(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282502
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】文字合せ錠
(51)【国際特許分類】
E05B 37/02 20060101AFI20180208BHJP
E05B 65/02 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
E05B37/02 C
E05B65/02 D
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-61054(P2014-61054)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-183440(P2015-183440A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】小川 健二
【審査官】
小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−156845(JP,A)
【文献】
特開平08−333928(JP,A)
【文献】
特開2004−332376(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0283866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 37/02
E05B 65/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッチ部材用収容部(2)を有する筒状本体部(1)と、ダイヤル中心軸(3)を中心にして左右方向に回転するダイヤル操作盤(4)と、前記筒状本体部の前記ラッチ部材用収容部よりも前方に内装されかつ前記ダイヤル操作盤の操作によって施錠又は解錠位置へと回転する複数個の回転子(5,6)と、該回転子と前記ラッチ部材用収容部に設けられたラッチ部材(7)との間に介在するように前記筒状本体部に内装され、前記回転子が解錠位置の場合には前記ラッチ部材が筒状本体部の後端面側(A)方向への回転を許容し、一方、前記回転子が施錠位置の場合には前記ラッチ部材の前記後端面側方向への回転を阻止するロック部材(8)を備えた文字合せ錠(X)に於いて、
前記ラッチ部材(7)は、前記ラッチ部材用収容部(2)に設けられかつ前記ロック部材のロック片(8a)と当接する当接部分(21)を有するメインラッチ(20)と、該メインラッチに可動軸(15)を介してぶら下がり状に接続すると共に、該メインラッチ或いは前記筒状本体部に固定的に支持されたストッパー部材(40)と係脱するサブラッチ(30)とから成り、解錠時、前記筒状本体部が開く方向へ移動するときには、前記サブラッチは、その突出外端部が受け片(71)に当たることにより筒状本体部の後端面側(A)方向へと回転し、該サブラッチの回転量に対応してその係合腕(33)が前記ストッパー部材の指先状係止部分(41)に面接触状態に係入して該ストッパー部材に保持されることを特徴とする文字合せ錠。
【請求項2】
請求項1に於いて、サブラッチの突出外端部(31)には、筒状本体部が開く方向へ移動するときに、固定部材(70)側の受け片(71)に当たる後方の突出係合部(31a)と、一方、筒状本体部が閉じる方向へ移動するときに、前記受け片(71)に当たる前方の突出係合部(31b)とを有することを特徴とする成る文字合せ錠。
【請求項3】
請求項1に於いて、ラッチ軸は筒状本体部に固定的に設けられ、ストッパー部材は該ラッチ軸にその略中央部が支持され、指先状係止部分とは反対側の内端部に設けた係合突起(43)が、筒状本体部に設けた保持溝(1e)に係合保持されていることを特徴とする文字合せ錠。
【請求項4】
請求項1に於いて、ストッパー部材の指先状係止部分(41)は、略親指状の外観形状であり、その内面は緩やかな弧状カム面(41a)に形成され、一方、サブラッチの係合腕の内面は、前記弧状カム面に面接触状態で摺接するように曲面状(33a)に形成されていることを特徴とする文字合せ錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便箱や窓枠の障子に使用される文字合せ錠に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、「筒状本体部2ラッチ軸14を介して回動可能に設けられたラッチ板(メインラッチ)12と、該ラッチ板にバネ16のバネ力に抗してラッチ板12の内部方向へ後退動するスライド板(サブラッチ)13とから成るラッチ部材3」が開示されている。
【0003】
付言すると、特許文献1の文字合せ錠は、ラッチ軸14にて筒状本体部2に回動可能に保持するラッチ部材3を、第1係合片12cを有するラッチ板12と、ラッチ板12の長手方向にスライド可能で、ラッチ板12の先端側から突出する第2係合片13bを有するスライド板13と、スライド板13をラッチ板12の先端側へ付勢するコイルスプリング16とで構成され、前記第1係合片12cと第2係合片13bとの間に、受部材8aを収容する収容部15を形成し、扉体8の開閉時に、収容部15は受部材8aを収容した状態で本体部2の側面側から後端面側へ、又は、後端面側から側面側へ移動し、受部材8aとの係止解除位置及び係止位置でラッチ部材3をロック部材6によって保持するものである(符号は特許文献1に記載のもの)。
【0004】
この従来の文字合せ錠では、扉を開く際には、ラッチ板が回動して固定側の受部材から離れた時に、一方、扉を閉じる際には、ラッチ板が本体部内に移動して前記受部材に係止する時に、それぞれラッチ音が発生していたのを防止できるという利点を有する。
しかしながら、文字合せ錠の解錠時、前記筒状本体部が開く方向へ移動するときには、ラッチ板(メインラッチ)12がラッチ軸14を支点に回転して傾倒状態となり、その内端部の弧状面と直交するロック部材6のロック爪の角部分がやや線接触状態に圧接して保持するので、不注意により、スライド板(サブラッチ)13の突出係合片13bに当たると、容易にスライド板(サブラッチ)13が前記ロック爪の角部分から外れるという欠点があった。
【0005】
特許文献2は、上記問題点を解決するために出現したものであるが、構成(ラッチ保持体34、ラッチ36、スライド板40、複数個のバネ部材38、42等)が複雑であるという欠点がある(符号は特許文献2に記載のもの)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−249861号公報
【特許文献2】特許第4896700号公報
【特許文献3】実公昭59−20533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の主たる目的は、郵便箱等の扉を開いたときに、ラッチ部材が付勢手段の復帰力により戻り、その際、固定側部材の受け片に衝突することにより発生する「ラッチ音の発生」を防止することである。第2の目的は、郵便箱等の扉を開いたときにメインラッチにぶら下がり状に接続するサブラッチの係合腕が、ストッパー部材の指先状係止部分に面接触状態に係入して確実に保持され、それにより初期位置へと容易に戻らないようにすることである。第3の目的は、極力、構成部品を少なくすることにより、本願発明の主たる目的を達成することである。その他の目的は、郵便箱等の扉を閉じたとき、ラッチ部材が確実に初期位置へと戻ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の文字合せ錠は、ラッチ部材用収容部2を有する筒状本体部1と、ダイヤル中心軸3を中心にして左右方向に回転するダイヤル操作盤4と、前記筒状本体部の前記ラッチ部材用収容部よりも前方に内装されかつ前記ダイヤル操作盤の操作によって施錠又は解錠位置へと回転する複数個の回転子5,6と、該回転子と前記ラッチ部材用収容部に設けられたラッチ部材7との間に介在するように前記筒状本体部に内装され、前記回転子が解錠位置の場合には前記ラッチ部材が筒状本体部の後端面側A方向への回転を許容し、一方、前記回転子が施錠位置の場合には前記ラッチ部材の前記後端面側方向への回転を阻止するロック部材8を備えた文字合せ錠Xに於いて、前記ラッチ部材7は、前記ラッチ部材用収容部に設けられかつ前記ロック部材のロック片8aと当接する当接部分21を有するメインラッチ20と、該メインラッチに可動軸15を介してぶら下がり状に接続すると共に、該メインラッチ或いは前記筒状本体部に固定的に支持されたストッパー部材40と係脱するサブラッチ30とから成り、解錠時、前記筒状本体部が開く方向へ移動するときには、前記サブラッチは、その突出外端部が受け片71に当たるとこにより筒状本体部の後端面側A方向へと回転し、該サブラッチの回転量に対応してその係合腕33が前記ストッパー部材の指先状係止部分41に面接触状態に係入して該ストッパー部材に保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(a)請求項1に記載の発明は、メインラッチ20に付勢手段13の復帰力が作用していても、該サブラッチ30はストッパー部材40に係入保持されているので、サブラッチ30が受け片71の突壁部分の縁部に当たることにより、「ラッチ音が発生すること」を防止することができる(
図8参照)。特に、実施形態では、郵便箱等の扉を開いたときにメインラッチ20にぶら下がり状に接続するサブラッチ30の係合腕33が、ストッパー部材40の指先状係止部分41に面接触状態に係入して確実に保持され、それにより容易に初期位置へ戻らない。
(b)請求項2に記載の発明は、サブラッチの突出外端部31には、筒状本体部が開く方向へ移動するときに、固定部材70側の受け片71に当たる後方の突出係合部31aと、一方、筒状本体部が閉じる方向へ移動するときに、前記受け片71に当たる前方の突出係合部31bとを有するので、本願発明の主たる課題に合わせて、郵便箱等の扉を閉じたとき、ラッチ部材7が確実に初期位置に戻る。
(c)請求項3に記載の発明は、ラッチ軸12は筒状本体部1に固定的に設けられ、ストッパー部材40は該ラッチ軸にその略中央部が支持され、指先状係止部分とは反対側の内端部に設けた係合突起が、筒状本体部に設けた保持溝に係合保持されているので、該ストッパー部材40を筒状本体部1に簡単かつ固定的に装着することができる。
(d)請求項4に記載の発明は、ストッパー部材の指先状係止部分(41)は、略親指状の外観形状であり、その内面は緩やかな弧状カム面に形成され、一方、サブラッチの係合腕の内面は、前記弧状カム面に面接触状態で摺接するように曲面状に形成されているので、カム面の機能を有効的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1乃至
図11は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
【
図3】要部の正面視からの説明図(ストッパー部材は概略断面で示す)。
【
図4】要部の正面視からの分解斜視図(ストッパー部材は概略断面で示す)。
【
図5】サブラッチ30と受け片71の係脱関係を示す概略説明図。
【
図6】メインラッチ20と他の部材との関係を示す概略説明図。
【
図7】ストッパー部材40と保持溝との関係を示す概略説明図。
【
図8】扉を開く場合のラッチ部材の回転状態を示す概略説明図。
【
図9】扉を開く際にサブラッチ30が受け片71に押される状態の概略説明図。
【
図10】扉を開いた場合に於いて、サブラッチ30の回転に伴い、カム面の形状効果によって、メインラッチ20が、例えば2〜4度戻される、戻り動作の説明図。
【
図11】扉を閉じる場合のラッチ部材の回転状態を示す概略説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(1)具体的構成と特徴事項
図1乃至
図11は、本発明の一実施形態である。文字合せ錠Xは、ラッチ部材用収容部2を有する筒状本体部1と、該筒状本体部1の長手方向に設けられる棒状のダイヤル中心軸3と、前記筒状本体部1の先端部に前記ダイヤル中心軸3を中心にして左右方向に回転するダイヤル操作盤4と、前記筒状本体部1の前記ラッチ部材用収容部2よりも前方に内装されかつ前記ダイヤル操作盤4の操作力によって施錠又は解錠位置へと回転する複数個の回転子5、6と、該回転子5、6と前記ラッチ部材用収容部2に回動可能に設けられたラッチ部材7との間に介在するように前記筒状本体部1に内装され、前記回転子5、6が解錠位置の場合には前記ラッチ部材7が筒状本体部1の後端面側A方向への回転を許容し、一方、前記回転子5、6の少なくともいずれか一方が施錠位置の場合には前記ラッチ部材7の前記後端面側A方向への回転を阻止するロック部材8を備えている。この点、特許文献1(特開2006−249861号公報)に記載の文字合せ錠と同様に、「いわゆるダイヤル錠」に必要な最低限度の構成部材を備えている。
【0012】
本発明が前記特許文献1の文字合せ錠と異なる事項は、(イ)前記ラッチ部材用収容部2内に、一端部に指先状係止部分41を有するストッパー部材40を設け、(ロ)また前記ラッチ部材7は、固定軸としてのラッチ軸12に回転可能に軸支され、その内端部に前記ロック部材8のロック片8aと当接する当接部分21を有すると共に、付勢手段13の付勢力により、前記筒状本体部1の後端面側Aから該筒状本体部の周側面側Bへ常時付勢されたメインラッチ20と、(ハ)このメインラッチ20の外端部側に接続するように可動軸15を介して回転可能に設けられ、前記ラッチ部材用収容部2から突出する突出外端部31に固定部材70側の受け片71と係脱する少なくとも一つ以上の突出係合部31a、及び該突出係合部に連設する幅広部分32から軸孔を有する基端部34側に略V或いは略U状の間隙35を形成するように延び、かつ前記ストッパー部材40の指先状係止部分41に係脱するやや細幅の係合腕33を有するサブラッチ30とから成る点である。
【0013】
したがって、以上の本発明の特徴点(特定事項)に関係しない事項は極力図面を省略し、また詳細な説明の中で、特に符号を付する必要がない部分や細部的事項の説明は割愛する。
【0014】
(2)環境部材と本発明の構成部材
図1には、環境部材として、固定側部材70(例えば郵便箱や窓枠)と、該固定側部材70の内壁面に突出するように固定された受け片71と、固定側部材70に開閉可能に設けられた扉72と、該扉72に文字合せ錠Xを固定するための固定具(例えば螺合体)73が描かれている。これらの環境部材71、72、73は、本発明の特定事項ではない。
【0015】
本発明を特定する構成部材は、前記(1)で説明したように、ラッチ部材用収容部2を有する筒状本体部1と、ダイヤル中心軸3と、ダイヤル操作盤4と、複数個の回転子5、6と、ロック部材8と、ラッチ部材7を構成するメインラッチ20及びサブラッチ30と、前記サブラッチ30用のストッパー部材40であり、前記筒状本体部1、ラッチ部材用収容部2等の構造は適宜に形成され得る。以下、構成部材を順番に説明する。
【0016】
(3)筒状本体部1
まず、筒状本体部1は、例えば硬質の合成樹脂で形成され、
図1で示すように扉72の不番嵌合孔に文字合せ錠Xを取付けた場合には、扉72の外壁面から突出する部分は環状のフランジ部分1aとなっている。前記フランジ部分1aに連設する略円筒状部1bの先端部側には、固定具(例えばナット)73が螺合する不番オネジが形成されている。ラッチ部材用収容部2は筒状本体部1の略中央部乃至後端部寄りの部位に形成され、該筒状本体部1の略円筒状部1bの後端部には、図示しないダイヤル番号変換用の操作レバーを収容するための後端収納部9が形成され、該後端収納部9は前記ラッチ部材用収容部2と連通している。
【0017】
また筒状本体部1内の後端部寄りの内壁には、付勢手段13用の短筒状バネ端支持部1cが突出形成され、該短筒状バネ端支持部1cには、例えば付勢手段13の一例としての一つの圧縮コイルバネの一端部が支持されている。また筒状本体部1内の中央部の適宜箇所には、サブラッチ30の回転範囲を規制する回り止め部分1dが突出形成されている。
【0018】
なお、筒状本体部1のラッチ部材用収容部2の外部と連通する切欠部位(図面上、略円筒状部1bの下側壁部分)や後端収納部9の外部と連通する切欠部位(図面上、略円筒状部1bの後壁部分)の符号は割愛する。またその他の細部的事項の符号は同様に割愛する。
【0019】
(4)ダイヤル操作盤4
ダイヤル操作盤4は、例えば図面上断面右向きコ字形状に形成され、数字や記号等の符号が設けられた垂直文字盤部分4aと、該垂直文字盤部分の外周端部に突壁状に周設された環状部分4bと、該環状部分の内側に環状間隙を有して形成された短筒状嵌合部分4cとから成り、前記環状部分4cは固定側部分に相当するフランジ部分1aの前面に周設された環状凹所に嵌合し、また前記短筒状嵌合部分4cは、その中心部にダイヤル中心軸3の端部と螺合する不番軸孔が形成されていると共に、その外周面は多角形(例えば八角形状)に形成されている。
【0020】
したがって、ダイヤル操作盤4はダイヤル中心軸3と共に、又は設計如何によっては、ダイヤル中心軸3に支承された状態で左右方向に回転可能である。なお、ダイヤル操作盤4は、一物品又は二物品で構成され得る。ダイヤル操作盤4が二物品の場合には、ダイヤル本体と、該ダイヤル本体に一体的に外嵌合するダイヤルカバーとから成る(例えば特開2006−274691号公報の
図8参照)。
【0021】
(5)複数個の回転子5、6
複数個の回転子5、6は、筒状本体部1の先端部側の内部にダイヤル中心軸3に嵌挿された状態で回転自在に組み込まれている。回転子5、6の構造・機能は当業者に自明事項なので、詳細な図面は割愛している。ここでは、ダイヤル操作盤4の外周面多角形の短筒状嵌合部分4cに外嵌合する前方の回転子を第1回転子5とし、一方、該第1回転子5と軸方向に重なる後方の回転子を第2回転子6とする。
【0022】
しかして、前記第1回転子5の先端部(図面上、左側)には、前述した短筒状嵌合部分4cに外嵌合する内周面が多角形(例えば八角形状)の嵌合部分が形成され、一方、該第1回転子5の鍔状後端部(図面上、右側)の内周壁等の適宜部位には「ツク」と称される係合突子が設けられ、一方、前記鍔状後端部等の適宜部位には解錠用の切欠部5aが形成されている。
【0023】
また前記第2回転子6は、例えば断面横倒しハット形状(帽子の一種)に形成され、前記第1回転子5の鍔状後端面と面接触する小径先端部には前記係合突子と係合する被係合突起が設けられ、一方、鍔状後端部の適宜部位には、第1回転子5と同様に解錠用の切欠部6aが形成されている。前記解錠用切欠部5a、6aが揃った場合には、後述するロック部材8のロック片8aがロックバネ8bのバネ力に抗して後退動可能である。
【0024】
付言すると、実施形態の文字合せ錠Xの解錠は、周知の文字合せ錠と同様に、「摘み(ダイヤル操作盤4)を一方向に回転させることにより、一方の回転板(例えば第2回転子6)を一つの暗証番号の位置へと回転させて、該一方の回転板の解錠溝(例えば切欠部分6a)を解錠位置に合わせ、次に前記摘みを逆転させて、第1回転子6の解錠溝(例えば切欠部分5a)を解錠位置に合わせ、両解錠溝6a、5aを一致させることにより、ラッチ部材7(実施形態ではメインラッチ20)がラッチ軸12を中心に回動できるようになり、該ラッチ部材7(実施形態ではメインラッチ20とサブラッチ30)を一つの付勢手段13の付勢力に抗して筒状本体部1内に必要な位置まで没入させることにより、扉72を開くことができる(
図8参照)。
【0025】
(6)ロック部材8
ロック部材8は、その後端部にメインラッチ20のロック片用当接部分21に当接するブロック形態のロック片8aと、該ロック片8aを付勢するロックバネ8bとから構成されている。すなわち、
図1で示すように、ロック部材8は、筒状本体部1のフランジ部分1aの内面側に軸方向に配設され、かつ前後方向に摺動可能に設けられロック片8aと、該ロック片8をメインラッチ20の内端部の前記当接部分21に常時押圧するロックバネ(例えば圧縮バネ)8bとから成る。
【0026】
(7)ラッチ部材7
金属製或いは硬質合成樹脂製のラッチ部材7は、例えば
図2の斜視図で示すように、メインラッチ20と、該メインラッチ20に接続するサブラッチ30とから成り、前記メインラッチ20の一側壁にはラッチ軸12を介して、やや肉厚板状のストッパー部材40が添設されている。
【0027】
ここでは、例えば
図4を参照にして前記メインラッチ20の構造を説明する。前述したようにメインラッチ20の内端部(図面上、上端部)には、ロック片8aの後端部の弧状凹所と当接する弧状突起の当接部分21が形成され或いは設けられている。一方、メインラッチ20の外端部(図面上、下端部)には、ラッチ軸12よりも小径の可動軸(可動ピン)15が設けられている。前記外端部(下端部)の後壁面は、右上がり状の傾斜面となっており、略中央部に相当する突出後端部分の上面には、付勢手段の一例としての圧縮バネ13の下端部を支持するバネ端支持突起23が設けられている。そして、メインラッチ20の略中央部にはラッチ軸用の軸孔24が設けられている。
【0028】
付言すると、メインラッチ20は、ラッチ軸12に回転可能に軸支され、その内端部にロック部材8のロック片8aと当接する当接部分21を有すると共に、付勢手段13の付勢力により、筒状本体部1の後端面側Aから該筒状本体部1の周側面側Bへ常時付勢され、回転子5,6が解錠位置に於いて、扉72を開く場合には、サブラッチ30と共に反時計方向に回転可能である。
【0029】
一方、サブラッチ30は、前述したように、メインラッチ20の外端部側に接続するように可動軸15を介して回転可能に設けられ、ラッチ部材用収容部2から突出するくちばし形状の突出外端部(図面上、下端部)31に、固定部材70側の受け片71と係脱する後方突出係合部31aと、及び該突出係合部31aに連設する幅広部分32と、該幅広部分32から軸孔を有する基端部34側に略V或いは略U状の間隙35を形成するように弧状に延び、かつストッパー部材40の指先状係止部分41に係脱するやや細幅の係合腕33とを有している可動板体である。なお、実施形態では、さらに改良を加え、前記突出外端部31には前方の該突出係合部31bを設け、指先状の該前方の該突出係合部31bは、筒状本体部が閉じる方向へ移動するときに、前記受け片(71)に当たる。
【0030】
付言すると、サブラッチ30は、メインラッチ20の外端部側に可動軸15を介してぶら下がり状に接続すると共に、回転可能に設けられ、ラッチ部材用収容部2の切欠部分側の外端部に固定部材70側の受け片71と選択的に係脱する二つの突出係合部31a、31b、これらの突出係合部に連設する幅広部分32の外端部側に可動軸15の外周面方向に所定量の間隙35を有して延び、ストッパー部材40の指先状係止部分30に係脱するやや細幅の係合腕33とから成る。
【0031】
そして、実施形態では、後述のストッパー部材40の指先状係止部分41は、略親指状の外観形状であり、その内面は緩やかな弧状カム面41aに形成され、一方、サブラッチの上端部に至ってやや細幅の係合腕33の内面は、前記弧状カム面41aに面接触状態で摺接するように曲面状33aに形成されている。
【0032】
(8)ストッパー部材40
ラッチ部材用収容部内に設けられたストッパー部材40はラッチ軸12にその略中央部が支持され、前述したように一端部(下端部)に指先状係止部分41を有し、一方、前記指先状係止部分とは反対側の内端部(上端部)に設けた係合突起43が、筒状本体部1に設けた保持溝1eに係合保持される。
【0033】
しかして、ストッパー部材40の指先状係止部分41は、略親指状の外観形状であり、その内面は緩やかな弧状カム面41aに形成され、一方、サブラッチ30のやや細幅の係合腕33の内面は、前記弧状カム面41aに面接触状態で摺接するように曲面状33aに形成されている。
【0034】
(9)作用・効果
ラッチ部材7の作用を説明する。実施形態では、扉72を開く際に筒状本体部1が該扉72と共に開く方向へ移動する。筒状本体部1が該扉72と共に開く方向へ移動すると、メインラッチ20に可動軸15を介してぶら下がり状に接続するサブラッチ30は、その下端部(突出外端部)が筒状本体部1の周側壁から常に食み出しているので、受け片71の前方の略L字形状突壁部分の縁部に後方の突出係合部31aの略垂直係合面が当たり、これにより、該サブラッチ30は筒状本体部1の後壁側Aに回転し、その回転量に応じて、筒状本体部1に直接又は間接的に支持されたストッパー部材40の指先状係止部分41に、該サブラッチ30の細幅の係合腕33が係入する。
【0035】
その結果、サブラッチ30は面接触状態でメインラッチ20に保持され、メインラッチ20に付勢手段13の復帰力が作用していても、該サブラッチ30は前記ストッパー部材40から完全に離れることがないので、サブラッチ30が受け片71の前方の略L字形状突壁部分の縁部に当たることにより、「ラッチ音が発生」を防止することができる(
図8参照)。
【0036】
ところで、実施形態では、メインラッチ20は付勢手段13に常時付勢されているので、例えば
図10は、ストッパー部材40の弧状カム面41aとサブラッチ30の係合腕33の弧状摺接面33aのカム面の形状効果によって、メインラッチ20が、例えば2〜4度戻されることを示す(ここでは「戻り動作」という)。
【0037】
したがって、前記戻り動作によって、扉72を閉じる場合には、必ず、サブラッチ30の突出外端部31の前方の突出係合部31bが、前述した受け片71の前方傾斜壁の縁部に当接して時計方向に回転し、その結果、サブラッチ30の係合腕33がストッパー部材40の指先状係止部分41から外れる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、郵便箱や窓枠に使用可能な文字合せ錠(ダイヤル錠)である。
【符号の説明】
【0039】
1…筒状本体部、A…筒状本体部の後端面側、2…ラッチ部材用収容部、3…ダイヤル中心軸、4…ダイヤル操作盤、5、6……複数個の回転子、7…ラッチ部材、8…ロック部材、8a…ロック片、20…メインラッチ、30…サブラッチ、31…突出外端部、31a…後方の突出係合部、31b…前方の突出係合部、33…係合腕、40…ストッパー部材、41…指先状係止部分、71…受け片。