(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
【0019】
まず、本発明の一実施形態による下水処理システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による下水処理システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この一実施形態による下水処理システム1は、固液分離装置2、散水ろ床装置3、および後段固液分離装置4を備える。固液分離装置2は、下水W1に対する第1段階目の浄水処理を行って、下水W1中の固形成分と被処理水W2とを分離する。なお、固液分離装置2の代わりに、従来の最初沈殿池を設けることも可能である。また、散水ろ床装置3は、固液分離装置2の後段に設置され、下水W1に対する第2段階目の浄水処理を行って、被処理水W2を生物処理して処理水W3を得る。後段固液分離装置4は、散水ろ床装置3の後段に設置され、下水W1に対する第3段階目の浄水処理である沈殿処理およびろ過処理を行って、得られた処理水W4を外部環境に排出する。なお、後段固液分離装置4の代わりに、生物膜ろ過装置などの他の装置を設置することも可能であり、例えば沈殿部内にろ過層を備えていない固液分離装置、曝気式の生物膜ろ過装置、または、通常の最終沈殿池を設置することが可能である。
【0020】
次に、上述した散水ろ床装置3について説明する。
図2は、この一実施形態による下水処理システム1の散水ろ床装置3の一構成例を示す模式図であり、
図3は、
図2に示す散水ろ床装置3の側断面図である。
図2および
図3に示すように、この一実施形態による散水ろ床装置3は、ろ床本体10、散水管11、ワイヤ12aを備えた回転式散水装置12、および流通管13を備えるとともに、装置天井3aに固定支持された流入管3bを有して構成されている。ろ床本体10は、微生物が付着したろ材10aが充填されたろ材充填層を内包する。このろ材10aは、ポリウレタンまたはポリプロピレンなどの物質の表面に微生物を付着させた生物処理を行うための微生物付着材である。ろ材10aの比重は、水の比重(=1.0)に近似する例えば0.9である。この一実施形態において、ろ材10aは、例えば
図3に示すように円筒形状に形成された円筒形ろ材からなる。
【0021】
また、
図2および
図3に示すように、散水ノズルとしての散水管11は、固液分離装置2から供給された被処理水W2をろ床本体10の内部に散布する。回転式散水装置12は、ワイヤ12aによって散水管11を支持するとともに、散水管11をその長手方向に対して直角方向かつ一方の流入側端部近傍を軸として平面内で回転可能に構成されている。流通管13は、ろ床本体10の下層から、自然流下またはポンプ等の作用によって、処理水W3を後段固液分離装置4に供給するための管である。
【0022】
ろ床本体10は、ろ床底部10b上に設けられ、表面に微生物が付着した複数のろ材10aが充填された槽であり、複数の処理水槽、具体的に例えば6つの処理水槽からなる。回転式散水装置12は、固液分離装置2から供給された被処理水W2を、散水管11を、軸Cを中心に回転させてろ床本体10の各処理水槽内部に散布する散水手段である。また、流入管3bは、
図1に示す固液分離装置2と連通している。回転式散水装置12は、ろ床本体10の円周方向に沿って、例えば被処理水W2の吐出水流の反作用によって回転可能に構成された回転機構を有する。なお、回転式散水装置12にモータなどを設け、このモータを用いて散水管11を回転させてもよい。
【0023】
また、ろ床本体10の上部には、ろ床本体10の円周部Aに向けて放射状に複数、具体的には例えば3本の散水管11が設けられている。なお、回転式散水装置12に連結される散水管11の本数は3本に限定されず、1本でも複数でもよい。散水管11には、流入管3bを通じて固液分離装置2から被処理水W2が供給されて、被処理水W2の吐出時の推進力により各散水管11をろ床本体10の円周方向にそって回転させる。この散水管11の詳細については後述する。
【0024】
さらに、この一実施形態による散水ろ床装置3においては、回転式散水装置12を装置天井3aから吊り下げて支持固定した、吊下げ設置方式を採用している。これによって、排水処理施設の散水ろ床装置における回転式散水装置12を、ろ床底部上に支柱を鉛直に設けて支柱の上部に設置した支柱式設置方式に比して、有効ろ床面積の増加を図ることができるので、処理能力が向上する。また、装置天井3aを有する既設の例えば好気性処理や嫌気性処理を行う排水処理設備の反応槽に対して、回転式散水装置12を設置するのが容易になる。これによって、従来の排水処理設備における反応槽を散水ろ床装置とする際において、散水管11の設置に伴う大規模な改造が不要となり、施工期間を短縮できるとともにコストを低減できる。
【0025】
(散水管)
次に、以上のように構成された下水処理システム1における散水ろ床装置3に使用される散水ノズルとしての散水管11について説明する。
図4は、この一実施形態による散水管11の全体構成を示す模式図である。また、
図5Aは、散水管11の主管111および支管112の1つを示す模式図であり、
図5Bは、散水管11の流入側端部とは反対側の一端部(以下、流出側端部)に支管113を設ける場合の流出側端部の部分を示す模式図である。なお、散水管11において、流入側端部が被処理水W2の流れに沿った上流側になり、流出側端部が被処理水W2の流れに沿った下流側になる。
【0026】
図4および
図5Aに示すように、この一実施形態による散水管11は、主管111と複数の支管112とを有して構成されている。そして、
図4および
図5Aに示すように、主管111は、例えば中空円筒状の部分を有して構成されている。また、吐出管を構成する支管112は、例えば中空円筒状の部分を有するとともに、被処理水W2などの液体を外部に吐出するための流出孔112aが設けられている。この支管112は、主管111の中空部分と連通しているとともに、主管111の長手方向に沿いつつ主管111の円筒側面に並べて設けられている。ここで、主管111の長手方向に直角な断面に沿った管径D
0は例えば28mmである。なお、本明細書において、管径とは主管や支管の外径を意味し、管の肉厚はたとえば従来公知のバローの式に従って得られる。具体的に、主管111においては肉厚が2.8〜3.0mm程度、支管112においては肉厚が2.1〜3.0mm程度、支管113においては、肉厚が1.7〜2.0mm程度とするのが好ましい。また、支管112の長手方向に直角な断面に沿った管径D
1は、管径D
0に対して0.2倍より大きく0.8倍未満の例えば15.7mm、主管111から突出した部分の長手方向に沿った長さは例えば11.2mmである。散水管11に被処理水W2が供給されて、主管111の内部に被処理水W2が流れると、被処理水W2は、それぞれの支管112において分流されて流出孔112aを通じて外部に吐出される。吐出された被処理水W2は、ろ床本体10のろ材充填層に散布される。
【0027】
また、
図4に示すように、支管112は、主管111の流入側端部から1番目の支管112(位置d
1)までの間隔l
1、1番目の支管112と2番目の支管112(位置d
2)との間隔l
2、…と、主管111の長手方向に順次併設されている。なお、それぞれの支管112の間隔を以下、i番目の支管112(位置d
i)とさらに流入側端部の側で隣り合う支管112(位置d
i-1)との間隔l
iや、最も流出側端部の側に位置するn番目の支管112(位置d
n)と主管111の流出側端部との間隔l
n+1などで表す。
【0028】
また、
図5Bに示すように、主管111に対して、流入側とは反対側の流出側端部に、吐出ノズル(吐出管)を構成する支管113を設けてもよく、この場合においては、主管111および支管112,113から散水管11が構成されている。この支管113は、主管111における被処理水W2の流入側とは反対側の端部において、主管111の中空部分と連通している。支管113は、例えば中空円筒状の部分を有するとともに、被処理水W2などの液体を外部に吐出するための流出孔113aを有する。そして、主管111内に被処理水W2が流れると、支管113の部分に被処理水W2が分流して外部に吐出される。
【0029】
散水管11の流出側端部に支管113を設ける場合には、散水管11の内部において圧力変動が低減されるため、支管112,113における流出流量が安定するという効果が得られる。すなわち、支管113が設けられていない場合、または支管113が閉じられている場合、被処理水W2の流れによる主管111内の圧力変動の影響は、枝管である支管112が受けることになる。そのため、支管112からの流出流量が時間ごとに変動して、流出量の時間変動が若干不安定になる可能性が生じる。そのため,例えば1日間という周期においては、被処理水W2の処理流量の増減による圧力変動が生じる可能性がある。これに対し,散水管11の流出側端部に支管113を設けることにより、この支管113が圧力変動の開放孔として作用することから、主管111内の圧力変動に対する不安定性を軽減できるので、散水管11内の圧力変動に対するばらつきを低減できる。これにより、散水管11を、例えば1日間のサイクル中の処理流量の増減による圧力変動の影響を受けにくい構成にできる。
【0030】
ここで、本発明者は、さらなる処理能力の向上を図るために、散水管11について鋭意検討を行った。まず、本発明者は
図4に示す散水管11において、散水管11の流入側端部に供給する被処理水W2の流入流量Q
allを、基準の流入流量Q
0に対して1/2〜3/2倍までの範囲で種々変化させて、それぞれの支管112,113から吐出される被処理水W2の流出流量Q
i(i=1,2,…,7)を導出した。ここで、散水管11の主管111の長手方向に沿った主管長l
0を1600mm、支管112の数を6管(
図4中、n=6)、支管113を1管とし、管径比は、主管111:支管112:支管113=1.0:0.6:0.25とした。
図6は、このように構成された散水管11における流出流量比の入口からの距離依存性を、数値解析を用いて算出した流入流量ごとに示した結果を示すグラフである。なお、
図6における入口からの距離L(mm)は、以下の(1)式で得られるそれぞれの支管112における流入側端部からの距離L
kである。
【0032】
図6から、流入流量Q
allをどのように変化させても、それぞれの支管112から吐出される被処理水W2の吐出流量の流入流量に対する比(以下、流出流量比)Q
i/Q
allは、それぞれの支管112において変化しないことが分かる。なお、本発明者が、
図4に示す散水管11において上述と同様の流出流量を計測したところ、上述と同様の結果が得られることが確認された。また、支管113においても、流出流量比Q
7/Q
allは極めて小さくなるが、流入流量Q
allをどのように変化させても流出流量比Q
7/Q
allは変化しないことが分かる。従来技術からは、基本的に吐出される流量は、支管112のうちの散水管11の流入側になるに従って大きくなる傾向になると予想されていた。しかしながら、以上の点から本発明者は、支管112において、散水管11の流入側から流出側に沿って、流出流量比Q
i/Q
allが単調増加する特性を有する場合があることを新たに知見するに至った。
【0033】
また、本発明者は、これらの支管112の管径D
1における主管111の管径D
0および支管113の管径D
2に対する比を種々変化させて、それぞれの支管112から吐出される被処理水W2の流出流量比Q
i/Q
allを導出した。ここで、流入流量Q
allは67L/min、支管112を6管、支管113を1管とした。また、主管111の管径D
0と支管113の管径D
2との比は、たとえば1:0.25とした。この比率に関して、本発明者の検討により得た知見から、支管113の管径D
2の主管111の管径D
0に対する管径比D
2/D
0を大きくしすぎると、ろ床本体10に散布する被処理水W2の流量が減少して処理性能が落ちてしまう。これにより、支管113の管径D
2の主管111の管径D
0に対する管径比D
2/D
0は0.25付近とするのが望ましい。そして、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する管径比D
1/D
0を、0.2〜1.0の範囲で種々変化させる。また、流入流量Q
allは例えば
図6における流入流量Q
0などで一定とした。
図7に、散水管11の支管112における流出流量比Q
i/Q
allの入口からの距離依存性を、散水管11の主管111の管径D
0と支管112の管径D
1と支管113の管径D
2との比ごとのグラフを示す。
【0034】
図7から、支管112から吐出される流量は、全体的に、入口からの距離Lが大きくなると増加することが分かる。また、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比が0.2となると、支管113から吐出される流量が支管112から吐出される流量に比して大きくなるのが分かる。すなわち、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比を0.2以下にすると、流入された被処理水W2は支管113から主に吐出されることが分かる。他方、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比を0.2より大きくすると、支管113から吐出される被処理水W2の流量は大幅に低減し、被処理水W2は主にそれぞれの支管112から吐出されることが分かる。また、本発明者の知見によれば、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比が0.2以下と小さい場合、支管112の流出孔112aからの必要な流出量に対して、主管111の管径D
0が大きくなりすぎてしまう。そのため、コストの増加や施工性の悪化という問題が生じる。
【0035】
また、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比が0.8または1.0となると、入口から1番目の支管112から吐出する流量に比して、入口から2番目の支管112から吐出する流量が小さくなることが分かる。すなわち、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比を0.8以上とすると、主管111の流入側から流出側になるに従って、流出流量比Q
i/Q
allが流入側(入口側)から流出側に向かって単調増加しないことが分かる。すなわち、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比を0.8以上とした場合、それぞれの支管112からの流出量が入口からの距離Lに対する線形性を維持できなくなって、設計が困難になるという問題が生じる。従って、本発明者は、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比D
1/D
0は、0.2より大きく0.8未満とするのが好ましいことを知見するに至った。また、
図6および
図7に基づいて、本発明者が支管112の数を6管以外の数でさらに確認したところ、支管112の数が7管付近の5〜9管程度である場合には、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比D
1/D
0は、0.4以上0.8未満が好ましく、0.5以上0.7以下がより好ましく、0.5以上0.65以下がさらに好ましいことを知見した。
【0036】
また、本発明者は、上述した散水管11において、支管113を設けない場合と支管113を設けた場合で主管111の管径D
0との管径比D
2/D
0を種々変化させた場合において、流出流量比の数値解析を行った。
図8は、支管112が6管設けられた条件下で、支管113が設けられていない場合と、支管113が設けられている場合とにおける、散水管における流出流量比の入口からの距離依存性を、主管111の管径D
0に対する支管113の管径D
2の管径比D
2/D
0ごとに示すグラフである。なお、
図8において、「No」は散水管11における流入側端部からの支管112,113の順番を示し、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比率は0.6とする。
【0037】
図8から、支管113の管径D
2の主管111の管径D
0に対する管径比D
2/D
0を0(支管113を設けない)〜0.65まで変更した場合において、流出側端部側になるに従って支管112からの被処理水W2の流量が大きくなる傾向があることが分かる。すなわち、支管113を設けた場合と設けない場合とにおいて、散水管11の支管112からの流出特性は大きく変わらないことが分かる。また、支管113の管径D
2を支管112の管径D
1に比して大きくした場合、すなわち管径比D
2/D
0を0.65〜1.0とした場合において、支管113から流出する流量が、支管112から流出する流量より大きくなることが分かる。
【0038】
また、本発明者は、上述した支管112を6管、支管113を1管備えた散水管11において、流入流速を種々変化させて、それぞれの支管112および支管113から吐出する被処理水W2の流出流量比の数値解析を行った。その結果を
図9に示す。
図9は、散水管11の支管112における流出流量比Q
i/Q
allの入口からの距離依存性を、流入流速V
inごとに示すグラフである。なお、
図9において、流入流速V
inは、0.3〜100m/sの範囲とした。
【0039】
図9から、被処理水W2の流入流速V
inが0.3〜0.5m/sであると、流出流量比に関して、入口から1番目の支管112からの流出流量比に比して、入口から2番目の支管112から吐出する流出流量比が小さくなることが分かる。すなわち、被処理水W2の流入流速V
inを0.5m/s以下にすると、流出流量比Q
i/Q
allが、主管111の流入側から流出側に向かって単調増加しないことが分かる。すなわち、被処理水W2の流入流速V
inが0.5m/s以下の場合、それぞれの支管112からの流出量が線形性を維持できなくなって、設計が困難になるという問題が生じる。そして、
図9中の点線は、支管112において流出流量比Q
i/Q
allが単調増加する場合の境界を示す。これにより、本発明者は、支管112の入口からの距離Lに従って流出流量比が単調増加するという流出特性の傾向を維持可能な下限として、被処理水W2の流入流速V
inを、0.5m/sより大きくするのが好ましいことを知見するに至った。また、本発明者が、流入流速V
inを0.5m/s以下として主管111および支管112中の液体の占有容積および空気の占有容積を計算した結果、主管111内部が被処理水W2で満たされず、流出特性が変化してしまうことが判明した。さらに、本発明者は、これらの知見に基づいて、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する比D
1/D
0を0.8とした散水管11に対して検討を行い、そして、被処理水W2の流入流速V
inを、0.5m/sより大きくした場合においても、主管111を満管状態にできることが確認した。
【0040】
他方、流入流速V
inを0.5m/sより大きくして100m/s以下の範囲であれば、支管112の入口からの距離Lに従って流出流量比が単調増加するという流出特性を維持できることが分かる。しかしながら、流入流速を5.0m/sより大きくすると、散水管11の主管111の内部に被処理水W2を流入させる際の、流入圧力が極めて大きくなるため好ましくない。これらの点から、流入流速V
inの上限としては、5.0m/s以下とするのが好ましい。他方、本発明者は、主管111の管径D
0を42.7mm(Sch20の場合の32Aの配管の内径が36.7mm)以上60.5mm(Sch20の場合の50Aの配管の内径が53.5mm)以下とした場合において、上述した流出特性の傾向が維持されることを確認した。これにより、散水管11に流入する被処理水W2の流量の下限としては、配管面積が1.05×10
-3m
2、流体速度が0.5m/sの場合において、31.5L/minとなる。一方、散水管11に流入する被処理水W2の流量の上限としては、配管面積が2.25×10
-3m
2、流体速度が5.0m/sの場合において、674.4L/minとなる。以上の検討から、本発明者は、散水管11に流入させる被処理水W2の流入流量の範囲は、31.5L/min以上674.4L/min以下が好ましいことを想起した。
【0041】
また、本発明者は、主管111の長手方向に沿った長さを長くした場合においても、上述した流出特性の傾向が得られるかについて検討を行い、主管111の長さを長くした場合において、種々実験および解析を行った。その実験および解析の結果を
図10に示す。
図10は、この一実施形態による散水管11において、主管111の長さを変化させた場合において、流出流量比Q
i/Q
allの入口からの距離依存性を示すグラフである。
図10においては、主管111の長さを1600mmとした場合と、各支管112の流入側からの設置位置の比率を維持しつつ主管111の長さを3600mmと大きくして計測した場合および数値解析を行った場合とを示す。なお、
図10に示す横軸は、主管111に対する支管112の入口からの相対距離L
k/l
0を示す。
図10から、主管111の長さを長くしても、それぞれの支管112から流出する被処理水W2の流出流量比Q
i/Q
allが流入側から流出側に向かって単調増加して、ほぼ同じ傾向になっていることが分かる。また、本発明者が理論値と計測値との差を算出したところ、それらのずれが2%以内に収まっていることを確認した。
【0042】
また、本発明者は、上述した
図6に示す実験に基づいて、散水管11に関し鋭意検討を行った。本発明者は、上述した
図4に示す散水管11の支管112の数や支管112間の間隔を変えて実験およびシミュレーションを行った。なお、この実験およびシミュレーションにおいては、散水管11の流入側端部を、回転式散水装置12の軸Cの中心からフランジの位置である400mm程度離れた位置としている。その結果を、
図11に示す。
図11は、3通りの散水管11における流出流量の入口からの距離依存性を示すグラフである。ここで、
図11におけるモデル1,2の散水管11はそれぞれ、支管113を設けることなく、主管111の主管長l
0を例えば2200mmとし、支管112の数を7管(n=7)としている。そして、モデル1,2において、主管111に沿った支管112間の間隔をモデルごとに相違させて、流出孔112aの間隔の違いによる流出流量比の変化を測定している。また、
図11中のモデル3の散水管11は、主管111の主管長l
0を例えば2000mmとし、支管112の数を6管(n=6)としている。
【0043】
図11に示すように、モデル1〜3の散水管11においては、入口からの距離が大きくなるに従って、流出流量が単調増加する流出特性を有する。そこで、本発明者は、これらのモデル1〜3の散水管11についてさらに検討を行った。そして、本発明者は、
図11から、モデル1とモデル2との結果が定量的に一致していることを知見した。換言すると、本発明者は、吐出管としての支管112における流出流量は、流入側端部(入口)からの距離や支管112どうしの間隔にはほとんど影響されないことを知見した。
図11から、モデル1およびモデル2の支管112において、それらの順番に基づく流出特性がほとんど一致していることが分かる。これにより、本発明者は、流出孔間隔を変更しても流出流量比への影響は少なく、流出流量比に関する決定要因が、支管112の入口からの設置順であることを発見した。そして、本発明者は、被処理水W2の流出流量が、散水管11の流入側からの支管112の数、すなわち支管112の流入側からの順番に依存することを想起し、この特性を実験および流体解析により導出するに至った。
【0044】
また、本発明者は、この支管112の数をさらに増減させ、散水管11における各支管112の流出流量比に関する実験および検討を行った。その結果を
図12に示す。
図12は、
図11に示すモデル2,3の散水管11と、支管112の数を2管(流出孔数:2穴)および12管(流出孔数:12穴)とした散水管11とを用いた場合の、入口からの支管112の順番(流出孔番号)ごとの流出流量比を示すグラフである。
【0045】
図12から、散水管11において管数を増減させた場合においても、流出孔番号に従って流出流量比が略直線的に単調増加することが分かる。すなわち、支管112の管数、すなわち流出孔数を変化させても、流入側から流出側に向かって線形的に流量が増加する傾向は変わらないことが分かる。なお、本発明者の検討によれば、増加勾配に関しては、主管111の管径D
0に対する支管112の管径D
1の比にて決定されると考えられる。ところが、散水管11はそもそも、ろ床本体10に被処理水W2を散布するための散水手段である。この点を考慮すると、支管112が2管(流出孔数:2穴)程度と少ないと、流出流量を維持できる反面、被処理水W2を広範囲に散布させることが困難になる。他方、支管112の管数が12管(流出孔数:12穴)程度と多いと、それぞれの支管112から流出される流量は減少する。さらに、支管112の流出孔112aの流出損失は配管損失より大きいことから、最も流入側に設けられた1番目の支管112からの流出量は、支管数、すなわち流出孔数で決定されると考えられる。
【0046】
以上の検討に基づいて本発明者は、流出孔数を5〜9穴、すなわち支管112を5管以上9管以下にするのが好ましく、流出孔数を6〜8穴、すなわち支管112を6管以上8管以下にするのがより好ましいことを知見した。そして、本発明者は、支管112の管数をこれらの範囲にすることによって、被処理水W2の均等散布を実現できる可能性があることを想起した。なお、これらの支管112の管数については、散水ろ床装置3の大きさ、すなわち装置の処理能力に応じて決定され、必ずしもこれらの管数に限定されるものではないが、従来の散水ろ床装置3におけるろ床本体10の大きさを考慮すると、上述の範囲に設定するのが好ましい。
【0047】
また、本発明者は、上述した支管112が7管設けられたモデル2の散水管11を用いて、流入流量を標準の流入流量Q
0に対して1/2〜2倍の範囲で変化させて、それぞれの支管112における流出流量比Q
i/Q
allを計測した。なお、流入流速は例えば1.81m/sとした。
図13は、この結果を示す流出流量比の入口からの距離依存性を示すグラフである。なお、この流出流量比Q
i/Q
allの計測においては、散水管11の流入側端部を、回転式散水装置12の軸Cの中心から、フランジの位置である400mm程度離れた位置としている。
【0048】
図13から、流入流量を変化させても、それぞれの支管112における流出流量比がほとんど変化せず、流出流量比が流入流量に依存しないことが分かる。なお、本発明者が流入流量の変化に応じた流出流量比のずれを算出したところ、流出流量比のずれは7%以内のほとんど無視できる範囲であることが確認された。また、本発明者は、支管112が7管設けられたモデル2の散水管11に関して、流入流量を基準の流入流量Q
0に対して1/2〜2倍とした場合において、流体解析を行ったところ、同様の結果が得られることも確認した。本発明の一実施形態による散水管11は、以上の鋭意検討に基づいて案出されたものである。
【0049】
次に、この一実施形態による散水管11における支管112の配置を、ろ床本体10の水平面に平行な面に対して均等散水する方法について説明する。
図14は、この一実施形態による散水管11における支管112の設置位置と散布面積との対応関係を示す模式図である。
【0050】
図14に示すように、散水管11は、主管111と複数の支管112とから構成される。散水管11は、支管112から吐出される被処理水W2の流出の反作用によって、一方の流入側端部を中心として回転される。この場合、設置位置d
1,d
2,…,d
i,…,d
nの支管112はそれぞれ、ろ床本体10の水平面において円状または中空円状の領域に被処理水W2を散布する。このときの各支管112の散布面積は、以下の(2)式で表すことができる。すなわち、設置位置d
iに位置する支管112はそれぞれ、以下の(2)式において定義される散布面積A
iに対して被処理水W2を散布する必要がある。
【数2】
なお、r
iは、設置位置d
iに設置された支管112により散水される領域の、ろ床本体10の水平面の中心から遠い側の距離である。また、r
0=0、A
1=πr
12である。
【0051】
他方、ろ床本体10の水平面に沿った単位面積当たりに散布される被処理水W2の目標流量q
aveが、ろ床本体10の水平面に沿った全面積A
allと被処理水W2の流入流量Q
allとから、以下の(3)式により算出される。
q
ave=Q
all/A
all…(3)
【0052】
そして、ろ床本体10における水平面に沿った面に対して被処理水W2を均等に散布するには、それぞれの支管112に割り当てられる領域における被処理水W2の単位面積当たりの流量が、目標流量q
aveに等しくなるのが望ましい。すなわち、ろ床本体10の水平面に対して、散水管11における設置位置d
iに設置された支管112から流出する被処理水W2の単位面積当たりの流出流量Q
i/A
iが、目標流量q
aveに等しくなるように、以下の(4)式が成立するのが望ましい。
【数3】
【0053】
具体的に例えば、散水ろ床装置3に流入される被処理水W2の流入流量Q
allが72L/min、流入流速V
inが1.8m/s、およびろ床本体10の水平面に沿った面積が18m
2であるとする。この場合、ろ床本体10に供給する被処理水W2の単位面積当たりの目標流量q
aveは、例えば4.0L/min・m
2である。
【0054】
ここで、上述したように、本発明者によって設置位置d
iにおける各支管112の流出流量比Q
i/Q
allは、流入流量Q
allに依存しないことが判明している。さらに、流出流量Q
iは、主管111と支管112との管径比を所定範囲にすることによって、散水管11における支管112の設置位置に依存することなく、流入側からの支管112の設置順に依存して単調増加することも判明している。そのため、ろ床本体10に対して被処理水W2を均等均一に散布できる散水管11を得るためには、まず、
図12に示す各支管112における流出流量比Q
i/Q
allを、流体解析により得られた結果から近似関数を作成し、この近似関数により算出する。ここで、流入流量Q
allを定数と仮定すると、流出流量Q
iは支管112の設置順によって決定される定数と仮定できる。次に、この仮定に基づいて、各支管112の設置位置d
iを、上述した(4)式が成立するように決定する。これによって、散水管11による均等散水を実現できると考えられる。なお、設置位置d
iの支管112に割り当てられる散布面積A
iは、設置位置d
iが確定すればr
iがほぼ確定するため、実質的には設置位置d
iと設置位置d
i-1との間隔によってほぼ決定される。
【0055】
ここで、上述した定数と仮定したQ
iの導出方法の一例について説明する。すなわち、まず、支管113の管径D
2を決定する。ここで、上述したように支管113の管径D
2は、主管111の管径D
0に対する管径比に基づいて決定される。そこで、この一実施形態においては、支管113の管径D
2の主管111の管径D
0に対する管径比D
2/D
0を例えば0.25とする。次に、支管112の管数を決定する。この一実施形態においては、上述した管数の範囲内における例えば6管とする。ここで、これまでに行った数値解析より得られた管数に対する支管112の流出孔112aの入口における入口流速V
zの結果に基づいて、モデル化された近似式として以下の(5)式を導出する。この(5)式は支管112の設置順によって決定される。なお、以下の(5)式において、V
inは流入流速、iは支管112の設置順序、Nは散水管11における支管112の管数である。
【数4】
【0056】
そして、係数a,bについては、上述の数値解析より得られた支管112の入口流速V
zの結果に基づいて、近似式の係数を算出される。これらの係数a,bの値を(5)式に代入すると、以下の(6)式が導出される。これにより、支管112における入口流速V
zの流入流速V
inに対する比の近似式が得られる。
【数5】
【0057】
ここで、
図5Cは、支管112における流出状態を示す模式図である。
図5Cに示すように、支管112から流出される被処理水W2は、支管112の主管111に対する管径比が0.2より大きい場合には、支管112の長手方向に直角の断面に対して三日月型となる。また、本発明者の知見によれば、三日月型の有効流路面積A
efは、支管112の主管111に対する管径比D
1/D
0に応じて変化する。具体的には、以下の(i)〜(v)に示すように、2次関数近似式としての(7)式〜(11)式が得られる。
(i)管径比D
1/D
0=0.2のとき、寄与率が1となり、以下の(7)式となる。
【数6】
(ii)管径比D
1/D
0=0.4のとき、寄与率が0.99となり、以下の(8)式となる。
【数7】
(iii)管径比D
1/D
0=0.6のとき、寄与率が0.99となり、以下の(9)式となる。
【数8】
(iv)管径比D
1/D
0=0.8のとき、寄与率が0.99となり、以下の(10)式となる。
【数9】
(v)管径比D
1/D
0=1のとき、寄与率が0.98となり、以下の(11)式となる。
【数10】
【0058】
そして、以上の支管112からの流出時における有効流路面積A
efに基づいて、それぞれの支管112から流出する流出流量Q
iは、それぞれの支管112における有効流路面積A
efに平均流出流速V
outを乗算することによって求められる。ここで、本発明者の知見によれば、支管112の管径D
1の主管111の管径D
0に対する管径比D
1/D
0に対して数値解析を行うことによって、流入流速V
inに対する平均流出流速V
outの流速比V
out/V
inを得ることができる。そして、この平均流出流速V
outの流入流速V
inに対する流速比V
out/V
inの一例としては、以下の近似式である(12)式で表すことができる。
【数11】
【0059】
そして、上述した(6)式〜(11)式における有効流路面積A
efに対して、この(12)式の平均流出流速V
outを乗算(以下の(13)式)することによって、流出流量Q
iを導出することができる。
Q
i=A
ef・V
out……(13)
【0060】
設置位置d
iの支管112における流出流量Q
iが決定された後は、この流出流量Q
iを定数と仮定できるので、それぞれの支管112の設置位置d
iを、上述した(4)式が成立するように決定することによって、散水管11による均等散水を実現できる。
【0061】
(実施例)
次に、以上のようにして決定された散水管11の一例を挙げる。なお、
図4に示す支管112の管数は7管(n=7)とする。この場合、設置位置d
1の支管112と主管111の流入側端部との間隔l
1における、主管111の主管長l
0に対する比l
1/l
0は、l
1/l
0=0.12となる。また、設置位置d
2の支管112と設置位置d
1の支管112との間隔l
2における、主管111の主管長l
0に対する比l
2/l
0は、l
2/l
0=0.20となる。同様に、比l
3/l
0は例えばl
3/l
0=0.14、比l
4/l
0は例えばl
4/l
0=0.123、比l
5/l
0は例えばl
5/l
0=0.119、比l
6/l
0は例えばl
6/l
0=0.119、比l
7/l
0は例えばl
7/l
0=0.119である。なお、設置位置d
7の支管112と主管111の流出側端部との間隔l
8における主管111の主管長l
0に対する比l
8/l
0は、l
8/l
0=0.06である。
【0062】
ここで、本発明者は、以上のように構成された実施例による散水管11を用いて、単位面積当たりの流出流量Q
i/A
iを計測した。また、比較例として、上述した本発明者の鋭意検討に用いたモデル2の散水管11を用いて、単位面積当たりの流出流量を計測した。それらの計測結果を
図15に示す。
図15は、実施例および比較例による散水管における単位面積かつ単位時間当たりの散水量の流入口からの距離依存性を示すグラフである。なお、
図15において、理想的な単位面積当たりの流出流量Q
i/A
iを一定目標値(図中、白抜き三角)として記載した。また、この単位面積当たりの流出流量の計測においては、散水管11の流入側端部を、散水時における実際の回転に近い条件として、回転式散水装置12の軸Cの中心からフランジの位置として400mm程度離れた位置としている。
【0063】
図15から、比較例においては、散水管の流入側端部から1〜3番目の支管において目標値から大きくずれているのに対し、実施例による散水管11によれば、目標値とほぼ同様の特性を有し、ろ床本体10に対して、均等散水が実現できていることが分かる。なお、本発明者が算出したところによると、この散水管11における各支管112からの流出流量の目標値からのずれは、最大で7%程度であった。
【0064】
また、以上のように構成された実施例による散水管11を用いて、流入流量が基準となる流入流量の1/2〜2倍となる条件の場合における単位面積当たりの流出流量Q
i/A
iを計測した。それらの計測結果を
図16に示す。
図16は、実施例による散水管11における単位面積かつ単位時間当たりの散水量の流入口からの距離依存性を、流入流量ごとに示すグラフである。なお、
図16において、理想的な単位面積当たりの流出流量Q
i/A
iを、水平線を用いた一定目標値として記載した。また、単位面積当たりの流出流量の計測においては、散水管11の流入側端部を、回転式散水装置12の軸Cの中心から400mm程度離れた位置としている。
図16から、実施例による散水管11によれば、流入流量が増減した場合であっても、目標値とほぼ同様の特性を維持でき、均等散水が実施できることが分かる。
【0065】
以上説明したように、本発明の一実施形態による散水管11を用いた散水ろ床装置3によれば、散水管11における主管111の管径D
0と支管112の管径D
1との比D
1/D
0を所定の範囲内に設定するとともに、散水管11における複数の支管112の設置位置を適切に配置することによって、均等散水を実現できる。これによって、散水ろ床装置3における処理性能の向上を図ることができるとともに、散水管11に供給される被処理水W2の流量が変動して処理負荷変動が生じた場合においても、それぞれの支管112からの流出流量比を一定に維持することができて均等散水が可能になるので、処理性能を維持可能になる。
【0066】
具体的に、ろ床本体10の水平面に沿った散布面積に対する散布量のばらつきにおいては、
図14および(2)式から、r
i−r
i-1が互いに等しい値の場合、ろ床の散布面積は、回転半径方向に広がるほど、すなわち支管112の順番iに沿って増加する。ところが、支管112を、主管との管径比を0.2以下とした、従来技術によるヘッダ管にすると、支管112からの流出流量は、主管径に対し枝管径が小さい場合に、各枝管径から流出する流量が互いに同じになるという、いわゆるヘッダ管の原理に従う。そのため、すべての支管112から流出する被処理水W2の流量は互いに等量になる。そして、散布量密度は、散水管11の流入側端部、すなわち回転式散水装置12の軸Cの中心に近づくほど過多になる一方、散水管11の流出側端部、すなわち外側になるほど漸近的に減少する。これに対し、上述した本発明の一実施形態においては、主管111の管径D
0に対する支管112の管径D
1を大きくし、その比率を0.2より大きくすることによって、上述したヘッダ管の原理を意図的に崩している。その上で、散布面積の増加と同様に支管112からの流出流量も流出側端部に近づくほど増加するように調整可能に構成しているので、ろ床本体10に対する散水強度のばらつきを抑制でき、均等散布可能な散水管11および散水ろ床装置3を実現できる。
【0067】
さらに、本発明の一実施形態によれば、散水管11を、装置天井3aから吊り下げる構成にしている。これにより、ろ床本体の底部に支柱を設置して支柱の上部に散水管を設ける構成に比して、ろ床本体の有効面積が、散水器や散水管を支持するための支柱の設置面積分減少することによって、処理性能が低下する問題を回避することができる。また、天井を有する既設の反応槽に対して散水ろ床装置を設置する際に、ろ床本体の底部に支柱を設置して支柱の上部に散水管を設ける構成に比して、既設の反応槽の上方の天井に対して大規模な改造が必要になったり、散水管を設けるための支柱を設置するために、反応槽内の大規模な施工が必要になったりという問題も生じない。そして、散水ろ床装置における回転式散水装置12を天井から吊下げる方式とすることによって、ろ床本体の底部に支柱を設置して支柱の上部に散水管を設ける構成に比して、ろ床の有効面積を増加させることができる。また、この一実施形態による散水管によれば、散水管11を、装置天井3aから吊り下げる構成にした場合において、新たに増加するろ床面積も考慮した均等散水を実現することが可能になるので、処理性能の向上を図ることができる。
【0068】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0069】
例えば上述した一実施形態においては、散水管11および回転式散水装置12を天井から吊り下げ保持した吊り下げ型の散水ろ床装置3としているが、
図17に示すような、従来構成の支柱式の散水ろ床装置5を採用することも可能である。
図17は、
図3に対応する一実施形態の変形例による散水ろ床装置の一構成例を示す断面図である。
図17に示すように、支柱式の散水ろ床装置5は、ろ材50aが充填されたろ材充填層を内包したろ床本体50、散水管11、ワイヤ52aを備えた回転式散水装置52、および流通管53を備えるとともに、ろ床底部50b上に高さ方向に起立した支柱54を備える。そして、支柱54の上部に回転式散水装置52が設けられている。回転式散水装置52は、ワイヤ52aによって散水管11を支持するとともに、散水管11をその長手方向に対して直角方向かつ一方の流入側端部側を軸として水平面内で回転可能に構成されている。また、被処理水W2は、
図1に示す固液分離装置2から
図17に示す流入管5aを通じて、散水管11まで供給される。流通管53は、流通管13と同様に、ろ床本体50の内部と
図1に示す後段固液分離装置4とを連通するための管であり、散水ろ床装置5において処理された処理水W3を後段固液分離装置4に供給する。
【0070】
上述した一実施形態においては、散水ろ床装置3の後段に後段固液分離装置4を設けているが、散水ろ床装置3を最終浄水手段として散水ろ床装置3の後段に浄水処理施設を設置することなく、散水ろ床装置3による処理水W3を外部環境に排出してもよい。なお、上述した散水ろ床装置3による処理水W3は、後段固液分離装置4による処理水W4に比して透明度は劣るものの、外部環境に流出しても環境上問題ない程度に浄化処理される。
【0071】
また、上述した一実施形態において、ろ材充填層の洗浄機能を有する散水ろ床装置を採用することも可能である。
【0072】
さらに、上述した一実施形態においては、散水ろ床装置3に用いられるろ材10aとして、円筒形ろ材を用いていたが、必ずしもこれに限定されるものではない。具体的に、ろ材10aの形状は、ろ材10aと被処理水W2との接触面積を可能な限り大きくする形状であれば、多角形状または十字形状などの種々の形状を採用することが可能である。
【0073】
さらに、上述した一実施形態においては、6槽の処理水槽を組み合わせたろ床本体10を備えた散水ろ床装置3について説明したが、ろ床本体10を構成する処理水槽の数は、6槽に限定されない。すなわち、ろ床本体10は、単一の処理水槽によって構成することも可能であり、6槽以外の複数の処理水槽によって構成することも可能である。
【0074】
また、上述した一実施形態による散水ろ床装置3において、散水管11による均等散水が可能な場合であっても、一時的な汚濁の過負荷によって処理性能が維持できない場合がある。この場合、処理した汚水を前段に返送して再度処理を行うことにより、散水ろ床装置3における処理性能を確保することができる。また、返送された処理水W3は流入する下水W1とともに再処理して、一時的に処理量の増加が生じる場合であっても、流入流量に依存しない流出特性を有していることから、ろ床本体10への均等散水が可能になる。これにより、散水ろ床装置3における処理性能の低下を招くことなく、循環処理を実行することが可能になる。
【0075】
また、上述した一実施形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した一実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。