【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、連続流れ同位体比分析器においてガス流を制御するためのシステムが提供され、そのシステムは、
ガス流をそれぞれ受け取る及び放出するための入口ならびに出口を有する測定セルと、
入口に流体接続されたガス入口ラインと、
出口に流体接続されたガス出口ラインと、
同位体比分析器の中へのガス流を選択的に制御するための、ガス入口ライン上の切り換え可能な流れ制限部と、を備える。
【0017】
本発明はまた、例えば同位体比光学分光計、または同位体比質量分光計などの同位体比分析器内に、あるいはその同位体比分析器と組み合わせて、そのようなガス流制御システムを提供するように拡張され得る。
【0018】
本発明の更なる態様によれば、本明細書に記載されるようなガス流を制御するためのシステムを有する同位体比光学分光計が提供される。
【0019】
本発明の更なる態様は、連続流れ同位体比分光計において分析物ガスの同位体比を決定する方法であって、(i)第1の流量で同位体比決定のために分析物ガスを含むガス流を測定セルの中に提供するステップと、(ii)第2の流量を実現するように、測定セルの中へのガス流を低減するステップと、(iii)分析物中の同位体比を決定するステップと、を含む方法を提供する。第1及び第2の流量は、それぞれゼロ以外の流量である。第2の流量は、より好ましくは第1の流量と第2の流量との比が2:1〜20:1の範囲にあるように、好ましくは第1の流量よりも少ない。好ましくは、同位体比は、測定セルの中へのガス流が第1の流量ではなく第2の流量であるときに分析物ガスを測定することによって、決定される。このようにして、分析物ガスの量は、それが分析的測定のためにより少ない流量で使用されるので、より長く持続し得る。これは、所与の量の分析物ガスのためのより長い測定時間、ひいてはより高い感度を可能にし、一方で、規定された及び一定の圧力を維持することが依然として容易である。好ましくは、第1の流量での測定セルの中へのガス流が第1の期間にわたって発生し、第1の期間の少なくとも一部の間にセルが、分析物ガスでフラッシュされる及び/または充填される。更に好ましくは、第2の流量での測定セルの中へのガス流が第2の期間にわたって発生し、第2の期間の少なくとも一部の間にセル中のガスが、同位体比を決定するために測定される。連続流れ同位体比分光計は、光学または質量分光計、好ましくは連続流れ光学分光計であってもよい。
【0020】
ガスラインは、本文脈において、ガスを輸送するためのあらゆるチャネル、チューブ、導管、毛細管、または同様のものを指す。追加の構成要素が、ガスライン、例えば、接合部、弁、流れ制限部、流れ制御器、計器、及び同様のものなどの上に配設され得ることは当業者に明らかになるであろう。これらの構成要素はまた、ガスラインと流体接続にあり得る。
【0021】
切り換え可能な流れ制限部が、ガス入口ライン上に配設された流れ制限部によって提供され得る。流れの切換部が、流れ制限部を含むそれの一部分であって、それぞれ流れ制限部の上流と下流にある第1のバイパス接合部及び第2のバイパス接合部においてガス入口ラインに接続される、それの一部分に沿ってガス入口ラインをバイパスするガスラインを配設することによって、提供され得る。したがって、いくつかの実施形態において、切り換え可能な流れ制限部が、第1のバイパス接合部及び第2のバイパス接合部において、ガス入口ラインに接続されたバイパスガスラインと、第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間で、ガス入口ライン上に配設された流れ制限部と、によって提供される。このようにして、流れが、ガス流をバイパスライン及び/またはガス入口ラインの中に選択的に誘導することによって調節され得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間に、ガス入口ライン上にまたはガス入口ラインに並列して配置された複数の制限部がある。複数の制限部は、好ましくは異なる制限部である。このようにして、制限の度合いが、要求に応じて選択され得る。制限部は、ガス流が選択的に任意の1つの制限部の中に誘導され得るように、好ましくは並列配設で配設される。そのような配設は、第1のバイパス接合部の下流の、ガス入口ライン上の第1の制限ライン接合部で交わる、または第1のバイパス接合部で交わる、及び第2のバイパス接合部の上流の、ガス入口ライン上の第2の制限ライン接合部でも交わる、または第2のバイパス接合部で交わる、複数のガス制限ラインによって適切に適合され得る。制限部、例えば固定流れ制限部などが、ガス制限ラインのそれぞれの上に配設され得る。それによって、ガス流は、ガス制限ライン上に配置された任意の1つのまたは複数の制限部の中に適切に誘導され得る。制限部の中へのガス流が、1つ以上の弁の適切な配設によって制御され得る。一実施形態において、ガス入口上の第1の制限ライン接合部に、または第1の制限ライン接合部と流体連通して配設された切換弁が存在し、切換弁の位置は、ガス流を制限部の中に選択的に誘導する。別の実施形態において、各制限ガスラインにおける流れを選択的に調節するための、制限ガスラインのそれぞれの上に配置された弁が存在する。あるいは、複数の制限部が、好ましくは各制限部が、バイパスラインによって独立してバイパスされ得るように構成された、例えば、第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間の、ガス入口ラインに沿って直列配設で配設されてもよい。
【0023】
流量制御手段は、任意の流れ制御器または調節弁によって一般に提供され得る。流量制御手段は、例えば、質量流量制御器もしくは比例弁、体積流量制御器、または流れが別個のステップにおいて調整されることを可能にする固定流れ制限部の切り換え可能な組み合わせであり得る。そのような流量制御手段は、例えば、US7,928,369及びWO2007/112876に記載される。流量制御手段は、手動でまたは自動的に動作され得る。それらはまた、圧力調節器の下流の少なくとも1つの流れ制限部と組み合わされる1つ以上の自動または手動圧力調節器を備えることができる。流量制御手段は、例えばWO2007/112876に開示されるように、自動、電子、またはデジタル式流れ制御器であり得る。流量制御手段の実施例は、Thermo ScientificからのConFloIV(登録商標)である。
【0024】
それゆえ、流れ制限部は、一般に、ガス流を制限するための任意の好都合な手段、例えば、質量流量制御器、比例弁、または固定流れ制限部などから選択され得る。いくつかの好適な実施形態では、流れ制限部は、固定流れ制限部である。流れ制御器に優る固定流れ制限部を提供する1つの利点は、制限部における同位体分別の危険性の低減である。固定流れ制限部の更なる利点は、流れ制御器と比較して、より短い応答時間である。
【0025】
バイパスラインの中へのガス流は、バイパスガスライン、ガス入口ライン、またはその両方上の1つ以上の弁によって調節され得る。例えば、弁は、ガス入口ライン上の第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間に配設され得、弁は、ガスが、ガス入口ラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間で流れることができる、第1の位置と、ガスが、ガス入口ラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間で流れることを阻止される、第2の位置と、を有する。あるいは、または更に、バイパスガスラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間に配設される弁が存在し得、弁は、ガスが、バイパスガスラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間を流れることができる、第1の位置と、ガスが、バイパスガスラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間を流れることを阻止される、第2の位置と、を有する。
【0026】
別の構成では、バイパスラインの中へのガスの流れが、第1のバイパス接合部に位置する、または第1のバイパス接合部と流体連通する切換弁によって調節される。切換弁は、ガスが、バイパスガスラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間で流れることができ、かつガスが、ガス入口ラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間で流れることを阻止される、第1の位置と、ガスが、ガス入口ラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間で流れることができ、かつガスが、バイパスガスラインに沿って第1のバイパス接合部と第2のバイパス接合部との間で流れることを阻止される、第2の位置と、を有することができる。それによって、単一弁を使用して、制限されないガス流が、バイパスラインの中に誘導され得、一方で、ガス流がそのラインを通ってかつバイパスラインを通らずに誘導されるときに、ガス入口ライン上の流れ制限部が、ガス入口ラインを通るガス流を制限する。このようにして、高いガス流が、例えば、同位体比分析器の測定セルを充填する及び/またはフラッシュするために使用され得、一方で低減された流れが、測定(例えば、光学測定または質量分光測定)の間に使用され得、それは、同位体比決定に必要とされるガスの量を低減する。あるいは、測定は、所与の量のガスを用いてより長い期間にわたって行われ得、それによって測定感度を高める。
【0027】
ガス入口システムは、分析物(試料及び/もしくは基準)ならびに/またはキャリアガスを同位体比分析器の中に送達するために他のガス入口システムを用いる使用に互換性があることが認識されるであろう。例えば、ガス入口システムは、WO2014/170179及び同時係属出願PCT/EP2014/074205に記載されたガス入口システムと併用され得、それらの内容全体が、参照によって組み込まれる。それゆえ、これらの文書に記載されるような分析物ガス(試料ガス及び/または基準ガス)ならびにキャリアガスを提供するためのガス入口システム、または当該技術分野に既知である他の適切なガス入口システムが、本明細書に記載された流れ低減システムと併用され得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、ガス入口システムの中へのガスが、分析物ガスとキャリアガスが組み合わされる混合接合部で合流する分析物ガス入口ライン及びキャリアガス入口ラインによって提供され得る。混合接合部は、次いで、分析物ガス、キャリアガス、またはそれらの混合物がガス入口システムに提供されるように、ガス入口ラインに流体接続され得る。
【0029】
例えば、分析物の流れの供給部を提供する可変流れデバイスが存在し得る。それゆえ、分析物ガス入口供給部が、分析物ガス供給部及び混合接合部の下流に位置し得る、可変容量の中間貯蔵器を通って提供され得る。中間貯蔵器における貯蔵器容量の一定の減少を通して、分析物ガスの一定の流れが、提供され得る。これは、多種多様な供給源からのガス、例えば、小瓶、袋、シリンジ、サンプリングチューブ、ガスクロマトグラフ、TOC分析器、レーザ脱離機器、燃焼またはアブレーションセルなどからのガスが分析されるときに有用であり得る。そのような供給源のうちの1つまたは任意の組み合わせからのガスが、可変容量貯蔵器の中に提供され得、そこから、そのガスは、同位体比分析器に送達され得る。
【0030】
ガスの流れを制御するための弁が、更に、分析物ガス入口ライン、キャリアガス入口ライン、またはその両方上に配置され得る。それゆえ、混合接合部の方へ分析物ガスの流れを制御するための弁が、提供され得る。弁は、分析物ガスが、混合接合部の方へ分析物ガスラインに沿って流れることができる、第1の位置と、分析物ガスが、混合接合部の方へ分析物ガスラインに沿って流れることを阻止される、第2の位置と、を有することができる。同様に、混合接合部の方へのキャリアガスの流れを制御するための弁が、提供され得る。この弁はまた、キャリアガスが、混合接合部の方へ分析物ガスラインに沿って流れることができる、第1の位置と、キャリアガスが、混合接合部の方へ分析物ガスラインに沿って流れることを阻止される、第2の位置と、を有することができる。
【0031】
キャリアガスライン、分析物ガスライン、またはその両方上にガス流を制御するための適切な手段を配設することもまた適切であり得る。ガス流を制御するための適切な手段は、質量流量制御器及び比例弁を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、混合接合部の上流に、キャリアガス入口ライン上に存在する開口部が存在し得る。キャリアガスの流れを制御するための弁と混合接合部との間に開口部を設けることが適切であり得る。開口部は、大気に開かれ得、それゆえ、システムを大気圧にまたは大気圧の近くに維持する。キャリアガス入口ラインを通って流れる過剰ガスは、開口部を通って出ることができる。
【0033】
分析物ガスラインにおける分析物ガスの流量は、同位体比分析器の中へのガスの流量よりも少ないように配設され得る。混合接合部及び開口部は、この構成において、混合接合部の方へキャリアガスラインに沿ってキャリアガスの流れが存在し、過剰キャリアガスが、キャリアガス入口ライン上の開口部を通って通気されるように、配設され得る。それによって、同位体比分析器の方へのガスの流れが常に存在し、分析物試料の損失が発生しない。開口部の方への分析物ガスの逆拡散が、システムにおけるガス流量の大きさ、及び混合接合部と開口部との距離によって阻止される。
【0034】
キャリアガス入口ライン上の開口部は、大気に開かれ得る。これは、キャリアガス入口ライン及び伝達ガスラインにおける流れが、同位体比分析器によって取り扱われ得るものを超えないことを確実にする。開口部は、開いた毛細管の形態にあり得る。開口部は、いくつかの実施形態において、キャリアガス入口ライン上の、混合接合部の上流の接合部、例えばT型接合部などの上に配置される。開口部は、開口部にわたる圧力降下がわずかに存在し、したがって、接合部における圧力が、大気圧に近いように構造化される。開口部にわたる圧力降下は、250mbar以下とすることができるが、100mbar以下、または50mbar以下とすることもできる。いくつかの実施形態において、開口部は、直径が少なくとも0.5mmである開いた毛細管の形態にある。開口部は、例えば、直径が0.5〜2.0mmの間にあり得る。開口部は更に、少なくとも5mm、または少なくとも10mmの長さであり得る。開口部は、5〜20mmの長さ、または約5〜10mmの長さの範囲にあり得る。輸送されたガスのうちのいくつかは、開口部を通って失われるが、適切な量が、キャリアガスラインの下流にかつ輸送ガスラインの中に伝達されることになる。開口部は、無視できる圧力降下が開口部にわたって発生するように設計されることが好ましい可能性があり、その結果、開口部を通る拡散によるガスの損失がほとんどまたは全くない。適切な開口部の詳細は、WO2014/170179に開示される。
【0035】
システムは、分析物ガスを分析物ガス入口ラインに供給するための分析物ガスの供給部を更に備えることができる。分析物ガスは、試料ガス、例えば未知の同位体組成及び/または未知の濃度の試料ガスなどであり得る。分析物ガスはまた、同位体比分析器の較正のためのものである、基準ガス、すなわち、既知の同位体比のガスとすることもできる。いくつかの実施形態において、分析物ガスは、試料ガスである。システムはまた、キャリアガスをシステムのキャリアガス入口ラインに供給するためのキャリアガスの供給部を備えることもできる。キャリアガスは、試料ガスが実質的にないものとすることができる。いくつかの実施形態において、キャリアガスは、試料ガスがない。いくつかの実施形態において、試料ガスは、CO
2であり、キャリアガスが、CO
2がないガス、例えばCO
2がないN
2、CO
2がないHe、CO
2がない空気、またはCO
2がないArなどである。
【0036】
いくつかの実施形態において、分析物ガスから水の跡を除去するために、水乾燥機が、分析物ガス入口ライン上に提供される。
【0037】
システムはまた、1つを超える分析物供給部及び/または1つを超える分析物ガス入口ラインを備えることもできる。システムはまた、1つを超えるキャリアガス供給部及び/または1つを超えるキャリアガス入口ラインを備えることもできる。それゆえ、本明細書に規定されるような本発明の特定の利点を維持しながら、本明細書に記載されるようなシステムの修正及び変更が可能であり、そのような修正は、当業者に明らかであろう。
【0038】
キャリアガスは、一般に、窒素、ヘリウム、アルゴン、及び空気から選択され得、またはこれらのガスのうちの任意の2つ以上の混合であり得る。キャリアガスは、試料がない、すなわち、キャリアガスは、同位体比分析器において測定予定である試料ガスを含有するべきではないことが好ましい可能性がある。同位体比分析器によって測定される一般的な試料ガスは、CO、CO
2、アルカン、例えばCH
4、N
xO
y、及びNO
2などを含む。したがって、試料ガスは、CO、CO
2、CH
4、N
xO
y、及びNO
2のうちの1つ以上がないことが好ましい可能性がある。
【0039】
同位体比分析器によって決定される一般的な同位体は、
13C/
12C及び
18O/
16O、
17O/
16O、
15N/
14N、及び
2H/
1Hである。基準ガスは、同位体比のうちの1つ以上のための測定予定の試料ガスを含むことができる。例えば、基準ガスは、既知の同位体比を有し、同位体比を測定するために使用される複数の濃度を提供し、かつ同位体比の濃度依存性決定するために、システムにおいてキャリアガスで動的に希釈され得る。
【0040】
混合接合部を通ってガス入口ラインの中に送達される分析物ガス供給部からの分析物ガスの流れを選択的に制御することが望ましい可能性がある。したがって、いくつかの実施形態において、システムは、例えば、質量流量制御器、比例弁、体積流量制御器、または同様のものであり得る、混合接合部への分析物ガスの流れを制御するための手段を更に含有することができる。
【0041】
ガス入口システムは、好ましくは、大気圧で動作するか大気圧の近くで動作することができる。1つの構成では、キャリア入口ライン及び/または分析物入口ラインが、大気に開かれた少なくとも1つの割れ部を備える。
【0042】
分析物ガスは、同位体比分析器における測定の前にキャリアガスの流れによって希釈され得る。例えば、試料ガスは、既知の同位体比を有する基準ガスの濃度範囲内にある濃度まで希釈され得る。試料ガスは、例えば、既知の同位体比を有する基準ガスの濃度の範囲にある濃度まで希釈され得る。試料ガスは、キャリアガスの流れによって希釈され得、試料ガスとキャリアガスが混合接合部で混合される。いくつかの実施形態において、試料ガスは、測定の前に希釈されない。すなわち、同位体比分析器は、ガス入口ラインを通して希釈されない試料ガスを受け取る。
【0043】
分析物ガスはまた、基準ガスと交換され得、または基準ガスと混合され得る。基準ガスは、キャリアガスでそれを動的に希釈することによって、流れにおける可変濃度で送達され得る。いくつかの実施形態において、基準ガスは、既知の同位体比を有するガスのパルス、または連続する一連のパルスとして提供され得る。
【0044】
一定の実施形態では、混合接合部、第1のバイパス接合部、及び/または第2のバイパス接合部が、T型接合部である。この文脈において、T型接合部は、3つの流れチャネルの任意の接合部、すなわち、3つの腕部を含有する接合部を意味する。T型接合部は、T型部分として、Y型部分として、または3つの直交するチャネルの接合部として提供され得る。接合部は、3つのチャネルが同じ平面内にある、二次元接合部として更に提供され得、または接合部は、3つのチャネルが全て(すなわち、三次元「三脚(tripod)」のように)同じ平面にあるとは限らない、三次元構造として提供され得る。
【0045】
ガスラインの構成要素、例えば本明細書に記載される接合部などが、機械加工されたブロックで、すなわち、1つの機械的部分として、提供され得る。これは、システムの製造が、材料の塊、例えば金属ブロックなどから機械加工することによって、行われ得ることを意味する。更に、T型接合部を使用して、機械加工されたブロックに製造することを用いてまたは用いずに、接合部における開口部を通る流れが、完全な機械的制御下にあることを確実にする。T型接合部設計は、拡散経路が十分に分離していることを確実にし、それにより、その流れ特性がはっきりと決定及び予測されるため、システムの設定及び較正が容易となる。
【0046】
分析物ガス、例えば試料ガスまたは基準ガスなどが、同位体比の測定前にキャリアガスで希釈され得る。これは、分析物ガスラインを通って提供される分析物ガスと、キャリアガス入口ラインを通って提供されるキャリアガスを混合接合部で混合することによって実現され得る。また、例えばWO2014/170179に開示されるように、混合接合部の上流で、分析物ガスライン上に別個の混合デバイスが存在することができる。したがって、試料ガス及び基準ガスは、ある範囲の濃度を有することができる。
【0047】
基準ガスが、基準ガスの単一供給部を通して提供され得、それは、同位体比及びその濃度依存性を測定するために基準ガスの複数の濃度を提供するようにキャリアガスで希釈される。いくつかの場合において、基準ガスが、希釈の2つの段階を通って希釈される。
【0048】
ガス入口システムは、少なくとも1つの弁の弁位置を制御するための少なくとも1つの制御器を含むように構成され得る。制御器は、好ましくは、それが、システムにおけるガスの濃度、同位体比、または圧力を反映する少なくとも1つのパラメータについての入力を受信することができるように、かつそのパラメータ情報に基づいて信号を弁に提供するように、適合され得る。いくつかの実施形態において、制御器は、少なくとも1つの測定セルパラメータについての入力を受信するように適合され、制御器は、少なくとも1つの測定セルパラメータに基づいて、システムにおける弁のうちの少なくとも1つの位置を調整することができる。測定セルパラメータは、好ましくは、測定セル中のガス濃度、測定セル中のガスの同位体比決定、及び測定セル中のガス圧力から選択され得る。
【0049】
制御器は、1つの測定セルパラメータについての入力を受信することができ、パラメータの値に基づいて、バイパスガスライン及び/またはガス入口ラインにおけるガス流を制御することができる。測定セルのフラッシング及び/または充填中に、ガス流を高いガス流のためにバイパスラインの中に誘導することが有用であり得る。セルのフラッシング及び/または充填後、例えば一定のガス流における試料の測定の間に、より少ない流量に切り換えることが有用であり得る。したがって、制御器は、第1の位置において、ガスが、同位体比分析器のフラッシング及び/または充填中に、第1の流量でバイパスラインを通って同位体比分析器の中に流れるよう誘導されるように、かつ第2の位置において、ガスが、同位体比分析器における分析物ガスの測定の間に、第1の流量よりも少ない第2の流量で流れ制限部を通って同位体比分析器の中に流れるよう誘導されるように、弁のうちの少なくとも1つの弁位置を制御するように構成され得る。
【0050】
したがって、一般に、ガス入口システムが、第1の期間中にガスが、第1のゼロ以外の流量で測定セルの中に流れるように、かつ第2の期間中にガスが、第1の流量よりも少ない第2のゼロ以外の流量で測定セルの中に流れるように切り換え可能な流れ制限部を制御するように構成された少なくとも1つの制御器を含むように構成され得ることが分かり得る。好ましくは、第1の期間の少なくとも一部の間にセルが分析物ガスでフラッシュされ及び/または充填され、かつ第2の期間の少なくとも一部の間にセル中の分析物ガスが、分析物ガスの同位体比を決定するために測定される。制御器は、好ましくはコンピュータを備える。
【0051】
一定の実施形態では、ガス入口システムが、少なくとも1つのガス供給部を備えられ得る。ガス供給部は、例えば、分析物ガス供給部(試料ガス供給部及び/または基準ガス供給部)ならびに/あるいはキャリアガス供給部を含むことができる。その上、システムは、例えば、複数の基準ガス供給部、複数の試料供給部、及び/または複数のキャリアガス供給部を含む構成で、各ガスの1つを超える供給部を含むことができる。そのような供給部は、各ガス供給部のための別々のガス入口ラインを有する、かつ混合接合部の上流で、または混合接合部で合流し得る、システムに好都合に提供され得る。
【0052】
ガス入口システムは、ガス出口ラインに接続され得るガス真空ポンプを含むことができる。真空ポンプは、測定セル中の圧力を調節する可能性を提供する。したがって、測定セル内の圧力を決定するための、測定セルに動作可能に接続された圧力センサが提供され得る。真空ポンプは、圧力センサからの信号に応答して制御されるように更に適合され得る。例えば、圧力センサは、信号に応答して真空ポンプの設定を調節する制御器に信号を送信することができる。このポンプ制御器は、切り換え可能な流れ制限部の制御、弁の制御などについて上述されたものと同じ制御器であってもよいし、また好ましくは同じ制御器である。あるいは、ポンプ制御器は、別個の制御器であってもよい。
【0053】
システムは、圧力制御の増大されたダイナミックレンジを提供するのに有用であるガスバラストであって、凝縮もまた阻止するガスバラストを更に含むことができる。ガスバラストは、好ましくは、大気に開かれ得る毛細管として提供され得、かつ測定セルと真空ポンプとの間で、ガス出口ラインに接続され得る。ガスバラストはまた、不活性ガスの供給部に開かれ得る。毛細管は、毛細管内のガスの流量を制御するための、調整可能弁を更に含むことができる。弁は、圧力センサからの信号を受信する制御器、例えば、ポンプ速度を制御する同じ制御器(または異なる制御器)によって制御されるように適合され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、ガスバラストは、ガス出口ラインに流体接続された毛細管であって、大気に開かれた毛細管として提供され得る。そのような実施形態において、毛細管を通るガス流が、その毛細管の長さ及び内径によって調節される。
【0055】
ガスバラストはまた、ガス出口ライン上に流れ口として提供され得る。そのような実施形態において、流れ口の寸法が、ガスバラストに望ましい要求される動的なガス流を実現するように調整され得る。
【0056】
システムが、広い圧力範囲にわたって測定セル中の必要な圧力制御を実現するために、複数のガスバラストを備えることが有利であり得る。したがって、いくつかの実施形態は、好ましくは並列に配設され得る複数のガスバラストを備えるシステムに関する。例えば、複数のガスバラストが、ガス出口ラインに接続される複数の毛細管として配置され得、各毛細管が、望ましいバラスティング(ballasting)を実現するための、長さ及び直径の特定の寸法を有する。毛細管におけるガス流を制御するための少なくとも1つの弁を更に含むことが好ましい可能性がある。1つのそのような実施形態では、2つ以上のそのような毛細管を通るガス流を選択的に誘導するために配設された切換弁が存在し得る。切換弁は、ガス出口ライン上に配設され得る。切換弁はまた、切換弁で交わる2つ以上の毛細管においてガス流を選択的に制御するために、ガスバラスト毛細管またはガスバラストライン上に配置され得る。
【0057】
本明細書に記載されたガス入口システムは、ガス流を同位体比分析器に提供するために使用され得る。分析器は、同位体比を決定することができる任意の種類の分析器、例えば同位体比質量分光計または同位体比光学分光計であり得る。いくつかの実施形態において、同位体比が、同位体比光学分光計、例えばレーザ分光計である。そのような分光計は、典型的には2〜6μmの間の中間赤外領域で動作する。いくつかの実施形態において、同位体比分光計が、分析予定のガスについて光吸収測定を行うための測定セルを備える。
【0058】
測定セルは、流れセル、例えば、ガスの連続的な流れのための流れセルであり得る。いくつかの実施形態において、測定セルは、マルチパスセル、すなわち、マルチパス光学セル、好ましくはマルチパスレーザセルである。セルの光路長は、典型的には、セル内の複数のレーザパスの合計として提供され、かつ1〜10
5m、1〜10
4m、1〜10
3m、1〜100m、または1〜10mの範囲内にあり得る。単一測定セルが、試料及び基準ガスの両方を測定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、セルは、セルの出口を経由してポンプに接続される。測定セル中の圧力は、約50〜200mbar、約70〜150mbar、または約80〜100mbの範囲にあり得る。いくつかの実施形態において、測定セル中の圧力が約100mbである。
【0059】
いくつかの実施形態において、フィルタが、粒子がセルに入ることを阻止するために、測定セルの上流のガス入口ライン上に設けられ得る。フィルタは、第2のバイパス接合部と測定セルとの間でガス入口ライン上に配設され得る。
【0060】
光学(典型的には赤外)分光計における同位体比は、一般に、2つ以上のスペクトル吸収ライン、決定予定の各異なる同位体種のための少なくとも1つのライン、例えば、
13C
16O
2のための1つのライン及び
12C
16O
2のための1つのラインを測定することによって、決定される。一実施例では、CO
2についての好適なスペクトルラインは、4.329μmにあるラインまたは約4.329μmのラインである。スペクトル吸収ラインの強度の比率は、試料に存在する各同位体種の存在量の比率の測定値、及びそれゆえ同位体比(この場合において、
13C/
12C)の測定値である。同位体比は、デルタ表記(δ)によって、この場合において、δ
13Cとして表現され得る。
【0061】
本明細書に記載されたガス入口システムを用いて使用される同位体比分析器は、CO
2からの同位体比
13C/
12C及び/または
18O/
16Oの決定のために構成され得る。しかしながら、一般に、同位体比分析器は、例えば、CH
4の分析における例えば
2H/
1Hなどの他の同位体比を決定するのに、あるいは例えばNOまたはCOなどの他のガスにおける
13C/
12C、
18O/
16O、または
15N/
14Nを測定するのに好適であり得る。目的とする他の種類のガス及び同位体比がまた、本明細書に更に記載されるように、また当業者に明らかであるように、測定され得る。異なるガスの測定のために、流量及び/またはガス濃度は、測定の性質及び分析器の感度に従って、最適な測定設定のために調整される必要があり得る。
【0062】
本発明のガス入口システムは、異なった利点を有し得る、同位体比分析器の中へのガス流を迅速に変える機会を提供する。例えば、分析前にキャリアガスによってまたは分析物ガスによって、試料分析前または後に、測定セルを迅速にフラッシュできることが有用かつ有益であり得る。それゆえ、分析予定の試料でセルを急速に充填でき、次いで、測定の間に流量を低減できることが有益であり得る。これは、分析のために必要とされる試料の量を最小限にすると共に、微量で利用可能な試料に特に有用であり得る。更に、少ない流量は、測定の間に(試料ガスがキャリアガスによって希釈されるときに)または機器の活動停止期間中に、少量のキャリアガスを必要とする。その結果、低減された第2の流量が、分光計の活動停止期間中に、例えば、セルが、フラッシュされていないとき、充填されていないとき、または測定に使用されていないときに、利用され得る。
【0063】
それゆえ、本発明に係る方法において、測定セルが、試料ガスの流れを測定セルの中に提供する前にキャリアガスでフラッシュされ得る。フラッシングは、ガスが、高流量で、例えば約80mL/分などでバイパスラインを通って流れることを可能にすることによって、及びより少ない流量に切り換えた後に試料ガスでキャリアガスの交換をすることによって、行われ得る。切り換えは、バイパスガスライン及びガス入口ラインの中への流れを調節する弁によって行われ得る。
【0064】
本発明の追加の詳細と共に上記特徴が、以下の実施例に更に記載され、それらは、本発明を更に例示することを意図されるが、決して本発明の範囲を限定することを意図されない。
【0065】
当業者は、以下に記載された図面が、単なる例示目的のためのものであることを理解するであろう。図面は、本教示の範囲を限定することを決して意図されない。