(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、変換フィルタを有する眼用レンズのビューイングセットを製造するための方法及び器具を含み、このビューイングセットは、立体視メディアの三次元知覚を可能にするものである。これに加えて、本発明は、結果として得られる眼用レンズのビューイングセットを含む。
【0015】
立体視メディアは、2つの像の同時表示を伴い、脳は2つの像を三次元特性を有する単一像として解釈する。いくつかの制限メディアは、例えば、サイドバイサイド式立体視結像におけるなど、フィルタリング装置を必要としない三次元知覚を可能にし、ここでは、視聴者は、目を交差させることによって無理に三次元知覚をする場合がある。他のメディアは、自動立体視技術を含み、ここではフィルタリングメカニズムは、例えばパララックスバリアを利用する携帯ゲーム機などの投射装置内に含まれる。フィルタリングメカニズムが投射装置内に含まれているため、フィルタリングが眼の定義済みのセットに合うよう調整されるが、三次元知覚は更なるフィルタリング装置を必要とせず、三次元知覚が異なる特性を有するユーザーに有効なものがない場合もある。
【0016】
その他のタイプの立体視メディアは、更なるフィルタリング装置を必要とし、多く場合フィルタリング装置は携帯式かつ個人的であり、ここでは各視聴者は、三次元知覚を体験するためにフィルタリング装置を使用しなければならない。一般的なフィルタリング装置は、「3−D眼鏡」を含み、これは、眼鏡のように構成され、各々の「レンズ」が変換フィルタを含む。立体視メディアを見るために一緒に使用される場合、2つのフィルタは、脳に三次元知覚を体験させる。
【0017】
立体視メディアの再来は、技術の開発を促した。例えば、立体視メディアを作り出すことは、微妙な違いのある三次元結像を可能にするようより複雑になり、ここでは視聴者が写し出された環境内で没入感を得ることができる。別の例として、立体視メディアを利用するホームシアターテレビの開発が挙げられ、ここでは、スポーツなどの標準テレビプログラミングが三次元的に視聴され得る。立体視メディアは、将来更により一般的になる可能性がある。
【0018】
最も一般的な立体視メディアは、いくつかのバリエーションの3−D眼鏡を必要とする。しかしながら、眼鏡、特にホームシアター用の眼鏡は、扱い難くかつ高価であることが多い。これに加えて、「レンズ」は静的であり、眼球運動は視点を移動させるため、このことは立体的な映画を見る間などの長い時間にわたると不快であることもある。立体視テレビは、多くは、3−D眼鏡の1つ又は2つのセットを含み、このことが本質的に視聴者の数を限定する。その上、眼鏡は入手可能であるが、コストが極めて高い場合が多い。
【0019】
結果的に、本発明は、立体視メディアの三次元知覚のための代替フィルタリング装置を含む。一般的に、本発明のいくつかの実施形態によれば、剛性インサートは、レンズを作るために使用する成形型部分に対して所望の位置にインサートを定置し得るオートメーションを介して、眼用レンズ内に統合される。様々な構成要素を眼用レンズ内に配置する実施形態は、構成要素を定位置に封止し接着するか、又は構成要素を封入する1つ以上の工程を使用し得る。
【0020】
メディアインサートを有するいくつかの実施形態では、エネルギー源は、コマンドにより起動することができ、眼用レンズ内に含まれるエネルギー源から電流を引くことができる構成要素と電気的に導通するように配置される。構成要素は、例えば、半導体装置、能動若しくは受動電気装置、又は電気的に起動される機器(例えば、微小電気機械(MEMS)、ナノ電気機械システム(NEMS)、又は微小機械を含む)を含んでもよい。エネルギー源、及び構成要素の定置後、反応混合物は、成形型部品によって成形することができ、重合して眼用レンズを形成することができる。
【0021】
以下の項において、本発明の実施形態の詳細な説明を与える。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、代表的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であり得ることが理解される。したがって、これらの代表的な実施形態が基礎をなす発明の範囲を制限しない点は理解されなければならない。
【0022】
用語集
本発明を対象としたこの説明及び特許請求の範囲においては、以下の定義が適用される様々な用語が用いられ得る。
後方湾曲ピース又は後方インサートピース:本明細書で使用するとき、前述のインサートに組み立てられたとき、後方にある眼用レンズの側面上の位置を占めるマルチピース型剛性インサートの固体要素を指す。眼用装置では、そのようなピースは、インサートの、ユーザーの眼の表面により近い側面上に配置される。いくつかの実施形態では、後方湾曲ピースは、眼用装置の中央に領域を収容しかつ含有してもよく、これを通って光がユーザーの眼(光学ゾーンと呼ばれ得る)まで進むことができる。他の実施形態では、ピースは、光学ゾーンにおける領域の一部若しくは全てを収容しないか、又は含まない環状の形状をとってもよい。眼用インサートのいくつかの実施形態では、複数の後方湾曲ピースが存在してもよく、それらのうちの1つは、光学ゾーンを含んでもよく、一方で、他のものは環状又は環の部分であってもよい。
【0023】
構成要素:本明細書で使用するとき、論理的状態、又は物理的状態の1つ以上の変化を生じるためにエネルギー源から電流を引くことができる装置を指す。
【0024】
封入する:本明細書で使用するとき、例えば、メディアインサートなどの実体を、実体に隣接した環境から隔てるためのバリアを作り出すことを指す。
【0025】
封入材:本明細書で使用するとき、例えば、メディアインサートなどの実体を隣接した環境から実体を隔てるためのバリアを作り出す、実体を包囲して形成された層を指す。例えば、封入材は、エタフィルコン、ガリフィルコン、ナラフィルコン、及びセノフィルコンなどのシリコーンヒドロゲル、又は他のヒドロゲルコンタクトレンズ材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、封入材は特定の物質を実体内に包含するために半透性であり、例えば水などの特定の物質が実体に入り込むことを防止することができる。
【0026】
エネルギー印加された:本明細書で使用するとき、電流を供給するか、又は内部に蓄積される電気エネルギーを有することができる状態を指す。
【0027】
エネルギー:本明細書で使用するとき、ある物理系が仕事をする能力のことを指す。本発明で使用される場合の多くは、動作する際に電気的作用を行うことが可能なこの能力に関連し得る。
【0028】
エネルギー源:本明細書において使用するとき、エネルギーを供給するか、又は生物医学的装置をエネルギー印加された状態とすることが可能な装置のことを指す。
【0029】
エネルギーハーベスター:本明細書で使用するとき、環境からエネルギーを抽出し、これを電気エネルギーに変換することができる装置を指す。
【0030】
フィルタ処理された変換物:本明細書で使用するとき、変換フィルタを通じて見られた場合に得られる知覚された画像を指す。
【0031】
前方湾曲ピース又は前方インサートピース:本明細書で使用するとき、前述のインサートに組み立てられたときに、前方にある眼用レンズの側面上の位置を占める、マルチピース型剛性インサートの固体要素を指す。眼用レンズでは、前方湾曲ピースは、インサートの、ユーザーの眼の表面からより遠い側面上に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ピースは、眼用装置の中央に領域を収容しかつ含有してもよく、これを通って光がユーザーの眼(光学ゾーンと呼ばれ得る)まで進むことができる。他の実施形態では、ピースは、光学ゾーンにおける領域の一部若しくは全てを収容しないか、又は含まない環状の形状をとってもよい。眼用インサートのいくつかの実施形態では、複数の前方湾曲ピースが存在してもよく、それらのうちの1つは、光学ゾーンを含んでもよく、一方で、他のものは環状又は環の部分であってもよい。
【0032】
レンズ形成混合物、又は反応性混合物若しくは反応性モノマー混合物(RMM):本明細書で使用するとき、硬化及び架橋することができるか、又は架橋して眼用レンズを形成することができるモノマー材料又はプレポリマー材料を指す。様々な実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト又は眼内レンズ等の眼用レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含むことができる。
【0033】
レンズ形成表面:レンズの成形に用いられる表面を指す。いくつかの実施形態では、任意のこのような表面は、光学品質表面仕上げを有することができ、光学品質表面仕上げとは、表面が十分に滑らかで、成形表面に接触しているレンズ形成材料の重合によって作られるレンズ表面が光学的に許容可能であるように形成されていることを示す。更に、いくつかの実施形態においては、レンズ形成表面は、レンズ表面に所望の光学特性を付与するのに必要な幾何学形状を有することができる。所望の光学特性としては、限定することなく、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正などに加えて、それらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0034】
液晶:本明細書で使用するとき、従来の液体と固体結晶との間の特性を有する物質の状態を指す。液晶は、固体とはみなされ得ないが、その分子はある程度の整列を呈する。本明細書で使用するとき、液晶は、特定の相又は構造に限定されることはないが、液晶は特定の静止配向を有することができる。液晶の配向及び相は、液晶の部類に応じて、例えば、温度、磁気、又は電気などの外部力によって操作され得る。
【0035】
リチウムイオン電池:リチウムイオンがセルを通って動くことによって電気的エネルギーを生成する電気化学セルを指す。典型的には電池とよばれるこの電気化学セルは、その典型的な形態でエネルギーが再印加され得るか、又は再充電され得る。
【0036】
メディアインサート:本明細書で使用するとき、エネルギー印加眼用装置内に内蔵される封入されたインサートを指す。エネルギー印加要素及び回路は、メディアインサート内に埋め込まれてもよい。メディアインサートは、エネルギー印加眼用装置の主要な目的を規定する。例えば、エネルギー印加眼用装置によりユーザーが屈折力(optic power)を調整できる実施形態では、メディアインサートは、光学ゾーン内の液体メニスカス部分を制御するエネルギー印加要素を含んでもよい。あるいは、メディアインサートは、光学ゾーンに材料がないように、環状であってもよい。かかる実施形態では、レンズのエネルギー印加機能は、光学品質でなくてもよく、例えば、グルコースのモニタリング又は医薬品の投与であってもよい。
【0037】
成形型:未硬化の配合物からレンズを形成するために使用可能な、剛性又は半剛性の物体のことを指す。いくつかの好ましい成形型は、前方湾曲成形型部分及び後方湾曲成形型部分を形成する2つの成形型部分を含む。
【0038】
眼用レンズ又は眼用装置又はレンズ:本明細書で使用するとき、眼内又は眼上に存在する、任意の装置を指す。この装置は、光学的な補正を提供してもよく、美容的なものであってもよく、又は光学品質とは無関係の機能を提供してもよい。例えば、レンズという用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼球インサート、光学インサート又は他の同様の、視力が補正若しくは変更される装具か、又は視野を妨げることなく目の生理機能が美容的に拡張される(例えば、虹彩色)装具を指すことができる。あるいは、レンズは、例えば、涙液の構成成分のモニタリング又は活性薬剤の投与の手段などの、視覚補正以外の機能で眼上に配置され得る装置を指してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、例えば、シリコーンヒドロゲル及びフルオロヒドロゲルを含み得る、シリコーンエラストマー又はヒドロゲルから製造される、ソフトコンタクトレンズであり得る。
【0039】
光学ゾーン:本明細書で使用するとき、眼用レンズの装用者がそこを通して見ることになる、眼用レンズの領域を指す。
【0040】
電力:本明細書で使用するとき、単位時間当たりに行われる仕事又は移動するエネルギーのことを指す。
【0041】
再充電可能又はエネルギー再印加可能:本明細書で使用する場合、仕事をするためのより高い能力の状態へと復元可能な能力を指す。本発明内での多くの使用は、再決定された特定の期間、特定の速度で電流を流すことができる能力を有する復元可能な能力に関連し得る。
【0042】
エネルギー再印加又は再充電:仕事をするための高い能力の状態へと復元することを指す。本発明内での多くの使用は、再決定された特定の期間、特定の速度で電流を流すことができる能力を有する復元可能な能力に関連し得る。
【0043】
成形型から取り外された:レンズが成形型から完全に分離されたか、又は軽い振動によって取り外すか若しくは綿棒を用いて押し外すことができるようにほんの軽く付着しているだけのいずれかであることを意味する。
【0044】
剛性インサート:本明細書で使用するとき、定義済みのトポグラフィを維持するインサートを指す。コンタクトレンズ内に内蔵される場合、剛性インサートは、レンズの機能に寄与することができる。例えば、剛性インサートのトポグラフィ又はその内部の密度を変更することは、乱視を有するユーザーにおける視力を矯正し得るゾーンを規定することができる。
【0045】
安定化特徴部:本明細書で使用するとき、眼用装置が眼上に配置される場合に、眼用装置を眼上の特定の配向に安定させる物理特性を指す。いくつかの実施形態では、安定化特徴部は、眼用装置を安定させるのに十分な質量を付加することができる。いくつかの実施形態では、安定化特徴部は、前方湾曲表面を変更することができ、ここでは瞼が安定化特徴部を捕捉することができ、ユーザーがまばたきすることによってレンズを再配向することができる。かかる実施形態は、質量を付加する安定化特徴部を含有することによって向上され得る。いくつかの実施形態では、安定化特徴部は、封入生体適合性材料とは別個の材料であってもよく、成形プロセスとは別個に形成されたインサートであってもよく、又は剛性インサート若しくはメディアインサート内に内蔵されてもよい。
【0046】
スタック統合コンポーネントデバイス又はSICデバイス:本明細書で使用するとき、電気的及び電気機械的デバイスを含み得る基材の薄層を、各層の少なくとも一部分を互いの上に積み重ねる手段により、動作可能な統合デバイスへと組み立て得るパッケージング技術製品を指す。層は、様々な型式、材料、形状及びサイズのコンポーネントデバイスを含んでもよい。更に、層は、様々な輪郭に適合させてその輪郭をとらせる、様々なデバイス製造技術により作製され得る。
【0047】
三次元知覚又は三次元ビューイング:本明細書で使用するとき、脳が画像の三次元特性を解釈するように、眼用装置が二次元像を変換する場合を指す。
【0048】
三次元表面又は三次元基材:本明細書で使用するとき、平面表面とは対照的に、トポグラフィが特定の目的のために設計されている三次元的に形成された任意の表面又は基材を指す。
【0049】
変換フィルタ:本明細書で使用するとき、規定された画像の数値に対して透過性であり、一方その他の規定された画像の数値に対しては不透過性である眼用レンズの特性を指す。画像の数値としては、例えば、波長、光の角度、色、及び光の量が挙げられる。
【0050】
ビューイングセット:本明細書で使用するとき、一緒に使用される場合、三次元知覚を可能にする一対の眼用装置を指す。
【0051】
眼用レンズビューイングセット
図1に進むと、二色性の変換フィルタ101、151を具備する眼用レンズ100,150のビューイングセットの実施形態を図示している。いくつかの実施形態では、左側眼用レンズ100は、左側二色性変換フィルタ101を含むことができ、右側眼用レンズ150は、右側二色性変換フィルタ151を含むことができる。断面で示すように、左側二色性フィルタ111は、赤色、緑色、及び青色(RGB)の光の特定の配列を可能にすることができ、右側二色性フィルタ161は、RGB光の異なる配列を可能にすることができる。右側眼用レンズ160及び左側眼用レンズ110は、ビューイングセットとして使用されると、組み合わされたフィルタ処理された変換物は、立体視画像の三次元知覚を可能にすることができる。
【0052】
眼用レンズ100、150はまた、例えば、虹彩パターンを含む美容的色合い、又は視力矯正態様などのその他の受動的要素を含んでもよい。
【0053】
図2に進むと、偏光変換フィルタ201、251を具備する眼用レンズ200、250のビューイングセットの代替実施形態を図示し、ここでは眼用レンズ200、250は、円偏光を変換することができる。例えば、ワイヤグリッド、ブルースター角プレートの使用、及び複屈折性又は2軸性材料の使用を含む伝播性材料を通じて光を偏光するための多くの技術がある。
【0054】
左側眼用レンズ200は、左側変換フィルタ201を含むことができ、右側眼用レンズ250は、右側変換フィルタ251を含むことができる。断面で示すように、左側変換フィルタ211及び右側変換フィルタ261は、円偏光を直線的に偏光し、ここでは、2つの変換フィルタ211、261は、異なる角度で光を偏光することができる。いくつかの実施形態では、左側眼用レンズ210及び右側眼用レンズ260がビューイングセットとして使用される場合、左側のフィルタ処理された変換物と右側のフィルタ処理された変換物が組み合わさり、立体視画像の三次元知覚を可能にする。
【0055】
偏光が眼上の特定の配向に依存する実施形態では、眼用レンズ200、250は、安定化特徴部202、252を含むことができる。かかる実施形態では、安定化特徴部202、252は、変換フィルタ201、251と位置合わせされてもよい。断面で示すように、安定化特徴部212、262は、前方湾曲表面のトポグラフィを変更することができる。変更されたトポグラフィにより、瞼が安定化特徴部212、262を受け止め、ユーザーは、瞬きによって眼用レンズ210、260を再配向することができる。
【0056】
あるいは、安定化特徴部212、262は、前方湾曲表面のトポグラフィに影響を及ぼすことがなく、付加された質量が、眼上の特定の配向で眼用レンズ210、260を安定させるのに十分であってもよい。安定化特徴部120は、封入反応性モノマー混合物とは異なる材料を含むことができる。眼上への配置を更に容易にするために、安定化特徴部212、262は、色彩を含有してもよく、ユーザーは、眼用レンズ200、250が眼上でどのように配向し得るかを見ることができる。
【0057】
図3に進むと、変換フィルタ301、351を具備する眼用レンズ300、350のビューイングセットの実施形態を図示し、ここでは、変換フィルタ301、351は、封入された剛性インサート304、354内に内蔵され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、剛性インサート304、354は、眼用レンズ300、350内に内蔵され、眼用レンズは、ポリマーの生体適合性材料で構成することができる。眼用レンズ300、350は、剛性の中心部にあるソフトスカートデザインを含んでもよく、ここでは中心部の光学素子は、剛性インサート304、354を具備する。眼用レンズ300、350の封入材料303、353は、例えば、エタフィルコン、ナラフィルコン、ガリフィルコン、及びセノフィルコンを含めるシリコーンヒドロゲルなどの生体適合性の重合材料であり得る。
【0059】
眼用レンズ100、150と同様なフィルタリング技術が剛性インサート304、354において利用され得、ここでは、変換フィルタ101、150は、例えば
図1で示すように、ソフトレンズ材料内に内蔵されている。剛性インサート304、354は、眼用レンズ300、350内に完全に封入されてもよい。結果的に、剛性インサート304、354は、生体適合性材料に限定されなくともよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、剛性インサート304、354は、二色性材料のフィルムを具備してもよい。いくつかの実施形態は、それぞれが変換フィルタ301、351に寄与するフィルムの層を含んでもよい。例えば、一番上のフィルム及び一番下のフィルムは、内部二色性フィルムを保護するよう作用してもよく、保護層は、熱成形プロセスを通じて三次元的に成形されてもよい。
【0061】
断面で示すように、剛性インサート314、310は、重合RMM 313、363によって完全に封入されてもよい。封入プロセスは、剛性インサート314、364を眼用レンズ310、360の光学ゾーン内に配置することができる。いくつかの実施形態では、剛性インサート314、364は、光学ゾーンを超えて延在してもよい。かかる実施形態では、剛性インサート314、364の周辺部は、受動的機能をもたらし得る。例えば、光学ゾーンの外側部分は、美容的色合い、例えば虹彩パターンを含んでもよく、又は周辺部は活性薬剤を含有してもよい。いくつかの実施形態では、活性薬剤は、緩和する水和をもたらしてもよく、これは、例えば、立体視メディアを見る間など、ユーザーの瞬き速度が遅い場合に有用である。
【0062】
図4に進むと、剛性インサート404、454を具備する眼用レンズ400、450のビューイングセットの代替実施形態を図示する。かかる実施形態では、剛性インサート404、454は、円偏光を変換することができる。左側剛性インサート404は、左側変換フィルタ401を含むことができ、右側剛性インサート454は、右側変換フィルタ451を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、偏光特徴部401、451が、インサート部品404、454上に熱成形されてもよい。いくつかの実施形態では、かかる特徴部401、451は、薄膜出発材料の特性を通じて、インサート部品404、454に付与されてもよい。あるいは、熱成形プロセスが、偏光特徴部401、451を付与するよう十分であってもよい。
【0064】
フィルタリング機能は、単一の技術によって、又は技術の併用によって、剛性インサート404、454中で展開されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、眼用レンズ400、450の偏光特徴部401、451は、ワイヤグリッド及び二色性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、剛性インサート404、454は、ワイヤグリッドを形成するために並列様式で配備された金属製又は導電性のフィラメント若しくは線の、薄いシートから熱成形されてもよい。
【0065】
断面で示すように、剛性インサート414、464は、複数の層を備えてもよい。例えば、前方層420、470は、四分の一波長板を備えてもよく、後方層421、471は、線形偏光子を備えてもよく、右側変換フィルタ461は、円偏光を直線的に偏光することができ、ここでは2つの変換フィルタ411、461は、異なる角度で光を偏光することができる。いくつかの実施形態では、左側眼用レンズ410及び右側眼用レンズ460は、ビューイングセットとして使用される場合、左側のフィルタ処理された変換物及び右側のフィルタ処理された変換物が組み合わさり、立体視画像の三次元知覚を可能にする。
【0066】
熱成形技術は、前方層420、470及び後方層421、471に位置合わせ特徴部を付加することができ、これは、右側剛性インサート464及び左側剛性インサート414の異なる偏光配向の精密な制御を可能にすることができる。偏光特徴部は、三次元表面を包含するために剛性インサート464、414を熱成形することによって効果を高めることができる。
【0067】
例えば、剛性インサート404、454が眼用レンズ400、450に組み立てられる場合、剛性インサート404、454は、前方湾曲成形型と後方湾曲成形型との間に形成された空洞に、位置合わせ特徴部と共に配置されてもよい。剛性インサート404、454は、反応性モノマー混合物(RMM)で成形型部品間の区域を充填し、RMMを重合することによって封入され得る。例えば、シリコーンヒドロゲルなどのヒドロゲルレンズを成形することが可能なものを含む、多くの反応性モノマー混合物が、成形眼用装置の形成に適合することができる。
【0068】
眼用レンズ400、450の一部の実施形態は、安定化特徴部402、452を含んでもよく、ここでは安定化特徴部402、452は、レンズ400、450を眼上で配向し、回転を制限することができる。安定化特徴部402、452は、変換フィルタ401、451が特定の位置合わせに依存する実施形態では特に重要である。例えば、ビューイングセットは、同様な変換フィルタ401、451を含むことができ、2つの特殊なフィルタ処理された変換物は、左側眼用レンズ400及び右側眼用レンズ450内の変換フィルタ401、451の異なる位置合わせによって引き起こされる場合がある。
【0069】
剛性インサートによって変換フィルタを内蔵することは、封入材料に付与される更なる受動的機能性を可能にすることができる。例えば、一部の実施形態は、光学ゾーン内に色彩を含んでもよい。いくつかの実施形態では、色彩は、封入材料の固有特性であってもよい。他の実施形態では、色彩特性は、堆積、塗布、又は色彩を反応性モノマー混合物に付与するためのその他の手段によって、封入材料に付加され得る。色彩は、眼用レンズにおいて多様な機能を提供することができる。例えば、色彩は、周囲の日光を遮光することができるために、光の波長を排除又は減衰する上で有用であり得る。
【0070】
色彩は、安全機能をもたらす場合があり、ここでは色彩は特定の波長をブロックし得ることで、例えばレーザー又は溶接線などの強い放射線源を遮光又は部分的に遮光する。いくつかの実施形態では、色彩881は、一部のユーザーにおける医学的症状に対処することができ、ユーザーは、彼らの目に入る特定の波長を通過させるか排除するかのいずれかから利益を得ることができる。
【0071】
図5に進むと、メディアインサート504、554を内蔵する眼用レンズ500、550のビューイングセットの例示の実施形態を図示している。いくつかのかかる実施形態では、メディアインサート504、554は、変換フィルタ501、551を可変光学部内に含有することができる。多様なエネルギー印加要素が、インサートの光学ゾーンの外側の領域内に内蔵され得る。エネルギー印加要素としては、例えば、変換フィルタ501、551の性質を制御し得る集積回路、受動的電子構成部品、エネルギー印加要素、及び起動要素を挙げることができる。
【0072】
メディアインサート504、554は、多数のインサートピースを備えることができ、ここではインサートピースは、熱成形技術によって形成され得る。例えば、位置合わせ特徴部は、2つのインサートピースを、光学ゾーン又は構成要素への直接力なしに定位置にロックさせることができる。このことは、メディアインサート504、554のより微妙ではあるが精密な組み立てを可能にすることができる。例えば、液晶は圧力又は熱によって引き起こされる損傷に影響されやすい場合がある。いくつかの実施形態では、前方ピースインサートは、後方ピースインサートにロックされることができ、位置合わせ特徴部間のロッキングは、2つのピースの位置を維持することができる。メディアインサート504、554は、集中された圧力又は熱をメディアインサート504、554のより頑強な部分に加えることによって、更に固定され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、変換フィルタ501、551は、液晶を具備してもよく、ここでは液晶の起動により、変換フィルタ501、551を黒化する可能性がある。黒化は、光をブロックするために十分であり得る。ビューイングセットは、左側変換フィルタ501及び右側変換フィルタ551の交互の起動により三次元知覚をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、左側眼用レンズ500は、右側眼用レンズ550と電気的導通状態にあり得、これが、左側メディアインサート504を右側メディアインサート554と同期させることを可能にする。
【0074】
交互起動の周波数は、立体視メディアの特定のリフレッシュ速度に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、起動は、単一周波数でプログラムされてもよい。他の実施形態は、可変交互起動周波数を含んでもよい。例えば、メディアインサート504、554は、目視されるメディアのリフレッシュ速度を認識することができるセンサを含有してもよく、メディアインサート504、554は、結果的に交互起動周波数を調整することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、分離センサは、ユーザーがいつ立体視メディアを目視するかを認識することができる。このセンサは、三次元知覚が要求されない場合、起動の停止をトリガすることが可能であり得る。起動を制限するための能力は、交互の起動により非三次元知覚が妨害されるために、メディアインサートの電池寿命を延ばすことができ、長時間の装着を可能にすることができる。
【0076】
図6に進むと、メディアインサート604、654を内蔵する眼用レンズ600、650のビューイングセットの代替実施形態を図示している。いくつかのかかる実施形態では、変換フィルタ601、651は、重合RMM内に包含された受動的要素であり得、メディアインサート604、654は、可変光学領域607、657内に能動的メニスカスベースのレンズ607、657を含有してもよい。メニスカスベースのレンズは、視覚矯正の複数の屈折力を可能にすることができる。例えば、可変光学領域607、657は、焦点要素として働くことができる、それらの間に境界面を形成する少なくとも2つの不混和性の液体を封じ込めることができる。多様なエネルギー印加要素が、インサートの光学ゾーンの外側の領域内に内蔵されてもよい。エネルギー印加要素としては、例えば、メニスカスベースのレンズの性質を制御し得る集積回路、受動的電子構成部品、エネルギー印加要素、及び起動要素を挙げることができる。
【0077】
他の実施形態では、メディアインサート604、654は、環状の形状を構成してもよく、ここでは、環状メディアインサート604、654は、光学ゾーン内に領域を含有しない。このような実施形態は、例えば、活性薬剤の投与、又はグルコース若しくは温度など、眼の環境の特定の特徴のモニタリングを含む、非眼科的機能を提供し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、眼用レンズ600、650は、メディアインサート604、654に加えて、図示されないが、受動的剛性インサートを内蔵してもよい。剛性インサートは、重合反応性モノマー混合物内に包含された変換フィルタ601、651を具備する眼用レンズに600、650に更なる機能性をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、熱成形は、剛性インサートに着色デザインを付加することができ、これは、眼用レンズ600、650に美容的機能を付加することができる。着色デザインは、眼用レンズ600、650の光学ゾーンの外側に配置され得る。いくつかの実施形態では、印刷されたパターンが環状剛性インサート内に含まれてもよい。あるいは、変換フィルタが、剛性インサート内に内蔵されてもよい。
【0079】
ビューイングセットのいくつかの実施形態では、三次元ビューイングが要求されない場合、変換フィルタは、知覚されないものであり得る。かかる実施形態は、眼用レンズの長時間の使用を可能にすることができる。眼用レンズが、変換フィルタに加えて機能性を提供する実施形態において、長時間の使用は重要であり得る。例えば、変換フィルタを内蔵する眼用レンズは、視力を矯正するか、眼に美容的色合いを付加するか、眼の環境をモニタするか、又はこれらの組み合わせを行うことができる。結果的に、かかる実施形態では、ユーザーが立体視メディアを目視しない場合、変換フィルタは、視覚的に無視され得る。
【0080】
インサートベースの眼用レンズのための材料
いくつかの実施形態では、レンズのタイプは、シリコーン含有成分を含んでいるレンズであり得る。「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1個の[−Si−O]を含有する成分である。好ましくは、合計Si及び結合Oは、シリコーン含有成分中に、当該シリコーン含有成分の総分子量の約20重量%より大きい、更に好ましくは30重量%より大きい量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド及びスチリル官能基などの重合性官能基が含まれる。
【0081】
いくつかの実施形態では、インサートを包囲するインサート封入層とも呼ばれる、眼用レンズのスカートは、標準的なヒドロゲルレンズ配合物から構成され得る。多くのインサート材料と許容可能な調和を呈し得る特性を備える例示の材料には、ナラフィルコンA及びナラフィルコンBを含む、ナラフィルコン族が挙げられる。あるいは、エタフィルコンAを含むエタフィルコン族は、良好な例示の材料選択を表すことができる。より技術的に包括的な説明は、本明細書の技術分野と矛盾しない材料の性質に従うが、密封され封入されたインサートの許容可能な包囲部品又は部分的包囲部品を形成することができる任意の材料が矛盾せず含まれることは明確であり得る。
【0082】
好適なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含む:
【化1】
式中、
R
1は、独立して、一価反応性基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前述のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得、1−100 Si−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含むこともあり、
式中、b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのR
1は、一価反応性基を含み、一部の実施形態では、1〜3個のR
1が一価反応性基を含む。
【0083】
本明細書に使用するとき、「一価反応性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニルC
1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0084】
好適な一価アルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせなどの非置換の一価C
1〜C
16アルキル基、C
6〜C
14アリール基が挙げられる。
【0085】
一実施形態では、bは、ゼロであり、1個のR
1は、一価反応性基であり、少なくとも3個のR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。本発明のシリコーン成分の非限定的な例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが含まれる。
【0086】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又は一部の実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端R
1は、一価反応性基を含み、残りのR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に他の一実施形態では、bが3〜15であり、1つの末端R
1が一価反応性基を含み、その他の末端R
1が1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基を含み、残りのR
1が1〜3個の炭素原子を有する一価アルキル基を含む。本発明のシリコーン成分の非限定的な例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端のポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS」)、モノメタクリルオキシプロピル末端のモノ−n−ブチル末端のポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が挙げられる。
【0087】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端R
1は、一価反応性基を含み、残りのR
1は、独立して、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。
【0088】
一実施形態では、シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい場合、本発明のレンズは、ポリマーが作製される反応性モノマー成分の総重量に基づき、少なくとも約20重量%、好ましくは、約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から作製される。
【0089】
別の実施形態では、1〜4のR
1はビニルカーボネート又は以下の式のカルバメートを含む。
【化2】
式中、YはO−、S−又はNH−を意味し、
Rは、水素又はメチルを意味し、dは1、2、3又は4、かつ、qは0又は1である。
【0090】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーは、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートを含み、
【化3】
約200未満の弾性率を有する生物医学的装置が所望される場合、1個のR
1のみが一価反応性基を含むものとし、残りのR
1基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0091】
別のクラスのシリコーン含有成分としては、次の式のポリウレタンマクロマーが挙げられる。
式IV〜VI
(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*D
*E
1;
E(
*D
*G
*D
*A)
a*D
*G
*D
*E
1又は
E(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*A
*D
*E
1
式中、
Dは、6〜30個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、1〜40個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これは、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有できる。
*はウレタン又はウレイド結合を意味し、
aは、少なくとも1であり、
Aは次の式の二価重合ラジカルを意味する。
【化4】
R
11は独立してアルキル又は1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基を意味し、これには炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは少なくとも1であり、pは400〜10,000の部分重量を提供し、E及びE
1はそれぞれ独立して次の式に示される重合性不飽和有機ラジカルを意味する。
【化5】
式中、R
12は水素又はメチルであり、R
13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又はa−CO−Y−R
15ラジカルであって、Yは−O−、Y−S−又は−NH−であり、R
14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を意味し、Zは−O−又は−NH−を意味し、Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを意味し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0092】
1つの好ましいシリコーン含有成分は、以下の式で示されるポリウレタンマクロマーである。
【0093】
式IX(完全な構造は、対応するアスタリスク領域、
*〜
*、
**〜
**を結合することによって理解され得る)
【化6】
R
16は、イソホロンジイソシアネートのジラジカルなどのイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【0094】
式X(完全な構造は、対応するアスタリスク領域、
*〜
*を結合することによって理解され得る)
【化7】
【0095】
本発明の使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ素化炭化水素、ポリフッ素化エーテル、及び多糖類基を含有するマクロマー、末端のジフルオロで置換された炭素原子に結合する水素原子を有する、極性のフッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサン、エーテルを含有する親水性シロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニル結合及び架橋性モノマーが含まれる。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0096】
方法
以下の方法工程は、本発明のいくつかの態様により実施され得るプロセスの例として提供される。本方法の工程が示される順番は限定を意図するものではなく、他の順番を用いて本発明を実施しても良いことが理解されるべきである。加えて、本発明を実施するために全ての工程を必要とするわけではなく、また本発明の種々の実施形態には付加的な工程を含んでも良い。
【0097】
図7に進むと、流れ図が眼用レンズのビューイングセットを成形するための例示の工程を示している。705で、反応性モノマー混合物が、前方湾曲成形型上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、左側変換フィルタは重合後のRMM中に内在する場合もあり、変換フィルタを封入するための更なる工程を必要としないこともある。他の実施形態では、710において、左側変換フィルタがRMM内に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、左側変換フィルタは、705でRMMを堆積させる前に、前方湾曲成形型上に堆積されても又は印刷されてもよい。かかる実施形態では、左側変換フィルタは、RMMとの接触によって組み込まれ得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、715において、安定化特徴部がRMM内に内蔵され得、ここでは、安定化特徴部は、左側変換フィルタと位置合わせされる。いくつかのかかる実施形態では、材料は、前方湾曲成形型ピース上に堆積され得、ここでは705における堆積の間に、RMMが材料を取り込むことができる。代替実施形態では、硬化した又は部分的に硬化したRMM中に材料を注入してもよい。他の実施形態では、前方湾曲成形型上に収差を含むことができ、これは、眼用レンズ内に安定化特徴部を作り出すことができる。
【0099】
720では、後方湾曲成形型が、前方湾曲成形型に近接して配置され、レンズ成形空洞を作り出すことができる。725では、例えば、硬化技術により、RMMが重合され得る。730では、左側眼用レンズが、成形型から取り出され得る。いくつかの実施形態では、735〜760における右側眼用レンズの成形は、705〜730における左側眼用レンズを成形するためのプロセスの繰り返しであり得る。右側変換フィルタは、左側変換フィルタと相補形であり得、ここでは、フィルタ処理された変換物の組み合わせが、三次元知覚を可能にする。
【0100】
図8に進むと、流れ図が、剛性インサートを包含する眼用レンズのビューイングセットを成形するための例示の工程を示し、ここでは変換フィルタは剛性インサート内に内蔵されている。805では、左側変換フィルタを有する左側剛性インサートが、前方湾曲成形型に近接して配置され得る。810では、反応性モノマー混合物が、前方湾曲成形型上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、RMMは、例えば、RMMが眼用レンズに色彩を付加する場合など、眼用レンズに機能性を付加することができる。
【0101】
815では、いくつかの実施形態において、左側剛性インサートは安定化特徴部と位置合わせされ得、ここでは、眼用レンズが眼上で配向される場合、この位置合わせにより左側剛性インサートの機能性が確実となる。いくつかのかかる実施形態では、810で封入材料を付加する前に、安定化特徴部材料が前方湾曲成形型の表面に付加され得る。いくつかの実施形態では、安定化特徴部は、810で封入材料を付加する前に、かつ815における剛性インサートの付加とは別に、前方湾曲成形型上に配置されるインサートであってもよい。あるいは、安定化特徴部は、剛性インサートに内蔵されてもよく、ここでは、805〜830で、成形プロセス前に、左側剛性インサートが安定化特徴部と位置合わせされてもよい。
【0102】
820では、後方湾曲成形型が、前方湾曲成形型に近接して配置され、レンズ成形空洞を作り出すことができる。825では、RMMが、例えば硬化技術によって重合され得る。830では、左側眼用レンズが成形装置から取り外され得る。いくつかの実施形態では、835〜860における右側眼用レンズの成形は、805〜830において左側眼用レンズを成形するためのプロセスの繰り返しを含むことができる。右側変換フィルタは、左側変換フィルタと相補形であり得、ここでは、フィルタ処理された変換物を組み合わせることにより、三次元知覚が可能となる。
【0103】
図9に進むと、流れ図が、眼用レンズのビューイングセット内に内蔵するためのメディアインサートを成形する例示の工程を示している。905では、電源が左側メディアインサート内に組み込まれることができ、ここでは、左側メディアインサートは、左側眼用レンズ内に内蔵され得る。910では、左側変換フィルタの起動を制御する負荷が、電源を具備する回路内に含まれ得る。915では、能動変換フィルタが、メディアインサートの光学ゾーン領域内に内蔵され得る。いくつかの実施形態では、能動変換フィルタは、液晶を具備することができ、起動時に、液晶は黒化し、光をブロックすることができる。
【0104】
ビューイングセットが、左側眼用レンズと右側眼用レンズとの間の通信に依存する実施形態では、920において、左側同期化負荷が、電源を具備する回路内に含まれ得る。左側同期化負荷は、右側同期化負荷と電気的導通状態にあり得る。いくつかの実施形態では、925において、左側立体視メディアセンサが、電源を具備する回路内に含まれてもよい。左側立体視メディアセンサは、ユーザーが三次元知覚を要求するときをメディアインサートが感知することを可能にする。センサは、いくつかの実施形態において、可変起動周波数を可能にすることができ、ここではセンサが立体視メディアのリフレッシュ速度を検出することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、930〜925における右側メディアインサートを成形するためのプロセスが、905〜925における左側メディアインサートを成形するためのプロセス工程の繰り返しであり得る。他の実施形態では、右側メディアインサートは、950で別個の右側立体視メディアセンサを含有しなくてもよい。左側眼用レンズと右側眼用レンズとの間の交互の起動に依存するビューイングセットでは、立体視メディアセンサは、左側メディアインサート内に内蔵されてもよく、ここでは、左側メディアインサートは、右側メディアインサートに情報を通信することができる。例えば、左側同期化負荷は、起動命令を右側起動負荷に通信することが可能である。
【0106】
結論
上述のように、かつ以下の請求項によって更に定義されるように、本発明は、封入された剛性インサートに変換フィルタが内蔵されるような実施形態を含む、変換フィルタを具備する眼用レンズのビューイングセットを作製するための方法を提供する。本発明はまた、能動変換フィルタに電源供給し、かつ起動を制御することが可能なメディアインサート(より具体的には、メディアインサートが眼用レンズビューイングセット内に組み込まれ得る)を成形するための方法を含む。
【0107】
〔実施の態様〕
(1) 立体視メディアの三次元知覚のための眼用装置のビューイングセットを製造するための方法であって、
ユーザーの右眼上又は右眼内への配置用に、第1の眼用装置を成形する工程と、
第1の変換フィルタを前記第1の眼用装置に付加する工程であって、前記第1の変換フィルタが、前記右眼に立体視画像の第1のフィルタ処理された変換物を提供することが可能である、工程と、
左眼上又は左眼内への配置用に、第2の眼用装置を成形する工程と、
第2の変換フィルタを前記第2の眼用装置に付加する工程であって、前記第2の変換フィルタが、前記左眼に前記立体視メディアの第2のフィルタ処理された変換物を提供することが可能である、工程と、を含み、前記第1のフィルタ処理された変換物及び前記第2のフィルタ処理された変換物が、同時に目視される場合、三次元知覚を構成する、方法。
(2) 前記第1の眼用装置内に第1のインサート装置を封入する工程と、
前記第2の眼用装置内に第2のインサート装置を封入する工程と、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第1のインサート装置及び前記第2のインサート装置が、能動的構成部品を含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記第1のインサート装置を封入する工程が、前記第1の変換フィルタを付加する工程を含み、
前記第2のインサート装置を封入する工程が、前記第2の変換フィルタを付加する工程を含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記第1の変換フィルタが、第1の二色性材料を具備し、該第1の二色性材料が、波長値の第1のセットをフィルタ処理し、
前記第2の変換フィルタが、第2の二色性材料を具備し、該第2の二色性材料が、波長値の第2のセットをフィルタ処理し、
前記第1の眼用装置及び前記第2の眼用装置が同時に目視される場合、前記波長値の第1及び第2のセットの組み合わせが、三次元知覚を構成する、実施態様4に記載の方法。
【0108】
(6) 前記第1及び第2のインサート装置が、熱成形される、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記第1のインサート装置が、熱成形を通じた前記第1の変換フィルタを含み、前記第2のインサート装置が、熱成形を通じた前記第2の変換フィルタを含む、実施態様4に記載の方法。
(8) 前記第1及び第2の眼用装置の一方又は双方を成形する工程が、
生体適合性ポリマーを前方湾曲成形型部品及び後方湾曲成形型部品の一方又は双方に付加する工程と、
前記後方湾曲成形型部品を前記前方湾曲成形型部品に近接して配置する工程と、
前記生体適合性ポリマーを硬化させて、前記第1及び第2の眼用装置の一方又は双方を成形する工程と、
前記第1及び第2の眼用装置の一方又は双方を、前記前方湾曲成形型部品及び前記後方湾曲成形型部品から脱型する工程と、
前記第1及び第2の眼用装置の一方又は双方を水和する工程と、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記第1及び第2の変換フィルタが、非三次元知覚を可能にし、前記第1及び第2の変換フィルタが、非三次元知覚の間に前記ユーザーに知覚されない、実施態様1に記載の方法。
(10) 立体視メディアの三次元知覚用の眼用装置のビューイングセット内に内蔵するためのメディアインサートのセットを成形する方法であって、
左側電源及び左側起動負荷を回路内に組み込む工程であって、前記左側負荷が左側能動変換フィルタを制御することが可能である、工程と、
前記左側能動変換フィルタを、前記左側メディアインサートの左側光学ゾーン内に組み込む工程と、
右側電源及び右側起動負荷を回路内に組み込む工程であって、前記右側負荷が右側能動変換フィルタを制御することが可能である、工程と、
前記右側能動変換フィルタを、前記右側メディアインサートの右側光学ゾーン内に組み込む工程と、を含む、方法。
【0109】
(11) 立体視メディアセンサを、前記左側及び右側メディアインサートの一方又は双方に組み込む工程を更に含み、前記立体視メディアセンサが、前記左側及び右側起動負荷の一方又は双方と電気的導通状態にあり、前記立体視メディアセンサが、三次元知覚の必要性を検出することが可能である、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記立体視センサが、前記立体視メディアのリフレッシュ速度を検出することが可能であり、前記立体視メディアセンサが、前記右側及び左側メディアインサートの起動周波数における変更をトリガすることが可能である、実施態様11に記載の方法。
(13) 左側同期化負荷を、前記左側起動負荷と電気的導通状態で前記左側メディアインサート内に組み込む工程と、
右側同期化負荷を、前記右側起動負荷と電気的導通状態で前記右側メディアインサート内に組み込む工程と、
同期化センサを前記左側及び右側メディアインサートの一方又は双方内に組み込む工程であって、前記同期化センサが前記左側起動負荷と電気的導通状態にあり、前記右側メディアインサートの起動を検出可能である、工程と、を更に含む、実施態様10に記載の方法。