(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明に至った経緯)
従来の電子機器では、各機器専用のリモコンが用意されていることが多く、通常、ユーザは、これらの専用リモコンを用いて対応する電子機器を遠隔操作していた。しかし、近年の電子機器の高機能化に伴って、リモコンのボタン数が急激に増加し、ユーザが目的の操作を簡単に行うことができないという問題が生じていた。そこで、最近では、リモコンのボタン数を削減しつつ、リモコンの利便性を向上させるために、音声認識機能を備えたリモコン及び電子機器がいろいろ提案されている。
【0012】
一方、無線LANやエコネット等のホームネットワークの進展に伴って、最近では、テレビ等のAV機器やパソコン等の情報機器はもちろんのこと、エアコンや冷蔵庫等の白物家電もホームネットワークに常時接続されるようになってきた。そして、これらのホームネットワークを介して、家庭内にある全ての電子機器を統合制御するシステムが多数提案されている。更に、このような統合制御システムの利便性を向上させるために、音声認識機能を利用した統合制御システムが提案されており、宅内にある様々な電子機器が音声で操作できるようになっている。
【0013】
例えば、特許文献1や特許文献2では、ユーザが音声コマンドを発話することにより、複数の機器を統合制御するシステムが開示されている。具体的には、ユーザは、操作対象の機器名(例えば、「テレビ」「エアコン」等)と、各機器に対する操作の内容を示す操作名(例えば、「音量を上げて」「冷房」等)を連続的に発話することで、操作対象の機器を音声操作することができる。
【0014】
特許文献1のように、音声によって複数の機器を統合操作する従来のシステムにおいては、ユーザは、操作対象の機器を特定するために、通常、操作対象の機器名(例えば、「テレビ」や「エアコン」等)を含んだ音声コマンド、例えば、「テレビ、音量を上げて」「エアコン、暖房をつけて」等、を発話する必要がある。
【0015】
よって、ホームネットワーク上にある複数機器の中で、ユーザが音声操作を行う機器がほぼ一つに決まっている場合でも、ユーザは常にその機器名を含んだ音声コマンドを発話する必要があり、操作が煩わしいという課題がある。
【0016】
また、音声認識機能を備えた単一の電子機器を既に利用していたユーザが、複数の電子機器を操作するために、ホームネットワークを用いた統合制御システムを導入した場合、ユーザは、ホームネットワーク上の全ての機器を音声で操作することができるようになる一方で、既存の音声認識機能を備えた電子機器を音声操作する時には、常に、その機器名を含んだ音声コマンドを発話する必要があった。
【0017】
例えば、既存の音声認識機能を備えたTVを保有していたユーザは、TVを単体で利用していた時は、「4チャンネル」、「音量を上げて」等の操作名を発話するだけでTVを操作できていたが、統合制御システムを導入した後は、「テレビ、4チャンネル」、「テレビ、音量を上げて」と、常に機器名を示す「テレビ」という言葉を発話する必要がある。
【0018】
よって、統合制御システム導入直後において、ユーザが既存の音声認識機能を備えた電子機器を音声操作する際には、機器名をつけることを忘れて発話する等、ユーザが誤った発話をする可能性が非常に高くなる。よって、ユーザが機器名を含んだ音声コマンドを発話することに慣れるまで、既存の音声認識機能を備えた電子機器には、機器単体で音声操作を行っていたときに比べ、誤操作が頻繁に発生し、操作の煩わしさを感じさせてしまうという課題がある。特に、既存の音声認識機能を備えた電子機器が、ユーザが音声操作を頻繁に行う電子機器である場合には、操作性が著しく低下する可能性があり、ユーザがスムーズに統合制御システムに移行できないという問題が生じる。
【0019】
そこで、本発明では、複数の電子機器を音声操作することが可能で、かつ、ユーザが音声操作を頻繁に行う特定の機器には、その機器名を省略しても音声操作が可能な操作性に優れた複数機器の音声操作システムを提供することを目的とする。
【0020】
そこで、本願発明者らは、音声入力を用いた機器管理システムの機能向上のため、以下の改善策を検討した。
【0021】
同一宅内に配置された複数の対象機器に接続され、前記複数の対象機器を管理する機器管理システムにおける機器制御方法であって、ネットワークを介して、前記複数の対象機器の中の特定対象機器と対応付けられた音声入力装置から、前記複数の対象機器の中の一以上の対象機器に対する操作指示を表す第1音声情報を含む指示情報を受信し、前記受信した指示情報に含まれる前記第1音声情報から前記操作指示を認識し、前記指示情報に前記複数の対象機器の中のいずれかの対象機器を表す第2音声情報が含まれるか否かを判断し、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれない場合は、前記音声入力装置に対応する前記特定対象機器に、前記ネットワークを介して、前記認識された操作内容を実行させる制御コマンドを送信し、また、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれる場合は、前記第2音声情報が表す対象機器に、前記ネットワークを介して、前記制御コマンドを送信する。
【0022】
上記態様によると、音声入力装置から受信した指示情報に複数の対象機器の中のいずれかの対象機器を表す第2音声情報が含まれない場合は、前記音声入力装置に対応する前記特定対象機器に、前記認識された操作内容を実行させる制御コマンドを送信し、また、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれる場合は、前記第2音声情報が表す対象機器に、前記制御コマンドを送信する。
【0023】
これにより、例えば、ホームネットワーク上にある複数の対象機器に、音声入力装置を用いた音声操作が行えるとともに、複数の対象機器の中で、一つの音声入力装置に対応付けられた特定の対象機器に関しては、例えば、機器名の発話を省略した音声操作が可能となる。
【0024】
従って、例えば、他の対象機器と比較して特定の対象機器の音声操作の使用頻度が高い場合、もしくは、ほぼ一つに決まっている場合には、その特定の機器に、その機器名などを発話する必要がなくなるので、ユーザの煩雑さを軽減できるとともに、特定の対象機器への迅速な操作指示が可能となる。更に、例えば、既存の音声入力装置による音声認識機器を利用していたユーザが、ホームネットワークを用いた統合制御システムを導入した場合でも、ユーザは、既存の音声認識機器に関しては、対象機器に対応づけられた音声入力装置を用いて操作すれば、機器名などを省略した音声コマンドを受け付けてくれるので、システム導入前と同一の操作が行うことが可能となり、誤操作を減らすことが可能となる。
【0025】
上記態様において、例えば、前記指示情報は、前記音声入力装置を識別する識別情報を含み、前記識別情報と前記特定対象機器の機器IDとを対応づけた第1データベースを参照して、前記特定対象機器を特定し、前記特定機器に前記制御コマンドを送信するとしてもよい。
【0026】
上記態様において、例えば、前記複数の対象機器の各々に対応する機器IDと前記第2音声情報とを対応づけた第2データベースを参照して、前記第2音声情報が表す対象機器を特定し、前記特定した対象機器に前記制御コマンドを送信するとしてもよい。
【0027】
上記態様において、例えば、前記音声入力装置は、物理ボタンまたはタッチパネルを備え、前記物理ボタンまたは前記タッチパネルを用いて入力される前記一の対象機器への操作指示を、無線通信を用いて送信するとしてもよい。
【0028】
また、他の態様において、同一宅内に配置された複数の対象機器に接続され、前記複数の対象機器を管理する機器管理システムにおける機器制御方法であって、前記複数の対象機器の中の特定対象機器に対応付けられたリモートコントローラをユーザが使用している場合、ネットワークを介して、前記リモートコントローラから当該リモートコントローラを識別するリモコン識別情報を受信し、前記ネットワークを介して、前記機器管理システムに接続された音声入力装置から、前記複数の対象機器の中の一以上の対象機器に対する操作指示を表す第1音声情報を含む指示情報を受信し、前記受信した指示情報に含まれる前記第1音声情報から前記操作指示を認識し、前記指示情報に前記複数の対象機器の中のいずれかの対象機器を表す第2音声情報が含まれるか否かを判断し、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれない場合は、前記受信したリモコン識別情報に基づいて、前記リモートコントローラに対応する前記特定対象機器を特定し、前記特定対象機器に、前記ネットワークを介して、前記認識された操作内容を実行させる制御コマンドを送信し、また、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれる場合は、前記第2音声情報が表す対象機器に、前記ネットワークを介して、前記制御コマンドを送信する。
【0029】
上記態様によると、音声入力装置から受信した指示情報に複数の対象機器の中のいずれかの対象機器を表す第2音声情報が含まれない場合は、受信したリモコン識別情報に基づいて、リモートコントローラに対応する特定対象機器を特定し、前記特定対象機器に、前記認識された操作内容を実行させる制御コマンドを送信し、また、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれる場合は、前記第2音声情報が表す対象機器に、前記制御コマンドを送信する。
【0030】
これによって、例えば、ユーザの入力音声から機器名が抽出されなかった場合、リモートコントローラから出力されたリモコン操作情報を用いて、ユーザが操作対象としている機器を特定することができる。更に、本構成では、ユーザの音声を入力する音声入力装置とリモートコントローラが別構成であり、リモートコントローラに対するユーザの動作に基づいて、リモコン操作情報が生成される。従って、ユーザがリモートコントローラを意識して操作しなくても、例えばリモートコントローラを持っているだけで、ユーザが操作対象としている機器を特定することができ、さらに、ユーザの煩雑さを軽減することが可能となる。
【0031】
また、例えば、ホームネットワーク上にある複数の対象機器に、音声入力装置を用いた音声操作を行えるとともに、複数の対象機器の中で、一つのリモートコントローラに対応付けられた特定対象機器に関しては、例えば、機器名の発話を省略した音声操作が可能となる。
【0032】
上記他の態様において、例えば、前記リモコン識別情報と前記特定対象機器の機器IDとを対応づけた第1データベースを参照して、前記特定対象機器を特定し、前記特定機器に前記制御コマンドを送信するとしてもよい。
【0033】
上記他の態様において、例えば、前記複数の対象機器の各々に対応する機器IDと前記第2音声情報とを対応づけた第2データベースを参照して、前記第2音声情報が表す対象機器を特定し、前記特定した対象機器に前記制御コマンドを送信するとしてもよい。
【0034】
また、他の態様において、同一宅内に配置された複数の対象機器に接続され、前記複数の対象機器を管理する機器管理システムであって、前記機器管理システムを管理する管理装置は、ネットワークを介して、前記複数の対象機器の中の特定対象機器と対応付けられた音声入力装置から、前記複数の対象機器の中の一以上の対象機器に対する操作指示を表す第1音声情報を含む指示情報を受信し、前記受信した指示情報に含まれる前記第1音声情報から前記操作指示を認識し、前記指示情報に前記複数の対象機器の中のいずれかの対象機器を表す第2音声情報が含まれるか否かを判断し、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれない場合は、前記音声入力装置に対応する前記特定対象機器に、前記ネットワークを介して、前記認識された操作内容を実行させる制御コマンドを送信し、また、前記指示情報に前記第2音声情報が含まれる場合は、前記第2音声情報が表す対象機器に、前記ネットワークを介して、前記制御コマンドを送信し、前記音声入力装置は、前記複数の対象機器の中の一以上の対象機器に対する操作指示を表す第1音声情報を含む指示情報を送信する。
【0035】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の例示的な実施の形態を説明する。
【0037】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素に関しては、任意の構成要素として説明される。
【0038】
以下では、複数の対象機器に接続され、当該複数の対象機器を管理する機器管理システムの例として、同一宅内に配置された複数の機器を、音声を利用して操作する音声操作システムを説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る複数機器の音声操作システム1のブロック構成を示す。
【0040】
図1に示すように、複数機器の音声操作システム1は、操作対象の機器10、機器11、機器12、リモコン2、機器10〜12の動作を制御する統合制御機器3を含む。なお、ここでは音声操作システム1に含まれる操作対象の機器を3つとして説明するが、音声操作システム1に含まれる操作対象の機器の数は、これより少なくてもよいし、多くてもよい。ここで、リモコン2は、機器10に対応付けられたリモコンとする。一般的には、機器10単体を購入したときに付属している機器10専用のリモコンであり、リモコン2には、機器10に対応付けられていることを示す識別情報が割り当てられているものとする。
【0041】
リモコン2は、
図1に示すように、収音部20、操作検出部21、操作情報生成部22、および送信部23を含む。リモコン2の上面には、機器10の各機能を実行するための複数の操作ボタンが配置されている。例えば、機器10がテレビの場合には、リモコン2には、操作ボタンとして、音量制御ボタン、チャンネル選局ボタン、メニューボタンなどが配置されている。ここで、これらのボタンは、物理ボタンとしてリモコン2に配置されていても良いし、タッチパネルとして実装されていても良い。
【0042】
また、リモコン2の上面には、通常の操作ボタン以外に、ユーザの音声を入力するために、マイクである収音部20と、ユーザの音声入力開始を収音部20に通知するための音声入力開始ボタン(
図1には図示せず)が配置されている。
【0043】
操作検出部21は、リモコン2の各操作ボタンに対するユーザの操作を検出し、各操作ボタンに対応する信号を出力する。例えば、ユーザによる音声入力開始ボタンの押下操作が検出された場合には、音声入力開始信号を出力する。操作情報生成部22は、リモコン2の識別情報と操作検出部21から受信した信号に基づいて、リモコン操作情報を生成する。送信部23は、収音部20から得られた音声及び、操作情報生成部22から得られるリモコン操作情報を、赤外線、Bluetooth(登録商標)及び無線LAN等の通信方式により、機器10〜12や統合制御機器3に送信する。このとき、統合制御機器に送信される音声は、収音部20から得られた音声データをそのまま送信しても良いし、得られた音声データから特徴量を抽出して、抽出した特徴量を送信するとしても良い。
【0044】
統合制御機器3は、受信部30、音声認識部31、操作情報解析部32、宅内機器操作コマンドデータベース(以下、宅内機器操作コマンドDBと呼ぶ)33、機器特定部34、操作特定部35、制御情報生成部36、送信部37、記憶部38を含む。
【0045】
受信部30は、リモコン2から送信された音声データおよびリモコン操作情報を受信する。このとき、音声データがユーザによる機器操作を意図するものである場合は、音声データおよびリモコン操作情報は、指示情報として受信される。音声認識部31は、受信部30から得られた音声データに基づいて、音声データが示す内容を認識する。音声データが示す内容が、例えば、いずれかの機器に対する操作指示を含む場合、機器を特定する情報(機器名)や操作指示の内容を特定する情報(操作名)を認識結果として出力する。操作情報解析部32は、受信部30から得られたリモコン操作情報からリモコン2の識別情報を抽出する。
【0046】
宅内機器操作コマンドDB33には、ホームネットワークに接続された機器毎に、機器名、操作名、操作名に対応する操作内容、及び操作内容に対応する制御情報等が記憶されている。
【0047】
図2は、機器10をテレビ、機器11をビデオ、機器12をエアコンとしたときの宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている情報の一例を示す。
図2に示すように、機器名は、ユーザが操作対象の機器を指定する言葉である。
図2では、「テレビ」、「ビデオ」、「エアコン」となる。また、操作名は、ユーザが機器に操作を指示する言葉であり、機器がテレビの場合には、操作名は、「音量を上げて」「2チャンネルに変えて」等になる。また、操作内容は、操作名に対応して機器が実際に行う操作の内容である。例えば、テレビの場合、「音量を上げて」という操作名には「テレビの音量を3レベル上げる」という操作内容が対応付けられている。なお、各操作内容に対応する操作名は複数登録されていてもよい。例えば、
図2では、「テレビの音量を3レベル上げる」という操作内容には、「音量を上げて」「音量アップ」という2つの言葉が登録されている。また、制御情報は、操作対象の機器に操作内容を実行させるためのネットワークコマンドであり、ホームネットワークを介して、操作対象の機器に送信される。例えば、
図2の例では、テレビに「テレビの音量を3レベル上げる」という操作内容を実行させる場合、テレビに、(Volume,+3)というネットワークコマンドが送信される。
【0048】
機器特定部34は、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名、音声認識部31から得られた機器名、及び操作情報解析部32から得られたリモコン2の識別情報を用いて、ユーザの操作対象機器を特定する。
【0049】
操作特定部35は、機器特定部34により特定された機器名と音声認識部31から得られた操作名に基づいて、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている各機器の操作名を検索し、操作対象機器に対する操作内容を特定する。
【0050】
制御情報生成部36は、機器特定部34で特定された機器名と操作特定部35で特定された操作内容に基づいて、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている各機器の制御情報を検索し、ホームネットワークを介して、操作対象機器を遠隔制御するための制御情報を求める。
【0051】
送信部37は、ホームネットワークを介して、機器特定部34によって特定された機器に、制御情報生成部36で求めた制御情報を送信する。
【0052】
機器10、機器11、機器12は、ホームネットワーク上に接続された操作対象の機器である。
【0053】
機器10〜機器12は、それぞれ、通信部101と制御部102とを含む。通信部101は、ホームネットワークを介して、統合制御機器3から制御信号を受信する。また、赤外線通信などの無線通信を介して、リモコン2から制御情報を受信することも可能である。
【0054】
制御部102は、各機器10〜12において、通信部101で受信した制御情報に基づいて、対応する操作を実行する。
【0055】
以下、本実施の形態において、以上のように構成された複数機器の音声操作システム1に関し、ユーザが機器10〜12を音声操作するときの動作を説明する。
【0056】
本実施の形態において、ユーザが機器10〜12を音声操作する場合には、まず、ユーザは、リモコン2を持って、リモコン2上の音声入力開始ボタンを押した後、リモコン2上のマイクに向かって、音声コマンドを発話する。例えば、機器10をテレビ、機器11をビデオ、機器12をエアコンとした場合には、テレビの音量を操作したい時には、「テレビ、音量をあげて」と、エアコンの温度を下げたい時には、「エアコン、温度を下げて」等を発話する。
【0057】
図3は、リモコン2にユーザが音声入力したときの、リモコン2の処理の手順を示す。以下、
図3を用いて、リモコン2の動作を説明する。
【0058】
ユーザによって、リモコン2上の音声入力開始ボタンが押されると、操作検出部21が、音声入力開始ボタンの押下操作を検出し、音声入力開始信号を収音部20と操作情報生成部22に出力する(S101)。収音部20は、操作検出部21から音声入力開始信号を受信すると、ユーザが発話した音声の入力を開始する(S102)。また、操作情報生成部22は、操作検出部21から音声入力開始信号を受信すると、音声入力開始情報とリモコン2を示す識別情報とを合わせた情報をリモコン操作情報として生成する(S103)。送信部23は、収音部20から得られた音声及び、操作情報生成部22から得られるリモコン操作情報を統合制御機器3や機器10〜12に送信する(S104)。収音部20は、ユーザからの音声入力が続いているかどうかを常にチェックし(S105)、ユーザからの音声入力が終了したと判断した場合には、音声入力を停止するとともに、送信部23への音声出力を停止する(S106)。なお、音声入力終了の判定は、例えば、入力された音声のレベルが一定値以下になった場合に、ユーザの音声入力が終了したと判定する方法等で行う。また、収音部20が音声入力を停止した後、ユーザが、再度、音声入力を行いたい場合には、ユーザが再度音声入力開始ボタンを押下すればよい。リモコン2では、音声入力開始が再度押下されると、S1からの処理が再度実行され、再び、ユーザの音声が入力され、送信部23からリモコン操作情報とともに送信される。
【0059】
以上が、リモコン2に向かって、ユーザが音声コマンドを入力したときのリモコン2の動作である。
【0060】
図4は、統合制御機器3の処理の手順を示す。以下、
図4を用いて、統合制御機器3の動作を説明する。
【0061】
まず、受信部30が、リモコン2の送信部23から送信された音声とリモコン操作情報を受信する(S201)。
【0062】
次に、操作情報解析部32は、受信部30で受信したリモコン操作情報からリモコン2の識別情報を抽出する(S202)。
【0063】
また、音声認識部31は、受信部30で受信した音声を認識し、認識結果として機器名、または、操作名を求める(S203)。例えば、ユーザが、音声コマンドとして、「エアコン、冷房をつけて」を発話した場合、音声認識部31は、正確に認識できた場合には、認識結果として、機器名「エアコン」、操作名「冷房をつけて」を出力する。また、ユーザが機器名を省略して、「音量を上げて」を発話した場合には、認識結果として、機器名なし、操作名「音量を上げて」が出力される。
【0064】
なお、音声認識部31において、音声を認識する方法は、従来のDPマッチング法、HMM(隠れマルコフモデル)法、N−Gram法等が用いられる。音声認識を行うための認識辞書は記憶部38に記憶されている。認識辞書には、機器10〜12の操作内容毎に、音声コマンド「(機器名)(操作名)」及び「(操作名)」を認識するための情報が含まれている。例えば、機器10をテレビとした場合には、2チャンネルを選局するという操作内容に対応して、「テレビ、2チャンネルに変えて」及び、「2チャンネルに変えて」等の音声コマンドを認識するための情報が認識辞書に記憶されている。なお、認識辞書には、ホームネットワークに現在接続されている機器10〜12の操作だけに関するものではなく、一般的な家電機器を音声操作するための情報が記憶されていてもよい。
【0065】
機器特定部34は、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名を参照し、まず、音声認識部31から出力された認識結果の中に、機器名が含まれているかどうかを確認する(S204)。認識結果の中に、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名が含まれている場合(S204でYの場合)には、その機器名を有する機器を、ユーザが操作対象としている機器と特定する(S205)。このとき、例えば、
図5Aに示すような機器名称管理テーブルを用いて、ユーザが操作対象としている機器を特定する。機器名称管理テーブルでは、機器名と対応機器の識別子とを対応付けて管理している。音声認識部31において認識された音声において、機器名称管理テーブルに機器名として登録されている単語が含まれている場合は、その単語に対応する機器を特定する。テレビ、エアコンなど、一般的な機器の名称を機器名として管理していてもよいし、例えば、識別子「テレビ001」のテレビに「マイケル」という名称を付し、識別子「エアコン001」のエアコンに「キャシー」という名称を付すなど、機器にユーザが任意の名称を付して管理できる構成としてもよい。また、対応機器毎に複数の機器名を付与していてもよい。
【0066】
逆に、認識結果の中に、機器名が含まれていない場合(S204でNの場合)には、処理(S202)で抽出されたリモコン2の識別情報に基づいて、その識別情報に対応する機器10を、ユーザが操作対象としている機器と特定する(S206)。このとき、例えば、
図5Bに示すようなリモコン対応機器管理テーブルを用いて、ユーザが操作対象としている機器を特定する。リモコン対応機器管理テーブルでは、リモコン2と対応付けられている機器の識別子を管理している。本開示の一態様に係る音声操作システム1は、複数のリモコン2を含む構成であってもよく、
図5Bに示すように機器毎に対応するリモコン2が存在するとしてもよい。なお、
図5Aおよび
図5Bの機器名称管理テーブルおよびリモコン対応機器管理テーブルは、統合制御機器3において、記憶部38に格納されているとしてもよい。
【0067】
以下、具体的な例を用いて、機器特定部34の動作を説明する。例えば、機器10をテレビとし、宅内機器操作コマンドDB33を
図2で示したものとする。ここで、宅内機器操作コマンドDB33は、各機器名に対応する機器の識別子を管理していてもよい。ユーザがテレビ専用の、音声入力のためのリモコン2に、「テレビ、2チャンネルに変えて」を発話した場合には、音声認識の結果として、機器名「テレビ」が得られる(S203)。次に、認識された機器名「テレビ」が、宅内機器操作コマンドDB33に含まれているかどうかを確認する(S204)。認識された機器名「テレビ」は、
図2に示す宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名に含まれているので、この場合、ユーザが操作対象としている機器は、テレビであると特定する(S205)。ここで、例えば、
図5Aのような機器名と機器の識別子とを対応付けた機器名称管理テーブルを参照して、音声認識の結果として得られた機器名が示す機器を特定するとしてもよい。
【0068】
同様に、ユーザが「2チャンネルに変えて」と、機器名を省略して発話した場合には、音声認識の結果としては、機器名なしが得られる(S203)。認識結果の中に機器名が含まれていないので(S204)、次に、リモコン2の識別情報に対応する機器を求める。リモコン2の識別情報に対応する機器はテレビであるので、この場合も、ユーザが操作対象としている機器は、テレビであると特定する(S206)。ここで、例えば、
図5Bに示すようなリモコン2の識別情報と機器の識別子とを対応付けたリモコン対応機器管理テーブルを参照して、リモコン2の識別情報に対応する機器がテレビであることを特定する。
【0069】
操作特定部35は、音声認識部31の認識処理(S203)で得られた操作名の妥当性を確認し(S207)、妥当であると判定した場合は、その操作名に対応する操作内容を、ユーザが操作対象の機器に対する目的の操作と特定する(S208)。
【0070】
操作特定部35の処理は、以下の手順で行う。
【0071】
まず、処理(S205)または処理(S206)によって特定された機器名を用いて、宅内機器操作コマンドDB33を検索し、特定された機器に対応する操作名を全て読み出す。次に、音声認識部31の認識処理(S203)で得られた操作名が、宅内機器操作コマンドDB33から読み出した操作名のいずれかと一致するかどうかを確認し、一致した場合には、操作名が妥当であると判定する(S207)。操作名が妥当であると判定された場合(S207でYの場合)には、宅内機器操作コマンドDB33からその操作名に対応する操作内容を読み出し、その操作内容をユーザが操作対象の機器に対する目的の操作と特定する(S208)。
【0072】
逆に、一致しない場合には、特定された機器の中に対応する操作が存在しないので、認識結果から得られた操作名は妥当ではないと判定し(S207でNの処理)、ユーザが発話した音声コマンドに対する一連の処理を終了する。
【0073】
例えば、機器10をテレビとし、宅内機器操作コマンドDB33を
図2で示したものとした時、ユーザが「テレビ、2チャンネルに変えて」と発話したなら、認識結果として、操作名は「2チャンネルに変えて」が得られる(S203)。次に、宅内機器操作コマンドDB33を用いて、既に特定された機器「テレビ」に、「2チャンネルに変えて」という操作名が登録されているかどうかを確認する(S207)。認識された操作名「2チャンネルに変えて」は、
図2に示す宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている操作名に含まれているので、この場合、ユーザの目的の操作内容は、「2チャンネルを選局」と特定する(S208)。
【0074】
制御情報生成部36は、処理(S205)または処理(S206)で特定された機器と、処理(S208)で特定された操作内容に基づいて、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている各機器の制御情報を検索し、操作対象機器を遠隔制御するための制御情報を求める(S209)。
【0075】
例えば、機器10をテレビとし、宅内機器操作コマンドDB33を
図2で示したものとした場合、ユーザの音声コマンド「テレビ、2チャンネルに変えて」が正しく認識されて、機器を「テレビ」、操作内容を「2チャンネルを選局」と特定されたなら、宅内機器操作コマンドDB33に基づいて、制御情報は、(Channel、2)が求められる。
【0076】
送信部37は、ホームネットワークを介して、処理(S205)または処理(S206)で特定された機器に、処理(S209)で求めた制御情報を送信する(S210)。
【0077】
以上が、リモコン2から送信された音声とリモコン送信情報が入力されたときの統合制御機器3の動作である。
【0078】
最後に、機器10〜12の動作を説明する。なお、機器10〜12は、それぞれ同様の動作をするので、以下、機器10を例にとって説明する。
【0079】
機器10では、まず、通信部101が、ホームネットワークを介して、リモコン2や統合制御機器3から制御情報を受信する。そして、制御部102が受信した制御情報に基づいて、対応する操作を実行する。
【0080】
例えば、機器10をテレビとした場合、ユーザがリモコン2に、音声コマンド「テレビ、2チャンネルに変えて」を発話したときには、統合制御機器3からの制御情報(Channel、2)を通信部101が受信する。そして、受信した制御情報に基づいて、制御部102がテレビのチャンネルを2チャンネルに変更する。
【0081】
以上説明したように、本発明の例示的な実施の形態に係る複数機器の音声操作システム1は、機器特定部34が、ユーザが発話した音声コマンドの認識結果から機器名を特定できなかった場合には、リモコン2から出力されたリモコン操作情報の中のリモコン識別情報を抽出し、リモコン識別情報に対応づけられている機器10を、ユーザが操作対象としている機器であると特定する。これにより、ホームネットワーク上にある複数の機器10〜12に、リモコン2を用いた音声操作が行えるとともに、複数の機器のうち、リモコン2に対応付けられた特定の機器10に関しては、機器名を省略した音声操作が可能となる。
【0082】
例えば、機器10をテレビ、機器11をビデオ、機器12をエアコンとし、リモコン2は、テレビの対応付けられた専用の音声入力リモコンだとする。ユーザが、リモコン2を用いて、ビデオやエアコンを音声操作する場合には、「ビデオ、録画」「エアコン、冷房をつけて」等、機器名をつけた音声コマンドを発話する必要があるが、テレビには、「音量を上げて」等、テレビと言う機器名を発しなくても操作が可能となる。なお、本実施の形態では、「テレビ、音量を上げて」のように、機器名をつけた音声コマンドでもテレビの音声操作は可能である。
【0083】
よって、例えば、ビデオやエアコンと比較してテレビの音声操作の使用頻度が高い場合、もしくは、音声操作はテレビしか行わない場合には、特定の機器であるテレビには、その機器名を発話する必要がなくなるので、ユーザの煩雑さを軽減できるとともに、テレビに対する迅速な操作指示が可能となる。すなわち、複数の機器に対する音声操作が可能であることに加えて、複数の機器の中の特定の機器に、機器名を指定する発話を省略した迅速な操作指示が可能となる。
【0084】
また、例えば、既存の音声入力リモコンによる音声認識テレビを利用していたユーザが、ホームネットワークを介して、ビデオやエアコン等を統合制御可能なシステムを導入した場合でも、ユーザは、テレビ専用の音声入力リモコンを用いて既存の音声認識テレビを操作すれば、テレビは、機器名を省略した音声コマンドを受け付けてくれる。よって、テレビには、システム導入前と同一の操作を行うことが可能であり、機器名をつけずに発話する等の誤操作を減らすことが可能となる。つまり、ユーザは、新しく音声操作可能になったエアコンやビデオ等のテレビ以外の他の機器に対してのみ、機器名をつけた音声コマンドを発話すればよいということを覚えればよいので、統合制御システムの音声操作を簡単に学習することが可能である。
【0085】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1に係る複数機器の音声操作システム1の変形例を説明する。
【0086】
図6は、本実施の形態にかかる複数機器の音声操作システム111のブロック構成を示す。
【0087】
本実施形態の音声操作システム111は、第1の実施形態の音声操作システム1と、ほぼ同様の構成である。両者の相違点は、第1の実施形態の音声操作システム1の統合制御機器3に、さらに機器操作履歴記憶部39が設けられている点である。このため、第2の実施形態の音声操作システム111では、第1の実施形態の音声操作システム1と共通する構成には第1の実施形態と同様の符号を付している。
【0088】
以下では、第1の実施形態と異なる構成を主として説明して、第1の実施形態と共通する構成に関しては説明を省略する。
【0089】
第1の実施形態の統合制御装置に新たに追加された機器操作履歴記憶部39は、機器特定部34で特定された操作対象の機器名を記憶する。
【0090】
また、機器特定部34は、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名、音声認識部31から得られた機器名、操作情報解析部32から得られたリモコン2の識別情報及び、機器操作履歴記憶部38に記憶されている機器名を用いて、ユーザの操作対象機器を特定する。操作特定部35は、機器特定部34により特定された機器名と音声認識部31から得られた操作名に基づいて、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている各機器の操作名を検索し、操作対象機器に対する操作内容を特定する。そして、操作内容が特定された場合には、機器名を機器操作履歴記憶部39に記憶する。
【0091】
以下、第2の実施形態において、以上のように構成された複数機器の音声操作システム111に関し、ユーザが機器10〜12を音声操作するときの動作を説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点を主に説明し、重複する説明は省略する。具体的には、リモコン2の動作は、第1の実施形態のフローチャート(
図3)におけるS101〜S106までの処理と同一の処理であるので、ここでは説明を省略する。また、機器10〜12の動作も第1の実施形態と同一の処理であるので、説明を省略する。
【0092】
図7は、本実施の形態による統合制御機器3の処理の手順を示す。以下、
図7を用いて、統合制御機器3の動作を説明する。なお、第2の実施の形態において、受信部30、音声認識部31、操作情報解析部32、操作特定部35、制御情報生成部36、送信部37の動作は、第1の実施形態と同一である。よって、
図7において、冒頭の処理は、第1の実施形態のフローチャート(
図4)のS201からS203までの処理と同一の処理であるので、上記処理の説明は省略する。また、S312、S313の処理は、第1の実施形態のフローチャート(
図4)のS209、S210の処理と同一の処理であるので、上記処理に関しても説明を省略する。ここでは、第1の実施形態と異なる動作を行う機器特定部34、操作特定部35の処理S4〜S11に関し、詳しく説明する。
【0093】
機器特定部34は、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名を参照し、音声認識部31から出力された認識結果の中に機器名が含まれているかどうかを確認する(S304)。認識結果の中に、宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名が含まれている場合(S304でYの場合)には、その機器名を有する機器を、ユーザが操作対象としている機器と特定する(S305)。ここで、
図5Aに示すような機器名称管理テーブルを参照して、音声認識部31における認識結果が示す機器名から機器を特定してもよい。
【0094】
一方、認識結果の中に、機器名が含まれていない場合(S304でNの場合)には、次に、機器操作履歴記憶部39に機器名が既に記憶されているかどうかを確認する(S306)。機器操作履歴記憶部39に機器名が既に記憶されている場合(S306でYの場合)には、機器操作履歴記憶部39に記憶されている機器名を有する機器を、ユーザが操作対象としている機器と特定する(S307)。逆に、機器操作履歴記憶部39に機器名が記憶されていない場合(S306でNの場合)には、処理(
図4のS202)で抽出されたリモコン2の識別情報に基づいて、その識別情報に対応する機器10を、ユーザが操作対象としている機器と特定する(S308)。
【0095】
操作特定部35は、音声認識部31の認識処理(
図4のS203)で得られた操作名の妥当性を確認し(S307)、妥当であると判定した場合は、その操作名に対応する操作内容を、ユーザが操作対象の機器に対する目的の操作と特定する(S308)。
【0096】
操作特定部35の処理は、以下の手順で行う。
【0097】
まず、処理(S305)、処理(S307)、処理(S308)のいずれかによって特定された機器名を用いて、宅内機器操作コマンドDB33を検索し、特定された機器に対応する操作名を全て読み出す。ここで、処理(S308)は、
図4のS206と同様の処理である。次に、音声認識部31の認識処理(
図4のS203)で得られた操作名が、宅内機器操作コマンドDB33から読み出した操作名のいずれかと一致するかどうかを確認し、一致した場合には、操作名が妥当であると判定する(S309)。操作名が妥当であると判定された場合(S309でYの場合)には、宅内機器操作コマンドDB33からその操作名に対応する操作内容を読み出し、その操作内容をユーザが操作対象の機器に対する目的の操作と特定する(S310)。その後、処理(S305)、処理(S307)、処理(S308)のいずれかで特定された機器名を機器操作履歴記憶部39に記憶する(S311)。
【0098】
逆に、一致しない場合には、特定された機器の中に対応する操作が存在しないので、認識結果から得られた操作名は妥当ではないと判定し(S309でNの処理)、ユーザが発話した音声コマンドに対する一連の処理を終了する。
【0099】
以下、具体的な例を用いて、機器特定部34、操作特定部35の動作を説明する。例えば、機器10をテレビ、機器11をビデオとし、宅内機器操作コマンドDB33を
図2で示したものとする。
【0100】
ユーザがテレビ専用の音声入力リモコン2に「ビデオ、2チャンネルに変えて」と発話した場合には、音声認識の結果として、機器名「ビデオ」、操作名「2チャンネルに変えて」が得られる(
図4のS203)。機器特定部34では、認識結果の中に機器名が含まれているので、次に、認識された機器名「ビデオ」が、宅内機器操作コマンドDB33に含まれているかどうかを確認する(S304)。認識された機器名「ビデオ」は、
図2に示す宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている機器名に含まれているので、この場合、ユーザが操作対象としている機器は、ビデオであると特定する(S305)。
【0101】
次に、操作特定部35では、宅内機器操作コマンドDB33を用いて、既に特定された機器「ビデオ」に「2チャンネルに変えて」という操作名が登録されているかどうかを確認する(S9)。認識された操作名「2チャンネルに変えて」は、
図2に示す宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている操作名に含まれているので、この場合、ユーザの目的の操作内容は、「2チャンネルを選局」と特定する(S310)。そして、処理(S305)で特定した機器名「ビデオ」を機器操作履歴記憶部39に記憶する。
【0102】
その後、制御情報生成部36、送信部37及び、機器11は第1の実施形態と同一の動作を行い、その結果、機器11であるビデオのチャンネルは、2チャンネルに変更される。
【0103】
次に、続けて、ユーザが、リモコン2に「録画」を発話した場合の動作を説明する。このとき、音声認識の結果として、機器名なし、操作名「録画」が得られる(
図4のS203)。認識結果の中に機器名が含まれていないので(S304)、機器特定部34は、機器操作履歴記憶部39に機器名が記憶されているかどうかを確認する(S306)。一つ前のユーザの音声コマンドの発話の際に、機器操作履歴記憶部39には、機器名として「ビデオ」が記憶されているので(S306でYの処理)、この場合、ユーザが操作対象としている機器がビデオであると特定する(S307)。
【0104】
そして、操作特定部35では、宅内機器操作コマンドDB33を用いて、既に特定された機器「ビデオ」に「録画」という操作名が登録されているかどうかを確認する(S309)。認識された操作名「録画」は、
図2に示す宅内機器操作コマンドDB33に記憶されている操作名に含まれているので、この場合、ユーザの目的の操作内容は、「録画」と特定する(S310)。そして、処理(S305)で特定した機器名「ビデオ」を機器操作履歴記憶部39に記憶する。
【0105】
その後、制御情報生成部36、送信部37及び、機器11は第1の実施形態と同一の動作を行い、その結果、機器11であるビデオにおいて、現在放送中の2チャンネルの番組の録画が開始される。
【0106】
以上説明したように、本発明の例示的な第2の実施の形態に係る複数機器の音声操作システム111は、機器操作履歴記憶部39が、ユーザが発話した音声コマンドから、機器特定部34及び操作特定部35によって特定された機器名が記憶されており、もし、機器特定部34が、ユーザが発話した音声コマンドの認識結果から機器名を特定できなかった場合には、機器操作履歴記憶部39に記憶されている機器名に対応する機器を、ユーザが操作対象としている機器であると特定する。但し、機器操作履歴記憶部39に機器名が記憶されていない場合は、第1の実施形態と同様に、リモコン2から出力されたリモコン操作情報の中のリモコン識別情報を抽出し、リモコン識別情報に対応づけられている機器10を、ユーザが操作対象としている機器であると特定する。
【0107】
これにより、本発明の例示的な第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、ホームネットワーク上にある複数の機器10〜12に、リモコン2を用いた音声操作が行えるとともに、複数の機器のうち、リモコン2に対応付けられた特定の機器10に関しては、機器名を省略した音声操作が可能である。更に、リモコン2に対応付けられた特定の機器10以外の機器11や機器12に関しても、一度、機器名をつけた音声コマンドを発話すれば、同一の機器を続けて音声操作する場合には、機器名を省略した音声操作が可能となる。すなわち、複数の機器に対する音声操作が可能であることに加えて、複数の機器の中の特定の機器に、機器名を指定する発話を省略した迅速な操作指示が可能となる。
【0108】
例えば、機器10をテレビ、機器11をビデオ、機器12をエアコンとし、リモコン2は、テレビの対応付けられた専用の音声入力リモコンだとする。第1の実施の形態では、ユーザが、リモコン2を用いて、ビデオを音声操作する場合には、「ビデオ、2チャンネルに変えて」、「ビデオ、録画」等、機器名をつけて常に音声コマンドを発話する必要があるが、本実施の形態では、「ビデオ、2チャンネルに変えて」といえば、機器名であるビデオが機器操作履歴記憶部39に記憶されるので、続けて同一の機器を操作する場合には、機器名を省略した音声コマンド「録画」だけで、操作が可能となる。
【0109】
よって、リモコン2に対応付けられた特定の機器以外でも、同一の機器を続けて音声操作する場合には、その機器名を発話する必要がなくなるので、ユーザの煩雑さをさらに軽減することができ、各機器に対する迅速な操作指示が可能となる。
【0110】
なお、第2の実施の形態に係る機器操作履歴記憶部39に記憶された機器名は、機器名が記憶された後、一定時間更新されることがなかったら、消去するようにしてもよい。また、受信部30に音声が一定時間入力されることがなかったら、消去するようにしてもよい。
【0111】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態1に係る複数機器の音声操作システム1の変形例を説明する。
【0112】
図8は、本実施の形態にかかる、複数機器の音声操作システム112のブロック構成を示す。
【0113】
図8に示すように、本実施形態の音声操作システム112は、操作対象の機器10、機器11、及び機器12と、リモコン2と、機器10〜12を音声操作する統合制御機器3及び、音声入力機器4を含む。なお、本実施形態における機器10〜12、統合制御機器3は、第1の実施形態の音声操作システム1に関連して説明した構成とほぼ同一である。相違点は、リモコン2の構成及び、新たに音声入力機器4が設けられている点である。このため、第3の実施形態の音声操作システム112では、第1の実施形態の音声操作システム1と共通する構成には第1の実施形態と同様の符号を付している。
【0114】
以下では、主として第1の実施形態と異なる構成であるリモコン2、音声入力機器4を説明し、第1の実施形態と共通する構成の説明は省略する。
【0115】
リモコン2は、第1の実施形態と同様に、機器10に対応付けられたリモコンとする。一般的には、機器10単体を購入したときに付属している機器10専用のリモコンであり、リモコン2には、機器10に対応付けられていることを示す識別情報が割り当てられているものとする。
【0116】
リモコン2は、
図8に示すように、操作検出部21、操作情報生成部22、送信部23、動作検出部24から構成される。リモコン2の上面には、第1の実施形態と同様に、機器10の各機能を実行するための複数の操作ボタンが配置されている。但し、本実施例では、第1の実施形態と異なり、ユーザの音声を入力する収音部20及び音声入力開始ボタンは配置されない。
【0117】
操作検出部21は、リモコン2の各操作ボタンに対するユーザの操作を検出し、各操作ボタンに対応する信号を出力する。
【0118】
動作検出部24は、ユーザのリモコンに対する動作を検出し、検出した動作に対応する信号を出力する。ここで、検出する動作は、ユーザがリモコンを使用している動作であり、具体的には、ユーザがリモコンを把持している、または、動かしている動作である。これらの動作を検出するため、リモコン2は、例えば、筐体外面にタッチセンサが貼り付けられていたり、筐体内部に加速度センサやジャイロセンサ等のモーションセンサが内蔵されていたりする。そして、これらのセンサからの信号を認識することによって、ユーザがリモコンを使用している動作の検出を行う。
【0119】
操作情報生成部22は、リモコン2の識別情報と、操作検出部21及び動作検出部24から受信した信号に基づいて、リモコン操作情報を生成する。送信部23は、操作情報生成部22から得られるリモコン操作情報を、赤外線、Bluetooth(登録商標)及び無線LAN等の通信方式により、機器10〜12や統合制御機器3に送信する。
【0120】
音声入力機器4は、収音部41と送信部42から構成される。収音部41が、ユーザの音声を入力し、送信部42が、有線LANやBluetooth(登録商標)及び無線LAN等の通信方式により、収音部41で入力した音声を統合制御機器3に送信する。なお、音声入力機器4は、収音部41がユーザの音声を入力できる範囲であれば、宅内のどこにでも設置できる。例えば、機器10を音声操作する場合には、機器10が設置されている部屋の天井や照明、または、機器10の上部に設置してもよい。
【0121】
以下、第3の実施形態において、以上のように構成された複数機器の音声操作システム112に関し、ユーザが機器10〜12を音声操作するときの動作を説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点を主に説明し、重複する説明は省略する。具体的には、統合制御機器3の動作は、第1の実施形態のフローチャート(
図4)におけるS201〜S210までの処理と同一の処理であるので、ここでは説明を省略する。また、機器10〜12の動作も第1の実施形態と同一の処理であるので、説明を省略する。
【0122】
図9は、本実施の形態におけるリモコン2の処理の手順を示す。以下、
図9を用いて、リモコン2の動作を説明する。
【0123】
例えば、ユーザがリモコン2を把持したり、動かしたりした場合、動作検出部24が、リモコン2に対するユーザのこれらの動作を検出し、動作検出信号を操作情報生成部22に出力する(S401)。操作情報生成部22は、動作検出部24から動作検出信号を受信すると、操作検出部21から得られた信号に基づく操作情報とリモコン2を示す識別情報を合わせた情報をリモコン操作情報として生成する(S402)。送信部23は、操作情報生成部22から得られたリモコン操作情報を統合制御機器3や機器10〜12に送信する(S403)。動作検出部24は、ユーザのリモコン2に対する動作が続いているかどうかを常にチェックし(S404)、ユーザのリモコンに対する動作が停止したと判断した場合には、動作検出信号の出力を停止する。同時に、送信部23は、リモコン操作情報の送信を停止する(S405)。なお、ユーザのリモコン2に対する動作停止の判定は、例えば、リモコン2に備えられた把持センサやモーションセンサの出力レベルが一定値以下になった状態が一定時時間継続した場合に、ユーザのリモコン2に対する動作が停止したと判定すればよい。
【0124】
次に、音声入力機器4の動作を説明する。音声入力機器4では、収音部41が、ユーザが発話した常に音声を入力し、送信部42が、収音した音声を統合制御機器3に送信する。
【0125】
以上説明したように、本発明の例示的な実施の形態に係る複数機器の音声操作システムでは、第1の実施形態同様に、機器特定部34が、ユーザが発話した音声コマンドの認識結果から機器名を特定できなかった場合には、リモコン2から出力されたリモコン操作情報の中のリモコン識別情報を抽出し、リモコン識別情報に対応づけられている機器10を、ユーザが操作対象としている機器であると特定する。但し、第1の実施形態と異なり、音声を入力する収音部41とリモコン2が分離しているため、操作対象の機器がリモコン2に対応付けられた機器10であることを特定するために必要なリモコン2の識別情報は、動作検出部24が、リモコン2に対するユーザの動作を検知することによって出力されるようになっている。
【0126】
これにより、本発明の例示的な第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、ホームネットワーク上にある複数の機器10〜12に、リモコン2とは違う場所に配置された音声入力機器4を用いた音声操作が行えるとともに、複数の機器のうち、リモコン2に対応付けられた特定の機器10に関しては、リモコン2をユーザが把持すれば、機器名を省略した音声操作が可能である。
【0127】
よって、第1の実施例と同様に、複数機器の中で特定の機器の使用頻度が高い場合、もしくは、音声操作を特定の機器しか行わない場合には、その機器名を発話する必要がなくなるので、ユーザの煩雑さを軽減できるとともに、特定の機器に対する迅速な操作指示が可能となる。
【0128】
なお、第3の実施の形態において、統合制御機器3は、第1の実施の形態の統合制御機器を用いて説明したが、第2の実施の形態、つまり、機器操作履歴記憶部39を備えた統合制御機器を用いてもよい。
【0129】
また、第3の実施の形態において、リモコン2は、リモコン2の上面に配置された操作ボタンを検出する操作検出部21を備えた構成としているが、なくてもよい。この場合、リモコン2は、従来の一般的なリモコンとは異なり、ユーザがリモコン2を握ったり、動かしたりした動作を、動作検出部24が検知したときに、その情報をリモコン操作情報として機器10〜12や統合制御機器3に送信するようになる。
【0130】
なお、上記各実施の形態において、リモコン2に対応付けられた機器10と統合制御機器3は、別々の機器として構成されているが、統合制御機器3が、機器10の構成要素である制御部102を含む構成にしてもよい。この場合、統合制御機器3において、制御部102は、制御情報生成部36から出力された制御情報に基づいて、対応する操作を実行することになる。具体的に説明すると、上記第1の実施の形態の説明において、機器10をテレビ、機器11をビデオ、機器12をエアコンとした例を示したが、統合制御機器3自体がテレビ、ビデオ、または、エアコンの機能をもっていてもよいということである。
【0131】
また、上記各実施の形態において、リモコン2は、機器10に対応付けられたリモコンと設定したが、ホームネットワークと統合制御機器3に接続された機器であれば、どの機器に対応付けられていてもよい。
【0132】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0133】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、及びRAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0134】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、及びRAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0135】
また、本発明の例示的な態様として、上記に示す方法が挙げられる。また、本発明の他の態様として、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0136】
さらに、本発明のさらに他の例示的な態様は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc(登録商標))、USBメモリ、SDカードなどのメモリカード、又は半導体メモリなどに記録したものも含む。また、本発明の例示的な態様は、これらの記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
【0137】
また、本発明の例示的な態様は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号を、電気通信回線、無線或いは有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、又はデータ放送等を経由して伝送するものも含む。
【0138】
また、本発明の例示的な態様は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサが上記コンピュータプログラムに従って動作するようなコンピュータシステムを含む。
【0139】
また、本発明の例示的な態様は、上記プログラム或いは上記デジタル信号を上記記録媒体に記録して移送することにより、又は、上記プログラム或いは上記デジタル信号を、上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより上記装置が実現される場合も含む。
【0140】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0141】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0142】
また、上記コンテンツ管理方法に含まれる複数のステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0143】
以上、一つまたは複数の態様に係るコンテンツの管理装置の実施の形態を説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。