(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、外気温が低くなるほど、ガラス表面温度を維持するための電力が、多大となる。すなわち、複層ガラスといえども、その断熱性能は、外壁には劣るレベルであり、外気温が低いときには、熱損失が大きく、室内側のガラス温度が低くなるという問題がある。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、消費電力を低減しつつ、断熱性能を向上することができる、発熱ガラスパネル及びこれを備えた発熱ガラスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発熱ガラスパネルは、第1ガラス板と、前記第1ガラス板と所定間隔をおいて対向するように配置された第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の間で密閉された空間であって、減圧されている第1空間部と、前記第2ガラス板と所定間隔をおいて対向するように配置された第3ガラス板と、前記第2ガラス板及び前記第3ガラス板との間で密閉され、乾燥空気または希ガスが封入された第2空間部と、前記第1ガラス板及び第3ガラス板の少なくとも一方に形成された導電層と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、発熱を行う導電層に加え、第1ガラス板と第2ガラス板との間に減圧された第1空間部が形成されているため、断熱効果を向上することができる。そのため、導電層に供給する電力を大きく上げることなく、発熱ガラスパネル全体の断熱性能を向上することができる。
【0009】
上記発熱ガラスパネルでは、導電層をいずれの面に形成してもよいが、例えば、前記第3ガラス板において、前記第2空間部と対向する面に形成することができる。これにより、第2ガラス板と第3ガラス板との間の第2空間部の温度を、導電層の発熱により上昇させることができる。その結果、第1空間部との組み合わせによって断熱効果をさらに向上することができる。また、第3ガラス板を室内側に向けるようにして窓に取り付けると、屋外からの冷気は第1空間部、第2空間部で遮断されるため、室内側の第3ガラスの表面温度の維持に要する電力をより節約することができる。
【0010】
上記発熱ガラスパネルでは、前記第1から前記第3ガラス板の表面の少なくとも1つに成膜される低放射性膜をさらに備えることができる。このような低放射性膜を備えることで、ガラス板の熱貫流率を低減することができ、断熱効果をさらに向上することができる。
【0011】
本発明に係る発熱ガラスシステムは、上述したいずれかの発熱ガラスパネルと、前記発熱ガラスパネルに電力を供給する電力供給ユニットと、を備えている。
【0012】
上記発熱ガラスシステムでは、前記発熱ガラスパネルを支持し、窓枠に対して移動可能に構成されたフレームをさらに備えることができる。そして、前記電力供給ユニットは、交流電流を生成する送電モジュールと、前記送電モジュールから交流電流が供給され、前記窓枠に取付けられた送電電極と、前記フレームに取付けられ、前記発熱ガラスパネルと電気的に接続された受電電極と、前記受電電極から供給される交流電流を直流電流に変換して前記発熱ガラスパネルの導電層に供給する受電モジュールと、を備えることができ、前記送電電極と受電電極とが所定間隔をおいて配置されることで、キャパシタが構成され、当該キャパシタを介して、前記送電電極から受電電極へ電力が伝送されるように構成することができる。
【0013】
この構成によれば、受電電極と送電電極との間の非接触給電により、発熱ガラスパネルに電力を供給することができるため、発熱ガラスパネルを開閉可能に構成することができる。すなわち、非接触給電により発熱ガラスパネルを移動させることができ、発熱ガラスパネルにより窓枠が開かれているときは、電力が供給されず、窓枠の枠内が閉じられているときには、電力が供給されるように構成することができる。これにより、窓枠の枠内が開いているときは、電力が供給されず、窓枠の枠内が閉じられて熱の移動を遮断したいときにのみ電力が供給されるため、消費電力を低減することができる。
【0014】
上記発熱ガラスシステムにおいて、前記送電電極及び前記受電電極を、絶縁性のカバー部材によってそれぞれ覆うことができる。これにより、当該送電電極及び受電電極を、各カバー部材を介して両電極間を所定距離に保持することができる。その結果、非接触給電を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消費電力を低下できつつ、断熱性能を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る発熱ガラスシステムの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係る発熱ガラスシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る発熱ガラスシステムは、発熱ガラスパネル1と、これに電力を供給する電力供給装置2とを備えている。電力供給装置2は、後述するように、送電ユニット21及び受電ユニット22を備え、これらの間で非接触給電が行われる。
【0019】
<1.発熱ガラスパネル>
図2は発熱ガラスパネルの断面図、
図3は
図2のA−A線断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る発熱ガラスパネル1は、公知のフロートガラスなどで形成された3枚のガラス板で構成されている。そして、この発熱ガラスパネル1の周縁は、矩形状のフレーム3によって支持されている。また、このフレーム3には、発熱ガラスパネル1に電力を供給する受電ユニット22が設けられている。
【0020】
まず、発熱ガラスパネルについて説明する。この発熱ガラスパネルは、2枚のガラス板により構成された真空複層ガラス11と、この真空複層ガラス11と対向するように配置されたベースガラス板12と、を備え、全体の厚さが、例えば、15〜40mmとなっている。また、これら真空複層ガラス11とベースガラス板12とは、ほぼ同様の外形を有しており、周縁部に配置された封止材13により、互いに連結されている。すなわち、真空複層ガラス11とベースガラス板12との間に封止材13が配置されることで、両者の間には厚さS1の内部空間(第2空間部)14が形成されている。したがって、封止材13は内部空間14を密閉する役割と、両者の間に隙間を形成するスペーサとしての役割を果たす。また、ベースガラス板12において、真空複層ガラス11を向く面には、導電層15が形成されており、この導電層15は、上述した受電ユニット22に電気的に接続されている。なお、本実施形態に係る発熱ガラスユニットでは、真空複層ガラス11が屋外を向き、ベースガラス板12が屋内を向くように配置される。以下、上述した各部材について詳細に説明する。
【0021】
次に、フレーム3について、
図4を参照しつつ説明する。
図4はフレームが窓枠に取付けられた状態を示す正面図である。このフレーム3は、発熱ガラスパネル1の外周縁に沿って延びる矩形状に形成されている。そして、上記発熱ガラスパネル1が取付けられた2つのフレーム3が、窓枠4に嵌め込まれ、互いに水平方向に移動可能となっている。これにより、窓枠4の枠内を2枚の発熱ガラスパネルにより、閉じたり開いたりすることができる。
【0022】
このフレーム3は、上下方向に延びる一対の側部材31、32と、これら側部材31,32の下端部同士を連結し水平方向に延びる下部材33、及び側部材31,32の上端部同士を連結し水平方向に延びる上部材34で構成されている。上部材34の下面及び下部材33の上面には、発熱ガラスパネル1の上端縁及び下端縁をそれぞれ嵌め込むための溝(図示省略)が形成されている。一方、上部材34の上面及び下部材33の下面には、窓枠4と係合し水平方向に移動するためのレール(図示省略)が形成されている。また、
図2に示すように、一方の側部材31には、上下方向に延びる内部空間311が形成されており、その両側、つまり発熱ガラスパネル1と対向する面、及び窓枠4と対向する面には、それぞれ第1溝部312及び第2溝部313が形成されている。第1溝部312には、発熱ガラスパネル1の側端縁が嵌め込まれる。一方、第2溝部313の上端部付近には、後述する第1電極モジュールが取付けられている。また、窓枠4において、この第1電極モジュールと対向する位置には第2電極モジュールが取付けられている。
【0023】
次に、真空複層ガラス11について説明する。
図1に示すように、この真空複層ガラス11は、屋外を向く第1ガラス板111と、屋内を向く第2ガラス板112とが所定間隔をおいて対向配置されることで構成され、厚さが、例えば6〜16mmとなっている。各ガラス板111、112の厚さは、例えば、3〜8mmとすることができる。第1ガラス板111と第2ガラス板112とは、周縁部に配置されたはんだガラス113により、互いに連結されている。はんだガラス113は、例えば、400〜500℃の高温で溶融された状態で両ガラス板111,112を融着し、両ガラス板111,112の間に空間(第1空間部)114を形成する。また、両ガラス板111,112の間には、SUSなどの金属、セラミックス、硬質樹脂などで形成された複数のスペーサ115が配置されており、これによって、空間114の厚さを一定に維持している。そして、この空間114は減圧され、例えば、10
-2Torr以下の真空状態となった減圧層を構成している。
【0024】
続いて、内部空間14について説明する。真空複層ガラス11とベースガラス板12との間に内部空間14を形成するための封止材13は、絶縁性の材料で形成され、例えば、2種類のシールで形成することができる。すなわち、
図2に示すように、内部空間14を向く側に配置される1次シール材131と、この1次シール材131の周縁を外側から覆う2次シール材132とで構成することができる。1次シール材131は、例えば、ブチルゴムなどで形成でき、2次シール材132は、例えば、ポリサルファイド系シーラント、シリコン系シーラントなどで形成することができる。こうして形成された内部空間14には、乾燥空気のほか、アルゴン、クリプトンなどの希ガスが封入される。このように構成された内部空間14の層厚、つまり真空複層ガラス11とベースガラス板12との間の距離(上述した厚さS1)は、例えば、6〜22mmとすることができる。
【0025】
次に、ベースガラス板12及びこれに配置される導電層15について説明する。ベースガラス12は上記のようにフロートガラスなどで形成され、その厚さは、例えば、3〜8mmとすることができる。また、上述したように、ベースガラス板12において、真空複層ガラス11側を向く面には、矩形状の導電層15が形成されている。この導電層15は、透明で且つ導電性を有する材料であれば特には限定されず、例えば、SnO
2、ITO膜等を用いることができる。そして、
図3に示すように、矩形状の導電層15において、左右方向もしくは上下方向に延びる相対する2辺に、リボン状の電極16がそれぞれ配置されており、各電極16に取付けられたリード線17がそれぞれ封止材13のいずれかの位置を貫通して発熱ガラスパネル1の外部まで引き出されている。そして、発熱ガラスパネル1の外部、つまりフレーム3には、発熱ガラスパネル1に電力を供給する受電ユニット22が取付けられている。以下、電力供給装置2を構成する送電ユニット21及び受電ユニット22について説明する。
【0026】
<2.受電ユニット>
図5は電力供給装置の概略構成を示すブロック図である。
図5に示すように、受電ユニット22は、DC−DCコンバータモジュール221、受電モジュール222、及び第1電極モジュール223により構成されている。このうち、DC−DCコンバータモジュール221及び受電モジュール222は、上述したフレーム3の側部材31に形成された内部空間331に配置されている。DC−DCコンバータモジュール221には、発熱ガラスパネル1から引き出された2つのリード線17が接続されるとともに、定電圧を生成するための電圧レギュレータ2211を備えている。そして、この電圧レギュレータ2211から出力される電圧により発熱ガラスパネル1の導電層15が発熱する。また、受電モジュール222には、降下変圧器2221と、整流回路2222とが設けられている。そして、第1電極モジュール223から流れる交流電流は、降下変圧器2221によって低電圧に降下され、整流回路2222によって交流電流を直流整流に変換された後、上述したDC−DCコンバータモジュール221に送られる。
【0027】
次に、第1電極モジュール223について説明する。この第1電極モジュール223は、フレーム3の第2溝部313に配置されており、第2溝部313の奥端部から窓枠4側に向かって水平方向に並ぶ第1クッション部材2231、第2クッション部材2232、及び電極部2233で構成されている。両クッション部材2231,2232は、ゴム、樹脂などの弾性材料で直方体状に形成されており、第1クッション部材2231が第2クッション部材2232よりも柔らかい材料で形成されている。また、電極部2233は、受電モジュール222の降下変圧器2221と電気的に接続された受電電極2234と、この受電電極2234を覆う硬化樹脂製のカバー部材2235とで構成されている。受電電極2234は、板状に形成され、第2クッション部材2232における窓枠4側を向く面に配置されており、導線を介して降下変圧器2221と接続されている。なお、カバー部材2235は、絶縁性があり、硬化樹脂などの弾性変形しがたい材料で形成されていればよい。
【0028】
<3.送電ユニット>
続いて、受電ユニット22に電力を供給するための送電ユニット21について説明する。
図5に示すように、送電ユニット21は、交流電源に接続されたACアダプタ211、送電モジュール212、及び第2電極モジュール213により構成されている。このうち、ACアダプタ211及び送電モジュール212は、例えば、窓枠4の内部、窓枠4が嵌め込まれた壁の内部、または窓枠4が嵌め込まれた室内などに配置される。一方、第2電極モジュール213は、窓枠4において第1電極モジュール223と対向する位置に配置されている。以下、これらを詳細に説明する。
【0029】
ACアダプタ211は、交流電源(図示省略)から送られる交流電流を直流電流に変換するものであり、変換された直流電流は、送電モジュール212に送られる。送電モジュール212は、過電圧保護回路2121、コントローラ2122、インバータ回路2123、及び昇圧変圧器2124により構成されている。この構成により、ACアダプタ211から送られた直流電流は、インバータ回路2123により交流電流に変換され、昇圧変圧器2124により昇圧された後、第2電極モジュール213に送られる。コントローラ2122は、これら電流の制御を行い、過電圧保護回路2121は過度な電圧がインバータ回路2123に作用しないように保護する。
【0030】
第2電極モジュール213は、第1電極モジュール223と同様に構成されており、窓枠4から第1電極モジュール223側に向かって水平方向に並ぶ第1クッション部材2131、第2クッション部材2132、及び電極部2133で構成されている。そして、電極部2133は、送電モジュール212の昇圧変圧器2124と電気的に接続された板状の送電電極2134と、この送電電極2134を覆い絶縁性を有する硬化樹脂製のカバー部材2135とで構成されている。なお、これらの構成は上述した第1電極モジュール223とほぼ同じであるので詳しい説明は省略する。
【0031】
以上のように構成された受電ユニット22、及び送電ユニット21において、受電電極2234と送電電極2134とは、窓枠が閉じられたときに、カバー部材2135、2235を介して対向するようになっている。すなわち、これら受電電極2234と送電電極2134とでキャパシタが構成され、このキャパシタを介して、送電モジュール212で交流に変換された電力が受電モジュール222に伝送される。すなわち、電界結合方式による非接触給電が行われる。この方式では、例えば、受電電極2234と、送電電極2134とが面方向に多少ずれたとしても給電を行うことができる。
【0032】
<4.発熱ガラスシステムの動作>
次に、上記のように構成された発熱ガラスシステムの動作について説明する。まず、発熱ガラスパネル1を窓枠4内で水平に移動させ、窓枠を閉じる。これにより、第1電極モジュール223のカバー部材2235と第2電極モジュール213のカバー部材2135とが接触する。その結果、受電電極2234と送電電極2134とでキャパシタが構成され、送電ユニット21の送電電極2134から受電ユニット22の受電電極2234へ非接触で電力が供給される。このとき、受電電極2234及び送電電極2134にはそれぞれカバー部材2235、2135が取付けられているため、両電極2234、2134間の距離は、カバー部材2235、2135を介して一定に保たれる。
【0033】
この電力は、受電ユニット22からリード線17を介して、発熱ガラスパネル1の導電層15に供給され、導電層15が発熱する。これにより、発熱ガラスパネル1のベースガラス板12の表面温度が上昇する。その結果、結露の発生やコールドドラフト現象を抑制することができる。また、真空複層ガラス11には減圧層114が形成されているため、これにより断熱効果を期待することができる。すなわち、大きい電力を印加することなく、発熱ガラスパネル1の断熱性能を向上することができる。なお、発熱ガラスパネル1が移動し、窓枠4の枠内が開かれているときは、受電電極2234と送電電極2134とが離間するため、給電が停止する。
【0034】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。
【0035】
<5−1>
例えば、上記実施形態で示す3つのガラス板の表面の少なくとも1つに低放射性膜を成膜してもよい。このようにすると、ガラス板の熱貫流率を低減することができ、断熱効果をさらに向上することができる。低放射性膜は、例えば、例えば500〜700℃に加熱したガラス板の表面に、四塩化錫(SnCl
4)又はジメチル錫ジクロライド((CH
3)
2SnCl
2)等の錫の有機化合物を気化させたものを、窒素ガス等の搬送ガスによって吹き付けて得ることができ、この時、フッ素を膜に添加すると放射率をより低下させることができる。上記方法によって、例えば0.2〜1.0μm(2000〜10000Å)程度の膜厚を有し、透明で且つ導電性を示すフッ素含有酸化錫膜を得ることができる。この場合、膜中の伝導電子が赤外線を反射する機能を有し、放射率がおよそ0.20〜0.15程度となって断熱性に優れたガラス板を形成することができる。
【0036】
<5−2>
上記実施形態で用いるガラス板111、112、12は、フロートガラスのほか、網入りガラス、強化ガラスや合わせガラスなどを用いることができる。
【0037】
<5−3>
上記実施形態では、内部空間14を形成するための封止材13として絶縁材料を用いたが、導電材料を用いることもできる。この場合、導電層と封止材とが導通しないように、両者を離間したり、あるいは両者の間に絶縁材料を配置することができる。あるいは、導電層をベースガラス板の全面にコーティングした後、レーザやサンドブラストなどで封止材と接触しないように断線することができる。また、導電層は、ガラス板の全面にコーティングしてもよいし、一部にコーティングしてもよい。
【0038】
<5−4>
上記実施形態では、ベースガラス板12に導電層15を形成しているが、導電層15は、他のガラス板111に形成することもできる。また、複数のガラス板に導電層を形成してもよい。
【0039】
<5−5>
上記実施形態では、3枚のガラス板によって発熱ガラスパネルを形成しているが、4枚以上のガラス板を用いることもできる。例えば、第1ガラス板側またはベースガラス板側に追加のガラス板を配置し、さらに空間部を形成することができる。これにより、さらに断熱性能を向上することができる。
【0040】
<5−6>
電力供給装置2の送電モジュール212、受電モジュール222の構成は特には限定されず、送電モジュールにおいて送電電極に交流電流を供給し、受電モジュールにおいて交流電流を直流電流に変換して導電層に供給できるように構成されていればよい。また、DC−DCコンバータモジュールを受電モジュールに含めることもできる。
【0041】
<5−7>
上記実施形態における電力供給装置2では、キャパシタによる電界結合方式の非接触給電を行っているが、例えば、コイルを用いた電磁誘導方式の非接触給電であってもよい。
【0042】
<5−8>
上記実施形態における電力供給装置2では、非接触給電により発熱ガラスパネル1に電力を供給しているが、リード線などを介して有線により電力を供給することもできる。例えば、いわゆる嵌め殺し窓に上記発熱ガラスパネルを適用した場合には、有線で電力を供給することもできる。
【0043】
<5−9>
上記実施形態では、第1電極モジュール223と第2電極モジュール213のそれぞれに、硬さの異なる第1クッション部材2131(2231)と第2クッション部材2132(2232)を備えているが、どちらか一方のみに硬さの異なる2種類のクッション部材を備えるようにしてもよい。この場合の他方のクッション部材は、第1クッション部材とほぼ同じ硬さのものを用いるとよい。
【実施例】
【0044】
以下、本発明に係る実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。
<1.実施例及び比較例の構成>
ここでは、実施例及び比較例に係る発熱ガラスパネルを作製した。実施例に係る発熱ガラスパネルは、上記実施形態に示したものと同様の構成であり、比較例に係る発熱ガラスパネルは、2枚のガラス板の間に密閉された内部空間を形成したものである。これら実施例及び比較例の詳細な構成、厚さは表1に示す通りである。なお、表1に示す熱貫流率とは電流を供給していないときの値である。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例に係るLow−Eガラスは、フロートガラスの表面に、酸化錫膜を成膜したものを使用した。発熱ガラスは、フロートガラスの表面に、酸化錫で形成された導電層を成膜したものである。導電層のシート抵抗値は、約15Ω/□である。なお、ここで用いたガラスの寸法は、900mm×600mmである。そして、導電層に対しては、リード線を接続し、外部から電力を供給した。
【0047】
<2.評価試験>
以上のような実施例及び比較例に対し、室内温度20度、外気温0度の条件で、電力を供給した。そして、電力供給後1時間経過後に、実施例及び比較例における室内側のガラス温度を測定するとともに、熱貫流率を算出した。熱貫流率は、JISR3107に基づいて算出した。結果は、表2に示す通りである。
【0048】
【表2】
【0049】
以上の結果からすると、真空複層ガラスを備えた実施例は、比較例に比べ室内側のガラス温度が高くなっている。また、比較例は実施例よりも熱貫流率が高くなっており、外気の影響を受けやすいことが分かった。実施例と比較例それぞれで電力供給前後の熱貫流率を比較すると、比較例のガラスパネルは熱貫流率が1.9W/m
2Kだったものが電力供給により1.7W/m
2K程度にしかならなかったのに対して、実施例では、0.8W/m
2Kだったものが0W/m
2Kとなり、熱損失のないガラスを実現することができた。本発明の発熱ガラスパネルは、特に優れた断熱性能を発揮することがわかる。