(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定管理データは、少なくとも、バイオセンサ装着時刻、試料点着時刻、測定開始時刻、測定終了時刻のいずれか一つを含む、請求項1に記載の液体試料測定システム。
前記測定管理データは、少なくとも、グルコース濃度、前記測定者が指定した関連する情報のいずれか一つを含む、請求項1、2のいずれか一項に記載の液体試料測定システム。
前記入力部は、少なくとも、ボタン、バーコードリーダー、RF−ID、スキャナーのいずれか一つである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の液体試料測定システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態としての液体試料測定システムを図面とともに詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態として示す液体試料測定システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、液体試料測定システムは、測定装置1と管理装置2とを含む。測定装置1と管理装置2とは、相互にケーブルで接続する有線接続、又は、電波や赤外線などで接続される無線接続によって通信を行う。又は、測定装置1と管理装置2との間にインターネット或いはイントラネットのネットワークが介在し、測定装置1とネットワークアクセスポイントの間、管理装置2とネットワークアクセスポイントの間は、それぞれ有線又は無線で接続してもよい。以下、有線接続又は無線接続、或いは、ネットワーク介在の形態を総称して通信回線3と称する。
【0017】
測定装置1は、ハンドヘルド型の測定装置である。測定装置1は、装置本体(筐体)4と表示部5と入力部6とを含む。測定装置1の装置本体4には、使い捨てのバイオセンサ7が着脱される。
装置本体4は、看護師や患者であるユーザーが片手で保持することができるコンパクトな形状に形成されている。
【0018】
管理装置2は、装置本体8と表示部9と入力部10とを含む。なお、装置本体8と表示部9と入力部10は、全てが一体型に形成されていてもよいし、いずれかの組み合わせで一体化されていてもよい。また、装置本体8と表示部9と入力部10は一箇所にまとめてケーブル接続された状態で設置されても、ネットワークで接続された状態で離れて設置されていてもよい。
【0019】
例えば、前者は一般的なパーソナルコンピューターによって管理装置2を構成することが一例である。また、後者の一例は、装置本体8がサーバー室に配置されたサーバー機器であり、表示部9が病院のナースステーションの壁面などに配置されたモニターであり、入力部10はモニター上でタッチ入力が可能なタッチパネルである、構成が考えられる。
この液体試料測定システムが例えば病院で使用されるならば、測定装置1は看護師が携帯して病棟をラウンドするのに使われ、管理装置2はナースステーションなどに配置されて使用される。
【0020】
次に、測定装置1に装着される使い捨てのバイオセンサ7について、
図2を参照して説明する。
図2は、測定装置1に装着されるバイオセンサ7の分解斜視図である。
バイオセンサ7は、ポリエチレンテレフタレート等からなる絶縁性の基板11(以下、単に「基板11」とする)を含む。基板11の表面には、導電性層が形成されている。この導電性層は例えば金やパラジウムなどの貴金属やカーボン等の電気伝導性物質からなる。この導電性層は、スクリーン印刷法やスパッタリング蒸着法によって基板11上に形成されている。導電性層は、基板11の全面に形成されていてもよく、少なくとも基板11の一部に形成されていればよい。また、バイオセンサ7は、その上面となる絶縁性の基板12を含む。基板12は、その中央部に空気孔13が設けられている。基板11と基板12との間には、切欠部を有するスペーサ14が挟み込まれる。バイオセンサ7は、基板11、スペーサ14、基板12を一体化して構成される。
【0021】
基板11上には、スリットによって分割された導電性層によって、対電極17、測定電極18及び検知電極19を形成している。各電極17,18,19は基板11の少なくとも一部に形成されていればよい。また、各電極17,18,19は、バイオセンサ7が測定装置1の装置本体4に取り付けられた状態で、測定装置1とリード線で接続してもよい。
【0022】
スペーサ14は、基板11上の対電極17、測定電極18及び検知電極19を覆うように配置される。スペーサ14の前縁部中央に設けられた長方形の切欠部によって試料供給路15が構成される。また、試料供給路15の先端である試料点着部15aには液体試料が点着される。試料点着部15aに液体試料が点着されると、液体試料は、毛細管現象によって、基板12の空気孔13に向かって(
図2中の矢印AR方向に)吸引される。
【0023】
試薬層16は、スペーサ14の切欠部から露出している対電極17、測定電極18及び検知電極19を覆う寸法、形状を有している。
試薬層16には、酸化還元酵素と電子受容体が含まれる。この酸化還元酵素及び電子受容体は、試料供給路15に吸引された液体試料(本実施の形態の場合、人体から摂取された血液)に溶解して反応する。反応終了後、測定装置1は、この還元された電子受容体を電気化学的に酸化する。測定装置1は、この酸化によって得られる電流に基づいて液体試料中の生体情報(本実施の形態の場合、血液中のグルコース濃度)を測定する。このような一連の反応は、対電極17、測定電極18及び検知電極19によって電気化学的変化に伴う電流によって読み取られる。
【0024】
また、識別部20は、バイオセンサ7の種別や製造ロット毎の出力特性の違いを装置本体4によって識別するための部材である。対電極17、検知電極19の識別部20に該当する部分にスリット21gとスリット21hの組み合わせを形成する。これにより、装置本体4は、各バイオセンサ7の電気的出力特性の差異を識別できる。
バイオセンサ7の基板11上には、液体試料の流れ方向(矢印AR)に沿って、試料点着部15aから対電極17、測定電極18、対電極17、検知電極19の順に形成されている。なお、対電極17と測定電極18の配置は入れ代わってもよい。
【0025】
また、液体試料の流れ方向に沿って、測定電極18と検知電極19との間には所定の距離が設けられている。それにより、液体試料が確実にかつ充分な量が吸引されたか否かを検知電極19で判別できる。
つぎに、
図3を参照して、測定装置1の構成要素を説明する。
図3は、測定装置1のブロック図を示すものである。
図3に示すように測定装置1は、装置本体4内に、センサ装着部22と測定部23と動き測定部24と制御部25と表示部5と入力部6と通信部26と記録部27を備えている。
【0026】
さらに、センサ装着部22内には、コネクタ22a、センサ装着検知部22bが備えられている。コネクタ22aは、バイオセンサ7の装着時に、バイオセンサ7の対電極17、測定電極18及び検知電極19と電気的に接続可能に構成されている。センサ装着検知部22bは、センサ装着部22にバイオセンサ7が装着されたことを検知するためのものである。
【0027】
センサ装着検知部22bは、バイオセンサ7が装着されたことを検知して、制御部25に伝達する。センサ装着検知部22bによる検知の手段は、例えば、対象物(バイオセンサ7)が装着されている間は電気スイッチが押されて導通することによって、バイオセンサ7の装着が検知可能なメカニカルな電気スイッチが用いられる。その他、センサ装着検知部22bとしては、光学式のセンサなど、センサ装着部22における対象物の存在を検知できるものであれば、どのような手段を用いてもよい。
【0028】
又は、センサ装着検知部22bは、コネクタ22aに接続された付加的な電気回路であってもよい。この構成の場合、センサ装着検知部22bは、バイオセンサ7における対電極17、測定電極18又は検知電極19の少なくとも一つの電極とコネクタ22aとの間の電気的な導通を検知すると、装置本体4にバイオセンサ7が装着されたと判断する。
測定部23は、制御部25からの指示を受けて、バイオセンサ7に点着された生体の液体試料から生体情報を測定する。例えば、バイオセンサ7に血液が点着された時、コネクタ22aを介してバイオセンサ7の各電極に電圧又は電流を印加する。測定部23は、電圧印加の応答として得られる電流又は電圧の値から、血液中のグルコース濃度を測定する。
【0029】
動き測定部24は、制御部25からの指示を受けて装置本体4の動き量を測定する。動き測定部24は、測定した動き量を、動き情報として制御部25に出力する。
制御部25は、測定装置1全体の制御を行うものである。制御部25は、センサ装着検知部22b、測定部23、動き測定部24、入力部6から情報が入力される。制御部25は、入力された情報に基づいて、測定部23、表示部5や通信部26、記録部27に対して指示を行う。
【0030】
表示部5は、制御部25からの指示を受けて動作する。表示部5は、測定部23で測定された生体情報としてのグルコース濃度を表示する。また、表示部5は、ユーザーに対する各種情報を表示したりする。
入力部6は、ユーザーからの動作指示や識別番号などが入力されるデバイスである。入力部6は、例えば、装置本体4上に設けられたボタンである。又は、入力部6は、バーコードリーダーのような光学読み取り装置である。又は、入力部6は、RF−IDのような無線通信や音声認識による入力であっても良い。本実施形態の入力部6は、これら複数の入力デバイスが組み合わされて備えられているものとする。また、入力部6に入力された情報は、制御部25へと伝達される。
【0031】
通信部26は、制御部25の指示を受け、通信回線3を経由して、サーバーやパーソナルコンピューターなどの他の機器とデータ送受信を行うものである。例えば、通信部26は、測定部23により測定されたグルコース濃度や入力部6に入力された識別番号を他の機器に向けて送信する。また、通信部26は、他の機器から識別番号のリストなどを受信したりする。
【0032】
記録部27は、測定部23が出力する測定結果、動き測定部24が出力する動き情報、入力部6によって入力された情報、通信部26が受信した情報等を、制御部25を介して受け取り、記録するものである。この記録部27へのデータの記録再生は、制御部25によって制御される。
上述した測定装置1とバイオセンサ7を用いてユーザーが液体試料の測定を開始する時、まず、入力部6を用いて、測定者であるユーザー(看護師)のIDと被測定者である患者のIDとバイオセンサ7のIDの入力を行う。このIDの入力方法は、ユーザーが入力部6のボタンを押して入力しても良い。また、入力部6にバーコードリーダーが備えられている場合には、それぞれに付されたバーコードを読み取って各IDを入力してもよい。また、それぞれに付されたRF−IDタグから近距離無線通信を経由して各IDを取得してもよい。これらIDの入力が完了すると、測定準備完了となる。
【0033】
測定準備が完了すると、次に、ユーザーはバイオセンサ7の装着を行う。バイオセンサ7がセンサ装着部22に装着されると、この装着完了がセンサ装着検知部22bによって検知され、制御部25に伝達される。制御部25は、センサ装着検知部22bから装着検知が伝えられた時刻をセンサ装着時刻として保持する。そして、制御部25は測定部23に対して液体試料の測定の開始を指示する。
【0034】
制御部25から測定開始を指示された測定部23は、コネクタ22aを介してバイオセンサ7の対電極17、測定電極18及び検知電極19に電圧の印加を開始する。この時はまだ、バイオセンサ7の試料点着部15aには血液は点着されていない。
ユーザーによって試料点着部15aに血液が点着されると、毛細管現象によって血液が試料供給路15内に吸引され、空気孔13の方向へと展開する。その後、展開した血液が対電極17、測定電極18又は検知電極19のいずれか最も試料点着部15aに近い側に配置された電極に到達する。これに応じ、測定部23はコネクタ22aを介して得られる電圧の応答特性の変化により、血液の点着を検知することができる。測定部23は、血液の点着を制御部25に伝達する。これにより、制御部25は、血液の点着を検知した時刻を試料点着時刻として保持する。
【0035】
測定部23は、試料点着時刻から一定時間経過後、又は、対電極17、測定電極18及び検知電極19にて電圧の応答特性のさらなる変化が起こった時に、血液中のグルコース濃度の測定を開始する。そして、測定部23は、制御部25へ測定開始を伝達する。これに応じ、制御部25はその時刻を測定開始時刻として保持する。
試料点着時刻から測定開始時刻の間は、ユーザーによって点着された血液が試料供給路15内に十分に展開し、試薬層16を溶解し、反応が行われるのに要する時間である。
【0036】
測定部23は、測定開始後に、複数の電極間17,18に対して少なくとも1回の電圧印加を行う。測定部23は、電圧印加の間に電気化学的変化に伴う電流の応答値を少なくとも1回取得して、電流プロファイルとして保持する。そして、測定部23は、保持した電流プロファイルをコットレル式や他のアルゴリズムを用いてグルコース濃度を特定し、測定結果として制御部25へ出力する。制御部25は、測定部23から測定されたグルコース濃度が伝えられた時刻を測定終了時刻として保持する。
【0037】
制御部25は、測定されたグルコース濃度の値を表示部5に表示するように指示する。同時に、制御部25は、測定されたグルコース濃度と関連付けるための情報の候補を表示し、ユーザーが入力部6を用いて選択できるようにする。ここで情報の候補とは、例えば食前、食後などの食事に関する情報等、後ほどグルコース濃度の測定結果を確認する時に測定時の状況を把握するためのものである。どのような候補を選択可能とするかはユーザーが別途設定することができる。また、情報の候補を選択するだけでなく、ユーザーが入力部6を用いて任意の文字列などを入力できるようにしても良い。
【0038】
制御部25は、ユーザーによる入力が完了すると、測定に関連する情報をひとまとまりの測定管理データとして記録部27に記録する。この測定管理データには、測定者のIDと被測定者のIDとバイオセンサ7のIDを含む。更に測定管理データには、センサ装着時刻、試料点着時刻、測定開始時刻、測定終了時刻を含む。更に測定管理データには、グルコース濃度、ユーザーが指定した関連する情報、動き測定部24が出力する動き情報を含む。
【0039】
また、制御部25は測定されたグルコース濃度の値を監視する。制御部25は、測定されたグルコース濃度が、通常では測定し得ないような異常値であったり、ユーザーが指定した範囲から外れた値であったりした場合には、そのことを示す異常値フラグを測定管理データの中に追加する。制御部25は、この異常値フラグを追加する時は、表示部5に異常値の検知を示す表示を行わせてユーザーに通知する。
【0040】
つぎに、動き測定部24について詳細に説明する。動き測定部24は、例えば装置本体4内に設けられた三次元の加速度センサにより実現される。加速度センサの数は、1つでも複数でもよい。また、加速度センサの代わりにジャイロセンサなどを用いても良く、重力方向に対する装置本体4の姿勢の変化及び移動量(動き量)が検出できるものであれば、どのようなセンサでもよい。
【0041】
図4は、動き測定部24として、装置本体4内に加速度センサを1つ設けた例を示している。加速度センサは、バイオセンサ7を装着する長手方向端部側に対する反対側の端部に配置されている。また、加速度センサは、装置本体4における幅方向中心線4A及び長手方向中心線4Bからずれた位置に配置されている。ここで、装置本体4の長手方向が、装置本体4に対するバイオセンサ7の装着方向Dである。さらに、この加速度センサの配置は、装置本体4の重量の重心位置からもずれている。
【0042】
この加速度センサの配置により、バイオセンサ7の姿勢と動きを精度良く検出することができる。バイオセンサ7に点着される試料が液体であるため、バイオセンサ7の姿勢と動きによって液体の展開方向と展開位置が変わる。この液体の展開方向及び展開位置は、グルコース濃度の測定結果に影響を及ぼすことが有り得る。このことから、加速度センサは、液体の展開方向及び展開位置を監視するために有効な位置、すなわち、装置本体4における幅方向中心線4A及び長手方向中心線4Bからずれた位置に配置されている。
【0043】
図5は、測定装置1の模式図に三次元軸を重ねたものを示している。装置本体4に対して長手方向をX軸4X、短手方向をY軸4Y、高さ方向をZ軸4Zとしている。動き測定部24として配置される加速度センサには、この三次元軸それぞれについて単位時間あたりの動き度合いの変化量(動き量)を検出する一般的なセンサが用いられる。
なお、動き測定部24は、三次元軸それぞれについて単位時間あたりの動き度合いの変化量(動き量)の検出が可能なものであればよい。また、センサの種類は加速度センサに限定されるものではない。
【0044】
動き測定部24は、制御部25から指示される間、検出した三次元軸それぞれについて、単位時間あたりの動き度合いの変化量(動き量)を動き情報として制御部25へと出力する。動き度合いの変化量の数値的な表現は、絶対値でも相対値でも良い。また、動き情報としては、この動き情報に基づいて装置本体4の動きが再現できる程度に必要十分な情報が含まれればよい。またこの動き情報を出力する間隔、即ちサンプリング間隔も同様に、装置本体4の動きを再現できる程度の適切な間隔が選択される。
【0045】
代表的な例として、制御部25は、動き測定部24に対し、センサ装着時刻から測定終了時刻までの間、動き情報を測定するように指示する。これはグルコース濃度の測定動作に同期して、ユーザーの手技による測定装置1の動きを解析するために最も効率のよい期間である。しかし、記録部27として使用するメモリの容量が潤沢にある場合や、通信回線3を介してリアルタイムに外部の機器に動き量を送信する場合などは、この期間以外にも動き情報を測定するように指示してもよい。それにより、グルコース濃度の測定動作時以外におけるユーザーの手技も解析し、測定装置1の扱われ方を知ることができるという追加の効果が得られる。これにより、センサ装着時刻から測定終了時刻までの間以外の手技が間接的に測定結果に与える影響を考慮できる。
【0046】
制御部25は、記録部27に記録した測定管理データを、通信部26に指示して所定のタイミングで通信回線3を介して管理装置2へと送信する。所定のタイミングとは、ユーザーにより指示されて行う場合と、制御部25が自発的に行う場合とが含まれる。ユーザーが入力部6を用いて測定管理データの送信を指示した場合、通信部26が通信回線3を介して管理装置2と通信を確立している時には、通信部26は直ちに測定管理データの送信を行う。通信部26が管理装置2との通信が確立していない時は、制御部25は、通信部26に管理装置2との通信を確立することを指示する。通信部26は、その後の通信の確立後に、測定管理データの送信を行う。或いは、制御部25は、次に通信部26が管理装置2との通信を確立した時に測定管理データの送信を指示するように制御部25の内部で処理の予約をしておいてもよい。
【0047】
なお、ユーザーが測定管理データの送信の指示を行う場合、制御部25は、表示部5と入力部6を用いて、ユーザーが、いつ、誰が、誰を測定したものかを一つ又は複数個選択することができるようにすることが望ましい。
制御部25が自発的に測定管理データの送信を行う場合、以下に示すタイミングのいずれかで通信部26が送信動作を行う。どのタイミングで通信部26が送信動作を行うかは、ユーザーが予め設定しておくことができる。
1)グルコース濃度の測定が完了して制御部25が記録部27に測定管理データを記録した時
2)通信部26が通信回線3を介して管理装置2と通信を確立した時
3)管理装置2から測定管理データの送信を要求された時
4)装置本体4内に備えられたバッテリーの充電が行われている時
5)測定装置1の電源OFFが指示された時
6)測定部23が測定したグルコース濃度の値が異常値と判定された時
なお、測定装置1と管理装置2との間に通信が確立されていないタイミングで測定管理データの送信を行うようにスケジュールされている場合は、その都度、通信部26は管理装置2との間の通信確立を行うようにする。
【0048】
つぎに、
図6を参照して、管理装置2の構成要素を説明する。
図6は、管理装置2のブロック図を示すものである。
図6に示すように管理装置2は、制御部28と動き判定部29と通信部30と記録部31を有する装置本体8と、表示部9と入力部10とを含む。装置本体8は、例えばパーソナルコンピューターやサーバーにより実現可能である。
制御部28は、管理装置2を構成する全ての要素を制御するものである。制御部28は、一般的なCPUとそこで実行されるオペレーティングシステム、プログラムなどを含んで実現可能である。
【0049】
動き判定部29は、制御部28の指示を受けて、測定装置1から転送された測定管理データを取得する。動き判定部29は、測定管理データを用いて、測定装置1の動き情報の解析と判定を行うものである。
通信部30は、通信回線3を経由して、測定装置1や他の管理装置2などとデータ送受信を行うものである。通信部30は、特定の測定装置1と一対一の通信を行う構成であってもよく、複数の測定装置1と一対多の通信を行う構成であってもよい。
【0050】
記録部31は、各種のデータや情報を記録する。記録部31は、測定装置1から転送された測定管理データを記憶可能である。また、記録部31は、入力部10などを用いて入力された患者や看護師の情報を記憶可能である。更に、記録部31は、表示部9を用いてユーザーに対して提示する情報を記録可能である。記録部31は、図示したように装置本体8内に備えられていてもよいが、外部接続の大容量ストレージデバイスなどを用いることもできる。
【0051】
表示部9は、制御部28から指示された内容を表示する。表示部9は、例えば液晶ディスプレイなどにより実現可能である。
入力部10は、ユーザーが制御部28に対して指示やデータを入力するものである。
図1では一例としてキーボードを図示したがこれに限定されない。入力部10は、例えば、マウスなどのポインティングデバイス、バーコードリーダーや電子カードリーダーやスキャナーなどの読み取り装置などが組み合わされてもよい。
【0052】
管理装置2は、各種の管理処理を行う。管理装置2は、複数の測定装置1を管理する。また、管理装置2は、測定者と被測定者のデータベースを管理する。更に、管理装置2は、バイオセンサ7の校正情報などを管理する。管理装置2は、各種プログラムにより、各管理状況を、表示部9を用いてユーザーに提示することができる。
管理装置2は、例えば、測定装置1の使用履歴や使用状況に基づいてメンテナンスの要否を判定する。これにより管理装置2は、メンテナンスの要否を、ユーザーに提示することができる。管理装置2は、被測定者毎に、複数回のグルコース濃度の測定結果を用いて、グルコース濃度の変化の傾向をグラフ表示することもできる。さらに、管理装置2は、測定管理データからバイオセンサ7のIDを抽出して、消耗品である使い捨てのバイオセンサ7の消費量を計算する。これにより管理装置2は、施設内のバイオセンサ7の在庫管理情報を参照し、ユーザーに、当該ユーザーが使用可能なバイオセンサ7の在庫情報などを提示することもできる。
【0053】
これらの管理装置2が実行する各種プログラムの一つとして、測定装置1の動き情報に基づくユーザーの手技の解析処理を行う手技解析プログラムが含まれる。この手技解析プログラムは、制御部28で実行されるプログラムの一つである。管理装置2は、手技解析プログラムを専用に実行する処理装置を用いてもよい。このため、
図6においては、手技解析プログラムを実行する機能部を動き判定部29として図示している。
【0054】
制御部28は、通信部30が受信した測定装置1から送られてくる測定管理データを通信部30により受信する。制御部28は、通信部30が受信した測定管理データを、随時記録部31に記録する。その時、制御部28は、測定者ID毎に測定管理データの抽出が可能なように見出しを付けて、各測定管理データを記録部31に記憶する。これにより制御部28は、測定管理データを測定者ごとに管理している。
【0055】
制御部28は、入力部10を介してユーザーから指示された時、又は、自発的に、動き判定部29に対して動き情報の解析を指示する。ユーザーから動き情報の解析が指示された時、制御部28は、記録部31に記録している測定管理データの一覧を表示部9に表示する。この測定管理データの一覧には、例えば測定者ID、見出しが含まれる。これにより制御部28は、ユーザーが動き情報の解析を指示する対象としての測定管理データを選択可能とする。
【0056】
制御部28は、次の条件1)〜6)のいずれかに該当する時に、自発的に、動き判定部29に動き情報の解析を指示する。なお、この条件は一例であって、ユーザーが自由に設定することができる。これにより動き情報の解析結果は、自発的に記録部31に保存される。制御部28は、ユーザーから動き情報の解析結果の閲覧の指示があった時に、動き情報の解析結果を表示部9に表示する。
1)通信部30が受信した測定管理データ内にグルコース濃度の異常値を示す異常値フラグが含まれる時
2)通信部30が受信した測定管理データに含まれる測定者IDが、記録部31に記録された複数の測定管理データの何れにも含まれない時(該測定者IDを有するユーザーが初めてグルコース濃度の測定を行った時)
3)通信部30が受信した測定管理データに含まれる測定者IDを含む測定管理データが記録部31に記録された数が所定数以下の時(該測定者IDを有するユーザーのグルコース濃度の測定経験が少ない時)
4)通信部30が受信した測定管理データに含まれる測定者IDを含む測定管理データを前回に記録部31に記録した日から所定期間以上に亘り経過している時(該測定者IDを有するユーザーが久しぶりにグルコース濃度の測定を行った時)
5)通信部30が受信した測定管理データに含まれる測定者IDを含む測定管理データが記録部31に記録された数が所定数以上の時(該測定者IDを有するユーザーがグルコース濃度の測定を豊富に行って慣れが出てきた時)
6)それぞれの測定者IDを有するユーザーに対して、前回動き情報の解析を行った後、所定期間以上経過した時
動き判定部29は、制御部28から動き情報の解析を指示されると、記録部31から解析を指定された測定管理データを読み出す。動き判定部29は、読み出した測定管理データの中からセンサ装着時刻と試料点着時刻と測定開始時刻と測定終了時刻とそれらに同期した動き情報を抽出する。
【0057】
動き情報の解析は、動き判定部29によって、
図7に示すように、第一ピリオド(第一期間、t1〜t2)、第二ピリオド(第二期間、t2〜t3)、第三ピリオド(第三期間、t3〜t4)に区分して行われる。第一ピリオドは、センサ装着時刻t1から試料点着時刻t2までの期間である。第二ピリオドは、試料点着時刻t2から測定開始時刻t3までの期間である。第三ピリオドは、測定開始時刻t3から測定終了時刻t4までの期間である。例えば、
図7は、
図5に示す装置本体4のX軸4X方向の動き度合いの変化を表す一例である。この装置本体4のX軸4X方向とは、バイオセンサ7を装置本体4に装着する向きに沿った方向である。横軸は時間の経過であり、バイオセンサ7の装着を検知するより前の時刻からグルコース濃度の測定が完了したところまでを示している。縦軸は動き測定部24が出力する動き度合いの変化量の絶対値を平滑化したものであり、この動き度合いの変化量が大きいほど、装置本体4が大きく、または急激に動かされていることを示す。
図7に示すように、バイオセンサ7を装置本体4に装着する手技によって、バイオセンサ7から装置本体4に動きが加わり、動き度合いM1が高くなる。その後、バイオセンサ7の先端に血液を点着する手技によって、ユーザーの指等からバイオセンサ7を介して装置本体4に動きが加わり、動き度合いM2が現れる。その後、装置本体4の姿勢を維持する手技によって、ユーザーによって把持されている手技によって、小さな動き度合いM3が現れる。なお、試料点着時刻t2後、装置本体4がテーブル等に載置された場合、測定開始時刻t3から測定終了時刻t4の周辺では動き度合いは現れない。
【0058】
各ピリオドにおける動き情報の解析は、測定装置1のX軸4X、Y軸4Y、Z軸4Zにおける単位時間あたりの動き度合いの変化量それぞれと閾値との大小を比較することにより行われる。動き判定部29は、動き度合いの変化量が閾値よりも小さければ測定装置1の移動は許容範囲内のゆっくりした移動であると解析する。動き判定部29は、変化量が閾値よりも大きければ測定装置1が許容範囲を超える速い動きをしたと解析する。この測定装置1の動きのゆっくり又は速いは、瞬間的な加速度の小さい又は大きいであり、測定装置1に対する衝撃の弱い又は強いと言い換えることもできる。
【0059】
閾値は、それぞれの全てのピリオドで3つの軸に対して全て同じ値としてもよい。また、閾値は、ピリオドごとに、目的に応じて異なる値にしてもよい。ピリオドそれぞれの目的に応じた閾値は、それぞれの目的を達成するための条件で予め実験やシミュレーションを行うことにより、最適な値を求めておく。
ピリオド毎に閾値を異なる値にする場合の一例を以下に示す。第一ピリオドは、バイオセンサ7を装置本体4に装着してからバイオセンサ7に対する血液の点着を検知するまでの期間である。したがって、第一ピリオドにおいて主に検知したい測定装置1の動きは、バイオセンサ7が異常をきたす程度の強い衝撃が加わったか否かである。
図2に示す通り、バイオセンサ7は長細い形状をしている。このため、バイオセンサ7を測定装置1に挿入する手技のため、測定装置1の長手方向に衝撃が加わると、バイオセンサ7の折れ曲がりなどの破損が生じ易い。そこで、第一ピリオドにおける閾値のうち、特にX軸4X(装置本体4の前後方向、バイオセンサ7の挿入方向)の閾値は、バイオセンサ7の破損を検知するための値とする。これにより、X軸4Xの閾値を低くし、装置本体4の前後に動かされた場合には、速い動きと判定しやすくするよう、許容範囲を狭くする。
【0060】
一方で、ユーザーが被測定者の点着ポイント(位置)にバイオセンサ7を位置決めするために装置本体4を左右にすばやく動かす手技がある。また、バイオセンサ7を装着した後で装置本体4を机などに置いたりする手技がある。これらの手技は、バイオセンサ7の直接の破損には関与しにくい。したがって、第一ピリオドにおけるY軸4Y(装置本体4の左右方向)の閾値及びZ軸4Z(装置本体4の上下方向)の閾値を大きくする。これにより、Y軸4Y、Z軸4Zの閾値を高くし、装置本体4の左右、上下に動かされても速い動きと判定しないよう、許容範囲を広くする。
【0061】
第二ピリオド、第三ピリオドでは、バイオセンサ7に液体である血液が点着されている。第二ピリオドでは、バイオセンサ7内の試料供給路15に血液が安定して展開、導入しなければならない。第三ピリオドでは、試料供給路15に展開した血液がバイオセンサ7の対電極17、測定電極18及び検知電極19の上に安定して存在していなければならない。第二ピリオド、第三ピリオドは、グルコース濃度を高い精度で計測することが目的だからである。この条件を満足するX軸4X、Y軸4Y、Z軸4Zの動きの許容範囲を定め、それぞれ閾値として設定する。したがって、第二ピリオド、第三ピリオドの閾値は、第一ピリオドの閾値よりも低くし、許容範囲を狭く設定することが望ましい。
【0062】
動き判定部29は、動き情報の解析を終了すると、第一、第二、第三ピリオドそれぞれにおいて、動き情報が閾値(許容範囲)を超えた場合(エラーとなった場合)が有るか無いかの判定結果を制御部28へ伝達する。制御部28は、この判定結果を測定管理データと関連付けて、記録部31へと記録する。
この時、制御部28は、動き判定部29から伝達された第一、第二、第三ピリオドの判定結果のいずれか又は複数のピリオドにおいてエラーと判定された場合が存在していると、過去の判定結果の検索を行う。即ち、制御部28は、記録部31に記録された測定管理データの中から、今回に動き情報の解析が完了した測定管理データに含まれている測定者IDを抽出する。制御部28は、抽出した測定者IDと同一の測定者IDが含まれる測定管理データに関連付けられた動き情報の解析を行った判定結果を抽出する。制御部28は、抽出した過去の判定結果の中で、エラーと判定された回数の総和を求める。制御部28は、エラー回数の総和に今回のエラーの1回を加算する。制御部28は、加算後のエラー回数が所定数以上になった場合、ユーザーに対する指導が必要であると判断する。
【0063】
制御部28は、エラー回数を加算することにより、そのユーザーが今までの測定において、許容範囲を超えて測定装置1を移動させながら測定を行ったことが幾度もあることを明らかにすることができる。動き度合いの許容範囲は、上述の条件によりグルコース濃度の測定が正常に行われるために定めたものである。したがって、エラー回数が所定数以上となったことは、測定装置1を扱うユーザーの手技に問題があることを意味する。
【0064】
そこで、制御部28は、ユーザーの手技を改善させるための指導内容を表す指導プログラムを実行する。最も単純な例では、管理装置2の表示部9に警告の表示を行うことである。例えば、第二ピリオドでエラーとなる手技が多いユーザーに対しては、「血液の点着後は測定装置を強く動かさないで下さい。」などと表示する。或いは、そのユーザーの指導者のために、「血液の点着後に測定装置を強く動かさないように指導して下さい。」などと表示する。さらに、ユーザーが手技の学習ができるように、測定動作の動画を表示してもよい。この測定動画の表示には、シーン毎に特に注意が必要な動きは注釈表示して目立たせることが好ましい。または、画面表示だけの指導を行うのではなく、実際にユーザーが実技で指導を受けられるように、施設が提供する手技のトレーニングを受講するように促す表示をしても良い。
【0065】
さらには、制御部28は、動き情報に基づいて測定装置1の動きを再現するシミュレーションプログラムを実行してもよい。制御部28は、シミュレーション結果としての測定装置1とその動きの様子を表示部9に表示する。その時に、制御部28は、動き判定部29の判定結果から、どのピリオドの動きが問題となっているかを警告表示させる。
これらのユーザーに対する指導内容は、管理装置2の表示部9に表示するだけでなく、測定装置1の表示部5に表示させてもよい。制御部28は、上述の指導が必要と判断した時に、指導が必要なユーザーの測定者IDと指導内容とを測定装置1に送信するように通信部30に指示する。測定装置1の制御部25は、管理装置2から受信した測定者IDと指導内容を記録部27に記録しておく。制御部25は、入力部6から測定者IDの読み込みが行われ、当該測定者IDが記録された測定者IDと合致した時、即ち、指導が必要なユーザーが測定を行おうとした時に、表示部5に指導内容を表示する。これにより、測定装置1は、装置本体4を扱うときの手技をユーザーに指導できる。
【0066】
図8に示すように、管理装置2が複数の測定装置1a〜1cと通信を行い、それぞれの測定装置1a〜1cから測定管理データを受信する場合がある。この場合、制御部28は、測定装置1a〜1cそれぞれに固有の番号である測定装置IDと測定管理データを関連付けて記録部31に記録する。上述した一連の動き情報の解析においては、同一測定者IDの測定管理データを検索する際に、測定装置ID毎に別々に検索を行ってもよい。これは特定の測定者が特定の測定装置を扱った結果の検索である。あるいは、取得元の測定装置1に関係なく記録部31に記録された全ての測定管理データに対して測定管理データの検索を行ってもよい。これは測定装置は特定せず、特定の測定者の全ての結果の検索である。
【0067】
後者のように取得元の測定装置1に関係なく検索を行うことにより、測定者IDに関連付けられた測定管理データを途絶えることなく管理し、手技の解析に利用することができるという効果がある。例えば、大規模病院などで一人の看護師がその時に使用可能な測定装置1を無作為に使用してグルコース濃度の測定を行うような場合に有効である。また、故障やメンテナンスなどで測定装置1を入れ替えて使用するような場合にも有効である。
【0068】
管理装置2の制御部28は特定のユーザーに対して指導が必要と判断した時、そのユーザーが指導プログラム又は警告表示を確認するまでは新たに測定が行えないようにしてもよい。具体的には、制御部28は、指導を行うべき特定のユーザーに付与された測定者IDに測定不許可の情報を関連付けて全ての測定装置1に送信する。測定装置1の制御部25は、管理装置2から測定不許可の情報を受信した後に、入力される測定者IDの監視を開始する。そして、測定不許可とされた測定者IDと同一の測定者IDが読み込まれた場合に制御部25は警告を行う。具体的には、制御部25は、その測定者が測定不許可であることの表示と、管理装置2又は測定装置1に提示される指導プログラムを確認するように指示する表示と測定装置1の表示部5に表示させる。
【0069】
制御部28は、自身の入力部10を用いてユーザーが指導プログラムを確認したことが認識出来る。制御部28は、又はユーザーがいずれかの測定装置1で指導プログラムを確認した場合は、その測定装置1から伝えられることにより認識出来る。これにより、制御部28は、ユーザーに手技の指導を行ったことを認識できる。その後、管理装置2の制御部28は、全ての測定装置1に対して測定不許可を取り消す情報を送信する。
【0070】
測定管理データ内に異常値フラグが含まれることを条件として動き情報の解析を行った場合、制御部28は、上述した動き判定部29の判定結果によって、その異常値の原因がユーザーの手技によるものかそれ以外の要因によるものかを判断する。このとき、制御部28は、動き判定部29において動き情報の解析が終わって、出力された判定結果を確認する。制御部28は、第一から第三ピリオドのいずれもエラーと判定されていなければ、ユーザーの手技以外の要因によってグルコース濃度の異常値が発生したとして、表示部9に表示する。制御部28は、より詳細な異常値の解析を行うために、管理装置2とは別に設けられる情報収集装置に、グルコース濃度の異常値フラグを含む測定管理データを送信する。
【0071】
そのための構成を
図9に示す。
図9はその詳細な解析を行うための情報収集機能を有する液体試料測定システムの一例を示すものである。この液体試料測定システムは、管理装置2と情報収集装置33とが、専用回線又はインターネットなどの公衆回線を使用したネットワーク32で接続されている。情報収集装置33は、医療機関の監視部門や検査部門、又は測定装置1製造者や販売事業者の管理部門に配置される。管理装置2から送信された測定管理データは情報収集装置33に集約される。集約された測定管理データは、専門家が異常値の要因を詳細に解析し、対策等を検討するのに用いられる。
【0072】
測定管理データの解析の結果、臨床的な異常であると分かれば、情報収集装置33は、即座に医療機関の関係者に通知する。この通知は、電子メールを送信したり、ビーパー(beeper)など関係者が所持する端末の通知手段を起動させる信号を送信したりして実行される。関係者が所有する端末には、携帯電話などのモバイル機器の他、測定装置1を含めてもよい。
【0073】
以上のように本実施形態の液体試料測定システムによれば、ユーザーの手技により測定精度が低下してしまうか否かを判定し、適切な対策を実施することができる。これにより、測定装置1の測定結果のばらつきを低減することが可能となる。
なお、本実施の形態では、動き測定部として加速度センサを装置本体内に1つ備える例を示したが、加速度センサの数は2つ以上備えてもよい。これらの複数の加速度センサが適切な位置に配置されれば、装置本体4の動きの再現が詳細まで行えるようになり、より精度の高い動き情報の解析を行うことが可能となる。
【0074】
さらに、複数の加速度センサや角度センサなどの組み合わせにより、装置本体4の移動度だけでなく角度も再現することが望ましい。これにより、装置本体4の角度から、測定時の装置本体4の姿勢を知ることができる。これにより、液体試料を扱う測定装置1には、その液体の重力に対する移動などを考慮してユーザーの指導をすることができるという効果が生じる。
【0075】
なお、動き測定部24として、3軸の加速度センサの代わりに2軸の加速度センサを1つ又は複数備えるようにしてもよい。
なお、管理装置2が実行する動き情報の解析を代わりに情報収集装置33が実行し、その結果を管理装置2に送信するようにしてもよい。
【0076】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態の液体試料測定システムは、管理装置2が動き情報の解析を行う形態について説明した。これに対し、第2実施形態の液体試料測定システムは、動き情報の解析を測定装置1でも行うことについて、説明する。
図10は、動き情報の解析を行うことができる測定装置1のブロック図を示すものである。
図3のブロック図に示したものと同じ構成、動作を行うものは、同じ符号を付して説明を省略する。この測定装置1は、装置本体4の内部に動き判定部34を設けた点で、
図3の構成と異なる。動き判定部34は、第1実施形態で説明した、管理装置2内部の動き判定部29と同じ動作を行うものである。
【0077】
制御部35は、第1実施形態で説明した測定装置1内部の制御部25に、管理装置2内部の制御部28の機能を追加したものである。即ち、制御部35は、測定装置1の制御を行うことに加えて、管理装置2の制御部28が行っていた、動き判定部34に対する動き情報の解析の指示、動き判定部34からの判定結果に基づくユーザーへの指導が必要か否かの判断、指導プログラムの提示制御を行う。
【0078】
図11は、本実施形態における測定装置1による、ユーザーへの指導機能を有する測定装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS1は、ユーザーによってバイオセンサ7がセンサ装着部22に装着されたタイミングを、センサ装着検知部22bにより検知する。制御部35は、センサ装着検知部22bの通知によってバイオセンサ7が装着されたことを認識する。なお、ステップS1よりも前に、測定のために必要なユーザーのID、患者のID、バイオセンサ7のIDの入力などの準備がユーザーによって完了している。制御部35は、バイオセンサ7の装着後、同様に動き測定部24による装置本体4の動き量の測定を開始する。
【0079】
なお、本実施形態において、測定装置1は、測定者であるユーザーと被測定者である患者とが同一である個人向けの測定装置1であってもよい。その場合には、測定者と被測定者が同一でない場合に測定の都度行われているユーザーのID(測定者ID)と患者のID(被測定者ID)の入力が省略される。従って、個人向けの測定装置1である時は、ステップS1においてバイオセンサ7がセンサ装着部22に装着されたことが検知されると、制御部25は、表示部5と入力部6とを制御して、ユーザーにバイオセンサ7のIDの入力をさせるようにしてもよい。
【0080】
ステップS2において、制御部35は、以前に測定が行われた結果である測定管理データが記録部27に所定の測定回数分(例えば、3回分)以上存在するか否かを確認する。所定の測定回数分以上測定管理データが存在する場合には、制御部35は、現時刻に近い測定管理データから順に遡って、所定測定回数分の動き情報の解析結果を抽出する。制御部35は、抽出された動き情報の解析結果の全てがエラーとなっている場合には、手技の指導が必要であると判定する。一方、一部又は全ての動き情報の解析結果がエラーではない場合には、制御部35は、手技の指導は不要であると判定する。
【0081】
ステップS2にて手技の指導が必要であると判定された場合、制御部35は、処理をステップS3に進める。ステップS3において、制御部35は、表示部5に「測定注意事項の確認が必要」と表示する。これにより、制御部35は、ユーザーに指導プログラムの確認を促すことを提示する。その後、ユーザーが入力部6を用いて指導プログラムの確認を要求した場合、制御部35は、記録部27に記録されている指導プログラムを表示部5に表示する。一方、ステップS2にて手技の指導が不要であると判定された場合、制御部35は、血液の点着まで待機して、ステップS4に処理を進める。
【0082】
ステップS4において、第1実施形態に示したようにバイオセンサ7に血液が点着され、測定部23によるグルコース濃度の測定が行われる。このとき、制御部35は、バイオセンサ7に血液が点着されたことを検知すると、センサ装着時刻から試料点着時刻まで(第一ピリオド)の動き情報を記録部27に記憶させる。また、制御部35は、血液がバイオセンサ7内に導入されてグルコース濃度の測定を開始すると、試料点着時刻から測定開始時刻まで(第二ピリオド)の動き情報を記録部27に記憶させる。更に、制御部35は、グルコース濃度の測定を終了すると、測定開始時刻から測定終了時刻まで(第三ピリオド)の動き情報を記録部27に記憶させる。グルコース濃度の測定結果と動き情報はひとまとまりの測定管理データとして記録部27に記録される。
【0083】
なお、ステップS3の最中にバイオセンサ7に血液が点着されたことが検知されると、ステップS3を終了させて強制的にステップS4に移行する。例えば、指導プログラムの表示を行っている、又は、ユーザーからの指導プログラム表示の要求を待っている状態であっても、ステップS4に移行する。これは、緊急時などでユーザーが先に患者に穿刺をして血液の準備ができている場合に、指導プログラムの終了を待つ間に準備した血液が乾いて無駄になってしまうことを防ぐためである。制御部35は、ステップS4に移行した時に、ステップS3の指導プログラムが完了したか、中断したかを履歴として記録部27に保存する。
【0084】
制御部35は、グルコース濃度の測定が終了して測定管理データが記録部27に記録されると、ステップS5に移行し、動き判定部34に動き情報の解析を指示する。このとき、動き判定部34は、ステップS4にて記憶したセンサ装着時刻から測定終了時刻までの動き情報を読み出す。そして動き判定部34は、第1実施形態に示した動き判定部29と同様に、読み出した動き情報に対して、第一、第二、第三の各ピリオドについて動き情報の解析を行う。
【0085】
次に、制御部35は、ステップS6に移行し、表示部5における表示内容の判定を行う。制御部35は、ステップS4におけるグルコース濃度の測定が終了して記録部27に記録された測定管理データを記録部27から読み出し、グルコース濃度の測定結果と動き情報の解析結果を確認する。
まず、制御部35は、グルコース濃度の測定結果が予め定められた測定値の範囲内に位置するか否かを確認する。次いで、制御部35は、動き情報の解析結果においてエラーと判定されたピリオドが存在するか否かを確認する。制御部35は、グルコース濃度の判定結果と、動き情報の解析結果との組み合わせに基づいて、予め用意された複数の表示内容の中から、表示部5における表示内容を選択する。ここで、グルコース濃度の測定結果を判定するための測定値の範囲とは、一般に低血糖又は高血糖としてユーザーに警告が必要な範囲よりもさらに外側に設けられる、異常な測定値の範囲とする。そのために、まず、グルコース濃度の値に対して、高血糖を判定するための閾値と、低血糖と判定するための閾値とが定められている。さらに、高血糖の閾値よりも大きい値の閾値と、低血糖の閾値よりも小さい値の閾値とが異常な測定値を判定するために設けられている。これらの異常な測定値を判定するために設けられた2つの閾値の間に定められる範囲が異常と判定しない範囲であり、以下で用いられる「予め定められた範囲」である。
【0086】
グルコース濃度の測定結果が予め定められた測定値の範囲内であり、かつ動き情報の解析結果においてエラーと判定されたピリオドが存在しない場合には、ステップS7に処理を進める。制御部35は、表示部5に、少なくとも測定されたグルコース濃度の測定結果(表示A)を表示させる。この時、グルコース濃度の測定結果が、予め定められた範囲内ではあるが低血糖又は高血糖と判定される値であれば、低血糖又は高血糖の警告表示も合わせて行わせる。
【0087】
グルコース濃度の測定結果が予め定められた測定値の範囲内であり、かつ動き情報の解析結果においてエラーと判定されたピリオドが存在する場合には、ステップS8に処理を進める。制御部35は、表示部5に、少なくとも測定されたグルコース濃度の測定結果とともにユーザーに対する指導プログラムを表示させる(表示B)。例えば、第二ピリオドにおける動き度合いがエラーと判定されていた場合には、指導プログラムとして「血液の点着後は測定装置を強く動かさないようにして下さい」と表示させる。この時、グルコース濃度の測定結果が、予め定められた範囲内ではあるが低血糖又は高血糖と判定される値であれば、低血糖又は高血糖の警告表示も合わせて行わせる。
【0088】
グルコース濃度の測定結果が予め定められた測定値の範囲外であり、かつ動き情報の解析結果においてエラーと判定されたピリオドが存在しない場合には、ステップS9に処理を進める。制御部35は、表示部5にグルコース濃度の測定結果を表示させず、測定エラーの警告表示を行わせる(表示C)。この時、制御部35は、再度測定を行うように指示する表示をさせてもよい。
【0089】
グルコース濃度の測定結果が予め定められた測定値の範囲外であり、かつ動き情報の解析結果においてエラーと判定されたピリオドが存在する場合には、ステップS10に処理を進める。制御部35は、表示部5にグルコース濃度の測定結果を表示させず、測定エラーの警告表示とともにユーザーに対する指導プログラムの表示を行わせる。例えば、第二ピリオドで動き度合いがエラーと判定されていた場合には、指導プログラムとして「血液の点着後は測定装置を強く動かさないようにして下さい」と表示させる。さらに、制御部35は、再度測定を行うように指示する表示を表示部5に行わせる。
【0090】
このように、本実施形態において、動き情報の解析を行う1つ目のタイミングは、測定部23によるグルコース濃度の測定が行われた直後である。このタイミングに関連して、測定装置1が必要に応じてユーザーに手技の指導を行うのは、グルコース濃度の測定が行われる前、又はグルコース濃度の測定が行われた直後のどちらか、或いは両方となる。
グルコース濃度の測定が行われる前にユーザーに対して手技の指導を行うことは、ユーザーが指導された内容の記憶が新しく、強く意識して測定の手技を行うように促すことができるという効果がある。このため、これからグルコース濃度の測定を行うに際してユーザーの手技が要因となる測定精度低下への対策として有効である。
【0091】
また、グルコース濃度の測定が行われた直後にユーザーに対して指導を行うことは、ユーザーが測定を実施した直後における自身の手技の記憶が新しいうちに改善すべき点を指摘できるという効果がある。このため、次回以降にユーザーがグルコース濃度の測定を行うに際してユーザーの手技が要因となる測定精度低下への対策として有効である。
このように、表示部5は、記録部27に記録された動きの判定結果に基づいてグルコース濃度の測定を行う前に指導プログラムを表示できる。また、表示部5は、グルコース濃度の測定が行われた後に当該測定中を含む期間における動きの判定結果に基づいてグルコース濃度の測定を行った直後に指導プログラムを表示できる。
【0092】
さらに本実施形態では、動き情報の解析を行う2つ目のタイミングを開示する。この2つ目のタイミングは、ユーザー又は医師や医療コーディネータなど医療機関の従事者が入力部6を用いて動き情報の解析を制御部35に指示した時である。
医療機関の従事者が動き情報の解析を指示する時とは、例えば個人の患者が普段自宅で使用している測定装置1を持参して病院に来院し、医師の診察を受ける時である。医師は、測定装置1の記録部27に記録された、患者の日常におけるグルコース濃度の測定値を確認し、患者への投薬や生活指導などを行うことができる。その際に、動き情報の解析を行うことで、日常の患者の測定を行う時の手技が、正しく行われているか否かを合わせて確認することができる。
【0093】
制御部35は、グルコース濃度の測定を行う時以外の動作として、表示部5にメニューを表示させ、ユーザーからの指示を受け付ける。表示部5に表示させるメニューは、例えば記録部27に記録された過去に測定されたグルコース濃度の測定値を表示させる項目を含む。他の項目としては、測定装置1のメンテナンスを行うものなどがある。このメンテナンスの項目内には、動き情報の解析を行うことを指示する項目が含まれる。
【0094】
制御部35は、入力部6を介してユーザーから動き情報の解析を指示されると、動き判定部34に動き情報の解析を指示する。ユーザーが入力部6を用いて表示部5に表示されたメニューの中から動き情報の解析項目を選択すると、制御部35は、記録部27からグルコース濃度の測定結果とその測定結果が得られた日時、即ちグルコース濃度の測定が行われた日時を表示部5に表示させる。記録部27に複数の測定回数分の測定結果があるときは、それをリスト表示させる。
【0095】
そして、制御部35は、どの日時のグルコース濃度の測定が行われた時の動き情報を解析するかを、表示部5と入力部6を用いて対話式にユーザーに選択させる。制御部35は、入力部6からの入力に従って、どの日時の動き情報の解析を行うかを動き判定部34に指示する。動き判定部34は、制御部35から指示された日時の動き情報を記録部27から読み出して、動き情報の解析を行い、解析結果を制御部35に出力する。制御部35は、上述したグルコース濃度の測定結果とその測定結果が得られた日時とともに、動き判定部34が出力する動き情報の解析結果を一緒に表示部5に表示させる。なお、ユーザーが一度に複数回の測定分の動き情報を解析するように指示できるようにしてもよい。
【0096】
これにより、例えばグルコース濃度の測定値に異常な値が記録されている場合に、医師はそれが患者の手技に問題があって異常となったのか否かを確認し、患者への対処方法を判断することが可能となる。また、グルコース濃度の測定値に異常な値が記録されていなくても、患者の手技に問題となる動作があるか否かを確認することができる。これにより、医師は将来に発生するかもしれない患者の手技が不適切であることに起因して発生する測定精度の低下を未然に抑制するため、患者に手技の指導を行うことが可能となる。
【0097】
このように本実施の形態の測定装置によれば、測定装置1が単体で、ユーザーの手技により測定精度が低下してしまうか否かを判定し、適切な対策を施すことが可能となる。これにより、測定装置1の測定結果のばらつきを低減することができる。
また、本実施の形態は以下のように表現可能である。
(1)
生体の液体試料が点着されるバイオセンサが着脱自在に装着される筐体内に、
前記生体の液体試料から生体情報の測定を行う測定部と、
前記筐体の動き情報を測定する動き測定部と、
前記動き情報を解析して前記筐体の動き度合いが許容範囲内にあるか否かを判定する動き判定部とを備える液体試料測定装置である。
【0098】
(2)
使用者に対して前記筐体の手技を指導する指導プログラムを表示する表示部を有し、
前記表示部は、記録部に記録された前記動き判定部による判定結果に基づいて前記測定部により生体情報の測定を行う前に指導プログラムを表示し、前記測定部により生体情報の測定が行われた後に当該測定中を含む期間における前記動き判定部による判定結果に基づいて前記測定部により生体情報の測定を行った直後に指導プログラムを表示する上記(1)に記載の液体試料測定装置である。
【0099】
(第3実施形態)
本実施形態として示す測定装置1は、上述した実施の形態に加えて、装置本体4にカバー36を装着可能な形態である。
図12は装置本体4にカバー36を装着した測定装置の外観図である。
図13はカバーを装着可能な測定装置のブロック図である。
図12に示すように、本実施形態における測定装置1は、上述した動き情報の測定を行う装置本体4にカバー36を装着したものである。このカバー36は、図示したように、バイオセンサ7を装着する側の側面から装置本体4の外側を覆うように、装置本体4に対して着脱自在に装着される。なお、
図12ではカバー36が入力部6の上部までを覆う形状を示しているが、表示部5の上部まで覆うような形状でもよい。逆に、表示部5と入力部6までは覆わずにバイオセンサ7を装着する側面のみを覆う形状であってもよい。或いは、装置本体4全体を覆うように形成されていてもよい。
【0100】
このカバー36を装置本体4に装着する目的は、バイオセンサ7に被測定者の血液を点着する際などに、誤って装置本体4に血液が付着することを防ぐものである。従って、カバー36はグルコース濃度の測定を1度行う毎に取り替えるか、血液が付着したら取り替えるように扱われる。これにより、装置本体4に付着した血液が被測定者以外の第三者に付着して感染が発生してしまうのを防ぐことができる。
【0101】
そのためには、装置本体4にカバー36を取り付けた状態で測定を行うことを測定者(ユーザー)が測定時の行動(手技)として守らなければならず、それができていないユーザーには指導を行う必要がある。
そこで、
図13に示すように、測定装置1の装置本体4内部にカバー検知部37を追加した。カバー検知部37は、装置本体4にカバー36が装着されているか否かを検出して制御部25へ出力する。装置本体4へのカバー36の装着を検知する構成は、一般的なセンサでよい。例えば、カバー検知部37は、装置本体4にカバー36が装着された時に物理的な接触によってスイッチがオン/オフされるメカニカルな接触スイッチで構成される。又は、カバー検知部37は、装置本体4にカバー36が覆いかぶさることで受光する光量が変化したことに応じて、カバー36の装着を検知するために光学センサを用いて構成されていてもよい。他には、電気的または磁気的な特性を利用して検知するものでも良い。カバー検知部37が光学センサを用いてカバー36の装着を検知する場合、カバー検知部37が受光した光量に応じて、表示部5における画面のコントラストやバックライトの照度を調整するようにしても良い。例えば、カバー36が表示部5まで覆う形態の場合、カバー36の存在によって表示部5の表示が見えにくくなることを防ぐため、カバー36が装着されている時には、表示部5の輝度や明るさを上げるようにする。
【0102】
制御部35は、センサ装着時刻から測定終了時刻までの間、カバー検知部37が出力するカバー36が装置本体4に装着されているか否かの検知結果を測定管理データに追加して記録部27に記録する。
管理装置2における制御部28は、上述の実施形態で示した動き情報の解析を行う時に、カバー36の装着の有無を確認する。制御部28は、グルコース濃度の測定が行われる時にカバー36が装着されていない場合には、ユーザーに対して、警告表示を行う又は指導プログラムの提示を行う。例えば、「グルコース濃度の測定時には、カバーの装着が必要です。」などと表示する。
【0103】
このように、本実施形態の液体試料測定システムによれば、ユーザーの手技による測定精度低下の影響を判別することに加えて、ユーザーが正しい手順で測定を行っているかを観察し、誤っていれば正すことができる。
なお、カバー36は、最初はバイオセンサ7を装着する側面に開口が形成されておらず、バイオセンサ7を装置本体4に装着する際に、バイオセンサ7の装置本体4に把持される側の端部によって切り裂かれるようにしてもよい。
【0104】
なお、センサ装着部22は装置本体4の側面の中央部に形成されており、カバー36は、上面と下面の向きがどちらでも装着可能にしてもよい。或いは、センサ装着部22が中央部からずれた位置に形成される場合には、カバー36に、装置本体4への装着の向きが分かるように表示されていてもよい。さらに、成形の違いにより、ユーザーが装着の向きが分かるようにしてもよい。例えば、カバー36に半透明の素材が用いられる場合には、表示部5に対応する面の透明度を高く、反対側の面の透明度を低くするなどである。
【0105】
なお、測定装置1に電気化学式のバイオセンサ7を装着し、試料液として生体の血液を点着し、血液中のグルコース濃度を測定する例を示して説明したが、全ての実施の形態においてこれに限定されるものではない。
試料液としては、血液、尿や間質液など実質的に生体から得られるサンプルの原液又は溶液が適用される。又は、それらサンプルの擬似的な生成物や実験による生成物であってもよい。さらに、これらを変性、化学変化などの前処理を行った処理溶液を用いてもよい。或いは、測定装置1の校正などを目的としたコントロール液などを用いる場合にも、本発明は適用可能である。
【0106】
測定対象物としては、糖類、乳酸、各種コレステロール、核酸、DNA、抗体、抗原、タンパク質、ホルモン、菌、酵素、薬物、抗生物質、医薬組成物、標識マーカー、化学的物質など、サンプル中の発現又は定量を行うもの全てに対して本発明は適用可能である。
バイオセンサ7としては、試料液が点着され流路やメンブレンなどの作用により展開させたり、点着された試料液を貯留するチャンバー等の構造を有するものが用いられる。或いは、バイオセンサ7の替わりに、ハイブリダイズや血球収縮、血球破壊などの前処理をその中で実行するバイオチップやDNAチップなどを用いてもよい。即ち、センサ又はチップに試料液が供給されてから測定が完了するまでに、センサ又はチップの姿勢や動きによってその測定結果に影響が及ぼされる可能性が生じる形態のもの全てに本発明が適用可能である。
【0107】
さらに、バイオセンサ7への試料液の供給方法は、直接生体から点着するだけでなく、シリンジやカートリッジや前処理容器などから供給されるものでもよい。試料液を供給するためのカートリッジや前処理容器がバイオセンサ7に装着された状態で対象物の測定が行われるものであってもよい。
さらに、測定装置1における測定は、光学式や磁力式など、ハンドヘルドの測定装置で実施可能な全ての測定方法を含む。
【0108】
特願2011−283197号(出願日:2011年12月26日)の全内容は、ここに援用される。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。