特許第6282433号(P6282433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282433
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】配送伝票
(51)【国際特許分類】
   B42D 11/00 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   B42D11/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-203327(P2013-203327)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-66815(P2015-66815A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097560
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 寛
(72)【発明者】
【氏名】越智 好則
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−137060(JP,A)
【文献】 実開平02−113763(JP,U)
【文献】 特開2008−213335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 11/00
G09F 3/02
G09F 3/03
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送流通上で配送物に貼付される配送票と切取ミシン目線を介して配送時に分離される控え票とが連設された上基材と、
前記上基材と重ね合わされるもので、その上基材との重ね合わせ面に当該上基材の配送票の一部を貼着させる第1貼着層、及び、当該配送票の他部及び前記控え票と剥離可能に貼着する疑似接着層が設けられ、重ね合わせ時の前記切取ミシン目線の形成位置より前記控え票側にずらせた位置に切込線が形成され、裏面全面に第2貼着層が設けられる下基材と、
前記下基材の裏面と重ね合わされるもので、その下基材との重ね合わせ面で、前記下基材の切込線を境に少なくとも配送票側の全面に剥離層を備える台紙と、
を有することを特徴とする配送伝票。
【請求項2】
請求項1記載の配送伝票であって、前記上基材と前記下基材の重ね合わせ面において、当該上基材の切取ミシン目線と当該下基材の切込線とで挟まれる領域を非貼着領域とすることを特徴とする配送伝票。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材を3層構造として部分的に再剥離可能に貼着させた配送伝票に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配送物の配送にあたって、例えばお届け票、配達票、配送控の3パーツの票が連接された配送票が使用されている。この配送票は、お届け票は配送物に剥離不能に貼付され、配送控は発送元で分離して控えとして保持し、配達票は配送後に分離して配送者が持ち帰るものとなる。このような配送票は、配送物に貼付するにあたり、貼付する配送伝票を剥離紙より剥離する際に配送控部分を剥離しやすくすることが望まれると共に、配達票より配送控を分離するときにおいても分離し易いことが望まれる。
【0003】
上記のような配送票を含む配送伝票の構造として、特許文献1に記載されているようなシートが知られている。特許文献1のシートは、基紙の裏面では粘着剤層を介して剥離紙が存在し、また、基紙の表面には上紙が配置され、上紙が相互に分離可能な貼付票、配送票(狭義の配送票)及び発店控からなり、基紙の表面側全面に第2粘着剤層を存在させ、貼付票の裏面側にこの第2粘着剤層によって基紙に直接貼付けられるとともに、配送票及び発店控の裏面に剥離層を存在させてこれらを剥離可能とした構造として知られている。このようなシートは、剥離紙より基紙及び上紙を剥離して配送物に貼付し、配送後に配送票及び発店控をそれぞれ剥離させるというものである。
【0004】
ところで、配送時に配送物に貼付される上記のような配送票においては、特許文献1の構造であると、配送物への貼付後に発店控を基紙より分離させると分離後に基紙の当該発店控があった部分が残ったまま受取人に配達することとなり、体裁上好ましくない。そのため、貼付後の配送票上の発店控の下層には何も存在させない形態の配送伝票も知られている。
【0005】
ここで、図7に、従来の配送伝票の説明図を示す。図7(A)において、配送伝票101は、基紙103の裏面では粘着剤層106を介して一部剥離層が形成されていない剥離紙104が存在し、また、基紙103の表面には上紙102が配置される。上紙102は、切込線114および切取ミシン目線115により相互に分離可能な貼付票111、配送票(狭義の配送票)112及び発店控113からなる。基紙103の表面側全面に粘着剤層105を存在させ、貼付票111の裏面側にこの粘着剤層105によって基紙103に直接貼付けられるとともに、配送票112及び発店控113の裏面に剥離層を存在させて当該粘着剤層105より剥離可能とさせている。
【0006】
また、基紙103には、上記切取ミシン目線115と垂直方向で同位置に切込線116が形成されている。すなわち、基紙103には、上記発店控113に対応する領域を備えることとなる。この領域に対応する剥離紙104の領域には剥離剤が形成されておらず、粘着剤層106によって直接貼着されている状態となる。
【0007】
このような配送伝票101において、貼付票111側より剥離紙104を剥離していくと、理想的には、図7(B)に示すように、基紙103に形成された切込線116で一部が剥離紙104側に残存して発店控113が基紙103より分離された状態とさせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−131869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図7(A)、(B)に示すように、上紙102の発店控113を連接している切取ミシン目線115と、基紙103に形成された切込線116とは同位置にあることから、剥離紙104を剥離する際、発店控13の切取ミシン目線115やその近傍で破れを生じ易いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、配送物に貼付する配送伝票の各パーツを剥離紙より損傷なく確実に分離させ、その構造上で分離対象のパーツを分離し易くする配送伝票を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、配送流通上で配送物に貼付される配送票と切取ミシン目線を介して配送時に分離される控え票とが連設された上基材と、前記上基材と重ね合わされるもので、その上基材との重ね合わせ面に当該上基材の配送票の一部を粘着させる第1粘着層、及び、当該配送票の他部及び前記控え票と剥離可能に粘着する疑似接着層が設けられ、重ね合わせ時の前記切取ミシン目線の形成位置より前記控え票側にずらせた位置に切込線が形成され、裏面全面に第2粘着層が設けられる下基材と、前記下基材の裏面と重ね合わされるもので、その下基材との重ね合わせ面で、前記下基材の切込線を境に少なくとも配送票側の全面に剥離層を備える台紙と、を有する構成とする。
【0012】
請求項2の発明では、前記上基材と前記下基材の重ね合わせ面において、当該上基材の切取ミシン目線と当該下基材の切込線とで挟まれる領域を非貼着領域とする構成である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、上基材に形成された配送票から控え票を分離するための切取ミシン目線に対し、下基材に形成される切込線を当該切取ミシン目線の形成位置より控え票側にずらせた位置に形成する構成とすることにより、上基材を下基材と共に台紙より剥離する過程で切取ミシン目線部分での剥離と切込線での剥離が同時にならずに下基材の控え票側を台紙側に残存させて剥離されることとなり、当該切取ミシン目線部分に損傷を与えることなく確実に分離することができるものである。
【0014】
請求項2の発明によれば、上基材と下基材の重ね合わせ面で、当該上基材の切取ミシン目線と当該下基材の切込線とで挟まれる領域を非貼着領域とする構成とすることにより、配送物に控え票が一体となった配送票を貼付した後、切取ミシン目線部分をも含めて控え票が何れにも貼着状態でなくなって容易に切り取って分離することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る配送伝票の第1実施形態の構成図である。
図2図1の配送伝票の使用形態の説明図(1)である。
図3図1の配送伝票の使用形態の説明図(2)である。
図4】本発明に係る配送伝票の第2実施形態の構成図である。
図5図4の配送伝票の使用形態の説明図(1)である。
図6図4の配送伝票の使用形態の説明図(2)である。
図7】従来の配送伝票の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係る配送伝票の第1実施形態の構成図を示す。図1(A)、(B)において、配送伝票11は、上基材12、下基材13及び台紙14の3層構造で構成され、上基材12と下基材13との間には上基材貼着層15が介在され、下基材13と台紙14との間には台紙貼着層16が介在される。
【0017】
上記上基材12は、例えば上紙等が使用されるもので、お届け票21、配達票22及び控え票である配送控23により構成され、当該お届け票21及び配達票22が配送票となる。また、上基材12が下基材13と重ね合わされて貼着されたときにお届け票21と配達票22との間に切込線24が形成される。そして、配達票22に配送控23が切取ミシン目線25を介して連設される。すなわち、お届け票21及び配達票22の配送票が配送流通上で配送物に貼付されるものとなり、連設された配送控23は発送元で配送時に切取ミシン目線25より分離されるものとなる。
【0018】
上基材12と下基材13とは重ね合わせ貼着される。これらの重ね合わせ面では、配送票の一部となるお届け票21の裏面に第1粘着層としての粘着層31Aが設けられ、配送票の他部となる配達票22の裏面に剥離後再貼付性の無い疑似接着層32Aが設けられると共に、配送控23の裏面に疑似接着層32Bが設けられる。当該粘着層31A及び疑似接着層32A,32Bが上基材貼着層15となる。なお、お届け票21は下基材13に対して剥離させるものではないことから、剥離不能な強接着の粘着剤が使用されるが、剥離させないものであっても作製工程上から疑似接着層としてもよいものである。
【0019】
下基材13は、例えば上紙等が使用されるもので、上基材12との重ね合わせ時の切取ミシン目線25の形成位置より配送控23側にずらせた位置に切込線26が形成される。この切込線26を境に配送票(お届け票21、配達票22)側を第1下基材13Aとし、配送控23側を第2下基材13Bとする。そして、下基材13の裏面全面には第2粘着層として粘着剤層31Bが設けられる。
【0020】
下基材13と台紙14とは重ね合わせ貼着される。台紙14は、例えば上紙等が使用されるもので、下基材13との重ね合わせ面では、台紙14上の上記第1下基材13Aに対応する領域に剥離層33が設けられ、上記第2下基材13Bに対応する領域には何も形成されていない。すなわち、剥離層33は、下基材13の切込線26を境に配送票側にのみ備えることとなる。また、台紙14上で何も形成されていない領域では第2下基材13Bの裏面に設けられた粘着層31Bにより剥離不能に貼着されるものである。当該粘着層31B及び剥離層33が台紙貼着層16となる。なお、この第2下基材13B裏面に対向する台紙14上に剥離層33が形成されていても、切込線26により第1下基材13Aと第2下基材13Bが分離し、第2下基材13Bが台紙14側に残る為に問題はない。
【0021】
そこで、図2及び図3に、図1の配送伝票の使用形態の説明図を示す。まず、図2(A)において、配送伝票11は、上基材12を構成するお届け票21、配達票22及び配送控23の記入欄にプリンタで日付、送り主、お届け先、品名などの情報を一括で形成する。そして、図2(B)に示すように、お届け票21側の一隅部から上基材12及び下基材13(第1下基材13A)を共に台紙14より剥離していく。このとき、下基材13の裏面のお届け票21及び配達票22に対応する領域には粘着層31Bが設けられ、対応する台紙14上には剥離層33が設けられていることから容易に剥離されていく。
【0022】
上記剥離は、切取ミシン目線25に対応する部分を過ぎて、下基材13に形成された切込線26に達したとき、第2下基材13Bの裏面が台紙14上に貼着されており、また、第2下基材13Bの上面と上基材12の配送控23の裏面との間に剥離可能な疑似接着層32Bが設けられていることから、第2下基材13Bを台紙14側に残したまま疑似接着層32Bで上基材12の配送控23部分が第2下基材13Bより剥離される。
【0023】
すなわち、図3(A)、(B)に示すように、台紙14より、お届け票21、配達票22及び配送控23で構成する上基材12と下基材13の第1下基材13Aが剥離されるもので、配送控23はその下層に下基材を有しない単一層の状態の配送票41となるものである。
【0024】
台紙14より剥離した上記配送票41の使用形態は、後述の図5及び図6に示す使用形態と同様であり、ここでは簡単に説明する。当該配送票41は配送物に貼付され、発送元まで運ばれる。このときの貼付は、下基材(第1下基材13A)の裏面に設けられている粘着層31Bによって行われ、配送控23には下基材や粘着層が存在せず、配送物上には貼着されない状態となる。
【0025】
発送元では、当該配送票41が貼付された配送物を配送流通上に置く直前に、発送確認として配送控23を配達票22より切取ミシン目線25で切り取って保管するものであり、配送流通上では受取人に届くまでお届け票21及び配達票22のみが配送物に貼付された状態となるものである。
【0026】
このように、上基材12に形成された切取ミシン目線25と下基材13に形成される切込線26とをずらせた位置とすることにより、上基材12を下基材13と共に台紙14より剥離する過程で切取ミシン目線25部分での剥離と切込線26での剥離が同時にならずに下基材13の配送控23側の第2下基材13Bを台紙14側に残存させて剥離させることとなることから、当該切取ミシン目線25部分に破れなどの損傷を与えることなく配送票41を台紙14より確実に剥離して分離することができるものである。
【0027】
次に、図4に、本発明に係る配送伝票の第2実施形態の構成図を示す。図4(A)、(B)に示す配送伝票11は、お届け票21、配達票22及び配送控23で構成する上基材12と下基材13の重ね合わせ面であって、当該上基材12に形成された切取ミシン目線25と、下基材13に形成された切込線26とで挟まれる領域を、貼着系の部材を設けない非貼着領域32Cとしたものである。他の構成は図1と同様であり説明を省略する。
【0028】
そこで、図5及び図6に、図4の配送伝票の使用形態の説明図を示す。図4に示す配送伝票11は、上述の図2及び図3と同様に、お届け票21、配達票22及び配送控23の記入欄にプリンタで配送情報を形成した後、台紙14よりお届け票21、配達票22及び配送控23で構成する上基材12及び下基材13の第1下基材13Aを一緒に剥離することで配送票41とする。
【0029】
そして、図5(A)に示すように、配送票41を配送物42上に貼付する。この場合、下基材(第1下基材13A)の裏面に設けられている粘着層31Bによって貼付されもので、配送控23には下基材や貼着系の部材が存在せず、配送物上には貼着されない状態となる。当該配送票41が貼付された配送物42は発送元まで運ばれる。
【0030】
発送元では、図5(B)に示すように、配送票41が貼付された配送物を配送流通上に置く直前に、発送確認として配送控23を配達票22より切取ミシン目線25で切り取って保管する。この配送控23の切り取りに際しては、配送控23の裏面の切取ミシン目線25の近傍に貼着系の部材が設けられていない非貼着領域32Cが存在して何れにも貼着されていないことから、配送控23の作業者による切取ミシン目線25での切り取りが容易かつスムーズに行われるものである。
【0031】
配送控23が切り取られた配送票41は、配送流通を経て受取人に届くまでお届け票21及び配達票22のみが配送物42に貼付された状態となる。そして、配送控23が切り取られた配送票41を貼付した配送物42が受取人に届けられると、図6(A)〜(C)に示すように、配達票22の受領印欄への受取人による押印の後に、切込線24より配達票22が剥離される(配達票22の一の隅部に剥離しやすいように切欠を形成してもよい)。すなわち、配達票22は下基材13(第1下基材13A)とは疑似接着層32Aで剥離可能に疑似接着されており、受領印取得後に配達者によって剥離されて持ち帰られることとなるものである。
【0032】
このように、配送伝票11において配送控23の切取ミシン目線25の近傍で非貼着領域32Cを形成することで、台紙14より剥離した配送票41では、切取ミシン目線25部分を含めて配送控23を何れにも貼着状態とさせない状態とさせていることから、当該配送控23を容易に切り取って分離することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の配送伝票は、基材を3層構造として部分的に再剥離可能に貼着させた多層シートに利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
11 配送伝票
12 上基材
13 下基材
14 台紙
15 上基材貼着層
16 台紙貼着層
21 お届け票
22 配達票
23 配達控
24,26 切込線
25 切取ミシン目線
31 粘着層
32A,32B 疑似接着層
32C 非貼着領域
33 剥離層
41 配送票
42 配送物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7