特許第6282484号(P6282484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282484
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20180208BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20180208BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180208BHJP
   F21S 41/00 20180101ALI20180208BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20180208BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20180208BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20180208BHJP
   B60Q 1/12 20060101ALI20180208BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180208BHJP
【FI】
   B60Q1/04 E
   H05B37/02 H
   F21S2/00 480
   F21S8/12 263
   B60Q1/14 H
   B60Q1/12 100
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-31646(P2014-31646)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2015-155280(P2015-155280A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 孝治
(72)【発明者】
【氏名】宮地 護
(72)【発明者】
【氏名】柴田 康之
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−504300(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0212459(US,A1)
【文献】 特開2013−054956(JP,A)
【文献】 米国特許第06362578(US,B1)
【文献】 特開2006−301450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00− 1/56
F21S 2/00−19/00
H05B37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を有する発光装置であって、
前記発光素子がm行n列(nは1以上の整数、mは3以上の整数)のマトリクス状に配列されている発光パネルと、
少なくとも1つの行を隔てて配列されている一対の行を含むK行(Kは2以上m未満の整数)分の各行に属する前記発光素子を駆動周期毎に、時系列的にK分割して順次、発光駆動する第1のドライバと、
前記少なくとも1つの行に属する前記発光素子を前記駆動周期毎に発光駆動する第2のドライバと、を有し、
前記第1のドライバ及び前記第2のドライバは夫々が異なる行に接続されており、前記第1のドライバに接続されている前記一対の行に挟まれた行に前記第2のドライバが接続されており、
前記第1のドライバが自身に接続されている行に属する前記発光素子を発光駆動している間に、前記第2のドライバが自身に接続されている行に属する前記発光素子を発光駆動し、
前記第1のドライバは前記発光素子の照度を制御する機能を有し、前記第1のドライバで制御可能な最大照度と、前記第2のドライバの発光駆動による前記発光素子の最大照度とが互いに異なることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1のドライバは、前記駆動周期内において、前記一対の行のうちの一方の行に属する前記発光素子と、他方の行に属する前記発光素子とを互いに異なる期間に亘り順次、発光駆動し
前記第1のドライバに接続されている前記一対の行に挟まれて配置されており且つ前記第2のドライバに接続されている行に属する前記発光素子は、前記駆動周期内において、前記一対の行のうちの一方の行に属する前記発光素子に対する発光駆動期間より長く、且つ前記一対の行のうちの他方の行に属する前記発光素子に対する発光駆動期間よりも短い期間に亘り、前記第2のドライバによって発光駆動されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2のドライバは、前記少なくとも1つの行を含むL行(Lは2以上m未満の整数)分の各行に属する前記発光素子を前記駆動周期毎に、時系列的にL分割して順次、発光駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2のドライバは、前記少なくとも1つの行を含むL行(Lは2以上m未満の整数)分の各行に属する前記発光素子を前記駆動周期に亘り発光駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のドライバを制御することにより前記発光パネルにおける配光パターンを変更する配光制御部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記配光制御部は、照射回避物の有無を示す信号を受け当該信号に応じて前記第1及び第2のドライバを制御することにより前記照射回避物の有無に対応した配光パターンで前記発光パネルを発光させることを特徴とする請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
前記配光制御部は、車両の操舵方向を示す信号を受け当該信号に応じて前記第1及び第2のドライバを制御することにより前記車両の操舵方向に対応した配光パターンで前記発光パネルを発光させることを特徴とする請求項5又は6記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1及び第2のドライバは、前記発光パネルにおける2次元発光面内の水平方向における端部の領域を除く中央領域に配列されている前記発光素子を前記発光駆動の対象とし、
前記端部の領域に配置されている前記m行の各行に属する前記発光素子を前記駆動周期毎に、時系列的にm分割して順次、発光駆動する第3のドライバを更に含むことを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項9】
前記端部の領域及び前記中央領域には、異なるサイズの前記発光素子が配列されていることを特徴とする請求項8記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が配列されている発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子は、液晶ディスプレイ用バックライト等の表示機用光源、ライトアップ等の演色用光源に限らず、一般照明、車両用灯具等に用いられている。また、複数のLEDがマトリクス状に配列されたものを光源とし、各LEDの照度を個別に制御することにより、ADB(Adaptive Driving Beam)、AFS(Adaptive Front-Lighting System)等の配光機能を実現するようにした車両用前照灯装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−54849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような複数のLEDが配列されている光源は、以下のスタティック駆動方式、或いはダイナミック駆動方式にて駆動される。スタティック駆動方式では、各LEDのカソード電極を共通に接続し、夫々のアノード電極に対して個別に発光駆動電圧を供給する。従って、スタティック駆動方式によると、発光駆動電圧をアノード電極に供給する為の配線がLED毎に必要となり、その配線領域を含めた装置規模が大となるという問題がある。一方、ダイナミック駆動方式では、各LEDをグループ単位で時分割にて駆動対象とし、そのグループに属するLED各々のアノード電極に発光駆動電圧を供給する。この際、ダイナミック駆動方式を採用する場合には、各LEDのうちの同一「行」に配列されているもの同士のカソード電極を共通に接続し、同一「列」に配列されているもの同士のアノード電極を共通に接続する。従って、ダイナミック駆動方式によれば、スタティック駆動方式を採用した場合に比べて配線数が少なくなり小型化が可能となる。しかしながら、ダイナミック駆動方式では、各LEDが「行」単位で時分割にて発光する為、行数が多くなるほど1回あたりのLEDの発光期間が短くなる。従って、スタティック駆動方式に比べて高輝度化が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、小型、高輝度及び低消費電力であり、且つ配光制御が可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による発光装置は、複数の発光素子を有する発光装置であって、 前記発光素子がm行n列(nは1以上の整数、mは3以上の整数)のマトリクス状に配列されている発光パネルと、少なくとも1つの行を隔てて配列されている一対の行を含むK行(Kは2以上m未満の整数)分の各行に属する前記発光素子を駆動周期毎に、時系列的にK分割して順次、発光駆動する第1のドライバと、前記少なくとも1つの行に属する前記発光素子を前記駆動周期毎に発光駆動する第2のドライバと、を有し、前記第1のドライバ及び前記第2のドライバは夫々が異なる行に接続されており、前記第1のドライバに接続されている前記一対の行に挟まれた行に前記第2のドライバが接続されており、前記第1のドライバが自身に接続されている行に属する前記発光素子を発光駆動している間に、前記第2のドライバが自身に接続されている行に属する前記発光素子を発光駆動し、前記第1のドライバは前記発光素子の照度を制御する機能を有し、前記第1のドライバで制御可能な最大照度と、前記第2のドライバの発光駆動による前記発光素子の最大照度とが互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る発光装置100の構成を示すブロック図である。
図2】発光パネル10に対する駆動動作を示すタイムチャートである。
図3】発光素子P(1、1)〜P(n、5)がマトリクス状に配置された支持基板SBと、この支持基板SBが実装されたマトリクス回路基板SUを上面から眺めた上面図である
図4】駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)の一例を示す図である。
図5】前方車両が存在しない場合での配光パターンの一例を示す図である。
図6】前方車両が存在する場合での配光パターンの一例を示す図である。
図7】車両の右操舵時における配光パターンの一例を示す図である。
図8】車両が右操舵を行った際に前方車両が存在する場合での配光パターンの一例を示す図である。
図9】発光装置100の構成の一例を簡略的に表す模式図である。
図10】発光装置100の構成の他の一例を簡略的に表す模式図である。
図11図10に示す構成による、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)の一例を示す図である。
図12】発光装置100の構成の他の一例を簡略的に表す模式図である。
図13図12に示す構成による、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)の一例を示す図である。
図14】発光装置100の構成の他の一例を簡略的に表す模式図である。
図15図14に示す構成による、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)の一例を示す図である。
図16】発光装置100の構成の他の一例を簡略的に表す模式図である。
図17図16に示す構成による、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)の一例を示す図である。
図18】発光パネル10における発光素子の配列形態の他の一例を示す図である。
図19図18に示す発光パネル10を駆動する際における、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る発光装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、発光装置100は、発光パネル10、配光制御部11、時分割ドライバ12、13、選択ドライバ14、発光ドライバ15〜17を含む。
【0010】
発光パネル10は、マトリクス回路基板SUと、このマトリクス回路基板SU上においてn列(nは整数)、5行のマトリクス状に配列された発光素子P(1、1)〜P(n、5)と、を含む。マトリクス回路基板SUには、選択ラインS1〜S5、駆動電圧供給ラインA1〜An、B1〜Bn及びC1〜Cnが配線されている。発光素子P(1、1)〜P(n、5)の各々は、例えばEL(Electro-Luminescence)素子、LED等からなる。
【0011】
図1に示すように、第1行目に属する発光素子P(1、1)、P(2、1)、P(3、1)、・・・、P(n、1)各々のカソード電極は、選択ラインS1にて共通に接続されている。また、第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)のアノード電極には、図1に示すように駆動電圧供給ラインA1〜Anが夫々個別に接続されている。
【0012】
第2行目に属する発光素子P(1、2)、P(2、2)、P(3、2)、・・・、P(n、2)各々のカソード電極は、選択ラインS2にて共通に接続されている。また、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)のアノード電極には、図1に示すように駆動電圧供給ラインB1〜Bnが夫々個別に接続されている。
【0013】
第3行目に属する発光素子P(1、3)、P(2、3)、P(3、3)、・・・、P(n、3)各々のカソード電極は、選択ラインS3にて共通に接続されている。また、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)のアノード電極には、図1に示すように駆動電圧供給ラインA1〜Anが夫々個別に接続されている。
【0014】
すなわち、互いに同一の「列」同士にて、第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)各々のアノード電極と、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)各々のアノード電極と、が駆動電圧供給ラインA1〜Anを夫々介して接続されているのである。
【0015】
第4行目に属する発光素子P(1、4)、P(2、4)、P(3、4)、・・・、P(n、4)各々のカソード電極は、選択ラインS4にて共通に接続されている。また、第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)のアノード電極には、図1に示すように駆動電圧供給ラインC1〜Cnが夫々個別に接続されている。
【0016】
第5行目に属する発光素子P(1、5)、P(2、5)、P(3、5)、・・・、P(n、5)各々のカソード電極は、選択ラインS5にて共通に接続されている。また、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)のアノード電極には、図1に示すように駆動電圧供給ラインB1〜Bnが夫々個別に接続されている。
【0017】
すなわち、互いに同一の「列」同士にて、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)各々のアノード電極と、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)各々のアノード電極と、が駆動電圧供給ラインB1〜Bnを夫々介して接続されているのである。
【0018】
配光制御部11は、発光ドライバ15〜17を制御することにより発光素子P(1、1)〜P(n、5)を各種の配光パターンで発光させる。
【0019】
例えば、発光装置100を車両の前照灯装置として用いた場合には、配光制御部11は、車載コンピュータ(図示せぬ)から送出された前方車両の有無を示す信号を受け、この信号に応じて発光ドライバ15〜17を制御することにより前方車両の有無に対応した配光パターンで発光素子P(1、1)〜P(n、5)を発光させる。また、配光制御部11は、この車載コンピュータから送出された自車の操舵方向を示す信号を受け、この信号に応じて発光ドライバ15〜17を制御することにより、自車の操舵方向に対応した配光パターンで発光素子P(1、1)〜P(n、5)を発光させる。
【0020】
時分割ドライバ12は、上記した第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)と、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)と、を以下のように時分割駆動する。
【0021】
すなわち、時分割ドライバ12は、図2に示すように、駆動周期TW毎に、その駆動周期TWの例えば20%の発光駆動期間T1に亘り基準電位VRを有する時分割駆動パルスG1を、選択ラインS1に供給する。引き続き時分割ドライバ12は、図2に示すように、駆動周期TW内において、その駆動周期TWから上記した発光駆動期間T1を減算して得た、例えば80%の発光駆動期間T3に亘り基準電位VRを有する時分割駆動パルスG3を、選択ラインS3に供給する。
【0022】
時分割ドライバ13は、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)と、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)と、を以下のように時分割駆動する。
【0023】
すなわち、時分割ドライバ13は、図2に示すように、駆動周期TW毎に、その駆動周期TWの例えば50%の発光駆動期間T2に亘り基準電位VRを有する時分割駆動パルスG2を、選択ラインS2に供給する。引き続き、時分割ドライバ13は、図2に示すように、駆動周期TW内において、その駆動周期TWから上記した発光駆動期間T2を減算して得た、例えば50%の発光駆動期間T5に亘り基準電位VRを有する時分割駆動パルスG5を、選択ラインS5に供給する。
【0024】
選択ドライバ14は、第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)を以下のように駆動する。すなわち、選択ドライバ14は、図2に示すように、各駆動周期TWに亘り基準電位VRを選択ラインS4に供給する。
【0025】
発光ドライバ15は、図2に示す駆動周期TW毎に、先ず、時分割駆動パルスG1が印加されている発光駆動期間T1内において、第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)を発光させる為の発光駆動パルスL1P1〜L1Pnを、夫々駆動電圧供給ラインA1〜Anに供給する。次に、発光ドライバ15は、上記した時分割駆動パルスG3が印加されている発光駆動期間T3内において、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)を発光させる為の発光駆動パルスL3P1〜L3Pnを、夫々駆動電圧供給ラインA1〜Anに供給する。
【0026】
発光ドライバ16は、図2に示す駆動周期TW毎に、先ず、時分割駆動パルスG2が印加されている発光駆動期間T2内において、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)を発光させる為の発光駆動パルスL2P1〜L2Pnを、夫々駆動電圧供給ラインB1〜Bnに供給する。次に、発光ドライバ16は、時分割駆動パルスG5が印加されている発光駆動期間T5内において、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)を発光させる為の発光駆動パルスL5P1〜L5Pnを、夫々駆動電圧供給ラインB1〜Bnに供給する。
【0027】
発光ドライバ17は、図2に示す駆動周期TW毎に、その駆動周期TW内において、第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)を発光させる為の発光駆動パルスL4P1〜L4Pnを、夫々駆動電圧供給ラインC1〜Cnに供給する。
【0028】
尚、発光ドライバ15〜17の各々は、配光制御部11によって指定された発光素子P毎の要求照度に基づき、上記した発光駆動パルスL1P1〜L1Pn、L2P1〜L2Pn、L3P1〜L3Pn、L4P1〜L4Pn、L5P1〜L5Pn各々のパルス幅を個別に調整する。
【0029】
すなわち、発光ドライバ15は、第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)を発光させる発光駆動パルスL1P1〜L1Pn各々のパルス幅を、消灯状態を表すゼロから図2に示す発光駆動期間T1以下の範囲内で個別に調整する。また、発光ドライバ15は、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)を発光させる発光駆動パルスL3P1〜L3Pn各々のパルス幅を、消灯状態を表すゼロから図2に示す発光駆動期間T3以下の範囲内で個別に調整する。
【0030】
発光ドライバ16は、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)を発光させる発光駆動パルスL2P1〜L2Pn各々のパルス幅を、消灯状態を表すゼロから図2に示す発光駆動期間T2以下の範囲内で個別に調整する。また、発光ドライバ16は、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)を発光させる発光駆動パルスL5P1〜L5Pn各々のパルス幅を、消灯状態を表すゼロから図2に示す発光駆動期間T5以下の範囲内で個別に調整する。
【0031】
発光ドライバ17は、第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)を発光させる発光駆動パルスL4P1〜L4Pn各々のパルス幅を、消灯状態を表すゼロから図2に示す駆動周期TW以下の範囲内で個別に調整する。
【0032】
ここで、発光素子P(1、1)〜P(n、5)は、選択ラインS1〜S5を介して夫々のカソード電極に基準電位VRが印加されている間において、駆動電圧供給ラインA1〜An、B1〜Bn、C1〜Cnを介して夫々のアノード電極に供給された発光駆動パルスに応じて発光する。
【0033】
以下に、上記した発光装置100の製造方法について説明する。
【0034】
先ず、例えばLEDとしての(5・n)個の発光素子Pを個別に製造し、夫々を発光素子P(1、1)〜P(n、5)として、図3に示すように、支持基板SB上に(n列、5行)のマトリクス状に実装する。尚、LEDを個別に製造するのではなく、(n列、5行)のマトリクス状にLEDが配列された半導体チップを製造し、これを支持基板SB上に配置するようにしても良い。
【0035】
次に、発光素子P(1、1)〜P(n、5)各々に接続されるべき選択ラインS1〜S5、駆動電圧供給ラインA1〜An、B1〜Bn及びC1〜Cnが配線されているマトリクス回路基板SUを製造する。尚、マトリクス回路基板SUには、図3に示すように、選択ラインS1〜S5に接続されている外部端子c1〜c5、駆動電圧供給ラインA1〜Anに接続されている外部端子x1〜xn、駆動電圧供給ラインB1〜Bnに接続されている外部端子y1〜yn、及び駆動電圧供給ラインC1〜Cnに接続されている外部端子z1〜znが形成されている。
【0036】
次に、図3に示すように、発光素子P(1、1)〜P(n、5)が配置されている支持基板SBを、マトリクス回路基板SUに貼り合わせ、発光素子P(1、1)〜P(n、5)各々と、マトリクス回路基板SUに形成されている選択ラインS1〜S5、駆動電圧供給ラインA1〜An、B1〜Bn及びC1〜Cnとを電気的に接続する。
【0037】
次に、外部端子c1〜c5、x1〜xn、y1〜yn及びz1〜znと、時分割ドライバ12、13、選択ドライバ14及び発光ドライバ15〜17と、を電気的に接続する。
【0038】
尚、アノード側に時分割ドライバ、カソード側に発光ドライバを接続する回路構成を採用しても良い。この際、図2ではマイナスバイアスでオン状態となっているが、プラスバイアスでオン状態となる。
【0039】
ここで、上記したように製造された発光装置100を車両の前照灯装置として用いる場合には、マトリクス回路基板SUを光源として前照灯内に組み込む。
【0040】
以下に、上記した発光装置100による発光動作について、図4を参照しつつ説明する。尚、図4は、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)、つまりデユーティ比の一例を示す図である。
【0041】
第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)各々のカソード電極には、図2に示すように、駆動周期TW毎に、0.2・TWの発光駆動期間T1の間だけ選択ラインS1を介して基準電位VRが供給される。
【0042】
よって、第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)は、各駆動周期TW内において、最大で0.2・TWの発光駆動期間T1の間だけ、駆動電圧供給ラインA1〜Anを介して供給された発光駆動パルスL1P1〜L1Pnに応じて発光する。この際、駆動周期TWに亘り発光素子Pを発光させた際に視覚される照度を「100」とした場合、第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)では、最大で照度「20」の発光が視覚される。尚、第1行目に属する発光素子P(1、1)〜P(n、1)は、発光ドライバ15による発光駆動パルスL1P1〜L1Pn各々のパルス幅調整により、照度「0」(消灯)〜照度「20」の範囲内で発光時の照度が調整される。
【0043】
第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)各々のカソード電極には、図2に示すように、駆動周期TW毎に、0.5・TWの発光駆動期間T2の間だけ選択ラインS2を介して基準電位VRが供給される。
【0044】
よって、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)は、各駆動周期TW内において、最大で0.5・TWの発光駆動期間T2の間だけ、駆動電圧供給ラインB1〜Bnを介して供給された発光駆動パルスL2P1〜L2Pnに応じて発光する。これにより、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)では、最大で照度「50」の発光が視覚される。尚、第2行目に属する発光素子P(1、2)〜P(n、2)は、発光ドライバ16による発光駆動パルスL2P1〜L2Pn各々のパルス幅調整により、照度「0」(消灯)〜照度「50」の範囲内で発光時の照度が調整される。
【0045】
第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)各々のカソード電極には、図2に示すように、駆動周期TW毎に、0.8・TWの発光駆動期間T3の間だけ選択ラインS3を介して基準電位VRが供給される。
【0046】
よって、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)は、各駆動周期TW内において、最大で0.8・TWの発光駆動期間T3の間だけ、駆動電圧供給ラインA1〜Anを介して供給された発光駆動パルスL3P1〜L3Pnに応じて発光する。これにより、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)では、最大で照度「80」の発光が視覚される。尚、第3行目に属する発光素子P(1、3)〜P(n、3)は、発光ドライバ15による発光駆動パルスL3P1〜L3Pn各々のパルス幅調整により、照度「0」(消灯)〜照度「80」の範囲内で発光時の照度が調整される。
【0047】
第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)各々のカソード電極には、図2に示すように、駆動周期TWに亘り選択ラインS4を介して基準電位VRが供給される。
【0048】
よって、第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)は、各駆動周期TW内において、最大で駆動周期TWの間に亘り、駆動電圧供給ラインC1〜Cnを介して供給された発光駆動パルスL4P1〜L4Pnに応じて発光する。これにより、第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)では、最大で照度「100」の発光が視覚される。尚、第4行目に属する発光素子P(1、4)〜P(n、4)は、発光ドライバ17による発光駆動パルスL4P1〜L4Pn各々のパルス幅調整により、照度「0」(消灯)〜照度「100」の範囲内で発光時の照度が調整される。
【0049】
第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)各々のカソード電極には、図2に示すように、駆動周期TW毎に、0.5・TWの発光駆動期間T5の間だけ選択ラインS5を介して基準電位VRが供給される。
【0050】
よって、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)は、各駆動周期TW内において、最大で0.5・TWの発光駆動期間T5の間だけ、駆動電圧供給ラインB1〜Bnを介して供給された発光駆動パルスL5P1〜L5Pnに応じて発光する。これにより、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)では、最大で照度「50」の発光が視覚される。尚、第5行目に属する発光素子P(1、5)〜P(n、5)は、発光ドライバ16による発光駆動パルスL5P1〜L5Pn各々のパルス幅調整により、照度「0」(消灯)〜照度「50」の範囲内で発光時の照度が調整される。
【0051】
次に、発光装置100を車両の前照灯装置として用いた場合を例にとって、発光装置100による配光制御について図5図8を参照しつつ説明する。尚、図5図8は、(20列、5行)のマトリクス状に発光素子P(1、1)〜P(20、5)が配置されている発光パネル10を前照灯の光源として用いた場合における、以下の各状況毎の配光パターンを示す図である。この際、図5図8に示す配光パターンは、発光素子Pによる最大の照度を「100」とした場合に、各発光素子Pで視覚される照度を表している。
【0052】
先ず、配光制御部11が、自車両に搭載されている車載コンピュータから送出された照射回避物、例えば前方車両の有無を示す前方車両検出信号を受ける。ここで、前方車両検出信号が、前方車両が存在していないことを示す場合には、配光制御部11は、図5に示す配光パターンで各発光素子Pを発光させる一方、前方車両が存在していることを示す場合には図6に示す配光パターンで各発光素子Pを発光させるべく、発光ドライバ15〜17を制御する(ADB配光制御)。
【0053】
すなわち、前方に車両が存在していない場合には、配光制御部11は、図5に示すように、発光素子P(1、1)〜P(20、5)による2次元発光面内の中心領域の発光素子、例えば第4行目に属する発光素子P(8、4)〜P(13、4)を最大の照度「100」で発光させ、第3行目に属する発光素子P(8、3)〜P(13、3)を照度「80」で発光させる。そして、2次元発光面の中心領域から離れるほど、配光制御部11は、例えば照度「50」、照度「20」、照度「0」の順に徐々に各発光素子Pの照度を低下させる。
【0054】
ここで、前方に車両が現れた場合には、配光制御部11は、図6に示すように、中心領域の発光素子P(8、4)〜P(13、4)の上方向に隣接する例えば発光素子P(9、3)〜P(12、3)、P(9、2)〜P(12、2)、P(9、1)〜P(12、1)各々の照度を「0」に切り替える。つまり、前方車両への前照灯の照射量を抑えるべく、主に前方の道路を照らす発光素子P(8、4)〜P(13、4)よりも上方を照射、すなわち前方車両を照らすことになる発光素子P(9、3)〜P(12、3)、P(9、2)〜P(12、2)、P(9、1)〜P(12、1)を消灯させるのである。
【0055】
また、配光制御部11は、車載コンピュータから送出された車両の操舵方向を示す操舵信号を受ける。ここで、かかる操舵信号が、例えば車両の進行方向を右側に切り替える右操舵を示す場合には、配光制御部11は、図5に示す配光パターンを全体的に右側に移動させた、例えば図7に示す配光パターンで各発光素子Pを発光させるべく、発光ドライバ15〜17を制御する(AFS配光制御)。
【0056】
すなわち、右操舵時には配光制御部11は、例えば図7に示すように、最大の照度「100」で発光させる発光素子のグループを、発光素子P(8、4)〜P(13、4)から、発光素子P(6、4)〜P(11、4)に切り替えるのである。これにより、前照灯による配光の中心軸が右前方に移動する。
【0057】
更に、かかる右操舵時において、前方に車両が存在することを示す前方車両検出信号を受けた場合には、配光制御部11は、図8に示すように、最大の照度「100」で発光する発光素子P(6、4)〜P(11、4)よりも上方を照射、すなわち前方車両を照らすことになる例えば発光素子P(7、3)〜P(10、3)、P(7、2)〜P(10、2)、P(7、1)〜P(10、1)各々の照度を「0」に切り替える(ADB+AFS配光制御)。
【0058】
すなわち、右操舵時に前方に車両が存在する場合には、前方車両への前照灯の照射量を抑えるべく、右方向の道路を主に照らす発光素子P(6、4)〜P(11、4)よりも上方を照射、つまり前方車両を照らすことになる発光素子P(7、3)〜P(10、3)、P(7、2)〜P(10、2)、P(7、1)〜P(10、1)を消灯させるのである。
【0059】
よって、発光装置100を車両の前照灯装置として用いることにより、ミラーや光遮断用のシャッタを用いることなく、ADB配光、AFS配光、(ADB+AFS)配光などの各種配光制御を実現することが可能となる。
【0060】
以上のように、発光装置100では、図9の模式図に示すように、時分割ドライバ12が、第1行目に属する発光素子群[P(1、1)〜P(n、1)]と、これから1行分隔てた第3行目に属する発光素子群[P(1、3)〜P(n、3)]とを時分割で発光駆動する。また、これと並行して、時分割ドライバ13が、第2行目に属する発光素子群[P(1、2)〜P(n、2)]と、これから2行分隔てた第5行目に属する発光素子群[P(1、5)〜P(n、5)]とを時分割で発光駆動する。
【0061】
更に、発光装置100では、選択ドライバ14が、第4行目に属する発光素子群[P(1、4)〜P(n、4)]を常時発光駆動する、いわゆるスタティック駆動を実施している。
【0062】
要するに、図1に示す発光装置100は、第1行目(又は第2行目)の発光素子群と、第3行目(又は第5行目)の発光素子群とをダイナミック駆動にて時分割発光させつつ、第4行目の発光素子群をスタティック駆動によって発光させているのである。
【0063】
かかる構成によれば、発光素子P(1、1)〜P(n、5)と各ドライバ(12〜17)とを接続する配線の数は、上記した選択ラインS1〜S5、駆動電圧供給ラインA1〜An、B1〜Bn及びC1〜Cnによる合計(3n+5)本となる。従って、発光素子Pの列数「n」を3以上とした場合には、発光素子P(1、1)〜P(n、5)を全てスタティック駆動で発光させる場合に必要となる配線数(5n+1)本よりも少なくなる。
【0064】
よって、図1に示す構成によれば、発光パネル10及びドライバ(12〜17)間を接続する外部配線の数を少なくすることができるので、ドライバ側において外部配線毎に必要となる例えば出力アンプの数を減らすことが可能となる。これにより、装置規模の縮小化及び低消費電力化を実現することが可能となる。
【0065】
また、図1に示す発光装置100では、全5行からなる発光素子群のうちの、第1行目(又は第2行目)の発光素子群と、第3行目(又は第5行目)の発光素子群とを駆動周期TW毎に、時系列的に2分割して順次発光駆動するようにしている。これにより、全5行の発光素子群を時系列的に5分割して時分割駆動する場合に比して、1回あたりの発光素子Pの発光期間を長くすることができるので、高輝度化が図られるようになる。
【0066】
また、発光装置100に含まれれる時分割ドライバ12では、第1行目の発光素子群と、第3行目の発光素子群とを時分割駆動するにあたり、第1行目の発光素子群に対する発光駆動期間T1と、第3行目の発光素子群に対する発光駆動期間T3との割合、つまりデユーティ比を互いに異ならせている。これにより、複数の発光素子による発光面内において、照度が異なる領域を形成させている。
【0067】
更に、発光装置100では、時分割ドライバ12により、互いに1つの行を隔てて配列されている一対の「行」、つまり第1行目に属する発光素子群と第3行に属する発光素子群とを異なる照度「20」及び「80」で発光させつつ、時分割ドライバ13により、上記した1つの行、つまり第2行に属する発光素子群を照度「50」で発光させている。
【0068】
よって、このような発光装置100によれば、例えば図5に示すように、発光パネル10による2次元発光面内において、中心領域から端部に向けて徐々に照度が推移するという、車両の前照灯として最適な配光パターンを得ることが可能となる。
【0069】
尚、図1に示す発光パネル10では、発光素子Pのマトリクス配列が(n列、5行)となっているが、その行数は5行に限定されない。
【0070】
図10は、発光素子Pのマトリクス配列が(n列、6行)の発光パネル10を駆動する際に為される発光装置100の構成を簡略的に示す模式図である。図10に示す構成では、時分割ドライバ12が、駆動周期TW毎に、第1行目の発光素子群と、第3行目の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。時分割ドライバ13aは、かかる駆動周期TW毎に、第2行目の発光素子群と、第6行目の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。更に、選択ドライバ14が第4行目に属する発光素子群を駆動周期TWに亘り発光駆動し、選択ドライバ18が第5行目に属する発光素子群を駆動周期TWに亘り発光駆動する。
【0071】
図11は、図10に示す構成によって発光パネル10を駆動する際における、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)、つまりデユーティ比の一例を示す図である。
【0072】
尚、上記した実施例では、駆動周期TW内において、各ドライバが互いに異なる「行」に属する2系統の発光素子群を時系列的に2分割して順次発光駆動するようにしているが、時分割駆動における分割数は、発光パネル10の全行数よりも少なければ「2」以上であっても良い。
【0073】
図12は、かかる点に鑑みて為された、発光装置100の他の一例を簡略的に示す模式図である。図12に示す構成では、発光パネル10における発光素子Pのマトリクス配列が(n列、6行)であり、時分割ドライバ12aが、駆動周期TW毎に、第1行目の発光素子群と、第2行目の発光素子群と、第5行目の発光素子群とを、時系列的に3分割して順次発光駆動する。時分割ドライバ13aは、かかる駆動周期TW毎に、第3行目の発光素子群と、第6行目の発光素子群とを時系列的に2分割して順次発光駆動する。更に、選択ドライバ14が、第4行目に属する発光素子群を駆動周期TWに亘り発光駆動する。
【0074】
図13は、図12に示す構成によって発光パネル10を駆動する際における、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)、つまりデユーティ比の一例を示す図である。
【0075】
また、上記した実施例では、1つの発光パネル10に対して、時分割駆動及びスタティック駆動を混在させて実施するようにしているが、時分割駆動のみで発光パネル10を駆動するようにしても良い。
【0076】
図14は、かかる点に鑑みて為された、発光装置100の他の一例を簡略的に示す模式図である。図14に示す構成では、発光パネル10における発光素子Pのマトリクス配列が(n列、6行)であり、時分割ドライバ12bが、駆動周期TW毎に、第1行目の発光素子群と、第4行目の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。時分割ドライバ13bは、かかる駆動周期TW毎に、第2行目の発光素子群と、第5行目の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。時分割ドライバ19は、駆動周期TW毎に、第3行目の発光素子群と、第6行目の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。
【0077】
図15は、図14に示す構成によって発光パネル10を駆動する際における、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)、つまりデユーティ比の一例を示す図である。
【0078】
要するに、本発明に係る発光装置は、発光素子がm行n列(nは1以上の整数、mは3以上の整数)のマトリクス状に配列されている発光パネルを、以下の第1のドライバ(例えば時分割ドライバ12及び発光ドライバ15)と、第2のドライバ(例えば、時分割ドライバ13及び発光ドライバ16、ないし選択ドライバ14及び発光ドライバ17)とで駆動するようにしたものである。
【0079】
すなわち、第1のドライバが、少なくとも1つの行を隔てて配列されている一対の行を含むK行(Kは2以上m未満の整数)分の各行に属する発光素子を駆動周期毎に、時系列的にK分割して順次発光駆動し、これと並行して第2のドライバが、上記した少なくとも1つの行に属する発光素子を駆動周期毎に発光駆動するのである。
【0080】
かかる構成によれば、(n・m)個の発光素子を全てスタティック駆動で発光させる場合に比して、各発光素子とドライバとを接続する配線数を減らすことが可能となるので、装置規模の縮小化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0081】
また、上記した構成によれば、m行の全てを対象として各行に属する発光素子群を時系列的にm分割して時分割発光駆動する場合に比して、1回あたりの発光素子の発光期間を長くすることができるので、高輝度化が図られるようになる。
【0082】
更に、かかる構成によれば、発光素子がm行n列のマトリクス状に配列されている発光パネルにおける2次元発光面内において、高照度(又は低照度)から低照度(又は高照度)へと徐々に照度が推移する配光パターンを得ることが可能となる。
【0083】
ここで、左右方向への光の広がりを要求されない車両前照灯装置として、本発明に係る発光装置を用いる場合には、発光パネル10の2次元発光面内の水平方向における端部領域、つまり右端部領域及び左端部領域に配置されている発光素子群に対しては、全て同一の低照度で発光させるようにしても良い。
【0084】
図16は、かかる点に鑑みて為された、発光装置100の他の一例を簡略的に示す模式図である。尚、図16に示す構成では、発光パネル10における発光素子Pのマトリクス配列が(n列、5行)である。
【0085】
図16に示す時分割ドライバ12は、駆動周期TW毎に、例えば図17に示すような第5列〜第(n−4)列までの範囲からなる中央領域CAに配列されている第1行目の発光素子群と、上記中央領域CAに配列されている第3行目の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。時分割ドライバ13は、駆動周期TW毎に、上記中央領域CAに配列されている第2行目の発光素子群と、上記中央領域CAに配列されている第5行目の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。選択ドライバ14は、上記中央領域CAに配列されている第4行目の発光素子群に対しては、これを駆動周期TWに亘り発光駆動する、いわゆるスタティック駆動を実施する。
【0086】
図16に示す時分割ドライバ20は、駆動周期TW毎に、例えば図17に示すような第1列〜第4列までの範囲からなる右端部領域RAに配列されている第1〜第5行目の発光素子群を、時系列的に5分割して順次発光駆動する。例えば、時分割ドライバ20は、第1行、第2行、第3行、第4行、第5行の順に、各行に属する右端部領域RAの発光素子群を、夫々図2に示す0.2・TWの発光駆動期間T1の間だけ発光させるべき時分割駆動を実施するのである。
【0087】
時分割ドライバ21は、駆動周期TW毎に、例えば図17に示すような第(n−3)列〜第n列までの範囲からなる左端領域LAに配列されている第1〜第5行目の発光素子群を行単位にて、時系列的に5分割して順次発光駆動する。例えば、時分割ドライバ21は、第1行、第2行、第3行、第4行、第5行の順に、各行に属する左端領域LAの発光素子群を、夫々図2に示す0.2・TWの発光駆動期間T1の間だけ発光させるべき時分割駆動を実施するのである。
【0088】
尚、図16に示す構成では、時分割ドライバ12〜14、20及び21に接続される発光パネル10の選択ラインS1〜S5としては、右端部領域RA、中央領域CA及び左端領域LA毎に独立したもの、つまり領域間で電気的接続が遮断されているものを用いる。ただし、左端領域LAの発光素子群の駆動を担う時分割ドライバ20、及び右端部領域RAの発光素子群の駆動を担う時分割ドライバ21は、中央領域CAの発光素子群の駆動を担う時分割ドライバ12及び13と同期してその動作を行う。
【0089】
図17は、図16に示す構成によって発光パネル10を駆動する際における、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)、つまりデユーティ比の一例を示す図である。
【0090】
また、上記実施例においては、同一の縦横サイズを有する発光素子Pをマトリクス状に配列された発光パネル10を採用しているが、縦横サイズが互いに異なる発光素子Pが混在して配列された発光パネル10を用いるようにしても良い。
【0091】
図18は、かかる点に鑑みて為された、発光パネル10における発光素子の配列形態の他の一例を示す図である。図18に示す一例では、第6列〜第(n−5)列までの範囲からなる中央領域CAに配置されている第3行〜第7行各々に属する発光素子Pは、前述した発光素子Pと同一の縦横サイズを有するものである。ただし、中央領域CAに配置されている第1及び第2行に跨る発光素子Q(6,1)〜Q(n-5,1)の各々は、その縦方向の長さが発光素子Pの2倍である。
【0092】
また、図18に示す一例では、第1列〜第5列までの範囲からなる右端部領域RAには、発光素子Pに比して縦横サイズが夫々2倍の発光素子Ra1、Ra2、Rb1、Rb2、RXa1及びRXb1と、発光素子Pに比して横サイズだけが2倍の発光素子RXa2及びRXb2が配置されている。更に、右端部領域RAには、発光素子Pに比して縦サイズだけが2倍の発光素子Rc1、Rc2及びRc3と、発光素子Pと同一サイズの発光素子Rc4とが配置されている。
【0093】
一方、第(n−4)列〜第n列までの範囲からなる左端領域LAには、発光素子Pに比して縦横サイズが夫々2倍の発光素子La1、La2、Lb1、Lb2、LXa1及びLXb1と、発光素子Pに比して横サイズだけが2倍の発光素子LXa2及びLXb2が配置されている。更に、左端領域LAには、発光素子Pに比して縦サイズだけが2倍の発光素子Lc1、Lc2及びLc3と、発光素子Pと同一サイズの発光素子Lc4とが配置されている。
【0094】
この際、図18に示す中央領域CAに配置されている発光素子P及びQに対しては、前述した実施例と同様な時分割駆動及びスタティック駆動が実施される。一方、右端部領域RA及び左端領域LAに配置されている発光素子に対しては、上記した発光素子P及びQに施す時分割駆動に同期させて、例えば以下のような時分割駆動を行う。
【0095】
すなわち、駆動周期TW毎に、図18に示す発光素子Ra1、Rb1、La1及びLb1からなる第1の発光素子群と、発光素子Ra2、Rb2、La2及びLb2からなる第2の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。また、これと並行して、駆動周期TW毎に、図18に示す発光素子RXa1、RXb1、LXa1及びLXb1からなる第3の発光素子群と、発光素子RXa2、RXb2、LXa2及びLXb2からなる第4の発光素子群とを、時系列的に2分割して順次発光駆動する。更に、駆動周期TW毎に、図18に示す発光素子Rc1及びLc1からなる第5の発光素子群と、発光素子Rc2及びLc2からなる第6の発光素子群と、発光素子Rc3及びLc3からなる第7の発光素子群と、発光素子Rc4及びLc4からなる第8の発光素子群とを時系列的に4分割して順次発光駆動する。
【0096】
図19は、図18に示す発光パネル10を駆動する際における、駆動周期TW内での各発光素子の発光駆動期間Tの割合(%)、つまりデユーティ比の一例を示す図である。
【0097】
尚、上記実施例においては、各発光素子のカソード電極と時分割ドライバとを選択ラインを介して電気的に接続すると共に、各発光素子のアノード電極と発光ドライバとを駆動電圧供給ラインを介して電気的に接続するようにしている。しかしながら、各発光素子のアノード電極と時分割ドライバとを電気的に接続し、各発光素子のカソード電極と発光ドライバとを電気的に接続するようにしても良い。この際、時分割ドライバが、高電位の基準電位を有する時分割駆動パルスを選択ラインを介して発光素子のアノード電極に供給し、発光ドライバが、低電位の発光駆動パルスを駆動電圧供給ラインを介して発光素子のカソード電極に供給する。
【符号の説明】
【0098】
10 発光パネル
11 配光制御部
12〜14 時分割ドライバ
15、16 発光ドライバ
P(1,1)〜P(n,5) 発光素子
S1〜S5 選択ライン
A1〜An、B1〜Bn、C1〜Cn 駆動電圧供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19