特許第6282248号(P6282248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282248
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ベルトコンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   A63F5/04 512M
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-98486(P2015-98486)
(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公開番号】特開2016-209464(P2016-209464A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】大宅 高敏
【審査官】 生駒 勇人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−209463(JP,A)
【文献】 特開2008−000449(JP,A)
【文献】 実開昭58−075214(JP,U)
【文献】 特開平08−310632(JP,A)
【文献】 特開昭50−118476(JP,A)
【文献】 特開昭54−065981(JP,A)
【文献】 特開2013−094369(JP,A)
【文献】 実開昭54−165490(JP,U)
【文献】 実開昭58−117338(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
B65G 15/00−64
B65G 17/06
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り方向には弾性変形できるが幅方向に変形しにくい複数の短ベルトをその前後端同士で水平に折れ曲がり可能に連結具で連結して長尺の無端コンベヤベルトを構成し、同無端コンベヤベルトの往路のベルトを受けるために搬送方向に複数に継がれたベルト受面フレームと,同ベルト受面フレームの左右それぞれに取付けられてベルトの左右動を規制する垂直な側壁体と,前記継がれたベルト受面フレームの始端終端となる前後端の位置で枢支されるベルトリターン用ローラーとから構成されたコンベヤフレームを設け、同コンベヤフレームの前後端のローラー間に前記無端コンベヤベルトを張り渡し、前後端の少なくとも一方のローラーを外方向に付勢する緊張装置をコンベヤフレームの前後端に設け、更に前後端のローラーとも駆動装置で回動させ、無端コンベヤベルトを往路及び復路ともに滑りなく短ベルト連結の長尺の無端コンベヤベルトを送れるようにし、しかも短ベルトの前後端同士の連結がリベットを連結具とし、しかもリベットの上下の短ベルトを貫通したリベットの下方突出部にワッシャを嵌装した後かしめて連結した構造としたことを特徴とする、ベルトコンベヤ装置。
【請求項2】
前後端にある一方又は両方の緊張装置の構造が、前記ローラーを軸支する軸受フレームをコンベヤフレームに沿って進退可能に配置し、前記軸受フレームの前後に掛止片を設け、その前後の前記掛止片間位置に前記掛止片間の間隔より狭幅の調整部材を配置し、前記軸受フレームの前後位置に固定の張出片を前記軸受フレームの進退範囲より大きい間隔をおいて設け、その前後の前記張出片にネジ軸を回転自在に貫通するとともに前記調整部材に螺合し、前記ネジ軸を回転操作する回転操作部を設け、前記調整部材と前記軸受フレームの外側の前記掛止片の間に圧縮バネを介装した構造であり、駆動装置は軸受フレームに設けられて同軸受フレームに軸支されたローラーを回動できる構造とした、請求項1記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項3】
請求項2において記載された緊張装置の前記回転操作部を前記コンベヤフレームの前記張出片から突出した前記ネジ軸の軸端に設けた、請求項2記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項4】
前後端にある一方又は両方の緊張装置の構造が、前記ローラーを軸支する軸受フレームをコンベヤフレームに沿って進退可能に配置し、前記軸受フレームの外側の前後位置に固定の張出片を前記軸受フレームの進退範囲より大きい間隔をおいて設け、その前後の張出片と前記軸受フレームの前後に設けた縦フレームにネジ軸を回転自在に貫通し、前記軸受フレームの外側の前の縦フレームと内側となる固定の後の張出片との間に圧縮バネを介装し、駆動装置は軸受フレームに設けられて同軸受フレームに軸支されたローラーを回動できる構造とした、請求項1記載のベルトコンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル・コイン又は重量ある小物を直線的又は湾曲した搬送路でも搬送できるベルトコンベヤ装置であり、主として遊技店における複数の遊技機とメダル貸し機が連設された遊技島でメダルを搬送するために用いられるベルトコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技島においては、遊技機とメダル貸し機にメダルを供給するメダル供給ラインや、遊技機で使用されたメダルを回収するメダル回収ラインにベルトコンベヤ装置が用いられている。
ところで、ベルトコンベヤ装置の形状は直線状であり、遊技島の全体形状が湾曲している場合などでは、複数の短い直線的ベルトコンベヤ装置をその前後端同士で乗せ掛けて折れ線状に接続し、各装置間でメダルを乗り移らせながら搬送している(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法はベルトコンベヤ装置が多数必要で(例えば20台のスロットル台が設置された遊技島で約10本)故障の発生が多くなり、乗せ掛けた箇所でメダルが詰まりやすくなる問題もあった。
【0003】
また、多数のモジュールを連結したモジュラーベルトを用いることで、メダルを曲線状に連続的に搬送できるようにした技術も提案されている(例えば特許文献2,3参照)。しかし、モジュラーベルトの構造が複雑で高価であり、装置も大型化して設置場所の制約を受けやすいものであった。
【0004】
一方、ベルトコンベヤ装置のコンベヤフレームは、アルミニウム合金等の材料を直線状に押し出し成形した断面箱型の中空構造が一般的である(例えば特許文献3,4参照)。しかし、これらの技術では、曲線状の搬送ラインを実現するために長さの短い直線状のコンベヤフレームを折れ線状に複数連結しており、組み立てに手間を要していた。
【0005】
本出願人は、一本の長尺の無端コンベヤベルトを使用してメダルを搬送する装置を開発した。一本の長尺の無端コンベヤベルトをメダル搬送に使用すると、多数個のメダルの重さが無端コンベヤベルトに垂直に荷重され、無端コンベヤベルトの送りにはベルトにスプリングによって適度な張力を与える必要となる。しかし、長期間使用すると無端コンベヤベルトが徐々に伸びて、ベルトとリターン部のプーリーとが滑って無端コンベヤベルトの送りができなくなる。それを解決すべく、長期間使用してベルトが伸びても張力が更に付勢できる構造の特殊な構造のベルト緊張装置を駆動プーリー側に設ける発明を開発した。その特許出願の公開公報が特許文献4である。これによって、前記問題点は解消した。更に、このベルト伸びに対する対応力を改良したのが引用文献5である。
【0006】
しかしながら、湾曲した搬送路でも搬送できるように無端コンベヤベルトを短ベルトの多数本連結した長尺の無端コンベヤベルトを使用するとベルトとコンベヤの左右を拘束する側面板等との摩擦が増えて大きな抵抗が発生する。又、無端コンベヤベルトのリターンした復路側ベルト(下方側ベルト)が緩んで、このベルト部分に駆動力が伝わり難くなり、又駆動プーリー(駆動ローラー)部分でベルトの弛みが発生し、引用文献4,5の緊張装置では充分に対応できず、ベルトが駆動できなくなる場合が発生する。
【0007】
本出願人は、引用文献6の発明で長尺の一本の無端ベルトコンベヤの途中でベルトを緊張する装置を開発した。しかし、このベルト途中でのベルト緊張装置は従来の一本の長尺のコンベヤでは緊張効果は有効であるが、多数の短ベルトを連結して長尺にするベルト構造では使用できず、上記問題点を解消できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平7−3694号公報
【特許文献2】特開2005−160539号公報
【特許文献3】特開2006−26109号公報
【特許文献4】特開2012−161467号
【特許文献5】特開2013−94369号
【特許文献6】特開2013−94372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、短ベルトを多数連結して長尺の無端コンベヤベルトとしたベルトコンベヤ装置において、ベルトの緩みがなく滑ることなく駆動してメダル・コイン・重い小物のコンベヤ搬送を確実にできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 送り方向には弾性変形できるが幅方向に変形しにくい複数の短ベルトをその前後端同士で水平に折れ曲がり可能に連結具で連結して長尺の無端コンベヤベルトを構成し、同無端コンベヤベルトの往路のベルトを受けるために搬送方向に複数に継がれたベルト受面フレームと,同ベルト受面フレームの左右それぞれに取付けられてベルトの左右動を規制する垂直な側壁体と,前記継がれたベルト受面フレームの始端終端となる前後端の位置で枢支されるベルトリターン用ローラーとから構成されたコンベヤフレームを設け、同コンベヤフレームの前後端のローラー間に前記無端コンベヤベルトを張り渡し、前後端の少なくとも一方のローラーを外方向に付勢する緊張装置をコンベヤフレームの前後端に設け、更に前後端のローラーとも駆動装置で回動させ、無端コンベヤベルトを往路及び復路ともに滑りなく短ベルト連結の長尺の無端コンベヤベルトを送れるようにし、しかも短ベルトの前後端同士の連結がリベットを連結具とし、しかもリベットの上下の短ベルトを貫通したリベットの下方突出部にワッシャを嵌装した後かしめて連結した構造としたことを特徴とする、ベルトコンベヤ装置
2) 前後端にある一方又は両方の緊張装置の構造が、前記ローラーを軸支する軸受フレームをコンベヤフレームに沿って進退可能に配置し、前記軸受フレームの前後に掛止片を設け、その前後の前記掛止片間位置に前記掛止片間の間隔より狭幅の調整部材を配置し、前記軸受フレームの前後位置に固定の張出片を前記軸受フレームの進退範囲より大きい間隔をおいて設け、その前後の前記張出片にネジ軸を回転自在に貫通するとともに前記調整部材に螺合し、前記ネジ軸を回転操作する回転操作部を設け、前記調整部材と前記軸受フレームの外側の前記掛止片の間に圧縮バネを介装した構造であり、駆動装置は軸受フレームに設けられて同軸受フレームに軸支されたローラーを回動できる構造とした、前記1)記載のベルトコンベヤ装置
3) 前記2)において記載された緊張装置の前記回転操作部を前記コンベヤフレームの前記張出片から突出した前記ネジ軸の軸端に設けた、前記2)記載のベルトコンベヤ装置
4) 前後端にある一方又は両方の緊張装置の構造が、前記ローラーを軸支する軸受フレームをコンベヤフレームに沿って進退可能に配置し、前記軸受フレームの外側の前後位置に固定の張出片を前記軸受フレームの進退範囲より大きい間隔をおいて設け、その前後の張出片と前記軸受フレームの前後に設けた縦フレームにネジ軸を回転自在に貫通し、前記軸受フレームの外側の前の縦フレームと内側となる固定の後の張出片との間に圧縮バネを介装し、駆動装置は軸受フレームに設けられて同軸受フレームに軸支されたローラーを回動できる構造とした、前記1)記載のベルトコンベヤ装置
にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短ベルトを多数連結した無端コンベヤベルトの前後の各ローラーに対し、前後端にある駆動装置で強制駆動したことにより、無端コンベヤベルトの緩みは前後端の強制回動されるローラーによって、無端コンベヤベルトは所定の引張力が付与されてローラーとよく密着して、無端コンベヤベルトとローラーとが滑ることがなくなり、確実に無端コンベヤベルトの送りを可能とする。
特に、前後のローラーの両方とも駆動装置で強制駆動されれば、復路のベルトもローラーで強制送りがなされ、緩みが更に確実に解消される。
【0012】
又、ローラーの外周部の凹部として、断面U字状のローラー軸方向に延びる溝を複数設けた構造のものを使用すると、断面U字状の溝の凹部に連結具の下方突出部が収容されて、下方突出部がローラー周面を傷つけることがないばかりでなく、下方突出部がU字状溝の凹部の内周壁面とよく係止し、下方突出部がローラーの周面の滑りをなくし、確実にローラーで無端コンベヤベルトを強制送り可能とする。これは、駆動部のないリターン側ローラーでも無端コンベヤベルトとの滑りもなく確実に送れるようにする。
【0013】
更に、ベルト受面フレームの上面に送り方向の溝を複数本設ける構造とすれば、連結具又は中間連結具の下方突出部を溝内に収容して下方突出部がベルト受面フレームの上面と接触することがなくなり、送りに接触抵抗がなくなり、ベルト引張力が小さくできる。又、ベルト受面フレームに傷つけることもない。
【0014】
短ベルトの連結具には、ベルト下面からの下方突出部が有るものと、下方突出部がなくベルト下面と同一面とする場合がある。下方突出部が有る場合は、ベルト受面フレームの上面が下方突出部と接触しないように溝を設ける場合と、短ベルトの下面を支持するレール状の支持レールを設ける場合とがあるが、前者の方が実用的である。
【0015】
更に、短ベルトの前後端の中間位置に中間連結具を設ければ、短ベルトの送り方向の長さの中間位置でもローラーの凹部と係止することができ、前後端の連結具と中間連結具の下方突出部によるローラーの凹部との係止のベルト長さに対する回数が増え、より確実に無端コンベヤベルトを滑りが少なく送れるようになる。
特に、ローラーの外周部凹部をU字状断面の溝をローラーの軸方向に延びるように放射状に複数設けて形成する構造では下方突出部が凹部内壁面と強く係止するので、滑ることなく高い係止力を付与できるばかりでなく、ローラーの円周の係止ピッチが短くなって係止力の合計力が高くなるか、又は同じ係止力の合計に対してローラーの外周長さ(ローラー半径)を短くできるという利点がある。中間連結具は、前後端の連結具と略同じ構造寸法のものがローラーの凹部で連結具と同様に嵌合して係止できるのでよい。
【0016】
又、ローラーの緊張装置を図17〜23に示すような請求項2記載の2段伸長式の緊張装置7の構造とすれば、長時間使用又は長いベルト緩みに対しても無端コンベヤベルトを緊張状態を保持でき、ベルトの張り替えの回数を少なくし、又長い時間での滑りのないコンベヤ送りを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1を示す説明図である。
図2図2は、実施例1の短ベルトとその連結を示す説明図である。
図3図3は、実施例1の無端コンベヤベルトとローラーの説明図である。
図4図4は、実施例1のローラーを示す拡大正面図である。
図5図5は、実施例1のメダル搬送状態を示す説明図である。
図6図6は、実施例1のベルト受面フレームの断面と短ベルトとの掛け具合を示す説明図である。
図7図7は、実施例1のローラーと短ベルトとの掛け具合を示す説明図である。
図8図8は、実施例1の駆動装置付緊張装置を示す斜視図である。
図9図9は、実施例1の駆動装置付緊張装置の初期状態を示す正面図である。
図10図10は、実施例1の駆動装置付緊張装置の中間の伸び状態を示す正面図である。
図11図11は、実施例1の駆動装置付緊張装置の最大伸長状態を示す正面図である。
図12図12は、実施例1の右側のリターン部に緊張装置なしの駆動装置のみ取付けた実施例1の変形例1のベルトコンベヤ装置を示す説明図である。
図13図13は、実施例1の駆動装置付緊張装置8に代わる駆動装置付きの2段伸長式の別機構の緊張装置7を使用した変形例2のリターン部構造を示す正面図である。
図14図14は、変形例2のリターン部構造の少し伸びた状態を示す正面図である。
図15図15は、図14の状態から調整部材の位置を左方向に移動させた状態を示す正面図である。
図16図16は、変形例2のリターン部構造の最大伸長状態を示す正面図である。
図17図17は、変形例3が使用する中間連結具を取付けた短ベルトとその連結状態を示す説明図である。
図18図18は、変形例3の無端コンベヤベルトとローラーを示す説明図である。
図19図19は、変形例3のリターン部構造を示す分解斜視図である。
図20図20は、変形例3のリターン部構造を示す斜視図である
図21図21は、変形例3で使用するローラーを示す斜視図である。
図22図22は、変形例3で使用するローラーの拡大正面図である。
図23図23は、変形例3のローラーの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明の「送り方向には弾性変形できるが幅方向に変形しにくい短ベルト」とは、リターン部のローラーのローラー外周面の曲率に沿って変形できて、復路又は往路になって送れる程度の柔らかさがあるものであって、又コンベヤフレームの側壁体との接触で短ベルトの左右部分が大きく上向き又は下向きに湾曲変形しないで、湾曲部を曲れる程のある程度の剛性・硬さを有することを意味する。
【0019】
本発明のコンベヤフレームの垂直の側壁体は、無端コンベヤベルトの往路・復路においてベルトと接触してベルトの左右の動きを規制して、湾曲した無端コンベヤベルトでも曲線的に送れるようにする。
【0020】
無端コンベヤベルトの短ベルトの長さ・巾・厚みは、コンベヤ搬送路の湾曲の曲率、搬送する物品の長さに応じて適切な寸法が採用される。
又、短ベルトの連結具としてはリベット・ボルトナット・ハトメ等が使用できる。又、短ベルトは高い引張力に耐え、搬送物品の重量に耐え、又摩擦に強い素材が選択される。帆布を複数枚積層したものが短ベルトに適する。
特に、リベットを連結具とし、しかも下方をワッシャを介してかしめるようにすれば、リベットと短ベルトの摩擦が少なくなり、短ベルトの水平折れ曲がりの回転運動が円滑にでき、湾曲した搬送路でのベルト送りが容易となる。
又、ステンレス製のボルト・ワッシャ・ナットに比べ、アルミ製のリベットとワッシャの方がボルト回転操作が不要な分打撃を与えるだけで連結できるので、部品コスト及び連結作業費も安価にできる。
しかも、短ベルトを連結する無端コンベヤベルトの長さの調整も短ベルト長さの単位で短縮したり、又は延長することが容易となる。又、一部のベルト部分の損傷があってもその損傷した部分の短ベルトを交換するので、部分損傷が解消でき易くする利点がある。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
(図面の符号の説明)
図面中、1は実施例1のベルトコンベヤ装置、1は変形例1のベルトコンベヤ装置、1は変形例2のベルトコンベヤ装置、1は変形例3のベルトコンベヤ装置である。3は無端コンベヤベルト、3aは短ベルト、3bは丸孔、3cは長孔、3dは短ベルト3aの連結金具であるリベット、3dはそのリベット3dのベルト下面に突出した下部突出部、3eは短ベルト3aの中央部湾曲部、3fは短ベルト3aの前後端の中間に設けたリベットを用いた中間連結具、3gはその下方突出部、3hはリベット3d,3fに貫入してかしめてベルト材と滑らかに動けるようにするワッシャ、4はコンベヤフレーム、4aはベルト受面フレーム、4bは無端コンベヤベルトの左右端で垂直に立上った側壁体、4cはベルトリターン用のローラー、4cは同ローラーの外周部に設けた下部突出部3dを収める凹部、4cはローラー軸、4cは同ローラー軸に軸着したスプロケット、4cmは図22,23で示される他のローラーの凹部である。
【0023】
又、図中5はモータを用いた駆動装置、5aは駆動装置の駆動出力軸に軸着したスプロケット、5bはローラー軸4cに軸着したスプロケット4cと上記スプロケット5aを伝動するチェーンである。
又、図中7は図17〜20及び図21〜27に示される2段伸長式の緊張装置、7aは軸受フレーム、7aは4辺を折曲させた軸受フレーム7aの縦辺の折曲部分である掛止片、7bは軸受フレーム7aに取付けられたローラー軸4cの軸受部、7cはスプリングを用いた圧縮バネ、7dはネジ軸、7eは同ネジ軸の回転操作の操作部、7fは上下のネジ軸7dに螺合した調整部材、7hはコンベヤフレーム4のベルト受面フレーム4aの折曲部の前後端にそれぞれ延長するようにリベットで取付けられる固定延長フレーム、7iは同固定延長フレーム7hをベルト受面フレーム4aに取付けるためのリベット孔、7jは固定延長フレーム7hの中央部に開口したローラー軸4cを水平横移動可能に貫入する長孔、7kは固定延長フレーム7hの4辺の縦辺の折曲部分である張出片である。mは実施例1及び変形例1〜3が搬送するメダルである。
【0024】
8は図1,8〜16に示される1段伸長式の緊張装置であり、8aは左右対の軸受フレーム、8bは同軸受フレーム8aに設けたローラー軸4cの軸受部、8cはスプリングを用いた圧縮バネ、8dはネジ軸、8gは軸受フレーム8aの4辺の縦の折曲部分である縦フレーム、8hはコンベヤフレーム4のベルト受面フレーム4aの折曲部の前後にそれぞれ延長するようにリベットで取付けられる固定延長フレーム、8iは同固定延長フレーム8hをベルト受面フレーム4aに取付けるためのリベット孔、8jは固定延長フレーム8hの中央に開口したローラー軸4cを水平横移動可能に貫入する長孔、8kは固定延長フレーム8hの2辺の縦の折曲部分である張出片、8lは軸受フレーム8aのガイド棒である。9は変形例1の図17に示す右側のローラー4cを軸支して駆動装置10で回動させる軸受部、10は変形例1の右側の駆動装置である。
【0025】
図1図23に示す図面は、実施例1及びその実施例1の別形態の実施例である変形例1,変形例2,変形例3を示す。
【0026】
図1図11に示す実施例1のベルトコンベヤ装置1は、前後端のローラーともに外方向に1段伸長式の緊張装置8で外方向に付勢するとともに、各緊張装置8の軸受フレームに駆動装置のモータ5を取付け、前後端のリターン部のローラー4cを共に強制駆動ローラーとし、同ローラー4cの凹部4cはローラー外周部に円環状で断面U字状溝をローラー軸方向に複数設けた構造のものの例で、遊技店のメダル搬送用に使用したものである。
【0027】
図12に示すベルトコンベヤ装置1は、実施例1の右側のリターン部の緊張装置8を取り除いて駆動装置のみとなったベルトコンベヤ装置の変形例1である。右側のリターン部が駆動装置10のみのリターン部構造とした実施例1の変形例1である。この変形例1でも、前後のベルトリターン用ローラーには外方向に前後端の2台の駆動装置5,10によって駆動力が働くようにしている。
【0028】
図13図16に示すベルトコンベヤ装置1の変形例2は、実施例1の前後端の各緊張装置8を別機構の2段伸長式の緊張装置7に代えた例であって、実施例1の図1〜11に示す駆動装置付の緊張装置8の機構を改良して、ローラーの移動量を長くできる2段伸長式とした別の機構の緊張装置7に置換した例で、やはり前後端とも駆動装置5がある。他の構造は実施例1と同じである。
【0029】
図15図21に示すベルトコンベヤ装置1の変形例3は、前記変形例2において短ベルト3aとローラー4cを改良し、ローラー4cの外周部にローラー軸方向に延びた断面U字状溝を凹部4cとして設けた。
この変形例3の短ベルト3aは、図15に示すように短ベルトの前後中間で巾の中間位置に丸孔3bを設けてこれに連結具3dと同じリベットの中間連結具3fを取付ける構造とし、それに合せてローラー4cも図19〜21に示すようにローラー軸方向に延びたU字断面形状の溝を凹部4cとする構造を使用し、ローラーの凹部との係止力を高める好ましい例を示すものである。
変形例3の緊張装置は、変形例2と同じ左右端とも2段伸長式の駆動装置付緊張装置7を使用している。この変形例3では、無端コンベヤベルト3の連結具3d及び中間連結具3fの下方突出部3d,3gをローラー軸方向に延びるローラーのU字状溝の凹部4cに嵌入して、下方突出部3d,3gと凹部4cとが強く係止して、無端コンベヤベルト3をローラー4cで引張して送るように確実にする例である。
この例で、前後にある2段伸長式の緊張装置7がローラー4cを外方向に引張すれば、無端コンベヤベルト3は強くローラー4c外周面に密着して滑りがなく且つ大きいベルト緩みにも対応でき、より確実に無端コンベヤベルト3を送ることができる例である。
【0030】
更に、本発明の前後の緊張装置は上記実施例の構造に限定するものではないが、上記実施例1及びその変形例1〜3に示す緊張装置7,8はベルト緩みがあれば自動的に緩みをなくすことができ、しかもある程度伸びると更なる緊張ができるように調整できるので、好ましい形態である。
駆動装置5が緊張装置7,8があるローラー4cの軸受フレーム7a,8aに取付けられれば、ローラー4cは無端コンベヤベルト3を引張して水平方向に移動しても、駆動装置5,10はそのローラー4cの軸受フレーム7a,8aとともに移動するので、駆動装置5,10は常時ローラー4cとともに動いて強制駆動できる。
更に、ローラー4cの形状例として、ローラー外周部に円環状の溝をローラー軸方向に複数設ける例と、ローラー外周部にローラー軸方向に延びるU字状の溝を形成して凹部とする構造の例を示している。
【0031】
図1図6に示す実施例1は、前後端のローラーともに外方向に緊張装置8で付勢され、又駆動装置5のモータは各緊張装置8の水平移動する軸受フレーム8aに取付けられて強制駆動する。又、ローラー4cの凹部4cは円環状溝を軸方向に複数列に設けた例である。
又、その変形例1として実施例1の右側の緊張装置を削除して、駆動装置10のみとした例もあり、実施例1及び上記変形例1ともにローラー4cに外部方向に付勢する緊張装置8を少なくとも1台設けることで、ローラー4c外周面に強く無端コンベヤベルト3を密着するとともに、無端ベルトコンベヤ3の緩みに対応力を高めている。
【0032】
(実施例1)
図1〜11に示す実施例1について説明する。
【0033】
実施例1のコンベヤフレーム4はコ字状の板材を横向きにして、中央にベルト受面フレーム4aがくるように置いて、搬送方向に複数個継いでいる。そして、同ベルト受面フレーム4aの左右端に垂直に上った側壁体4bをベルト受面フレーム4aの上下方向に折曲した折曲部にボルトナット又はリベット(図示せず)で連結してベルト受面フレーム4aに沿って垂直なコンベヤの左右壁を形成している。
【0034】
軸受フレーム8aはローラー軸4cを貫通させる軸穴を開口している。ローラー4cは左右側面ローラー軸4cを備えている。
このコンベヤフレーム4の固定延長フレーム8hの長孔8jにローラー4cのローラー軸4cをそれぞれ通し、軸受フレーム8aにその軸受部8bを取付けている。前後の張出片8k間の位置に軸受フレーム8aを配置してローラー4cを取付けて、このローラー4cに無端コンベヤベルト3を張架している。ネジ軸8dを前後の張出片8kに回転自在に貫通するとともに前後の張出片8kから突出したネジ軸8dの軸端にナットを螺合している。内側にある後の張出片8kと軸受フレーム8aの外側の前の縦フレーム8gの間には圧縮バネ8cを介装し、その圧縮バネ8cと前後の張出片8kと前後の縦フレーム8gにガイド棒8lを貫通し、前後の張出片8kから突出したガイド棒8lの軸端にナットを螺合して固定延長フレーム8hに固定している。
【0035】
この緊張装置8では軸受フレーム8aは固定延長フレーム8hの後の縦の折曲部分である張出片8kと軸受フレーム8aの前の縦の折曲部分である縦フレーム8gとの間の圧縮バネ8cによって軸受フレーム8aを外方向へ付勢して、ベルト緩みをとって無端コンベヤベルト3を常時引張して緊張状態にする。
【0036】
このように、実施例1及び変形例1では無端コンベヤベルト3及びローラー4cはその前後の両方又は一方の緊張装置8によって常時外方向に引張されて、ベルト緩みがないようにできている。更に、ローラー4cに無端コンベヤベルト3はその引張力で密着することで、前後両方のローラー4cの駆動装置5,10で回動されると、滑ることなく無端コンベヤベルト3は確実に送られる。短ベルト連結のこの無端コンベヤベルト3の復路は緩んで垂みがちになるが、復路側も緊張装置8と駆動装置5で強制回動させることで引張され、更に垂みが少なくできる。
【0037】
尚、この実施例1の緊張装置として図13〜23の変形例2,3の2段伸長式に引張できる機構の緊張装置7を採用すれば、引張できる長さを長くできるので、更にベルト緩みを少なくできる。
【0038】
この緊張装置7について説明すると、
この構造により、ネジ軸7dの左右いずれかのナットを回すと、ネジ軸7dが定位置で回転し、ネジ軸7と螺合した調整部材7fが左右いずれかに移動する。ナットを止めると調整部材7fは定位置に保持される。調整部材7fが左方向へ移動すると圧縮バネ7cが圧縮され、その復元力で軸受フレーム7aの左側(前)の掛止片7aを押して軸受フレーム7aが左方向へ移動し、無端コンベヤベルト3の前後端にあるローラー4cとローラー4cの間隔が拡大する。逆に調整部材7fを右方向へ移動させると、その調整部材7fが軸受フレーム7aの右側(後)の掛止片7aを押して軸受フレーム7aが右方向へ移動し、駆動側ローラー4cと従動側ローラー4cの間隔が縮小する。モータ5は軸受フレーム7aに取り付けられているから、軸受フレーム7aが移動しても駆動側ローラー4cとモータ5の間隔は変化せず、駆動力の伝達に影響はない。
【0039】
本変形例2,3では、左側のナットを回して調整部材7fを左方向へ移動させると、圧縮バネ7cの復元力で軸受フレーム7aが左方向へ移動してベルトが緊張される。適切な張力が作用したときにナットを止め、調整部材7fを定位置に保持する。その後、使用中にベルトが徐々に伸びるが、ベルトが伸びた分、圧縮バネ7cの復元力で軸受フレーム7aが左方向へ自然に移動して一定の張力が作用し、緊張が常に保持される。その状態を図13〜16に示している。
【0040】
圧縮バネ7cが圧縮前の状態に近くなって復元力が弱くなるか又は圧縮前の状態に復元して復元力が無くなると、ベルトがさらに伸びてもこれ以上緊張できなくなる。この場合、左側のナットを回して調整部材7fを左方向へさらに移動させると、圧縮バネ7cが圧縮されて復元力が再度発生し、伸びたベルトが緊張される。しかし、これを繰り返すと、いずれは軸受フレーム7aの左側の縦フレーム7aがコンベヤフレーム4の左側の張出片7kに接触して軸受フレーム7aが移動できなくなり、調整部材7fをさらに左方向へ移動させて圧縮バネ7cを圧縮しても、軸受フレーム7aは左方向へ移動しないので緊張力が発生せず、緊張不能となる。
【0041】
この場合はベルトの交換が必要となる。左側の操作部7eのナットを反対方向に回して調整部材7fを右方向へ移動させると、調整部材7fが軸受フレーム7aの右側の縦フレーム7aを押して軸受フレーム7aが右方向へ移動し、前端のローラー4cと後端のローラー4cの間隔が縮小してベルトが緩む。そして、緩んだベルトを引き上げて短ベルトを一部取り外して、無端コンベヤベルト3を短くする。あるいは、ベルトを伸びた分だけ切り取って両端部を接続しても良い。交換後は、左側のナットを回して調整部材7fを左方向へ移動させ、圧縮バネ7cの復元力で軸受フレーム7aを左方向へ移動させ、ベルトを適切な張力で緊張する。また、緊張力が作用している状態であっても、何らかのトラブルでベルトが断裂し、新しいベルトに交換するか又は断裂した部分を再接続する時にも、前記と同様にして作業が可能である。
【0042】
尚、本実施例ではメダル供給ベルトコンベヤに取り付けたベルトコンベヤ装置1,1,1,1について説明したが、メダル回収ベルトコンベヤに取り付けた場合のベルトコンベヤ装置でも構成及び作用効果は同じである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の技術は、主としてメダル遊技設備に利用されるが、重量ある小物の搬送する汎用のベルトコンベヤにも応用できる。
【符号の説明】
【0044】
m メダル
1 実施例1のベルトコンベヤ装置
変形例1のベルトコンベヤ装置
変形例2のベルトコンベヤ装置
変形例3のベルトコンベヤ装置
3 無端コンベヤベルト
3a 短ベルト
3b 丸孔
3c 長孔
3d リベット(連結具)
3d 下方突出部
3e ベルト巾湾曲部
3f 中間連結具
3g 下方突出部
3h ワッシャ
4 コンベヤフレーム
4a ベルト受面フレーム
4a
4b 側壁体
4c ベルトリターン用のローラー
4c 凹部
4c ローラー軸
4c スプロケット
5 駆動装置(モータ)
5a スプロケット
5b チェーン
7 2段伸長式の緊張装置
7a 軸受フレーム
7a 掛止片
7b 軸受部
7c 圧縮バネ
7d ネジ軸
7e 操作部
7f 調整部材
7h 固定延長フレーム
7i リベット孔
7j 長孔
7k 張出片
8 1段伸長式の緊張装置
8a 軸受フレーム
8b 軸受部
8c 圧縮バネ
8d ネジ軸
8g 縦フレーム
8h 固定延長フレーム
8i リベット孔
8j 長孔
8k 張出片
8l ガイド棒
9 軸受部
10 駆動装置
図1
図2
図3
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図5
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図23