特許第6282465号(P6282465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6282465直列的に接続された検知構造を有するカテーテル、並びに較正及び検出の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282465
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】直列的に接続された検知構造を有するカテーテル、並びに較正及び検出の方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/04 20060101AFI20180208BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20180208BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   A61B18/04
   A61B5/05 A
   A61M25/095
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-271834(P2013-271834)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-128676(P2014-128676A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2016年12月6日
(31)【優先権主張番号】13/732,324
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エル・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】イツハク・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・カミン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・スタンレー
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−125571(JP,A)
【文献】 特表2003−524443(JP,A)
【文献】 特表2000−506409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが位置データ磁場を発生させる複数の外部磁場発生器を有するカテーテル挿入システムで使用するためのカテーテルであって、
可撓性管と、
患者の組織との係合のために適合される、遠位部と、を備え、前記遠位部が、
近位部分、遠位部分、及び前記近位部分と前記遠位部分との間のフレキシブルジョイントと、
前記近位部分及び遠位部分のうちの一方に位置付けられた、内部磁場発生器であって、圧力データ磁場を発生させる、内部磁場発生器と、
前記近位部分及び遠位部分のうちの他方に位置付けられた、複数の圧力検知コイル及び複数の位置検知コイルであって、複数の前記圧力検知コイルが、前記圧力データ磁場を検知し、組織と係合されたときに前記遠位部に加えられる圧力に関するデータを表す信号を発生させるように適合され、複数の前記位置検知コイルが、前記位置データ磁場のそれぞれを検知し、前記遠位部の位置に関するデータを表す信号を発生させるように適合される、複数の前記圧力検知コイル及び複数の前記位置検知コイルと、
少なくとも一対の前記圧力検知コイル及び前記位置検知コイルを直列的接続する、第1のリード線と、
信号処理のために前記少なくとも一対の前記圧力検知コイル及び前記位置検知コイルからの前記信号を伝送する、第2のリード線と、を有する、カテーテル。
【請求項2】
前記フレキシブルジョイントが、前記遠位部の前記近位部分と遠位部分との間の軸方向変位及び角偏向を可能にするように適合される、弾力性部材を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第2のリード線が、前記少なくとも一対の前記圧力検知コイル及び前記位置検知コイルからの前記信号を信号プロセッサに伝送する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
複数の前記圧力検知コイルが3つ以下である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
複数の前記位置検知コイルが3つ以下である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記圧力検知コイルが円筒形である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記位置検知コイルが楕円形である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記圧力検知コイルが前記カテーテルの縦軸と同軸のZ軸と整列され、前記位置検知コイルのそれぞれが互い及び前記圧力検知コイルに直交する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記内部磁場発生器が、前記カテーテルの縦軸と軸方向に整列される、伝送コイルである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記圧力検知コイルが前記内部磁場発生器と前記Z軸に沿って整列される、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項11】
それぞれが位置データ磁場を発生させる少なくとも3つの外部磁場発生器を有するカテーテル挿入システムで使用するためのカテーテルであって、
可撓性管と、
組織との係合のために適合される、遠位部と、を備え、前記遠位部が、
近位部分、遠位部分、及び前記近位部分と前記遠位部分との間のフレキシブルジョイントと、
前記遠位部分に位置付けられた、内部磁場発生器であって、圧力データ磁場を発生させる、内部磁場発生器と、
前記近位部分に位置付けられた、少なくとも1つの圧力検知コイルであって、それぞれが、前記圧力データ磁場を検知し、組織と係合されたときに前記遠位部に加えられる圧力に関するデータを表す信号を発生させるように構成される、少なくとも1つの圧力検知コイルと、
前記近位部分に位置付けられた、少なくとも2つの位置検知コイルであって、それぞれが、各位置データ磁場を検知し、前記遠位部の位置に関するデータを表す信号を発生させるように構成される、少なくとも2つの位置検知コイルと、
一対の前記圧力検知コイル及び前記位置検知コイルを直列的に接続する、第1のリード線と、
前記一対の前記圧力検知コイル及び前記位置検知コイルからの前記信号を伝送する、第2のリード線と、を有する、カテーテル。
【請求項12】
前記フレキシブルジョイントが、前記遠位部の前記近位部分と遠位部分との間の軸方向変位及び角偏向を可能にするように適合される、弾力性部材を含む、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記第2のリード線が、前記一対の前記圧力検知コイル及び前記位置検知コイルからの前記信号を信号プロセッサに伝送する、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項14】
各磁場が、周波数、相、及び時間からなる群のうちの1つ又は2つ以上によって識別可能である、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記少なくとも1つの圧力検知コイルが円筒形である、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項16】
記位置検知コイルが楕円形である、請求項11に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、具体的には、位置/配向及び圧力検知能力を有するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の診断と治療技術では、カテーテルを心腔内に挿入し、心臓内壁に接触させる。例えば、心内高周波(RF)焼灼法では、その遠位先端に電極を有するカテーテルが、患者の血管系を通して心臓の内腔に挿入される。電極は、心内膜上の部位(又は複数部位)と接触させられ、心腔内の電気活動は、電極によって検出される。更に、RFエネルギーは、その部位において心臓組織を焼灼するために、カテーテルを通して電極に印加されてもよい。
【0003】
マッピング及び/又は焼灼のためのカテーテルは典型的に、カテーテルの遠位部分の位置座標を決定するために使用される信号を発生させるための、1つ以上の磁気位置センサを担持する。この目的のため、磁場発生器は、患者の付近で磁場を発生させるように駆動させられる。典型的には、この磁場発生器は、患者胴体の下方の、患者の外部の既知の位置に設置されるコイルを含む。これらのコイルは、カテーテル中に担持される磁気位置センサ(複数を含む)によって検知される磁場を発生させる。センサ(複数を含む)は、カテーテルを通って延在するリード線を介して、信号プロセッサに転送される電気信号を発生させる。
【0004】
所望の診断機能及びカテーテルの治療的効果を得るために、電極と心内膜との間の適切な接触が必要である。しかしながら、過剰な圧力は、望まれない心臓組織の損傷、更には心臓壁の穿孔を引き起こす可能性がある。圧力検知のために、カテーテルは典型的に、柔軟に接合された遠位先端部の反対側の部分で、小型の伝送コイル及び3つの検知コイルを担持する。伝送コイルは、カテーテルの縦軸と整列され、3つの検知コイルもまた、縦軸と整列されるが、伝送コイルから等しい距離で、かつカテーテルの縦軸の周囲の等間隔の半径方向の位置で位置付けられる。小型の伝送コイルは、3つの検知コイルによって検知される磁場を発生させ、検知コイルは、遠位先端部の反対側の部分の間の軸方向変位及び角偏向を表す信号を発生させる。
【0005】
検知コイルの軸は、カテーテル軸に(したがって、ジョイントが偏向していないとき、互いに)平行である。その結果として、検知コイルは、小型の磁場発生器によって発生される磁場に応答して、強い信号を出力するように構成される。信号は、コイルの距離によって大きく変わる。小型の磁場発生器を担持する遠位部分の角偏向は、偏向の方向及び大きさに応じて、検知コイルによる信号出力の示差変化を引き起こし、それは、これらのコイルのうちの1つ又は2つが、磁場発生器に比較的近く移動するためである。遠位部分の圧縮変位は、3つの検知コイルの全てからの信号の増加を引き起こす。遠位部分に対する圧力とジョイントの動きとの間の関係の事前較正は、コイル信号の圧力換算においてプロセッサによって使用されてもよい。変位及び偏向の組み合わされた検知のおかげで、電極が心内膜と真正面から係合しているか、又は所定の角度で係合しているかに関わらず、このセンサは圧力を正確に読み取る。
【0006】
位置検知及び圧力検知では、従来のカテーテルは、6つのリード線を担持してもよく、1つは、3つの位置検知コイル及び3つの圧力検知コイルのそれぞれに対し、各リード線は、ワイヤのツイストペアである。リード線は、製造及び取付に時間がかかり、かつ高価である。更に、リード線は、空間的に拘束されたカテーテル先端の空間を占領し、破損しやすい。カテーテルで使用されるリード線の数及び/又はそれらの長さの減少は、カテーテル生産時間の減少、カテーテル全収率の増加、及び生産コストの低減を含む、多くの利点を提供し得る。
【0007】
いくつかのカテーテル挿入手技は、第1のカテーテルにごく近接した第2のカテーテルの使用を必要とする。シャフト近接干渉(「SPI」)は、第2のカテーテルの金属構成要素が第1のカテーテル中の検知コイルを阻害するときに生じる。例えば、圧力検知コイルが、組織接触による遠位先端の物理的歪みの代わりに、隣接したカテーテルによる誤った磁気干渉による磁場の変化に反応する場合、コイルからの信号は、それらの信号を処理するカテーテル挿入システムに依存する操作者の判断を誤らせ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
結果的に、センサコイルリード線の数及び/又はそれらの長さを減少させるために、組み合わされた又は簡易化された位置及び圧力検知能力を有するカテーテルを提供することが望ましい。また、組織接触による遠位先端の物理的歪み以外の要因によって引き起こされる磁場の歪みを認識することが可能なカテーテルを提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、組織と係合されたとき、検知量の磁場内のカテーテルの位置を決定するために位置データを、及びカテーテルの遠位端に加えられる圧力を決定するために圧力データを生成するための、外部及び内部磁場発生器に応答する、カテーテルに関し、リード線破損及び故障を最小限に抑えるために、検知コイルリード線の数が低減される。
【0010】
一実施形態では、カテーテルは、患者の組織との係合のために適合される遠位部を含み、遠位部は、近位部分と、遠位部分と、フレキシブルジョイントとを有する。近位部分又は遠位部分のいずれかは、内部磁場発生器を担持し、近位部分又は遠位部分のもう一方は、複数の第1の検知コイル及び複数の第2の検知コイルを担持し、第1の検知コイルのそれぞれは、磁場発生器と軸方向に整列され、遠位部に加えられる圧力を表す信号を発生させるために内部磁場発生器に反応し、第2の検知コイルのそれぞれは、互いに双方に直交し、遠位部の位置を表す信号を発生させるために複数の外部磁場発生器に反応し、少なくとも1つの第1の検知コイル及び1つの第2の検知コイルは、リード線によって互いに接続される。
【0011】
一実施形態では、3つの第1の検知コイル及び2つの第2の検知コイルがある。
【0012】
一実施形態では、第1の検知コイルは、遠位部に加えられる圧力を表す信号を発生させるように適合され、第2の検知コイルは、遠位部の位置を表す信号を発生させるように適合される。
【0013】
一実施形態では、第1の検知コイルはまた、遠位部の位置を表す信号を発生させるために、外部磁場発生器のそれぞれに反応する。
【0014】
一実施形態では、1つのリード線によって接続される、第1の対の第1及び第2の検知コイル、並びに第2のリード線によって接続される、第2の対の第1及び第2の検知コイルがある。
【0015】
一実施形態では、フレキシブルジョイントは、遠位部の近位及び遠位部分の間の軸方向変位及び角偏向を可能にするように適合される、弾力性部材を含む。
【0016】
一実施形態では、各磁場は、周波数、相、及び/又は時間によって識別可能である。
【0017】
本発明はまた、位置及び圧力検知のためにカテーテルを較正する方法と、1つのカテーテルの別のカテーテル又は他の金属若しくは第一鉄物体による磁場干渉を検出する方法とに関する。本発明は有利に、「バックアップ」又は「エラーチェック」としてセンサSx及びSyからの信号を使用する。圧力較正は、製造及び生産中にカテーテルに実施される。遠位部の変形特性を識別し、種々の選択された角度で、遠位部分に既知の大きさの力(例えば、圧縮荷重、軸荷重等)を印加し、軸方向変位及び角偏向を測定することによって、内部磁場発生器MFによって発生される磁場に応答して圧力センサによって発生されてもよい信号の較正ファイルは、第1のファイルとして集計され、メモリに記憶される。同時に、内部磁場発生器MFによって発生される磁場に応答して位置センサによって発生されてもよい信号の較正ファイルは、第2のファイルとして集計され、メモリに記憶される。カテーテルが患者の体内で使用される間、内部磁場発生器MFに応答した圧力センサからの信号は、カテーテル圧力データを操作者に出力するための軸方向変位及び角偏向データを得るために、メモリに記憶される第1のファイルに対して参照される。有利に、内部磁場発生器MFに応答した信号を含む位置からの信号は、不一致を検出及び識別するために、第2のファイルに対して参照される。不一致が決定された場合、不一致の指標をユーザに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より十分に理解されるであろう。
図1】本発明の一実施形態による、カテーテルに基づいた医学システムの概略描写図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1のシステムで使用するためのカテーテルの側面図である。
図3図2のカテーテルの遠位部の詳細を示す概略切り取り図である。
図4】心内膜組織と接触している図3の遠位部を示す概略詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、心臓カテーテル法のためのシステム及びカテーテルに関し、カテーテルは、それが組織に係合するとき、カテーテルの位置及びカテーテの遠位部に加えられる圧力の両方を表す信号を提供する、検知アセンブリを有する。従来の位置検知アセンブリ及び圧力検知アセンブリと比較して、カテーテルの検知アセンブリは有利に、リード線の損傷及び破損のリスクを最小限に抑える簡易化カテーテル構造に対して、リード線の数及び/又はそれらの長さを低減するように、直列的に配線された検知構造を有して構成される。
【0020】
図1は、当該技術分野において既知のような心臓カテーテル法のための従来のシステム20の概略描写図である。システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)製造のCARTO(商標)システムに基づいてもよい。このシステムは、カテーテル28の形態の侵襲性プローブ及び制御コンソール34を含む。以降で説明する実施形態では、カテーテル28は、当該技術分野において既知であるように、心内膜組織をアブレーションする際に使用されると仮定される。もう1つの方法として、このカテーテルは、変更すべきところを変更して、心臓又は体内の他の臓器の治療的及び/又は診断的目的で使用することができる。図2に示されるように、カテーテル28は、細長いカテーテル本体11と、偏向可能な中間部分12と、その遠位先端30に少なくとも先端電極15を担持する遠位部13と、制御ハンドル16とを備える。
【0021】
心臓専門医等の操作者26は、カテーテルの遠位部13が患者の心臓22の内腔に入るように、患者24の血管系を通してカテーテル28を挿入する。操作者は、カテーテルの遠位先端30が所望の位置又は複数位置にて心内膜組織70と係合するようにカテーテルを前進させる。カテーテル28は、その近位端の好適なコネクタによって、コンソール34に接続される。コンソールは、高周波(RF)発生器を備えてもよく、それは、遠位部13によって係合される位置において、カテーテルを介して心臓内の組織を焼灼するための高周波電気エネルギーを供給する。もう1つの方法として、又は付加的に、カテーテル及びシステムは、当技術分野で周知の、他の治療的、及び診断的操作を実行するように構成されることができる。
【0022】
コンソール34は、(i)心内膜組織70との接触からの圧力による、遠位部13の軸方向変位及び角偏向、及び(ii)心臓内の遠位部13の位置座標を含む、圧力及び位置データを決定するための磁気検知を使用する。カテーテル28の遠位部13の軸方向変位及び角偏向を含む、圧力データを生成する目的で、コンソール34中の駆動回路38は、図3に示されるように、先端部13の遠位部分13Dに内蔵される小型の磁場発生器MFを駆動する。開示された実施形態では、磁場発生器MFは、軸がカテーテルの縦軸25と同軸のZ軸と整列される、コイルを備える。
【0023】
圧力を検出および測定するために、遠位部13は、所望の可撓性及び強度を有する任意の好適な材料(複数を含む)から構成されてもよい可撓性及び弾性ジョイント54によって互いに接続される、近位部分13Pと遠位部分13Dとを有する。弾力性ジョイント54は、遠位部13に加えられる力に応答して、部分13Pと13Dとの間の限られた範囲の相対的な動きを可能にする。焼灼手技中に遠位先端30が心内膜に対して押し付けられるとき、このような力が引き起こされる。図4に示されるように、カテーテル28の遠位端30は、本発明の一実施形態によると、心臓22の心内膜70と接触している。遠位先端30によって心内膜に対して加えられる圧力は、心内膜組織をわずかに変形させ、それによって先端電極15が比較的広い領域にわたって組織と接触する。電極が真正面よりもむしろ所定の角度で心内膜に係合するため、遠位部分13Dは、近位部分13Pに対してジョイント54で屈曲する。この屈曲は、電極15と心内膜組織70との間の最適な接触を容易にする。
【0024】
図3に示されるように、ジョイント54は、Celcon.RTM.、Teflon.RTM.等の可撓性、絶縁材料、又は耐熱ポリウレタンから構成される、遠位部13の外側管55であってもよい、外側管56を備える。又は、管56は、ジョイントのスムーズな屈曲及び圧縮を可能にするように特に適合される材料であってもよい。(この材料は、カテーテルの内部構造を見せるために、図3に切り取られて示される。)遠位部13Dは典型的に、カテーテルの残りの部分と比較して比較的剛性である。
【0025】
ジョイント54は更に、コイルバネ等の弾力性連結用部材60、又はその長さの一部に沿った螺旋形の切込みを有する弾性材料の管状部品を備える。例えば、連結部材は、シリコーン、ポリウレタン、若しくは他のプラスチック等のポリマー、又はニッケルチタン(ニチノール)等の超弾性合金を含んでもよい。螺旋形の切込みは、遠位部分13Dに加えられる力に応答して、管状部品をバネのように挙動させる。この種の連結部材の製造及び特性に関する更なる詳細は、2008年6月6日出願の米国特許出願第12/134,592号に示され、それは、本特許出願の出願人に譲渡され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、連結用部材は、所望の可撓性及び強度特性を有する任意の他の好適な種類の弾力性構成要素を備えてもよい。
【0026】
連結用部材60の剛性は、遠位部分13Dに加えられる力に応答して近位部分13Pと13Dとの間の相対的な動きの範囲を決定する。マッピング及び/又は焼灼手技中に遠位先端30が心内膜に対して押し付けられるとき、このような力が引き起こされる。焼灼中の遠位部分13Dと心内膜との間の良好な電気的接触のための所望される圧力は、約20〜30グラムである。連結用部材60は、軸方向変位(すなわち、カテーテル28の縦軸25に沿った外側の動き)、及び遠位先端30への圧力に比例した遠位部分13Dの角偏向を可能にするように構成される。変位及び偏向の測定は、圧力の指標を与え、ひいては焼灼中に正確な圧力が印加されることを確実にするのに役立つ。
【0027】
電磁場又は磁場は、近位部分13Pに内蔵される第1のセンサ17アセンブリによる検知及び検出のために、遠位部分13Dに内蔵される内部磁場発生器MFによって伝送される。例示の実施形態では、第1のセンサアセンブリ17は、遠位部13の近位部分13に位置するセンサコイルS1、S2、及びS3を含む。これらのコイルのそれぞれは、Z軸又は縦軸25と概して平行である。3つのコイルは全て、縦軸25又はZ軸の周囲の異なる方位角で第1の軸部に位置し、軸面は、カテーテル縦軸又はZ軸に垂直な平面として本明細書に定義され、軸部は、カテーテルの2つの軸面内に含有されるものとして本明細書に定義される。これら3つのコイルは、軸から同一の半径方向距離だけ離れて、方位角的に120度の間隔をあけて配置されてもよい。
【0028】
近位部分13Pに対する遠位部分13Dの軸方向変位及び/又は角偏向は、偏向の方向及び大きさに応じて、コイルS1、S2、及びS3による信号出力の示差変化を引き起こし、それは、これらのコイルのうちの1つ又は2つが、磁場発生器MFに比較的近く移動するためである。遠位部分13Dの圧縮変位は、コイルS1、S2、及びS3のそれぞれからの信号の増加を引き起こす。発生器MFによる磁場の検知の変化は、かかる軸方向変位及び/又は角偏向を示す大きさで、コイルS1、S2、及びS3に電気信号を発生させる。信号プロセッサ36は、心内膜70に対して遠位部13によって加えられる圧力の指標を得るために、コイルS1、S2、及びS3によって発生される信号を受信及び処理する。
【0029】
位置データ又は座標を生成する目的で、コンソール34中の駆動回路38は、患者24の身体付近で磁場を発生させ、外部基準系を定義するために、外部磁場発生器、例えば、F1、F2、及びF3を駆動する。発生器F1、F2、及びF3は、患者胴体の下方の、患者の外部の既知の位置に設置されるコイルからなる。これらコイルは、心臓22を含む所定の可動範囲で患者の体内に磁場を発生させる。
【0030】
第2のセンサアセンブリ18は、磁場発生器F1、F2、及びF3に応答し、電気信号を発生させるために、第1のセンサアセンブリ17の近位で、近位部分13Pに内蔵される。例示の実施形態では、センサアセンブリ18は、エアコイルに巻きつけられた少なくとも2つの小型のセンサコイルSx及びSyを含む。コイルは、互いに、及び第1のセンサアセンブリ17の少なくとも1つのコイル、例えば、コイルS1と、概して双方に直交する軸を有する。結果的に、コイルSxはX軸と整列され、コイルSyはY軸と整列され、両方のコイルは、(X,Y,Z)座標系内のZ軸と整列されるコイルS1に直交する。
【0031】
2つのコイルSx及びSyは、縦軸25又はZ軸の周囲の異なる方位角で第2の軸部(例えば、第1のセンサアセンブリ17の第1の軸部の近位)に位置し、軸面は、カテーテル縦軸又はZ軸に垂直な平面として本明細書に定義され、軸面は、カテーテルの2つの軸面内に含有されるものとして本明細書に定義される。2つのコイルは、軸から同一の半径方向距離だけ離れて、互いに、かつ第1のセンサアセンブリ17のセンサコイルS1に対して、方位角的に120度の間隔をあけて配置されてもよい。
【0032】
電磁場又は磁場は、カテーテルの位置を検出するために、外部磁場発生器F1、F2、F3によって発生され、センサコイルS1、Sx、及びSyによって検知される。磁場発生器F1、F2、及びF3によって作られる磁場は、コイルS1、Sx、及びSyに、磁場発生器F1、F2、及びF3の固定基準系に対して遠位部13の位置を示す大きさで、電気信号を発生させる。一実施形態では、3つの磁場発生器F1、F2、及びF3は、3つの異なって配向された磁場構成要素からなる、磁場を発生させる。これらの磁場構成要素のそれぞれは、各センサコイルS1、Sx、及びSyによって検知され、そのそれぞれは、3つの構成要素からなる信号を生成する。
【0033】
図1に示されるように、コンソール34の信号プロセッサ36は、典型的に位置及び配向の座標の両方を含む、遠位部13の位置座標を決定するために、コイルS1、Sx、及びSyからの信号を処理する。同様の位置検知法は、上記のCARTOシステムで実行されており、その詳細は、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT特許公開第WO 96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455 A1号、同第2003/0120150 A1号、及び同第2004/0068178 A1号に記載されており、その開示の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
第1のセンサアセンブリ17及び第2のセンサアセンブリ18のセンサからの信号は、リード線を介して信号プロセッサ36に伝送される。本発明の特徴によると、第1のセンサアセンブリ17及び第2のセンサアセンブリ18からの選択されたセンサは、直列的に接続され、それらの信号を信号プロセッサに伝送するために、共通のリード線を共有する。図3の例示の実施形態では、リード線63、64A、及び65Aは、センサS1、S2、及びS3からそれぞれ延在する。リード線63は、センサS1から信号プロセッサ36に延在する。リード線64Aは、センサS2からセンサSxに延在し、これらのセンサを直列的に接続する。リード線65Aは、センサS3からセンサSyに延在し、これらのセンサを直列的に接続する。
【0035】
上記のように、センサS1、S2、及びS3のそれぞれは、内部磁場発生器MFによって発生される磁場の検知から得られる、遠位部13の圧力(軸方向変位及び角偏向を含む)を表す信号を発生させる。また、上記のように、センサS1、Sx、及びSyのそれぞれは、外部磁場発生器F1、F2、及びF3によって発生される各磁場の検知から得られる、遠位部の位置を表す信号を発生させる。
【0036】
結果的に、リード線63は、圧力を表す、センサS1によって発生される信号を、信号プロセッサ36に伝送する。リード線64Bは、圧力を表す、センサS2によって発生される信号、及び位置を表す、センサSxによって発生される信号の両方を、信号プロセッサ36に伝送する。リード線65Bは、圧力を表す、センサS3によって発生される信号、及び位置を表す、センサSyによって発生される信号の両方を、信号プロセッサ36に伝送する。当業者によって理解されるように、リード線64B及び65Bによって伝送される、得られた複合信号は、電子フィルタリングによって分離され得る共通の合計を作成し、位置及び力検知の動作周波数は、好適に周波数空間で分離される。
【0037】
したがって、信号プロセッサ36は、5つ又は6つの位置及び圧力センサを有する従来のカテーテルの典型的な5つ又は6つのリード線と比較して、位置及び圧力検知のための5つのセンサからの信号を受信するために、有利に3つのリード線、即ち、63、64B、及び65Bのみに接続される。更に、対になったセンサを直列的に接続するリード線64A及び65Aは、長さが有意に短い。
【0038】
各リード線は、製造及びカテーテルにおける組立に時間がかかり、かつ高価である。更に、リード線は、空間的に拘束されたカテーテルの空間を占領する。リード線はまた、破損しやすい。信号を信号プロセッサに伝送するリード線の数又は長さを低減することによって、カテーテル生産時間の減少、カテーテル全収率の増加、及び生産コストの低減を含む、多くの利点を提供する。
【0039】
直列的配線又は接続のための異なるセンサのペアリングが、本発明によって提供されることが理解される。代替の実施形態では、例えば、センサS1及びSx、並びにセンサS2及びSyが直列的に接続されてもよく、又はセンサS3及びSx、並びにセンサS1及びSyが直列的に接続されてもよい。センサS1、S2、S3、Sx、及びSyに対して、6つの考えられるペアリングの順列があり、その中で、遠位部13において1つの直列的に接続された対、又は2つの直列的に接続された対が存在し得る。
【0040】
遠位部分13Dにおける発生器MFのコイルが、半径方向に対称であるため、カテーテルの縦軸25との軸上整列によく適している。しかしながら、コイルが所望又は必要に応じて軸外であってもよいことが理解され、軸外のコイルの傾斜がある特定のコイル(複数を含む)を改善し、双方に直交するセンサの他のコイル(複数を含む)を悪化させることが更に理解される。
【0041】
また、第1及び第2のセンサアセンブリ17及び18のコイルが、それらが整列及び/又は双方直交の遠位部13内のパッケージング制約に適合するという条件で、任意の好適な寸法及び形状であってもよいことが理解される。従来の圧力センサは、遠位部内の発生器MFとのZ軸整列のため、円筒形、つまり、より長くかつより狭い傾向があり、一方で、従来のX及びY位置センサは、Z位置センサとの双方直交、及び遠位部のパッケージング制約との整合性を維持するために、より楕円形である傾向がある。本発明の開示された実施形態では、センサS1、S2、及びS3は、より従来の圧力センサのように構成され、したがって、比較的より長くかつより狭い一方で、センサSx及びSyは、より従来の位置センサのように構成され、したがって、より楕円形である。位置センサ及び圧力センサは、米国特許第6,690,963号及び米国公開第20090138007号に記載され、それらの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。例示の実施形態では、センサコイルS1、S2、及びS3は、位置センサとして構成され、センサコイルSx及びSyは、圧力センサとして構成される。
【0042】
各磁場発生器F1、F2、F3、及びMFによって発生される磁場は、周波数、相、及び/又は時間を含む異なるパラメータに関して識別可能であり、これらの識別可能な磁場から得られる磁場束を測定することから、各センサコイルS1、S2、S3、Sx、及びSyによって発生される信号も同様に識別可能である。周波数、相、及び/又は時間多重化は、必要または所望に応じて適用される。例えば、電流−圧力感知磁場発生器MFは、約16kHz〜25kHzの間の範囲の選択された周波数で発生されてもよく、一方で、位置磁場発生器F1、F2、及びF3は、異なる周波数で駆動される。
【0043】
信号プロセッサ36は、(i)典型的に位置及び配向の座標の両方を含む、遠位部13の位置座標、並びに(ii)遠位部13の軸方向変位及び角偏向を含む、データを決定するために、これらの信号を処理する。信号プロセッサ36は、カテーテル28から信号を受信し、コンソール34の他のコンポーネントを制御するための好適なフロントエンド回路及びインターフェイス回路を有する、汎用コンピュータを備えてもよい。このプロセッサは、本明細書で説明される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムすることができる。このソフトウェアは、例えばネットワークを通じて電子的形態でコンソール34にダウンロードされることができる。若しくは、ソフトウェアは、光学的、磁気的、又は電子的記録媒体などの実体のある媒体により提供されることができる。もう1つの方法として、プロセッサ36の機能の一部分又は全部が、専用又はプログラム可能なデジタル・ハードウエアの構成要素により実行されることもできる。カテーテル及びシステム20の他のコンポーネントから受信した信号に基づき、プロセッサ36は、患者の体内での遠位端30の位置、並びにカテーテルの遠位末端の軸方向変位及び角偏向に関する視覚的フィードバック、並びに進行中の手技に関する状況情報及びガイダンスを操作者26に与えるために、ディスプレイ42を駆動する。
【0044】
プロセッサ36は、カテーテル28を通って延在するリード線63、64B、及び65Bを介して、これらの信号を受信し、この固定基準系で遠位部13の位置及び配向の座標を得るために、かつ遠位部の軸方向変位及び角偏向を含む、圧力情報を得るために、信号を処理する。コイルS1、S2、S3、Sx、及びSyの配置、並びに遠位部13の遠位部分13Dに加えられる圧力は、コイルによって検出されるように、強度及び方向等の磁場の特徴から計算され得る。したがって、磁場発生器F1、F2、F3、及びMF、並びに検知コイルS1、S2、S3、Sx、及びSyは協働して複数のトランスミッタ−レシーバの対を画定し、各そのような対は、対の要素として1つの磁場発生器及び1つのコイルを含み、各コイルは、他のコイルとは異なる位置又は配向で配置される。種々の対の要素間の磁場伝送の特性を検出することによって、システムは、磁場発生器F1、F2、及びF3によって画定される外部基準系における遠位部13の配置に関する情報、並びに磁場発生器MFによって発生される磁場内で検知される遠位部MFに加えられる圧力に関する情報を推測するために、直列的に接続されたセンサから位置及び圧力データの逆畳み込みを行う。位置情報は、遠位部13の位置、遠位部13の配向、又は両方を含むことができる。当業者には理解されるように、位置情報の計算は、互いに対して既知の位置及び配向で位置付けられている磁場発生器F1、F2、及びF3に依存し、軸方向変位及び角偏向に基づく圧力の計算は、互いに対して既知の位置及び配向で位置付けられている磁場発生器MF及び検知コイルS1、S1、及びS3に依存する。
【0045】
磁場発生コイルF1、F2、F3、及びMFは、本発明の実施形態で使用され得る一種の磁気変換器である。本発明の出願明細書及び請求項の文脈中で「磁気変換器」は、加えられた電流に対応して磁場を発生させる機器、及び/又は、加えられた磁場に対応して電気信号を出力する機器の意味で使用される。本願の実施形態では、コイルを磁気変換器として記述しているが、代わりの実施形態では、当業者にとっては自明であるように、他の種類の磁気変換器を用いることができる。
【0046】
図示及び上述された構成に加えて、検知アセンブリにおいて、様々な他のコイル構成もまた使用され得る。例えば、磁場発生器MF並びにコイルS1、S2、及びS3の位置は、磁場発生器コイルMFがジョイント54の近位で近位部分13にあり、センサコイルが遠位部分13Dにあるように、逆であってもよい。別の代替法として、コイルS1、S2、及びS3は、磁場発生器コイルMFがセンサとして機能する一方で、地場発生器として駆動させられてもよい(磁場を区別するために時分割多重化及び/又は周波数分割多重化を用いて)。図3の伝送及び検知コイルの大きさ及び形状はほんの一例として示され、ジョイントの偏向の示差測定を可能にするために、アセンブリのうちの1つが異なる半径方向位置に少なくとも2つのコイルを備える限り、種々の異なる位置で、より多数の又はより少数のコイルが同様に使用されてもよい。
【0047】
本発明の別の特徴によると、コイルSx及びSyが小型の磁場発生器MFの軸に直交し、小型の磁場発生器MFの軸と整列されない一方で、その磁気双極子の磁力線は、直交するコイルSx及びSyによる検出を可能にする。コイルSx及びSyが、磁場発生器MFに対するそれらの個々の配向により、コイルS1、S2、及びS3と比較して、磁場発生器MFによる比較的弱い磁場を検知し得る一方で、シャフト近接干渉の検知、つまり、コイルS1、S2、及びS3によって検知されるような磁場発生器MFの磁場の変化が組織との係合から得られる遠位部13の物理的歪みによるものか、又は隣接するカテーテル又は金属若しくは第一鉄物体からの磁気干渉にすぎないのかどうかの検出の目的で、十分な感度がある。
【0048】
本発明は有利に、「バックアップ」又は「エラーチェック」として、センサSx及びSyからの信号を使用する。カテーテル28の製造及び組立中、任意の隣接するカテーテル又は金属物体からの妨害なく、内部磁場発生器MFに応答して発生されるセンサSx及びSyの信号は、較正され、コンソール34中のメモリに記憶される。これらの信号は、内部磁場発生器MFに応答してセンサS1、S2、及びS3によって発生されるものよりも弱いが、Sx及びSyによるこれらの信号は、独特の性質又は特徴を担持する。したがって、カテーテル28が、圧力を決定するために検知コイルS1、S2、及びS3によって検知される磁場を発生する内部磁場発生器MFと共に使用されているとき、外部磁場発生器F1、F2、及びF3の磁場を検知する第2のセンサアセンブリ18の検知コイルSx及びSyもまた、内部磁場発生器MFによる磁場を検知している。信号プロセッサ36は、センサSx及びSyからの信号を受信し、内部磁場発生器MFの磁場から得られるそれらの信号を識別し(外部磁場発生器F1、F2、及びF3の磁場から得られるものと対比して)、それらをメモリに記憶される較正された信号と比較する。信号プロセッサ36がそれらの信号と較正された信号との間で不一致を検出した場合、コンソール34は、不一致の指標を操作者に出力し、視覚的及び/又は音声的警告を発してもよい。
【0049】
一実施形態では、圧力較正は、製造及び生産中に遠位部13に実施される。弾力性連結用部材60の変形特性を識別し、種々の選択された角度で、遠位部分13Dに既知の大きさの力(例えば、圧縮荷重、軸荷重等)を印加し、軸方向変位及び角偏向を測定することによって、内部磁場発生器MFによって発生される磁場に応答してセンサS1、S2、及びS3によって発生されてもよい信号の較正ファイルは、第1のファイルとして集計され、メモリに記憶される。同時に、内部磁場発生器MFによって発生される磁場に応答してセンサSx及びSyによって発生されてもよい信号の較正ファイルは、第2のファイルとして集計され、メモリに記憶される。
【0050】
カテーテルが患者の体内で使用されると、信号プロセッサ36は、内部磁場発生器MFに応答したセンサS1、S2、及びS3からの信号を受信し、カテーテル圧力データを操作者に出力するための軸方向変位及び角偏向データを得るために、メモリに記憶された第1のファイルに対してそれらの信号を参照する。有利に、信号プロセッサ36はまた、内部磁場発生器MFに応答した信号を含む、センサSx及びSyからの信号を受信し、不一致の検出及び識別のために、第2のファイルに対してそれらの信号を参照している。
【0051】
結果的に、本発明は、第2のカテーテル又は他の金属若しくは第一鉄物体の存在によって引き起こされる、磁場検知への干渉を検出するために、カテーテルを較正する方法を含み:
1)第1のセンサ及び第2のセンサをカテーテルに提供する工程であって、第1及び第2のセンサの両方が、磁場発生器によって発生される磁場に応答するように適合すること。
2)第1及び第2のセンサが較正信号を発生させることを可能にするように、磁場発生器を駆動すること。
3)カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加すること。
4)第1の較正ファイルを作成するために、第1のセンサからの較正信号を較正し、第2の較正ファイルを作成するために、第2のセンサからの較正信号を較正することであって、それは:
a.カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加すること。
b.カテーテルに印加される力に応答して、第1のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶すること。
c.カテーテルに印加される力に応答して、第2のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶すること、を含む。
【0052】
本発明はまた、第2のカテーテル又は他の金属若しくは第一鉄物体の存在によって引き起こされる、第1のカテーテルにおける磁場検知への干渉を検出する方法を含み:
1)第1のセンサ及び第2のセンサをカテーテルに提供する工程であって、第1及び第2のセンサの両方が、磁場発生器によって発生される磁場に応答するように適合されること。
2)第1及び第2のセンサが較正信号を発生させることを可能にするように、磁場発生器を駆動すること。
3)カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加すること。
4)第1の較正ファイルを作成するために、第1のセンサからの較正信号を較正し、第2の較正ファイルを作成するために、第2のセンサからの較正信号を較正することであって、それは:
a.カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加すること。
b.カテーテルに印加される力に応答して、第1のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶すること。
c.カテーテルに印加される力に応答して、第2のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶すること、を含む。
5)カテーテルが使用されているとき、第1及び第2のセンサがデータ信号を発生させることを可能にするように、磁場発生器を駆動すること。
6)第2のセンサからのデータ信号を、第2の較正ファイル中の較正信号と比較する工程と、を含む。
【0053】
検出する方法は更に:
7)第2のセンサのデータ信号と第2の較正ファイル中の較正信号との間に不一致が存在するかどうかを決定すること。
8)不一致が決定された場合、不一致の指標をユーザに提供すること、を含んでもよい。
【0054】
不一致の検出は、直列的に接続されたセンサを使用して又は使用せずに実施され得ることが理解される。つまり、不一致検出は、比較指標を有するために、2つのセットのセンサ、例えば、第1のセンサアセンブリ17、即ち、センサS1、S2、及びS3、並びに第2のセンサアセンブリ18、即ち、センサSx及びSyを使用する。第1及び第2のセンサアセンブリの間に直列的に接続されたセンサが存在する場合、システムは、必要に応じて信号及びデータの逆畳み込みを行うことができる。
【0055】
先行技術は、本発明の特定の代表的な実施形態を参照して提示されてきた。当業者は、記載した構造の代替及び変化が、本発明の原理、趣旨及び範囲を逸脱することなく実施できることを理解するだろう。図面は、必ずしも縮尺通りではないことが理解される。したがって、前述の記載は、添付図面に記載及び例示された正確な構造のみに関するものとして読むべきではない。むしろ、その最も完全かつ最も正確な範囲を有する以下の特許請求の範囲に一致し、それを支持するものとして読むべきである。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) それぞれが位置データ磁場を発生させる複数の外部磁場発生器を有するカテーテル挿入システムで使用するためのカテーテルであって、
可撓性管と、
患者の組織との係合のために適合される、遠位部と、を備え、前記遠位部が、
近位部分、遠位部分、及び前記近位部分と前記遠位部分との間のフレキシブルジョイントと、
前記近位部分及び遠位部分のうちの1つに位置付けられた、内部磁場発生器であって、圧力データ磁場を発生させる、内部磁場発生器と、
前記近位部分及び遠位部分のうちのもう一方に位置付けられた、第1の複数の圧力検知コイル及び第2の複数の位置検知コイルであって、前記第1の複数の検知コイルが、前記圧力データ磁場を検知し、組織と係合されたときに前記遠位部に加えられる圧力に関するデータを表す信号を発生させるように適合され、前記第2の複数の検知コイルが、前記位置データ磁場のそれぞれを検知し、前記遠位部の位置に関するデータを表す信号を発生させるように適合される、第1の複数の圧力検知コイル及び第2の複数の位置検知コイルと、
少なくとも一対の圧力検知コイル及び位置検知コイルを直列的に接続する、第1のリード線と、
信号処理のために前記少なくとも一対からの信号を伝送する、第2のリード線と、を有する、カテーテル。
(2) 前記フレキシブルジョイントが、前記遠位部の前記近位部分と遠位部分との間の軸方向変位及び角偏向を可能にするように適合される、弾力性部材を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記システムが、前記第2のリード線からの信号を受信するように適合される信号プロセッサを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記第1の複数の第1の検知コイルが3つ以下である、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記第2の複数の第2の検知コイルが3つ以下である、実施態様1に記載のカテーテル。
【0057】
(6) 前記第1の検知コイルが楕円形である、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記第2の検知コイルが円筒形である、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記第1の検知コイルがZ軸と整列され、前記第2の検知コイルのそれぞれが互い及び前記第1の検知コイルに直交する、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記内部磁場発生器が、前記カテーテルの縦軸と軸方向に整列される、伝送コイルである、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記第1の検知コイルが前記内部磁場発生器と整列される、実施態様8に記載のカテーテル。
【0058】
(11) それぞれが位置データ磁場を発生させる少なくとも3つの外部磁場発生器を有するカテーテル挿入システムで使用するためのカテーテルであって、
可撓性管と、
組織との係合のために適合される、遠位部と、を備え、前記遠位部が、
近位部分、遠位部分、及び前記近位部分と前記遠位部分との間のフレキシブルジョイントと、
前記遠位部分に位置付けられた、内部磁場発生器であって、圧力データ磁場を発生させる、内部磁場発生器と、
前記近位部分に位置付けられた、少なくとも1つの圧力検知コイルであって、それぞれが、前記圧力データ磁場を検知し、組織と係合されたときに前記遠位部に加えられる圧力に関するデータを表す信号を発生させるように構成される、少なくとも1つの圧力検知コイルと、
前記近位部分に位置付けられた、少なくとも2つの位置検知コイルであって、それぞれが、各位置データ磁場を検知し、前記遠位部の位置に関するデータを表す信号を発生させるように構成される、少なくとも2つの位置検知コイルと、
一対の圧力検知コイル及び位置検知コイルを直列的に接続する、第1のリード線と、
前記一対からの前記信号を伝送する、第2のリード線であって、前記信号が、前記遠位部の位置に関するデータ及び前記遠位部に加えられる圧力に関するデータの両方を表す、第2のリード線と、を有する、カテーテル。
(12) 前記フレキシブルジョイントが、前記遠位部の前記近位部分と遠位部分との間の軸方向変位及び角偏向を可能にするように適合される、弾力性部材を含む、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記システムが、前記第2のリード線からの前記信号を受信するように適合される、信号プロセッサを含む、実施態様11に記載のカテーテル。
(14) 各磁場が、周波数、相、及び時間からなる群のうちの1つ又は2つ以上によって識別可能である、実施態様11に記載のカテーテル。
(15) 前記少なくとも1つの圧力検知コイルが円筒形である、実施態様11に記載のカテーテル。
【0059】
(16) 前記第2の位置検知コイルが楕円形である、実施態様11に記載のカテーテル。
(17) 第2のカテーテル又は他の金属若しくは第一鉄物体の存在によって引き起こされる、磁場検知への干渉を検出するために、第1のカテーテルを較正する方法であって、
第1のセンサ及び第2のセンサをカテーテルに提供することであって、前記第1及び第2のセンサの両方が、磁場発生器によって発生される磁場に応答するように適合される、ことと、
前記第1及び第2のセンサが較正信号を発生させることを可能にするように、前記磁場発生器を駆動することと、
前記カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加することと、
第1の較正ファイルを作成するために、前記第1のセンサからの前記較正信号を較正し、第2の較正ファイルを作成するために、前記第2のセンサからの前記較正信号を較正することと、を含む、方法。
(18) 前記較正信号を較正することが、
前記カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加することと、
前記カテーテルに印加される力に応答して、前記第1のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶することと、
前記カテーテルに印加される力に応答して、前記第2のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶することと、を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 第2のカテーテル又は他の金属若しくは第一鉄物体の存在によって引き起こされる、第1のカテーテルでの磁場検知への干渉を検出する方法であって、
第1のセンサ及び第2のセンサをカテーテルに提供することであって、前記第1及び第2のセンサの両方が、磁場発生器によって発生される磁場に応答するように適合される、ことと、
前記第1及び第2のセンサが較正信号を発生させることを可能にするように、前記磁場発生器を駆動することと、
前記カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加することと、
第1の較正ファイルを作成するために、前記第1のセンサからの前記較正信号を較正し、第2の較正ファイルを作成するために、前記第2のセンサからの前記較正信号を較正することであって、
前記カテーテルに軸方向変位及び角偏向の力を印加することと、
前記カテーテルに印加される力に応答して、前記第1のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶することと、
前記カテーテルに印加される力に応答して、前記第2のセンサによって発生される信号を表すデータをメモリ中に記憶することと、を含む、ことと、
前記カテーテルが使用されているとき、前記第1及び第2のセンサがデータ信号を発生させることを可能にするように、前記磁場発生器を駆動することと、
前記第2のセンサからの前記データ信号を前記第2の較正ファイル中の前記較正信号と比較することと、を含む、方法。
(20) 更に、
前記第2のセンサの前記データ信号と前記第2の較正ファイル中の前記較正信号との間に不一致が存在するかどうかを決定することと、
不一致が決定された場合、ユーザに前記不一致の指標を提供することと、を含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4