(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び前記第1の導電型とは反対導電型の第2の導電型を有する第2の半導体層がこの順で順次積層され、互いに対向する端面によって共振器を構成する半導体構造層と、
前記第1の半導体層の表面から前記発光層に向けて窪んでおり、前記発光層に達しない深さを有する底部を備えた凹部と、
前記凹部の前記底部に設けられた光散乱体と、を有し、
前記凹部から光を放出することを特徴とする半導体発光素子。
前記複数の突起の各々は、前記半導体構造層に垂直な方向から見たとき、前記半導体構造層における光の共振方向に垂直な方向に沿ってライン状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体発光素子。
前記凹部は、前記半導体構造層に垂直な方向から見たとき、自動車用ヘッドライトのすれ違い用配光に応じたカットオフラインを有する外縁形状を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の発明者らは、共振器を用いた発光素子において、端面における光学損傷の欠点を解決することに着目し、検討した結果、本発明に至った。本願の発光素子は、共振器構造の半導体構造層において光の共振方向に垂直な方向から散乱光として光を取出すことを特徴とする。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(a)は、実施例1の半導体発光素子10の半導体構造層の構造を示す斜視図である。半導体発光素子10は、n型(第1の導電型の)半導体層(第1の半導体層)11、発光層12及びp型(n型とは反対導電型の第2の導電型の)半導体層(第2の半導体層)13を含む半導体構造層SLを有している。n型半導体層11、発光層12及びp型半導体層13は、例えばAl
xIn
yGa
1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)の組成を有している。半導体構造層SLは、n型半導体層11、発光層12及びp型半導体層13がこの順で順次積層された構造を有している。なお、本実施例においては、半導体構造層SLに垂直な方向から見たとき、半導体構造層SLが矩形形状を有する場合について説明する。
【0011】
半導体構造層SLは、互いに対向する端面ES(第1の端面ES1及び第2の端面ES2)によって共振器を構成している。以下においては、互いに対向する端面ESを端面対と称する場合がある。本実施例においては、半導体構造層SLは、ファブリペロー(FP)型の共振器構造を有する場合について説明する。発光層12から放出された光は、第1の端面ES1及び第2の端面ES2によって反射を繰り返し、共振方向RDに沿って共振し、増幅される。
【0012】
半導体構造層SLは、n型半導体層11の表面から発光層12に向かって窪んだ凹部11Aを有している。凹部11Aは、発光層12に達しない深さを有する底部を備えている。凹部11Aは、半導体発光素子10の光取出し部として機能する。すなわち、半導体発光素子10は、凹部11Aから半導体構造層SLに垂直な方向に光を放出する。また、凹部11Aは、半導体構造層SLの上面又は下面に平行な底面を有する。
【0013】
半導体構造層SLのp型半導体層13の表面には、半導体構造層SLの共振方向RDに沿って、第1の溝13A1及び第2の溝13A2からなる一対の溝13Aが形成されている。半導体構造層SLは、この溝対13Aによって形成されたリッジ部13Bを有している。半導体構造層SLの共振器構造の幅は、リッジ部13Bのリッジ幅RWによって画定される。なお、凹部11A及び溝対13Aは、それぞれn型半導体層11及びp型半導体層13に反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを行うことによって形成することができる。
【0014】
図1(b)は、半導体発光素子10の半導体構造層SLの上面図である。半導体発光素子10は、上記したように、半導体構造層SLのn型半導体層11上に、光取出し部として凹部11Aが形成されている。本実施例においては、凹部11Aは、第1及び第2の端面ES1及びES2間の距離よりも小さい長さを有し、リッジ幅RWよりも小さい幅を有している。
【0015】
図2(a)及び(b)は、半導体発光素子10の構造を示す断面図である。
図2(a)は、
図1(b)におけるV−V線に沿った断面図に対応し、半導体発光素子10の共振方向RDに沿った断面を示している。半導体構造層SLの端面対ESにおける第1の端面ES1及び第2の端面ES2には、それぞれ第1の反射ミラーML1及び第2の反射ミラーML2が設けられている。第1及び第2の反射ミラーML1及びML2は互いに対向する一対の反射ミラーMLを構成しており、反射ミラー対MLによって共振器を構成している。
【0016】
n型半導体層11上及びp型半導体層13上には、それぞれn電極(第1の電極)14及びp電極(第2の電極)15が形成されている。本実施例においては、n電極14はn型半導体層11上における凹部以外の領域全体に形成されている。また、p電極15は、p型半導体層13上において共振方向RDの全域に亘って形成されている。p電極15は、Ag、Pt、Ni、Al、Pdやこれらの合金などの反射金属を用いて形成されていることが望ましい。また、オーミックコンタクト材料として、ITOやIZOなど、Inを含む透明導電性酸化物を用いてもよい。なお、
図1(a)及び(b)においては、説明上、反射ミラー対ML、n電極14及びp電極15の図示を省略してある。
【0017】
図2(b)は、
図1(b)におけるW−W線に沿った断面図である。本実施例においては、
図2(b)は、半導体構造層SLの面内方向において共振方向RDに垂直な方向における半導体発光素子10の断面図である。本実施例においては、p電極15は、p型半導体層13のリッジ部13B上、すなわち第1及び第2の溝13A1及び13A2間に形成されている。すなわち、p電極15はリッジ幅RWと同程度の幅を有している。
【0018】
図3は、半導体発光素子10において凹部11Aから光が取出される仕組みを説明する図である。
図3は、
図2(a)と同様の断面図であるが、一部のハッチング及び参照符号を省略してある。
図3に示すように、発光層12から放出された光は、定常状態においては、共振方向RDに沿って、半導体構造層SLの両端面、すなわち反射ミラーML1及びML2間で共振している。共振状態における半導体構造層SL内の光フィールドは、半導体レーザと同様に、発光層12の近傍において高い強度を有し、発光層12から離れると減衰する。すなわち、共振状態においては発光層12の近傍に光が集中する。
【0019】
本実施例においては、n型半導体層11の表面において、発光層12に向けて窪んだ凹部11Aが形成されている。凹部11Aは、共振器構造の発光層12に向けて、n型半導体層11内に至るように形成されている。凹部11Aは、その底部がn型半導体層11内に設けられる。この凹部11Aの発光層12までの形成深さを適切に設定することによって、発光層12の近傍の光フィールドの裾野の部分の光が取出される。これは、凹部11Aの底面が発光層12に近づくにつれて、光電場のエバネッセント場がこの凹部底面に染み出るようになることに起因する。従って、凹部11Aの底部から、散乱光SLとして光を外部に取出すことができる。
【0020】
具体的には、ドライエッチング等によって、凹部11Aの底面は、厳密には理想的な平坦ではなく粗面として形成されている。この凹部11Aの底面は、光フィールドに屈折率変化をもたらす。従って、凹部11Aの底面にて全反射する導波光の一部が、凹部11Aの底面の表面粗さに応じて散乱する。この散乱した光は凹部11Aの底面から外部に取出される。このようにして、凹部11Aによって、散乱光SLとして、半導体構造層SLに垂直な方向に光を取出すことが可能となる。
【0021】
なお、一般的な半導体レーザの場合、共振器端面の一方の反射率をわずかに小さくし、その端面から共振して増幅された光を取り出す。その場合、当該端面においてCODが発生することを考慮する必要がある。しかし、本実施例においては、端面ES1及びES2の両方をほぼ完全な反射面として(反射率を100%に近くなるように)構成し、共振器端面からは光を取り出さない。従って、CODによる端面破壊を考慮する必要がない。
【0022】
また、一般的な半導体レーザの場合、光を取り出す方向は共振方向と同じ方向であるが、本実施例においては共振方向に垂直な方向、すなわち半導体構造層に垂直な方向に光を取り出す。従って、面発光が可能となり、その発光形状を素子自体で自由に設計することが可能となる。また、凹部11Aから取出される散乱光SLは、高い強度を有しているため、高輝度の光源として使用することが可能となる。
【0023】
また、一般的な半導体レーザにおいては、所定の閾値以上の駆動電流を印加しなければ光を共振させることができないため、レーザ光を取出すには一定の閾値電流以上の電流を印加する必要がある。一方、本実施例においては、レーザ光のような共振したビーム状の光を取出すのではなく、凹部11Aにおいて散乱した散乱光を取出す。また、本実施例においては、光取出し部が半導体構造層SLの主面上に形成されているため、ヒートシンクを半導体構造層SLの直下に形成するなど、放熱が容易となる。従って、高い放熱性を実現することが可能となる。
【0024】
また、本実施例においては、半導体構造層の端面の両方に反射ミラーが設けられている場合について説明したが、反射ミラーは対向する端面のうち、少なくとも1つの端面に設けられていればよい。また、端面の反射率は適宜調節することが可能である。例えば、共振光の光量を測定するために一方の端面の反射率を100%よりも小さくしてもよい。
【0025】
図4は、実施例1の変形例1に係る半導体発光素子10Aの構造を示す断面図である。
図4は、半導体発光素子10Aの共振方向RDの断面図である。半導体発光素子10Aは、凹部11Aの底部に光散乱体21が設けられていることを除いては、半導体発光素子10と同様の構造を有している。本変形例においては、凹部11Aは、その底部に複数の光散乱体21が設けられている。光散乱体21は、例えば蛍光体粒子からなり、凹部11Aの底部には複数の蛍光体粒子が充填されている。凹部11Aの底部に光散乱体21が設けられていることによって、凹部11Aの底部において光フィールドに対する屈折率がランダムに変化する。従って、凹部11Aの底部における共振光の散乱が促進され、より多くの散乱光を凹部11Aから取り出すことが可能となる。
【0026】
また、凹部11Aの底面から取出された散乱光は、その一部が蛍光体粒子に吸収される。蛍光体粒子に吸収された光は、散乱光とは異なる波長を有する蛍光となり、蛍光体粒子から放出される。一方、散乱光の一部は蛍光体粒子に吸収されることなく凹部11Aから放出される。この結果、凹部11Aからは、全体として蛍光体粒子からの蛍光と散乱光とが混在した光が放出される。例えば、散乱光が青色光であり、蛍光が黄色光である場合、この交じり合った光は白色光として観察されることとなる。
【0027】
なお、散乱光の波長(すなわち色)は、発光装置を作製する際の半導体材料を選択することによって適宜決定、変更することができる。また、蛍光の波長は、蛍光体粒子の材料を選択することによって決定又は変更することができる。例えば、外部に放出される光の色度を所望のものとすることを目的として半導体材料及び蛍光体材料が選択される。蛍光体材料としては、例えばYAG:Ce、(Ca、Sr、Ba)−SiAlON:Eu等酸窒化物蛍光体、(La、Y)
3Si
6N
11:Ce等窒化物系蛍光体を用いることができる。また、蛍光体粒子ではなく、例えばSiO
2やAl
2O
3などを光散乱体21として用いることもできる。
【0028】
図5(a)は、実施例1の変形例2に係る半導体発光素子10Bの構造を示す断面図である。
図5(a)は、半導体発光素子10Bの共振方向RDの断面図である。半導体発光素子10Bは、凹部11Dの底部が複数の突起PJによって凹凸構造を有していることを除いては、半導体発光素子10と同様の構造を有している。本変形例においては、凹部11Dは、その底部に、共振方向RDに沿って複数の突起PJを有している。
【0029】
本変形例においては、凹部11Dの底部において周期的な凹凸構造が形成されている。従って、凹部11Dの底部において光の屈折率が周期的に変化し、底部において光の散乱が促進される。また、突起PJのピッチP、すなわち突起PJ間の距離は、発光層12の発光波長の整数倍であることが好ましい。例えばピッチPが発光波長の半波長分であると、散乱光が互いに干渉して減衰し合い、取出される光量が低下するからである。
【0030】
図5(b)は、半導体発光素子10Bの上面図である。なお、
図5(a)は、
図5(b)のV−V線に沿った断面図である。本変形例においては、凹部11Dの突起PJは、半導体構造層SLに垂直な方向から見たとき、共振方向RDに垂直な方向に沿ってライン状に形成されている。このように共振方向RDにテクスチャ構造の凹凸を設けることによって、凹部11Dの底部において光フィールドに対する屈折率を周期的に変化させることができる。なお、本変形例においては突起PJがライン状に形成されている場合について説明したが、突起PJはライン状に形成されていなくてもよい。例えば、突起PJは円柱形状を有していてもよい。突起PJが円柱状やライン状に限らず周期的に設けられる場合、突起PJは、共振方向RDにおける突起PJ間の距離(周期、ピッチ)Pが発光層の発光波長の整数倍となるように形成されることが好ましい。
【0031】
なお、突起PJは、明確な周期、ピッチ及びサイズを持たないランダム分布を有していてもよい。例えば、ウェットエッチングによって表面を粗面化することによって突起PJを形成しても凹部から主面に垂直な方向への光取出し効果が可能である。
【0032】
図6は、実施例1の変形例3に係る半導体発光素子10Cの上面を示す図である。半導体発光素子10Cは、凹部11Cの上面視における外縁形状を除いては、半導体発光素子10と同様の構造を有している。本変形例においては、凹部11Cは、半導体構造層SLに垂直な方向から見たとき、自動車用ヘッドライトの配光形状に応じた形状を有している。具体的には、凹部11Cは、自動車用ヘッドライトのすれ違い用配光(すなわちロービーム)に対応したカットオフラインCOを有する外縁形状を有している。
【0033】
なお、本変形例に限らず、凹部11Aの幅と半導体構造層SLのリッジ幅RWとの関係を調節することによって、リッジ幅RWの方向で光量の調節を行うことが可能である。具体的には、凹部11Aの幅をリッジ幅RWよりも小さくすると、凹部11Aの幅の方向の全域が共振領域に含まれるため、光量は幅方向では大きく変わらない。一方、凹部11Aの幅をリッジ幅RWよりも大きくすると、凹部11Aの底面には、共振器構造から外れた領域が形成される。従って、凹部11A内におけるリッジ幅RWの外側の領域の光量はリッジ幅RWの内側領域上の光量よりも小さい。従って、凹部内において光量の差を付けることが可能となる。
【0034】
例えば、自動車用ヘッドライト用の光源として本願の発光素子を用いる場合、凹部内において光量の差を付けることが有利となる。具体的には、自動車用ヘッドライトはその照射像の中心部分に高い輝度が要求される一方で、照射像の外縁部分は中心部分よりも低い輝度であってもよい。本変形例においては、凹部11Cによって、素子のみでヘッドライトの配光形状をほぼそのまま実現することが可能となる上に、照射領域における輝度調節を容易にすることが可能となる。従って、素子をコンパクトにするのみならず、光学系を単純なものにすることが可能となる。
【0035】
なお、上記した変形例1乃至3は、互いに組み合わせることが可能である。例えば、変形例2のように凹凸構造を有する凹部11B上に、変形例1のように光散乱体21を配置することができる。また、用途に応じて凹部を複数個形成してもよい。
【0036】
図7は、実施例1の変形例4に係る半導体発光素子10Dの構造を示す断面図である。
図7は、半導体発光素子10Dの共振方向RDに沿った断面図である。半導体発光素子10Dは、凹部11Dが段差構造を有することを除いては、半導体発光素子10Bと同様の構造を有している。凹部11Dは、凹部11Dの底部に設けられた下段凹部11D1と、凹部の側部に設けられた上段凹部11D2とを有している。下段凹部11D1は、実施例1の凹部11Aと同様に、その底面が共振導波光の散乱を引き起こす機能を有している。
【0037】
なお、本変形例においては、下段凹部11D1が変形例2における凹部11Bと同様の凹凸構造(複数の突起PJ1)を有する場合について図示及び説明するが、下段凹部11D1は、変形例1又は3の凹部11A及び11Cと同様の構造を有していてもよい。
【0038】
上段凹部11D2は、その底面に複数の突起PJ2を有している。この突起PJ2当該底面において、光は高効率で通過する。具体的には、下段凹部11D1において散乱した光は、放射状にすなわち様々な方向に進む。この散乱光は、p電極15などによって反射され、上段凹部11D2の凹凸構造によって外部に取出される。
【0039】
なお、上段凹部11D2は、下段凹部11D1よりも発光層12から離れており、共振導波光の散乱には寄与しない。従って、下段凹部11D1は光の散乱及び光取り出しの両方を考慮して形成することが必要であるが、上段凹部11D2の形成には光取り出しの向上を優先して考慮することが可能となる。これにより、上段凹部11D2には光取り出しを向上させる様々な工夫を施すことができる。例えば突起PJ2を、錐状など光取り出し効果の高い形状とすることが可能となる。また、突起PJのピッチ、密度及び深さを発光波長に合わせて調節することも可能である。
【0040】
図7(b)は、半導体発光素子10Dの上面図である。なお、
図7(a)は、
図7(b)のV−V線に沿った断面図である。
図7(b)に示すように、半導体発光素子10Dの凹部11Dは、凹部11Dの底部に設けられた下段凹部11D1と、凹部11Dの側部に設けられた上段凹部11D2と、によって段差形状を有している。凹部11Dが段差形状を有していることによって、下段凹部11D1によって散乱光の発生及び取り出しを行うことができ、上段凹部11D2によって散乱光の高確率での取り出しを行うことができる。従って、仮に共振領域でない領域上に凹部を形成した場合であっても、凹部全体として高い光取出し効率を実現することが可能となる。
【0041】
なお、本変形例においては、凹部11Dの全ての側部に上段凹部11D2が設けられている場合について説明したが、上段凹部11D2は全ての凹部11Dの側部に設けられている必要はない。例えば、上段凹部11D2は、共振方向RDにおいて互いに対応する2つの側部に設けられていてもよく、また、1つの側部のみに設けられていてもよい。
【0042】
図8は、実施例1の変形例5に係る半導体発光素子10Eの構造を示す断面図である。
図8は、半導体発光素子10Eのリッジ幅方向の断面図であり、上面視における共振方向RDに垂直な方向の断面図である。半導体発光素子10Eは、n電極及びp電極の形成領域を除いては、半導体発光素子10と同様の構造を有している。本変形例の半導体発光素子10Eにおいては、n電極14Aは、n型半導体層11上のみならず、凹部11Aの側面上に形成されている。n電極14Aが凹部11Aの側面に形成されていることによって、n電極の接触面積が増大し、光取出し効率が向上する。また、凹部11Aの底部のみから散乱光を取り出す構成となる。従って、取出し光の指向性が向上し、照射領域をより明確にすることができる。
【0043】
また、p電極15Aは、p型半導体層13上において、リッジ部13B上のみならず、リッジ幅を確定する溝13A1及び13A2の内壁面上、さらに溝の外側領域上に形成されている。本変形例においては、p電極15Aがほぼp型半導体層13の全域上に形成されている。従って、p型半導体層の反射構造面の面積が増大する。従って、共振器構造内に充満する散乱光のほとんどを光取り出し方向すなわち凹部11Aの方向に向かって導くことが可能となる。
【0044】
なお、上記においては、半導体構造層SLがn型半導体層、発光層及びp型半導体層からなる場合について説明したが、例えば、n型半導体層がその発光層側の表面に、ガイド層として、例えばn型のAlGaN層などを設けてもよい。このとき、凹部の形成深さはAlGaN層を含めた発光層までの層厚を考慮して形成すればよい。また、変形例4及び5についても、他の変形例に組み合わせて構成することが可能である。
【0045】
また、上記においては、リッジ部を画定する溝対の第1及び第2の溝が発光層に至らない深さで形成されている場合について説明したが、第1及び第2の溝はp型半導体層及び発光層を貫通してn型半導体層に至る深さで形成されていてもよい。この場合、溝の内壁面にはジャンクション保護などのために絶縁材料などで保護膜を形成し、当該保護膜上にp電極を形成する。
【0046】
また、第1の導電型(又は導電極性)がn型の導電型であり、第2の導電型がn型とは反対の導電型のp型である場合について説明したが、第1の導電型がp型であり、第2の導電型がn型であっていてもよい。また、第1の導電型及び第2の導電型のいずれかが真性導電型であってもよい。すなわち、第1の半導体層及び第2の半導体層のいずれかが真性半導体層(i層)であってもよい。
【0047】
上記においては、半導体発光素子が、共振器構造を有する半導体構造層の第1の半導体層の表面から発光層に向けて窪んでおり、発光層に達しない深さを有する底部を備えた凹部を有している。従って、増幅された共振光を用いてその散乱光を凹部から外部に取り出すことを可能にし、また半導体レーザ特有の光学損傷を解消することが可能となる。従って、高出力かつコンパクトな光源装置を提供することが可能となる。