で満たす。キャビティ336を満たす酸化物指状物344は、存在する酸化物指状物328と連結する。補充プロセスの間堆積した酸化物は非平坦な上面342を有する。
【0031】
[0046]平坦化された酸化物層348が続いて、
図10に示されるように、デバイス層312の上面の上及び上面342上に形成される。平坦化された酸化物層348は、短時間の低圧化学気相成長プロセス(LPCVD)を通じて、又はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の薄いシートを上面に適用し、TEOSシートを公知の方法を使用してSiO
2に変換させることにより、追加され得る。
図10の実施形態においては、平坦化された酸化物層348は、およそ1.2μmの厚みを有する。
【0032】
[0047]ポリシリコンキャップ層352がその後、
図11に示されるように、平坦化された酸化物層348の上面に形成される。平坦化された酸化物層348は、化学気相成長により又は酸化物表面にポリシリコン層を堆積させるための他の公知の方法によりポリシリコンキャップ352を成長させるための、滑らかな表面を提供する。
【0033】
[0048]複数のベントホール356がその後、
図12に示されるようにポリシリコンキャップ層352を貫通してエッチングされる。ベントホール356は、
図4の領域318及び最終のMEMS構造物を形成するために酸化物が犠牲になる他の領域を満たす酸化物構造物の上方に選択的にエッチングされる。
【0034】
[0049]エッチャントがその後、ベントホール356を通って導入され、露出された酸化物物質のエッチングをもたらす。ベントホール356の位置は、領域318内の酸化物物質、特にベントホール356の直下の酸化物層348の部分、酸化物指状物328、酸化物指状物344、及びベントホール356の直下の埋め込み酸化物層308の部分の優先的なエッチングをもたらす。エッチングが終わると、幅広のトレンチ366が
図13に示されるように共振器アーム368の周囲に形成される。
【0035】
[0050]より厚いキャップ層360が
図14に示されるようにポリシリコンキャップ352の上方に形成される。このポリシリコンキャップ層360は、MEMS共振器301を密に封止する。ポリシリコンキャップ360は化学気相成長技術を用いて成長し、その厚くするプロセスは同様にベントホール356の閉鎖をもたらす。
図14は共振器MEMSを示しているが、これは幅広のトレンチを使用して形成され得る封止されたMEMSの一タイプの単なる例示である。ジャイロスコープ及び加速度計を含むがこれに限られない、多くの他のタイプの構造及びMEMSが、
図14に示される幅広トレンチを用いて形成され得る。
【0036】
[0051]
図15は、シリコン層に幅広のトレンチを形成する代替的な方法500を示す。このプロセスは、
図2のプロセスと共通の特定のステップを共有する。
図2に示されるように、SOI構造を有するシリコンウェハが準備され(ブロック504)、フォトリソグラフのマスクが適用される(ブロック508)。MEMS構造を画定するトレンチが、マスクに描かれたパターンに従ってシリコンウェハにエッチングされる(ブロック512)。同様に
図2に示されるように、ウェハの目標領域に一連の狭いトレンチを形成するためのパターンを有する第2マスクが適用される(ブロック516)。
図15の実施形態では、狭いトレンチはその後DRIEプロセスを使用してエッチングされる(ブロック520)。DRIEプロセスに加えて、幅に対して深さの大きいアスペクト比を有するトレンチをシリコン層にエッチングする他の方法が、
図2のプロセスにおける使用に同様に効果的であろう。
【0037】
[0052]
図15のプロセス500により形成されるエッチングされたトレンチは、
図2のトレンチとサイズ及び構造において同一であり得る。したがって、一実施形態の狭い各トレンチの幅は、およそ0.6μmであり、狭いトレンチの各々は、埋め込み酸化物層を露出させるためにデバイス層を完全に貫通して延在する。さらに、約0.6μm幅の犠牲シリコンスラブは、
図2のプロセスでのように、狭いトレンチの間に形成される。
図15のプロセスは、犠牲シリコンスラブをSiO
2スラブに酸化させるために、好ましくは1000℃の温度で、熱酸化プロセスを使用する点が異なる(ブロック524)。
【0038】
[0053]例として、犠牲シリコンスラブ320を取り囲む酸化物380の薄い被膜を備えたシリコンウェハが
図16に示される。酸化物380、典型的にはSiO
2は、
図15の熱酸化プロセスの間、犠牲シリコンスラブ320の露出された表面に成長し始める。酸化物被膜380は、狭いトレンチ324に面する側及び各スラブ320の上面を含む犠牲シリコンスラブ320の露出された表面を覆う。この酸化物被膜は成長し続け、各犠牲スラブ320のシリコン物質をSiO
2に酸化させる。
【0039】
[0054]熱エピタキシャル酸化プロセスは初期の犠牲シリコンスラブの全てがSiO
2に酸化されるまで継続される(ブロック528)。犠牲スラブのシリコンが全て酸化されると、酸化可能な残りのシリコンがないのでエピタキシャル成長プロセスは自ら終了する。スラブのSiがSiO
2に変換されるにつれて、スラブのサイズが成長する。
図17は、犠牲シリコンスラブ320が犠牲酸化物スラブ384を形成するために酸化された
図16のシリコンウェハの部分断面図を示す。酸化プロセスは、同様に狭いトレンチを圧縮し、以下で説明される実施形態に示されるようにトレンチの幅を約0.2μmにする。
【0040】
[0055]一般に、SiからSiO
2への変換は、0.54の倍数での成長をもたらす。したがって、プロセスが完璧に実行された場合、0.53μmの隙間は、その隙間を完全に埋めるために0.981μmの犠牲スラブを要する。しかしながら、製造変数を構成するため、及び犠牲スラブの全てを消費することを保証することは重要であるので、全変換の後のスラブ間の隙間を残すことが望ましい。したがって、隣接するスラブ間の0.53μmの初期隙間を仮定すれば、0.55μmのスラブは、SiからSiO
2への全変換後の0.233μmの隙間をもたらす(スラブは成長して2つの隣接した隙間になるが、各隙間は2つの隣接するスラブを有することを念頭に置く)。0.233μmの隙間は酸化物層により容易に覆われる。
【0041】
[0056]
図15のプロセスは、
図2に示される方法と同様の方法を使用してSiO
2スラブの上面の平坦化を続ける(ブロック532)。0.233μmの隙間を仮定すると、本実施形態の平坦化された酸化物層の厚さは約0.6μmである。犠牲酸化物スラブ384及びシリコン実用層312の上面を覆う平坦化された酸化物層392が
図18に示される。
図18の平坦化された酸化物層392は、
図10の平坦化された酸化物層348と類似の構造を有しているが、平坦化された酸化物層392は好ましくは0.6μmの厚みを有する。
図18の構造は、
図11−
図14の構造が
図18のシリコンウェハを使用して形成され得る程度に、
図10の構造に十分に類似している。
【0042】
[0057]
図15の残りのプロセスステップは、
図2のステップと同一である。ポリシリコンキャップ層は、平坦化された酸化物層の上方に成長する(ブロック536)。ベントホールが、犠牲になる酸化物層の部分の上のキャップにエッチングされる(ブロック540)。蒸気の状態のフッ化水素(HF)のようなSiO
2エッチャントが、ベントホールを通過し、犠牲酸化物部を除去する(ブロック544)。最後に、ポリシリコンキャップが最終的な厚みに成長し、ベントホールを満たす(ブロック548)。
【0043】
[0058]後にエッチングされて幅広のトレンチを提供する酸化物領域を提供するために上述した実施形態では犠牲スラブを用いたのに対して、上記のプロセスで形成される幅広の酸化物の領域が、酸化物の領域をエッチングすることなく使用され得る。例えば、SiO
2スラブが、基板に形成され、MEMSデバイスが形成され得る土台として使用され得る。SiO
2の土台は、電気的な絶縁、寄生容量の低減、及び/又は熱的な分離を提供する。
【0044】
[0059]さらに、結合パッドは、特にSOI−MEMS及び悪化ドープバルクシリコンMEMSのようなドープ量の多い(低抵抗の)基板に組み込まれたときに、好ましくない大きな寄生容量を表す。その結果として、厚い酸化物土台が結合寄生容量を著しく減少させる。
【0045】
[0060]シリコン貫通電極(TSVs)は、典型的には、シリコンウェハの全部ではないが多くを貫通エッチングするためにDRIEを使用して形成される。TSVsは、ウェハの片側からウェハの反対側に低電気抵抗のビアを提供するために、典型的には多くドープされる。低電気抵抗及び小さな絶縁隙間の結果、10ピコファラド程度の寄生容量も珍しくない。寄生容量は、典型的なMEMS加速度計や圧力計の200−800フェムトファラド程度のセンサ静電容量を小さくするので、この特性は、一般的にTSVsのASICインターフェースに対する容量性のMEMSセンサとしての使用を不可能にする。上記のプロセスで記載したように厚いSiO
2ブロックを用いることで好ましくない寄生容量を著しく低減することができる。
【0046】
[0061]本発明が図面及び上記の記載に詳細に説明され示されているが、本発明は例示的なものであり、その性質に制限されるものではないと考えるべきである。好ましい実施形態のみが提示されており、本発明の思想の範囲内の全ての変更、修正及びさらなる追加が保護されるべきである。
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
[形態1] 封止された幅広のトレンチを形成する方法であって、
シリコンオンオキサイドインシュレータ(SOI)ウェハを準備するステップと、
前記SOIウェハのシリコン層に第1トレンチをエッチングすることにより、第1犠牲シリコンスラブの第1側を画定するステップと、
前記シリコン層に第2トレンチをエッチングすることにより、前記第1犠牲シリコンスラブの第2側を画定するステップと、
前記第1トレンチに第1犠牲酸化物部を形成するステップと、
前記第2トレンチに第2犠牲酸化物部を形成するステップと、
前記第1犠牲酸化物部及び前記第2犠牲酸化物部の上方にポリシリコン層を形成するステップと、
前記第1犠牲酸化物部及び前記第2犠牲酸化物部をエッチングするステップと、を有する方法。
[形態2] 形態1に記載された方法であって、第1犠牲酸化物部を形成するステップは、
少なくとも前記第1犠牲スラブの部分を酸化するステップを有する方法。
[形態3] 形態2に記載された方法であって、
前記第1犠牲酸化物部の上面に酸化物層を形成するステップを有する方法。
[形態4] 形態1に記載された方法であって、
前記第1犠牲酸化物部の対向する側面及び前記第2犠牲酸化物部の対向する側面を露出するために、前記第1犠牲スラブをエッチングするステップと、
前記第1犠牲酸化物部の前記露出された対向する側面間及び前記第2犠牲酸化物部の前記露出された対向する側面間に第3犠牲酸化物部を形成するステップと、
前記第3犠牲酸化物部をエッチングするステップと、を有する方法。
[形態5]
形態4に記載された方法であって、
前記第1犠牲スラブの上方にマスクを形成するステップと、
前記第1犠牲スラブをエッチャントに曝すステップと、を有する方法。
[形態6]
形態1に記載された方法であって、犠牲シリコンスラブの第1側を画定するステップは、
深掘り反応性イオンエッチングを用いて前記第1トレンチをエッチングするステップを有する、方法。
[形態7]
形態6に記載された方法であって、前記第1犠牲シリコンスラブの第2側を画定するステップは、
第2犠牲シリコンスラブの第1側を画定するステップを有する、方法。
[形態8]
シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハにトレンチを形成する方法であって、
デバイス層に第1トレンチをエッチングするステップと、
前記デバイス層に第2トレンチをエッチングし、それにより第1犠牲スラブを画定するステップと、
前記第1トレンチに第1犠牲酸化物部を形成するステップと、
前記第2トレンチに第2犠牲酸化物部を形成するステップと、
前記第1犠牲スラブを犠牲にするステップと、
前記第1犠牲酸化物部をエッチングするステップと、
前記第2犠牲酸化物部をエッチングするステップと、を有する方法。
[形態9]
形態8の方法であって、前記第1犠牲酸化物部をエッチングするステップの前に、
前記第1犠牲酸化物部の上方にポリシリコン層を形成するステップを有する、方法。
[形態10]
形態8に記載された方法であって、前記第1犠牲スラブを犠牲にするステップは、
前記第1犠牲酸化物部を形成するために前記第1犠牲スラブを酸化するステップを有する、方法。
[形態11]
形態10に記載された方法であって、
前記第1犠牲酸化物部の上面に酸化物層を形成するステップを有する、方法。
[形態12]
形態8に記載された方法であって、
第1隙間を形成するために前記第1犠牲スラブをエッチングするステップと、
前記第1隙間に第3犠牲酸化物を形成するステップと、
前記第3犠牲酸化物をエッチングするステップと、を有する方法
[形態13]
形態12に記載された方法であって、
前記第1犠牲スラブの上方にマスクを形成するステップと、
マスクが設けられた前記第1犠牲スラブをエッチャントに曝すステップと、を有する方法。
[形態14]
形態8に記載された方法であって、第1トレンチをエッチングするステップは、
深掘り反応性イオンエッチングを用いて第1トレンチをエッチングするステップを有する、方法。
[形態15]
形態8に記載された方法であって、
前記絶縁層に第3トレンチをエッチングし、それにより第2犠牲スラブを画定するステップと、
第2隙間を形成するために前記第2犠牲スラブを犠牲にするステップと、
前記第2隙間に第3犠牲酸化物部を形成するステップと、
前記第3犠牲酸化物部をエッチングするステップと、を有する方法。