特許第6282549号(P6282549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6282549操作メニュー表示制御装置および操作メニュー表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282549
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】操作メニュー表示制御装置および操作メニュー表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20180208BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20180208BHJP
【FI】
   G06F3/0482
   G06F3/0484 150
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-147500(P2014-147500)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-24579(P2016-24579A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 昇
【審査官】 永野 志保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−249833(JP,A)
【文献】 特開2013−115769(JP,A)
【文献】 特開平07−191612(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/069573(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0482
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツリー構造から成る階層的な操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、少なくとも一部の操作項目に対し、車両の走行中に操作ができないように操作制限をかける機能を有する情報処理装置の表示部に上記操作メニューを表示させるための制御を行う操作メニュー表示制御装置であって、
指定中の階層の上記操作メニューに含まれる複数の操作項目の中から、当該指定中の階層または上記ツリー構造に沿った下位層において上記操作制限がかけられることになる操作項目である制限項目を判別する制限項目判別部と、
上記操作メニューに含まれる操作項目で、現時点で操作制限がかけられていない操作項目のうち、上記制限項目判別部により判別された上記制限項目を、他の操作項目と識別可能な態様で表示させる表示制御部とを備え、
上記制限項目判別部は、ある階層の操作メニューが指定されているとき、当該ある階層の操作メニュー内に含まれている上記制限項目である直接制限項目と、上記ある階層の操作メニュー内に含まれている操作項目で上記車両の走行中に上記操作制限がかけられない操作項目のうち、当該操作項目を操作して上記ツリー構造を辿って遷移した場合の下位層の操作メニュー内に上記制限項目が含まれる操作項目である間接制限項目とを判別し、
上記表示制御部は、上記制限項目判別部により判別された上記直接制限項目および上記間接制限項目を上記他の操作項目と識別可能な態様で表示させ、かつ、上記直接制限項目と上記間接制限項目とを互いに識別可能な態様で表示させることを特徴とする操作メニュー表示制御装置。
【請求項2】
ツリー構造から成る階層的な操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、少なくとも一部の操作項目に対し、車両の走行中に操作ができないように操作制限をかける機能を有する車載機の表示部に上記操作メニューを表示させるための制御を行う操作メニュー表示制御方法であって、
上記車載機の制限項目判別部が、指定中の階層の上記操作メニューに含まれる複数の操作項目の中から、当該指定中の階層または上記ツリー構造に沿った下位層において上記操作制限がかけられることになる操作項目である制限項目を判別する第1のステップと、
上記車載機の表示制御部が、上記操作メニューに含まれる操作項目で、現時点で操作制限がかけられていない操作項目のうち、上記制限項目判別部により判別された上記制限項目を他の操作項目と識別可能な態様で表示させる第2のステップとを有し、
上記第1のステップにおいて、上記制限項目判別部は、ある階層の操作メニューが指定されているとき、当該ある階層の操作メニュー内に含まれている上記制限項目である直接制限項目と、上記ある階層の操作メニュー内に含まれている操作項目で上記車両の走行中に上記操作制限がかけられない操作項目のうち、当該操作項目を操作して上記ツリー構造を辿って遷移した場合の下位層の操作メニュー内に上記制限項目が含まれる操作項目である間接制限項目とを判別し、
上記第2のステップにおいて、上記表示制御部は、上記制限項目判別部により判別された上記直接制限項目および上記間接制限項目を上記他の操作項目と識別可能な態様で表示させ、かつ、上記直接制限項目と上記間接制限項目とを互いに識別可能な態様で表示させることを特徴とする操作メニュー表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作メニュー表示制御装置および操作メニュー表示制御方法に関し、特に、ツリー構造から成る階層的な操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、少なくとも一部の操作項目に対し、車両の走行中に操作ができないように操作制限をかける機能を有する情報処理装置の表示部に操作メニューを表示させるための制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載機のディスプレイに表示される操作メニューは、安全性確保を目的として、走行中は操作ができないように制限がかけられることが多い。特に、ツリー構造から成る階層的な操作メニュー(以下、階層メニューという)において、目的とするタスクを完了させるまでに多数回の操作を要する場合や、所定時間以上の時間がかかることが想定される場合などには、操作制限がかけられる。一方、目的とするタスクを完了させるまでに要する操作の回数が少ない場合や、所定時間以内に操作が完了することが想定される場合などは、操作制限をかけないようにすることも可能である。
【0003】
また、階層メニューの操作に制限をかける場合でも、最初の1階層目から全く操作できないように制限をかける場合のほか、操作項目を数回操作した後の複数階層目から(すなわち、画面遷移の途中から)操作できないように制限をかける場合がある。さらに、1階層目の操作メニューに表示される複数の操作項目が、1階層目から全く操作できないように制限がかけられる操作項目と、画面遷移の途中から操作できないように制限がかけられる操作項目と、全く制限がかけられない操作項目とが混在する場合もある。
【0004】
図9は、車載機の階層メニューの一例を示す図である。図9(a)は第1階層の操作メニュー(トップメニュー)211を示している。このトップメニュー211は、6つの操作項目111〜116を含んでいる。このうち、2つの操作項目111,112は、走行中は第1階層から全く操作できないように制限がかけられる操作項目であるとする。また、3つの操作項目113〜115は、走行中は画面遷移の途中から操作できないように制限がかけられる操作項目であるとする。また、残り1つの操作項目116は、全く制限がかけられない操作項目であるとする。
【0005】
この場合、図9(a)のようにトップメニュー211が表示されている状態で車両が走行を開始すると、図9(b)のように、2つの操作項目111,112はグレーアウトして操作できない状態となる。一方、走行を開始しても、他の操作項目113〜116は操作が可能な状態のままである。この場合において、例えば操作項目114を操作すると、図9(c)のように第2階層の操作メニュー224が表示される。この操作メニュー224において、何れかの操作項目(図9(c)の例では操作項目124)を操作すると、図9(d)のように第3階層の操作メニュー234が表示される。
【0006】
第3階層の操作メニュー234には多数の操作項目131,132,・・・が含まれていて、1ページ内に全ての操作項目を表示し切れない。そのため、ユーザが所望の操作項目を探し出すためには、スクロールボタンを操作して画面をさらに遷移させる必要があり、走行中の操作は好ましくない。そこで、この図9(d)の操作メニュー234に遷移した段階で、全ての操作項目がグレーアウトして操作できない状態となる。すなわち、この例では、図9(c)に示す第2階層の操作メニュー224を表示させるところまでは走行中であっても操作に制限がかけられず、画面遷移が可能であるが、第3階層の操作メニュー234に遷移したところで操作に制限がかけられ、それ以降の操作ができない状態となる。
【0007】
なお、車両の走行中は入力手段による入力の受け付けを制限するようになされた入力装置において、車両の走行中であっても所定条件下においては制限を解除するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、選択候補の残り選択回数に基づいて、入力手段による入力の受け付けの制限を解除することが記載されている。
【0008】
また、図9の例では、車両の走行中に操作制限がかけられる操作項目を、走行中はグレーアウトして表示させるようにしているが、表示色を変えるようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の車両用表示装置では、車両の走行中に操作可能な入力キーと、走行中は操作禁止する入力キーとを停車中は全て同じ色で表示する一方、走行中は操作禁止する入力キーだけ異なる色で表示するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−54408号公報
【特許文献2】特開平7−191612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図9(a)に示したように、車両の停車中は、トップメニュー211の全ての操作項目111〜116がグレーアウトせず操作可能な状態となっている。そのため、どの操作項目が走行中に操作制限がかけられることになるのか、一見して分からない。そのため、車両の停車中に何れかの操作項目を操作した場合に、その操作項目が走行中に操作制限される項目(図9の例では操作項目111,112)であったとすると、走行を開始すると続きの操作ができなくなってしまい、ユーザにストレスを与えてしまうという問題があった。
【0011】
また、トップメニュー211に限らず、図9(d)のように画面遷移の途中から操作制限がかかる場合もあるため、ユーザの混乱はさらに大きなものとなる。すなわち、車両が走行を開始した後も、図9(b)のようにトップメニュー211の操作項目113〜116は操作が可能なため、例えば操作項目114を選択して操作を進めていくと、図9(d)の画面から続きの操作ができなくなってしまう。この場合、ユーザは最後まで操作が可能と考えてトップメニュー211で操作項目114を操作している可能性が高く、それが途中で操作できない状態となってしまうため、ユーザに与えるストレスはさらに大きなものとなる。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、車両の走行中に操作制限がかけられることになる操作項目をあらかじめ把握できるようにし、画面遷移の途中で実際に操作できなくなってしまうことを回避できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明では、階層メニューで現在指定中の階層の操作メニューに含まれる複数の操作項目の中から、当該指定階層またはツリー構造に沿った下位層において車両の走行中に操作制限がかけられることになる操作項目である制限項目を判別し、指定中の操作メニューにおいて現時点で操作制限がかけられていない操作項目のうち、上記判別した制限項目を他の操作項目と識別可能な態様で表示させるようにしている。特に、本発明では、ある階層の操作メニューが指定されているとき、当該ある階層の操作メニュー内に含まれている制限項目である直接制限項目と、ある階層の操作メニュー内に含まれている操作項目で車両の走行中に操作制限がかけられない操作項目のうち、当該操作項目を操作してツリー構造を辿って遷移した場合の下位層の操作メニュー内に制限項目が含まれる操作項目である間接制限項目とを判別し、直接制限項目および間接制限項目を他の操作項目と識別可能な態様で表示させ、かつ、直接制限項目と間接制限項目とを互いに識別可能な態様で表示させるようにしている。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、表示中の操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、現時点で実際に操作制限がかけられていない操作項目が、現在指定中の階層または下位層において車両の走行中に操作制限がかけられることになる制限項目と、操作制限がかけられない他の操作項目とを識別可能に表示されることとなる。これにより、表示中の操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、車両の走行中に何れかの階層で操作制限がかけられることになる操作項目をユーザにあらかじめ把握させることができ、画面遷移の途中で実際に操作できなくなってしまうことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態による操作メニュー表示制御装置を適用した車載機の構成例を示す図である。
図2】本実施形態の階層メニュー記憶部に記憶される階層メニューの情報の一例を模式的に示す図である。
図3】第1の実施形態による表示制御部によって車両の停車中に表示される操作メニューの一例を示す図である。
図4】第1の実施形態による操作メニュー表示制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態による操作メニュー表示制御装置を適用した車載機の構成例を示す図である。
図6】第2の実施形態による表示制御部によって表示される操作メニューの一例を示す図である。
図7】第2の実施形態による操作メニュー表示制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態による表示制御部によって表示される操作メニューの他の例を示す図である。
図9】階層メニューの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態による操作メニュー表示制御装置10を適用した車載機の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車載機は、操作メニュー表示制御装置10、操作部20および表示部30を備えて構成されている。操作部20は、例えばリモコン、または表示部30に付設されたタッチパネルなどにより構成される。表示部30は、例えば液晶表示装置などにより構成される。
【0017】
本実施形態の車載機は、ツリー構造から成る階層的な操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、少なくとも一部の操作項目に対し、車両の走行中に操作ができないように操作制限をかける機能を有している。操作制限をかける場合、例えば、制限をかける操作項目の表示をグレーアウトさせて操作できない状態とする。
【0018】
図1に示ように、第1の実施形態による操作メニュー表示制御装置10は、その機能構成として、操作受付部11、遷移実行部12、表示制御部13、停車判定部14および制限項目判別部15を備えている。また、操作メニュー表示制御装置10は、階層メニュー記憶部16を備えている。
【0019】
上記各機能ブロック11〜15は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11〜15は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0020】
階層メニュー記憶部16は、ツリー構造から成る階層メニューに関する情報を記憶するものである。階層メニューに関する情報は、階層メニューのツリー構造(ある階層の操作メニューのどの操作項目から下位層のどの操作メニューに遷移するかを示したもの)、各操作メニューに含まれる操作項目、その操作項目が車両の走行中に操作できないように操作制限がかけられる制限項目であるか否かを示すフラグ(以下、制限項目フラグという)などの情報を含む。
【0021】
図2は、この階層メニュー記憶部16に記憶される階層メニューの情報の一例を模式的に示す図である。図2において、一番上に示した1つの操作メニュー211は、第1階層のトップメニュー(図9(a)に対応)である。この操作メニュー211には6つの操作項目(図9(a)の操作項目111〜116に対応)が含まれており、そのうちの2つ(操作項目111,112)に対して、第1階層の操作メニュー211において操作制限がかけられる制限項目であることを示すフラグ “1”が設定されている。
【0022】
また、上から2番目に示した6つの操作メニュー221〜226は、第1階層の操作メニュー211に含まれる6つの操作項目111〜116が操作されたときにそれぞれ遷移する第2階層の操作メニューである。これらの操作メニュー221〜226にも、それに含まれる複数の操作項目と制限項目フラグとが記憶されている。図2の例では、4番目の操作メニュー224(図9(c)に対応)に4つの操作項目121〜124が含まれており、その全ての操作項目121〜124について、制限項目フラグの値は“1”に設定されていない。
【0023】
さらに、上から3番目に示した4つの操作メニュー231〜234は、第2階層の操作メニュー224に含まれる4つの操作項目121〜124が操作されたときにそれぞれ遷移する第3階層の操作メニューである。これらの操作メニュー231〜234にも、それに含まれる複数の操作項目と制限項目フラグとが記憶されている。図2の例では、4番目の操作メニュー234(図9(d)に対応)にn個の操作項目131〜13nが含まれており、その全てに対して、第3階層の操作メニュー234において操作制限がかけられる制限項目であることを示すフラグ “1”が設定されている。
【0024】
操作受付部11は、ユーザによる操作部20を用いた階層メニューの操作を受け付ける。具体的には、操作受付部11は、操作メニュー内に含まれる複数の操作項目の中から何れかを選択して決定する操作を受け付ける。
【0025】
遷移実行部12は、操作受付部11がユーザによる階層メニューの操作を受け付けたときに、階層メニュー記憶部16に記憶されている階層メニューの情報に基づいて、操作された操作項目に従って操作メニューを遷移させる処理を行う。
【0026】
表示制御部13は、遷移実行部12により遷移された操作メニューを表示部30に表示させる。ここで、表示制御部13は、車両が走行中か停車中かに応じて、操作メニューの表示態様を変える。車両の走行中は、操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、実際に操作ができないように制限がかけられた制限項目(図2のように制限項目フラグが“1”に設定されている操作項目)の表示をグレーアウトさせる(図9(b)および(d)参照)。この場合、操作受付部11は、グレーアウトされた制限項目に対する操作を受け付けず、遷移実行部12は操作メニューの遷移を実行しない。
【0027】
一方、車両の停車中は、制限項目であっても操作が可能なので、表示制御部13は、制限項目を含めて全ての操作項目をグレーアウトさせず、操作可能な状態として表示させる。ただし、表示制御部13は、操作メニューに含まれる全ての操作項目(停車中の現時点で操作制限がかけられていない操作項目に相当)を一律に同じ態様で表示させるのではなく、制限項目を他の操作項目と識別可能な態様で表示させる。これについての詳細は後述する。
【0028】
停車判定部14は、車両が停車中か否かを判定する。例えば、停車判定部14は、車内LANなどを介して送信されてくる走行速度情報(スピードメータの情報)がゼロを示しているか否かによって、車両が停車中か否かを判定する。そして、その判定結果を遷移実行部12および表示制御部13に通知する。上述したように、表示制御部13は、停車判定部14による停車中か否かの判定結果に応じて、操作メニューの表示態様を変える。また、遷移実行部12は、停車判定部14による停車中か否かの判定結果に応じて、制限項目に対して操作が行われたときに操作メニューの遷移を実行するか否かの動作を変える。
【0029】
制限項目判別部15は、階層メニュー記憶部16に記憶されている階層メニューの情報(特に、制限項目フラグ)に基づいて、現在指定中の階層の操作メニューに含まれる複数の操作項目の中から、車両が走行した場合に当該指定中の階層において操作制限がかけられることになる操作項目(表示中の操作項目に対して直接制限がかけられるので、以下ではこれを直接制限項目と呼ぶ)を判別する。すなわち、制限項目判別部15は、ある階層の操作メニューが指定されているとき、当該ある階層の操作メニュー内に含まれている制限項目である直接制限項目を判別する。そして、その判別した直接制限項目を表示制御部13に通知する。
【0030】
上述のように、表示制御部13は、停車判定部14により車両が停車中であると判定された場合、制限項目判別部15により判別された直接制限項目を他の操作項目と識別可能な態様で表示させる。例えば、直接制限項目の枠の形状や背景色などを変えて識別可能に表示させる。あるいは、直接制限項目の名称として表示される文字列のフォントサイズ、フォント種別(ゴシック体/明朝体など)、フォントデザイン(太字/斜体など)、フォント色などを変えて識別可能に表示させてもよい。別の例として、直接制限項目に対して所定のアイコンを付加して表示させるようにしてもよい。
【0031】
図3は、車両の停車中に表示制御部13により表示部30に表示される操作メニューの一例を示す図である。図3(a)は第1階層の操作メニュー211の表示例を示し、図3(b)は第3階層の操作メニュー234の表示例を示す。
【0032】
図3(a)に示す例では、表示制御部13は、第1階層の操作メニュー211において、制限項目判別部15により判別された直接制限項目111,112(図2のように、表示中の操作メニュー211に含まれる各操作項目111〜116の中で制限項目フラグが“1”に設定されているもの)を、他の操作項目113〜116とは異なる態様で表示させている。
【0033】
このように表示することで、ユーザは車両の停車中において、走行を開始すると操作ができなくなる操作項目111,112をあらかじめ把握することができる。これにより、ユーザは、停車中で操作が可能な状態であっても操作項目111,112は操作せず、他の操作項目113〜116の何れかを操作しようという意識を働かせることができる。例えば、操作メニュー211が目的地設定メニューで、住所検索、施設名検索、施設ジャンル検索、電話番号検索、履歴検索、登録地検索などの複数の操作項目111〜116が含まれている場合で、住所検索および施設名検索の操作項目111,112が直接制限項目であったとする。この場合、ユーザは、住所検索または施設名検索をすると走行中に操作できなくなることが事前に分かるので、その他の検索方法で目的地を設定しようという意識を働かせることができる。
【0034】
また、図3(b)に示す例では、表示制御部13は、第3階層の操作メニュー234において、制限項目判別部15により判別された直接制限項目131〜136(図2のように、表示中の操作メニュー234に含まれる各操作項目の中で制限項目フラグが“1”に設定されているもの)を、他の操作項目とは異なる態様で表示させている。この例では、操作メニュー234に含まれる全ての操作項目131〜13nが直接制限項目なので、全てが直接制限項目用の態様で表示されている。
【0035】
このように表示することで、ユーザが車両の停車中に操作メニュー211,224を順に操作して第3階層の操作メニュー234を表示させると、その操作メニュー234は走行中に全く操作ができなくなることをあらかじめ把握することができる。これにより、ユーザは、直接制限項目111,112ではなく走行中でも操作が可能な操作項目114であっても、これを操作するのは止めて、トップメニュー211に戻って別の操作項目113,115,116の何れかを操作しようという意識を働かせることができる。
【0036】
図4は、上記のように構成した第1の実施形態による操作メニュー表示制御装置10の動作例を示すフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートは、第1階層の操作メニュー211を表示させるための操作を操作受付部11が受け付けたときに開始する。
【0037】
第1階層の操作メニュー211を表示させるための操作を操作受付部11が受け付けると、遷移実行部12は、階層メニュー記憶部16に記憶されている第1階層の操作メニュー211の情報に基づいて、第1階層の操作メニュー211に遷移させる処理を行う(ステップS1)。
【0038】
次に、制限項目判別部15は、階層メニュー記憶部16に記憶されている第1階層の操作メニュー211の情報(特に、制限項目フラグ)に基づいて、当該操作メニュー211に含まれる複数の操作項目111〜116の中から直接制限項目111,112を判別する(ステップS2)。
【0039】
続いて、停車判定部14は、車両が停車中か否かを判定する(ステップS3)。ここで、車両が停車中であると判定された場合、表示制御部13は、制限項目判別部15により判別された直接制限項目111,112を他の操作項目113〜116と識別可能な態様にして、第1階層の操作メニュー211を表示部30に表示させる(ステップS4)。
【0040】
一方、車両が走行中であると判定された場合、表示制御部13は、制限項目判別部15により判別された直接制限項目111,112をグレーアウトさせて操作できない態様にして、第1階層の操作メニュー211を表示部30に表示させる(ステップS5)。
【0041】
ステップS4またはステップS5の何れかで表示制御部13が第1階層の操作メニュー211を表示させた後、操作受付部11は、当該操作メニュー211内に含まれる操作項目111〜116の何れかの操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS6)。何れかの操作を受け付けた場合、処理はステップS1に戻る。ステップS1において、遷移実行部12は、操作された操作項目に従って操作メニューを遷移させる処理を行う。
【0042】
ステップS6において、操作項目111〜116の何れかの操作を受け付けていない場合、操作受付部11は、操作メニューの操作を終了するための操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS7)。終了操作を操作受付部11が受け付けていない場合、処理はステップS6に戻る。一方、終了操作を操作受付部11が受け付けた場合、図4に示すフローチャートの処理は終了する。
【0043】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、現在指定中の階層の操作メニューに含まれる複数の操作項目の中から、当該操作メニューにおいて車両の走行中には操作制限がかけられることになる直接制限項目を判別し、車両の停車中は、当該判別した直接制限項目を他の操作項目と識別可能な態様で表示させるようにしている。
【0044】
このように構成した第1の実施形態によれば、表示中の操作メニューに含まれる複数の操作項目が、車両の走行中に操作制限がかけられることになる直接制限項目と、操作制限がかけられない他の操作項目とを識別可能に表示されることとなる。これにより、表示中の操作メニューに含まれる複数の操作項目のうち、車両の走行中に操作制限がかけられることになる操作項目をユーザにあらかじめ把握させることができる。その結果、ユーザは、車両が停車中で操作可能な状態であっても、制限項目を操作しないようにすることができるので、走行中に画面遷移の途中で実際に操作できなくなってしまうことを回避することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図5は、第2の実施形態による操作メニュー表示制御装置10’を適用した車載機の構成例を示す図である。なお、この図5において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。また、図6は、第2の実施形態による操作メニューの表示例を示す図である。
【0046】
図5に示すように、第2の実施形態による操作メニュー表示制御装置10’は、図1に示した表示制御部13および制限項目判別部15に代えて、表示制御部13’および制限項目判別部15’を備えている。
【0047】
制限項目判別部15’は、ある階層の操作メニューが指定されているとき、第1の実施形態で説明した直接制限項目に加え、間接制限項目を判別する。間接制限項目とは、指定中の階層からツリー構造に沿って辿った下位層において操作制限がかけられることになる操作項目をいう。具体的には、指定中の階層の操作メニュー内に含まれている操作項目で、車両の走行中に操作制限がかけられない操作項目(直接制限項目ではない操作項目)のうち、当該操作項目を操作してツリー構造を辿って遷移した場合の下位層の操作メニュー内に制限項目が含まれる操作項目をいう。
【0048】
ここで、直接制限項目と間接制限項目とを詳しく説明する。図9(a)の例でいうと、操作項目111,112が直接制限項目、操作項目113〜115が間接制限項目である。すなわち、図2の例で、第1階層の操作メニュー211が指定されて表示されているとき、当該第1階層の操作メニュー211自体に関する情報において、制限項目フラグが“1”に設定されている操作項目111,112が直接制限項目に該当する。
【0049】
一方、例えば第1階層の操作メニュー211に含まれる操作項目114に関しては、当該第1階層の操作メニュー211に関する情報では制限項目フラグが“1”に設定されていない。しかし、当該操作項目114を操作した場合にツリー構造に沿って遷移される第3階層の操作メニュー234に関する情報においては、制限項目フラグが“1”に設定された操作項目が含まれている。このような場合に、操作項目114が間接制限項目に該当する。この場合、遷移の途中にある第2階層の操作メニュー224に含まれる操作項目124も間接制限項目に該当する。
【0050】
なお、ここでは第1階層の操作項目114も第2階層の操作項目124も、走行中に操作制限を受けることになる第3階層の操作メニュー234に至る経路上にある操作項目であるから間接制限項目に該当するとしたが、これに限定されない。例えば、全ての操作項目131〜13nに対して操作制限がかけられる第3階層の操作メニュー234に遷移させる操作項目124のみを間接制限項目に該当するものとしてもよい。
【0051】
すなわち、操作項目114の操作によって遷移する第2階層の操作メニュー224において、操作項目124を操作すれば第3階層の操作メニュー234を全く操作できなくなる。これに対し、他の操作項目121〜123の何れかを操作すれば、ツリー構造を辿って最下層の操作メニューまで辿っていける経路が含まれていたとする。このような場合には、この第2階層の操作メニュー224に遷移させる操作項目114は、間接制限項目に該当しないものとしてもよい。
【0052】
表示制御部13’は、操作メニューに含まれる操作項目で、現時点で操作制限がかけられていない操作項目のうち、制限項目判別部15’により判別された直接制限項目および間接制限項目を、他の操作項目と識別可能な態様で表示させる。現時点で操作制限がかけられていない操作項目とは、例えば第1階層の操作メニュー211の場合、車両の停車中であれば全ての操作項目111〜116がこれに該当する(図9(a)参照)。
【0053】
この場合、表示制御部13’は、図6(a)に示すように、現時点で操作制限がかけられていない操作項目111〜116のうち、制限項目判別部15’により判別された直接制限項目111,112および間接制限項目113〜115を、他の操作項目116と識別可能な態様で表示させる。
【0054】
また、車両が走行中の場合は、グレイアウトして表示された直接制限項目11,112を除く他の操作項目113〜116が、現時点で操作制限がかけられていない操作項目に該当する(図9(b)参照)。この場合、表示制御部13’は、図6(b)に示すように、現時点で操作制限がかけられていない操作項目113〜116のうち、制限項目判別部15’により判別された間接制限項目113〜115を、他の操作項目116と識別可能な態様で表示させる。
【0055】
図7は、上記のように構成した第2の実施形態による操作メニュー表示制御装置10’の動作例を示すフローチャートである。なお、図7に示すフローチャートは、第1階層の操作メニュー211を表示させるための操作を操作受付部11が受け付けたときに開始する。
【0056】
第1階層の操作メニュー211を表示させるための操作を操作受付部11が受け付けると、遷移実行部12は、階層メニュー記憶部16に記憶されている第1階層の操作メニュー211の情報に基づいて、第1階層の操作メニュー211に遷移させる処理を行う(ステップS11)。
【0057】
次に、制限項目判別部15’は、階層メニュー記憶部16に記憶されている第1階層の操作メニュー211の情報(特に、制限項目フラグ)に基づいて、当該操作メニュー211に含まれる複数の操作項目111〜116の中から直接制限項目111,112を判別する(ステップS12)。
【0058】
また、制限項目判別部15’は、階層メニュー記憶部16に記憶されている全階層の操作メニューの情報(特に、制限項目フラグ)に基づいて、第1階層の操作メニュー211に含まれる複数の操作項目111〜116の中から間接制限項目113〜115を判別する(ステップS13)。
【0059】
続いて、停車判定部14は、車両が停車中か否かを判定する(ステップS14)。ここで、車両が停車中であると判定された場合、表示制御部13’は、制限項目判別部15’により判別された直接制限項目111,112および間接制限項目113〜115を他の操作項目116と識別可能な態様にして、第1階層の操作メニュー211を表示部30に表示させる(ステップS15)。
【0060】
一方、車両が走行中であると判定された場合、表示制御部13’は、制限項目判別部15’により判別された直接制限項目111,112をグレーアウトさせて操作できない態様にするとともに、制限項目判別部15’により判別された間接制限項目113〜115を他の操作項目116と識別可能な態様にして、第1階層の操作メニュー211を表示部30に表示させる(ステップS16)。
【0061】
ステップS15またはステップS16の何れかで表示制御部13’が第1階層の操作メニュー211を表示させた後、操作受付部11は、当該操作メニュー211内に含まれる操作項目111〜116の何れかの操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS17)。何れかの操作を受け付けた場合、処理はステップS11に戻る。ステップS11において、遷移実行部12は、操作された操作項目に従って操作メニューを遷移させる処理を行う。
【0062】
ステップS17において、操作項目111〜116の何れかの操作を受け付けていない場合、操作受付部11は、操作メニューの操作を終了するための操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS18)。終了操作を操作受付部11が受け付けていない場合、処理はステップS17に戻る。一方、終了操作を操作受付部11が受け付けた場合、図7に示すフローチャートの処理は終了する。
【0063】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態では、現在指定中の階層の操作メニューに含まれる複数の操作項目の中から、直接制限項目に加えて間接制限項目を判別し、現時点で操作制限がかけられていない操作項目のうち、判別された直接制限項目および間接制限項目を他の操作項目と識別可能な態様で表示させるようにしている。
【0064】
上述した第1の実施形態では、間接制限項目114については、ユーザが車両の停車中に第1階層の操作メニュー211と第2の階層の操作メニュー224を順に操作して第3階層の操作メニュー234を表示させなければ、その操作メニュー234が走行中に操作できなくなることを確認することができなかった。これに対して、第2の実施形態によれば、実際の操作項目を操作して第3階層の操作メニュー234まで辿らなくても、第1階層の操作メニュー211を見るだけで、操作項目114を操作すると下位層において車両の走行中に操作制限がかけられることになるということをあらかじめ把握することができる。これにより、第1の実施形態に比べてユーザの利便性がさらに向上する。
【0065】
また、表示制御部13’は、図8に示すように、車両の停車中に表示させる操作メニュー211において、直接制限項目111,112と間接制限項目113〜115とを互いに識別可能な態様で表示させるようにしてもよい。このようにすれば、現在指定中の階層の操作メニューを見るだけで、その階層において直接的に制限がかけられる操作項目なのか、指定中の階層よりも下位層において間接的に制限がかけられる操作項目なのかを一目瞭然とすることができる。
【0066】
なお、上記第1および第2の実施形態では、車両の走行中に操作ができないように操作項目に操作制限をかける機能を有する情報処理装置の例として車載機を挙げたが、これに限定されない。例えば、車両内に持ち込んで使用可能なスマートフォンやポータブルナビゲーション装置などに、上記第1の実施形態または第2の実施形態に係る操作メニュー表示制御装置10,10’を適用することも可能である。
【0067】
また、上記第1および第2の実施形態では、車両の走行中に操作制限がかけられた操作項目をグレイアウトして表示する例について説明したが、これに限定されない。例えば、車両の走行中に操作制限がかけられた操作項目を非表示とするようにしてもよい。
【0068】
また、上記第2の実施形態において、直接制限項目と間接制限項目とを互いに識別可能な態様で表示させるところまで言及したが、さらに、現在指定中の操作メニュー内に複数の間接制限項目が含まれる場合に、間接制限項目どうしを互いに識別可能な態様で表示させるようにしてもよい。例えば、現在指定中の階層から何階層下の操作メニュー内で操作制限を受けることになるかに応じて、間接制限項目の表示態様を変えるようにしてもよい。
【0069】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
10,10’ 操作メニュー表示制御装置
11 操作受付部
12 遷移実行部
13,13’ 表示制御部
14 停車判定部
15,15’ 制限項目判別部
16 階層メニュー記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9