特許第6282340号(P6282340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6282340波動歯車装置の波動発生器および波動発生器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282340
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】波動歯車装置の波動発生器および波動発生器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   F16H1/32 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-517768(P2016-517768)
(86)(22)【出願日】2014年5月8日
(86)【国際出願番号】JP2014062407
(87)【国際公開番号】WO2015170391
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】清澤 芳秀
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−181636(JP,A)
【文献】 特開昭61−192947(JP,A)
【文献】 実開平5−27398(JP,U)
【文献】 特開昭59−190541(JP,A)
【文献】 特開2009−299780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波動歯車装置の可撓性外歯歯車を非円形に撓める波動発生器であって、
剛体であるプラグと、
前記プラグに形成した非円形外周面と、
前記非円形外周面に装着した3個のウエーブベアリングと、
を有しており、
前記プラグは、その軸線方向に接合された個のプラグ分割片を備え、
前記非円形外周面は、前記プラグ分割片のそれぞれに形成した分割外周面によって規定され、
前記分割外周面のそれぞれには1個ずつ前記ウエーブベアリングが装着され、
前記分割外周面は同一サイズの外周面であり、
前記ウエーブベアリングは同一サイズのウエーブベアリングである波動歯車装置の波動発生器。
【請求項2】
前記ウエーブベアリングのそれぞれは、相互に独立した転動体リテーナーを備えている請求項1に記載の波動歯車装置の波動発生器。
【請求項3】
前記プラグ分割片は、ボルト締結、溶接、接着、スプライン結合、ピンによる結合、リベットによる結合のうちのいずれか一つ、あるいは、これらのうちの少なくとも2つを用いて、相互に接合されている請求項1または2に記載の波動歯車装置の波動発生器。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれか一つの項に記載の波動発生器の製造方法であって、
前記プラグ分割片のそれぞれを製造するプラグ片製作工程と、
製作された前記プラグ分割片のそれぞれの前記分割外周面に、1個あるいは2個の前記ウエーブベアリングを装着するベアリング装着工程と、
前記ウエーブベアリングが装着された前記プラグ分割片を同軸に接合するプラグ片接合工程と、
を含む波動発生器の製造方法。
【請求項5】
同軸に並列配置した第1剛性内歯歯車および第2剛性内歯歯車と、
前記第1、第2剛性内歯歯車の内側に同軸に配置した半径方向に撓み可能な円筒形状の可撓性外歯歯車と、
前記可撓性外歯歯車を非円形に撓めて前記第1、第2剛性内歯歯車のそれぞれに対して部分的にかみ合わせている波動発生器と、
を有しており、
前記波動発生器は、請求項1ないし3のうちのいずれか一つの項に記載の波動発生器である波動歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波動歯車装置の波動発生器および、その製造方法に関する。さらに詳しくは、フラット型波動歯車装置と呼ばれる波動歯車装置に用いるのに適した波動発生器および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラット型波動歯車装置は、同軸に並列配置された2個の剛性内歯歯車と、これらの内側に同軸に配置された半径方向に撓み可能な円筒形状の可撓性外歯歯車と、可撓性外歯歯車を非円形、例えば楕円形に撓めて2個の剛性内歯歯車に部分的に噛み合わせている波動発生器とを備えている。一方の剛性内歯歯車の歯数は可撓性外歯歯車よりも多く、これらの歯車の間では、歯数差に応じた減速動作が行われる。他方の剛性内歯歯車の歯数は可撓性外歯歯車と同一であり、これらの歯車は一体回転する。歯数の多い剛性内歯歯車を固定し、波動発生器をモーター等によって回転すると、可撓性外歯歯車が減速回転し、この減速回転が可撓性外歯歯車と一体回転する歯数の少ない剛性内歯歯車から負荷側に出力される。
【0003】
特許文献1には、この構成のフラット型波動歯車装置が記載されている。当該文献に記載された波動歯車装置の波動発生器は、剛体であるプラグの楕円形状の外周面に、ウエーブベアリングとして、並列に圧入された3個のボールベアリングを備えている。両側のボールベアリングは、可撓性外歯歯車の外歯における歯幅方向の両側部分を支持し、中央のボールベアリングは、外歯の歯幅方向の中央部分を支持する。
【0004】
このように、外歯の歯幅方向に配列した複数のボールベアリングを用いて薄肉弾性体からなる円筒形状の可撓性外歯歯車を支持することにより、可撓性外歯歯車の歯幅方向の各部分に作用する応力分布を均一化できる。これにより、可撓性外歯歯車の寿命を延ばすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−181636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、波動発生器は、楕円形状の外周面を備えた剛体であるプラグと、このプラグの外周面に圧入されたボールベアリングとから構成される。プラグ外周面に圧入されるボールベアリングの個数が増加すると、それらの圧入作業が困難になる。
【0007】
例えば、複数個のボールベアリングを用いる場合には、製造コストの観点から、同一サイズのボールベアリングが使用される。プラグ外周面に、1個目のボールベアリングを圧入した後に、2個目のボールベアリングを圧入する作業は1個目のボールベアリングの圧入作業よりも難しくなり、圧入面に傷が付くこともある。特に、3個以上のボールベアリングを同一のプラグ外周面に圧入する作業は困難であり、圧入面に損傷が発生しやすい。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、剛体であるプラグの非円形外周面に、作業性よく、廉価に、複数個のウエーブベアリングを装着できる波動発生器、および当該波動発生器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、波動歯車装置の可撓性外歯歯車を非円形に撓める波動発生器であって、
剛体であるプラグと、
前記プラグに形成した非円形外周面と、
前記非円形外周面に装着した3個のウエーブベアリングと、
を有しており、
前記プラグは、その軸線方向に接合された個のプラグ分割片を備え、
前記非円形外周面は、前記プラグ分割片のそれぞれに形成した分割外周面によって規定され、
前記分割外周面のそれぞれには1個ずつ前記ウエーブベアリングが装着され、
前記分割外周面は同一サイズの外周面であり、
前記ウエーブベアリングは同一サイズのウエーブベアリングであることを特徴としている。
【0010】
本発明の波動発生器では、そのプラグが、軸線方向に分割した複数個のプラグ分割片から構成される。したがって、各プラグ分割片の分割外周面にウエーブベアリングを圧入により装着し、しかる後に、プラグ分割片を軸線方向に接合することができる。よってプラグの非円形外周面に、複数個のウエーブベアリングが並列配置された状態で圧入されている波動発生器を、作業性良く製造することができる。
【0014】
本発明では、複数個のウエーブベアリングを備えた波動発生器の製造コストを下げるためには、前記分割外周面は同一サイズの外周面であり、前記ウエーブベアリングは同一サイズのウエーブベアリングである。
【0015】
この場合、複数のウエーブベアリングのそれぞれには製造バラツキがあり、各ウエーブベアリングにおける転動体の公転速度に差が生じることがある。したがって、複数のウエーブベアリングに共通の転動体リテーナーを用いると、転動体リテーナーが破損する危険性がある。このため、前記ウエーブベアリングのそれぞれは、相互に独立した転動体リテーナーを備えていることが望ましい。
【0016】
前記プラグ分割片は、ボルト締結、溶接、接着、スプライン結合、ピンによる結合、リベットによる結合のうちのいずれか一つ、あるいは、これらのうちの少なくとも2つを用いて、相互に接合することができる。
【0017】
次に、本発明は、上記構成の波動発生器の製造方法であって、
前記プラグ分割片のそれぞれを製造するプラグ片製作工程と、
製作された前記プラグ分割片のそれぞれの前記分割外周面に、1個あるいは2個の前記ウエーブベアリングを装着するベアリング装着工程と、
前記ウエーブベアリングが装着された前記プラグ分割片を同軸に接合するプラグ片接合工程と、
を含むことを特徴としている。
【0018】
本発明の波動発生器は、円筒形状の可撓性外歯歯車を備えた波動歯車装置に用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用した波動発生器を備えた波動歯車装置を示す端面図および縦断面図である。
図2図1の波動発生器の製造方法を示す説明図である。
図3】本発明を適用した波動発生器の別の例を示す半縦断面図である。
図4】本発明を適用した波動発生器の更に別の例を示す半縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した波動発生器を備えた波動歯車装置の実施の形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1(a)は、本実施の形態に係る波動歯車装置を示す端面図であり、図1(b)はそのb−b線で切断した部分を示す縦断面図である。波動歯車装置1は、所謂、フラット型波動歯車装置と呼ばれる形式のものであり、同軸に並列配置された第1、第2剛性内歯歯車2、3と、これらの内側に同軸に配置した薄肉弾性体からなる円筒形状の可撓性外歯歯車4と、この内側に嵌めた楕円状輪郭の波動発生器5とを備えている。
【0022】
可撓性外歯歯車4は、波動発生器5によって楕円形状に撓められて、第1、第2剛性内歯歯車2、3に対して部分的にかみ合っている。波動発生器5がモーターなどによって回転駆動されると、可撓性外歯歯車4と、第1、第2剛性内歯歯車2、3との間のかみ合い位置が円周方向に移動する。
【0023】
第1剛性内歯歯車2の歯数は可撓性外歯歯車4よりも2n枚(nは正の整数)だけ多く、これらの歯車2、4の間では、歯数差に応じた減速動作が行われる。他方の第2剛性内歯歯車3の歯数は可撓性外歯歯車4と同一であり、これらの歯車3、4は一体回転する。歯数の多い第1剛性内歯歯車2を固定し、波動発生器5をモーター等によって回転すると、可撓性外歯歯車4が減速回転し、この減速回転が可撓性外歯歯車4と一体回転する第2剛性内歯歯車3から負荷側に出力される。
【0024】
波動発生器5は、剛体であるプラグ6と、このプラグ6の楕円状外周面7に装着(圧入)した3個のウエーブベアリング8、9、10とを備えている。プラグ6の中心部分には、装置軸線1aを中心とするプラグ軸穴6aが形成されており、ここに、モーター軸等の回転入力軸(図示せず)が同軸に通されて連結固定される。プラグ6の楕円状外周面7は軸線方向の各位置において同一径であり、ここに装着されているウエーブベアリング8〜10は同一サイズのボールベアリングである。
【0025】
ウエーブベアリング8〜10は、プラグ6の楕円状外周面7に装着されて、それらの外輪8a〜10aの外周面が楕円状に撓められている。よって、外輪8a〜10aによって支持されている可撓性外歯歯車4も、楕円状に撓められた状態となっている。
【0026】
ここで、本例では、可撓性外歯歯車4の外歯11は、第1剛性内歯歯車2の内歯2aに対峙する第1外歯部分11aと、第2剛性内歯歯車3の内歯3aに対峙する第2外歯部分11bと、これらの間に形成したレリービング部分11cとを備えている。レリービング部分11cの歯幅方向の長さ、歯丈方向のレリービング量を適切に設定することにより、外歯11の歯幅方向の歯面荷重分布を平坦化でき、歯幅方向において内歯2a、3aとの間に良好な歯当りが形成される。これにより、波動歯車装置1の負荷容量を高めることができる。
【0027】
波動発生器5のウエーブベアリング8は第1外歯部分11aを支持し、ウエーブベアリング10は第2外歯部分11bを支持している。ウエーブベアリング8、10の間に配置されているウエーブベアリング9は、レリービング部分11cと、これに連続する第1、第2外歯部分11a、11bの部分を支持している。また、ウエーブベアリング8〜10のそれぞれは、相互に独立したボールリテーナー8b〜10bを備えている。
【0028】
(波動発生器のプラグ)
波動発生器5のプラグ6は、軸線方向に接合した3個の環状のプラグ分割片12、13、14から構成されている。各プラグ分割片12〜14の外周面は、楕円状外周面7を分割した分割外周面12a〜14aとなっている。プラグ分割片12〜14は、それらの円周方向に所定間隔で取り付けた複数本の締結ボルト15によって同軸に接合されてプラグ6を形成し、それらの分割外周面12a〜14aはプラグ6の楕円状外周面7を形成している。
【0029】
なお、プラグ分割片12〜14は、ボルト締結、溶接、接着、スプライン結合、ピンによる結合、リベットによる結合等を用いて、相互に接合することができる。また、これらの接合方法を併用して、接合強度を高めることも可能である。
【0030】
中央に位置するプラグ分割片13は、一定幅の円盤部分13bと、この内周部分に形成した円筒状のボス部分13cとを備えている。円盤部分13bの外周面が分割外周面13aとなっており、ここにウエーブベアリング9が装着されている。また、ボス部分13cの内周面によってプラグ軸穴6aが規定されている。円盤部分13bの両側の端面13d、13eは装置軸線1aに直交する平坦面となっており、ボス部分13cの外周面は、装置軸線1aを中心とする円形外周面13fとなっている。
【0031】
プラグ分割片13の両側に位置するプラグ分割片12、14は、左右対称な形状をしており、広幅の外周側円盤部分12b、14bと、細幅の内周側円盤部分12c、14cと、内周側円盤部分12c、14cの中心部分を貫通する円形貫通穴12d、14dとを備えている。プラグ分割片12、14におけるプラグ分割片13に対峙する側の端面12e、14eは、装置軸線1aに直交する平坦面となっている。
【0032】
プラグ分割片12、14の円形貫通穴12d、14dを中央のプラグ分割片13のボス部分13cに装着し、端面12e、14eをプラグ分割片13の端面13d、13eに当接する。これにより、3個のプラグ分割片12〜14が同軸に重ね合わされた状態になる。この状態で、締結ボルト15によって、プラグ分割片12〜14が締結固定されている。
【0033】
(波動発生器の製造手順)
図2は波動発生器5の製造手順を示す説明図である。まず、プラグ分割片12〜14のそれぞれを製作する(プラグ片製作工程ST1)。次に、プラグ分割片12〜14のそれぞれの分割外周面12a〜14aに、ウエーブベアリング8〜10を圧入する(ベアリング装着工程ST2)。しかる後に、ウエーブベアリング8〜10が装着されたプラグ分割片12〜14を同軸に軸線方向に重ね合わせ、締結ボルト15によって締結固定する。これにより、プラグ6の楕円状外周面7に3個のウエーブベアリング8〜10が圧入された波動発生器5が得られる。
【0034】
(作用効果)
このように、波動発生器5は、単一部品のプラグの楕円状外周面に、3個のウエーブプラグを圧入固定する必要がない。よって、剛体であるプラグ6の楕円状外周面7に複数個のウエーブベアリング8〜10が圧入固定された構成の波動発生器を、作業性良く、楕円状外周面7に損傷を生じさせることなく、製造することができる。
【0035】
また、プラグ6の楕円状外周面7に3個のウエーブベアリング8〜10を容易に圧入固定できるように、ウエーブベアリング8〜10のそれぞれのサイズを変更する必要がない。同一サイズのウエーブベアリング8〜10を用いることにより、波動発生器5の製造コストを下げることができる。
【0036】
さらに、本例では、3個のプラグ分割片12〜14を接合してプラグ6を形成しているので、ウエーブベアリング8〜10のそれぞれに、相互に独立したボールリテーナー8b〜10bを配置してある。すなわち、プラグ分割片12〜14の製造バラツキに起因して、隣接するプラグ分割片に圧入したウエーブベアリングの間において、ボールの公転速度に差が生じる。隣接するボールベアリングのボールリテーナーを繋げて使用すると、ボールリテーナーが破損する危険がある。本例では独立したボールリテーナー8b〜10bを使用しているので、それらがプラグ分割片12〜14の製造バラツキに起因して破損する危険を回避できる。
【0037】
(波動発生器の別の例)
図3は、波動発生器5の別の例を示す半縦断面図である。この図に示す波動発生器20は、ウエーブベアリングの個数がプラグ分割片の個数よりも多い場合の例である。この場合には、少なくとも一つのプラグ分割片の分割外周面に2個のウエーブベアリングが装着される。
【0038】
図3の波動発生器20では、2個のプラグ分割片21、22からプラグ23が構成され、これらのプラグ分割片21、22の楕円状外周面21a、22aからプラグ23の楕円状外周面23aが形成されている。プラグ23の楕円状外周面23aには3個のウエーブベアリング24、25、26が装着されている。具体的には、一方のプラグ分割片21の楕円状外周面21aに、2個のウエーブベアリング24、25が装着され、他方のプラグ分割片22の楕円状外周面22aに、1個のウエーブベアリング26が装着されている。
【0039】
剛体であるプラグ分割片21の楕円状外周面21aには単一のウエーブベアリングを装着することが最も簡単であるが、2個のウエーブベアリングであれば比較的容易に楕円状外周面21aに圧入により装着可能である。したがって、図1、2に示す波動発生器5の代わりに、図3に示す波動発生器20を用いることも可能である。
【0040】
次に、図4は波動発生器5の更に別の例を示す半縦断面図である。この図に示す波動発生器30は、軸線方向の中央に配置されるウエーブベアリング32として、両側のウエーブベアリング31、33よりも小さなサイズのものを使用している。プラグ34は2個のプラグ分割片35、36から構成される。一方のプラグ分割片35の外周面には、ウエーブベアリング31を支持する楕円状外周面35aと、負荷容量の小さなウエーブベアリング32を支持する楕円状外周面35bが形成されている。他方のプラグ分割片36の外周面には、楕円状外周面35aと同一寸法の楕円状外周面36aが形成されている。
【0041】
可撓性外歯歯車4における歯幅方向の中央部分は、両側部分に比べて小さな支持力で支持することができる。よって、図1図2に示す波動発生器5の代わりに、図4に示す波動発生器30を用いることも可能である。
【0042】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、第2剛性内歯歯車3と可撓性外歯歯車4の歯数を同一としてある。これらの歯車3、4を異なる歯数として、これらの歯車3、4の間においても減速動作を行うようにすることも可能である。
【0043】
可撓性外歯歯車を楕円形状以外の非円形に撓めることも可能である。例えば、3ローブ形状に可撓性外歯歯車を撓めて、剛性内歯歯車に対して円周方向の3箇所でかみ合わせることができる。この場合には、剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車の歯数差は、3n枚(n=0、1、2・・・)とされる。
【0044】
上記の可撓性外歯歯車4では、その歯幅方向の中央部分にレリービング部分を形成してある。レリービング部分を省略することも可能である。
図1
図2
図3
図4