【実施例】
【0009】
[実施例1]
<1>大型タイル固定材の構成。
本発明の大型タイル固定材1は、レール材2と、レール材2に取り付ける複数の係合片3と、レール材2と係合片3を連結する連結ピン4と、からなる(
図1、2、3)。
本発明の大型タイル固定材1は建物の躯体壁面P(外壁、内壁)に水平に並列し、大型タイル5をレール材2に係止した状態で、係合片3を係合することで、大型タイル5を躯体壁面Pに固定する(
図4)。
大型タイル固定材1はステンレス鋼からなる。
【0010】
<2>レール材。
レール材2は、躯体壁面Pに固定する固定部21、固定部21の一方の側縁に設けるタイル係止部22、および、固定部21の他方の側縁に設ける係合片連結部23と、からなる。
【0011】
<2.1>固定部。
固定部21は、長尺の平板状の部材である。
固定部21には、所定の間隔を隔ててビス孔211を設ける。
【0012】
<2.2>タイル係止部。
タイル係止部22は、固定部21の一方の側縁から垂直に立設する部材である。
タイル係止部22は、先端を固定部21の方向に折曲して固定部21と平行な係止爪221を形成し、鉤状とする。
【0013】
<2.3>係合片連結部。
係合片連結部23は、固定部21の他方の側縁に設ける部材である。
係合片連結部23は、固定部21から垂直に立設する立ち上げ部231と、立ち上げ部231の先端に設ける係合片接合部232と、からなる。
係合片接合部232は、立ち上げ部231の先端を固定部21と逆方向に折曲することにより固定部21と平行に形成する。
係合片接合部232には、大型タイル5の幅と同じ間隔で、係合片接合部232の幅方向の長孔233を設ける。
【0014】
<3>係合片。
係合片3は、躯体壁面Pに固定する固定部31、固定部31の一方の側縁に設けるレール材連結部32、および、固定部31の他方の側縁に設けるタイル係合部33と、からなる。
【0015】
<3.1>固定部。
固定部31は、平板状の部材である。
固定部31には、所定の間隔を隔ててビス孔311を設ける。
【0016】
<3.2>レール材連結部。
レール材連結部32は、固定部31の一方の側縁に設ける部材である。
レール材連結部32は、固定部31から垂直に立設する立ち上げ部321と、立ち上げ部321の先端に設けるレール材接合部322と、からなる。
レール材接合部322は、立ち上げ部321の先端を固定部31と逆方向に折曲することにより固定部31と平行に形成する。
レール材接合部322には、ピン挿通孔323を設ける。
【0017】
<3.3>タイル係合部。
タイル係合部33は、固定部31の他方の側縁から垂直に立設する部材である。
タイル係合部33は、先端を固定部31の方向に折曲して固定部31と平行な係合爪331を形成し、鉤状とする。
【0018】
<4>レール材と係合片の接合。
レール材2の係合片接合部232の下面に、係合片3のレール材接合部322の上面が接するように重合する(
図2)。またはレール材2の係合片接合部232の上面に、係合片3のレール材接合部322の下面が接するように重合してもよい(
図3)。
このとき、レール材2の固定部21と係合片3の固定部31が同じ平面に位置するように、立ち上げ部231、221の高さを設定しておく。
そして、レール材2の長孔233と係合片3のピン挿通孔323に連結ピン4を挿通し、レール材2と係合片3を接合した状態で連結する(
図5a)。
このように連結することにより、長孔233の範囲内で係合片3がレール材2の幅方向に摺動可能となる(
図5b)。
また、長孔233をレール材2側、ピン挿通孔323を係合片3側に設けたが、係合片3側に長孔を設ける構成としてもよい。
【0019】
[実施例2]
次に、実施例1の大型タイル固定材1を用いた大型タイル乾式構造の構築方法を説明する。
【0020】
<1>大型タイルの構成。
大型タイル5は、一辺300〜600mmの平面視矩形の板体である。
大型タイル5の裏面には、大型タイル5の上端付近に設ける上溝部51と、下端付近に設ける下溝部52と、を設ける(
図6)。上溝部51と下溝部52はどちらも水平方向に連続する。
上溝部51と下溝部52の高さ方向の断面は、大型タイル5の裏面から表面に向けて、大型タイル5の外側方向に広がる形状とする。このような形状とすることにより、上溝部51の上端および下溝部52の下端には係合空間Sができる。
大型タイル5は焼成前に上溝部51および下溝部52を設けるため、焼成後の加工は行わない。焼成後の大型タイル5を加工することがないため、大型タイル5の強度低下や内部応力の残存がない。
【0021】
<2>構築方法。
(1)部材の搬入。
大型タイル固定材1および大型タイル5を、工場から施工現場へ搬入する。
大型タイル固定材1は、工場において予めレール材2と係合片3は連結しておく。
大型タイル5は上溝部51および下溝部52を大型タイル固定材1に係止して固定するため、従来のようなファスナー等の治具を使用しない。このため、大型タイル5は運搬時に重ね合わせることができる。これにより、保管空間を削減し、運搬コストを下げることができる。また、治具を養生するための養生材も不要となり、廃棄物が削減され、環境に悪影響を与えることがない。
【0022】
(2)レール材の固定。
大型タイル固定材1を施工を行う躯体壁面P表面に水平に配置する。このとき、係合片3を有する側が上方となるように配置する。
そして、ビス6を用いて躯体壁面Pにレール材2の固定部21を固定する(
図7a)。
大型タイル固定材1は、大型タイル5の高さと略同じ間隔で上下方向に複数段並列して固定する。
【0023】
(3)大型タイルの係止。
上下に並列する大型タイル固定材1のうち、上方の大型タイル固定材1のタイル係止部22に、大型タイル5の上溝部51を係止する(
図7b)。
下方の大型タイル固定材1は、係合片3を上方向に摺動しておく。すると、大型タイル5を係止した後に躯体壁面Pに沿わせた時、係合片3の係合爪331が大型タイル5の下溝部52内に位置する。
大型タイル5は裏面水平方向に連続する上溝部51を大型タイル固定材1に係止するため、大型タイル5設置作業中であっても、大型タイル5全体を大型タイル固定材1によって安定して保持することができる。
【0024】
(4)係合片の落とし込み。
係合片3を摺動させて、係合爪331を大型タイル5の下溝部52の係合空間S内に落とし込むことによって、係合片3と大型タイル5を係合する(
図7c)。係合片3を摺動させるだけであるため、施工が容易である。
そして、ビス6を用いて躯体壁面Pに係合片3の固定部31を固定する。
これにより、大型タイル5は、上方はレール材2、下方は係合片3により固定される。大型タイル5にかかる応力は横方向の全長に亘って支持する大型タイル固定材1に分散されるため、大型タイル5が破損する恐れがない。
【0025】
[その他の実施例]
<1>縦胴縁の配置。
躯体壁面Pに高さ方向に亘って縦胴縁7を固定し、その上面に大型タイル固定材1および大型タイル5を固定してもよい(
図8)。
大型タイル5を並列した際、目地部に大型タイル固定材1および縦胴縁7が裏当てされる構造となり、目地部から躯体側への雨水の浸入を防止できる。
縦胴縁7により、大型タイル5と躯体壁面Pとの間に空間が確保され、外断熱等の高機能壁に対応することができる。
また、縦胴縁7により、躯体壁面Pの不陸が調整でき、大型タイル固定材1および大型タイル5を均一に安定して固定できる。
【0026】
<2>係合片の回動。
上記実施例においては、係合片3がレール材2の幅方向に摺動可能に構成したが、係合片3がレール材2に対して回動可能に構成してもよい。
係合片3のレール材連結部32のレール材接合部322を一方の端部側を延設して延設部324を設け、その延設部324にピン挿通孔323を設ける。このとき、レール材2には長孔233の代わりにピン挿通孔234を設ける(
図9)。
そして、レール材2の係合片接合部232の上面に、係合片3のレール材接合部322の下面が接するように重合し、レール材2のピン挿通孔234と係合片3のピン挿通孔323に連結ピン4を挿通し、レール材2と係合片3を接合した状態で連結する。
このように連結することにより、連結ピン4を支点として、係合片3がレール材2に対して回動可能となる(
図10)。
【0027】
そして、大型タイル5を係止する際には、係合片3を上方向に回動しておき(
図11a)、大型タイル5を係止した後に係合片3を回動させて、係合片3の係合爪331を大型タイル5の下溝部52の係合空間S内に落とし込むことによって、係合片3と大型タイル5を係合する(
図11b)。係合片3を回動させるだけであるため、施工が容易である。
そして、ビス6を用いて躯体壁面Pに係合片3の固定部31を固定する。