特許第6282431号(P6282431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282431
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】食器篭の取り扱い方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/50 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   A47L15/50
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-199350(P2013-199350)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-62615(P2015-62615A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年8月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年3月28日、株式会社中西製作所が草津学校給食センターに発明した食器篭を販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100131071
【弁理士】
【氏名又は名称】▲角▼谷 浩
(72)【発明者】
【氏名】谷口 普章
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真吾
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−303593(JP,A)
【文献】 特開2003−010091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
A47L 15/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食器篭ピースと、これら食器篭ピースを連結する連結部とを有する食器篭であり、前記食器篭ピースを連結した状態でも分離した状態でも使用可能で、前記食器篭ピースに食器を収納したまま盛り付け台に設置して用いる食器篭の取り扱い方法であって、
前記食器篭は、食器を収納した状態のまま、食器洗浄機と喫食場所の間を運搬され、前記食器洗浄機内での洗浄作業に供され、
運搬の際には、前記食器篭は前記食器篭ピースを連結した状態で運搬し、
喫食場所に運搬した前記食器篭は前記食器篭ピース毎に分離し、それぞれ盛り付け台に設置して、前記分離した食器篭ピースから食器を一枚ずつ取り出すことを特徴とする食器篭の取り扱い方法。
【請求項2】
前記盛り付け台への前記食器篭ピースの設置は、積み重ねて収納された食器の積み重ね方向が鉛直方向になる姿勢とすることを特徴とする請求項1に記載の食器篭の取り扱い方法。
【請求項3】
前記盛り付け台に設置された前記食器篭ピースは、食器を鉛直方向に積み重ねて収納し、ストックする食器ストッカーの役割を成すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食器篭の取り扱い方法。
【請求項4】
運搬の際に連結された前記食器篭ピースは、それぞれ異なる種類の食器を収納することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の食器篭の取り扱い方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器の配膳、洗浄、運搬等に用いられる食器篭の取り扱い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食器篭にできるだけ多くの食器を収納するため、食器篭に食器を収納する複数列のスペースを設けて、そのスペースに食器を順次収納し、食器を収納した状態のまま食器洗浄機により食器を洗浄し、食器を運搬することができる食器篭が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8―528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
学校給食等の喫食において、おかずやパンなどは教室等に備え付けられている盛り付け台(テーブル)に置かれ、盛り付け台毎に盛り付け作業が行われる。この盛り付け作業の際に、食器は運搬用の食器篭から一度に全部が取り出されて盛り付け台の上に積み重ねて置かれると、食器が崩れて床に落ちる虞がある。また、食器篭から食器を何枚か取り出して、食器がなくなればまた食器篭から取り出すことを繰り返すと、盛り付けの作業効率が低下する。従って、盛り付け台に食器篭をそのまま設置して、その食器篭から食器をその都度取り出すことができれば、食器を床に落とす心配がなくなり、盛り付け作業の効率も向上する。また、盛り付け台はあまりスペースが広くないため、コンパクトな食器篭を設置する必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された食器篭は、食器が複数列並べて収納されているため、食器篭全体が大きく、また、食器篭を分離して1列ずつ収納した食器篭とすることができない。そのため食器篭をそのまま盛り付け台毎に設置することができない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、食器篭として連結したり分離したりすることができる複数の食器篭ピースを用いて、配膳の際には食器篭を食器篭ピースに分離して、分離された食器篭ピースを盛り付け台におかず毎に設置することができる食器篭の取り扱い方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の食器篭ピースと、これら食器篭ピースを連結する連結部とを有する食器篭であり、前記食器篭ピースを連結した状態でも分離した状態でも使用可能で、前記食器篭ピースに食器を収納したまま盛り付け台に設置して用いる食器篭の取り扱い方法であって、前記食器篭は、食器を収納した状態のまま、食器洗浄機と喫食場所の間を運搬され、前記食器洗浄機内での洗浄作業に供され、運搬の際には、前記食器篭は前記食器篭ピースを連結した状態で運搬し、喫食場所に運搬した前記食器篭は前記食器篭ピース毎に分離し、それぞれ盛り付け台に設置して、前記分離した食器篭ピースから食器を一枚ずつ取り出すことを特徴とする。
【0008】
また、盛り付け台への前記食器篭ピースの設置は、積み重ねて収納された食器の積み重ね方向が鉛直方向になる姿勢とすることが望ましい。
【0009】
また、盛り付け台に設置された前記食器篭ピースは、食器を鉛直方向に積み重ねて収納しストックする食器ストッカーの役割を成すことが望ましい。
【0010】
また、運搬の際に連結された前記食器篭ピースは、それぞれ異なる種類の食器を収納することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の食器篭の取り扱い方法によれば、食器を収納した食器篭は食器篭ピースに分離されて盛り付け台に設置されることにより、盛り付け台での広いスペースを必要としない。また、食器は食器篭ピースに収納された状態で設置されるため、盛り付け台から食器を床に落とす心配がなく、さらに、食器篭ピースから1枚ずつ食器を取り出して配膳できるため、配膳の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る食器篭の取り扱い方法で用いられる食器篭の一連の作業内容を示したフロー図。
図2】同食器篭が分離されて食器篭ピース毎に盛り付け台に設置され、食器篭ピースから食器を取り出して盛り付ける様子を示した図。
図3】同食器篭がコンテナに積載された状態を示した斜視図。
図4】変形例で用いられる食器篭がコンテナに積載された状態を示した斜視図。
図5】第1の実施形態に係る食器篭の取り扱い方法で用いられる食器篭の一方の食器篭ピースが分離された状態を示した斜視図。
図6】同食器篭の他の一方の食器篭ピースが分離された状態を示した斜視図。
図7】同食器篭の食器篭ピースが重ね合わされる状態を示した斜視図。
図8】同食器篭の食器篭ピースの連結部に止め具が挿入されていない状態を示した斜視図。
図9】同食器篭の止め具を示した斜視図。
図10】同食器篭の食器篭ピースが連結された状態を示した斜視図。
図11】変形例で用いられる食器篭を横に寝かした状態で汁受けの脱着を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、食器洗浄機で用いられる複数の食器篭ピースと、これらを1つに連結する連結部とを有する食器篭の取り扱い方法に関し、例えば、食器洗浄機から喫食場所へは盛り付け台上へは1つに連結した状態で運搬し、喫食場所に設置される盛り付け台上では個々の食器篭ピースに分離して用いることを特徴とする。これにより、運搬効率を改善するだけでなく、各盛り付け台上で食器篭ピースから食器を直接出し入れ可能にし、盛り付け時の利便性を向上する。
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る食器篭の取り扱い方法について、図1乃至図3図5乃至図10を参照して以下に説明する。本実施形態に係る食器篭の取り扱い方法で用いられる食器篭は、複数の食器篭ピースと、これら食器篭ピースを連結する連結部とを備え、食器篭ピースを連結した状態でも分離した状態でも使用可能で、食器篭ピースに食器を収納した状態のまま配膳に使用される食器篭である。この食器篭に関して、出願人は、特許出願(特願2013−087855号)を行い、食器篭を構成する複数の食器篭ピースの構造、及び、食器篭ピースの連結、分離に関して詳しく説明している。
【0015】
(食器篭の構成)
上述の食器篭を構成する食器篭ピースの構造、食器篭ピースの連結、分離について、図5乃至図10を参照して簡単に説明する。図5及び図6において、食器篭は食器篭ピース2と食器篭ピース3で構成されている。食器篭ピース2には、連結部2Aとして上枠に設けられた上枠係止部2a、下枠に設けられた下枠係止部2b、側面に設けられた一対の側面係止部2cを備える。食器篭ピース3には、連結部3Aとして側面に設けられた一対の側面係止部3cを備える。食器篭ピース3の一対の側面係止部3cの間隔は、食器篭ピース2の一対の側面係止部2cの間隔より狭く設けられている。
【0016】
図7において、食器篭ピース2と食器篭ピース3との連結は、食器篭ピース3の下枠を食器篭ピース2の下枠係止部2bの下側から上方へ係止させ、連結部2A,3A同士を重ね合わせる。食器篭ピース3の一対の側面係止部3cは、食器篭ピース2の一対の側面係止部2cの内側に入り込み、食器篭ピース3の上枠が食器篭ピース2の上枠係止部2aの上側に係止されて、図8に示す状態となる。
【0017】
この状態で、図9で示される止め具4が、重ね合わされた食器篭ピース2の一対の側面係止部2cと食器篭ピース3の一対の側面係止部3cとの空間に挿入される。図10は、止め具4が挿入された状態を示しており、このようにして食器篭ピース2と食器篭ピース3との連結作業が完了し、連結された食器篭1を構成する。また、食器篭ピース2と食器篭ピース3との分離は、連結作業と逆の作業を行えばよい。
【0018】
この食器篭1の変形例として、例えば、連結される食器篭ピース2,3に収納される食器5は同種のものに限らず、食器篭1は、食器篭ピース2にお椀を収納し、食器篭ピース3にお皿を収納して、この2個の食器篭ピース2,3を連結して構成してもよい。また、2個の食器篭ピース2,3の連結について説明したが、食器篭ピースの両側面に連結部2A,3Aを設けた食器篭ピースを作成し、食器篭ピース2と食器篭ピース3との間に、この食器篭ピースを挿入して連結すれば、食器篭ピースが3個連結された食器篭が構成できる。このような3つの食器篭ピースを連結した食器篭を用いてもよい。図7乃至図10において、食器篭ピース2,3は、立てた状態(食器開口部が上を向いた状態)で連結され、食器篭1は、立てた状態で食器篭ピース2,3に分離されることが記載されているが、食器篭ピース2,3を寝かせた状態(食器開口部が横を向いた状態)で、連結、分離してもよく、使用する状況により選択すればよい。
【0019】
(食器篭の取り扱い方法)
本実施形態に係る食器篭の取り扱い方法について説明する。本取り扱い方法で用いられる食器篭1は、食器5の洗浄や運搬等の一連の作業に用いられるが、この食器篭1と作業内容の関係について図1を参照して説明する。図1において、喫食に使用され、残菜が付着した使用済みの食器5を収納した食器篭1は、学校から配送車で運搬されて、食器篭ピース2,3が連結された状態で給食センターに届けられる。給食センターでは食器洗浄機が設置されており、連結された食器篭ピース2,3は、食器洗浄機の入口付近で分離され(S1)、使用済み食器5を収納した状態のまま個々の食器篭ピース2,3毎に食器洗浄機に投入される。食器5が洗浄されて食器洗浄機から各食器篭ピース2,3が排出され(S2)、排出された食器篭ピース2,3は食器洗浄機の出口付近で再び連結される(S3)。
なお、前記工程(S1)において、設置された食器洗浄機が洗浄時に食器篭を分離せず連結したまま投入し洗浄できるものであれば、食器篭1は食器篭ピース2,3に分離せずに食器洗浄機で洗浄してもよい。
【0020】
食器篭ピース2,3が連結された食器篭1は、食器5を収納した状態のままで食器篭輸送用のコンテナ6に複数個積載される。食器篭1に収納された食器5は、このコンテナ6に積載された状態のまま、消毒保管庫で乾燥され消毒されて保管される(S4)。消毒保管庫での乾燥、消毒時には、食器篭1は、収納された食器5の積み重ね方向が水平方向になる姿勢とされるので、洗浄後の食器5に付着している水滴が食器5から零れ落ちて、食器5に水滴が少ない状態となるため、食器篭1に収納されている食器5の乾燥、消毒が効率的に行われる。
【0021】
消毒保管庫で乾燥され消毒された食器5を収納した食器篭1は、コンテナ6に積載された状態のままで、配送車に積み込まれ、学校の配膳室に運搬される(S5)。
【0022】
学校の配膳室に運搬された食器篭1は、コンテナから下ろされ(S6)、連結された状態のまま教室に運ばれる。食器篭1は食器篭ピース2,3が連結されているため、一度に数多くの食器5を運搬することができる。配膳室から教室までの食器篭1の運搬は、学校の生徒によって行われるが、食器5を収納した食器篭1が重いときは、食器篭ピース2,3を分離して、食器篭ピース2,3毎に運んでもよい。また、食器篭1を分離せずに、2人の生徒で1個の食器篭1を運んでもよい。
【0023】
連結された状態で食器篭1が教室に運ばれた場合は、食器篭1は、教室で食器篭ピース2,3毎に分離され、おかず等を盛り付ける教室の盛り付け台に設置される。盛り付け作業を行う者は、パンや各種おかず等に適した食器5を食器篭ピース2,3から取り出して、その食器5にパンやおかず等を盛り付け(S7)、盛り付けられたおかず等は生徒の喫食に供される(S8)。盛り付けるおかず等と、そのおかず等を盛り付ける食器5を収納した食器篭ピース2,3が、盛り付け台におかず毎にまとめて置かれるため、盛り付け作業を行う者は、効率的におかず等を盛り付けることができる。
【0024】
喫食後の使用済みの食器5は、食器5の開口面が上方向、すなわち鉛直方向になる姿勢で、収納されていたもとの食器篭ピース2,3に返却される(S9)。使用済み食器5を収納した食器篭1は、使用済み食器5の開口面が鉛直方向に向いた状態の姿勢で運搬される。これにより、使用済み食器5に付着した残菜は、食器篭1の運搬によって床に零れ落ちることが防止される。使用済み食器5を食器篭ピース2、3に収納する際は、食器篭ピース2,3は連結した状態でもよく、食器篭ピース2,3毎に分離された状態のままでもよい。食器篭ピース2,3を連結した場合は、運搬する者は、一度に数多くの使用済み食器5を運搬することができる。
【0025】
教室から配膳室までの食器篭1の運搬は、学校の生徒によって行われるが、食器5を収納した食器篭1が重いときは、食器篭ピース2,3を分離して、食器篭ピース2,3毎に運んでもよい。また、食器篭1を分離せずに、2人の生徒で1個の食器篭1を運んでもよい。
【0026】
使用済み食器5が収納された食器篭1は、収納された食器5の開口面が鉛直方向の状態のまま学校の配膳室に返却される(S10)。食器篭が分離された状態のまま配膳室に返却された場合は、食器洗浄機の入口付近で分離されるため(S1)、食器篭ピースを連結せずにコンテナに積載してもよい。
【0027】
使用済み食器5が収納された連結された食器篭1は、収納された食器5の開口面が鉛直方向の状態のまま、再びコンテナに収納されて、食器輸送用の配送車で給食センターまで運搬されて(S11)、上述のように食器洗浄機で食器篭1に収納された食器5が洗浄される。このように食器篭1は、喫食のための教室等の場所と食器洗浄機との間で、食器5を収納した状態のまま運搬され、洗浄等の一連の作業に用いられる。
【0028】
(配膳作業)
次に、上述の教室での配膳作業に関する食器篭1の取り扱い方法についてさらに詳しく説明する。図2は、上述の盛り付け作業(図1のS7)の具体的な状態を示している。パンやおかず等が入れられた食缶20,21は、教室に備え付けられている盛り付け台23,24の上に置かれ、食缶22は盛り付け台25のそばに置かれている。食器5を収納した食器篭1は食器篭ピース2,3に分離され、それぞれ盛り付け台23,24,25の上に置かれている。盛り付け作業を行う者は、盛り付け台23,24,25に設置された食器篭ピース2,3から、食器5を一枚ずつ取り出して、取り出した食器5におかず等を盛り付けて、盛り付け台23,24,25に並べる。分離した食器篭ピース2、3の内、盛り付け台に置かない食器篭ピース2、3は、教室内の盛り付け作業の邪魔にならない所に置けばよい。また、食器篭ピース2,3は、連結した状態で盛り付け台23,24,25に置き、盛り付け台23,24,25の上で分離して、分離した食器篭ピース2,3の内、いずれかの食器篭ピース2,3を教室内の盛り付け作業の邪魔にならない所に置き、他の一方の食器篭ピース2,3を配膳作業用として盛り付け台23,24,25に設置してもよい。
【0029】
教室に備えられている盛り付け台23,24,25は、引き出し式になっており、中央の盛り付け台23の両側から2つの盛り付け台24,25が引き出されて、合計3つの配膳スペースが形成されている。盛り付け台23,24,25は、あまり大きなものではないため、例えば食器を複数列収納できる大きな食器篭を盛り付け台23,24,25に設置すると、盛りつけた食器5を盛り付け台23,24,25に並べることができず作業性が悪い。なお、教室の盛り付け台が引き出し式でないものもあるが、その場合は分離した食器篭ピース2、3をおかず毎にまとめて近くに置けばよい。
【0030】
食器篭ピース2,3は食器5の開口面が上側、つまり鉛直方向に向くように食器5を1列に収納した篭であり、広い設置スペースを必要としない。また、食器5が鉛直方向に収納されているため、盛り付け作業を行う者は、食器篭ピース2,3から直接食器5を取り出して、盛り付けができる。
【0031】
上述の教室での配膳作業と、食器篭1の食器篭ピース2,3の連結及び分離の関係に関して、学校の配膳室(図1のS6)に運搬された食器篭1の状態から順に説明する。食器篭1は、食器篭ピース2,3が連結された状態でコンテナ6に積載されている。この食器5を収納した食器篭1は、おかず等が入れられた食缶と同時に教室まで運ばれる。
【0032】
上記配膳室(図1のS6)から教室まで運搬されるときの食器篭1は、図10に示す状態となり、食器篭1は、食器篭ピース2,3が連結された状態となっている。連結状態では、食器篭1の設置スペースが大きいため、食器篭ピース2,3に分離して盛り付け台23,24,25に別々に設置しなければならない。食器篭1の食器篭ピース2と食器篭ピース3との連結部分には、図9に示す止め具4が挿入されている。この止め具4を外すことにより、食器篭ピース2と食器篭ピース3が、分離可能となる。止め具4が外された食器篭ピース2,3は、図8に示す状態となり、食器篭ピース2と食器篭ピース3とを引き離すと、図5及び図6に示される食器篭ピース2と食器篭ピース3とに分離される。
【0033】
分離された食器篭ピース2,3は、上述のように盛り付け台23,24,25に設置されるが、設置された食器篭ピース2,3は、食器5を鉛直方向に積み重ねて収納する食器5のストッカーの役割を成す。そのため、収納された食器5は安定した状態で盛り付け台23,24,25に置かれた状態となる。食器5が食器篭ピース2、3に収納されずにそのまま盛り付け台23,24,25に積み重ねて置かれた場合と異なり、食器5は食器ストッカーの役割を成す食器篭ピース2,3によって支えられている。また、食器篭ピース2,3に収納された食器5は、上述のように食器篭ピース2,3から一枚ずつ取り出される。
【0034】
配膳室(図1のS6)から教室(喫食場所)までの食器5の運搬等に関しては、食器篭1を構成する食器篭ピース2,3に同種類の食器5だけではなく、食器篭ピース2に皿を収納し、食器篭ピース3にお椀を収納して、これらを連結して1個の食器篭1として運搬してもよい。異なる種類の食器5を食器篭ピース2,3に収納すれば、食器5の種類毎に運搬作業者を必要とせず、一度に数多くの食器5を運搬することができるため、効率のよい食器5の運搬が可能となる。
【0035】
盛り付け作業が終了して、食器5が取り出された食器篭ピース2,3は、再び連結されて1個の食器篭1となる。喫食(図1のS8)が終了した後に、使用済み食器5は、付着した残菜が零れ落ちないように食器1の開口面が鉛直方向になるように食器篭1に収納される(図1のS9)。
【0036】
食器篭ピース2,3が連結された食器篭1は、使用済み食器5から残菜が床に零れ落ちないように、食器5の開口面が鉛直方向になる姿勢で教室から配膳室に運ばれ、図3に示すように、この姿勢のままコンテナ6に積載される(図1のS10)。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る食器篭1の取り扱い方法では、学校の配膳室から教室に運ばれる際に、食器篭1は食器篭ピース2,3が連結されている状態で運ばれるため、食器篭1は一度に数多くの食器5を運ぶことができる。
【0038】
教室に運ばれた食器篭1は、止め具4が外されて食器篭ピース2と食器篭ピース3とに分離され、それぞれ盛り付け台23,24,25に設置される。分離された食器篭ピース2,3は、大きなスペースを必要としないため、学校の教室に備えられた比較的小さな盛り付け台23,24,25の上に設置しても邪魔にならない。
【0039】
食器5は、食器篭ピース2,3に収納された状態で盛り付け台23,24,25に置かれ、食器篭ピース2,3は食器ストッカーの役割を成すため、盛り付け作業を行う者は食器5を床に落とす心配がない。また。食器篭ピース2,3に収納された食器5は、開口面が鉛直方向に向くように収納され、食器篭ピース2,3から順次取り出して盛り付け作業ができるため、盛り付けの作業効率が向上する。
【0040】
喫食され、残菜が残っている使用済み食器5は、食器篭ピース2,3が連結された食器篭1に収納されるため、数多くの食器5を一度に運ぶことができる。また、使用済み食器5は開口面が鉛直方向になるように収納され、教室から配膳室まで運搬されるため、食器5からの残菜が床に零れ落ちにくい。
【0041】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態に係る食器篭の取り扱い方法の変形例について、図4及び図11を参照して説明する。第1の実施形態に係る食器篭の取り扱い方法で用いられる食器篭1と本変形例で用いられる食器篭10との違いは、食器篭10を構成する各食器篭ピース11,12に汁受け13が設けられている点であり、その違いにより、食器篭10の取り扱い方法も異なる。
【0042】
図11において、食器篭ピース11,12の汁受け13は、収納された食器5の積み重ね方向に平行に、食器篭ピース11,12の側面に脱着可能に取り付けられる。この汁受け13は、食器洗浄機による食器洗浄の前に取り外され(図1のS1)、食器5とは別に洗浄され(図1のS2)、食器洗浄後に再び食器篭ピース11,12に取り付けられる(図1のS3)。汁受け13が装着され、連結された食器篭10は、第1の実施形態で用いられる食器篭1と同様の姿勢でコンテナ6に積載され、消毒保管庫にて乾燥され消毒されて保管される。
【0043】
使用済み食器5を収納した食器篭10は、図1に示したように、生徒によって学校の教室から配膳室に運ばれるが、第一の実施形態と同様に、使用済み食器の開口面が鉛直方向に向いた状態の姿勢で運搬される。また、食器篭10は汁受け13を備えているため、汁受け13が食器5の下側になるように食器篭10を横に寝かした状態、すなわち、食器篭10を運搬する生徒は、汁受け13が食器5の下側で、収納された食器5の積み重ね方向が水平方向になる姿勢で、食器篭10を運ぶこともできる。このとき、食器篭10の取手を持つことができないが、食器篭10の外枠を持つようにすればよい。
【0044】
図4において、配膳室に運ばれた食器篭10は、収納された食器5の積み重ね方向が水平方向で、かつ、汁受け13が底面側(食器5の下側)になる姿勢のままコンテナ6に積載される(図1のS10)。使用済み食器5から零れ落ちる残菜は汁受け13で回収されるため、食器篭10を積載したコンテナ6は、使用済み食器5から零れ落ちる残菜で汚れない。
【0045】
以上のように、汁受け13が取り付けられた食器篭10は、横に寝かした姿勢で運ぶ他に、食器5の開口面が鉛直方向に向くように運ぶこともできる。なお、汁受け13が取り付けられた食器篭10の取り扱いは、使用済み食器5の運搬と、食器洗浄の際に汁受け13が取り外されて食器洗浄後に再び汁受け13が取り付けられる点以外は、第1の実施形態に係る食器篭の取り扱い方法と同様である。
【0046】
また、上述のように、食器篭10を構成する食器篭ピース11,12の各々が、汁受け13を備えており、汁受け13が食器の下側になるように食器篭10を横に倒しても、使用済み食器5からの残菜が汁受け13で回収されて残菜がコンテナ6に零れ落ちにくいため、食器篭10は横に倒してコンテナ6に積載することができる。食器篭10をコンテナ6に積載時、食器篭10を立てた場合と、寝かせた場合とでコンテナ6の棚ピッチ(棚の幅)が異なることがある。汁受け13があると、使用済み食器5を収納して学校から運搬される時と、乾燥、消毒時とで同じように食器篭10を寝かせることができるので、コンテナ6の棚ピッチを無駄なく設定でき、収納効率に優れる。
【0047】
なお、変形例として食器篭ピース11、12に共通の1つの汁受けを設けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,10 食器篭
2,3,11,12 食器篭ピース
4 止め具
5 食器
6 コンテナ
13 汁受け
20,21,22 食缶
23,24,25 盛り付け台
2A,3A 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11