特許第6282430号(P6282430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282430
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/35 20060101AFI20180208BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B41J2/35 G
   B41J29/393 101
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-190082(P2013-190082)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-54474(P2015-54474A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 航司
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 正之
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−289686(JP,A)
【文献】 特開2009−214456(JP,A)
【文献】 特開2003−305879(JP,A)
【文献】 特開平11−268386(JP,A)
【文献】 特開平11−099683(JP,A)
【文献】 特開2001−038943(JP,A)
【文献】 特開2009−069914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/35
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙とラベルとを有する被印字媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されてきた前記被印字媒体の印字領域に印字データを印字する複数の発熱体を有するサーマルヘッドと、
前記発熱体の断線の有無を検査する検査部と、
前記検査部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ラベルの検査間隔枚数の入力を受け付け、入力された前記検査間隔枚数にしたがって検査を行い、印字指定枚数以上の前記検査間隔枚数が入力された場合には、最初の1枚目と最後のみ断線の検査を行うこと、
を特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記制御部は、前記検査間隔枚数の入力がされない場合は、毎回、断線の検査を行うこと、
を特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記制御部は、印字データの内容に応じて、自動的に検査の頻度を変更すること、
を特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記制御部は、印字データ中に光学的識別符号が含まれている場合には、印字データ中に光学的識別符号が含まれていない場合よりも検査の頻度を多くすること、
を特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項5】
請求項3に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記制御部は、印字データ中に光学的識別符号が含まれていない場合には、印字データ中に光学的識別符号が含まれている場合よりも検査の頻度を少なくすること、
を特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のサーマルプリンタにおいて、
外部と通信を行う通信部を有し、
前記制御部は、前記通信部を介した外部からの指示にしたがい、検査の頻度を変更すること、
を特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のサーマルプリンタにおいて、
前記制御部は、前記搬送部が前記被印字媒体の搬送中であって、前記サーマルヘッドが印字を行わない状態にあるときに、前記検査部に検査を行わせること、
を特徴とするサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドを用いて印字を行うサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラベルプリンタは、用紙(被印字媒体)の搬送時に、用紙とサーマルヘッドとの間の摩擦等の影響により、サーマルヘッドを構成する発熱体が断線することがあった。この発熱体の断線により、断線した発熱体の部分だけ印字がされなくなり、印字かすれが発生してしまう。特に、サーマルヘッドの発熱体のうち、バーコードを印字する印字領域に対応する部分の発熱体のいずれか1つでも断線すると、印字されたバーコードをスキャナで読み取るときに、読み取りが不可能となる場合がある。
【0003】
発熱体の断線の有無のチェック(検査)は、例えば、特許文献1に記載されているように、各発熱体に並列に検出抵抗を設け、その一方の端部に接続されたチェック端子の電圧を測定することによって行う。発熱体に微少な電流を流したとき、発熱体に断線がない場合、通電電流のほとんどが発熱体を流れるため、チェック端子の電圧値は低い値となる。一方、発熱体に断線がある場合、通電電流のほとんどが検出抵抗を流れるため、チェック端子の電圧値は高い値となる。このように、診断する発熱体を1個ずつ通電状態とし、チェック端子を介して電圧チェックを行うことにより、発熱体の断線の診断が行われる。
【0004】
また、発熱体の断線を診断する処理は、サーマルヘッドが印字処理を行っていない期間、すなわち、サーマルヘッドの発熱体がラベルとラベルの間のギャップの部分に接している期間に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−38943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、用紙を搬送しながらヘッドチェックを行っているので、近年、サーマルヘッドが大型化するにつれて、ヘッドチェックに要する時間が長くなり、サーマルヘッドの直下にギャップがある間にヘッドチェックを完了することができなくなってきている。すなわち、サーマルヘッドを構成する全ての発熱体の断線チェックを、発熱体がラベルとラベルの間のギャップの部分に接している期間に行うことができない場合がある。このため、従来は、ヘッドチェック時に用紙の搬送速度を落とし、ヘッドチェックを行っている間は、サーマルヘッドの位置がギャップ内にあるようにしている。しかし、この場合、単位時間当たりの発行枚数(印字枚数)が減少してしまうという問題がある。さらに、搬送速度を、印字処理時は速く、ヘッドチェック時は遅くというように、周期的に変化させなければならず、搬送モータに多大な負荷がかかるという問題がある。
【0007】
また、従来、ヘッドチェックの有効か無効かの選択が可能であった。したがって、ヘッドチェックを無効とすれば、効率よく印字を行えた。しかし、その場合には、発熱体が断線したまま印字を行ってしまい、バーコードの読み取りエラーが生じてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明の課題は、バーコード等の光学的識別符号については確実に発熱体の断線検査を行うことができ、必要に応じて断線検査の頻度を下げることができ、使用条件に適した断線検査を行うことができるサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
請求項1の発明は、被印字媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されてきた前記被印字媒体の印字領域に印字データを印字する複数の発熱体を有するサーマルヘッドと、前記発熱体の断線の有無を検査する検査部と、前記検査部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検査部が行う検査の頻度を変更可能であること、を特徴とするサーマルプリンタである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載のサーマルプリンタにおいて、前記制御部は、前記検査を行う頻度の入力を受け付け、入力された検査の頻度にしたがい、検査を行うこと、を特徴とするサーマルプリンタである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載のサーマルプリンタにおいて、前記制御部は、印字データの内容に応じて、自動的に検査の頻度を変更すること、を特徴とするサーマルプリンタである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3に記載のサーマルプリンタにおいて、前記制御部は、印字データ中に光学的識別符号が含まれている場合には、印字データ中に光学的識別符号が含まれていない場合よりも検査の頻度を多くすること、を特徴とするサーマルプリンタである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3に記載のサーマルプリンタにおいて、前記制御部は、印字データ中に光学的識別符号が含まれていない場合には、印字データ中に光学的識別符号が含まれている場合よりも検査の頻度を少なくすること、を特徴とするサーマルプリンタである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1に記載のサーマルプリンタにおいて、外部と通信を行う通信部を有し、前記制御部は、前記通信部を介した外部からの指示にしたがい、検査の頻度を変更すること、を特徴とするサーマルプリンタである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のサーマルプリンタにおいて、前記制御部は、前記搬送部が前記被印字媒体の搬送中であって、前記サーマルヘッドが印字を行わない状態にあるときに、前記検査部に検査を行わせること、を特徴とするサーマルプリンタである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サーマルプリンタは、バーコード等の光学的識別符号については確実に発熱体の断線検査を行うことができ、必要に応じて断線検査の頻度を下げることができ、使用条件に適した断線検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によるサーマルプリンタ10の第1実施形態の概要を示す図である。
図2】印字後の用紙1を模式的に示した図である。
図3】サーマルプリンタ10の回路構成を示す概略ブロック図である。
図4】第1実施形態のサーマルプリンタ10の発熱体の断線の検査に関する動作の流れを示すフローチャートである。
図5】第2実施形態のサーマルプリンタ10の発熱体の断線の検査に関する動作の流れを示すフローチャートである。
図6】第3実施形態のサーマルプリンタ10の発熱体の断線の検査に関する動作の流れを示すフローチャートである。
図7】第4実施形態において印字後の用紙1を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明によるサーマルプリンタ10の第1実施形態の概要を示す図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0021】
サーマルプリンタ10は、サーマルヘッド11と、プラテンローラ12と、ラベル供給部13と、リボン供給部14と、リボン巻き取り部15と、センサ16とを備えたラベルプリンタである。
【0022】
サーマルヘッド11は、複数の発熱体を幅方向に多数並べて有しており、プラテンローラ12に対向するように配置されている。この発熱体がプラテンローラ12との間で後述する用紙1を挟持した状態で用紙1に当て付けられることとなる。また、サーマルヘッド11は、プラテンローラ12の向きに加圧されている。サーマルヘッド11は、発熱体を選択的に発熱させることにより、用紙1にインクリボンRからインクを転写させて印字を行う。また、サーマルヘッド11は、感熱用紙に対して印字を行うこともできる。
【0023】
プラテンローラ(搬送部)12は、不図示のタイミングベルトを介して搬送モータ26(図3参照)に接続されている。プラテンローラ12は、搬送モータ26の駆動により、回転駆動する。
【0024】
ラベル供給部13は、ロール状に巻かれた用紙1が装填され、用紙1をサーマルヘッド11とプラテンローラ12との間へ繰り出す。
【0025】
リボン供給部14は、用紙1上のラベル3(図2参照)に熱転写により印字を行うためのインクリボンRを、サーマルヘッド11とプラテンローラ12との間に供給する。
【0026】
リボン巻き取り部15は、使用済のインクリボンRをサーマルヘッド11とプラテンローラ12との間から回収し、巻き取る。
【0027】
センサ16は、用紙1の搬送路途中に配置された光センサであり、ラベル3の先端を検知する。
【0028】
図2は、印字後の用紙1を模式的に示した図である。図2(a)は、文字のみを印字した例を示し、図2(b)は、文字と二次元コードとを印字した例を示している。
用紙(被印字媒体)1は、台紙2と、ラベル3とを有している。なお、用紙1は、紙を素材とするものに限らず、樹脂素材をその一部又は全部に用いてもよい。
台紙2は、帯状に形成されており、その一方の面に剥離面が形成されている。
ラベル3は、台紙2の剥離面上に不図示の粘着剤層を介して仮着されている。
【0029】
図3は、サーマルプリンタ10の回路構成を示す概略ブロック図である。
サーマルプリンタ10は、CPU20と、不揮発性メモリ21と、EEPROM22と、RAM23と、外部インタフェース25と、搬送モータ26と、搬送モータ制御部27と、操作部28と、操作制御部29と、ヘッド制御部30と、センサ制御部31と、描画展開部33と、システムバス34とを備えている。
【0030】
CPU(central processing unit)20は、不揮発性メモリ21に記憶されている各種制御プログラムにしたがって動作し、システムバス34を介して以下に示す各部を統括して制御する。本実施形態では、CPU20は、サーマルヘッド11の発熱体の断線の有無を検査する検査部としての機能と、検査部の動作を制御する制御部としての機能を有する。
【0031】
不揮発性メモリ21は、各種制御部のプログラムを格納するROM(read only memory)やフラッシュメモリ等により構成されている。
EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)22は、不揮発性で書き換え可能なメモリであってサーマルプリンタ10の各種動作の設定を保持する。
RAM(random access memory)23は、CPU20の作業領域として使用される。
外部インタフェース(外部I/F)25は、ホスト24と有線又は無線により通信を行うためのインタフェースである。
【0032】
搬送モータ26は、プラテンローラ12を駆動して用紙1を搬送するステッピングモータ等の電動機である。
搬送モータ制御部27は、搬送モータ26の制御を行う。搬送モータ制御部27は、搬送モータ26の回転速度を制御することにより、ラベル3が仮着された台紙2の搬送速度を制御する。また、搬送モータ制御部27は、搬送モータ26を正回転させ、台紙2をラベル搬送方向で上流から下流へ搬送するか、又は、搬送モータ26を逆回転させ、台紙2をラベル搬送方向とは逆方向の下流から上流へ搬送するかを制御する。
【0033】
操作部28は、サーマルプリンタ10の動作に関する情報の設定入力に用いられる各種釦と表示部とを有している。
操作制御部29は、操作部28を制御する。
ヘッド制御部30は、サーマルヘッド11を制御する。
センサ制御部31は、センサ16の制御を行う。
描画展開部33は、ラベル3の表面に可変情報を印字するための描画を生成する。
【0034】
図4は、第1実施形態のサーマルプリンタ10の発熱体の断線の検査に関する動作の流れを示すフローチャートである。
【0035】
ステップ(以下、S)100では、CPU20は、操作部28を介して、利用者から発熱体の断線の検査について、その頻度の入力を受け付ける。入力される頻度は、例えば、検査間隔=2枚と入力されると、ラベル3を2枚印字する度に1回のチェックを行う。また、印字指定枚数以上の検査間隔が入力された場合には、最初の1枚目と最後のみ、断線の検査を行う。なお、検査間隔の入力がされない場合には、毎回、断線の検査を行うように設定される。
利用者は、印字品質と印字速度とのバランスを考慮して、検査頻度を適宜変更して入力するとよい。例えば、図2(a)のように文字のみを印字する場合には、印字速度を優先して、検査間隔を大きくするとよい。一方、図2(b)のように、二次元コードやバーコード等の光学的識別符号が含まれている場合には、印字品質を優先して、毎回断線の検査を行うようにするとよい。
【0036】
S110では、CPU20は、例えば、ホスト24から印字データの入力を受け付ける。なお、本実施形態のサーマルプリンタ10では、ホスト24が接続されていない場合でも、印字が可能である。その場合には、EEPROM22等に記憶されている印字フォーマットを呼び出す等の処理により、印字データの入力が行われる。
【0037】
S120では、CPU20は、搬送モータ制御部27に指示を出し、プラテンローラの駆動を開始し、用紙1の搬送を開始する。
【0038】
S130では、CPU20は、検査を実施するか否かの判断を行う。この判断は、S100において入力された検査頻度にしたがって判断される。検査を実施する場合には、S140へ進み、検査を実施しない場合には、S150へ進む。
【0039】
S140では、CPU20は、発熱体の断線の検査を実施する。具体的な検査の方法は、従来から公知の手法により行う。本実施形態では、各発熱体に並列に検出抵抗を設け、その一方の端部に接続されたチェック端子の電圧を測定することによって行う。発熱体に微少な電流を流したとき、発熱体に断線がない場合、通電電流のほとんどが発熱体を流れるため、チェック端子の電圧値は低い値となる。一方、発熱体に断線がある場合、通電電流のほとんどが検出抵抗を流れるため、チェック端子の電圧値は高い値となる。このように、診断する発熱体を1個ずつ通電状態とし、チェック端子を介して電圧チェックを行うことにより、発熱体の断線の診断が行われる。なお、検査を実施するときには、用紙1の搬送は、一時的に停止する。
【0040】
S150では、1枚のラベル3に印字データの印字を行う。
【0041】
S160では、指定された所定枚数の印字を終えたか否かの判断を行う。印字を終えている場合には、動作を終了する。まだ所定枚数の印字を終えていない場合には、S130へ戻り、検査を実施するか否かの判断を繰り返す。
【0042】
以上説明したように、第1実施形態によれば、発熱体の断線の検査を行う頻度を利用者が自由に設定可能であるので、過剰な検査を行わないような設定とすることにより、印字内容に適した検査頻度で断線の検査を行うことができる。よって、第1実施形態のサーマルプリンタ10は、効率よく印字と検査とを行うことができ、全体としての印字処理速度が向上できる。そして、サーマルプリンタ10は、バーコード等の光学的識別符号については確実に発熱体の断線検査を行うことができ、必要に応じて断線検査の頻度を下げることができ、使用条件に適した断線検査を行うことができる。
【0043】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態のサーマルプリンタ10の発熱体の断線の検査に関する動作の流れを示すフローチャートである。
第2実施形態のサーマルプリンタ10は、CPU20の動作が第1実施形態の場合と異なる他は、第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0044】
S200では、CPU20は、例えば、ホスト24から印字データの入力を受け付ける。
【0045】
S210では、CPU20は、印字データの内容を解析して、印字データの内容に応じて、自動的に検査の頻度を変更する。
例えば、印字データ中に光学的識別符号が含まれていない場合の検査頻度を5枚と設定しておき、印字データ中に光学的識別符号が含まれている場合には、CPU20は、検査頻度を毎回に変更するといったように、印字データ中に光学的識別符号が含まれていない場合よりも検査の頻度を多くする。
なお、これとは逆に、印字データ中に光学的識別符号が含まれている場合を基準としてもよい。すなわち、印字データ中に光学的識別符号が含まれていない場合には、CPU20は、印字データ中に光学的識別符号が含まれている場合よりも検査の頻度を少なくしてもよい。
【0046】
S220からS260は、第1実施形態のS120からS160と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
以上説明したように、第2実施形態によれば、CPU20は、印字データの内容に応じて、自動的に検査の頻度を変更する。よって、利用者が検査頻度の入力を行わなくとも、自動的に最適な検査頻度の設定が行われる。これにより、第2実施形態のサーマルプリンタ10は、利用者に特別な操作やスキルを要求することなく、効率よく印字と検査とを行うことができ、全体としての印字処理速度を自動的に向上できる。そして、サーマルプリンタ10は、バーコード等の光学的識別符号については確実に発熱体の断線検査を行うことができ、必要に応じて断線検査の頻度を下げることができ、使用条件に適した断線検査を行うことができる。
【0048】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態のサーマルプリンタ10の発熱体の断線の検査に関する動作の流れを示すフローチャートである。
第3実施形態のサーマルプリンタ10は、CPU20の動作が第1実施形態の場合と異なる他は、第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0049】
S300では、CPU20は、ホスト24(例えば、パーソナルコンピュータ)から検査の頻度の入力を受け付ける。すなわち、第3実施形態では、発熱体の断線の検査を行う頻度については、ホスト24側であらかじめ利用者によって入力、又は、印字データに応じて自動的に設定されている。サーマルプリンタ10は、小型化のため、及び、低コスト化のために、操作部28が簡素化されている場合がある。そのような場合であっても、ホスト24を利用して、より簡単に頻度の設定を行うことができる。また、ホスト24から印字データを入力(後述のS310)するので、印字データに基づいて自動的に検査の頻度の設定を行うことも容易に行える。
【0050】
S310では、CPU20は、ホスト24から印字データの入力を受け付ける。
【0051】
S320からS360は、第1実施形態のS120からS160と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0052】
以上説明したように、第3実施形態によれば、CPU20は、ホスト24から検査の頻度の入力を受け付ける。よって、サーマルプリンタ10の操作部28が簡素な構成であったとしても、利用者は、ホスト24を利用して簡単に検査の頻度を設定できる。また、ホスト24側で自動的に検査の頻度を設定することも可能である。よって、第3実施形態のサーマルプリンタ10は、操作部28が簡素な構成であったとしても、効率よく印字と検査とを行うことができ、全体としての印字処理速度を自動的に向上できる。そして、サーマルプリンタ10は、バーコード等の光学的識別符号については確実に発熱体の断線検査を行うことができ、必要に応じて断線検査の頻度を下げることができ、使用条件に適した断線検査を行うことができる。
【0053】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態において印字後の用紙1を模式的に示した図である。
第4実施形態のサーマルプリンタ10は、CPU20が行う検査動作が第1実施形態の場合と異なる他は、第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0054】
第4実施形態のCPU20は、設定された検査の頻度に応じて検査を実施するが、検査を行うタイミングを、サーマルヘッド11が非印字領域と対向している間に、用紙1を搬送しながら行う。
【0055】
図7中に示した印字領域1aにサーマルヘッド11が対向しているときには、当然ながら、印字処理が行われているので、検査を実施することはできない。しかし、用紙1の搬送中であっても、非印字領域1bにサーマルヘッド11が対向しているときには、発熱体の断線の検査が可能である。よって、第4実施形態では、CPU20は、サーマルヘッド11が非印字領域と対向している間に、用紙1を搬送しながら行う。
【0056】
なお、非印字領域の広さにもよるが、検査が非印字領域中で終了できない場合もある。その場合には、例えば、検査を継続しながら搬送を一時停止させるようにしてもよい。
【0057】
以上説明したように、第4実施形態によれば、搬送中に断線の検査の全部、又は、一部を行える。よって、第4実施形態のサーマルプリンタ10は、効率よく印字と検査とを行うことができ、全体としての印字処理速度が向上できる。そして、サーマルプリンタ10は、バーコード等の光学的識別符号については確実に発熱体の断線検査を行うことができ、必要に応じて断線検査の頻度を下げることができ、使用条件に適した断線検査を行うことができる。
【0058】
なお、本明細書及び請求項中においては、当業者の通常の用法として、サーマルプリンタによる各種情報の出力を「印字」と記載している。しかし、「印字」との記載は、上述したように、サーマルプリンタによる情報の出力を指すものであり、文字の出力に限らず、バーコード等の図形や画像等の出力も含む広義の意味であるものとする。
【0059】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0060】
第4実施形態において、第1実施形態で説明した検査頻度の設定方法に加えて、搬送中に断線の検査を行うこととして説明した。これに限らず、例えば、第2実施形態、又は、第3実施形態に示した検査頻度の設定方法に加えて、搬送中に断線の検査を行うような構成としてもよい。
【0061】
なお、第1実施形態から第4実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0062】
1 用紙
1a 印字領域
1b 非印字領域
2 台紙
3 ラベル
5 検査頻度
10 サーマルプリンタ
11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ
13 ラベル供給部
14 リボン供給部
15 リボン巻き取り部
16 センサ
20 CPU
21 不揮発性メモリ
22 ROM
23 RAM
24 ホスト
25 外部インタフェース
26 搬送モータ
27 搬送モータ制御部
28 操作部
29 操作制御部
30 ヘッド制御部
31 センサ制御部
33 描画展開部
34 システムバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7