(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282531
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】情報機器およびその操作方法、操作プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20180208BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20180208BHJP
H04B 1/08 20060101ALI20180208BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
G06F3/041 595
G06F3/0488 130
H04B1/08 Z
H04B1/16 R
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-116333(P2014-116333)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-230574(P2015-230574A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 翔太
【審査官】
萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−055145(JP,A)
【文献】
特開2013−235007(JP,A)
【文献】
特開2011−133579(JP,A)
【文献】
特開2013−218520(JP,A)
【文献】
特開2006−277588(JP,A)
【文献】
特開2013−097519(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0135228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/041
G06F 3/048 − 3/0489
H04B 1/08
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作指示に応じて情報の順送りまたは逆送りが行われる情報機器であって、
前記情報の順送りまたは逆送りを指示する所定の操作キーを有する操作手段と、
前記操作キーが押下された状態を維持している間、前記情報の順送りまたは逆送りを行う情報送り手段と、
前記情報送り手段による順送りまたは逆送りの対象となる前記情報が表示される表示領域とそれ以外の領域を有する表示手段と、
前記表示領域と前記それ以外の領域について、利用者によって指し示された位置を検出するタッチパネルと、
前記操作キーが押下された状態を維持しながら、利用者が前記タッチパネル上の任意位置を押下し、かつ、この押下位置が移動したことを検出する押下位置移動判定手段と、
前記押下位置移動判定手段によって検出された前記押下位置の移動状態に応じて、前記情報送り手段による前記情報の順送りまたは逆送りの方法を変更する情報送り変更手段と、
を備え、前記押下位置移動判定手段は、前記それ以外の領域が含まれる範囲について前記任意位置の押下およびその移動を検出することを特徴とする情報機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記情報送り変更手段は、前記押下位置の移動量に比例して、前記情報送り手段による前記情報の順送りまたは逆送りの送り量を設定することを特徴とする情報機器。
【請求項3】
請求項2において、
前記情報送り変更手段は、前記押下位置移動判定手段によって前記押下位置を検出したときに前記情報送り手段による前記情報の順送りまたは逆送りを停止し、その後の前記押下位置の移動量に応じて前記情報送り手段による前記情報の送り量を設定することを特徴とする情報機器。
【請求項4】
請求項3において、
前記情報送り変更手段は、前記押下位置が初期位置を基準にして右方向あるいは上方向に移動したときに前記情報の順送りの送り量を設定し、前記押下位置が初期位置を基準にして左方向あるいは下方向に移動したときに前記情報の逆送りの送り量を設定することを特徴とする情報機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、
前記操作手段は、前記タッチパネルを用いて実現されることを特徴とする情報機器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
車両に搭載されていることを特徴とする情報機器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記情報送り手段によって順送りまたは逆送りの対象となる前記情報は、ラジオ受信機における放送波を受信する周波数であることを特徴とする情報機器。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記情報送り手段によって順送りまたは逆送りの対象となる前記情報は、オーディオおよび/または映像再生装置における再生位置であることを特徴とする情報機器。
【請求項9】
利用者の操作指示に応じて情報の順送りまたは逆送りが行われる情報機器の操作方法であって、
前記情報の順送りまたは逆送りを指示する所定の操作キーが押下された状態を維持している間、前記情報の順送りまたは逆送りを情報送り手段によって行う情報送りステップと、
前記操作キーが押下された状態を維持しながら、利用者がタッチパネル上の位置を押下し、かつ、この押下位置が移動したことを、前記情報送り手段による順送りまたは逆送りの対象となる前記情報が表示される表示領域とそれ以外の領域を有する表示手段において、前記それ以外の領域が含まれる範囲について、前記表示領域と前記それ以外の領域について利用者によって指し示された位置を検出する前記タッチパネルを用いて、押下位置移動判定手段によって検出する押下位置移動判定ステップと、
前記押下位置移動判定手段によって検出された前記押下位置の移動状態に応じて、前記情報送り手段による前記情報の順送りまたは逆送りの方法を情報送り変更手段によって変更する情報送り変更ステップと、
を有することを特徴とする情報機器の操作方法。
【請求項10】
コンピュータを、
情報の順送りまたは逆送りを指示する所定の操作キーが押下された状態を維持している間、前記情報の順送りまたは逆送りを行う情報送り手段と、
前記操作キーが押下された状態を維持しながら、利用者がタッチパネル上の位置を押下し、かつ、この押下位置が移動したことを、前記情報送り手段による順送りまたは逆送りの対象となる前記情報が表示される表示領域とそれ以外の領域を有する表示手段において、前記それ以外の領域が含まれる範囲について、前記表示領域と前記それ以外の領域について利用者によって指し示された位置を検出する前記タッチパネルを用いて検出する押下位置移動判定手段と、
前記押下位置移動判定手段によって検出された前記押下位置の移動状態に応じて、前記情報送り手段による前記情報の順送りまたは逆送りの方法を変更する情報送り変更手段と、
して機能させるための情報機器の操作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを用いて利用者が操作指示を行う情報機器およびその操作方法、操作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の機能に対する利用者による操作指示をタッチパネルを用いて行うようにした情報機器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示された情報機器としての無線通信端末では、媒体再生アプリケーションに対する早送りや巻き戻しの指示をタッチパネルを用いて行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−512584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体再生アプリケーションに対する早送りや巻き戻しの指示をタッチパネルを用いて行う場合に、一般には早送りボタンや巻き戻しボタンを表示した状態で、利用者にいずれかのボタンを選択させることが考えられる。例えば、早送りボタンを長押しすることにより、再生位置を連続的に進めることができ、短く1回押すことにより、再生位置を最小の増減ステップ分だけ進めることができる。反対に、巻き戻しボタンを長押しすることにより、再生位置を連続的に戻すことができ、短く1回押すことにより、再生位置を最小の増減ステップ分だけ戻すことができる。
【0005】
ところで、早送りボタンや巻き戻しボタンを長押しして早送りや巻き戻しを行う場合に、再生位置を正確に所望位置にあわせることは難しい。このため、これらのボタンの長押しによって概略的な再生位置を設定し、その後、早送りボタンや巻き戻しボタンを短く複数回押して最終的な再生位置の微調整を行う必要があり、正確な位置で停止するために煩雑な操作が必要になるという問題があった。このような操作方法は、ラジオ受信機において受信周波数を手動操作で一方向に変化させて所望の放送局を探す場合も同じであり、正確に受信周波数をあわせるためには煩雑な操作が必要になる。また、これらの問題は、タッチパネルを用いて操作する場合に限らず、機械的な押しボタンを押下して早送りや巻き戻しなどを行う場合についても同じである。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、簡単な操作で順送りや逆送り(再生位置の早送り/巻き戻しや受信周波数の増減)を正確な位置で停止することができる情報機器およびその操作方法、操作プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の情報機器は、利用者の操作指示に応じて情報の順送りまたは逆送りが行われる情報機器であって、情報の順送りまたは逆送りを指示する所定の操作キーを有する操作手段と、
操作キーが押下された状態を維持している間、情報の順送りまたは逆送りを行う情報送り手段と、
情報送り手段による順送りまたは逆送りの対象となる情報が表示される表示領域とそれ以外の領域を有する表示手段と、表示領域とそれ以外の領域について、利用者によって指し示された位置を検出するタッチパネルと、操作キーが押下された状態を維持しながら、利用者がタッチパネル上の任意位置を押下し、かつ、この押下位置が移動したことを検出する押下位置移動判定手段と、押下位置移動判定手段によって検出された押下位置の移動状態に応じて、情報送り手段による情報の順送りまたは逆送りの方法を変更する情報送り変更手段とを備え
、押下位置移動判定手段は、それ以外の領域が含まれる範囲について任意位置の押下およびその移動を検出している。特に、上述した情報送り変更手段は、押下位置の移動量に比例して、情報送り手段による情報の順送りまたは逆送りの送り量を設定する。
【0008】
また、本発明の情報機器の操作方法は、利用者の操作指示に応じて情報の順送りまたは逆送りが行われる情報機器の操作方法であって、情報の順送りまたは逆送りを指示する所定の操作キーが押下された状態を維持している間、情報の順送りまたは逆送りを情報送り手段によって行う情報送りステップと、操作キーが押下された状態を維持しながら、利用者がタッチパネル上の位置を押下し、かつ、この押下位置が移動したことを
、情報送り手段による順送りまたは逆送りの対象となる情報が表示される表示領域とそれ以外の領域を有する表示手段において、それ以外の領域が含まれる範囲について、表示領域とそれ以外の領域について利用者によって指し示された位置を検出するタッチパネルを用いて、押下位置移動判定手段によって検出する押下位置移動判定ステップと、押下位置移動判定手段によって検出された押下位置の移動状態に応じて、情報送り手段による情報の順送りまたは逆送りの方法を情報送り変更手段によって変更する情報送り変更ステップとを有する。
【0009】
また、本発明の情報機器の操作プログラムは、コンピュータを、情報の順送りまたは逆送りを指示する所定の操作キーが押下された状態を維持している間、情報の順送りまたは逆送りを行う情報送り手段と、操作キーが押下された状態を維持しながら、利用者がタッチパネル上の位置を押下し、かつ、この押下位置が移動したことを
、情報送り手段による順送りまたは逆送りの対象となる情報が表示される表示領域とそれ以外の領域を有する表示手段において、それ以外の領域が含まれる範囲について、表示領域とそれ以外の領域について利用者によって指し示された位置を検出するタッチパネルを用いて検出する押下位置移動判定手段と、押下位置移動判定手段によって検出された押下位置の移動状態に応じて、情報送り手段による情報の順送りまたは逆送りの方法を変更する情報送り変更手段として機能させる。
【0010】
利用者の操作指示に応じて情報の順送りまたは逆送りを行う際に、利用者は、タッチパネル上の任意位置を押下し、この押下位置を移動させるという簡単な操作により、情報の順送りや逆送りの方法を変更(具体的には、送り量を設定)することができ、情報の順送りや逆送りを正確な位置で停止することが可能となる。
【0011】
また、上述した情報送り変更手段は、押下位置移動判定手段によって押下位置を検出したときに情報送り手段による情報の順送りまたは逆送りを停止し、その後の押下位置の移動量に応じて情報送り手段による情報の送り量を設定することが望ましい。情報の順送りまたは逆送りを一旦停止し、その後の送り量を設定することにより、正確な位置での停止がさらに容易となる。
【0012】
また、上述した情報送り変更手段は、押下位置が初期位置を基準にして右方向あるいは上方向に移動したときに情報の順送りの送り量を設定し、押下位置が初期位置を基準にして左方向あるいは下方向に移動したときに情報の
逆送りの送り量を設定することが望ましい。これにより、押下位置を移動させる方向を変えることにより、情報の順送りあるいは逆送りの量を任意に調整することが可能となる。
【0014】
また、上述した操作手段は、タッチパネルを用いて実現されることが望ましい。これにより、ハードウエアによる特別なキーを設ける必要がなく、タッチパネルのマルチタッチ検出を利用して安価な構成とすることができる。
【0015】
また、本発明の情報機器は、車両に搭載されていることが望ましい。車両に搭載された情報機器に本発明を適用することにより、簡単な操作で情報の順送りや逆送りを正確な位置で停止することができ、狭く、かつ、拘束された姿勢での操作性を向上させることができる。
【0016】
また、上述した情報送り手段によって順送りまたは逆送りの対象となる情報は、ラジオ受信機における放送波を受信する周波数であることが望ましい。これにより、ラジオ受信機の受信周波数を手動で合わせる際の操作性を向上させることができる。
【0017】
また、上述した情報送り手段によって順送りまたは逆送りの対象となる情報は、オーディオおよび/または映像再生装置における再生位置であることが望ましい。これにより、オーディオや映像の再生装置における再生位置を早送りや巻き戻しする際の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態の車載装置の構成を示す図である。
【
図2】ラジオ操作処理部によって作成された操作画面の表示例を示す図である。
【
図3】AV操作処理部によって作成された操作画面の表示例を示す図である。
【
図4】
図2に示した操作画面表示中にFM放送の受信周波数を手動操作により順送りあるいは逆送りする動作手順を示す流れ図である。
【
図5】手動アップキーが長押しされた具体例を示す図である。
【
図6】手動アップキーを長押しした状態を維持しながら別の位置が押下された具体例を示す図である。
【
図7】押下位置を移動させて受信周波数の変更する具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の情報機器を適用した一実施形態の車載装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態の車載装置の構成を示す図である。
図1に示すように、車載装置1は、ナビゲーション処理部10、TVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18、操作部20、タッチパネル22、入力制御部24、表示処理部30、表示装置32、デジタル−アナログ変換器(D/A)40、スピーカ42、制御部50、ハードディスク装置(HDD)70を備えている。
【0020】
ナビゲーション処理部10は、ハードディスク装置70に記憶されている地図データを用いて車載装置1が搭載された車両の走行を案内するナビゲーション動作を行う。自車位置を検出するGPS装置12とともに用いられ、車両の走行を案内するナビゲーション動作には、地図表示、経路探索・誘導のほかに周辺施設やPOI(Point Of Interest)を検索して表示する動作などが含まれる。なお、自車位置検出は、GPS12の他にジャイロセンサや車速センサ等の自律航法センサを組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0021】
TVチューナ処理部14は、地上デジタル放送等の放送信号を受信し、映像および音声を再生する処理を行う。ラジオチューナ処理部16は、AMラジオ放送やFMラジオ放送の放送信号を受信し、音声を再生する処理を行う。AV処理部18は、圧縮されてハードディスク装置70に記憶されているオーディオデータ(音楽データ)や映像データを読み出して再生する処理を行う。なお、オーディオデータや映像データは、ディスク読取装置(図示せず)を用いてCDやDVDから読み取ったものを用いるようにしてもよい。また、再生対象となるデータをオーディオデータのみあるいは映像データのみに限定してもよい。
【0022】
操作部20は、利用者による各種操作を受け付けるためのものであり、各種のスイッチや操作つまみ等が備わっている。タッチパネル22は、表示装置32の画面に重ねて配置されており、利用者の指が接触した画面上の位置を検出する。このタッチパネル22としては、例えば静電容量式のタッチパネルが用いられるが、その他の方式(抵抗膜方式等)のタッチパネルを用いるようにしてもよい。入力制御部24は、操作部20およびタッチパネル22の操作状態を監視し、利用者による入力内容を検出する。
【0023】
表示処理部30は、各種の操作画面等を表示する映像信号を出力して表示装置32にこれらの画面を表示するとともに、TVチューナ処理部14によって受信した放送信号に対応する映像画面やAV処理部18によって再生した映像画面等を表示する映像信号を出力して表示装置32にこれらの画面を表示する。表示装置32は、運転席と助手席の中央前方に設置されており、例えば液晶表示装置(LCD)を用いて構成されている。
【0024】
デジタル−アナログ変換器40は、ナビゲーション処理部10、TVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18のそれぞれの処理によって生成される音声や音楽等のオーディオデータをアナログの音声信号に変換してスピーカ42から出力する。なお、実際には、デジタル−アナログ変換器40とスピーカ42の間には信号を増幅する増幅器が接続されているが、
図1ではこの増幅器は省略されている。また、デジタル−アナログ変換器40とスピーカ42との組合せは再生チャンネル数分備わっているが、
図1では一組のみが図示されている。
【0025】
制御部50は、車載装置1の全体を制御するためのものであり、ROMやRAMなどに格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより実現される。また、制御部50は、ラジオチューナ処理部16とAV処理部18のそれぞれに対応する操作画面を表示したり、これらの操作画面を用いて手動で情報の順送りや逆送りを行う際の処理を行うために、ラジオ操作処理部51、AV操作処理部52、情報送り処理部53、押下位置移動判定部54、情報送り変更部55を有する。
【0026】
ラジオ操作処理部51は、表示装置32に表示するラジオ受信処理に関する操作画面を作成するとともに、この操作画面を用いて行われる利用者の指示に応じた信号をラジオチューナ処理部16に入力する。
【0027】
AV操作処理部52は、表示装置32に表示するAV処理部18による再生処理に関する操作画面を作成するとともに、この操作画面を用いて行われる利用者の指示に応じた信号をAV処理部18に入力する。
【0028】
ラジオ操作処理部51あるいはAV操作処理部52によって作成された操作画面には、情報の順送りまたは逆送りを指示する所定の操作キーが含まれており、この操作キーを用いた情報の順送りまたは逆送りに関する処理が情報送り処理部53、押下位置移動判定部54、情報送り変更部55によって行われる。
【0029】
図2は、ラジオ操作処理部51によって作成された操作画面の表示例を示す図である。この操作画面には、現在受信中のFM放送の受信周波数を示す受信周波数表示領域A1と、手動で受信周波数を高い側に遷移させる手動アップキーA2と、手動で受信周波数の低い側に遷移させる手動ダウンキーA3とが含まれる。手動アップキーA2が情報の順送りを指示する操作キーに、手動ダウンキーA3が情報の逆送りを指示する操作キーに対応する。利用者は、手動アップキーA2や手動ダウンキーA3を1回押下することにより、受信数端数を最小のステップ数分高い側あるいは低い側に遷移させることができる。これら手動アップキーA2や手動ダウンキーA3の押下状態はタッチパネル22によって検出することができる。
【0030】
図3は、AV操作処理部52によって作成された操作画面の表示例を示す図である。この操作画面には、再生中のアルバム名およびタイトルを示す再生内容表示領域B1と、再生中のタイトルの再生位置を示す再生バーB2と、再生中のタイトルの再生位置を進ませる早送りキーB3と、再生中のタイトルの再生位置を戻す巻き戻しキーB4とが含まれる。早送りキーB3が情報の順送りを指示する操作キーに、巻き戻しキーB4が情報の逆送りを指示する操作キーに対応する。利用者は、早送りキーB3や巻き戻しキーB4を1回押下することにより、再生位置を最小のステップ数分早送りあるいは巻き戻すことができる。これら早送りキーB3や巻き戻しキーB4の押下状態はタッチパネル22によって検出することができる。
【0031】
情報送り処理部53は、順送りあるいは逆送りを指示する操作キー(
図2に示す手動アップキーA2や手動ダウンキーA3や、
図3に示す早送りキーB3や巻き戻しキーB4がこの操作キーに対応するが、以下では、必要に応じて、これらの操作キーを「特定操作キー」と称して説明を行う)が押下された状態を維持している間(長押しされている間)、情報の順送りまたは逆送りを行う。
【0032】
例えば、
図2に示す操作画面が表示された状態で、利用者が手動アップキーA2や手動ダウンキーA3の押下状態を継続(長押し)すると、情報送り処理部53は、ラジオチューナ部16におけるFM放送の受信周波数を高い側あるいは低い側に連続的かつ一定速度で(あるいは押下時間に比例して速度が増すように)遷移させる。
【0033】
また、
図3に示す操作画面が表示された状態で、利用者が早送りキーB3や巻き戻しキーB4の押下状態を継続(長押し)すると、情報送り処理部53は、AV処理部18における早送りや巻き戻しを連続的かつ一定速度で(あるいは押下時間に比例して速度が増すように)行う。
【0034】
押下位置移動判定部54は、特定操作キーが押下された状態を維持しながら、利用者によってタッチパネル22上の任意位置が押下されたことや、この押下位置が移動したことを検出する。
【0035】
情報送り変更部55は、押下位置移動判定部54によって検出された押下位置の移動状態に応じて、情報送り処理部53による情報の順送りまたは逆送りの方法を変更する。具体的には、情報送り変更部55は、押下位置の移動量に比例して、情報送り処理部53による情報の順送りまたは逆送りの送り量を設定する。さらに具体的には、情報送り変更部55は、押下位置移動判定部54によって押下位置を検出したときに情報送り処理部53による情報の順送りまたは逆送りを一旦停止し、その後の押下位置の移動量に応じて情報送り処理部53による情報の送り量を設定する。
【0036】
また、情報送り変更部55は、押下位置が初期位置を基準にして右方向あるいは上方向に移動したときに情報の順送りの送り量を設定し、押下位置が初期位置を基準にして左方向あるいは下方向に移動したときに情報の順送りの送り量を設定する。
【0037】
上述した操作部20、タッチパネル22、表示装置32が操作手段に、情報送り処理部53が情報送り手段に、押下位置移動判定部54が押下位置移動判定手段に、情報送り変更部55が情報送り変更手段に、表示装置32が表示手段にそれぞれ対応する。
【0038】
本実施形態の車載装置1はこのような構成を有しており、次に、情報の順送りまたは逆送りの方法を変更する手順について説明する。
【0039】
図4は、
図2に示した操作画面表示中にFM放送の受信周波数を手動操作により順送りあるいは逆送りする動作手順を示す流れ図である。
【0040】
情報送り処理部53は、特定操作キー(手動アップキーA2または手動ダウンキーA3)が長押しされたか否かを判定する(ステップ100)。特定操作キーが長押しされていない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。特定操作キーが利用者によって長押しされると、ステップ100の判定において肯定判断が行われる。
【0041】
次に、情報送り処理部53は、長押しされた特定操作キーが手動アップキーA2か否かを判定する(ステップ102)。手動アップキーA2が長押しされた場合には肯定判断が行われる。この場合は、情報送り処理部53は、ラジオチューナ処理部16に指示を送って受信周波数を高い側に連続的に遷移させる(ステップ104)。
【0042】
図5は、手動アップキーA2が長押しされた具体例を示す図である。
図5に示す例では、利用者は、右手の人差し指の先端C1で手動アップキーA2を長押ししており、この状態がタッチパネル22によって検出される。
【0043】
また、手動ダウンキーA3が長押しされた場合にはステップ102の判定において否定判断が行われる。この場合は、情報送り処理部53は、ラジオチューナ処理部16に指示を送って受信周波数を低い側に連続的に遷移させる(ステップ106)。
【0044】
また、ステップ104あるいは106において受信周波数を連続的に遷移させる動作と並行して、押下位置移動判定部54は、利用者によってタッチパネル22上の任意位置が押下されたかを判定する(ステップ108)。任意位置が押下されない場合(タッチパネル22によって任意位置の押下が未検出の場合)には否定判断が行われ、ステップ100に戻って特定操作キーの長押し判定以降が繰り返される。
【0045】
また、任意位置が押下された場合にはステップ108の判定において肯定判断が行われる。次に、情報送り変更部55は、情報送り処理部53に指示を送って受信周波数を変更する動作を停止させる(ステップ110)。
【0046】
図6は、手動アップキーA2を長押しした状態を維持しながら別の位置が押下された具体例を示す図である。
図6に示す例では、利用者は、手動アップキーA2を右手人差し指で長押ししながら、親指の先端C2で別の任意位置を押下しており、この状態がタッチパネル22によって検出される。
【0047】
次に、押下位置移動判定部54は、押下された位置が移動したか否かを判定する(ステップ112)。移動していない場合には否定判断が行われ、ステップ108に戻って任意位置の押下判定が繰り返される。また、押下位置が移動した場合にはステップ112の判定において肯定判断が行われる。
【0048】
次に、押下位置移動判定部54は、押下位置の移動量を算出する(ステップ114)。また、情報送り変更部55は、押下位置の移動方向が右側または上側か否かを判定する(ステップ116)。移動方向が右側または上側の場合には肯定判断が行われる。この場合は、情報送り変更部55は、算出された押下位置の移動量に基づいて送り量(受信周波数を変化させる変化量)を決定し、周波数遷移を停止した時点における受信周波数にこの送り量を加算することで受信周波数を高い側に変更する(ステップ118)。反対に、移動方向が左側または下側の場合にはステップ116の判定において否定判断が行われる。この場合は、情報送り変更部55は、算出された押下位置の移動量に基づいて送り量を決定し、周波数遷移を停止した時点における受信周波数からこの送り量を減算することで受信周波数を低い側に変更する(ステップ120)。これらの受信周波数の変更は、受信周波数表示領域A1(
図2)に表示された受信周波数の値を見ながら行われる。その後、ステップ112に戻って押下位置の移動判定が繰り返される。
【0049】
図7は、押下位置を移動させて受信周波数の変更する具体例を示す図である。
図7に示すように、押下位置C2を右方向d1あるいは上方向d2に移動させることにより、その移動量に対応した送り量で受信周波数を高い側に変更することができる。反対に、押下位置C2を左方向d3あるいは下方向d4に移動させることにより、その移動量に対応した送り量で受信周波数を低い側に変更することができる。
【0050】
なお、押下位置C2は、正確に右方向d1、上方向d2、左方向d3、下方向d4のいずれかに沿って移動させる必要はない。例えば、概略的に右方向d1に押下位置C2を移動させたときに受信周波数を増加させ、概略的に左方向d2に押下位置C2を移動させたときに受信周波数を減少させるものとすると、押下位置C2の移動方向が第一象限と第二象限に含まれるときに受信周波数を増加させ、押下位置C2の移動方向が第三象限と第四象限に含まれるときに受信周波数を減少させればよい。また、概略的に上方向d2に押下位置C2を移動させたときに受信周波数を増加させ、概略的に下方向d4に押下位置C2を移動させたときに受信周波数を減少させるものとすると、押下位置C2の移動方向が第二象限と第三象限に含まれるときに受信周波数を増加させ、押下位置C2の移動方向が第四象限と第一象限に含まれるときに受信周波数を減少させればよい。
【0051】
このように、本実施形態の車載装置1では、利用者の操作指示に応じて情報の順送りまたは逆送りを行う際に、利用者は、タッチパネル22上の任意位置を押下し、この押下位置を移動させるという簡単な操作により、情報の順送りや逆送りの方法を変更(具体的には、送り量を設定)することができ、情報の順送りや逆送りを正確な位置で停止することが可能となる。
【0052】
また、特定操作キー以外の位置が押下されたときに情報の順送りまたは逆送りを一旦停止し、その後の送り量を設定することにより、正確な位置での停止がさらに容易となる。また、押下位置を移動させる方向を変えることにより、情報の順送りあるいは逆送りの量を任意に調整することが可能となる。情報の送り量を目視で確認しながら調整することが可能になり、順送りや約送りを正確な位置でさらに容易に停止することができる。
【0053】
また、上述した特定操作キーの検出は、タッチパネル22を用いて行われるため、ハードウエアによる特別なキーを設ける必要がなく、タッチパネル22のマルチタッチ検出を利用して安価な構成とすることができる。
【0054】
また、本発明の情報機器は、車両に搭載されていることが望ましい。車両に搭載された情報機器としての車載装置1に本発明を適用することにより、簡単な操作で情報の順送りや逆送りを正確な位置で停止することができ、狭く、かつ、拘束された姿勢での操作性を向上させることができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、
図2に示した操作画面を用いて、受信対象となるFM放送の受信周波数を順送り(高い側に変更)または逆送り(低い側に変更)する場合について説明したが、
図3に示した操作画面を用いて、オーディオデータ等を再生する際の再生位置を順送り(早送り)または逆送り(巻き戻し)する場合に本発明を適用するようにしてもよい。あるいは、それ以外の操作画面を用いた情報の順送りや逆送りに本発明を適用してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、特定操作キーとしての手動アップキーA2および手動ダウンキーA3(
図2)や、早送りキーB3および巻き戻しキーB4(
図3)を表示装置32に表示し、それらの押下の有無をタッチパネル22で検出するようにしたが、これらの特定操作キーを操作部20に含まれるハードウエアキーに割り当てるようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、車載装置1に本発明を適用したが、携帯端末装置や卓上あるいはノート型のパーソナルコンピュータなど、タッチパネルを用いたその他の情報機器に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
上述したように、本発明によれば、利用者の操作指示に応じて情報の順送りまたは逆送りを行う際に、利用者は、タッチパネル上の任意位置を押下し、この押下位置を移動させるという簡単な操作により、情報の順送りや逆送りの方法を変更(具体的には、送り量を設定)することができ、情報の順送りや逆送りを正確な位置で停止することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1 車載装置
16 ラジオチューナ処理部
18 AV処理部
20 操作部
22 タッチパネル
24 入力制御部
30 表示処理部
32 表示装置
50 制御部
51 ラジオ操作処理部
52 AV操作処理部
53 情報送り処理部
54 押下位置移動判定部
55 情報送り変更部