特許第6282249号(P6282249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282249
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】突極形回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/34 20060101AFI20180208BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   H02K3/34 C
   H02K3/52 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-127186(P2015-127186)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-11939(P2017-11939A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 雅文
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−132401(JP,U)
【文献】 特開昭53−145002(JP,A)
【文献】 特開昭62−193523(JP,A)
【文献】 特開昭49−32101(JP,A)
【文献】 特開平10−108398(JP,A)
【文献】 特開2000−14067(JP,A)
【文献】 特開2004−173452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/34
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁極部に巻回されている巻線を押える巻線押え部材を備える突極形回転子であって、
ワニスの含浸により前記巻線間の空気を通過させる第1の孔を有する第1の絶縁体と、
前記第1の孔を通過した空気を外部に案内する第2の孔を有する第2の絶縁体と、
孔を有していない第3の絶縁体と、を備え、
前記第1の絶縁体、前記第2の絶縁体、および前記第3の絶縁体が、この順で巻線側から前記巻線押え部材側に向かって重ねて配置されている、
ことを特徴とする突極形回転子。
【請求項2】
前記第1の孔の領域全体が、前記第2の孔の領域一部に重なっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の突極形回転子。
【請求項3】
前記第2の孔の一部が、前記第2の絶縁体と前記巻線押え部材との間に形成されている隙間に隣接している、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の突極形回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機などに用いるコイル(「巻線」と呼ぶ場合もある)にワニスを含浸させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワニスを含浸させる技術として、インシュレータの突出部及びティースに巻回したコイルにワニスを塗布する処理を行う際に、スロット内のコイルに対してワニスを十分に浸透させることを目的とした固定子、モータ及び圧縮機の構造について開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、巻線ガイド絶縁部材により複数の冷却用通風路を形成して、界磁コイルおよび磁極鉄心を効率的に冷却し、かつ機械的強度の向上を図る巻線ガイド絶縁部材付き突極形回転子について開示されている。特許文献2の図1に示すように、突極形回転子の磁極部の長手方向の界磁巻線(巻線)はコイルサポータ(巻線押え部材)によって保持されている。また、特許文献2に示されていないが、巻線とコイルサポータとの間には絶縁紙が挟まれている。このような突極形回転子にも、絶縁の目的でワニスを含浸させる必要があることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−200050号公報
【特許文献2】実開平6−41363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転させながら突極形回転子の巻線にワニスを滴下含浸させる際、滴下位置から巻線にワニスが浸透していくのに応じて、巻線間の空気がワニスに押されて抜けていく。しかし、コイルサポータが装着されている巻線部分については、ワニスを浸透させようとしてもコイルサポータおよび絶縁紙が表面を覆って邪魔してしまう。このため、当該巻線部分の巻線間の空気はワニスに押されても抜けきらず、巻線間に空気溜まりができてしまう。このような空気溜まりは、ワニス浸透不良および巻線の絶縁性の低下を招き、巻線の短絡を引き起こすおそれがある。コイルサポータに空気を抜く孔を設ける手段もあるが、コイルサポータ自体の強度の低下を招いてしまい、巻線を保持できなくなるおそれがある。特許文献1,2にはこれらの問題について何ら言及していない。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて、突極形回転子の巻線にワニス含浸を行う際、巻線押え部材の強度の低下を防ぐとともに、巻線押え部材に覆われている巻線部分の絶縁性の低下を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、
磁極部に巻回されている巻線を押える巻線押え部材を備える突極形回転子であって、
ワニスの含浸により前記巻線間の空気を通過させる第1の孔を有する第1の絶縁体と、
前記第1の孔を通過した空気を外部に案内する第2の孔を有する第2の絶縁体と、
孔を有していない第3の絶縁体と、を備え、
前記第1の絶縁体、前記第2の絶縁体、および前記第3の絶縁体が、この順で巻線側から前記巻線押え部材側に向かって重ねて配置されている、
ことを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、突極形回転子の巻線にワニス含浸を行う際、巻線押え部材の強度の低下を防ぐとともに、巻線押え部材に覆われている巻線部分の絶縁性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の突極形回転子の全体斜視図である。
図2】コイルサポータの(a)斜視図、(b)正面図、(c)側面図である。
図3】突極形回転子の正面図である。ただし、構成部材の一部の図示は省略している。
図4】3種類の絶縁体の形状を示す図である。
図5】3種類の絶縁体が使用される突極形回転子の断面図である。
図6】3種類の絶縁体とコイルサポータとの位置関係を示す図である。
図7】巻線にワニスを滴下させる様子を示した突極形回転子の側面図である。ただし、構成部材の一部の図示は省略している。
図8】ワニスの含浸により巻線から押し出された空気の移動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の突極形回転子1は、例えば、回転界磁形同期発電機に使用されるものであり、鋼板を積層してブロック化してなる回転子鉄心2を有し、略円筒形状を呈している。回転子鉄心2は、軸近傍部3と、軸近傍部3から等間隔で放射状に突出した4個の磁極部5とから一体に形成されている。
【0012】
突極形回転子1は、その正面および背面に巻線ガイド絶縁物9,10を備えている。巻線ガイド絶縁物9,10は側面視コ字状を呈しており、一端が磁極部5側に配置され、他端が軸近傍部3側に配置されている。一対の巻線ガイド絶縁物9,10は、磁極部5に巻回されるコイル13を、巻線ガイド絶縁物9の両端部の間、および、巻線ガイド絶縁物10の両端部の間にガイドすることで、コイルエンドを形成することができる。なお、コイル13が当接する巻線ガイド絶縁物9,10の中央部には、巻回されるコイルを整列させるための溝(図示せず)が刻まれている。
【0013】
巻線ガイド絶縁物9,10の両端部には貫通孔(図示せず)が形成されている。また、この貫通孔に挿通されるコイル支持バー(図示せず)が磁極部5の正面および軸近傍部3の正面から軸方向に延在している。よって、巻線ガイド絶縁物9,10は、軸方向に多段(図1では3段であるが、2段以下、4段以上にしてもよい。)に積層することができる。積層された、一対の巻線ガイド絶縁物9,10の各々にコイル13が巻回され、コイルエンドが形成される。巻線ガイド絶縁物9,10の形状に起因して、形成されたコイルエンドの各々は離間しており、突極形回転子1回転時のコイル冷却用の通風路が各コイルエンド間に形成されている。
【0014】
図1に示すように、突極形回転子1は、その側面に複数のコイルサポータ12(巻線押え部材)を備えている。コイルサポータ12は、磁極部5に巻回されているコイル13の長手方向部分を、突極形回転子1の径方向外側から押圧することで、コイル13を保持する。具体的には、コイルサポータ12は、突極形回転子1が回転することでコイル13に働く遠心力のためにコイル13の長手方向部分が径方向外側に変位してしまうことを防ぐ。
【0015】
図2に示すように、コイルサポータ12は、長方形の板状体を、側面視く字状に曲げて加工されている。コイルサポータ12は、例えば、みがき特殊帯鋼から構成されている。コイルサポータ12の爪部12a、12aは、突極形回転子1の所定の箇所(図1参照)に所定の冶具(図示せず)を用いてコイルサポータ12を撓ませて取り付けるために、所定の冶具(図示せず)が引掛かる部位である。
【0016】
図1に示すように、1つのコイルサポータ12は、隣り合う磁極部5にそれぞれ巻回されているコイル13に介在して、2つのコイル13の長手方向部分を径方向外側から押圧している。図3に示すように、コイルサポータ12は、4つの磁極部5のうち隣接する2つの磁極部5の間に、かつ、回転方向に等間隔となる4か所の空間に配置され、2つのコイル13の長手方向部分を径方向外側から押圧している(図3では、突極形回転子1の図中下半分に存在するコイル13の図示は省略している)。図3に示すように、磁極部5の回転方向両端部には、軸方向に延在している凹条部が形成されている。コイル13の長手方向部分を押圧しているコイルサポータ12は、その両端部が磁極部5の凹条部に係合することで突極形回転子1に対して固定されている。
【0017】
また、図3に示すように、突極形回転子1は、コイルサポータ12よりも径方向内側に、コイルサポータ20を備えている。コイルサポータ20は、磁極部5に巻回されているコイル13の長手方向部分を、突極形回転子1の径方向内側から押圧することで、コイル13を保持する。磁極部5と軸近傍部3の境界部分には、軸方向に延在している凹条部が形成されている。コイル13の長手方向部分を押圧しているコイルサポータ20は、その両端部が、磁極部5と軸近傍部3の境界部分に形成されている凹条部に係合することで突極形回転子1に対して固定されている。
【0018】
突極形回転子1は、コイル13の長手方向部分とコイルサポータ12との間に、絶縁紙6(第1の絶縁体)、絶縁板7(第2の絶縁体)、絶縁紙8(第3の絶縁体)(図1参照)という3種類の絶縁体を備えている。絶縁紙6、絶縁板7、絶縁紙8は、コイル13とコイルサポータ12との接触を妨げ、コイル13の短絡を防ぐ役割を持つ。
【0019】
図4に示すように、絶縁紙6は、矩形状を呈しており、例えば、厚さ方向に貫通した3×3=9個の丸孔6aを有している。絶縁紙6は、例えば、耐熱性の多層ラミネート紙である。
絶縁板7は、矩形状を呈しており、絶縁紙6と略同等の外形を有する。絶縁板7は、例えば、厚さ方向に貫通した3個の長孔7aを有している。絶縁板7は、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板である。
絶縁紙8は、長手方向中央部に切り欠きがある(なくてもよい)矩形状を呈しており、コイルサポータ12よりも一回り大きい面積を有する。絶縁紙8は、厚さ方向に貫通した孔を有していない。絶縁紙8は、例えば、耐熱性の多層ラミネート紙である。
【0020】
丸孔6aおよび長孔7aについては、例えば、絶縁紙6の丸孔6aを等間隔に3つ並べ、1行に並んだ3つの丸孔6aの両端寸法を図4に示す符号L1とした場合、絶縁板7の長孔7aの両端寸法(符号L2)を丸孔6aの両端寸法(符号L1)より大きくし、長孔7aの幅寸法を丸孔6aの直径より大きくすればよい。また、例えば、図4に示すように、9個の丸孔6aは、絶縁紙6の領域全体に散らばるように配置すればよい。丸孔6aについてのこのような配置により、絶縁紙6に覆われているコイル13部分のコイル間からの空気を満遍なく抜くことができる(詳細は後記)。
【0021】
図5に示すように、絶縁紙6は、コイル13の長手方向部分に当接して配置されている。また、絶縁紙8は、コイルサポータ12の片面に貼設されている。絶縁板7は、絶縁紙6と絶縁紙8との間に配置されている。つまり、絶縁紙6、絶縁板7、絶縁紙8は、この順でコイル13側からコイルサポータ12側に向かって重ねて配置されている。絶縁板7の一部領域と、絶縁紙8の一部領域との間には、隙間CLが形成されている。
なお、コイル13の長手方向部分とコイルサポータ20との間にも絶縁紙21が配置されている。
【0022】
図6に示すように、絶縁紙6および絶縁板7が、コイル13の長手方向部分とコイルサポータ12との間に配置されているとき、絶縁紙6の丸孔6aと絶縁板7の長孔7aとの位置合わせがなされている。具体的には、1行に並んだ3つの丸孔6aの領域全体が、1つの長孔7aの領域一部に重なるように、絶縁紙6および絶縁板7が配置されている。つまり、3つの長孔7aすべてについて、3×3=9個の丸孔6aの領域全体が、3つの長孔7aのいずれか1つの領域一部に重なっている。
【0023】
(作用)
本実施形態の突極形回転子1について、ワニス含浸時の作用について説明する。
図7に示すように、周知のワニス含浸機(図示せず)を用いることで、回転中の突極形回転子1のコイル13、つまり、コイルエンドおよびコイル13の長手方向部分のコイルサポータ12間のコイル露出部分に対して、ワニス(実線矢印)がワニス含浸機のノズル(図示せず)から滴下される。滴下したワニスは、コイル13の長手方向部分のうちコイルサポータ12に押圧されている部分(以下、「被押圧部分」と呼ぶ場合がある。)に浸透する。
【0024】
コイル13全体に亘って浸透したワニスは、コイル13間の空気を外部に押し出す。ここで、図8に示すように、コイル13の被押圧部分に浸透したワニスは、コイル13の被押圧部分のコイル間13a(巻線間)に存在する空気(破線矢印)を外部に押し出すことができる。具体的には、まず、コイル13の被押圧部分のコイル間13aから押し出された空気は、コイル13の被押圧部分に当接している絶縁紙6の丸孔6aを通過する。絶縁紙6の丸孔6aは、必要最小限の空気抜け性能を実現できるように、できるだけ少ない個数を設けるとともに、できるだけ小さいサイズとするように設計することが好ましい。このような丸孔6aの設計により、絶縁紙6は、コイル13に当接する面積を大きくすることができるため、充分な絶縁性を獲得することができる。
【0025】
絶縁紙6の丸孔6aを通過した空気は、絶縁板7の長孔7aに案内される。ここで、絶縁紙6にコイルサポータ12側から重なっている絶縁紙8は孔を有していない。また、絶縁板7の長孔7aの一端(一部)が、絶縁紙8が貼設されているコイルサポータ12と絶縁板7との間に形成されている隙間CLに隣接している。また、空気が抜けた被押圧部分のコイル間13aおよび絶縁紙6の丸孔6aには、含浸中に絶えることなくワニスが充填される。このため、絶縁板7の長孔7aに案内された空気が絶縁紙6の丸孔6aを介して被押圧部分に戻ることはない。したがって、絶縁板7の長孔7aに案内された空気は、隙間CLに一方的に案内され、外部に押し出される。その際、絶縁板7の長孔7aには、含浸中に絶えることなくワニスが充填されるため、隙間CLに案内された空気が絶縁板7の長孔7aに戻ることはない。
【0026】
以上の説明から、本実施形態によれば、絶縁紙6、絶縁板7、および絶縁紙8を用いることで、コイル13の長手方向部分を覆ってしまうコイルサポータ12に対して、絶縁紙6の丸孔6aと、絶縁板7の長孔7aと、孔を有しない絶縁紙8とによって外部へ案内される通気路を形成することができる。このため、ワニスの含浸により、コイルサポータ12に覆われているコイル13の長手方向部分のコイル間13aから押し出された空気は、当該通気路を経由させることで外部に放出される。その結果、コイルサポータ12に覆われているコイル13の長手方向部分のコイル間13aにて、空気溜まりが形成されることがなく、ワニスは当該長手方向部分のコイル間13aに確実に浸透されることになり、所望の絶縁性を達成することができる。このとき、コイルサポータ12にて空気を抜く孔を形成する必要はない。
したがって、突極形回転子のコイル13にワニス含浸を行う際、コイルサポータ12の強度の低下を防ぐとともに、コイルサポータ12に覆われているコイル13の長手方向部分の絶縁性の低下を防ぐことができる。
【0027】
コイル13の長手方向部分に当接する絶縁紙6に対しては、必然的に高い絶縁性を要求することになる。このため、多少の空気抜け性能を実現する必要はあっても、絶縁紙6に設ける丸孔6aの個数をできるだけ少なくしたり、丸孔6aのサイズをできるだけ小さくしたりすることが好ましい。このような事情に対して、複数個の丸孔6aに重なる長孔7aを絶縁板7に設け通気路を確保することで、絶縁紙6の空気抜け性能を大幅に高めることができる。
【0028】
ワニスの含浸が進行すれば、絶縁紙6の丸孔6aおよび絶縁板7の長孔7aにワニスが充填される。このため、結果的には、丸孔6aを設けたことによる絶縁紙6の絶縁性の低下は回避されるとともに、長孔7aを設けたことによる絶縁板7の絶縁性の低下も回避される。また、丸孔6aを有する絶縁紙6、および、長孔7aを有する絶縁板7に、孔を有しないことで大きな絶縁性を有する絶縁紙8を重ねて配置することで、上記の、絶縁紙6および絶縁板の絶縁性の低下をさらに回避することができる。
【0029】
また、図6に示すように、絶縁紙6の丸孔6aの領域全体が、絶縁板7の長孔7aの領域一部に重なっているため、コイル13の長手方向部分のコイル間13aから押し出され、丸孔6aを通過した空気が確実に長孔7aを通過することになり、空気抜けの効率を増大させることができる。
【0030】
また、図8に示すように、絶縁板7の長孔7aの一端が隙間CLに隣接するように、長孔7aを形成することで、絶縁紙6の丸孔6aを通過した空気が確実に隙間CLに放出される。このため、絶縁板7の空気抜け性能を大幅に高めることができる。
【0031】
(変形例)
絶縁紙6が有する孔の個数は、本実施形態に示した9個よりも少なくしてもよいし、多くしてもよい。また、絶縁紙6が有する孔の形状は、本実施形態に示した丸孔に限らず、長孔、角孔、楕円孔などさまざまにすることができる。
また、絶縁板7が有する孔の個数は、本実施形態に示した3個よりも少なくしてもよいし、多くしてもよい。また、絶縁板7が有する孔の形状は、本実施形態に示した長孔に限らず、丸孔、角孔、楕円孔などさまざまにすることができる。
また、絶縁板7の1つの孔(長孔7a)に重なっている絶縁紙6の孔(丸孔6a)の個数は、本実施形態に示した3個よりも少なくしてもよいし、多くしてもよい。
また、丸孔6aの位置は、絶縁紙6の任意の部分領域に形成することができ、例えば、コイル13の空気溜まりが形成され易い箇所に近接する部分領域に形成することができる。その場合、長孔7aの位置は、丸孔6aの位置に対応して、絶縁板7に形成すればよい。
【0032】
なお、本実施形態で説明した技術を組み合わせた技術を実現できる。
その他、本発明の装置を構成する部材の形状、配置などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【符号の説明】
【0033】
1 突極形回転子
2 回転子鉄心
3 軸近傍部
5 磁極部
6 絶縁紙(第1の絶縁体)
6a 丸孔(第1の孔)
7 絶縁板(第2の絶縁体)
7a 長孔(第2の孔)
8 絶縁紙(第3の絶縁体)
9,10 巻線ガイド絶縁物
12 コイルサポータ(巻線押え部材)
12a 爪部
13 コイル(巻線)
13a コイル間(巻線間)
20 コイルサポータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8