(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストッパ部は、前記操作部を前記凹み部に収容した場合に、前記操作レバー部の上面の高さが、前記媒体ガイド部の上面上に搬送される前記印字媒体の移動を阻害しない高さで止まるように設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載のプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
また、連続紙(印字媒体)を印字のために搬送する方向、具体的には連続紙を用紙供給部からサーマルヘッド部に送る方向を印字方向といい、特に説明がない場合、搬送方向上流とは印字方向において上流側のことをいい、搬送方向下流とは印字方向において下流側のことをいう。
【0016】
図1は本実施の形態に係るプリンタの外観の全体斜視図である。
【0017】
本実施の形態のプリンタ1は、例えば、連続紙の台紙に仮着されたラベルに、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報を印字するラベル印字機能を備えている。
【0018】
プリンタ1の正面のフロントカバー部2には、操作パネル部3と、電源スイッチ4と、発行口(媒体排出口)5とが設けられている。
【0019】
操作パネル部3には、メッセージ等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、プリンタ1の動作を操作する複数のキー(ラインキー、フィードキー、ファンクションキー、方向指示キーおよびキャンセルキー等)と、プリンタ1の状態を示す複数のLED(Light Emitting Diode)とが配置されている。
【0020】
プリンタ1の片側側面には、オープンカバー部6が2箇所のヒンジ部7により上下方向に開閉自在の状態で装着されている。
【0021】
次に、プリンタ1の内部構造について
図2および
図3を参照して説明する。
図2は
図1のプリンタの内部を示した斜視図、
図3は
図2のプリンタの側面図である。なお、以下の説明ではプリンタ1の正面側(フロントカバー部2側)を前方(連続紙の搬送方向下流側)、その向かい側の背面側(バックカバー部側)を後方(連続紙の搬送方向上流側)という。
【0022】
プリンタ1の内部には、その後方に配置された用紙供給部(媒体供給部)10と、前方に配置された印字部11と、その上方に配置されたインクリボン部12とが設置されている。
【0023】
用紙供給部10は、連続紙(印字媒体)Pを印字部11に供給する構成部であり、支持軸10aと、その一端に設置されたロールガイド部10bとを備えている。
【0024】
支持軸10aは、ロール状に巻き取られた連続紙Pを回転自在の状態で支持する構成部である。ロールガイド部10bは、ロール状の連続紙Pを固定する構成部であり、連続紙Pの幅に応じて位置を変えられるように支持軸10aの軸方向に沿って移動自在の状態で設置されている。
【0025】
連続紙Pは、例えば、長尺状の台紙と、その長手方向に沿って予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルとを有している。台紙においてラベルの粘着面が接触する面には、シリコーン等のような剥離剤がコーティングされており、ラベルを容易に剥離することが可能になっている。また、台紙においてラベルが貼られていない面には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルの位置を示す位置検出マークが形成されている。ラベルは、感熱紙を使用する場合と普通紙を使用する場合とがある。感熱紙の場合は、その表面に、予め決められた温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。
【0026】
また、連続紙Pには、表巻きラベルと裏巻きラベルとの2種類がある。表巻きラベルは、連続紙Pのラベルがロール状の連続紙Pの外周面に位置する状態で巻回されており、
図3で示すように、連続紙Ps(P:破線)が用紙供給部10の高さ方向中央あたりから印字部11の底部に向けて繰り出されている。これに対して、裏巻きラベルは、連続紙Pのラベルがロール状の連続紙Pの内周面側に位置する状態で巻回されており、
図3に示すように、連続紙Pb(P:実線)がプリンタ1の内部底面あたりから印字部11の底部に向けて繰り出されている。なお、表巻きでも裏巻きでも印字部11での連続紙P(Ps,Pb)の通紙ルートは同じである。また、表巻きラベルでも裏巻きラベルでも連続紙Pはラベルが仮着された面(被印字面)を上に向けた状態で搬送される。
【0027】
上記した印字部11は、連続紙Pのラベル等に印字を行う構成部であり、印字ヘッド部13と、その下方に配置された支持台14と、それらの後方(印字工程時の連続紙Pの搬送上流)に配置されたダンパ部15とを備えている。
【0028】
印字ヘッド部13は、後述のように、開閉自在の状態でプリンタ1の内部に設置されている。印字ヘッド部13が閉止状態の場合に、印字ヘッド部13と支持台14との間に通紙ルート(媒体搬送路)が形成される。そして、その通紙ルートは、上記した発行口5(
図1参照)に繋がっている。
【0029】
支持台14には、印字ヘッド部13の閉止状態を維持するヘッドロックレバー部16が設置されている。このヘッドロックレバー部16を操作すると印字ヘッド部13の閉止状態が解除され、印字ヘッド部13の前方部が持ち上がり印字ヘッド部13が開く(プラテンローラ部23に対して離間する)ようになっている。
【0030】
ダンパ部15は、連続紙Pに張力を付与する構成部である。本実施の形態においては、ダンパ部15が、アウターダンパ部15aとインナーダンパ部15bとを備えている。印字ヘッド部13の閉止状態時において、アウターダンパ部15aおよびインナーダンパ部15bは、それぞれ連続紙Pに張力を付与可能なように揺動自在の状態で設置されている。
【0031】
上記したインクリボン部12は、印字用インクを塗布したインクリボンを供給し、巻き取る構成部であり、リボン供給部12aと、その前方横に配置されたリボン巻き取り部12bとを備えている。リボン供給部12aは、ロール状に巻き取られたインクリボンを回転自在の状態で支持する構成部である。リボン巻き取り部12bは、印字済みのインクリボンRBを巻き取り回収する構成部である。なお、インクリボンを使用する場合は、リボン供給部12aから引き出されたインクリボンを印字ヘッド部13の下に通してリボン巻き取り部12bで巻き取る。
【0032】
このようなプリンタ1においては、用紙供給部10からシート状に繰り出された連続紙P(Ps,Pb)がダンパ部15を介して印字ヘッド部13と支持台14との間の通紙ルートに搬送され、その途中において連続紙Pのラベル等に印字処理がなされた後、発行口5からプリンタ1の外部に排出されるようになっている。
【0033】
次に、上記した印字部11の構成について
図4〜
図9を参照して説明する。
図4は
図3の印字部を正面側から見た拡大斜視図、
図5は
図4の印字部の側面図、
図6は
図4の印字部を背面側から見た斜視図、
図7(a)は
図4の印字ヘッド部の閉止状態時の印字部を正面から見た斜視図、
図7(b)は
図4の印字ヘッド部の開放状態時の印字部を正面から見た斜視図、
図8は
図4の印字ヘッド部を抜き出して下側から見た斜視図、
図9は
図4の印字部の分解斜視図である。
【0034】
印字ヘッド部13は、その前方部が後方の回転軸S1(
図6および
図8参照)を中心に上下方向に揺動(すなわち、開閉)自在の状態で印字ヘッド部13の片側側面のヘッド支持板17に支持されている。
【0035】
印字ヘッド部13の下面(通紙ルートを向く面)には、サーマルヘッド部18(
図7(b)および
図8参照)がその印字面を通紙ルートに向けた状態で設置されている。サーマルヘッド部18は、その印字面に配置された印字ライン18Lの発熱抵抗体により連続紙Pのラベル等に印字を行う印字手段である。この印字ライン18Lには、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)が連続紙Pの幅方向(連続紙Pの搬送方向に対し直交する方向)に沿って並んで配置されている。
【0036】
印字ヘッド部13の前方側の下面にはサーマルヘッド部18を挟むように凹状爪部19,19(
図7(b)および
図8参照)が設けられている。また、印字ヘッド部13の下面において凹状爪部19の後方には、印字ヘッド部13の両側面から外方に突出するピン20,20が設けられている。
【0037】
このような印字ヘッド部13は、回転軸S1(
図6および
図8参照)に装着されたトーションバネ21により開方向に付勢されているが、印字ヘッド部13の下部のピン20,20に、支持台14のロック爪部22,22が引っ掛かることにより閉止状態が維持されている。ロック爪部22は、上記ヘッドロックレバー部16を
図5の右方向に引くと、それに連動して
図5の右方向に移動し、ピン20から外れるようになっている。ロック爪部22がピン20から外れると、
図7(b)に示すように、印字ヘッド部13は、トーションバネ21の付勢力により自動的に開くようになっている。
【0038】
また、印字ヘッド部13の閉止状態時には、印字ヘッド部13の凹状爪部19,19(
図7(b)および
図8参照)がプラテンローラ部23のプラテン軸23s(
図4、
図7および
図5参照)の両端部に嵌められるとともに、印字ヘッド部13に設けられた押圧装置によりサーマルヘッド部18の印字面が下方のプラテンローラ部23(
図4および
図7(a),(b)参照)に押し付けられる。
【0039】
プラテンローラ部23は、用紙供給部10から繰り出された連続紙Pを通紙ルートに沿って発行口5(
図1参照)へ搬送する搬送手段であり、正逆方向に回転可能な状態で支持台14の支持フレーム14a(
図5および
図9参照)に軸止されている。
【0040】
プラテンローラ部23のプラテン軸23sの軸方向一端には、ギアG1(
図6参照)が接続されている。このギアG1側のプラテン軸23sは、例えば、タイミングベルト(図示せず)等を介してステッピングモータのような駆動体(図示せず)の回転軸に係合されている。また、ギアG1は、連結ギアG2,G3を介してギアG4に接続されている(
図6参照)。
【0041】
また、支持台14の上面においてプラテンローラ部23よりも搬送上流には、連続紙Pの搬送をガイドする用紙ガイド部(媒体ガイド部:
図9参照)24が設置されている。この用紙ガイド部24は、その上面高さが搬送上流から搬送下流に向かって高くなるように傾斜した状態で設置されている。プラテンローラ部23および用紙ガイド部24については後ほど詳細に説明する。
【0042】
なお、印字部11の通紙ルートにおいてサーマルヘッド部18とダンパ部15との間には、用紙位置検出センサ(図示せず)が設けられている。この用紙位置検出センサは、連続紙Pに形成された位置検出マークや隣り合うラベル間の台紙部分を検出することにより連続紙Pのラベルの位置を検出するセンサであり、例えば、光反射型または光透過型のセンサにより構成されている。
【0043】
印字工程時には、サーマルヘッド部18をプラテンローラ部23側に押し付け、サーマルヘッド部18とプラテンローラ部23との間に連続紙Pを挟み込んだ状態でプラテンローラ部23を回転させることにより連続紙Pを搬送する。そして、用紙位置検出センサにより検出された情報に基づいて印字タイミングを図り、サーマルヘッド部18に送信された印字信号により印字ライン18Lの発熱抵抗体を選択的に発熱させる。これにより、連続紙Pの搬送途中において連続紙Pのラベルに、文字、記号、図形またはバーコード等のような所望の情報を印字する。
【0044】
一方、ダンパ部15のアウターダンパ部15aは、印字部11の側面を見た場合に前方側から後方側に向かって斜め下方に延びており、前方側の回転軸S3(
図5および
図7参照)を中心にして、後方部が上下方向に揺動自在の状態でダンパ支持部材25に支持されている。なお、
図6のコイルバネ26は、アウターダンパ部15aが上方側(後方側)に行きすぎないように抑制するとともに、アウターダンパ部15aを揺動自在の状態で支持する部材である。
【0045】
また、ダンパ部15のインナーダンパ部15bは、印字部11の側面を見た場合に、アウターダンパ部15aとは逆に後方側から前方側に向かって斜め下方に延びており、後方側の回転軸S4(
図5および
図7参照)を中心にして、前方部が上下方向に揺動自在の状態でアウターダンパ部15aの後方部に支持されている。
【0046】
印字工程時において、インナーダンパ部15bの用紙接触部は、アウターダンパ部15aの用紙接触部よりも連続紙Pの搬送下流に位置している。すなわち、インナーダンパ部15bの用紙接触部は、印字ヘッド部13とアウターダンパ部15aの用紙接触部との間に配置されている。
【0047】
また、通紙前段階において、インナーダンパ部15bの用紙接触部の高さは、アウターダンパ部15aの用紙接触部の高さよりも低い位置に配置されている。すなわち、インナーダンパ部15bの用紙接触部の高さは、アウターダンパ部15aの用紙接触部とプリンタ1の内部底面との間に配置されている。
【0048】
また、アウターダンパ部15aの下部には、幅調整ガイド部27が回転軸S3,S4の軸方向に沿って移動自在の状態で設置されている。幅調整ガイド部27は、用紙供給部10から搬送された連続紙Pの幅方向の両端に当接し、連続紙Pの搬送をガイドする構成部である。この幅調整ガイド部27は、アウターダンパ部15aの背面側のガイド操作部28に接続されている。このガイド操作部28は、連続紙Pの幅に合わせて幅調整ガイド部27を移動するとともに、幅調整ガイド部27の位置を固定するための摘みである。
【0049】
このようなダンパ部15のアウターダンパ部15aを支持するダンパ支持部材25は、前方部側の回転軸S5(
図5および
図6参照)を中心にして後方部が上下方向に揺動自在の状態でプリンタ1内に支持されている。
【0050】
また、ダンパ支持部材25は、その後方部が回転軸S5に装着されたトーションバネ30(
図6参照)により回転軸S5(
図5および
図6参照)を中心にして上方に開く方向(ダンパ部15全体が持ち上がる方向)に付勢されている。
【0051】
次に、プラテンローラ部23について
図10〜
図17を参照して説明する。
図10はプラテンローラ部を上方から見た平面図、
図11はプラテンローラ部を支持する支持フレームの要部側面図、
図12は
図10のプラテンローラ部の分解斜視図、
図13は
図10のプラテンローラ部の着脱操作部を正面下方側から見た要部斜視図、
図14は
図10のプラテンローラ部の着脱操作部を背面上方側から見た要部斜視図、
図15はプリンタの印字部を構成する支持台の角部の斜視図、
図16はプラテンローラ部の着脱操作部と用紙ガイド部との上面高さ関係を示した要部側面図、
図17は
図15から着脱操作部を取り外して示した支持台の角部の斜視図である。
【0052】
プラテンローラ部23は、プラテン本体23rと、プラテン軸23sと、軸受けリング(軸受け部)23b,23bと、ギアG1,G5と、着脱操作部(操作部)23pと、カラーリング23cと、Eリング23e,23eとを有している。
【0053】
プラテン本体23rは、例えば、細長い円筒状のゴム等のような弾性材料により形成されている。上記したサーマルヘッド部18の印字面は、プラテンローラ部23のプラテン本体23rに押し付けられる。
【0054】
プラテン軸23sは、例えば、細長い円柱状の金属により形成されており、その長手方向両端部がプラテン本体23rの軸方向両端から突出された状態でプラテン本体23rの筒内に挿入され固定されている。
【0055】
軸受けリング23b,23bは、プラテンローラ部23を回転自在の状態で支持フレーム14aに軸止する部材である。軸受けリング23b,23bは、例えば、円筒状の金属により形成されており、プラテン軸23sの軸方向の両端側の各々に回転自在の状態で装着されている。
【0056】
各軸受けリング23b,23bの軸方向一端面は、
図11に示すように、円形部と、その外周の一部から径方向に突出する矩形部とが合わさった形状に形成されている。一方、各支持フレーム14a,14aには、U字溝14uと溝14bとがプラテン軸23sに沿って順に形成されている。溝14bは、円形溝部と、その外周の一部から径方向に延びる矩形溝とが合わさった形状に形成されている。
【0057】
プラテンローラ部23を支持フレーム14aに装着する場合、各軸受けリング23b,23bを支持フレーム14aのU字溝14uに入れた後、プラテン軸23sの軸方向に沿って溝14bに向かって移動して溝14b内に嵌め込む。これにより、各軸受けリング23b,23bを回転しないように支持フレーム14a,14aに固定する。なお、
図11においては図面を見易くするためEリング23eを省略している。
【0058】
プラテンローラ部23の軸方向一端側(
図12の左側)のプラテン軸23sにおいて、軸受けリング23bの設置位置よりも先端側には、ギアG1,G5が接合されている。この一端側のプラテン軸23sの外周一部には、軸方向に沿ってフラット面FF(
図12参照)が形成されている。ギアG1,G5は、プラテン軸23sのフラット面FFの位置に装着されることによりプラテン軸23sに固定されている。なお、この一端側のプラテン軸23sのギアG5よりも先端側には、Eリング23eが装着されている。これにより、軸受けリング23bおよびギアG1,G5が外れないようになっている。
【0059】
一方、プラテンローラ部23の軸方向他端側(
図12の右側)のプラテン軸23sにおいて、プラテン本体23rと軸受けリング23bとの間には、着脱操作部23pが、その内周にカラーリング23cを介して回転自在の状態で装着されている。なお、この他端側のプラテン軸23sにおいて軸受けリング23bよりも先端側には、Eリング23eが装着されている。これにより、軸受けリング23b、着脱操作部23pおよびカラーリング23cが外れないようになっている。
【0060】
着脱操作部23pは、プラテンローラ部23の着脱を操作する部材である。着脱操作部23pは、例えば、プラスチックにより形成されており、回転軸35と、操作レバー部36と、ストッパ部37とを一体的に備えている。
【0061】
回転軸35は、例えば、円筒形状に形成されている。回転軸35の筒内には、カラーリング23cを介してプラテン軸23sが挿入される。カラーリング23cは、着脱操作部23pを回転自在の状態でプラテン軸23sに軸止するとともに、着脱操作部23pがプラテン本体23r側に移動するのを抑止する部材である。
【0062】
操作レバー部36は、人手により摘む部分であり、回転軸35の外周面から外方(径方向)に向かって延在している。操作レバー部36は、上面部36aと、これに直交する側面部36bとを一体的に備えている。すなわち、操作レバー部36は、その長手方向に交差する断面形状がL字状に形成されている。これにより、操作レバー部36の機械的強度の確保と小型軽量化とを両立することができる。
【0063】
ストッパ部37は、着脱操作部23pの回転動作を抑止するとともに、プラテンローラ部23の軸方向の移動を抑止してプラテンローラ部23を固定する機能を有しており、回転軸35の外周面において操作レバー部36に対して予め決められた角度分だけ周方向に離れた位置に設けられている。操作レバー部36に対するストッパ部37の離間の角度は、0度〜90度の間で、例えば、45度程度である。そして、着脱操作部23pの固定時においてストッパ部37は、プラテン軸23sよりも若干搬送上流側に位置するように設けられている。
【0064】
また、ストッパ部37は、上面部37aと、これに直交する側面部37bと、その側面部37bに設けられた突部37c(
図13および
図14参照)とを備えている。ストッパ部37の上面部37aおよび側面部37bは、プラテンローラ部23の固定時(操作レバー部37を下げている状態)において、支持フレーム14aの肩部14cのそれぞれ上面および側面に当接される。
【0065】
ストッパ部37の突部37cは、プラテンローラ部23の固定時(操作レバー部を下げている状態)において、肩部14cの溝(凹部)14d(
図17参照)内に嵌合される。これにより、着脱操作部23pの回転が抑止される。溝14dは、上記ストッパ部37に合わせて、プラテン軸23sよりも若干搬送上流側に位置するように設けられている。
【0066】
ストッパ部37の上面部37aは、突部37cの上方全体を覆うように幅広に形成しても良いが、突部37cが溝14d内に嵌り込み過ぎないように形成されていれば幅が小さくても良い。また、突部37cは、着脱操作部23pの回転を抑止できる程度に溝14d内に嵌まり込んでいる必要があるので、その様子を目視確認できることが好ましい。これらの観点から、上面部37aは、突部37cの上方全体を覆う幅よりも小さな寸法で形成されているとともに、溝14d内に嵌合時の突部37cの直上から横方向にずれて配置されている。これにより、突部37cが溝14d内に嵌り込んでいるか否かを目視確認することができる。
【0067】
ここでは、回転軸35、操作レバー部36およびストッパ部37が同一材料で一体的に形成されている場合を例示したが、これに限定されるものではなく、回転軸35、操作レバー部36およびストッパ部37は互いに接続されて互いに追従して動作すれば良く、別材料で構成されていても良い。
【0068】
ところで、プリンタ1においては、劣化したプラテンローラ部23を取り外して新品に交換したり、印字部11のメンテナンスのためにプラテンローラ部23を一旦取り外してメンテナンス後に再度付け直したりする場合がある。発明者が検討した技術では、プラテンローラ部23がネジ止めされているので、プラテンローラ部23の着脱時にはネジによる取り付け取り外し作業が必要となる結果、その作業は時間と労力とを要する面倒な作業となっている。これに対して、本実施の形態においては、着脱操作部23pを操作することにより、プラテンローラ部23を着脱することができるので、その着脱作業を容易にすることができる。なお、着脱操作部23pによるプラテンローラ部23の着脱作業については後ほど説明する。
【0069】
また、着脱操作部23pをプラテンローラ部23の軸方向において支持フレーム14aよりも外側に配置するとプリンタ1の小型化を阻害してしまう。これに対して、本実施の形態においては、上記したように着脱操作部23pを軸受けリング23bとプラテン本体23rとの間に配置したことにより、プリンタ1を小型化することができる。
【0070】
また、本実施の形態においては、着脱操作部23pを用紙領域(最も幅広の連続紙Pが搬送される領域)の一部に入り込む位置に配置した。これにより、着脱操作部23pを用紙領域よりも軸方向外側に配置する場合に比べて、プラテンローラ部23の軸方向の寸法を縮小することができるので、プリンタ1を小型化することができる。
【0071】
しかし、着脱操作部23pを単純に用紙領域内に配置すると着脱操作部23pが用紙ガイド部24の上面よりも突き出るので、連続紙Pの正常な流れを阻害してしまう場合がある。そこで、本実施の形態においては、用紙ガイド部24において連続紙Pの搬送面内の一部に着脱操作部23pを収容する凹み部24aを設けた。これにより、着脱操作部23pを用紙領域内に配置したとしても、プラテンローラ部23の固定時(すなわち、印刷時)には着脱操作部23pを凹み部24a内に収容することができるので、着脱操作部23pが連続紙Pの流れを阻害することはない。したがって、連続紙Pを正常に搬送することができるので、良好に印字を行うことができる。
【0072】
また、本実施の形態においては、プラテンローラ部23の固定時において、凹み部24aに収容された着脱操作部23pの操作レバー部36を用紙ガイドとして機能させるようにした。これにより、連続紙Pの正常な流れを確保することができる。
【0073】
操作レバー部36に用紙ガイドとして機能させる場合、操作レバー部36の延在長さをある程度長くする必要があるが、単純に長くすると機械的な強度が保てなくなり、操作レバーとして機能しなくなってしまったり、寿命が短くなってしまったりする。一方、操作レバー部36の機械的強度を確保するために幅広にしたり厚くしたりしたのでは小型軽量化に反する。そこで、本実施の形態においては、上記のように操作レバー部36の長手方向に交差する断面形状をL字状とした。これにより、操作レバー部36の長さを用紙ガイドとして機能する程度に長くしたとしても、操作レバー部36の機械的強度の確保と小型軽量化とを両立することができる。
【0074】
さらに、操作レバー部36の上面部の高さが用紙ガイド部24の上面より高くなると連続紙Pの流れを阻害する一方、操作レバー部36の高さが用紙ガイド部24の上面に対して低すぎても用紙ガイドとして機能せず連続紙Pの流れを阻害してしまう場合がある。そこで、本実施の形態においては、プラテンローラ部23の固定時に着脱操作部23pを凹み部24aに収容した場合に、操作レバー部36の上面の高さが、用紙ガイド部24の上面上に搬送される連続紙Pの移動を阻害しない高さ、例えば、操作レバー部36の上面の高さが、用紙ガイド部24の上面の高さと一致するか、用紙ガイド部24の上面よりも若干低い高さで止まるようにストッパ部37を設けた。すなわち、操作レバー部36を連続紙Pの搬送ガイドとして機能させる高さに意識せずに設定することができる。そして、操作レバー部36が用紙ガイドとして機能するので、連続紙Pの正常な流れを確保することができる。
【0075】
次に、プラテンローラ部23の着脱作業について
図18および
図19を参照しながら説明する。
図18および
図19はプラテンローラ部の着脱作業時の印字部を構成する支持台の角部の斜視図である。
【0076】
図18に示すように、プラテンローラ部23が支持台14に固定されている場合、着脱操作部23pの操作レバー部36は、用紙ガイド部24側に倒れており、凹み部24a内に収容されている。
【0077】
プラテンローラ部23を取り外す場合は、
図19に示すように、着脱操作部23pの操作レバー部36を矢印で示すように手前側に引く。すると、着脱操作部23pの回転軸35がプラテン軸23sを中心にして回転するので、この回転動作に追従してストッパ部37が支持フレーム14aの肩部14cから外れる。これにより、プラテンローラ部23の固定状態が解除されるので、プラテンローラ部23を軸方向に移動して軸受けリング23bを支持フレーム14aの溝14bから外し、プラテンローラ部23を支持フレーム14aから取り外す。
【0078】
一方、プラテンローラ部23を支持フレーム14aに取り付ける場合は、プラテンローラ部23の左右の軸受けリング23bを左右の支持フレーム14aの溝14b内に挿入した後、着脱操作部23pの操作レバー部36を用紙ガイド部24側に倒す。すると、着脱操作部23pの回転軸35がプラテン軸23sを中心にして回転するが、その途中でストッパ部37の上面部37aおよび側面部37bが肩部14cの上面および側面に当接するとともに、ストッパ部37の突部37cが肩部14cの溝14d内に嵌り込むことにより回転が止まる。これにより、操作レバー部36を凹み部24a内に収容するとともに、プラテンローラ部23を支持フレーム14aに取り付ける。
【0079】
このように本実施の形態においては、プラテンローラ部23を着脱する場合、ネジを外す等のような面倒な作業を必要とせず、着脱操作部23pを操作するだけで良いので、プラテンローラ部23を容易に着脱することができる。
【0080】
また、プラテンローラ部23を取り付ける場合、操作者は、操作レバー部36の回転動作が止まる位置まで操作レバー部36を倒せば良く、操作レバー部36の上面高さや回転位置を意識することなく、操作レバー部36を最適な位置に設定することができる。したがって、プラテンローラ部23の取り付け作業をさらに容易にすることができる。
【0081】
また、着脱操作部23pの構成や操作の仕方も簡単なので、着脱操作部23pを設けたからといってプラテンローラ部23の構成が複雑になることもない。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0083】
前記実施の形態においては、印字媒体として複数枚のラベルを台紙に仮着した連続紙を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、一方面に粘着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)、粘着面を有しない連続状のシート(連続シート)あるいは紙類に限らずサーマルヘッドにより印字可能なフィルム等を印字媒体として使用することもできる。台紙無しラベル、連続シートまたはフィルムは位置検出マークを有することができる。また、粘着剤が露出する台紙無しラベルなどを搬送する場合には、搬送路を非粘着コーティングするとともにシリコーンを含有したローラを設けることができる。