特許第6282283号(P6282283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マフィン・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000002
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000003
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000004
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000005
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000006
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000007
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000008
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000009
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000010
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000011
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000012
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000013
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000014
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000015
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000016
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000017
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000018
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000019
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000020
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000021
  • 特許6282283-血管内フィルタの回収装置および方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282283
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】血管内フィルタの回収装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/01 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   A61F2/01
【請求項の数】28
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-549405(P2015-549405)
(86)(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公表番号】特表2016-505323(P2016-505323A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】US2013071254
(87)【国際公開番号】WO2014099244
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年7月13日
(31)【優先権主張番号】61/739,088
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512240408
【氏名又は名称】マフィン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MUFFIN INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マキニス,ピーター・エス
(72)【発明者】
【氏名】フィアノット,ニール・イー
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/003369(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0262506(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0182370(US,A1)
【文献】 特表2004−512133(JP,A)
【文献】 米国特許第07011681(US,B2)
【文献】 特表2003−503085(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0295306(US,A1)
【文献】 特表2009−530030(JP,A)
【文献】 特表2008−518728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
A61F 2/01
A61F 2/82 − 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体の血管から血管内フィルタを除去するための回収装置であって、前記回収装置は、
外管腔を規定する環状壁を有する外側シースと、
内管腔を規定する環状壁を有する内側シースとを備え、前記内側シースは、前記外管腔内に位置するとともに、前記身体の血管から前記血管内フィルタを除去する際に使用するために構成および配置され
前記内管腔内に位置する回収部材を備え、前記回収部材は複数のループを有するスネアを含み
前記回収部材のアプリケーション側に位置する超音波トランスデューサを備え、前記内側シースは前記超音波トランスデューサから独立して移動するように構成され
前記外側シース前記内側シースとの間に延びるガイドワイヤカニューレと、
前記回収部材のアプリケーション側に位置する拡張器とを備え、前記拡張器は、前記超音波トランスデューサに結合され、前記ガイドワイヤカニューレを受け、
前記複数のループは、前記血管内フィルタと位置合わせさせて前記内側シースを前記複数のループに向けて延ばすと前記スネアが前記血管内フィルタの一部に向かって閉じるようにするために、使用される、回収装置。
【請求項2】
前記回収部材は、複数のカニューレと、前記複数のループを形成する複数のループワイヤとを含み、各ループワイヤの一部分は1つのカニューレの中に延在し別の一部分は隣接するカニューレの中に延在する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記複数のループの各ループの上部は、同一平面上の配置に渡って屈曲される、請求項2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記複数のループは、相互接続された4つのループを含む、請求項2に記載の回収装置。
【請求項5】
前記複数のカニューレは共通のハブに接合されている、請求項2に記載の回収装置。
【請求項6】
前記複数のループの各ループの上部は、前記ガイドワイヤカニューレの傾斜部に隣接する、請求項2に記載の回収装置。
【請求項7】
前記回収部材は、相互接続された複数のカニューレを含む、請求項1に記載の回収装置。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサの制御側部は、前記外管腔内に受けられる、請求項1に記載の回収装置。
【請求項9】
前記ガイドワイヤカニューレは、アプリケーション側部と、制御側部と、前記アプリケーション側部と前記制御側部との間に配置される傾斜部とを含む、請求項1に記載の回収装置。
【請求項10】
前記外側シースは、前記超音波トランスデューサから独立して制御側方向に移動可能に構成され配置される、請求項1に記載の回収装置。
【請求項11】
前記回収部材は、前記超音波トランスデューサから独立してアプリケーション側方向に移動可能に構成され配置される、請求項1に記載の回収装置。
【請求項12】
前記外側シースおよび前記内側シースはそれぞれ、一方のシースが他方のシースから独立して移動可能なように協働して構成され配置される、請求項1に記載の回収装置。
【請求項13】
患者の下大静脈(IVC)からIVCフィルタを回収するための回収装置であって、前記回収装置は、
外管腔を規定する環状壁を有する外側シースと、
内管腔を規定する環状壁を有する内側シースとを備え、前記内側シースは、前記外管腔内に位置するとともに、前記IVCから前記IVCフィルタを除去する際に使用するために構成および配置され
前記内管腔内に位置する回収部材を備え、前記回収部材は複数のループを有するスネアを含み
前記回収部材のアプリケーション側に位置する血管内超音波(IVUSトランスデューサを備え、前記内側シースは前記IVUSトランスデューサから独立して移動するように構成され
前記外側シース前記内側シースとの間に延びるガイドワイヤカニューレを備え、前記ガイドワイヤカニューレは、アプリケーション側端部を含み、
前記回収装置のアプリケーション側端部に位置する拡張器を備え、前記拡張器は、前記IVUSトランスデューサに結合され、前記ガイドワイヤカニューレのアプリケーション側端部を受け
前記複数のループは、前記IVCフィルタと位置合わせさせて前記内側シースを前記複数のループに向けて延ばすと前記スネアが前記IVCフィルタの一部に向かって閉じるようにするために、使用される、回収装置。
【請求項14】
前記回収部材は、複数のカニューレと、前記複数のループを形成する複数のループワイヤとを含み、各ループワイヤの一部分は1つのカニューレの中に延在し別の一部分は隣接するカニューレの中に延在する、請求項13に記載の回収装置。
【請求項15】
前記複数のループの各ループの上部は、同一平面上の配置に渡って曲げられている、請求項14に記載の回収装置。
【請求項16】
前記複数のループは、相互接続された4つのループを含む、請求項14に記載の回収装置。
【請求項17】
前記回収部材は、相互接続された複数のカニューレを含む、請求項13に記載の回収装置。
【請求項18】
前記IVUSトランスデューサは、前記拡張器の制御側カウンタボアの隣に位置する、請求項13に記載の回収装置。
【請求項19】
前記ガイドワイヤカニューレは、前記IVUSトランスデューサの中を通って延在する、請求項18に記載の回収装置。
【請求項20】
前記ガイドワイヤカニューレの前記アプリケーション側端部は、前記拡張器の中に収容される、請求項19に記載の回収装置。
【請求項21】
外側シースと、内側シースと、複数のループと搬送装置とを有するスネアを含む回収部材と、超音波トランスデューサと、ガイドワイヤカニューレと、拡張器と、を備える回収装置を用いて患者(ヒトを除く)の身体の血管から血管内フィルタを回収する方法であって、前記超音波トランスデューサは撮像面を有し、前記方法は、
前記回収装置を提供するステップと、
患者の身体の血管内に前記回収装置を挿入するステップと、
前記撮像面が前記患者内の選択した場所と一致するように前記回収装置を位置決めするステップと、
前記回収部材を前記超音波トランスデューサから独立して前記撮像面に向けて移動させるように前記回収装置を操作するステップと、
前記外側シースを後退させて前記複数のループが外側に開いて展開するための開口部を形成することにより、前記スネアの一部を前記撮像面の中に位置決めするステップと、
前記複数のループを前記血管内フィルタと位置合わせするステップと、
前記内側シースを前記複数のループに向けて延ばすことにより、前記血管内フィルタの一部の上で前記スネアを閉じるステップと、
前記内側シースおよび前記スネアを前記血管内フィルタとともに前記外側シースの中に後退させるステップと、
前記血管内フィルタとともに前記回収装置を引き出すステップと、を含む方法。
【請求項22】
前記血管内フィルタは除去フックを含み、前記スネアの一部を位置決めするステップは、前記スネアの前記一部を前記除去フックの隣に位置決めするステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記血管内フィルタの前記一部は前記除去フックを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
患者の身体の血管から血管内フィルタを除去するための回収装置であって、前記回収装置は、
外管腔を規定する環状壁を有する外側シースと、
内管腔を規定する環状壁を有する内側シースとを備え、前記内側シースは、前記外管腔内に位置するとともに、前記身体の血管から前記血管内フィルタを除去する際に使用するために構成および配置され、
前記内管腔内に位置する回収部材を備え、前記回収部材は複数のループを有するスネアを含み、
前記回収部材のアプリケーション側に位置する超音波トランスデューサを備え、前記内側シースは前記超音波トランスデューサから独立して移動するように構成され、
前記外側シースと前記内側シースとの間に延びるガイドワイヤカニューレを備え、前記超音波トランスデューサは前記ガイドワイヤカニューレを受け、
前記複数のループは、前記血管内フィルタと位置合わせさせて前記内側シースを前記複数のループに向けて延ばすと前記スネアが前記血管内フィルタの一部に向かって閉じるようにするために、使用される、回収装置。
【請求項25】
患者の下大静脈(IVC)からIVCフィルタを回収するための回収装置であって、前記回収装置は、
外管腔を規定する環状壁を有する外側シースと、
内管腔を規定する環状壁を有する内側シースとを備え、前記内側シースは、前記外管腔内に位置するとともに、前記IVCから前記IVCフィルタを除去する際に使用するために構成および配置され、
前記内管腔内に位置する回収部材を備え、前記回収部材は複数のループを有するスネアを含み、
前記回収部材のアプリケーション側に位置する血管内超音波(IVUS)トランスデューサを備え、前記内側シースは前記IVUSトランスデューサから独立して移動するように構成され、
前記外側シースと前記内側シースとの間に延びるガイドワイヤカニューレを備え、前記ガイドワイヤカニューレは、アプリケーション側端部を含み、前記IVUSトランスデューサを受け、
前記複数のループは、前記IVCフィルタと位置合わせさせて前記内側シースを前記複数のループに向けて延ばすと前記スネアが前記IVCフィルタの一部に向かって閉じるようにするために、使用される、回収装置。
【請求項26】
前記超音波トランスデューサは、前記拡張器の制御側カウンタボアの隣に位置する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項27】
前記ガイドワイヤカニューレは、前記超音波トランスデューサの中を通って延在する、請求項26に記載の回収装置。
【請求項28】
前記ガイドワイヤカニューレのアプリケーション側端部は、前記拡張器の中に収容される、請求項27に記載の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2012年12月19日出願の米国仮出願第61/739088号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
以前に血管内に定置された血管内フィルタの回収に使用するための装置が開示される。また、開示された装置を血管内フィルタの回収に使用する方法が開示される。
【0003】
血管内フィルタ装置の必要性は、たとえば、外傷患者、整形外科手術患者、神経外科の患者、または安静または非運動を要する医学的状態を有する患者に、起こる可能性がある。そのような医学的状態では、患者の末梢血管系における血栓症の可能性がある場合、凝固材料、狭窄物質または他の粒子が血管壁から分離し、血管または他の損傷といった下流閉塞の危険があり、フィルタ装置の必要性が生じる。たとえば、そのような分離材料は、大きさに応じて、肺塞栓症の重大な危険を起こし得、すなわち、血塊が心臓を通って肺へと末梢血管系から移行し得る。たとえば、抗凝固療法が禁忌であるか、失敗したとき、フィルタ装置は、患者の血管系内に配備し得る。さらに近年では、フィルタは、手術前の患者および血栓症にかかりやすく塞栓症のリスクがある患者に使用または検討されてきた。
【0004】
IVCフィルタといった、説明されたタイプの血管内フィルタの設計の目的は、これらの塞栓を心臓および肺に到達するのを防止するように捕捉することが可能な構造を提供することにある。開示された装置および方法の特定の目的は、図示および説明する実施形態によって例示されるように、下大静脈(IVC)内に定置された血管内フィルタの回収、および患者からのその血管内フィルタのその後の除去に向けられる。IVCは、脚や骨盤の静脈、すなわち深部静脈血栓(DVT)を生じ得る塞栓の懸念に対処するために、患者における好ましい配置場所を表す。このような塞栓に対し、心臓や肺への流路は、IVCを通る通路を含む。本明細書で使用する「塞栓」という用語は、血流を通って移動し、血管に詰まると、血管を通ずる流れのある程度の閉塞を生み得るような構造、形状を有するものをいう。
【0005】
血管内フィルタの利点は、十分に確立されている。しかし、多くの場合、治療中にフィルタまたは繊維状の反応物質の内皮への付着の可能性から、このようなフィルタは患者から取り外し可能とは考えられていない。患者における血管内フィルタの配備に続いて、内膜増殖細胞は、血管の壁に接触するフィルタ束の周りに蓄積し始め得る。時間がたつと、そのような内部成長は、フィルタの除去を防止し得、または内皮の層を通して除去中に大きな外傷を負う危険性があり、患者にフィルタをそのまま残す必要がある。
【0006】
本開示の目的は、回収および除去プロセスの様々な段階を通しての回収装置のガイダンス方法や手段を含む、患者に定置された血管内フィルタの回収および除去方法にある。
【0007】
IVCフィルタを回収し、最終的に除去する目的のために定置されたIVCフィルタの配置、位置および向きを「見える化」を支援するため、現在の実行されている手順は、透視ガイダンスを使用している。この手順では、経皮回収セットと蛍光透視スイート(特別室)を使用している。また、蛍光透視スイートに対する患者の輸送が必要とされ、特に外傷患者の対して困難で時間がかかる可能性がある。フックの除去は本明細書に記載されるIVCフィルタ構造の構造部分であるが、回収手順の一部として使用されようとしている場合に、そのフックの除去は依然として何らかの方法で位置決めする必要があり、そのフックの向きを視覚化する必要がある。
【0008】
本開示による回収の手順は、回収装置とIVCフィルタと回収および除去の全体の手順に関連するステップとを視覚的にガイダンスするために血管内超音波(IVUS)トランスデューサを使用する。容易に見えてIVUSのガイダンスの下に配置し得るように設計されたスネアが回収装置の一部として含まれる。回収装置にIVUSトランスデューサを組み込むことにより、拡張器の使用を含め、回収手順は、単一のアクセスポイントを介して行うことができる。超音波ガイダンスの下の回収手順の実現は、現在承認されている(従来技術の)技術を用いては不可能である。例示的な実施形態によって提供される画像化および可視化は臨床医に安全な手続きの手順や結果においてより高い信頼性レベルを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
患者の身体の血管から血管内フィルタを除去するための回収装置は、外管腔を規定する外側シースと、外管腔内に配置され内管腔を規定する内側シースと、内管腔内に位置する回収部材と、回収部材のアプリケーション側に位置する超音波トランスデューサと、外側シースおよび内側シースの間に延びるガイドワイヤカニューレであってアプリケーション側端を含むガイドワイヤカニューレと、回収装置のアプリケーション側端部に位置し、上述の超音波トランスデューサと結合され上述のガイドワイヤカニューレのアプリケーション側端部を受ける拡張器とを備える。
【0010】
患者のIVCからIVCフィルタを回収するための回収装置は、外管腔を規定する外側シースと、内管腔を規定する内側シースと、内管腔内に位置し回収部材のアプリケーション側に配置されるIVUSトランスデューサと、外側シースと内側シースとの間に延びるガイドワイヤカニューレであって、アプリケーション側端部を含むガイドワイヤカニューレと、回収装置のアプリケーション側端部に位置し、ガイドワイヤカニューレにIVUSトランスデューサのアプリケーション側部に結合される拡張器とを備える。
【0011】
外側シースと、内側シースと、回収部材と、超音波トランスデューサと、ガイドワイヤカニューレと、拡張器と、を含む回収装置を用いて患者の身体の血管から血管内フィルタを回収する方法は、回収装置を提供するステップと、本体容器内に回収装置を挿入するステップと、選択された位置に回収装置を位置決めするステップと、回収部材の一部を移動させるように回収装置を操作するステップと、血管内フィルタの一部の上で回収部材を閉じるステップと、血管内フィルタとともに回収装置を引き抜くステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示による血管内フィルタの回収装置の部分断面における概略側面図である。
図2図1の回収装置の部品の1つを備える外側シースの、完全断面における側面図である。
図2A図2の外部シースの完全な形態における端面図である。
図3図1の回収装置の部品の1つを含む内側シースの完全断面における側面図である。
図3A図3の内側シースの完全な形態における端面図である。
図4図1の回収装置の構成部品のうちの1つを含む、スネアの概略斜視図である。
図5図1の回収装置の構成部品のうちの1つを含む、ガイドワイヤカニューレの完全断面における側面図である。
図5A図5のガイドワイヤカニューレの完全な形態での端面図である。
図6図1の回収装置の構成部品のうちの1つを備える、超音波トランスデューサの断片的な側面図である。
図6A図6の超音波トランスデューサの端面図である。
図7図1の回収装置の部品の一つを含む拡張器の完全断面における側面図である。
図7A図7の拡張器の完全な形態における端面図である。
図8図1の回収装置を使用する前にIVC内に定置された血管内フィルタの概略斜視図である。
図9図1および図8および開示される回収方法の第1ステップに相当する組み合わせの概略側面図である。
図10図1の回収装置の使用に関連する回収ステップのうちの別の1つの概略図である。
図11図1の回収装置の使用に関連する回収ステップのうちの別の1つの概略図である。
図12図1の回収装置の使用に関連する回収ステップのうちの別の1つの概略図である。
図13図1の回収装置の使用に関連する回収ステップのうちの別の1つの概略図である。
図14】本開示による代替のトランスデューサの先端とワイヤガイド装置の部分的な概略側面図である。
図15】本開示による代替のトランスデューサの先端とワイヤガイド装置の部分的な概略側面図である。
図16】本開示による代替のトランスデューサの先端構成の部分的な概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
選択された実施形態の説明
本発明の原理の理解を促進する目的で、図面を参照して図示された実施形態について説明し、特定の用語が等価物を記述するために使用される。しかし、本発明の範囲を限定することを意図されないことが理解されるであろう。実施の形態における任意の変更およびさらなる修正および、本明細書に記載される本発明の原理のさらなる応用は、本発明に関係する当業者にとって通常起こるであろうものとして考えられる。本発明の一実施形態が詳細に示されるが、当業者には明らかであるように、本発明に関連しないいくつかの特徴は、明確さのために示されない場合がある。
【0014】
図1図8および図9を参照して、血管内フィルタ22のための回収装置20が示される。実施の形態では血管内フィルタ22は、下大静脈(IVC)23内の位置決めにより規定されるようなIVCフィルタである。回収装置20は、外側シース24と、内側シース26と、スネア28と、ガイドワイヤカニューレ30と、超音波トランスデューサ32と、例示的な実施形態では拡張器34である先端部を含む。外側シース24の構造の詳細は、図2および2Aに示されている。内側シース26の構造の詳細は、図3および図3A示されている。スネア28の構造の詳細は、図4に示されている。ガイドワイヤカニューレ30の構造の詳細は、図5および5Aに示されている。超音波トランスデューサ32の構造の詳細は、図6および6Aに示されている。拡張器34の構造の詳細は、図7および7Aに示されている。装置20は、血管内装置であるので、その大きさ、形状、材料の選択は、静脈内に定置され移動する必要があるすべての装置およびデバイスと一致している。回収装置20およびIVCフィルタ22の相対的な向きと位置決めとの理解を補助するために(壁36によって表される)IVC23の断面が、図8および9に示される。回収装置20の手段や使用方法における重要な検討事項の一つは、所定の位置に回収装置をガイドしてIVCフィルタ22との係合とIVCフィルタ22の除去とを確保することである。スネア28は、共通の固定ベースを用いてカニューレ64を支持するする方法によって一体的に接合された複数のループ58を含む。複数のループ58を作成するワイヤはカニューレ64を介して滑り(スライド)し、カニューレごとに2つの(2)ワイヤストランドを有する。また、スネア28の一部には、スネア搬送装置29と制御ワイヤ31も含まれている。
【0015】
図1に示すように、文字Aは、ここではアプリケーション側、端または方向を表し、文字Cは、ここでは制御側、端または方向を示す。回収装置20の端部および構成部品の端部または側の向きと、動作または走行の方向の観点から、「アプリケーション側」(A)と「制御側」(C)の規則が採用され、本明細書中で使用される。これらの表現が示すように、装置20のまたは任意の部品のいずれかのアプリケーション側は、任意の治療、デバイスの配置などが発生する場所の方向またはより近くにある側または端部である。同様に、制御側は、医師が位置する場所の方向またはより近くにある装置20または任意の構成部品のいずれかの側または端部であり、制御機能またはアクションが実行される場所を表す。
【0016】
「近位」および「遠位」を使用した場合、基準の異なるフレームが存在し得るので、この採択の理由の1つは、明確さを追加するためである。医療分野では、「近位」は、典型的には、心臓により近いことを意味するが、これは、患者へのカテーテルなどの装置のエントリのポイントに基づいて変更し得る。論理的には、医療分野では、「遠位」は、典型的には、心臓から遠いことを意味する。他の分野では、「近位」は、典型的には、オペレータまたはユーザに近いことを意味し、「遠位」は、典型的には、オペレータまたはユーザから遠いことを意味する。「アプリケーション側」と「制御側」の規則を採用することにより、任意の近位−遠位のあいまいさが排除されるべきである。
【0017】
回収装置20は、ガイドワイヤカニューレ30を通って延びるワイヤガイド21を介して、IVC23に導入される。ワイヤガイド21は、本明細書に記載の回収(および除去)手順の間、もとの位置のままでもよいし、図9に示すように、回収装置20が一旦の適切に配置された後に除去してもよいが、ワイヤガイド21は、IVCフィルタ22が引かれており、回収装置の適切な除去のための必要がない。ワイヤガイド21は、回収装置20の初期導入に重要である。ワイヤガイド21の前進および位置決めは、既存の技術または方法の1つ(1)を用いて行われる。ワイヤガイド21に適した選択肢には、強化されたサポートを提供する固定芯線、形状記憶と操縦性と低い摩擦係数を提供する「ニチノール」ワイヤ、潤滑性コーティングを有する親水性ワイヤを含む。
【0018】
図8を参照して、壁36によって表されるIVC23内に配置されるように、回収され除去されるべきIVCフィルタ22が示されている。図9において、IVCフィルタ22は、IVC23内の回収装置20の初期配置に関連され組み合わされて示されている。回収装置20とIVCフィルタ22との間のこの図示の関係(図9参照)は、回収(そして最終的に除去)手順の最初のステップを表す。実際には既に発生している他の準備作業があるが、本明細書で図示および説明されている回収の手順としては、参照された「最初」のステップが、IVC23内に経皮的に配置されたIVCフィルタ22に近接して適切に設計された回収装置20を位置決めし定置することである。既に発生している別の「その他」のステップは、所望の位置にIVCフィルタ22を実際に運び、IVCフィルタ22の位置決めと向きの両方が、IVCフィルタ22の構造の一部として提供される除去フックを使用して塞栓の補足と取得との両方のために適していることを確実にすることである。
【0019】
図8を続けて参照すると、IVCフィルタ22は、複数の短ストラット38と複数の長ストラット40を含むように構成され配置されている、複数のバイアスばねのワイヤ脚部またはストラット30および40を含む。短ストラット38は、「セカンダリ」と呼ばれる。長ストラット40は、「プライマリ」と呼ばれる。これらの2つの(2)複数のストラット38および40はハブ44のアプリケーション側端部42への圧着によりともに確実に固定される。反対に、ハブ44の制御側端部46は、外側に延びる除去フック48を含む。除去フック48は、ハブ44の制御側端部46を越えて制御側方向に延びる。図示されるように、IVCフィルタ22が一旦配備されると、短ストラット38および長ストラット40はすべて、IVC23の壁36に触れるべきであり、IVC23の内部に渡ってまとめて分散されるべきである。理解されるべきは、IVCフィルタ22は、開示されてクレームされる発明の一部として使用し得るフィルタの1つの形式である。説明される回収装置(および方法)は、概念的に現在市販されているものの大部分を含む各種回収フィルタを回収するために使用することができる。
【0020】
IVCフィルタ22を導入(すなわち定置)した搬送装置を用いてIVC23内にIVCフィルタ22が配置され、これによりストラットは、ハブ44の制御側面または端部42だったものから、配向する。除去フック48は、次いでハブ44のアプリケーション側端部46として見られたところから延びる。回収可能であると考えられているフィルタの様々な形式がたとえば頚静脈内または大腿静脈内に代替的に配置し得ることに留意すべきである。どのような配置でも、フックは、心臓に向かう。換言すると、血液はストラットからフックに向けて流れる。本開示の図1では、本明細書で規定されるように制御側方向は文字Cで示され、アプリケーション側方向は、文字Aで示されている。回収手順については、回収装置20のエントリポイントは、搬送方向と反対である。しかし、制御側とアプリケーション側の参照は、規定されるように実質的に同じままである。ハブ44内にともに圧着されるかいくつかの他の方法または構造によるかどうかによらず、除去フック48とストラット38および40とが確実に接続することが重要である。IVCフィルタ22の回収と除去の際には、フック48は、回収装置20のループによって初期の係合のために使用されるだろう。フック48を引くことは、除去手順の一部であり、ハブに力を及ぼして順にストラット38および40に力を及ぼし、ハブからフックまたはストラットからハブのいずれかで分離しようとする傾向にある。一体に連結し、確実に接合した状態にあることは、回収および除去手順の一部として重要である。
【0021】
図2および図2Aに示すように、外側シース24は環状であり、可撓性スリーブが中空内部あるいは管腔52を規定する管状壁50に構成され配置される。本明細書に記載されるように意図された使用のために、好ましくは外側シース24の長さは約65センチメートルある。例示的な実施形態のゲージは、「Fr」スケールを使用して約8.5Frであり、または約2.83ミリメートルの外径である。7.0Frサイズ以下のように、より小さなシース径が許容されるであろうことが企図される。外側シース24の機能と用途を考慮すると、外側シース24に適した材料は、ポリエチレンおよび他の半可撓性プラスチックを含む。これらの材料は、または、一般的に円筒形の管またはスリーブの所望の開始形状に容易に形成されるか押し出すことができる、耐久性があるが可撓性の生体適合性材料を表す。外壁50の厚さは、材料選択に部分的に依存するが、0.008−0.020インチの範囲である。論理的には、耐久性が低く硬い材料ほど、僅かに厚い壁を必要とするであろう。
【0022】
外側シース24は、半径方向に最も外側の部品を表しているので、その内部寸法は、ワイヤガイドカニューレ30のアプリケーション側端部51および拡張器34を除く他の部品を収容するために選択される。同時に、シース24の外側管状壁の最大サイズは、IVC23内に配置し移動するために制限され制御されなければならない。外側シース24内にIVCフィルタ22の定置場所への経皮的進入を介して患者の外部に拡張するために十分な長さを有してもよい。このような実施形態では、たとえば、外側シース24の制御側部または端部、および/またはそれに取り付けられた操作部は身体の外側にあり、一方アプリケーション側部は、IVCフィルタ22に隣接し初期的にIVUSトランスデューサ32の制御側端部に延びている。好ましくは、外側シース24は、一体性を維持しながら血管を通って移動できるように、血管内カテーテルに用いられる材料といった、半可撓性プラスチックまたは他の材料である。現在利用可能なシースは、血管系におけるシースの配置によって当然に示唆されるように、中に収まるような折りたたまれたフィルタまたはスネアのような他の部品を許可するが、直径が小さくなるように寸法決めされている。
【0023】
内側シース26は、図3および図3Aに示すように、環状であり、中空の内管腔56を規定する管状壁54を用いて構成され配置された可撓性スリーブ26である。本明細書に開示されるような意図の使用のために、好ましくは、内側シース26の長さは約75センチメートルあり、外径は約1.2ミリメートルである。内側シース26の機能と用途とを考慮すると、内側シース26に適した材料は、ポリエチレンおよび他の半可撓性プラスチックを含む。これらの材料は、それぞれほぼ円筒形の管またはスリーブの所望の開始形状に容易に形成されるかまたは押し出すことができる、耐久性があるが可撓性の生体適合性材料を表す。外壁54の厚さは、材料選択に部分的に依存するが、0.004〜0.012インチの範囲である。論理的には、耐久性の低い硬い材料ほど、僅かに厚い壁を必要とするであろう。
【0024】
IVUSに適合するスネア28は、図4を参照し、4つの相互接続された断面に構成され配置されており、それらの各々は、本明細書でループ58として識別される。これらの4つの相互接続されたループ58は、それぞれテーパ状の端部60および幅広の外端62を有する形状とされる。各ループ58のほぼ涙型の形状はその全体形状を通して実質的に平坦ではない。代わりに、各ループ58の外端62(すなわち大きい方の端)は、図示されているように、半径方向外側の屈曲部を含む。この屈曲部は、ほぼ共通の幾何学的な面内、すなわち同一平面上の、各外端62、少なくとも各外端62の一部に配置する。この同一平面上の配置は、IVCフィルタ22の除去フック48を係合するための4つの(4)ループ58の各々の外端62を位置決めするのに役立つ。
【0025】
スネア28は、好ましくはポリイミドまたは代わりにステンレス鋼から構成され、ワイヤループ58の配備および構造的支持を補助するための4つの(4)カニューレ64が使用される。各カニューレ64は、隣接するカニューレとの間に延び各ループ58を形成するNiTiの2つ(2)の断面が含まれる。カニューレの断面は、共通のベースまたはハブ66でともにはんだ付けされる。ループ58は、除去フック48の周囲および上へとスネア28を閉じるために引き戻される(すなわち、対応するカニューレを通してスライドする)ことが可能である。IVUSの監視およびガイダンスの下で、スネア28の位置は、4つの(4)カニューレ64の位置を見ることによって決定することができる。
【0026】
ガイドワイヤカニューレ30は、図5および図5Aを参照して、中空内部79を規定する側壁77を有する環状の管状形状に構成され、配置されている。中空内部79の大きさは0.035−0.040インチのサイズの範囲内のワイヤガイドを受けて収容する。ガイドワイヤカニューレ30は、ほぼ管状の形状を有するものとして説明されているが、ガイドワイヤカニューレ30は、好ましくは、実質的に均一な側壁の厚さを有するほぼ円筒形の形状を有するであろう。このように、図5Aを参照し、カニューレ30の全体は、好ましくは、横断面でほぼ円形の形状を有し、中空内部79は、好ましくは横断面でほぼ円形の形状を持つだろう。ガイドワイヤカニューレ30は、アプリケーション側端部または先端51と、制御側部53と、2つ(2)の離間した屈曲部55および57と、を含み、屈曲部55および57はその間に傾斜部59を規定する。アプリケーション側端部51は拡張器34に位置し、IVUSトランスデューサ32を通るか通過して延びる。制御側部53は、回収装置20の内部を通って延びる部分を表す。2つ(2)の屈曲部55および57は、オフセット傾斜部59作成する。傾斜部59は、図9に示された初期位置においてスネア28のループ58に隣接して配置される。この傾斜部59は、エッジ位置から実質的に軸上の中心位置への位置合わせのシフトを生む。
【0027】
図6および6Aを参照すると、超音波トランスデューサ32は、IVCフィルタ22およびその定置と、スネア28の配備と、除去フック48とスネア28の一部を係合することによるIVCフィルタ22の回収と、を可視化する際に使用するために構成され配置される。超音波トランスデューサ32の血管内配置および使用を考慮し、IVUSという略語が適用され、トランスデューサ32、すなわちIVUSトランスデューサ32の省略形として本明細書中で使用される。この略語はまた、IVCフィルタ22の回収および除去をガイドし監視する方法を説明するために参照され使用される。IVUSトランスデューサ32は、本体65およびそのほぼ円筒形の外壁67によって規定されるほぼ円筒形の形状を有している。位置決めおよび位置合わせのために含まれているのは、アプリケーション側同軸ハブ32aと制御側同軸ハブ32bである。ハブ32aは、拡張器34の制御側端部74のカウンタボア内に収まる。
【0028】
代表的な実施形態では、IVUSトランスデューサ32は、セラミックスリーブ63によって包まれたステンレス製の筒状コア61を含む。セラミックスリーブ63の周りを包むのは、フレキシブルなプリント回路基板である。IVUSトランスデューサの「構造」は、複数の素子から構成されるアレイを含む。上記のアレイ型トランスデューサは、シーケンシャルに個々のアレイ素子を励起しスキャンを実行し、可動部分を有さない。代替の実施形態では、固定トランスデューサを備えたモータ駆動回転トランスデューサまたはモータ駆動鏡などがある。サイズの考慮事項により、モータは患者の外部であり、回転ケーブルによっていずれかの素子またはミラーに接続する。代替的に、モータは、マイクロサイズであり、カテーテルのアプリケーション端部に組み込むことができる。中心ボア69は、ガイドワイヤカニューレ30の一部を通して受け入れるように構成され配置されている。制御側端部のIVUSトランスデューサ32は管腔52のアプリケーション側端内で初期的に受けられる。
【0029】
図1図6図6A図9の例示的な実施形態によって表される構成は、ガイドワイヤカニューレ30と、ガイドワイヤ21と、IVUSトランスデューサ32と、拡張器34(すなわち回収装置20の先端)との間の具体的な配置および関係を提供する。代替の実施形態は、図14−16に示され、これらの各々は、以下により詳細に説明される。加えて、IVUSトランスデューサの選択、形式、構成、および動作は、例示的な実施形態のために開示されているものから変えることができることに留意されたい。1つ(1)の変形例が、図14−16に開示されているがさらに、3Dスキャン機能が選択されたIVUSトランスデューサに統合され得ることが企図される。3Dスキャン機能は、2つ(2)の異なる機械的軸においてモータ駆動するように構成され配置された単一素子のトランスデューサを含んでもよい。この3Dスキャン機能を提供するための別のオプションは、直線アレイトランスデューサを使用して、回転運動とそれを駆動することである。3Dスキャン機能を提供するための別のオプションは、十分な2次元の線形アレイを使用することである。このオプションでは行−列アドレススキームは、異なる伝達イベントの別の素子にアクセスするために使用される。
【0030】
拡張器34は、図7および図7A参照すると、制御側端部74からアプリケーション側端部76に収束するテーパ側壁72を有するほぼ円錐台の本体70を有して構成され、配置されている。本体70は、ガイドワイヤカニューレ30のアプリケーション側端部51を受ける同軸中心ボア78によって規定される。カウンタボア78aは、ボア78と同軸であり、IVUSトランスデューサ32のアプリケーション側ハブ32aを受け入れるような大きさと形状である。ガイドワイヤカニューレ30はワイヤガイド21と協働して使用され、IVCフィルタ22の回収のために回収装置20を位置決めするのを補助し、患者からIVCフィルタ22を除去するのを補助するために使用される。ワイヤガイド21は、除去ステップのために必要とされない。適切にこれらの統合された機能を実行するために、ガイドワイヤカニューレ30のアプリケーション側端部51が確実に中央ボア78内に固定される。この確実な関係は、好ましくは、カウンタボア78とアプリケーション側端部51の適合するサイズおよび形状を含む。拡張器34は、回収装置20のアプリケーション側端部に位置し、ガイドワイヤカニューレ30のアプリケーション側端部を受ける。
【0031】
図9−13を参照し、引き続き図1と8とを参照すると、これらの図は、定置されたIVCフィルタ22および患者からのそのIVCフィルタ22の除去における回収ステップまたは段階に関連する構造的構成を示す。回収方法の最初のステップは、静脈への回収装置20のエントリに続き、IVCフィルタ22の場所に対する回収装置20の適切な位置決めを確立することである。図9に、回収装置20の適切な初期位置合わせが示される。回収手順または方法のこの最初のステップの重要な側面は、IVCフィルタ22の除去フック48の位置とIVUSトランスデューサ32の撮像面84とが一致するように、回収装置20を配置することであるこの幾何学的な一致面は破線84で示されている。理解されるように、描画された図面は概略であり、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図示のように、スネア28の初期的に引き抜かれる折りたたまれたループ58は、外側シース24によって捕捉される。ループ58のばねバイアスの性質および部分的にループに使用されるワイヤは、この補足を可能にする。これらの特性は、補足する外側シースが引き戻されるときにスネア28が開くことを可能にして、ワイヤは、全体的な方法の次のステップの一部である操作である、ループ58を開くために延ばされる。
【0032】
IVCフィルタ22の回収および静脈から最終的に除去する方法の次のステップは、図10に示されている。このステップでは、外側シース24は、制御側の方向に僅かに引き戻される。この動作は、開口部92を作成する。拘束された外側シース24の除去はスネア28のループ58がその捕捉され、折りたたまれた状態から開かれることを可能とする。ループ58を備えるワイヤは、カニューレ64によって捕捉され、そこを通してスライドすることができる。閉じられたループが、開口部92を通ってアプリケーション側方向に向かって外側に拡張または移動する際に、開いて拡大することを可能とする。そして、このステップが実行された後、「IVUS適合する」スネア28は、アプリケーション側方向に前進され、除去フック48と整列される。この意図はスネア28のループ58の1つをIVCフィルタ22の除去フック48上へ「フックする(ひっかける)」ことができるように、または固定することができるようにすることである。スネア28のループ58の1つがフック48と係合する確率を向上させるための1つの技術は、各ループ58の上端62が同様に屈曲されすべての屈曲部62がほぼ互いに同一平面上にあるように、ほぼ平面状の構成に各ループ58の外端62を屈曲させることである。各ループ58の外端62のこれらの屈曲部を含む幾何学的な面は、除去フック48の湾曲部を含む幾何学的な面とほぼ一致する。IVUSトランスデューサ32を用いて画像化することにより、配置を確認することができる。
【0033】
ループ58および除去フック48との間に適切な関係があることがIVUS画像の可視化から表示された場合は、回収の方法は継続する。回収(および除去)方法における次のステップは、アプリケーション側方向に内側シース26を進めることである。このステップは、図11に示されている。内側シース26はスネア28とは独立して、また外側シース24とは独立して移動させることが可能である。個々ループ58のテーパ設計およびハブのアプリケーション側面への共通の接続は、アプリケーション側、内側シースの開放端部を、ハブ上および接合ループ58の開始部分(すなわちベース)上を容易にスライド可能とする。一旦ハブおよび個々のループの端部が内側シース26の開放端内に受けられると、内側シース26は容易に、図11に示した位置に前進することができる。折りたたまれている各ループの大きさを減らすように、ループ58を含むワイヤは、同時に幾分か引き抜くことができる。
【0034】
前進する内側シース26がループ58を閉じてかたく入れ子にし、そうすることで、除去フック48の周りでループ58が確実に閉じられる。IVUSトランスデューサ32は、方法の一部のステップとしてこれらの構成部品の動きを画像化するために使用される。IVUSトランスデューサ32は、スネア28が適切にIVCフィルタ22の回収および除去のために除去フック48に係合することを確実にするために、ループ58および除去フック48との間の関係を監視するために使用される。
【0035】
記載される方法の次のステップは、図12に示すように、アプリケーション側方向に約5.5センチメートル回収装置20を進めることである。この距離は、シースマーカー(図示せず)を用いて測定される。次のステップでは、図13に示すように外側シース24は、アプリケーション側方向に前進される。外側シース24のこの作用は、外向きに延びるストラット38と40とを係合させ、内側に折りたたまれるようにさせる。ストラット38および40の外側シース24への作用によって加えられる力は、静脈の壁からストラットの分離を開始する。前進を継続すると、図13を参照して、IVCフィルタ22は、回収装置20内に捕捉される。外側シース24が一旦IVUSトランデューサ32上の終了位置に前進されると、回収装置20は、今度は補足されたIVCフィルタ22を用いて患者の静脈から除去される準備が整う。
【0036】
IVUSトランスデューサ32の使用は、超音波ガイド下でIVCフィルタ22を回収することを可能とし、従来技術の代表としての経皮的回収セットとX線透視スイートの使用を向上させることができる。回収スネア28は、容易に視認できIVUSのガイダンスの下に配置することができるように構成され、配置されている。回収装置20は、拡張器34の制御側端部に隣接する装置20に組み込まれたIVUSトランスデューサ32を含むように構成され配置されている。ガイドワイヤカニューレ30は、IVUSトランスデューサ32を通って延び、ガイドワイヤカニューレ30の端部は、拡張器34の内に受けられる。この構成は、カテーテルの交換を必要とすることなく、単一のアクセスポイントを介して実行されるIVCフィルタ22の回収および除去方法を可能にする。回収装置は、IVCフィルタ22の回収中のIVUSトランスデューサ32の撮像面における重要なスネア28およびIVCフィルタ22の機能を維持するために構成され、配置されている。
【0037】
回収装置20は、IVCフィルタ22の回収を超音波ガイド下で簡単に行うことを可能にする。この態様を容易にするために、スネア28はその位置決めが超音波誘導下で容易に確認できるように構成され、配置されている。開示された方法の回収ステップ中のIVCフィルタ22の位置とスネア28の場所といった関連する情報がその撮像面にキャプチャされるように、IVUSトランスデューサが配置されている。述べたように、これのすべては、カテーテルの交換を必要とすることなく、単一のアクセスサイトを介して達成される。
【0038】
図14〜16を参照して、回収装置のアプリケーション側端部のための3つの(3)他の実施形態が示される。最初に図14を参照して、埋め込まれたIVUSトランスデューサ102を含むIVUSフィルタ回収装置100が開示される。この実施形態は、IVUSトランスデューサ102と「迅速交換」ワイヤガイド104と先端106との設計オプションを提供する。この実施形態は、IVUSトランスデューサ102の特定の構成に依存しない。
【0039】
任意には、IVUSトランスデューサは、中空であってもよいし、中空でなくてもないが、後者がIVUSトランスデューサ102として開示される。このため、利用可能であり、回収装置100の図示された構造と互換性があるような代替案は、1つの(1)オプションとして、トルクケーブル駆動トランスデューサの使用を含む。その他のオプションは、様々な構成のオンサイトのモータ回転トランスデューサ、アレイトランスデューサ、3Dトランスデューサの使用を含む。
【0040】
回収装置は、スネア28と機械的支持108とを含み、機械的支持108は、先端106およびトランスデューサ102が配置されるカテーテル110のアプリケーション側または端部と、スネア28およびカテーテル110の本体とが配置される制御側または端部との間の接続を提供する。
【0041】
図14の例示的な実施形態では、機械的支持108は中空であり、ワイヤガイド、トランスデューサケーブル、トルクケーブル、流体管腔、などを受けることができるように構成され、配置されている。代替的に、機械的な支持は、固体部材であってもよい。文字Aで示されるアプリケーション側または端部は、トランスデューサ102の1つの(1)端に隣接する先端106を含む。
【0042】
図14、15および16に示すように、いくつかの設計オプションが、トランスデューサの先端106に利用できる。図14に関連する1つの(1)のオプションは、迅速交換管腔112を用いてトランスデューサの先端部106を構成することである。図15に関連する別のオプションは、ワイヤガイド114の1つの(1)端部がトランスデューサの先端116のアプリケーション側または端部の受開口部118に永久的に埋め込まれるように、ワイヤガイド114とトランスデューサの先端116とを構成することである。図16に関連する別のオプションは、ワイヤガイド(104、114)を除去し、代わりに先端120のアプリケーション側または端部を実質的に半球形状に丸くして形成することである。先端または面におけるこの実質的な半球形状は、対応する回収装置が所望の位置に移動される際に血管の穿刺または引き裂きのリスクを低減する。
【0043】
本発明は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明してきたが、同じことが例示的であり文字において限定的ではないと考えられるべきであり、好ましい実施形態のみが示され説明され、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神内にあるすべて変更、均等物、および修正が保護されることが望まれると理解される。本明細書で引用したすべての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み込まれその全体が本明細書に記載されると示されるように、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図2A
図3
図3A
図4
図5
図5A
図6
図6A
図7
図7A
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16