(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例に係る通信システムのブロック図である。
図1は市区町村などの防災に関する無線通信システムである市町村デジタル同報通信システム(以下、同報系と称する)と、地区放送システム(以下、地区放送系と称する)を接続した通信システムを説明するためのブロック図である。
【0014】
図1において、同報系システムは、例えば、災害時に行政機関から住民に対して災害関連情報を報知する等の用途として用いられ、センター局装置101から同報無線で送信した報知情報を所定の場所に設置された複数の屋外子局12などで受信してトランペット型スピーカ等から音声出力する。具体例として、60MHz帯(54〜70MHz)における市町村デジタル防災無線通信方式であるTDMA−TDD方式による防災行政用のデジタル同報無線システムにおいて、同報無線回線を利用してセンター局装置101と屋外子局12などとの間で音声情報や他の符号情報等による通報を行う機能を備える。
【0015】
本発明の一実施例に係るデジタル同報系システムでは、例えば、災害が発生した時などに、行政機関から住民に対して災害関連の情報を一斉通報により報知することが行われる。具体的には、センター局装置101に設置された操作卓10や同報系親局装置11により、各地域における屋外や一般家庭や集会所や学校などに設置された図示していない端末局装置などに対して、災害に関する情報や、緊急指令の情報や、避難勧告の情報などを、通話による音声情報或いは文字情報等による非音声情報として送信して、住民へ情報を伝達する。
【0016】
また、通信システムとしては、例えば、端末局装置が固定的に設置されるような固定系の通信システムに適用されてもよく、或いは、端末局装置が携帯電話のように移動可能な通信システムに適用されてもよい。なお、本一実施例では、子局設備102−1〜102−nはそれぞれの地域の場所に設置されており、各戸別受信機26は例えば子局設備102−1〜102−nに接続された地区放送系システム104−1〜104−nの戸別受信機26として、市町村内の住居に戸別毎(世帯毎)に設置されている或いはそれぞれの人(所有者)により携帯されている。
【0017】
また、一般に、基地局装置(本一実施例では、センター局装置101)から子局設備102−1〜102−nなどへの通信の方向を下りと言い、子局設備102−1〜102−nなどから基地局装置(本実施例では、センター局装置101)への通信の方向を上りと言う。
【0018】
図1において、同報系システムでは、センター局装置101と、複数であるn個の子局設備102−1〜102−nを設けてある。なお、子局設備102−1〜102−nの数nとしては、それぞれ、種々な数が用いられてもよい。
図1は、センター局装置101と子局設備102−1との間の無線回線C1や、センター局装置101と子局設備102−nとの間の無線回線Cnを示してある。
【0019】
本一実施例では、主に、センター局装置101と戸別受信機26との間で通信する場合について説明するが、例えば、子局設備102−1〜102−nと同様な構成や動作を戸別受信機26に適用することも可能である。
センター局装置101は、扱者1により操作されて各種の指令などを受け付ける操作卓10と、制御部や無線部やアンテナを有して無線通信を行う同報系親局11が備えられている。
【0020】
子局設備102−1〜102−nは、制御部や無線部やアンテナを有して無線通信を行う屋外子局12と、人に対して音声を出力するトランペット型スピーカが備えられている。
【0021】
地区放送親局設備の地区放送親局装置21は、扱者103−1〜103−nより操作されて各種の指令などを受け付ける放送卓22と、人により遠隔地の電話端末31から公衆回線網等のネットワーク105を介し操作されて、各種の指令などを受け付ける遠隔操作装置23と、制御部や無線部やアンテナを有して無線通信を行う無線装置24が備えられている。
戸別受信機26は、人に対して音声を出力するスピーカと、文字情報等の画像を表示する表示部が備えられている。
【0022】
本発明の一実施例では、各地区放送親局装置21に対して、中継装置25を介して、戸別受信機26が無線回線E1〜Enを介して接続されるシステム構成を示すが、例えば、中継装置25を介さないで、地区放送親局装置21と戸別受信機26が直接的に無線回線E1〜Enを介して接続されるようなシステム構成が用いられても良い。
子局設備102−1〜102−nは、地区放送親局装置21を外部から制御する他システム連動部が備えられており、接続されている。
また、地区放送親局装置21は、外部から制御を受け付ける被他システム連動部が備えられている。
なお、扱者106は、電話端末31の送話者および操作者である。
【0023】
図2は本発明の一実施例に係るデジタル同報通信システムの親局と地区放送システムの親局を説明するためのブロック図である。
図2には、同報系親局装置11と地区放送親局装置21の機能ブロックの例を示してある。
本発明の一実施例の同報系親局装置11は、屋外子局12を通じて各地区の地区放送親局装置21と通信する通信部111、各地区の地区放送親局装置21から収集した地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を管理する時刻情報管理テーブル112、各地区の地区放送親局装置21による地区放送音声のサービスエリアを管理するエリア管理テーブル113、各地区の地区放送親局装置21による地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を調整する送信時刻調整部114、等を有する。
【0024】
また、本発明の一実施例の地区放送親局装置21は、屋外子局12を通じて同報系親局装置11と通信する通信部221、扱者(人)103からの操作を受け付ける操作受付部232、地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を管理する時刻情報管理部231、入力された地区放送音声を録音(記憶)する地区放送記憶部233、地区放送音声を戸別受信機26へ配信(送信)する地区放送配信部222、無線装置24等を有する。
【0025】
各地区の地区放送親局装置21は、扱者103によって直接又は遠隔的に放送卓22を操作して入力された地区放送音声を操作受付部232により受け付けると、当該地区放送音声を地区放送記憶部233に記憶する。そして、時刻情報管理部231に設定されている地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の到来を契機に、地区放送記憶部233に記憶されている地区放送音声を地区放送配信部222により無線装置24を介して戸別受信機26へ配信(送信)する。
【0026】
扱者1は、センター装置101の同報系親局装置11から子局設備102−1〜102−nを介して地区放送親局装置21の地区放送記憶部233に記憶する報知情報を送信する。
送信する報知情報は、音声データと、送信先である地区放送親局装置21の識別情報と、通報時刻情報、等である。
送信先である地区放送親局装置21の識別情報は、同報系親局装置11のエリア管理テーブル113に記憶している。また、通報時刻情報は、扱者1が操作卓10からの直接入力または同報系親局装置11の時刻情報管理テーブル112に記憶している情報を読出し付加する。
【0027】
識別情報で送信先に該当する地区放送親局装置21は、同報系親局装置11から子局設備102を介して送信された報知情報を音声データと通報時刻情報に分離する。
地区放送親局装置21は、分離した音声データを地区放送記憶部233に記憶し、分離した通報時刻情報を時刻情報管理部231で管理する。
そして、時刻情報管理部231は、通報時刻になった場合、通報時刻に該当する音声データを地区放送記憶部233から読出し、地区放送配信部222から無線装置24、中継装置25を介して戸別受信機26に配信する。
【0028】
次に本発明の一実施例の基本的な動作について
図3を用いて説明する。
図3は、扱者1がセンター局装置101の操作卓10の通報操作により、地区放送(地域振興)設備104−1〜104−nの戸別受信機26に対して選択呼出操作を実施した際の、各装置間でやり取りされるシーケンス図を示している。
図3の説明は、センター局装置101、子局設備102−1、地区放送(地域振興)設備104−1が通信した場合である。
【0029】
扱者1が通報を行うに際し、センター局装置101の操作卓10に対して通報種別を選択入力(301)し呼出起動(302)を行うと、通報対象となる地区放送(地域振興)設備104−1〜104−nの戸別受信機26に至るまでの無線回線を新たに開設しないで、遠隔操作装置23に至るまでの無線回線C1〜Cnを使用する。
【0030】
センター局装置101は屋外子局12に対して呼出起動を行う(303)。屋外子局12は放送卓22に対して録音(記憶)起動を行う(304)。放送卓22は遠隔操作装置23に対して自動プログラムで録音(記憶)開始(自プロ録音開始)の指示を出す(305)。
【0031】
その後、扱者1の肉声による報知情報を音声送話、または予め作成してある報知情報を送話する(306)。音声送話による報知情報は、リアルタイムで戸別受信機26に拡声出力することなく、一旦、遠隔操作装置23に内蔵する地区放送記憶部233に音声データを録音(記憶)する(307)。
扱者1は終話すると、センター局装置101に対して終話指示を出す(308)。センター局装置101は屋外子局12に対して終話指示を出す(309)。屋外子局12は放送卓22に対して録音(記憶)終話を出す(310)。放送卓22は遠隔操作装置23に対して自動プログラムで録音(記憶)終了(自プロ録音終了)の指示を出す(311)。
【0032】
その後、通報時刻(312)に達した際、遠隔操作装置23の時刻情報管理部231が、放送卓22に対して自動起動を行う(313)。放送卓22は、自動起動の選択呼出操作に応じて、通報対象となる戸別受信機26に対して起動信号を送出後(314)、遠隔操作装置23から前記音声録音した報知情報を音声再生する(315)と、受信起動した戸別受信機26にてリアルタイムにスピーカ(拡声)出力する(316)。
遠隔操作装置23は、音声再生が終話すると、放送卓22に対して終話指示を出す(317)。放送卓22は戸別受信機26に終話信号を出力する(318)。戸別受信機26は終話信号を受信するとスピーカ出力を終了する。
なお、無線装置24と中継装置25は、放送卓24から戸別受信機26への送信信号を電波回線E1で中継する。
【0033】
次に本発明の一実施例の詳細な動作について
図4を用いて説明する。
図4は、
図3の一実施例を元に、異なる地域コミュニティ無線用地区放送(地域振興)設備104−1〜104−nの戸別受信機26に対して、同時刻に異なる報知情報を通報する際、各装置間でやり取りされるシーケンス図を示している。
【0034】
扱者1が地区放送(地域振興)設備104−1に通報を行うに際し、センター局装置101の操作卓10に対して通報種別を選択入力(401)し、呼出起動(402)を行う。
センター局装置101は子局設備102−1の屋外子局12に対して呼出起動を行う(403)。子局設備102−1の屋外子局12は地区放送(地域振興)設備104−1の放送卓22に対して録音(記憶)起動を行う(404)。地区放送(地域振興)設備104−1の放送卓22は遠隔操作装置23に対して自動プログラムで録音(記憶)開始(自プロ録音開始)の指示を出す(405)。
【0035】
その後、扱者1の肉声による報知情報を音声送話、または予め作成してある報知情報を送話する(406)。音声送話による報知情報は、リアルタイムで戸別受信機26に拡声出力することなく、一旦、遠隔操作装置23に内蔵する地区放送記憶部233に音声データを録音(記憶)する(407)。
扱者1は地区放送(地域振興)設備104−1に対して終話すると、センター局装置101に対して終話指示を出す(408)。センター局装置101は子局設備102−1の屋外子局12に対して終話指示を出す(409)。屋外子局12は放送卓22に対して録音(記憶)終話を出す(410)。放送卓22は遠隔操作装置23に対して自動プログラムで録音(記憶)終了(自プロ録音終了)の指示を出す(411)。
【0036】
扱者1が地区放送(地域振興)設備104−2に通報を行うに際し、センター局装置101の操作卓10に対して通報種別を選択入力(421)し、呼出起動(422)を行う。
センター局装置101は子局設備102−2の屋外子局12に対して呼出起動を行う(423)。子局設備102−2の屋外子局12は地区放送(地域振興)設備104−2の放送卓22に対して録音(記憶)起動を行う(424)。地区放送(地域振興)設備104−2の放送卓22は遠隔操作装置23に対して自動プログラムで録音(記憶)開始(自プロ録音開始)の指示を出す(425)。
【0037】
その後、扱者1の肉声による報知情報を音声送話、または予め作成してある報知情報を送話する(426)。音声送話による報知情報は、リアルタイムで戸別受信機26に拡声出力することなく、一旦、遠隔操作装置23に内蔵する地区放送記憶部233に音声データを録音(記憶)する(427)。
扱者1は地区放送(地域振興)設備104−2に対して終話すると、センター局装置101に対して終話指示を出す(428)。センター局装置101は子局設備102−2の屋外子局12に対して終話指示を出す(429)。屋外子局12は放送卓22に対して録音(記憶)終話を出す(430)。放送卓22は遠隔操作装置23に対して自動プログラムで録音(記憶)終了(自プロ録音終了)の指示を出す(431)。
【0038】
地区放送(地域振興)設備104−1の遠隔操作装置23は、通報時刻(451)に達した際、地区放送(地域振興)設備104−1の遠隔操作装置23の時刻情報管理部231が、放送卓22に対して自動起動を行う(452)。放送卓22は、自動起動の選択呼出操作に応じて、通報対象となる戸別受信機26に対して起動信号を送出後(453)、遠隔操作装置23から前記音声録音した報知情報を音声再生する(454)と、受信起動した戸別受信機26にてリアルタイムにスピーカ(拡声)出力する(455)。
遠隔操作装置23は、音声再生が終話すると、放送卓22に対して終話指示を出す(456)。放送卓22は戸別受信機26に終話信号を出力する(457)。戸別受信機26は終話信号を受信するとスピーカ出力を終了する。
【0039】
地区放送(地域振興)設備104−2の遠隔操作装置23は、通報時刻(471)に達した際、地区放送(地域振興)設備104−2の遠隔操作装置23の時刻情報管理部231が、放送卓22に対して自動起動を行う(472)。放送卓22は、自動起動の選択呼出操作に応じて、通報対象となる戸別受信機26に対して起動信号を送出後(473)、遠隔操作装置23から前記音声録音した報知情報を音声再生する(474)と、受信起動した戸別受信機26にてリアルタイムにスピーカ(拡声)出力する(475)。
遠隔操作装置23は、音声再生が終話すると、放送卓22に対して終話指示を出す(476)。放送卓22は戸別受信機26に終話信号を出力する(477)。戸別受信機26は終話信号を受信するとスピーカ出力を終了する。
【0040】
上述の通報時刻(451)と通報時刻(471)は同時刻の場合であるが、地区放送(地域振興)設備104−1の戸別受信機26のスピーカ(拡声)出力する(455)と、地区放送(地域振興)設備104−2の戸別受信機26のスピーカ(拡声)出力する(475)は異なった内容である。
なお、地区放送(地域振興)設備104−1の無線装置24と中継装置25は、放送卓24から戸別受信機26への送信信号を電波回線E1で中継する。地区放送(地域振興)設備104−2の無線装置24と中継装置25は、放送卓24から戸別受信機26への送信信号を電波回線E2で中継する。
【0041】
さらに本発明の他の一実施例の動作について
図5を用いて説明する。
図5は本発明の他の一実施例である報知情報をデジタル同報通信システムの親局から子局を中継して地区放送システムに転送するための動作を説明するためのシーケンス図である。
【0042】
扱者1が通報を行うに際し、センター局装置101の操作卓10に対して通報種別を選択入力(501)し、呼出起動(502)を行う。
センター局装置101は通報対象となる屋外子局12に対して通報起動を行う(503)。屋外子局12は放送卓22に対して外部起動を行う(504)。
放送卓22は、通報対象となる戸別受信機26に対して起動信号を送出(514)する。
扱者1の肉声による報知情報を音声送話、または予め作成してある報知情報を通報対象の戸別受信機26に送話する(506)と、戸別受信機26にてリアルタイムにスピーカ(拡声)出力する(516)。
【0043】
扱者1は終話すると、センター局装置101に対して終話指示を出す(508)。センター局装置101は通報対象の屋外子局12に対して終話指示を出す(509)。屋外子局12は放送卓22に対して終話の外部起動を出す(513)。放送卓22は通報対象の戸別受信機26に終話信号を出力する(518)。戸別受信機26は終話信号を受信するとスピーカ出力を終了する。
なお、無線装置24と中継装置25は、放送卓24から戸別受信機26への送信信号を電波回線E1〜Enの何れかで中継する。
【0044】
上述で記載の音声データはアナログの音声信号でも良い。
【0045】
本発明によれば、デジタル同報通信システムと地区放送システムを接続して、デジタル同報通信システムの親局から報知情報を地区放送システムの親局に転送することにより、同時刻の通報においても、地区放送システムの親局から各端末局装置に異なる報知情報の通報を行うことが可能となる。
【0046】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された通信システムに限定されるものではなく、上記以外の通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。