【実施例1】
【0011】
図1(a)は、実施例1の半導体発光装置10の上面を模式的に示す図である。半導体発光装置10は、搭載基板11上に複数の半導体発光素子20(以下、単に素子と称する場合がある)がアレイ状に並置された構造を有している。半導体発光装置10は、その並置された複数の半導体発光素子20の全体で発光領域EAを構成している。また、半導体発光装置10の発光領域EAは、素子領域及び素子間領域からなる。ここでは、素子間領域とは素子とその隣接する素子との間の領域をいう。
【0012】
本実施例においては、搭載基板11に垂直な方向から見たとき、半導体発光素子20の各々が矩形形状を有する場合について説明する。また、発光素子20が3行3列でマトリクス状に配列されており、全体として矩形の発光領域EAが構成されている場合について説明する。以下においては、複数の半導体発光素子20のうち、隣接して整列した3つの特定の半導体発光素子20を、半導体発光素子20A、20B及び20Cに区別して説明する。
【0013】
図1(a)に示すように、半導体発光装置10は、隣接する半導体発光素子20A及び20B間において互いに対向する一方の半導体発光素子20Aの側面20AS及び他方の半導体発光素子20Bの側面20BSからなる側面対PSのうち、いずれか一方の側面(本実施例では側面20BS)を覆うように形成された遮光膜RCを有している。遮光膜RCは、例えばAg、Pt、Al、Rh及びTiなどの金属材料からなる。遮光膜RCは、素子20からの放出光に対して反射性又は吸収性を有する。すなわち、素子20から放出された光は、遮光膜RCによって反射又は吸収され、遮光膜RCを透過しない。
【0014】
半導体発光装置10の発光領域EAは、遮光膜RCによって複数の発光セグメントESに区画される。なお、
図1(a)には、例示として1つの発光セグメントESを示している。本実施例においては、発光セグメントESは、各素子の外縁によってではなく、側面対PSの一方の側面に設けられた遮光膜RCによって画定される。すなわち、素子領域のみならず、素子間領域も発光セグメントESとして使用する。従って、素子間領域に対応する暗部が照射像には顕在化することが大幅に抑制される。また、発光セグメントESが遮光膜RCによって明確に画定されるため、素子間における光のクロストークが防止される。
【0015】
本実施例においては、素子20が矩形形状を有し、9つの素子20がマトリクス状(格子状)に並置されている。また、素子20は、少なくともその1つの側面20Sにおいて他の素子20に隣接する。従って、行方向及び列方向にそれぞれ6つ、合計12個の側面対PSが構成されている。また、側面対PSの各々はその行方向及び列方向に整列して形成されている。遮光膜RCは、側面対PSのうち、同一側の側面の各々に形成されている。従って、例えば、列方向又は行方向に整列した複数の素子を一斉に発光させた場合には、照射像内に、一直線に形成された明暗の境界を表現することができる。
【0016】
図1(b)は、
図1(a)のV−V線に沿った断面図である。
図1(b)は、互いに隣接する2つの半導体発光素子20B及び20Cの断面図である。
図1(b)に示すように、半導体発光素子20Bは、その隣接する半導体発光素子20Cに対向する(面する)側面20BSが傾斜している。具体的には、側面20BSは、隣接する半導体発光素子20B及び20Cの距離が搭載基板11に向かって小さくなるように傾斜している。また、素子20Cの隣接する素子20Bに対向する側面20CSも同様に傾斜している。本実施例においては、素子の全ての側面が同様に傾斜している場合について説明する。
【0017】
搭載基板11上には、半導体発光素子20を埋設するように蛍光体層PLが形成されている。なお、
図1(a)には蛍光体層PLの形成領域を破線で示している。蛍光体層PLは、蛍光体層PL内に設けられた複数の蛍光体PPを有している。蛍光体PPは、半導体発光素子20からの光の波長を変換する。例えば、半導体発光素子20が青色の波長を有する光を放出した場合、その青色光を黄色光に変換する。蛍光体PPは、素子20上の領域及び素子間領域に設けられている。
【0018】
図1(b)に示すように、発光領域EA内には、個別の半導体発光素子20上の領域に対応する発光セグメントESに区画される。本実施例においては、発光セグメントESは、半導体発光素子20上の領域を含む遮光膜RC間の領域に対応する。すなわち、発光セグメントESは素子間領域を含んでいる。従って、発光領域EAのほぼ全面が発光面となる。
【0019】
図1(c)は、光反射性の遮光膜RCを用いた場合の半導体発光装置10内における光の進路を模式的に示す図である。
図1(c)は、
図1(b)と同様の断面図であるが、一部の構成要素及びハッチングを省略してある。
図1(c)を用いて、本実施例の効果について詳細に説明する。本実施例においては、側面対PSのいずれか一方の側面のみ、すなわち隣接する素子の対向する側面の一方のみが遮光膜RCに覆われている。従って、照射像における暗部の形成及び素子間での光のクロストークの抑制を両立することが可能となる。
【0020】
具体的には、まず、側面対PSの一方の側面、すなわち光反射性の遮光膜RCが形成されていない素子20Bの側面20BSにおいては、その側面20BSから光の一部L1が素子間領域に伝播される。光L1のような光は、側面対PSの他方の側面である光反射性の遮光膜RCが形成された側面、すなわち隣接する素子20Cの側面20CSによって反射される。反射された光L1は、素子間領域上の領域から外部に取出される。従って、素子20A及び20B間の領域による暗部の形成が抑制される。また、素子20Aからその隣接する素子20Bへの光のクロストークが抑制される。
【0021】
一方、素子20Cから放出された光の一部L2は、その素子20Bに対向する側面20CSに設けられた光反射性の遮光膜RCによって反射される。従って、素子20Cから素子20Bへの光のクロストークも防止される。なお、光L1及びL2のような光は、素子の各々から垂直な方向に向かって進む大部分の光L3と共に、外部に取出される。
【0022】
上記したように、アレイ状に並置された複数の半導体発光素子20がこのような側面対PSを有していることによって、素子間領域に対応した暗部(暗線)の形成を抑制することができる。従って、均一な照射像を得ることができる。また、他の素子への光のクロストークを抑制することができる。従って、また照射像内において明暗を明確に区別することが可能となる。さらに、光学系の設計や照射シミュレーションなどが容易になる。
【0023】
なお、光吸収性の遮光膜RCを用いた場合、光L1及び光L2のような光は遮光膜RCに吸収される。したがって、隣接する素子への光のクロストークが抑制される。また、ある程度素子間距離を狭めることによって、暗線の形成を抑制できる効果を発揮する。したがって、遮光膜RCは光反射性又は光吸収性であることによって、光のクロストークと暗部(暗線)の双方を抑制する効果を持つ。
【0024】
図2は、半導体発光装置10の詳細構造を示す断面図である。
図2は、
図1(b)と同様の断面図であるが、蛍光体層PLを省略してある。半導体発光素子20の各々(
図2では20B及び20C)は、半導体構造層21と、p電極(第1の電極)25と、n電極(第2の電極)26と、を有している。半導体構造層21は、発光層23がp型半導体層(第1の半導体層)22及びn型半導体層(第2の半導体層)24に挟まれるように形成された構造を有している。p型半導体層22は、n型半導体層24とは反対の導電型を有している。
【0025】
半導体構造層21は、例えば、Al
xIn
yGa
1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)の組成を有するp型半導体層22、発光層23B及びn型半導体層24が搭載基板11上にこの順で順次積層された構造を有している。n型半導体層24は、複数の突起24Aからなる凹凸構造面を有している。n型半導体層24の当該凹凸構造面は光取出し面として機能する。
【0026】
p電極25は、p型半導体層22上に形成され、反射性の高い金属からなる反射金属層27及び反射金属層27の全体を覆うように形成されたキャップ層28からなる。反射金属層27は、例えばAg、Pt、Ni、Al及びPdなどの金属材料並びにこれらを含む合金を用いて形成される。キャップ層28は、例えばTi、W、Pt、Pd、Mo、Ru、Ir、Auなど、自身が他の層にマイグレーションしにくく、反射金属層27のマイグレーションを防止する金属材料を用いて形成される。なお、図示していないが、p型半導体層22及び反射金属層27間に、例えばITOやIZOなどの金属酸化膜を形成し、さらに光の反射性を高めることも可能である。
【0027】
n電極26は、p型半導体層22側からp型半導体層22及び発光層23を貫通してn型半導体層24内に至り、n型半導体層24に接続されている。n電極26は、例えばTi、Al、Pt及びAuなどの金属材料を用いて形成される。
【0028】
半導体発光素子20の側面及び表面の各々には、絶縁保護膜29が形成されている。絶縁保護膜29は、例えばSiO
2などの絶縁材料からなる。また、本実施例においては、半導体発光素子20Cの半導体発光素子20Bに対向する側面における絶縁保護膜29上には、遮光膜RCが設けられている。
【0029】
搭載基板11上にはp電極25に接続されたp側配線(第1の配線)12及びn電極26に接続されたn側配線(第2の配線)13が形成されている。具体的には、p側配線12は搭載基板11上に複数個設けられており、その各々は電気的に分離されている。例えば半導体発光素子20B及び20Cのp電極25の各々には、p側配線12B及び12Cが形成されている。また、p側配線12の各々は、搭載基板11と半導体発光素子20の各々との間において半導体発光素子20の各々のp電極25に接続されている。換言すれば、p側配線12は、その各々が半導体発光素子20のp型半導体層22に接続された個別配線として機能する。
【0030】
また、n側配線13は、搭載基板11と半導体発光素子20の各々との間において半導体発光素子20の各々のn電極25に接続されている。換言すれば、n型配線13は、半導体発光素子20の各々のn型半導体層24に接続された共通配線として機能する。n側配線13と、半導体発光素子20の各々におけるp電極25を含む半導体構造層21の搭載基板11側の表面との間には、その全面に絶縁層15が形成されている。n側配線13は、半導体発光素子20側に形成された第1の接合層(図示せず)及び搭載基板11側に形成された第2の接合層(図示せず)が接合された構造を有している。
【0031】
p側配線12及びn側配線13は、絶縁層14を介して互いに異なる階層で形成されている。具体的には、搭載基板11上に複数のp側配線12が並置されており、p側配線12を覆うように絶縁層14が形成されている。また、絶縁層14上にはn側配線13が形成されている。絶縁層14及び15における半導体発光素子20Bの直下の領域にはp側配線12Bに至る開口部が設けられ、当該開口部にはp電極25に接続されたビア電極12BVが形成されている。
【0032】
同様に、半導体発光素子20Cのp電極25及び搭載基板11上のp側配線12Cは、ビア電極12CVを介して接続されている。また、ビア電極12BV及び12CVの各々は、半導体発光素子20側に形成された第1の接合層(図示せず)及び搭載基板11側に形成された第2の接合層(図示せず)が接合された構造を有している。以下においては、ビア電極12BV及び12CVを含むビア電極のいずれか1つを、ビア電極12Vと称する場合がある。
【0033】
また、絶縁層15における半導体発光素子20のn電極26が形成された領域上には、n電極26に至る開口部が設けられている。n電極26は、当該開口部を介してn側配線電極13に接続されている。
【0034】
半導体発光装置10は、p側配線電極12及びn側配線13間において、半導体発光素子20の各々が互いに並列に接続された構造を有している。半導体発光素子20の各々は、p側配線12の各々への電流の印加を制御することによって、独立して導通状態及び非導通状態が制御される。すなわち、半導体発光素子20の各々は互いに独立して発光する。
【0035】
搭載基板11の半導体発光素子20間の領域上には、エッチング調整層(以下、単に調整層と称する)AJが形成されている。調整層AJは、例えばSiO
2などの絶縁材料からなる。素子側面の絶縁保護膜29及び遮光膜RCは、調整層AJ上に形成されている。調整層AJは、素子間領域における装置の作製工程における半導体層を素子毎に分離する際のエッチング加工時において、搭載基板上の配線などを保護する機能を有する。このようにして、半導体発光素子20の各々は、搭載基板11上に互いに並置され、また互いに並列に接続されている。
【0036】
搭載基板11は、例えばSi、AlN、Mo、W、CuWなどの放熱性の高い材料からなる。絶縁層14及び15、絶縁保護膜29及びエッチング調整層AJは、例えばSiO
2及びSi
3N
4などの絶縁材料からなる。第1及び第2の接合層、ビア電極12BV及び12CVは、その互いに接することとなる表面の材料が、Au及びSn、Au及びIn、Pd及びIn、Cu及びSn、Ag及びSn、Ag及びIn並びにNi及びSnなど、互いに融着して接合される材料の組み合わせか、又はAuなどの互いに拡散して接合される材料を用いて形成される。
【0037】
次に、
図2を用いて、半導体発光装置10の製造方法について説明する。本実施例においては、まず、成長用基板(図示せず)上に、半導体構造層21となる、n型半導体層24、発光層23及びp型半導体層22を形成した。次に、p型半導体層22上にp電極25として反射金属層27及びキャップ層28を形成した。続いて、絶縁層15におけるp電極25が形成されていないp型半導体層22の表面上の領域に、調整層AJを形成した。また、絶縁層15におけるp電極25が形成されていないp型半導体層22の表面上の他の領域に、p型半導体層22及び発光層23を貫通してn型半導体層24に至る開口部を形成した。次に、p電極25、調整層AJを含むp型半導体層24の全面を覆うように絶縁層15を形成した。また、当該開口部内の絶縁層15の表面に、n型半導体層24に至るコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールにn電極26を形成した。
【0038】
続いて、絶縁層15及びn電極26上の全面に、n側配線13となる第1の接合層を形成した。また、p電極25上の絶縁層15に、p電極に至る開口部を形成し、当該開口部に、ビア電極12Vとなる第1の接合層を形成した。n側配線13用の第1の接合層と、ビア電極12V用の第1の接合層とは、互いに離間して形成した。このようにして、半導体ウェハを作製した。次に、搭載基板11を準備し、当該基板11上に複数のp側配線電極12を形成した。p型配線12を覆うように絶縁層14を形成し、絶縁層14上に、n型配線13となる第2の接合層を形成した。また、各p側配線12上の絶縁層14に、p側配線12に至る開口部を設け、当該開口部に、ビア電極12Vとなる第2の接合層を形成した。
【0039】
次に、第1及び第2の接合層を密着及び加熱することによって、半導体ウェハを搭載基板11に接合した。続いて、成長用基板を除去し、露出したn型半導体層24の表面に複数の突起24Aを形成した。次に、調整層AJ上の半導体構造層21を除去し、素子20毎に半導体構造層21を分離した。次に、半導体構造層21の表面及び側面の全体を覆うように絶縁保護膜29を形成した。
【0040】
続いて、半導体構造層21の側面に遮光膜RCを形成した。遮光膜RCは、例えば、その形成場所のみを開口するようにレジストでパターニングを行い、電子ビーム(EB)蒸着又はスパッタリングなどにより金属膜を成膜し、レジストを除去することに形成することができる。本実施例においては、このようにして半導体発光素子20を形成した。次に、搭載基板11上において半導体発光素子20を埋設するように蛍光体層PL(
図1(b)などを参照)を形成した。なお、図示していないが、搭載基板11を実装基板に固定し、ワイヤボンディングによって電極を電源に接続し、全体を封止することによって半導体発光装置10を作製した。
【0041】
図3(a)は、実施例1の変形例1に係る半導体発光装置10Aの断面図である。なお、
図3(a)においては、半導体発光装置10Aの隣接する2つの半導体発光素子30を示している。半導体発光装置10Aは、半導体発光素子30の電極構成及び配線構成を除いては、半導体発光装置10と同様の構造を有している。
【0042】
本変形例においては、遮光膜RCは導電性を有し、素子間においてn側配線(共通配線)13に接続されている。すなわち、遮光膜RCはn電極として機能し、n側配線12は、遮光膜RCを介して素子30のn型半導体層24に接続されている。具体的には、素子間領域におけるn側配線13上に接続電極CEが設けられ、遮光膜RCは、素子の側面から接続電極CEに伸長し、接続電極CEに接続されている。なお、本実施例においては、絶縁層15が素子毎に分離されている。
【0043】
本変形例においては、実施例1の半導体発光素子20のように、n電極26が設けられる必要はない。半導体発光素子30は、遮光膜RC及びp電極25間において電流が印加される。本変形例のように、遮光膜RCが素子30のn電極を兼ねることによって、素子30領域内のn電極を省略することが可能となる。従って、半導体発光素子30の発光層23は、半導体構造層21内において途切れることなく全面に設けられる。従って、発光層23の領域を最大化することが可能となる。従って、上面視において素子領域の全体から光が放出され、輝度が向上し、素子領域内での輝度のムラが抑制される。
【0044】
また、
図3(b)は、半導体発光装置10Aの上面を模式的に示す図である。なお、
図3(a)は、
図3(b)のW−W線に沿った断面図である。半導体発光装置10Aは、半導体発光装置10と同様に、9つの半導体発光素子30がマトリクス状に配列された構造を有している。また、本変形例においては、半導体発光素子30のいずれか1つの側面にn電極としての遮光膜RCが設けられている。
【0045】
搭載基板11上には、n側電極パッドNPと、p側電極パッドPPが形成されている。n側電極パッドNPは、接続電極CEを介して、半導体発光素子30の各々の遮光膜RCに接続されている。本変形例においては、遮光膜RCの各々は、接続電極CE及びn側電極パッドNPを介して互いに接続されている。接続電極CEは、例えばAuなどの金属材料からなる。
【0046】
p側電極パッドPPは、搭載基板11上に複数個形成され、その各々は互いに電気的に分離されている。また、p側電極パッドPPの各々は、p側配線12の各々に接続されている。半導体発光素子30の各々は、n側電極パッドNP及びp側電極パッドPP間において互いに並列に接続されている。また、半導体発光素子30の各々は、p側電極パッドへの電流の印加を制御することによって、互いに独立して発光することが可能となる。
【0047】
なお、本変形例は、実施例1と組み合わせて実施することが可能である。すなわち実施例1において、遮光膜RC及びn電極26の両方がn側配線13に接続されていてもよい。この場合、半導体構造層21への電流の印加は、遮光膜RC及びn電極26の両方を用いて行われる。これは、例えば、素子の上面視における面積が大きい場合など、側面からの電流の印加では中央部分への電流量が小さくなる場合に有利な構成となる。
【0048】
図4(a)は、実施例1の変形例2に係る半導体発光装置10Bの断面図である。
図4(a)は、半導体発光装置10Bにおける
図2と同様の断面図である。半導体発光装置10Bは、素子40の構造を除いては、半導体発光装置10と同様の構成を有している。本変形例においては、半導体発光素子40は、その隣接する半導体発光素子40に対向する側面40Sが、半導体発光素子40巻の距離が搭載基板11に向かって徐々に大きくなるように傾斜している。なお、遮光膜RCは、実施例1と同様に側面対PSのうちの一方の側面に形成されている。
【0049】
半導体発光装置10Bは、例えば、半導体発光装置10の作製工程において、半導体構造層21の分離工程及び遮光膜RCの形成工程の順序を変更することによって作製することが可能である。すなわち、半導体ウェハを搭載基板11に接合する前に半導体構造層21を素子毎に分離し、分離した半導体構造層21の側面に遮光膜RCを形成することによって作製することが可能である。
【0050】
本変形例においては、半導体構造層21の側面のうち、遮光膜RCが形成されていない側面においても一定の反射効果を得ることが可能となる。すなわち、発光層21から放出された光は、遮光膜RCの有無に関わらず、その側面において全反射を起こす可能性が高くなる。この全反射した光は、光取出し方向すなわちn型半導体層24の表面に向かって進む可能性が高い。従って、遮光膜RCが形成された側面においては遮光膜RC及び傾斜によるクロストークの抑制効果を、遮光膜RCが形成されていない側面においては傾斜によるクロストークの防止効果を得ることができる。なお、遮光膜RCは、
図4(b)に示すように、n側配線12に接続され、n電極として機能する構成とすることも可能である(変形例3)。
【0051】
図5は、実施例1の変形例4に係る半導体発光装置10Dの断面図である。
図5においては、理解の容易さのため、一部のハッチングを省略してある。半導体発光装置10Dは、蛍光体層PPの構成を除いては、実施例1の半導体発光装置10と同様の構成を有している。本変形例においては、蛍光体層PPは、隣接する素子20間に設けられた第1の蛍光体層PL1と、素子20上及び第1の蛍光体層PL1上に設けられた第2の蛍光体層PL2とを有している。また、第1の蛍光体層PL1に含まれる第1の蛍光体PP1は、第2の蛍光体層PL2に含まれる第2の蛍光体PP2とは異なる。
【0052】
半導体発光素子10Dの蛍光体層PLは、例えば、2つの蛍光体層を別々に形成することで形成することができる。本変形例においては、まず、素子間領域を含む半導体発光素子20の全体を覆うように第1の蛍光体PP1を含む蛍光体層を形成した。次に、素子20上の蛍光体層がなくなるまで当該蛍光体層を除去した後、第2の蛍光体PP2を含む蛍光体層を形成した。このようにして半導体発光装置10Dの蛍光体層PLを形成した。
【0053】
本変形例の蛍光体層PLは、素子領域上と素子間領域上とで取出される光の色がわずかに異なることを考慮して形成されている。具体的には、まず、素子の側面に向かって進み、一旦素子間領域に伝播した後に外部に取出される光は、素子に垂直な方向に向かって進む光に比べて、その蛍光体層PL内を進む距離が大きい。すなわち、蛍光体層PLに入ってから蛍光体層PLを出るまでに蛍光体粒子PP内に入射する可能性が高い。従って、蛍光体PPによって多くの光はその波長(色)が変換される。
【0054】
例えば素子からの青色光を用いて白色光を取出す場合、青色光を黄色光に変換する蛍光体PPを含む蛍光体層PLを形成する。これは、蛍光体PPによって黄色に変換された光と、蛍光体PPに入射せずにそのまま蛍光体層PLを通過する青色光との混色によって、外部からは白色光が観察されることを意図している。しかし、素子間領域においては、上記したように、その混色のバランスが崩れやすい。具体的には、白色光ではなく黄色光に近い光が観察される可能性が高い。
【0055】
本変形例においては、例えば、素子間領域の第1の蛍光体層PL1内には、例えば青色光を緑色光(青色と黄色の中間の色の光)に変換する第1の蛍光体PP1が設けられている。一方、第2の蛍光体層PL2内には、例えば青色光を黄色光に変換する第2の蛍光体PP2が設けられている。従って、素子領域上のみならず素子間領域上においても白色光が観察されることができる。このように素子領域及び素子間領域の間で異なる蛍光体を設けることで、素子間領域上における混色バランスを素子領域上における混色バランスと同程度とすることができる。従って、色ムラを抑制することができる。
【0056】
なお、上記においては、第1の導電型がp型の導電型であり、第2の導電型がp型とは反対の導電型のn型である場合について説明したが、第1の導電型がn型であり、第2の導電型がp型であっていてもよい。また、第1の導電型及び第2の導電型のいずれかが真性導電型であってもよい。すなわち、第1の半導体層及び第2の半導体層のいずれかが真性半導体層であってもよい。また、各発光素子が並列に接続された場合について説明したが、各発光素子は、互いに直列に接続されていてもよく、また、互いに電気的に分離されていてもよい。
【0057】
また、上記においては、発光素子が上面視において矩形形状を有する場合について説明したが、発光素子の上面視における形状はこれに限定されない。例えば、半導体発光素子は、三角形や六角形の形状を有していてもよい。また、半導体発光素子の各々は、発光領域の暗部形成の抑制を考慮すると、平面充填形にて配列されていることが好ましい。また、半導体発光素子は、半導体構造層に垂直な方向から見た場合に多角形状を有していればよい。
【0058】
また、発光素子のうち、最も外側の発光素子における他の発光素子に隣接しない側面部分においては、遮光膜は形成されていてもよく、形成されていなくてもよい。当該最外部は発光部の外縁に対応する部分であるが、例えば、装置の照射像の輪郭を明確にすることが要求される用途においては、遮光膜が形成されていることが望ましい。
【0059】
本実施例においては、隣接する半導体発光素子間において互いに対向する一方の半導体発光素子の側面及び他方の半導体発光素子の側面からなる側面対のうち、いずれか一方の側面を覆うように形成された遮光膜を有している。従って、複数の並置された素子を用いる発光装置において、素子間での光のクロストークを抑制でき、また、素子間領域に対応する暗部の形成を抑制することができる。