特許第6282477号(P6282477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6282477眼科デバイスを成形するための鋳造カップアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282477
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】眼科デバイスを成形するための鋳造カップアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/28 20060101AFI20180208BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20180208BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20180208BHJP
【FI】
   B29C39/28
   G02C7/04
   B29L11:00
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-21967(P2014-21967)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2014-151649(P2014-151649A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】13/763,381
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント・エイチ・バレ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・エフ・アンセル
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エル・バークミラー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・バーキル
(72)【発明者】
【氏名】マーク・マコーネル
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−106552(JP,A)
【文献】 特表2002−540980(JP,A)
【文献】 特開平09−323366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00−33/76
B29C39/00−39/44
B29C45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科デバイスを形成するための鋳造カップアセンブリであって、前記アセンブリが、
前方湾曲成形型であって、
前記前方湾曲成形型の表側に配置された凹型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第1の平らな環状リングであって、前記第1の平らな環状リングの前記内周辺部が前記凹型成形型表面の周辺部を取り囲みかつそれと接触する、第1の平らな環状リング、
前記第1の平らな環状リング上に配置された、ダムを形成する第1のリング、
前記第1の平らな環状リングの前記外周辺部を取り囲みかつそれと接触する第1の遷移ゾーンであって、前記第1の遷移ゾーンが、その先端が前記第1の平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第1の円錐台の形状である、第1の遷移ゾーン、及び
前記第1の円錐台の底部に隣接する前記第1の遷移ゾーン上に配置された第1の複数の平坦なブレードであって、前記第1の複数の平坦なブレードが第1の平面を画定する、第1の複数の平坦なブレード、を含む、前方湾曲成形型と、
底部湾曲成形型であって、
前記底部湾曲成形型の底側に配置された凸型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第2の平らな環状リングであって、前記第2の平坦な環状リングの前記内周辺部が前記凸型成形型表面の周辺部を取り囲みかつそれと接触する、第2の平らな環状リング、
前記第2の平らな環状リングの前記外周辺部を取り囲みかつそれと接触する第2の遷移ゾーンであって、前記第2の遷移ゾーンが、その先端が前記第2の平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第2の円錐台の形状である、第2の遷移ゾーン、及び
前記第2の円錐台の底部に隣接する前記第2の遷移ゾーン上に配置された第2の複数の平坦なブレードであって、前記第2の複数の平坦なブレードが第2の平面を画定する、第2の複数の平坦なブレード、を含む、底部湾曲成形型と、を備え、
前記底部湾曲成形型が前記前方湾曲成形型上に配置されるときに、前記第1の平面と前記第2の平面の間の間隔が、前記第1の平らな環状リングと前記第2の平らな環状リングの間の間隔より大きい、アセンブリ。
【請求項2】
前記凹型成形型表面及び前記凸型成形型表面が、前記底部湾曲成形型が前記前方湾曲成形型上に配置されるときに、キャビティが前記凹型成形型表面と前記凸型成形型表面の間に形成されるように、異なる曲率を有する、請求項1に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の複数のブレードが4つのブレードを含み、前記第2の複数のブレードが4つのブレードを含む、請求項に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項4】
前記底部湾曲成形型が前記前方湾曲成形型上に配置されるときに、前記第1の平らな環状リングと前記第2の平らな環状リングの間の間隔が、0.050ミリメートル未満である、請求項に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項5】
前記底部湾曲成形型が前記前方湾曲成形型上に配置されるときに、前記第1の平面と前記第2の平面の間の前記間隔が、0.050〜0.4ミリメートルの範囲である、請求項に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の複数のブレードが、他の前記複数のブレードよりも厚い1つのブレードを含む、請求項に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項7】
前記第2の複数のブレードが、他の前記複数のブレードよりも厚い1つのブレードを含む、請求項に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の複数のブレードの前記ブレードのうちの1つが、融解物送達手段とのインターフェースを有する、請求項1に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項9】
融解物送達手段とのインターフェイスを有する前記ブレードが、トラフ、傾斜表面、及びくぼみ前の溝から選択されるランナー機構を含む、請求項に記載の鋳造カップアセンブリ。
【請求項10】
コンタクトレンズの製造方法であって、
中心の周囲に配置される4つの鋳造カップアセンブリの配列を提供する工程であって、各鋳造カップアセンブリが、
前方湾曲成形型であって、
前記前方湾曲成形型の表側に配置された凹型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第1の平らな環状リングであって、前記第1の平らな環状リングの前記内周辺部が前記凹型成形型表面の周辺部を取り囲みかつそれと接触する、第1の平らな環状リング、
前記第1の平らな環状リング上に配置された、ダムを形成する第1のリング、
前記第1の平らな環状リングの前記外周辺部を取り囲みかつそれと接触する第1の遷移ゾーンであって、前記第1の遷移ゾーンが、その先端が前記第1の平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第1の円錐台の形状である、第1の遷移ゾーン、及び
前記第1の円錐台の底部に隣接する前記第1の遷移ゾーン上に配置された4つの突出したブレード、を含む、前方湾曲成形型と、
底部湾曲成形型であって、
前記底部湾曲成形型の底側に配置された凸型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第2の平らな環状リングであって、前記第2の平坦な環状リングの前記内周辺部が前記凸型成形型表面の周辺部を取り囲みかつそれと接触する、第2の平らな環状リング、
前記第2の平らな環状リングの前記外周辺部を取り囲みかつそれと接触する第2の遷移ゾーンであって、前記第2の遷移ゾーンが、その先端が前記第2の平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第2の円錐台の形状である、第2の遷移ゾーン、及び
前記第2の円錐台の底部に隣接する前記第2の遷移ゾーン上に配置された4つの突出したブレード、を含む、底部湾曲成形型と、を備え、
前記前方湾曲成形型に沿って配置された前記突出したブレードのうちの1つが他の3つより厚く、前記底部湾曲成形型に沿って配置された前記突出したブレードのうちの1つが他の3つより厚く、前記鋳造カップアセンブリの各々の前記突出したブレードのより厚いものが前記配列の前記中心に向けられている、工程と、
前記前方湾曲成形型と前記底部湾曲成形型の間の鋳造カップアセンブリの前記配列に重合性モノマーを供給する工程と、
前記重合性モノマーを重合して前記鋳造カップアセンブリ内にコンタクトレンズを形成する工程と、
前記鋳造カップアセンブリの各々の前記前方湾曲成形型を前記底部湾曲成形型から分離する工程と、
前記分離された鋳造カップアセンブリから前記コンタクトレンズを取り出す工程と、を含む、方法。
【請求項11】
2つのキャビティを画定する複数の成形型部品を含む眼科デバイスを形成するための鋳造カップアセンブリを製造するための成形型アセンブリであって、
前方湾曲成形型キャビティであって、
前方湾曲成形型の表側の凹型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第1の平らな環状リングであって、前記第1の平らな環状リングの前記内周辺部が前記凹型成形型表面の周辺部を取り囲みかつそれと接触する、第1の平らな環状リング、
前記第1の平らな環状リング上に配置された、ダムを形成する第1のリング、
前記第1の平らな環状リングの前記外周辺部を取り囲みかつそれと接触する第1の遷移ゾーンであって、前記第1の遷移ゾーンが、その先端が前記第1の平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第1の円錐台の形状である、第1の遷移ゾーン、及び
前記第1の円錐台の底部に隣接する前記第1の遷移ゾーン上に配置された第1の複数の平坦なブレードであって、前記第1の複数の平坦なブレードが第1の平面を画定する、第1の複数の平坦なブレード、を含む、前方湾曲成形型キャビティと、
底部湾曲成形型キャビティであって、
底部湾曲成形型の底側に配置された凸型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第2の平らな環状リングであって、前記第2の平坦な環状リングの前記内周辺部が前記凸型成形型表面の周辺部を取り囲みかつそれと接触する、第2の平らな環状リング、
前記第2の平らな環状リングの前記外周辺部を取り囲みかつそれと接触する第2の遷移ゾーンであって、前記第2の遷移ゾーンが、その先端が前記第2の平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第2の円錐台の形状である、第2の遷移ゾーン、及び
前記第2の円錐台の底部に隣接する前記第2の遷移ゾーン上に配置された第2の複数の平坦なブレードであって、前記第2の複数の平坦なブレードが第2の平面を画定する、第2の複数の平坦なブレード、を含む、底部湾曲成形型キャビティと、を備え、
前記底部湾曲成形型が前記前方湾曲成形型上に配置されるときに、前記第1の平面と前記第2の平面の間の間隔が、前記第1の平らな環状リングと前記第2の平らな環状リングの間の間隔より大きい、成形型アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一実施形態では、コンタクトレンズなどの眼科デバイスを形成するための鋳造カップアセンブリに関する。本発明はまた、鋳造カップアセンブリを製造するための成形型の設計、及び鋳造カップアセンブリから製造されるレンズにも関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズ、手術用レンズ、眼内レンズ等を含む多くの眼科デバイスは、多くの場合、鋳造カップアセンブリ内で重合反応を実施することにより製造される。鋳造カップアセンブリは、眼に接して位置するデバイスの一部分を形成する底部湾曲成形型、及び眼と離れた方向に面するデバイスの一部分を形成する前方湾曲成形型を含む。1つ又は2つ以上の重合性モノマー及びその他の成分を含む反応混合物は、前方湾曲成形型内に配置される。その後、底部湾曲成形型を前方湾曲成形型に押しつけて、反応混合物に2つの成形型の間に定められた容積の形状を導入させる。適切に配置した後に、反応混合物を重合条件(例えば光重合又はその他の好適な手法)に曝す。得られたポリマーを鋳造カップアセンブリから取り外し、続けて重合後処理(例えば水洗、水分添加など)にかけて、完成した眼科デバイスが得られる。レンズを成形型アセンブリから分離させるには、鋳造コンタクトレンズを解放するために、てこでレンズ成形型の半型を正確かつ精密に引き離すことが求められる。精密な自動てこ機構を使用し、この工程の作業を反復することは、レンズの設計要件を満たすレンズの高い収率を維持するために重要な要素である。
【0003】
この重合後処理の間にレンズを慎重に検査すると、しばしば、相当な数のレンズに欠陥が含まれることが明らかになる。欠陥には、レンズ内の穴、周縁部の裂け、眼科デバイスの周囲に存在する過剰なポリマーの環、及び他の類似した欠陥などの様々な製造誤差が含まれる。したがって、これらの欠陥の発生を減少させるために、レンズ成形型アセンブリの反復可能なかつ精密な開きを可能にし、また、過剰なばり材料がてこ機構に干渉することを防ぐ、改良された鋳造カップアセンブリ(casing cup assembly)が望まれる。
【0004】
引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5,540,410号では、成形型及びコンタクトレンズ製造におけるそれらの使用が開示されている。あらゆる注型成形法において、意図された設計パラメータを満たすレンズの製造は重要な目標であるが、所与の要求される非常に精密な設計パラメータ、特に光学領域に関するレンズの厚み及び輪郭のわずかなばらつき、並びに、裂け又は変形を一切示さないきれいな周縁部を完全な精度で得るのは困難である。それに加え、レンズ成形型の設計に対する他の様々な手法が、時の経過とともに開発されてきた。例えば、米国特許第6,997,428号には、光学面を調整する、また、成形型の半型を引き離すことにも用い得る、タブの使用が示されている。融解物を供給するために、又は成形型部分の間に平面のずれを提供するためにタブを使用することは示されていない。
【0005】
米国特許第5,252,056号には、回転対称部品を使用し、また、フロント注入口を拡大することによって、ブレードにホットランナーを通して注入流量を向上させるための手段としてブレードを使用しない方法が説明されている。米国特許第5,254,000号には、成形型の半型を互いに噛み合わせるための小型のタブが教示されており、また、同第6,444,145号では、本発明の4つのブレードとは異なり、1つのブレードを使用している。
【0006】
引用文献のいずれもが、モノマーを拡大したフロント注入口に供給するために、また、硬化後に成形型の半型の分離を改善するために、複数のブレードを使用していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
前方湾曲成形型と底部湾曲成形型の両方の周囲に4つのブレードの組を含む、精密製造された前方湾曲成形型及び底部湾曲成形型を備える鋳造カップアセンブリが本明細書で開示される。鋳造カップが組み立てられる時、ブレードは自動システム装置で取り扱うより大きな設置面積を可能にする。4つのブレードはまた、成形型の半型を有する平面の外にあり、また、ずれが2つの成形型の半型の間の大きな空間を可能にするため、より強力なてこ装置を使用することができる。鋳造カップアセンブリの開示されたいくつかの実施形態を実施することで実現し得る利点は、鋳造カップアセンブリの凹状成形型表面及び凸状成形型表面の偏心及び傾斜が最小化されることで周縁部欠陥が減少し、そのためてこ装置が作業可能なカップアセンブリの面積、及び溢れたモノマーがカップアセンブリ外に流出して、てこ装置を汚染することを防ぐための追加の領域が増加した(increased)ことである。
【0008】
代表的な一実施形態では、鋳造カップアセンブリが開示される。鋳造カップアセンブリは、凹状成形型表面を有する前方湾曲成形型、環状フラットリング、ダムとして機能する隆起部分、遷移ゾーン、及び複数のブレードを備える。アセンブリは、凸状成形型表面を有する底部湾曲成形型、環状フラットリング、遷移ゾーン、及び複数のブレードを更に備える。前方湾曲成形型(frontcuve mold)が底部湾曲成形型と結合する時、所望のレンズの形状を定めるキャビティが形成され、投入したモノマーがばりを形成する場合にオーバーフローさせるために環状リングが平行に共働し、また2組の複数のブレードも互いに平行に共働して、これらの間の厚みは2つの環状フラットリング間の厚みよりも大きく、そのために、環状フラット(annular flats)が使用された場合に強力なてこ機構のためのより大きな空間が得られる。
【0009】
別の代表的な実施形態では、鋳造カップアセンブリが開示される。鋳造カップアセンブリは、リングよって包囲された凹状成形型表面を有する前方湾曲成形型を備える。アセンブリは、凸状成形型表面を有する底部湾曲成形型、及び隣接するブレードから90度の角度で配置される4つのブレードを更に備える。
【0010】
別の代表的な実施形態では、ブレードの1つは他の3つのブレードよりも厚い。より厚いブレードの設計は、鋳造カップを製造するために用いられる成形型内に、より厚いブレード用キャビティを設けることにより達成される。続いて、このより厚いブレード用キャビティは成形型のランナーシステムと連通して、成形プロセスの一環として、プラスチックを成形型に導入する。より厚いブレードによって、成形型に入るプラスチックの乱流を低減させる、より広いプラスチックのメルトフロントを提供することが可能となる。正味効果としては、プラスチックが成形型により良く適合し、設計された仕様により近い鋳造カップ成形型アセンブリが製造されることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、添付図面を参照して開示される。
図1】本発明の成形型装置の前方湾曲及び底部湾曲部分の概略側面図を示す。
図2】4つのブレードを含む鋳造カップの特徴を示す前方湾曲鋳造カップの概略平面図を示す。
図3】4つのブレードを含む鋳造カップの特徴を示す前方湾曲鋳造カップの斜視図である。
図44つのブレードを含む鋳造カップの特徴を示す後方湾曲鋳造カップの斜視図である。
図5】ブレードの1つがメルトフローを向上させる機能を有する、本発明の一実施形態を示す。
図6】第1の成形型内でコンタクトレンズ/成形型の半型を製造するための、本発明を使用した大ピッチ差設定の概略図を示す。
図7】成形型の半型アセンブリが投与及び硬化プロセスのために配置された、配列内の小ピッチ差のカップの配列の概略図を示す。
【0012】
対応する参照符合は、複数の図面を通じて対応する部材を示す。本明細書に提示された例は、本発明の一部の実施形態を説明しているが、いかなる形においても、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
眼科デバイスにおける周縁部欠陥の発生に影響を与える要因のいくつかには、成形型の半型をてこで開ける時の失敗が含まれる。実際には、いくつかの欠陥は、てこ機構の汚染、又は損耗による単純な失敗が原因で発生する。より強力かつ精密なてこ機構、並びに成形型アセンブリ内の、溢れたモノマー及びその後のばりを保持するためのより大きな領域を有し得る成形型アセンブリを提供することは、コンタクトレンズの欠陥の減少につながる。図1は、中心成形型部分121、環状フラットリング122、モノマーダム123、遷移ゾーン124、及び複数のブレードの組を有する平面125を有する前方湾曲成形型の半型、後方湾曲中心成形型部分111、環状フラットリング112、遷移ゾーン113、及び複数のブレードの組を備える平面114を有する後方湾曲成形型の半型を含む本発明の概略図を示す。2組の複数のブレードは、てこ空間131を画定する。2つの成形型の半型は、成形すべきコンタクトレンズの形状を定めるキャビティ134を形成する。ダム123は、過剰に投入されたモノマーがてこ空間に広がることを阻止する障壁を提供する。互いに共働する成形型は、キャビティ、ホールド半型の間にある第1の分離帯130、及び成形型の半型の間にある第2分離帯131を画定し、ここで、コンタクトレンズの製造プロセスの一環として、てこ機構132が、突き出たブレード間の第2分離帯に自動的に挿入され、成形型の半型をてこで引き離す。
【0014】
図2は前方湾曲成形型の半型の概略図を示す。複数のブレード125の組は、環状フラットリングを備える平面外部の平面に配置される。図から分かるように、モノマーを投与して2つの成形型の半型を一体に合わせる時に、それらが安定して置かれるように、4つのブレード125は、互いから90度の角度で対称的に平面に配置される。
【0015】
図3は、平面内の互いから約90度の角度だけずれた複数のブレードを備えた、本発明の一実施形態も示す、前方湾曲120成形型の半型の縮尺図である。作業時には、後方湾曲成形型は前方湾曲成形型の上に配置され、モノマーは前面レンズ成形型の凹状部分に投与される。
【0016】
図4は、3次元表現で表示された後方湾曲成形型110機構、即ち、中心凸状部分111、環状フラットリング112、遷移ゾーン113、及び複数のブレード114を有する後方湾曲成形型の縮尺図を提供する。
【0017】
図5は、ブレードの1つに配置された融解物措置機構(melt means feature)、即ち小さなトラフを有する前方湾曲成形型の縮尺図を示す。
【0018】
図7は、成形型カップアセンブリ配列の別の概略図を示す。このシステムでは、成形型カップアセンブリのトレイが製造プロセスで使用され、トレイは四分円を作り、各四分円で非対称なカップはすべて同一方向を向くように示される。
【0019】
4つのブレード114、125は前面成形型の平面環状部分112、122の平面外にあり、後面成形型は、融解したプラスチックをより広い経路を有する成形型に入れてキャビティ全体に広げるために、0.050mm〜0.4mmの範囲内、好ましくは0.2mmの値で、他のブレードより厚くてもよい。これは、各々の成形型の半型を成形する工程であることに留意されたい。この工程が完了する際に成形体半面がもたらすメルトフローが向上した場合は、この後によりばらつきの少ないレンズ成形を提供する設計により近似している。
【0020】
前面コンタクトレンズ成形型は、ダムとして機能し、過剰なモノマーのばりがコンタクトレンズ製造プロセスの成形型に混入することを防止する、平らな環状面に配置された環状隆起部分123も有する。
【0021】
また、ブレードは、より強力に設計されたてこ装置を使用することができる追加の利点を提供する、成形型キャビティ自体よりも大きな空間をもたらす、平らなずれを提供する働きも行う。
【0022】
図4に示す後面コンタクトレンズ成形型の半型は、凸状中心部分111及び環状平面領域112を有する。後面成形型の凸状中心部分は前面成形型の凹状中心部分と共働して、キャビティ134を画定する。後面コンタクトレンズ成形型の半型は、前面成形型のブレードと共働して、成形型の半型の間の平面に沿ったより優れた方向制御をもたらし、また、成形型の半型の間にてこ道具を挿入して分離するためのより容易なインターフェースを提供する、互いから90度の角度だけ離れた4つのブレードを有する。
【0023】
前面成形型の半型はまた、後面成形型の半型のはす縁を有する環状平面の刻み目と共働して、コンタクトレンズを製造する成形型キャビティを形成する2つの面の向きに正確さをもたらす、中心領域に隣接するはす縁を備えた環状平面を有する。各成形型の半型の2組のブレードの操作により、わずかにより平らなずれがもたらされる。
【0024】
図7は、ピッチ差が約20mm未満の範囲でより小さい場合に用いられる別の設定を示し、この場合、配列はより多くのレンズ成形型アセンブリを有することができ、また、成形型設計の対称性のために、各成形型アセンブリの向きを維持することができる。
【0025】
本発明の成形型カップは、以下の特徴を有する:1〜4つの扇型ブレードが互いから約90度の角度で突出している;2−ブレードのうちの1つが、融解物送達とインターフェースするのに適した表面として使用される;成形型のシステム。融解物送達システムは、例えばコールドランナー又はホットランナーのいずれかを使用する、様々な既知の方法のうちの任意のものであってよい;3−融解物送達ブレード(タブとも称される)により、厚み増加が0.050mm〜0.4mm、好ましくは0.2mmの値である。この特徴の目的は、くぼみに入る前のメルトフロントを拡張することである。この目的に役立つ任意の形状(例えば、傾斜表面、くぼみ前の溝)を使用してよい。開示された全体的なプラスチック形状は、この特徴を有さずとも成形プロセスにおいて非常に有用な改善をなお提供する;4−レンズの前側湾曲(FC)及びレンズの底部湾曲(BC)を形成する各々の鋳造カップでは、くぼみのすぐ外側の平面領域とブレードにまで延在する別の平面領域との間に平面ずれが発生する。これらの領域の比率は変化してよい。平面ずれはFC又はBCのいずれでも発生してよく、あるいは好ましい実施形態では両方で発生する;5−ブレードの厚みは内部平面及びくぼみ領域の厚み以下である。好ましい実施形態では、厚みの差は0.1mmである。6−部品のピッチは、部品の幅よりも大きい。好ましい実施形態では、部品間のピッチは0.050mm〜0.4mmであり、好ましくは0.2mmの値である。これらの特徴によって以下の利点が達成され得る:a−未硬化のレンズと過剰なモノマーリングとの良好な分離を達成するために、前側湾曲と底部湾曲との間が平行である必要がある。加えて、非球状の底部湾曲を有するいくつかの設計は、いかなる光学収差も低減させるために平行である必要がある。非対称のプラスチックと比較して、本発明で示される底部湾曲は、モノマーを配置してから硬化するまでの間に前方湾曲上でずれを起こさない傾向がある。いかなる非対称性も、重量の不平衡さのために底部湾曲にずれを生じる危険がある。
【0026】
くぼみからすぐ外側の平面部分と平面部分/ブレードとの間の平面ずれによって、投入中の、及びアセンブリの外部平面上へのモノマーの汚染/漏れが制限される。これにより、硬化後に2つの鋳造カップをてこで引き離すための清潔な領域が残される。てこ機構に未硬化のモノマーが蓄積することで閉塞及び詰まりが発生するため、清潔なてこ領域は、収率及び稼働時間に重要である。
【0027】
4つのブレード領域及び清潔な外部平面によって、非対称な部品、又は突出した表面でより小さい部品と比べて、取り扱いの容易さが向上する。吸着カップ又は他の機構による鋳造カップの持ち上げ及び取り外しは、対称性及び大きな表面の両方によって容易になる。内部平面部分とブレードにまで延在する外部平面部分との間の平面ずれにより、これらを組み立てた後に、FCとBCとの間の距離が増加した部分がもたらされる。これにより、より大きなてこ機構の使用が可能になる。より大きなてこ機構は、製造が容易であり、また、より大きな抵抗を提供するために有利である。
【0028】
特に4つのブレードが存在することにより、いくつかのアセンブリの選択肢が得られる。例えば、アセンブリの選択肢のうちの1つは、FC及びBCのブレードの位置が合っているものなどである。このような場合、てこ機構は、前側湾曲と底部湾曲との間に同様な変形をもたらすことが可能である。別の選択肢では、BCはブレードをFCから45度の角度に向けることができる。このような場合、FCを平らにクランプして、ある量の屈曲がBCに導入されるように、てこ機構を用いることが可能である。こうした選択肢及び属性は、てこ作業中に出現し得る欠陥率を低下させるために用いられるレンズモノマーによって左右される。鋳造カップの製造は、部品間に大きなピッチを有する成形型に有益である。こうした成形型では、大きな冷却管の選択肢及び形状、並びに様々なホットランナー又はコールドランナーの選択肢がもたらされる。反対に、小さな設置面積は、コスト効率及び空間効率の面から、投与、FC/BC組み立て、及びてこ入れなどの更なるレンズ製造工程に有益である。この変更に適応する可能性の1つは、ロボットを用いて部品のピッチを変更することである。しかしながら、本発明では、下流ラインの2倍のピッチを有する成形型を有することが可能である(図6を参照されたい)。続いてロボットが部品を下流パレットに移動し、他のすべてのキャビティを配置する。本発明による部品の90度の対称性により、下流ロボットに提供する部品の均一性が維持される。より薄いブレードはくぼみ領域の後(after the bowl area)を充填し、適切な寸法安定性を提供することでよく知られる1ブレード(1タブ)部品と等価の充填特性を提供する。
【0029】
以上、本発明を特定の実施形態に照らして説明したが、当業者であれば、本開示の範囲を逸脱することなく、特定の状況に適合するように様々な変更を行うことが可能であり、発明の要素を均等物に置き換えることが可能であることは理解されるであろう。したがって、特許請求の範囲は開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、添付した請求項の範囲及び趣旨に包含されるすべての実施形態を含むものである。
【0030】
〔実施の態様〕
(1) 眼科デバイスを形成するための鋳造カップアセンブリであって、前記アセンブリが、
前方湾曲成形型であって、
前記前方湾曲成形型の表側の凹型成形型表面であって、
内周辺部及び外周辺部を有する平らな環状リング、
前記平らな環状リング上に配置された、ダムを形成する第1のリング、
前記平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された遷移ゾーン、及び
内部に複数の平らなブレードを含む、前記遷移ゾーン上に配置された平面、に包囲されかつそれらと接触する周辺部を有する、凹型成形型表面、を含む、前方湾曲成形型と、
底部湾曲成形型であって、
前記底部湾曲成形型の底側の凸型成形型表面であって、底面に包囲される周辺部を有する、凸型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第2の平らな環状リング、
前記平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第2の遷移ゾーン、及び
内部に第2の複数の平らなブレードを含む、前記遷移ゾーン上に配置された第2の平面、を含む、底部湾曲成形型と、を備える、アセンブリ。
(2) 前記凹型成形型表面及び前記凸型成形型表面が、前記底部湾曲成形型が前記前方湾曲成形型上に配置される時に、前記凹型成形型表面と前記凸型成形型表面との間の接触点によってストップが画定され、それによって前記凹型成形型表面と前記凸型成形型表面との間の容積が確立されるように、異なる曲率を有する、実施態様1に記載のアセンブリ。
(3) 前記第2の環状リングが、前記底部湾曲成形型が前記前方湾曲成形型上に配置され、前記ストップが、定められた厚みを有する第1の容積を確立した時に、第1の間隙によって前記第1の上部の平面リング表面から離間した境界を有する、実施態様2に記載のアセンブリ。
(4) 前記第1の組のブレード及び前記第2の組のブレードが、定められた厚みを有する第2の容積を確立した、実施態様3に記載のアセンブリ。
(5) 前記第1の複数のブレードが4つのブレードを含み、前記第2の複数のブレードが4つのブレードを含む、実施態様4に記載のアセンブリ。
【0031】
(6) 前記第1の容積の前記厚みが、約0.050ミリメートル未満である、実施態様3に記載のアセンブリ。
(7) 前記第2の厚みが、約0.050〜0.4ミリメートルの範囲である、実施態様6に記載のアセンブリ。
(8) 前記第1の複数のブレードが、他の前記複数のブレードよりも厚い1つのブレードを含む、実施態様5に記載のアセンブリ。
(9) 前記第2の複数のブレードが、他の前記複数のブレードよりも厚い1つのブレードを含む、実施態様5に記載のアセンブリ。
(10) 前記第1の複数のブレードの前記ブレードのうちの1つが、融解物送達手段とのインターフェースを有する、実施態様1に記載のアセンブリ。
【0032】
(11) ランナー機構を有する前記ブレードが、トラフ、傾斜表面、及びくぼみ前の溝(trench before bowl)から選択されるランナー機構を有する、実施態様10に記載のアセンブリ。
(12) コンタクトレンズの製造方法であって、
4つの突出したブレードを有する前方湾曲成形型、及び4つの突出したブレードを有する後方湾曲成形型を備える中心の周囲に配置される4つの鋳造カップアセンブリの配列を提供する工程であって、前記突出したブレードのうちの1つが他のブレードよりも厚く、方向ベクトルを作り、前記鋳造カップアセンブリの各々の前記方向ベクトルが前記配列の前記中心に向けられる、工程、を含む、方法。
(13) 2つのキャビティを画定する複数の成形型部品を含む眼科デバイスを形成するための鋳造カップアセンブリを製造するための成形型アセンブリであって、
前方湾曲成形型キャビティであって、
前記前方湾曲成形型の表側の凹型成形型表面であって、
内周辺部及び外周辺部を有する平らな環状リング、
前記平らな環状リング上に配置された、ダムを形成する第1のリング、
前記平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された遷移ゾーン、及び
内部に複数の平らなブレードを含む、前記遷移ゾーン上に配置された平面、に包囲されかつそれらと接触する周辺部を有する、凹型成形型表面、を含む、前方湾曲成形型キャビティと、
底部湾曲成形型キャビティであって、
前記底部湾曲成形型の底側の凸型成形型表面であって、底面によって包囲される周辺部を有する、凸型成形型表面、
内周辺部及び外周辺部を有する第2の平らな環状リング、
前記平らな環状リングの前記外周辺部上に配置された第2の遷移ゾーン、及び
内部に第2の複数の平らなブレードを含む、前記遷移ゾーン上に配置された第2の平面、を含む、底部湾曲成形型キャビティと、を備える、成形型アセンブリ。
(14) 実施態様13の成形型を使用して製作したカップアセンブリを使用して製造したコンタクトレンズ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7