【文献】
WATANABE, S et al, Cancer Res, 2011 April, vol.71, No. 8 suppl, Abstract 2417
【文献】
REGALES, L et al, J Clin Invest, 2009, vol.119, no.10, p.3000-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
EGFRは、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫及び結腸直腸癌などのいくつかの固形悪性腫瘍に発現し、異常又は無制御のEGFR活性が非常に多くの腫瘍形成工程の一因となることが知られている。肺癌は、依然として先進工業国における癌死の主要な要因のままである。肺で生じる癌は、顕微鏡下で細胞がどのように見えるかにより、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌の2つの主な種類に分けられる。非小細胞肺癌(扁平上皮癌、腺癌及び大細胞癌)は、概して小細胞肺癌よりもゆるやかに他の臓器に広がる。肺癌のケースの約75%が非小細胞肺癌(例えば腺癌)に分類され、残り25%は小細胞肺癌である。進行性疾患の患者において、化学療法は生存率において適度に有益であるがかなりの毒性の代償があり、重篤な遺伝子損傷を特に対象とし、腫瘍の成長を標的とした治療薬の必要性が強調されている(Schiller JHら, N Engl J Med, 346: 92-98, 2002)。
EGFRの過剰発現(上方制御として知られる)又は過活性の原因となる突然変異は、肺癌、肛門癌及び多形性膠芽腫などの多くの癌と関連付けられてきた。EGFRの突然変異、増幅若しくは誤制御又はファミリーのメンバーは、全ての上皮癌の約30%に関与している。その結果として、EGFRの突然変異はいくつかの種類の癌において確認され、2つのアプローチ:(1)EGFRに対するリガンドの結合を防止する標的モノクローナル抗体(mAB)、及び(2)受容体の細胞内触媒活性を阻止する小分子チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を用いた、EGFRに向けられた抗癌療法の発展をもたらした。発疹又はニキビ様症状により特徴付けられる皮膚毒性及び異なる度合の下痢は、EGFRを標的とする治療の最も一般的な副作用である(Expert Opin. Investig. Drugs(2009)18(3), 293-300)。
ヒト/マウスのキメラIgG1 mAbのセツキシマブは、EGFRのシグナル伝達を下方制御し、次に細胞増殖を阻害し、アポトーシスを誘導して血管形成を減少させる。化学療法を用いた組み合わせにおけるセツキシマブは、転移性結腸直腸癌の治療及び局所進行性かつ転移性の頭頸部癌の治療において、保健機関により承認されている。セツキシマブはまた、従前のEGFR TKI治療後の進行性NSCLCの患者において、単剤としてわずかな臨床活性を実証した(Neal JW, Heist RS, Fidias P, Temel JS, Huberman M, Marcoux JP, Muzikansky A, Lynch TJ, Sequist LV; J Thorac Oncol. 2010 Nov; 5(11):1855-8: Cetuximab monotherapy in patients with advanced non-small cell lung cancer after prior epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor therapy)。パニツムマブ(panitumumab)(VECTIBIX(商標))は、EGFRに対するヒトIgG2 mABであり、転移性結腸直腸癌の治療において承認されている。臨床開発における他のモノクローナルは、ザルツムマブ(zalutumumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、マツズマブ(matuzumab)及びネシツムマブ(necitumumab)である。
【0003】
第1世代の小分子HER TKIとして、ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(商標))及びエルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(商標))が挙げられ、両方ともEGFRに可逆的に結合する。ゲフィチニブは、腫瘍にEGFR変異を含む進行性NSCLCの全ての治療において示され、エルロチニブは、従前の化学療法の後であるがEGFR変異が陽性であるNSCLCの全ての発達過程において、進行性NSCLCの治療法として示される。これらの新薬はEGFRを直接標的にする。患者は、組織検査が変異を示すかどうかにより、EGFR陽性(EGFR
+)及びEGFR陰性(EGFR
-)に分けられた。薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある、EGFR陽性の患者は、従来の化学療法に対する反応率を超える、最大60%の反応率を示した。
第二世代の小分子TKIが、EGFR、好ましくはEGFRのシステイン773に不可逆的に結合する、不可逆的EGFR阻害剤として設計された。非限定的な例として、米国特許番号6,002,008、米国特許番号7,019,012、米国特許番号6,251,912、WO 02/50043、WO 2004/074263、WO 2005/037824、WO 2008150118(具体的には実施例36の化合物、1-(4-(4-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、又はWO 2011155793に開示されるような酸性添加剤で形成されるその塩)に開示される化合物、EKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357、CI-1033(カネルチニブ)、WZ 3146、WZ 4002、WZ 8040(Wenjun Zhouら: Novel mutant-selective EGFR kinase inhibitors against EGFR T790M, in Nature 2009, Vol. 462, 1070-1074により開示される3つのWZ化合物の構造)、BIBW 2992又はPF-00299804が挙げられる。BIBW 2992(アファチニブ(afatinib))及びPF-00299804(ダコミチニブ)は、両方とも、NSCLCの治療における先進の臨床開発において、最先端の第二世代小分子TKIである。
【0004】
より具体的にはBIBW 2992は、本明細書においてはそのINNアファチニブ(afatinib)によっても言及され、化合物4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
【化1】
として知られており、好ましくはマレイン酸塩、BIBW 2992:マレイン酸 1:2として用いられる。
【化2】
【0005】
BIBW 2992は、erbb1受容体(EGFR)並びにerbB2(Her2/neu)及びerbB4(Her4)の受容体型チロシンキナーゼの強力な不可逆的かつ選択的な二重阻害剤であり、経口的に投与されうる。さらにBIBW 2992は、EGFR及びHER2に共有結合することにより、それが結合した受容体分子を不可逆的に不活性化するように設計された。この化合物、二マレイン酸塩などのその塩、それらの製剤、並びにBIBW 2992又はその塩、BIBW 2992及びBIBW 2992を含む組み合わせで治療すべき指示を含んでいる製剤処方は、WO 02/50043、WO 2005/037824、WO 2007/054550、WO 2007/054551、WO 2008034776及びWO 2009147238に開示されている。
PF-00299804は、経口の不可逆的pan-HER TKIであり、より具体的にはHER1、2及び4チロシンキナーゼ阻害剤である。前臨床試験において、PF-00299804は野生型及び変異型EGFR(エルロチニブ及びゲフィチニブといった現在入手可能なEGFR阻害剤に耐性があるNSCLCの形態を含む)の両方において、シグナル伝達の阻害を示した。前臨床の研究結果は、PF-00299804が、EGFR又はERB-B2変異を有するNSCLC、及びEGFR T790M変異(ゲフィチニブ及びエルロチニブに対する耐性を作り出す)を含むNSCLCに対し、臨床的に有効でありうることを示唆する(Expert Opin. Investig. Drugs (2010) 19(12): 1503-1514)。
PF-00299804(ダコミチニブ)は、化合物N-[4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-メトキシ-キナゾリン-6-イル]-3-ピペリジン-1-イル-アクリルアミドであり、WO 2005107758に実施例2及び3として以下の構造で開示される。
【化3】
【0006】
EKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357及びCI-1033の特性は公表されており、例えばExpert Opin. Investig. Drugs 2009, 18(3), 293-301に説明されている。NSCLCの治療のためのEKB-569の開発は数年前から中止されている。HKI-272が、T790Mを介した耐性を薬理学的レベル以上の濃度においてのみ克服できるとの報告もある(N. Godin-Heymannら, The T790M “gatekeeper” mutation in EGFR mediates resistance to low concentrations of an irreversible EGFR inhibitor. Mol. Cancer Ther. 7, 2008:874-879)。注目すべきことに、NSCLCの治療のためのHKI-272の開発は、第2相試験が、化合物がTKIからの従前の便益を受けていた患者及びTKI未投与の患者において低い活性を有することを示した後、潜在的には下痢に制約される用量制限からの不十分な生物学的利用能により、中止された(L. V. Sequistら, J. Clin . Onc. 28 (18), 2010, 3076-3083)。有望な前臨床の結果及びHKI-272の高い潜在性とは裏腹に、これらは臨床的上の便益には変換されず、この分野において低いレベルの予測可能性を示している。
EGFR変異を有するNSCLC患者における初期反応にもかかわらず、平均およそ12ヶ月後に獲得耐性が発現する。獲得耐性の合意された定義には、単剤のEGFR-TKI(例えばゲフィチニブ又はエルロチニブ)を用いて従前治療された患者;以下のどちらか一方又は両方:薬物感受性に関連することが知られているEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍又はEGFR−TKIを用いた治療からの客観的な臨床上の便益;少なくとも24週にわたるEGFRを標的とする治療による連続的治療中の当技術分野で知られるRECIST基準を適用する疾患の体系的な進行が挙げられる。
固形腫瘍における反応評価基準(RECIST)については、P. Therasseら, J Natl Cancer Inst 2000, 92, 205-216; J. Clin. Oncol. Vol 24, No. 20, 2006, pp 3245-3251; 又はEisenhauer EA, Therasse P, Bogaerts J, Schwartz LH, Sargent D, Ford Rら, New response evaluation criteria in solid tumours: 改訂版RECISTガイドライン(第1.1版) Eur J Cancer 2009;45:228-247に記載されている。腫瘍の進行の監視は、治療が開始された後の時点間の腫瘍の状態の比較により、又は治療が開始された後の時点と治療開始前の時点の間の腫瘍の状態の比較により測定されうる。腫瘍の進行は、治療中に視覚的に、例えば放射線により、例えはX線、CTスキャン又は当業者に知られた他の監視方法により監視され、癌の心悸亢進又は腫瘍バイオマーカーレベルを測定する方法が挙げられる。
【0007】
初期のEGFR変異(エルロチニブ及びゲフィチニブ感受性に関連する)に加えて、獲得EGFR-TKI耐性を有する患者のおよそ半分が、ATPに有利な受容体親和性を変更しうるチロシンキナーゼのATP結合ポケットに第2のEGFR変異(T790M)を有する。これらの第2の変異は、癌細胞が変異型EGFRによりシグナル伝達し続けることを可能にし、EGFR-TKIに対する獲得耐性を有する患者において、腫瘍の成長及び増殖がEGFRに依存したままであることを示唆する。
MET腫瘍遺伝子の存在は、耐性の二次供給源として報告された(Jackman D, Pao W, Riely GJ, Engelman JA, Kris MG, Janne PAら, Clinical definition of acquired resistance to epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitors in non-small-cell lung cancer, J Clin Oncol 2010;28:357-60)。
2010年の時点では、耐性を克服又は予防するための認められたアプローチの臨床的な合意はなく、この設定における特定の薬物又は薬物の組み合わせの規制認可もない。
【0008】
癌、特に肺、卵巣、胸部、脳、大腸及び前立腺の癌といった上皮細胞癌の十分な治療のための重要な医学的必要性が当技術分野において存在し、それはEGFRを標的とする治療の便益及び患者の癌により示される非反応性を克服することを包含する。したがって、本発明の根底にある課題は、改善された有効性及び改善された又は少なくとも許容可能な耐性により特徴付けられる、上皮細胞癌を患う患者の改善された治療法を確立することであり、以下の患者集団を含む。
(a)TKI未投与の癌患者であって、ここで改善がTKI治療に対する耐性を予防又は遅延することを含む患者、
(b)野生型EGFRを発現している腫瘍を有する患者(上記のEGFR
-)、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者(上記のEGFR
+)、
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで改善がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性を克服することを含む患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで改善がTKI治療に対する耐性を克服することを含む患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで改善がTKI治療に対する耐性を予防/克服することを含む患者集団、及び
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで改善がTKI治療に対する耐性を予防/克服することを含む患者集団。
【0009】
ゲフィチニブ又はエルロチニブに対する獲得耐性を有するNSCLC患者の治療の選択肢を改善するための1つのアプローチは、TKI及び抗EGFR mABを組み合わせることによる全受容体の遮断の概念に従った。これはS. Ramalingamら, Journal of Thoracic Oncology Vol. 3, Number 3, March 2008, 258-265によりまとめられている。その仮定は、組み合わせにより、EGFRの垂直阻害と下流活動の解消促進を同時に達成することが可能でありうることである。阻害剤のいずれかの種類単独に曝露された後の残存するEGFRの活性は、癌細胞を生存させたままにすることがあるが、同時の二重阻害はアポトーシスをもたらす。異種移植モデルにおける結果はこの仮定を支持する:いずれかの薬剤単独を用いた治療と比べて、セツキシマブがエルロチニブ又はゲフィチニブとの組み合わせにおいて投与された際には相乗効果が見られる。セツキシマブは、潜在的にTKIに対する感受性を高めながら、細胞表面上でEGFRを下方制御することが示された。結論としては、セツキシマブとエルロチニブはインビトロでのアポトーシス活性に関して相乗的なようであり、インビボでの追加的な腫瘍の成長阻害をもたらした。
【0010】
しかしながら、問題はこれらの初期結果を臨床上の便益に変換できるかどうかである。S. Ramalingamらは、白金を用いた化学療法により従前治療された進行性/転移性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対し組み合わせで投与する際の、セツキシマブ及びゲフィチニブの最適用量を決定するために実施された第I相試験の結果について報告している。従前の白金を用いた化学療法により治療された進行性/転移性のNSCLC患者は、漸増用量の週1回のセツキシマブ(100、200及び250mg/m
2、静脈注射(iv))及び固定用量のゲフィチニブ(250mg/日、経口(PO))を、疾患の進行又は許容できない毒性となるまで摂取した。報告された結果は、セツキシマブ及びゲフィチニブの組み合わせは安全に投与されうるが、進行性/転移性のNSCLCにおいてわずかな活性しか有さないことを示す。
Y. Y. Janjigianら, Clin Cancer Res 2011, 17: 2521-2527は、肺腺癌でありエルロチニブに対する獲得耐性を有する19人の患者を参加させた、セツキシマブ及びエルロチニブの第I/II相試験について報告する。肺腺癌であり、臨床的に定義されたエルロチニブに対する獲得耐性を有する患者は、毎日100mgのエルロチニブと、3漸増用量群(250mg/m
2、375mg/m
2及び500mg/m
2)における2週毎のセツキシマブとを一緒に用いて治療された。その後2段階の試験において、推奨第II相用量が、主要エンドポイントの客観的な反応率により評価された。特定された推奨第II相用量は、2週毎のセツキシマブ500mg/m
2及び毎日のエルロチニブ100mgである。この用量及び計画において、放射線写真の反応は見られなかった。実際には、2週毎のセツキシマブ500mg/m
2及び毎日のエルロチニブ100mgを用いた組み合わせのEGFR阻害は、エルロチニブに対する獲得耐性を有する患者において顕著な活性を有さなかった。試験の第2相部分において、重大な許容性の問題が発生した。一般的な2、3及び4度の毒性は、発疹(13人の患者、68%)、倦怠感(12人の患者、63%)及び低マグネシウム血症(14人の患者、74%)であった。31%(19人の患者のうち6人)は、耐え難い発疹により治療を中止した。
【0011】
S. Ramalingamら及びY. Y. Janjigianらは双方とも、セツキシマブと可逆的(第1世代)TKIとの組み合わせにより得られた臨床結果について報告している。対照的に、L. Regalesら, J. Clin. Invest. 119 (10), 2009: 3000-3010は、最も一般的なEGFR TKIの耐性突然変異、T790Mを克服するための方策を評価することに焦点を置いて、EGFR
L858R(エルロチニブ感受性)、EGFR
T790M(エルロチニブ耐性)又はEGFRL858R+T790M(エルロチニブ耐性)により引き起こされる肺腺癌を発症している遺伝子導入マウス肺腫瘍モデルにおける、不可逆的(第2世代)TKIのBIBW 2992により得られた結果を報告している。この研究において言及された他の薬剤はHKI-272(ネラチニブ)及びPF-00299804であったが、結果の報告はなかった。論理的根拠は、他(E. L. Kwakら, Irreversible inhibitors of the EGF receptor may circumvent acquired resistance to gefitinib. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 2005, 102:7665-7670; T. A. Carterら, Inhibition of drug-resistant mutants of ABL, KIT and EGF receptor kinases. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 2005, 102:11011-11016)により公表された前臨床の調査が、第2世代の不可逆的EGFR阻害剤が少なくともインビトロでT790Mを介した耐性を克服しうることを示唆したことであった。EGFR変異を含む腫瘍があるマウスが、不可逆的EGFR TKIのBIBW 2992及びEGFR特異抗体セツキシマブなどのさまざまな抗がん剤を用いて治療された。両方の薬剤一緒の組み合わせのみが、T790M変異を含んでいるエルロチニブ耐性腫瘍の劇的な縮小をもたらすことが分かった。
【0012】
NSCLCでありエルロチニブ又はゲフィチニブに対する獲得耐性を有する患者における最大許容量(MTD)及び推奨第II相用量を決定することを主目的とする、セツキシマブとの組み合わせでのBIBW 2992を用いた、連続的な1日1回の経口治療の非盲検第I相臨床試験が、主題の特許出願の優先日時点でClinicalTrials.govに開示された(識別番号NCT01090011、ClinicalTrials.govの公文書サイトへのリンクを通して入手可能な変更履歴を含む)。投薬計画についての以下の定性的情報が公的に入手可能であった:
・中間のBIBW 2992を1日1回と、低、中及び高用量でのセツキシマブの注入を隔週で摂取する患者、
・BIBW 2992の中間用量とセツキシマブの3用量(低、中及び高)。
結果又は完全な用量は開示されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の詳細な説明)
先行技術において報告された結果、すなわちゲフィチニブ/セツキシマブ又はエルロチニブ/セツキシマブの二重標的化は、肺腺癌であり可逆的TKIに対する獲得耐性を有する患者の治療において活性を有さないということに基づいて、及びそのような組み合わせについて報告された低い許容性の観点において、又は前臨床データに基づいて予測されたものよりも、不可逆的TKIとヒトEGFR標的mABとの組み合わせは、意外にも、顕著にさらなる活性を有することが、臨床結果により支持されて判明した。
不可逆的TKI及びmABは、個々の薬物の推奨用量において良好な許容性にて組み合わせることができ、これは上記で要約された、S. Ramalingamら, Journal of Thoracic Oncology Vol. 3, Number 3, March 2008, 258-265及びY. Y. Janjigianら, Clin Cancer Res 2011, 17: 2521-2527により報告された、ゲフィチニブ/セツキシマブ又はエルロチニブ/セツキシマブの組み合わせの低い活性及び許容性の観点においては予測されなかったことである。
臨床試験データは、本発明の組み合わせの活性が、TKI治療に対するT790Mを介した耐性に限定されないことを支持する。すなわち、TKI治療に対するT790Mを介した(T790M+:T790Mを含む腫瘍)獲得耐性を克服するだけでなく、T790Mに起因しない(T790M-:T790Mを含まない腫瘍)獲得耐性、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序又は未知の起点に起因する獲得耐性も克服する。先行技術においては、この様なことを示す証拠はない。
これらの研究結果は、本発明の組み合わせ治療が、無制御のヒト上皮成長因子受容体(HER/Human EGFR)によって引き起こされる癌、例えば上皮細胞癌のEGFRを標的とする治療に対し、治療指標の顕著な改善の潜在性を有することを示唆する。これらの研究結果は、BIBW 2992とセツキシマブの組み合わせにより得られる臨床結果により支持される。
無制御のヒト上皮成長因子受容体(HER/ヒトEGFR)によって引き起こされる癌を患う患者としては、限定されないが、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌及び結腸直腸癌(CRC)(それらの転移型を含む)を患う患者が挙げられる。好ましい適応症はNSCLC及びHNSCCであり、とりわけNSCLCである。
【0015】
さらに、上記の癌の適応症の1つを有する患者は、本発明の方法により有利に治療されることができ、以下の患者集団を含む:
(a)TKI未投与の癌患者であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防又は遅延を提供する患者、
(b)野生型EGFRを発現している腫瘍を有する患者、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記治療がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者集団、及び
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者集団。
【0016】
好ましくは、上記の癌の適応症の1つを有する以下の患者集団が、本発明の方法により有利に治療されうる:
(c)EGFRの突然変異型(EGFR
+)を発現している腫瘍を有する患者、
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記治療がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者集団、及び
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防/克服を提供する患者集団。
【0017】
より好ましくは、上記の癌の適応症の1つを有する以下の患者集団が、本発明の方法により有利に治療されうる:
(c)薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者集団、及び
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者集団。
【0018】
最も好ましくは、上記の癌の適応症の1つを有する以下の患者集団が、本発明の方法により有利に治療されうる:
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者集団。
特に好ましくは、上記の癌の適応症の1つを有する以下の患者集団が、本発明の方法により有利に治療されうる:
(h')T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、獲得耐性を有する患者集団であって、ここで前記治療がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者集団。
【0019】
本発明の態様に関して適切な不可逆的TKIとして、限定されないが、EKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992又はPF-00299804、及びそれらの塩、好ましくは医薬的に許容可能な塩、水和物又は溶媒和物(多形体を含む)が挙げられる。好ましいTKIは、BIBW 2992及びPF-00299804である。最も好ましいものはBIBW 2992である。
本発明の態様に関して適切なさらに別の不可逆的TKIとして、1-(4-(4-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、WZ 3146、WZ 4002、WZ 8040、及びそれらの塩、好ましくは医薬的に許容可能な塩、水和物又は溶媒和物(多形体を含む)が挙げられる。
本発明の態様に関して適切なmABとして、限定されないが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、及びマツズマブが挙げられる。好ましいmABは、セツキシマブ及びパニツムマブである。最も好ましいものはセツキシマブである。本発明の態様に関して適切なさらなるmABは、ネシツムマブである。
【0020】
本発明の文脈において言及される不可逆的TKI及びmABは、本発明の特定の態様に関して互いに組み合わせることができる。
本発明の全ての態様に関して適切な具体的な組み合わせは、
EKB-569/セツキシマブ、EKB-569/パニツムマブ、EKB-569/ザルツムマブ、EKB-569/ニモツズマブ、EKB-569/マツズマブ、
HKI-272/セツキシマブ、HKI-272/パニツムマブ、HKI-272/ザルツムマブ、HKI-272/ニモツズマブ、HKI-272/マツズマブ、HKI-272/ネシツムマブ、
HKI-357/セツキシマブ、HKI-357/パニツムマブ、HKI-357/ザルツムマブ、HKI-357/ニモツズマブ、HKI-357/マツズマブ、
CI-1033/セツキシマブ、CI-1033/パニツムマブ、CI-1033/ザルツムマブ、CI-1033/ニモツズマブ、CI-1033/マツズマブ、
BIBW 2992/セツキシマブ、BIBW 2992/パニツムマブ、BIBW 2992/ザルツムマブ、BIBW 2992/ニモツズマブ、BIBW 2992/マツズマブ、BIBW 2992/ネシツムマブ、
PF-00299804/セツキシマブ、PF-00299804/パニツムマブ、PF-00299804/ザルツムマブ、PF-00299804/ニモツズマブ、PF-00299804/ネシツムマブ、及びPF-00299804/マツズマブである。
本発明の全ての態様に関して適切な不可逆的TKIとmABの好ましい組み合わせは、
HKI-272/セツキシマブ、HKI-272/パニツムマブ、HKI-272/ザルツムマブ、HKI-272/ニモツズマブ、HKI-272/マツズマブ、
BIBW 2992/セツキシマブ、BIBW 2992/パニツムマブ、BIBW 2992/ザルツムマブ、BIBW 2992/ニモツズマブ、BIBW 2992/マツズマブ、
PF-00299804/セツキシマブ、PF-00299804/パニツムマブ、PF-00299804/ザルツムマブ、PF-00299804/ニモツズマブ、及びPF-00299804/マツズマブである。
本発明の全ての態様に関して適切な不可逆的TKIとmABのより好ましい組み合わせは、
HKI-272/セツキシマブ、HKI-272/パニツムマブ、
BIBW 2992/セツキシマブ、BIBW 2992/パニツムマブ、
PF-00299804/セツキシマブ、及びPF-00299804/パニツムマブである。
本発明の全ての態様に関して適切な不可逆的TKIとmABの最も好ましい組み合わせは、
BIBW 2992/セツキシマブ、BIBW 2992/パニツムマブ、
PF-00299804/セツキシマブ、及びPF-00299804/パニツムマブであり、
特に好ましいのは、BIBW 2992/セツキシマブである。
【0021】
本明細書で使用される「予防」、「予防法」、「予防的処置」又は「予防的治療」という表現は、同義語であり、そして本明細書に記載される状態を発生するリスクが減少されるという意味であると、当然理解される。本発明に照らして、「耐性の予防又は遅延」又は「耐性の克服」という表現は、本発明の組み合わせ治療の投薬計画により、TKI治療に対する耐性の発達が回避されるか又は耐性の発現が遅延されるか又は既に存在する(初期若しくは獲得)耐性が克服されるかのいずれかを意味し、併用治療だがヒトEGFR標的のモノクローナル抗体成分を含まない治療を受けている同等の第2の患者集団と比較して、本発明の組み合わせ治療の投薬計画により治療される第1の患者集団内での耐性の発生率の減少又は発現の遅延により統計学的に反映される。
TKI又はEGFR阻害剤の治療に対する耐性は、患者が治療に対する反応を示さないことを意味する。これには、TKI未投与の患者がTKIを用いて初めて治療された際の初期耐性、及び、TKI治療下にて一定期間反応を示すが、その後再び疾患が進行する、患者の獲得耐性が含まれる。
さらに、TKI治療に対する耐性の予防又は遅延は、第1の患者集団が、第2の患者集団と比較して、本発明の組み合わせ治療の投薬計画の下で継続して又は長期間に渡って反応を示すことを意味する。治療の反応及び疾患の進行は、上記の改訂版RECISTガイドライン(第1.1版)Eur J Cancer 2009;45:228-247に策定された基準の下で評価される。
【0022】
本発明の第1の目的の好ましい態様は、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法であって、ここでこの方法において、
EKB-569、HKI-272、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択されるTKIが、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択されるmABが、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0023】
本発明の第1の目的のさらに好ましい態様は、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法であって、ここでこの方法において、 HKI-272、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992及びPF-00299804が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択されるTKIが、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
セツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択されるmABが、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある患者、又は
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期/獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0024】
本発明の第1の目的のさらに好ましい態様は、NSCLC又はHNSCC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法であって、ここでこの方法において、
BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択されるTKIが、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
セツキシマブ及びパニツムマブ(セツキシマブが特に好ましい)からなる群より選択されるmABが、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0025】
本発明の第1の目的のさらに好ましい態様は、NSCLC(その転移形態を含む)を患う患者の治療方法であって、ここでこの方法において、
BIBW 2992又はその医薬的に許容可能な塩が、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
セツキシマブが、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、
しかし最も好ましくは、
(h')T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者である。
【0026】
本発明の第2の目的の第1の好ましい態様は、医薬キットであって、ここで第2の部分がEKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択されるTKIの有効量を含む医薬キットである。
本発明の第2の目的の第2の好ましい態様は、医薬キットであって、ここで第2の部分がセツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択されるmABの有効量を含む医薬キットである。
本発明の第2の目的の第2の好ましい態様は、医薬キットであって、ここで第2の部分がセツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択されるmABの有効量を含む医薬キットである。
本発明の第2の目的の第3の好ましい態様は、医薬キットであって、セツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択されるmABの有効量を含む第1の部分、及びHKI-272、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992及びPF-00299804が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択されるTKIの有効量を含む第2の部分を含む医薬キットである。
本発明の第2の目的の第4の好ましい態様は、医薬キットであって、セツキシマブ及びパニツムマブ(セツキシマブが特に好ましい)からなる群より選択されるmABの有効量を含む第1の部分、及びBIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択されるTKIの有効量を含む第2の部分を含む医薬キットである。
本発明の第2の目的の第5の好ましい態様は、医薬キットであって、セツキシマブの有効量を含む第1の部分、及びBIBW 2992又はその医薬的に許容可能な塩の有効量を含む第2の部分を含む医薬キットである。
【0027】
本発明の第3の目的の第1の好ましい態様は、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において、ヒトEGFR標的mABとの共投与により使用するための不可逆的TKIであって、
ここでTKIが、EKB-569、HKI-272、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0028】
本発明の第3の目的の第2の好ましい態様は、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において使用するための不可逆的TKIであって、ここでこの方法において、
TKIが、HKI-272、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992及びPF-00299804が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回、又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある患者、又は
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期/獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記該方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0029】
本発明の第3の目的の第3の好ましい態様は、NSCLC又はHNSCC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において使用するための不可逆的TKIであって、ここでこの方法において、
TKIが、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブ(セツキシマブが特に好ましい)からなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0030】
本発明の第3の目的の第4の好ましい態様は、NSCLC(その転移形態を含む)を患う患者の治療方法において使用するための不可逆的TKIであって、ここでこの方法において、
TKIがBIBW 2992又はその医薬的に許容可能な塩であり、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABがセツキシマブであり、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、
しかし最も好ましくは、
(h')T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者である。
【0031】
本発明の第4の目的の第1の好ましい態様において、不可逆的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が、EKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択される。
本発明の第4の目的の第2の好ましい態様において、ヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択される。
【0032】
本発明の第4の目的の第3の好ましい態様において、癌が、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌及びCRC(それらの転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、EKB-569、HKI-272、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、
mABが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択され、
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0033】
本発明の第4の目的の第4の好ましい態様において、癌が、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌及びCRC(それらの転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、HKI-272、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992及びPF-00299804が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回、又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある患者、又は
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期/獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0034】
本発明の第4の目的の第5の好ましい態様において、癌が、NSCLC又はHNSCC(その転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブ(セツキシマブが特に好ましい)からなる群より選択され、及び
患者が、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
【0035】
本発明の第4の目的の第6の好ましい態様において、癌がNSCLC(その転移形態を含む)であり、
TKIがBIBW 2992又はその医薬的に許容可能な塩であり、
mABがセツキシマブであり、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である。
本発明の第4の目的の第7の好ましい態様において、
(h')患者がT790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により獲得耐性を有し、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する。
【0036】
用量/不可逆的TKI:
不可逆的TKIの製剤は市場で入手でき、又は出版物に記載されている。本発明の態様によれば、TKI、例えばBIBW 2992は、10〜50mgの合計平均1日用量にて、例えば10、15、20、25、30、35、40、45及び50mgから選択される合計平均1日用量にて投与され、1日の中で複数の用量、例えば1、2又は3用量に分割されて投与されてもよい。好ましくは、TKIは、1日あたり1回のみ経口で投与されるが、代替の投与経路が適用されてもよい。
用量/mAB:
mABsの製剤もまた市場で入手でき、又は出版物に記載されている。本発明の態様によれば、50〜500mg/m
2、例えば50、75、100、200、250、300、350、375、400、425、450、475及び500mg/m
2の平均週静注用量のmAB成分、例えばセツキシマブ又はパニツムマブが本発明の文脈において言及された投薬計画において適用されうる。
体重に基づいて、1〜15mg/kg、例えば1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5又は15mg/kgの単回静注用量のmAB成分、例えばセツキシマブ又はパニツムマブが本発明の文脈において言及された投薬計画において適用されうる。70kgの成人患者に基づくと、これは70〜1050mgの範囲の単回用量となる。
しかしながら、制限の設定内において、体重又は投与方法、薬物に対する個人の反応、用いられる剤型の性質及び投与される時間又は間隔に応じて、TKI及び/又はmAB成分の規定された用量から逸脱する必要性があるかもしれない。上限での用量が投与される場合には、それらをその日全体にわたって多くの単回用量に分散することが望ましいことがある。
共投与の指示:
共投与の指示は、薬剤に適したどのような形態であってもよく、例えば二次包装内の製剤に添付された説明書又は一次包装若しくは二次包装上の押印の形態であってもよい。
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、これに制限されない。
【実施例】
【0037】
実施例1:非小細胞肺癌(NSCLC)でありエルロチニブ(E)又はゲフィチニブ(G)に対する獲得耐性を有する患者におけるアファチニブ(BIBW2992;A)及びセツキシマブ(C)の活性及び許容性(ClinicalTrials.gov識別番号:NCT01090011)
背景:可逆的EGFR-TKI、例えばE又はGに対する初期反応にもかかわらず、EGFRの感作性変異がある全てのNSCLC患者が疾患の進行を経験する。この「獲得耐性」(AR)は、半分を超える場合において、第二点エクソン20 EGFR T790M変異(M)と関連している。今までのところ、抗EGFR抗体CとEを含め、ARの治療において効果があると証明された治療法はない(Janjigian YY. Clin Cancer Res; Epub Jan 2011)。前臨床データは、ErbB受容体ファミリーの強力な不可逆的阻害剤であるAが、M細胞株において活性があることを示唆している。A及びCを用いた組み合わせのEGFR標的化は、T790Mトランスジェニックマウスモデルにおける完全に近い反応を誘導した。これは、NSCLC患者におけるこの組み合わせの安全性及び初期効果を評価するための最初の臨床試験である。
方法:臨床的に定義されたAR(Jackman D. J Clin Oncol 2010; 28:357)を有するNSCLC患者は、毎日経口のA40mgと、隔週の250及び500mg/m
2での漸増用量群のCを摂取した。推奨2相用量(RP2D)を摂取している患者が、客観的反応について評価された。ARの出現時又は出現後の腫瘍組織の取得が義務付けられた。
結果:26人の治療患者のうち、22人が所定の最高用量=RP2D:A40mg+C500mg/m
2を摂取した。試験加入時におけるE又はGの平均時間は2.4年であった。用量制限毒性は観察されなかった。共通の有害事象(AE)は、発疹(83%)及び下痢(62%)であった。3人(6.4%)の患者が3度の発疹を有し、2人(4.3%)の患者が3度の下痢を経験した。疾患の制御が、RP2Dに登録された全ての患者において観察された(最大76%の腫瘍サイズの減少、治療期間5月強まで)。
確認された部分反応(PR)は12/32人(38%)の評価可能患者において見られ、T790M+及びT790M-のNSCLCそれぞれにおけるPRを(未だ)確認されなかった10/17人(59%)及び6/55人(14%)を含む。許容性(有害事象)及び治療の反応に関する全体の結果は、表1及び2にまとめられる。
結論:A及びCを用いた組み合わせのEGFR標的化は、RP2Dにおいて許容可能である。軽度から中程度の下痢及び皮膚の有害事象は管理可能である。疾患の制御が、RP2Dに登録された全ての患者において観察された。エルロチニブ及びゲフィチニブに対するARを有するEGFR変異(mut+)NSCLCは、EGFRのシグナル伝達に依存し続ける。Cとの組み合わせにおけるAは、従前のエルロチニブ/ゲフィチニブに対する獲得耐性を克服する。臨床活性は、T790Mを介した獲得耐性に制限されない。
【0038】
表1:発疹/座瘡及び下痢の有害事象(AE)の概要
【表1】
(アファチニブ40+250及び40+500セツキシマブ(Cetux)は、アファチニブ及びセツキシマブの投薬計画を示す、方法参照;4(100.0)は4人の患者(100%)を意味する。)
【0039】
表2:MTD(最大許容量)での患者におけるEGFR変異による治療反応
【表2】
PR:部分反応
SD:安定疾患
PD:進行疾患
N:患者の数
T790M+:T790M陽性の患者
T790M+: T790M陰性の患者
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕
無制御のヒト上皮成長因子受容体(HER/ヒトEGFR)によって引き起こされる癌を患う患者の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に対し、不可逆的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)及びヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)を組み合わせた柔軟かつ積極的な投薬計画で投与することを含み、ここでこの方法において、TKIが10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、mABが50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与される、治療方法。
〔2〕
癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌、及び結腸直腸癌(CRC)(それらの転移型を含む)からなる群より選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕(a)患者がTKI未投与の患者であって、前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は遅延を提供する患者、又は
(b)患者が野生型EGFRを発現している腫瘍を有する患者、又は
(c)患者がEGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)患者がEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、又は
(e)患者がTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、又は
(g)患者がT790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)患者がT790Mに起因しない(T790M-)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕
不可逆的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が、EKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択される、前記〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の方法。
〔5〕
TKIが、1-(4-(4-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、WZ 3146、WZ 4002及びWZ 8040又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択される、前記〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の方法。
〔6〕
ヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択される、前記〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕又は5に記載の方法。
〔7〕
ヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)が、ネシツムマブである、前記〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕又は5に記載の方法。
〔8〕
癌が、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌又はCRC(それらの転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、EKB-569、HKI-272、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、
mABが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕
癌が、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌又はCRC(それらの転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、HKI-272、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992及びPF-00299804が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回、又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある患者、又は
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期/獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔1〕に記載の方法。
〔10〕
癌が、NSCLC又はHNSCC(その転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992が特に好ましい)又はその医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブ(セツキシマブが特に好ましい)からなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回、又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔1〕に記載の方法。
〔11〕
癌がNSCLC(その転移形態を含む)であり、
TKIがBIBW 2992又はその医薬的に許容可能な塩であり、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、
mABがセツキシマブであり、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕
癌がNSCLC(その転移形態を含む)であり、患者が、
(h')T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者である、前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の方法。
〔13〕
ヒトEGFR標的mABの有効量を含む第1の部分、及び不可逆的TKIの有効量を含む第2の部分を含む医薬キット。
〔14〕
不可逆的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が、EKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択される、前記〔13〕に記載の医薬キット。
〔15〕
TKIが、1-(4-(4-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、WZ 3146、WZ 4002及びWZ 8040又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択される、前記〔13〕に記載の医薬キット。
〔16〕
ヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択される、前記〔13〕、〔14〕又は〔15〕に記載の医薬キット。
〔17〕
ヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)がネシツムマブである、前記〔13〕、〔14〕又は〔15〕に記載の医薬キット。
〔18〕
無制御のヒト上皮成長因子受容体(HER/ヒトEGFR)によって引き起こされる癌を患う患者の治療方法において、ヒトEGFR標的mABとの共投与により使用するための不可逆的TKIであって、ここでそのような治療を必要とする患者に対し、TKIが10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、mABが50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与される、不可逆的TKI。
〔19〕
NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において、ヒトEGFR標的mABとの共投与により使用するための不可逆的TKIであって、
ここでTKIが、1-(4-(4-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、WZ 3146、WZ 4002及びWZ 8040又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔18〕に記載の不可逆的TKI。
〔20〕
NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において、ヒトEGFR標的mABとの共投与により使用するための不可逆的TKIであって、
ここでTKIが、EKB-569、HKI-272、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804、1-(4-(4-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、WZ 3146、WZ 4002及びWZ 8040又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ及びネシツムマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔18〕に記載の不可逆的TKI。
〔21〕
NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において、ヒトEGFR標的mABとの共投与により使用するための不可逆的TKIであって、
ここでTKIが、EKB-569、HKI-272、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔18〕に記載の不可逆的TKI。
〔22〕
NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌又はCRC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において使用するための不可逆的TKIであって、ここでこの方法において、
TKIが、HKI-272、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992及びPF-00299804が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回、又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある患者、又は
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期/獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔18〕に記載の不可逆的TKI。
〔23〕
NSCLC又はHNSCC(それらの転移形態を含む)を患う患者の治療方法において使用するための不可逆的TKIであって、ここでこの方法において、
TKIが、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブ(セツキシマブが特に好ましい)からなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔18〕に記載の不可逆的TKI。
〔24〕
NSCLC(その転移形態を含む)を患う患者の治療方法において使用するための不可逆的TKIであって、ここでこの方法において、
TKIがBIBW 2992又はその医薬的に許容可能な塩であり、10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与され、及び
mABがセツキシマブであり、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔18〕に記載の不可逆的TKI。
〔25〕(h')患者がT790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する、前記〔18〕、〔19〕、〔20〕、〔21〕、22、23及び24のいずれか1項に記載の不可逆的TKI。
〔26〕
無制御のヒト上皮成長因子受容体(HER/ヒトEGFR)によって引き起こされる癌を患う患者の治療用医薬キットの調製のための不可逆的TKIの使用であって、医薬キットがヒトEGFR標的mABの有効量を含む第1の部分、及び不可逆的TKIの有効量を含む第2の部分を含み、ここでそのような治療を必要とする患者に対し、TKIが10〜50mgの範囲の平均1日用量に基づいて連続的な投薬計画に従って投与されるものであり、mABが50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に3回、2回若しくは1回、2週に1回、3週に1回又は少なくとも月に1回反復の投薬計画に従って共投与されるものである、不可逆的TKIの使用。
〔27〕
不可逆的TKIが、EKB-569(ペリチニブ)、HKI-272(ネラチニブ)、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択される、前記〔26〕に記載の使用。
〔28〕
不可逆的TKIが、1-(4-(4-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イルオキシ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、WZ 3146、WZ 4002及びWZ 8040又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択される、前記〔26〕に記載の使用。
〔29〕
ヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択される、前記〔26〕、〔27〕又は〔28〕に記載の使用。
〔30〕
ヒトEGFR標的モノクローナル抗体(mAB)がネシツムマブである、前記〔26〕、〔27〕又は〔28〕に記載の使用。
〔31〕
癌が、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、肝細胞癌及びCRC(それらの転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、EKB-569、HKI-272、HKI-357、CI-1033、BIBW 2992及びPF-00299804又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、
mABが、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブからなる群より選択され、及び
患者が、
(c)EGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有する患者、又は
(d)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったEGFR阻害剤を用いて従前治療された患者であって、ここで前記方法がEGFR阻害剤に対する初期耐性又は獲得耐性の克服を提供する患者、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔26〕に記載の使用。
〔32〕
癌が、NSCLC、HNSCC、悪性神経膠腫、乳癌及びCRC(それらの転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、HKI-272、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992及びPF-00299804が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択され、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回、又は2週に1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(c)薬物感受性に関連するエクソン19及び21にEGFR変異(すなわち、G719X、エクソン19欠失、L858R、L861Q)を含む腫瘍がある患者、又は
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期/獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔26〕に記載の使用。
〔33〕
癌が、NSCLC又はHNSCC(その転移形態を含む)からなる群より選択され、
TKIが、BIBW 2992及びPF-00299804(BIBW 2992が特に好ましい)又はそれらの医薬的に許容可能な塩からなる群より選択され、
mABが、セツキシマブ及びパニツムマブ(セツキシマブが特に好ましい)からなる群より選択され、
患者が、
(e)ゲフィチニブ又はエルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ又は他のものといったTKIを用いた治療に対する獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する患者、
(g)T790Mに起因する(T790M+)初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者、又は
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔26〕に記載の使用。
〔34〕
癌がNSCLC(その転移形態を含む)であり、
TKIがBIBW 2992又はその医薬的に許容可能な塩であり、
mABがセツキシマブであり、50〜500mg/m
2の平均週静注用量の範囲で週に2回若しくは1回反復の投薬計画に従って共投与され、
患者が、
(h)T790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により、初期耐性又は獲得耐性を有する患者であって、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の予防又は克服を提供する患者である、前記〔26〕に記載の使用。
〔35〕(h')患者がT790Mに起因しない(T790M-)、例えばMET腫瘍遺伝子のような他の機序により又は未知の起点により獲得耐性を有し、ここで前記方法がTKI治療に対する耐性の克服を提供する、前記〔26〕〜〔34〕のいずれか1項に記載の使用。