特許第6282566号(P6282566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282566
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/22 20060101AFI20180208BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20180208BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20180208BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B65H5/22 B
   G03G21/00 384
   G03G15/20
   G03G15/00 455
【請求項の数】7
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-197185(P2014-197185)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-69098(P2016-69098A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 博
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−239490(JP,A)
【文献】 特開平02−123065(JP,A)
【文献】 特開2012−208511(JP,A)
【文献】 特開2003−248346(JP,A)
【文献】 特開平05−107969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/20
G03G 15/36
G03G 21/00−21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
G03G 13/20
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12−29/24
B65H 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成をおこなう画像形成部と、
前記画像形成部で形成された画像を媒体に転写する転写部と、
前記転写部の媒体搬送方向における下流側に配置され、媒体に転写された画像を定着する定着部と
前記転写部と前記定着部の間に配置された第1の吸引部と、
前記第1の吸引部と前記定着部の間に配置された第2の吸引部と、
前記第1の吸引部での吸引及び前記第2の吸引部での吸引を制御する制御部と、
搬送される媒体の種類を検出する第1の検出部と、
前記転写部と前記定着部の間に配置され、搬送された媒体のたるみを検出する第2の検出部と、
搬送される媒体を検出する第3の検出部とを有し、
前記制御部は、
媒体が薄紙であるときに、前記第2の検出部でたるみが検出された場合の前記第1の吸引部及び前記第2の吸引部の吸引力が、媒体が厚紙であるときに、前記第2の検出部でたるみが検出された場合の前記第1の吸引部及び前記第2の吸引部の吸引力よりも小さくなるよう制御し、
前記第3の検出部の検出結果に基づいて、前記第1の吸引部と前記第2の吸引部の吸引の切り替えを制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写部と前記定着部との間に配置され、前記第1の吸引部と前記第2の吸引部とが備えられたガイド部と、
前記ガイド部にたいして移動可能に設けられたシャッタとを有し、
前記制御部は、
前記ガイド部にたいする前記シャッタの位置を変更することで、前記第1の吸引部と前記第2の吸引部の吸引の切り替えを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の吸引部と前記第2の吸引部は、
前記転写部によって画像が転写される前記媒体の面の反対面側から、前記媒体を吸引する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第3の検出部がたるみを検出する前の前記第1の吸引部及び前記第2の吸引部の吸引力は、
前記第3の検出部がたるみを検出した後の前記第1の吸引部及び前記第2の吸引部の吸引力よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第3の検出部の検出結果に基づいて、前記定着部の搬送速度を切替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
上記定着部により第1の面に画像が定着された後の媒体を、再度上記転写部に供給して第2の面に画像を転写させる媒体処理手段をさらに備え、
前記定着部は、前記第2の面に画像が転写された媒体に前第2の面の画像を定着させ、
前記制御部は、前記定着部が、前記媒体に第1の面の画像を定着させるときと、前記媒体に第2の面の画像を定着させるときで、前記第1の吸引部と前記第2の吸引部の制御内容を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の吸引部と前記第2の吸引部は、前記媒体の幅方向で、前記媒体を吸引する領域が異なっていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、例えば、電子写真式の画像形成装置(例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等)に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、像担持体としての感光体を帯電した後、露光装置により像を露光し画像信号に応じた光書き込みを行い、感光体上に静電潜像を形成する。そして、従来の画像形成装置では、この静電潜像を現像装置のトナー付着によりトナー像とし、このトナー像を、転写紙やフィルム等の記録媒体に転写する。そして、従来の画像形成装置では、転写後の転写材を定着装置に搬送し、定着装置でトナー像を転写材に定着して画像を得る。
【0003】
このような、従来の画像形成装置では、ローラやベルト等で構成される搬送路上で、安定的に媒体を搬送することを目的として、搬送路上で媒体を吸着しながら搬送するファンが備えられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2012−135717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の、搬送する画像形成装置では、定着装置と転写部との搬送路内で発生する媒体(転写材)の突っ張りやたるみを定着装置の速度変化により緩和するために行われる制御の補助的な役割を果たしている。しかしながら、従来の画像形成装置では、近年多様化する様々な種類の媒体(転写材)に対応ができない。例えば、従来の画像形成装置では、媒体(転写材)の突っ張りやたるみが起因して発生する厚紙のショックラインや薄紙の張り付き、転写材の印字面のこすれなどが生じるという問題がある。
【0006】
上述のような問題に鑑みて、搬送する媒体の種類や状態が変更されても、安定的に媒体を搬送することができる画像形成装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、(1)画像形成をおこなう画像形成部と、(2)前記画像形成部で形成された画像を媒体に転写する転写部と、(3)前記転写部の媒体搬送方向における下流側に配置され、媒体に転写された画像を定着する定着部と、(4)前記転写部と前記定着部の間に配置された第1の吸引部と、(5)前記第1の吸引部と前記定着部の間に配置された第2の吸引部と、(6)前記第1の吸引部での吸引及び前記第2の吸引部での吸引を制御する制御部と、(7)搬送される媒体の種類を検出する第1の検出部と、(8)前記転写部と前記定着部の間に配置され、搬送された媒体のたるみを検出する第2の検出部と、(9)搬送される媒体を検出する第3の検出部とを有し、(10)前記制御部は、(10−1)媒体が薄紙であるときに、前記第2の検出部でたるみが検出された場合の前記第1の吸引部及び前記第2の吸引部の吸引力が、媒体が厚紙であるときに、前記第2の検出部でたるみが検出された場合の前記第1の吸引部及び前記第2の吸引部の吸引力よりも小さくなるよう制御し、(10−2)前記第3の検出部の検出結果に基づいて、前記第1の吸引部と前記第2の吸引部の吸引の切り替えを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に寄れば、搬送する媒体の種類や状態が変更されても、安定的に媒体を搬送することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置においてニップ部より下流側で印刷用紙を搬送する際の印刷用紙の挙動について示した説明図(その1)である。
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。
図3】第1の実施形態に係る画像形成装置においてニップ部より下流側で印刷用紙を搬送する際の印刷用紙の挙動について示した説明図(その2)である。
図4】第1の実施形態に係る画像形成装置においてニップ部より下流側で印刷用紙を搬送する際の印刷用紙の挙動について示した説明図(その3)である。
図5】第1の実施形態に係る画像形成装置においてニップ部より下流側で印刷用紙を搬送する際の印刷用紙の挙動について示した説明図(その4)である。
図6】第1の実施形態に係る画像形成装置においてニップ部より下流側で印刷用紙を搬送する際のシャッター板の挙動について示した説明図(その1)である。
図7】第1の実施形態に係る画像形成装置においてニップ部より下流側で印刷用紙を搬送する際のシャッター板の挙動について示した説明図(その2)である。
図8】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成(機能的構成)について示したブロック図である。
図9】第1の実施形態に係る転写ガイド部、シャッター板、およびその稼動部を取り外した状態で示す概略斜視図である。
図10】第1の実施形態に係るシャッター板の動作状態について示した説明図(その1)である。
図11】第1の実施形態に係るシャッター板の動作状態について示した説明図(その2)である。
図12】第1の実施形態に係るシャッター板の動作状態について示した説明図(その3)である。
図13】第1の実施形態に係る画像形成装置で用いられる各パラメータについて示した説明図である。
図14】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作について示したフローチャート(その1)である。
図15】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作について示したフローチャート(その2)である。
図16】第2の実施形態に係る画像形成装置の動作について示したフローチャートである。
図17】第3の実施形態に係る画像形成装置に係るシャッター板の動作状態について示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0011】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態のプリンタの概略側面図である。
【0012】
画像形成装置1には、内部に印刷用紙Pを積層する用紙トレイ100、用紙積載板102、リフトアップレバー103、モータ104、用紙繰り出し部200、上昇検知部201、ピックアップローラ202、フィードローラ203、リタードローラ204、第1の検出部としての紙厚センサ320、画像形成部400、定着部500、及びマルチパーパストレイ(MPT)600、中間転写ベルトユニット700、媒体処理手段としての両面搬送部900、及びたるみ検知部1300を有している。
【0013】
用紙トレイ100は、内部に印刷用紙Pが積層され、画像形成装置1に着脱自在に装着される。用紙トレイ100の内部には図示しない支持軸によって回動可能に支持された用紙戴置板102が設けられ、印刷用紙Pはこの用紙戴置板102上に積載される。用紙トレイ100の繰り出し側には、図示されない支持軸に回転可能にリフトアップレバー103が配設され、前記支持軸はモータ104と接離可能に係合される。
【0014】
用紙トレイ100が画像形成装置1に挿入されると、リフトアップレバー103とモータ104とが係合し、図示されない制御部がモータ104を駆動する。リフトアップレバー103が回転することによって、リフトアップレバー103の先端部が用紙積載板102の底部を持ち上げ、用紙積載板102に積載された印刷用紙Pが上昇する。
【0015】
そして、印刷用紙Pがある高さまで上昇するとピックアップローラ202に当接し、上昇検知部201が検知し、前記制御部は前記上昇検知部201が検知した情報に基づいてモータ104を停止させる。このピックアップローラ202は、接触した状態で対に配設されたフィードローラ203およびリタードローラ204と共に用紙繰り出し部200を形成している。ピックアップローラ202およびフィードローラ203は、図示しないモータによって矢印方向に回転駆動され、かつ内部に図示せぬワンウェイクラッチ機構を内蔵しているため回転駆動が停止した場合でも矢印方向には空転可能となっている。また、リタードローラ204は、図示しないトルク発生手段によって、矢印方向のトルクを発生している。ピックアップローラ202およびフィードローラ203は、内部に図示せぬワンウェイクラッチ機構を内蔵しているため回転駆動が停止した場合でも矢印方向には空転可能となっている。
【0016】
従って、ピックアップローラ202は、用紙トレイ100内から当接した印刷用紙Pを引き出し、フィードローラ203およびリタードローラ204は、たとえば、印刷用紙Pが複数同時に引き出されたような場合にも、一枚ずつこの印刷用紙Pを順次搬送経路に繰り出す。
【0017】
印刷用紙Pの搬送方向における、用紙繰り出し部200の下流側には、順に用紙センサ301、印刷用紙Pの斜行を規制する搬送ローラ対302、次の搬送ローラ対304の駆動タイミングを検出する用紙センサ303、画像形成部400に印刷用紙Pを送り込む搬送ローラ対304、305、及び画像形成部400での書き込みタイミングを取るための書き込みセンサ306が配設されている。これらの搬送ローラ対302、304、305は、図示されない搬送駆動モータから図示されない駆動伝達手段を経由して動力が伝達される。
【0018】
画像形成装置1を図2の方向から見た場合の右側面には、用紙積載板604に積載された印刷用紙Pを給紙するマルチパーパストレイ600が配置されている。マルチパーパストレイ600は、印刷用紙Pを積載する用紙積載板604、印刷用紙Pに接触して繰り出すピックローラ602、繰り出された用紙を装置本体に送り出す給紙ローラ601、繰り出された用紙を1枚に分離するために給紙ローラ601に付勢され当接するリタードローラ603等を有している。
【0019】
画像形成部400は、イエロー、マゼン夕、シアンおよびブラックの各色の画像を各々に形成する4つの画像形成ユニット406K、406Y、406M、406Cを有し、これらが中間転写ベルトユニット700の上部に装着されている。これら画像形成ユニットの内部構成は共通しているため、たとえばブラックの画像形成ユニット406Kを例にとり、これらの内部構成を説明する。
【0020】
画像形成ユニット406Kには、像担持体としての感光体ドラム401が回転可能に配置されている。この感光体ドラム401の周囲には、その回転方向上流側から順に、感光体ドラム401の表面に電化を供給して帯電させる帯電ローラ402、帯電された感光体ドラム401の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置850が配設される。さらに、静電潜像が形成された感光体ドラム401の表面に、ブラックの現像剤としてのトナーを付着させて現像剤像を発生させる現像ローラ404、感光体ドラム401上のトナーの現像を転写した際に残留した転写残トナーを除去するドラムクリーニング部405が配設される。トナー収納部406Kは、図示しない供給手段によりトナーを収納して現像ローラにこのトナーを供給する。なお、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動減からギアなどを経由して動力が伝達され回転する。
【0021】
中間転写ベルトユニット700は、上述画像形成部400により形成されたトナー像を中間転写ベルト701に転写し、さらに用紙トレイ100もしくはマルチパーパストレイ600から供給された印刷用紙Pに前記トナー像を転写する。また、中間転写ベルトユニット700は図示せぬ駆動部より駆動されるドライブローラ702、コイルスプリング等の付勢手段により中間転写ベルト701に張力を付与するテンションローラ703、2次転写ローラ707と対向して印刷用紙Pにトナー像を転写する2次転写バックアップローラ704、及びそれらローラに張架された中間転写ベルト701を有している。さらに、中間転写ベルトユニット700は、中間転写ベルト701上に残ったトナーを除去するベルトクリーニング部706、上述の感光ドラム401に対向して感光ドラム401上に形成されたトナー像を中間転写ベルト701上に転写するために所定の電圧を付加する1次転写ローラ705等を有している。
【0022】
定着部500は、内部に熱源となるハロゲンランプ503aを備え表面を弾性体で形成されたアッパローラ501と、同じく熱源となるハロゲンランプ503bを備え表面を弾性体で形成されたロワローラ502のローラ対とを有している。定着部500は、画像形成部400より送り出された印刷用紙P上のトナー像に熱と圧力を印加してトナー像を融解し、この像を印刷用紙Pに定着させる。定着部500により定着処理された印刷用紙Pは、排出ローラ対504a、504b、504c、504dによって搬送され、やがてスタッカ部505へと排出される。これら排出ローラ対は、図示しない駆動源から図示しない駆動伝達手段を経由して動力が伝達される。定着部500の出力部に配設された排出センサ506は、排出ローラ対504a、504b、504c、504dの駆動タイミングを検出する。
【0023】
また、両面印刷を行う場合、定着部500の下流側に配設される排出セパレータ901により搬送路の切り替えが行われる。この場合、印刷用紙Pは、印刷用紙Pを下方へ案内するよう切り替えられた排出セパレータ901により、両面搬送部900へ案内される。両面搬送部900には、印刷用紙Pの搬送方向Bにおける、排出セパレータ901の下流側には、印刷用紙Pが両面搬送路916へ案内されるよう切り替える反転セパレータ903、印刷用紙Pを引き込んだ後駆動方向を逆転させ印刷用紙Pをスイッチバック搬送させる反転ローラ対902、引き込んだ、印刷用紙Pを退避させる退避部914が配設されている。なお、反転セパレータ903は、両面搬送部900の駆動の切り替えタイミングを取るための反転センサとしても使用される。更に、反転ローラ対902によって、スイッチバック搬送された印刷用紙Pが搬送される方向を搬送方向Cとすると、両面搬送部900には、反転ローラ対902より下流側に、順に、搬送ローラ対905、水平搬送ローラ対906、印刷用紙Pの再給紙タイミングを取る再給紙センサ915、搬送ローラ対305に再度印刷用紙Pを搬送し印刷を行うための再給紙ローラ対907が配設されている。反転ローラ対902、搬送ローラ対905、水平搬送ローラ対906、再給紙ローラ対907は、図示されない搬送駆動モータから図示されない駆動伝達手段を経由して動力が伝達される。排出セパレータ901は、図示されないソレノイドから稼動伝達手段を経由して動力が伝達される。
【0024】
図1は、画像形成装置1内において、2次転写バックアップローラ704、及び、2次転写ローラ707によって形成されるニップ部よりも下流側の定着部500、及び、両面搬送部900を示す断面図である。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置1内には、2次転写ローラ707より下流側に、印刷用紙Pを定着部500へ案内する転写ガイド部1302と、定着部500より下流側に、印刷用紙Pを排出ローラ対504a、もしくは反転ローラ対902の何れかへ搬送路の切り替えを行う排出セパレータ901とが配設されている。
【0026】
転写ガイド部1302内には、転写ガイド部1302に設けられた吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1302Rより空気を引き込み、転写ガイド部1302上を搬送される印刷用紙Pを転写ガイド部1302へ引き付け、印刷用紙Pの浮き上がりを防止するための吸引ファン910が配設される。なお、搬送ガイド部904は、吸引ファン910によって吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1302Rより引き込まれた空気を、装置外部へ吹き出し可能なようダクト部1307を形成している。また、転写ガイド部1302の搬送面反対側下部に、転写ガイド部1302に対して平行して稼動可能なようシャッター板1303が備えられている。シャッター板1303には、シャッター孔(前)1303F、およびシャッター孔(後)1303Rが備えられており、それぞれ吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1302Rと重なり合うような位置となっている。また、転写ガイド部1302は、搬送される印刷用紙Pの幅方向中央位置、搬送方向に対しては吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1302Rの中央位置に、第2の検出部としてのたるみセンサ1301を備えるたるみ検知部1300を有する。
【0027】
次に、第1の実施例の画像形成装置1に係る制御系の構成について図8を用いて説明する。
【0028】
画像形成装置1は、図8に示すような制御部1400によりその制御を行う。制御部1400は、制御中枢部となる主制御部1401を有している。主制御部1401は、例えば、制御部や演算部からなるCPU、プログラムメモリのRAMやROM、タイマーカウンタなどを用いて構成するようにしてもよい。そして、制御部1400は、用紙センサ301、用紙センサ303、書き込みセンサ306、排出センサ506、たるみセンサ1301、および、紙厚センサ320からの検出信号に基づいて各部各装置の起動や制御の切り替えを行うようになっている。また、主制御部1401には、給紙モータ制御部1403、電磁クラッチ制御部1404、ベルトモータ制御部1405、IDモータ制御部1406、定着モータ制御部1407、シャッターモータ制御部1408、および、吸引ファン制御部1410が接続されている。
【0029】
紙厚センサ306の具体的な構成については限定されないものであるが、例えば、機械的な構成(例えば、印刷用紙Pをセンサで挟み込んで厚さを計測する構成)や光学的な構成(例えば、印刷用紙Pに検査光を照射して光が透過する度合を測定する構成)等を適用するようにしてもよい。この実施形態の画像形成装置1では、走行する用紙の厚さを検知する紙厚センサ306を配設することによって行われるものとする。紙厚センサ306は、例えば、図示されない、用紙走行面に対して平行な面を持ち用紙走行面の下側に配設される固定されたステージ部と、ステージ部上側に、用紙走行面に対して平行な面を持ち、用紙走行面の上側に上下に移動可能なレバー部と、レバー部をステージ部平面に付勢するためのスプリングと、レバー部の上下へ動作する距離を検出する検出部とで構成するようにしてもよい。そして、紙厚センサ306では、走行する印刷用紙Pがレバー部によって付勢されているステージ部上面に進入すると、印刷用紙Pの厚みにより、レバー部が用紙の厚み分だけ上方向に移動される。上述の検出部は、移動されたレバー部の移動量を検出し、検出部は用紙の厚さとして、レバー部の移動量を主制御部1401へ送る。
【0030】
たるみセンサ1301の具体的な構成は限定されないものであるが、例えば、図示しない印刷用紙Pに接触し回動可能に配設されるレバー部と、回動されたレバー部の動作を検知するフォトカプラなどで構成される検知部と、を有する接触式のセンサを用いるようにしてもよい。この実施形態においては、用紙の厚さや位置、種類などに問わず安定したたるみ制御を行うためのものであり、透過式の用紙検知センサでは透明なフィルムなどの特殊な印刷用紙Pに対応可能とするためであるが、使用する印刷用紙Pにより、接触式、透過式などの検知手段の種類に限定されるものではない。
【0031】
給紙モータ制御部1403は、給紙モータ1420に作動信号を送って給紙モータ1420を制御する。これにより、電磁クラッチ制御部1404は、電磁クラッチ1421に作動信号を送って電磁クラッチ1421の動作を制御し、ベルトモータ制御部1405は、ベルトモータ1422に作動信号を送って動作を制御し、IDモータ制御部1406は、IDモータ1423に作動信号を送って動作を制御し、定着モータ制御部1407は、定着モータ1424に作動信号を送って動作を制御し、シャッターモータ制御部1408は、シャッターモータ1306に作動信号を送って動作を制御し、吸引ファン制御部1410は、吸引ファン910に作動信号を送って動作を制御するようになっている。これら各モータは、例えば、相励磁パルスモータ、DCモータなどを用いて構成するようにしても良い。この場合、上述の図示しない2相励磁パルスモータは、各モータに一定電流を流してクロック信号の立ち上がりで相電流方向を切り替えたり、クロック周波数を変化させることで、モータ回転の加速、減速を制御するようにしてもよい。このDCモータは、モータ端子に電圧を印加して回転速度が制御され、モータ端子の極性の接続方向によりモータの回転方向が制御される。
【0032】
電磁クラッチ1421としては、例えば、乾式単板電磁クラッチなどを用いるようにしてもよい。具体的には、電磁クラッチ1421は、例えば、ロータとコイルを内蔵したフィールドが玉軸受けで支持されて一体としたフィールド・ロータ組立とアーマチュア組立で構成するようにしてもよい。この場合(電磁クラッチ1421が上述の例のように構成される場合)、上述のフィールド・ロータ組立はシャフトなどの回転部材に取り付けられ、アーマチュア組立は、ロータとわずかな間隙を取り、板ばねを介して取り付けボルトにより、プーリ、歯車等の部材に固定される。そして、この場合、電磁クラッチ1421内のコイルに流す電流により、フィールド・ロータ組立とアーマチュア組立の聞に発生させた磁束によって、アーマチュアがロータに吸引され電磁クラッチ1421が連結される。そして、この場合、電磁クラッチ1421に連結された外部機構に機械的運動を与える。そして、この場合、コイルへの通電を継続すれば、アーマチュアはロータに吸引された状態を保ち、電流を切断すれば磁束が消滅し、アーマチュアが板ばねによりロータから切り離され元の位置に引き戻される。この場合、これにより、電磁クラッチ1421に取り付けられた歯車に伝達された駆動源からの動力を駆動ローラへ伝達させる。
【0033】
画像形成装置1は、オペレーションパネル1401を備えている。オペレーションパネル1401は、例えば、図示しないスイッチにより構成された入力部、図示しないLED、LCD等によって構成された表示部とから構成される。そして、オペレーションパネル1401では、図示しない入力部を操作することによって、フォントの選択、用紙の選択等の画像形成装置1における各種の条件を設定することができるものとする。また、オペレーションパネル1401では、図示しない表示部には、図示しない入力部によって設定された条件が表示されるものとする。
【0034】
また、画像形成装置1は、インターフェース部1402を備える。インターフェース部1402は、図示しないインターフェースコネクタ、インターフェース用IC等から構成され、図示しないホストコンピュータから送られた印刷データを、主制御部1401へ転送する処理等を行う。
【0035】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の画像形成装置1の動作を説明する。
【0036】
なお、以下では、用紙トレイ100に積載された印刷用紙Pに印刷する過程を説明する。そして、以下では、マルチパーパストレイ600に積載された印刷用紙Pの印刷の様子の説明は、用紙の繰り出し以降の動作、制御に関して、搬送ローラ対305より下流以降の動作が同一となるため詳しい説明を省略する。
【0037】
以下、図1図3図7を用いて、画像形成装置1で印刷用紙Pを搬送する際の制御処理について説明する。図1図3図7では、吸引ファン910によって発生する空気の流れも図示されている。
【0038】
図1図3図4図5は、それぞれ、印刷用紙Pが2次転写部750と定着部500によって扶持搬送されている印刷用紙Pと、吸引ファンによる風の流れを示している。
【0039】
図1の状態では、転写ガイド部909周辺の空気は、吸引ファン910の回転により、吸引孔(前)1302F、吸引孔(後)1302R、シャッター孔(前)1302F、およびシャッター孔(後)1303Rを抜けてダクト部1307へ引き込まれる。また、図1の状態では、ダクト部1307へ引き込まれた空気は、装置外部へ送られる。さらに、図1の状態では、転写ガイド部1302上を印刷用紙Pが通過する際、この吸引ファン910による空気の吸引により印刷用紙Pは転写ガイド部1302上へ吸い付けられながら搬送される。
【0040】
図1では、吸引ファン910による吸引が行われ、印刷用紙Pが弛んでいる状態を示している。また、図3では、吸引ファン910による吸引が行われ、印刷用紙Pが突っ張っている状態を示している。さらに、図4では、吸引ファン910による吸引がなく、印刷用紙Pが弛んでいる状態を示している。さらにまた、図5では、吸引ファイン910による吸引がなく、印刷用紙Pが突っ張っている状態を示している。
【0041】
図1に示されるよう、吸引ファン910により吸引された印刷用紙Pは、転写ガイド部1302上へ吸引される。その後、印刷用紙Pが弛んだ状態になると、たるみセンサ1301がONする。この時、印刷用紙Pが弛み過ぎないよう、アッパローラ501、およびロアローラ502は、あらかじめ決められた所定量だけ回転速度を速め、印刷用紙Pが突っ張るよう駆動される。また、図3に示されるように、印刷用紙Pはたるみセンサ1301をOFFする位置まで定着部500により、弛みを取るように搬送される。さらに、たるみセンサ1301がOFFすると、印刷用紙Pが突っ張り過ぎないように、アッパローラ501、およびロアローラ502は、あらかじめ決められた所定量だけ回転速を緩め、印刷用紙Pが弛むよう駆動される。この一連の駆動切り換え動作は、印刷用紙Pが定着部500からその下流へ印刷用紙Pが搬送されきるまで行われる。
【0042】
なお、吸引ファン910は、転写ガイド部1302と一定の間隙を保って配設されている。そして、印刷用紙Pの用紙搬送方向向かつて幅の方向よりも外側まで設けられた吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1302Rにより空気を取り込む。これにより、印刷用紙Pが転写ガイド部1302上を通過し吸引されている間も、空気がダクト部1307内に取り込まれない状態とはならない。これは、シャッター孔(前)1303F、およびシャッター孔(後)1303Rも同様である。
【0043】
図6、および図7は、シャッター板1303の動作を示した図である。
【0044】
図6に示すとおり、シャッター板1303は、転写ガイド部1303に沿い、搬送方向上流側へ平行に稼動されている。図6の状態においては、吸引孔(前)1302Fとシャッター孔(前)1303Fのみが重なり合うよう閉口されており、吸引孔(後)1302Rはシャッター板1303により塞がれている。図6の状態においては、吸引のための開口を2次転写部750側のみに限定することにより、印刷用紙Pの吸引をこの範囲において強力にすることが可能となる。印刷用紙Pが搬送され、印刷用紙Pの後端部がある一定の範囲に搬送された場合に、特定の条件によりシャッター板1303を稼動し、2次転写部750から抜け出ようとする印刷用紙Pの後端部が中間転写ベルト701へ張り付かないよう強く吸引する。
【0045】
図7では、シャッター板1303が、転写ガイド部1303に沿い、搬送方向下流側へ平行に稼動されている状態を示している。図7の状態においては、吸引孔(後)1302Rとシャッター孔1303Rのみが重なり合うよう開口されており、吸引孔(前)1302Fはシャッター板1303により塞がれている。図7の状態においては、吸引のための開口を定着部500側のみに限定することにより、印刷用紙Pの吸引をこの範囲において強力にすることが可能となる。そして、印刷用紙Pが搬送され、印刷用紙Pの後端部がある一定の範囲に搬送された場合に、特定の条件によりシャッター板1303を稼動し、定着部500の入口に入ろうとする印刷用紙Pの後端部が定着部500の外装部へ向かつて跳ねないよう強く吸引する。
【0046】
次に、シャッター板1303の詳細構成について、図9図13を用いて説明する。
【0047】
図9は転写ガイド部1302、シャッター板1303、およびその稼動部を取り外した状態で示す概略斜視図である。図9(a)は、転写ガイド部1302、及びシャッター板1303を上面(画像形成装置1本体に取り付けた状態の上面)の方向から見た場合の斜視図である。また、図9(b)は、転写ガイド部1302、及びシャッター板1303を下面(図9(a)の反対の面)の方向から見た場合の斜視図である。図9に示すように、シャッター板1303にはラック1305が形成され、ギア1304を介しシャッターモータ1306と駆動伝達可能なよう配設されている。シャッターモータ1306の駆動によりシャッター板1303は転写ガイド部1302に沿い、搬送方向に対して前後へ稼動できるようになっている。
【0048】
図10は、吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1303Rがそれぞれシャッター孔(前)1303F、およびシャッター孔(後)1303Rの開口部と重なり合い、どちら側の開口部からも吸引が行える状態を示した図である。図10(a)は、吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1303Rの平面図である。図10(b)は、図10(a)のA−A線断面図である。
【0049】
図11は、シャッター板1303が搬送方向上流側へ稼動され、吸引孔(前)1302F、およびシャッター孔(前)1303Fのみが重なり合っている状態を示した図である。図11(a)は、吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1303Rの平面図である。図10(b)は、図11(a)のB−B線断面図である。
【0050】
図12は、シャッター板1303が搬送方向下流側へ稼動され、吸引孔(後)1302R、および、シャッター孔(後)1303Rのみが重なり合っている状態を示した図である。図12(a)は、吸引孔(前)1302F、および吸引孔(後)1303Rの平面図である。図12(b)は、図12(a)のC−C線断面図である。
【0051】
図9図12に示すように、シャッター板1303を用紙搬送方向に移動(スライド)させることにより、転写ガイド部909における用紙搬送方向の前半部分の孔(吸引孔(前)1302F及びシャッター孔(前)1303Fにより構成される孔)と、用紙搬送方向の後半部分の孔(吸引孔(後)1302R及びシャッター孔(後)1303Rにより構成される孔)の一方又は両方を開口し、吸引ファン910により吸引させる制御を行うことが可能となっている。転写ガイド部909において、用紙搬送方向の前半部分と後半部分とで吸引する領域(吸引部)を分けて、吸引ファン910に吸引させる構成については、上述の構成に限定されず、種々の吸引機構を用いることができる。例えば、転写ガイド部909上で区切った領域(吸引部)ごとに異なる吸引ファンを設けるようにしてもよい。
【0052】
次に、この実施形態における画像形成装置1において、印刷用紙Pの連続印刷を行なった場合の動作について詳細に説明する。
【0053】
まず、以下の説明で用いる各パラメータ(図13で示された各パラメータを含む)について説明する。
【0054】
以下では、「P(n)」は、連続印刷におけるn枚目の印刷用紙Pを示すものとする。また、以下では、「P(n+1)」は、連続印刷におけるn+1枚目の印刷用紙Pを示すものとする。さらに、以下では、「L」は、印刷用紙P(n)の搬送方向長さを示すものとする。さらにまた、以下では、「M」は、書き込みセンサ306から転写ガイド部1302先端部までの距離を示すものとする。また、以下では、「N」は、書き込みセンサ306から転写ガイド部1302中央部までの距離を示すものとする。さらに、以下では、「x」は、印刷用紙P(n)の後端部からの搬送方向所定長さを示すものとする。さらにまた、以下では、所定量「R」は、以下の(1)式で求められるパラメータであるものとする。また、以下では、所定量「S」は、以下の(2)式で求められるパラメータであるものとする。なお、この実施形態の説明において、「n」は、「n=1、2、3、…n、…」で表される整数であるものとする。
R=N+L−x …(1)
S=M+L−x …(2)
【0055】
また、この実施形態において定義したパラメータを表すアルファベット、数値等の記号に付随して標記される括弧内の数値、及び記号は、例えば、パラメータP(n)を例にとると、(n)の部分を指し、連続印刷中何枚目に給紙搬送される用紙かを示している。
【0056】
この実施形態において、画像形成装置1は、2枚以上の印刷用紙Pに対して連続印刷を実行する場合、各々の印刷用紙Pに対して、各部位が上述した動作を行い、各印刷用紙Pに画像形成を行なう。このとき、画像形成装置1は、連続印刷が行われるn枚目の印刷用紙P(n)と、次頁のn+1枚目の印刷用紙P(n+1)は、所定の用紙間距離をあけて用紙繰り出し部200より繰り出される。
【0057】
次に、この実施形態において、画像形成装置1が、1枚の印刷用紙Pを搬送し画像形成を行う際の動作について詳細に説明する。
【0058】
まず、印刷用紙Pが、中間転写ベルトユニット700の上流側に配設される用紙繰り出し部200、搬送ローラ対302、搬送ローラ対304、および、搬送ローラ対305の搬送機構によって搬送されたものとする。
【0059】
次に、印刷用紙Pが中間転写ベルトユニット700へ向けて搬送されると、印刷用紙Pは、印刷用紙P前方が中間転写ベルト701、前記2次転写ローラ707によって形成されるNIP部等に扶持搬送され、印刷用紙P後方は搬送ローラ対305によって扶持搬送される。搬送ローラ対302、304、および、305は、それぞれ印刷用紙Pを搬送するに充分な搬送力を発生させるために、従動側のローラを駆動側のローラに均等に押し付けるよう、従動側のローラの回転軸両端に図示されないスプリングが設けられている。更に印刷用紙Pが搬送され続けると、定着部500の位置まで到達し、アッパローラ501、および、ロアローラ502によって形成されるNIP部による扶持搬送が行われる。
【0060】
次に、画像形成装置1が、複数枚の用紙を搬送し画像形成を行う際の動作、および、印刷用紙Pの挙動について詳細に説明する。
【0061】
このとき、画像形成装置1では1枚目の印刷用紙P(1)が搬送され、画像形成される。この過程において、まず、用紙繰り出し部200より繰り出し搬送された印刷用紙P(1)は、用紙センサ301により印刷用紙P(1)の先端を検出されると、その時点より所定量搬送され続け、搬送ローラ対302によって形成されるNIP部に突き当てられ、斜行が補正される。
【0062】
その後、所定量だけ突き当てられた印刷用紙P(1)が、搬送ローラ対302により搬送される。用紙繰り出し部200は、所定量だけ印刷用紙P(1)を搬送した後、図示しない駆動源により、その駆動を停止される。その後、印刷用紙P(1)は、紙厚センサ320に到達すると、紙厚センサ320により厚みが検知される。そして、印刷用紙P(1)は、そのまま用紙搬送方向に搬送されると、書き込みセンサ306位置に進入し、書き込みセンサ306の位置に到達して検出される状態(書き込みセンサ306が主制御部1401へセンサONの信号を送る状態)となる。その後、印刷用紙P(1)は、さらに搬送され続け、書き込みセンサ306位置から抜け、書き込みセンサ306が印刷用紙P(1)の後端が抜け出たことを検知する。すなわち、印刷用紙P(1)は、書き込みセンサ306位置に存在しない状態(書き込みセンサ306が主制御部1401へセンサOFFの信号を送る状態)となる。ここで、搬送ローラ対305は、図示しない駆動源により、その駆動を停止する。
【0063】
次に、用紙繰り出し部200により、決められた所定の距離だけ用紙間の間隔を空け、2枚目の印刷用紙P(2)が繰り出される。繰り出された印刷用紙P(2)は、印刷用紙P(1)と同様にして搬送される。その後、印刷用紙P(2)は搬送され続け、印刷用紙P(1)が、書き込みセンサ306をセンサOFFの状態にしてから、決められた所定の距離だけ用紙間の間隔を空け、搬送された後、搬送ローラ対305が図示しない駆動源により駆動を伝達され、2枚目の印刷用紙P(2)の搬送を開始する。この時、用紙が書き込みセンサ306をOFFしたタイミングから、あらかじめ設定された時間分経過すると、決められた所定量だけ搬送されたと判定し、その時間はタイマーカウンタ1425によりカウントされる。
【0064】
なお、上述した、あらかじめ設定される時間は、画像形成時の搬送速度、搬送される用紙サイズによってそれぞれ求められている時間に、搬送機構における用紙のすべり、図示しない機構部品の接続の遅れなどにより発生するずれ分を一定値として加味され、決定される。ここで、A4サイズの用紙を搬送する際の具体例を挙げる。この場合、前述した距離Lが210mm、Mが100mm、Nが140mm、xが30mmであるとき、上記(1)式を満たす距離Rは、R=140+210−30=320[mm]、上記(2)式を満たす距離Sは、S=100+210−30=280[mm]となる。また、ここでは、搬送ローラ対305の用紙搬送速度が200mm/sとなるよう回転駆動されるように設定されているとする。この場合、印刷用紙P(1)が距離R=320mm搬送される時間は、1.60sec、距離S=280mm搬送される時間は、1.40secとなる。この印刷用紙Pと搬送速度の設定において、搬送ローラ対305と用紙間でのすべり、書き込みセンサ306からのON信号が主制御部1401に送信されるまでの伝達時間等を考慮し、例えばこの遅れ時間があらかじめ0.05秒と設定する。実際に印刷用紙P(1)が搬送され、印刷用紙Pが、書き込みセンサ306をONの状態にしてからのタイミング1.60−0.05=1.55[sec]、1.40−0.05=1.35[sec]経過したことをタイマーカウンタ1425によりカウントされる。その後、印刷用紙P(2)も、印刷用紙P(1)と同様に搬送、画像処理され、画像形成が行われる。
【0065】
次に、画像形成装置1(主として主制御部1401)が行う制御処理について図14のフローチャートを用いて説明する。
【0066】
尚、この実施形態におけるステップS1から、ステップS45までの間における、排出センサ506の動作による制御については、用紙の搬送異常を検出するために用い、排出センサ506で用紙の先端または後端が検出されない場合、用紙搬送異常となる。そのため、ステップS1からステップS45までの間における排出センサ506の動作、及び、制御に関する記述は省略する。
【0067】
まず、主制御部1401は、オペレーションパネル1401での操作により設定された印刷用紙に関する厚さ等の設定条件を読込む(S1)。主制御部1401では、読込まれた用紙設定条件として、用紙搬送の速度、転写電圧の設定等が決定される。
【0068】
次に、主制御部1401は、各モータ制御部、即ち、給紙モータ制御部1403、電磁クラッチ制御部1404、ベルトモータ制御部1405、IDモータ制御部1406、定着モータ制御部1407、シャッターモータ制御部1408、および、吸引ファン制御部1410に指示を出す(S2)。
【0069】
そして、主制御部1401は、定着モータ1424を駆動して、定着部500内のアッパローラ501、および、ロアローラ502を回転させ(S3)、ベルトモータ1422を駆動して、ドライブローラ702を回転させ(S4)、IDモータ1423を駆動して、画像形成ユニット406K〜406Cの各感光体ドラム401を回転させ(S5)、給紙モータ1420を駆動させ(S6)、フィードローラ203に接続される電磁クラッチ1421をONすることにより、フィードローラ203を回転させて用紙トレイ100から印刷用紙Pを繰り出す(S7)。
【0070】
繰り出された印刷用紙P(1)は、用紙センサ301に搬送され、印刷用紙P(1)の先端が通過したことを用紙センサ301が検出する(S8)。
【0071】
用紙センサ301が、印刷用紙P(1)の通過を検知すると、フィードローラ203により印刷用紙P(1)は搬送ローラ対302のNIP部に向けてさらに所定量搬送される。これにより、印刷用紙P(1)の先端部は、NIP部に突き当てられてから予め設定されている所定の突き当て距離だけ搬送される(S9)。この突き当て動作により用紙に対してスキュー補正動作が行われる。
【0072】
主制御部1401は、電磁クラッチ制御部1404に指示を出し、搬送ローラ対302と接続されている電磁クラッチ1421をONすることにより、搬送ローラ対302は、給紙モータ1403の駆動により駆動を伝達され回転する(S10)。駆動を伝達された搬送ローラ対302は、印刷用紙P(1)を搬送ローラ対304、および、305、2次転写部750へと搬送する。
【0073】
搬送ローラ対304から繰り出された印刷用紙P(1)は、印刷用紙P(1)の先端が紙厚センサ320に搬送され、印刷用紙P(1)が通過すると、印刷用紙P(1)の紙厚を検知する(S11)。図14においては、説明を簡便化するために、厚紙と薄紙という2種類にのみ限定したが、これに限定されるものではなく、例えば10μmや50μmといった刻み毎に複数の場合に分けて分岐させる場合や、不定の間隔で紙の厚さの種類を複数の場合に分けて分岐させる場合などでも適用可能である。
【0074】
その後、厚紙、および、薄紙のどちらにおいても、搬送ローラ対304により印刷用紙P(1)が搬送され続け、搬送ローラ対305へ到達した後、さらに所定量搬送される(S12、S22)と、印刷用紙P(1)は、書き込みセンサ306に搬送され、印刷用紙P(1)の先端が通過したことを書き込みセンサ306が検出される(S13、S23)。その後、印刷用紙P(1)は、搬送ローラ対305により、2次転写部750内にある2次転写ローラ707と中間転写ベルト701とのNIP部に扶持され、所定量搬送され(S14、S24)、たるみセンサ1301の検知可能位置へ印刷用紙Pが搬送される。用紙センサ301、303、および、書き込みセンサ306は、用紙の搬送異常を検出するためのものでもあり、用紙センサ301、303、および、書き込みセンサ306で用紙の先端または後端が検出されない場合、用紙搬送異常となる。その後、2次転写部750より搬送され続けた印刷用紙P(1)は、定着部500内のアッパローラ501、および、ロアローラ502により扶持搬送される。ここで、2次転写部750、および、定着部500の間で張架された状態の印刷用紙P(1)のたるみ状態がたるみセンサ1301によって検知される(S15、S25)。
【0075】
この時、たるみセンサ1301がONした場合は、図4に示されるような、用紙の腹がたるんだ状態であり、たるみセンサ1301がOFFしている場合は、図5に示されるような、たるみセンサ1301の検知可能は範囲よりもガイド部1302から離れた距離を印刷用紙P(1)が通過している用紙が突っ張った状態である。上述のステップS11での紙厚検知が厚紙の場合においても、薄紙の場合においても、たるみセンサ1301がONを検知した場合は、印刷用紙P(1)が弛んでいる状態であり、用紙のたるみを解消するために、定着モータ1424の駆動速度を速めるよう、定着モータ制御部1407より指示する(S16、S26)。
【0076】
また、たるみセンサ1301がONを検知しない場合、印刷用紙P(1)が突っ張っている状態であり、用紙の突っ張りを解消するために、定着モータ1424の駆動速度を緩めるよう、定着モータ制御部1407より指示する(S20、S29)。更に、上述のステップS11での紙厚検知が厚紙の場合、搬送されている用紙が厚く、一般的に厚い用紙は用紙のコシが強いため、容易に撓ませることができない。扶持搬送している機構の速度制御のみで用紙のたるみや突っ張りを制御しようとした場合、搬送機構間での速度ぱらつきや用紙のすべりなどで、厚紙の場合、ガイド部へ印字面が擦れてしまったり、用紙後端が搬送機構より抜け出す際に、ショックラインが発生する可能性がある。定着モータ1424の速度制御のみで印刷用紙P(1)のたるみや突っ張りを解消させるのではなく、より効果的にたるみ制御の精度を向上させるために、吸引ファン910による用紙の吸引を行う。
【0077】
主制御部1401は、厚紙で用紙たるみを検知した場合、吸引ファン910の回転速度を半速駆動するよう吸引ファン制御部1410より指示する(S17)。主制御部1401は、用紙突っ張りを検知した場合、吸引ファン910の回転速度を全速駆動するよう吸引ファン制御部1410より指示する(S21)。
【0078】
そして、主制御部1401は、このまま、印刷用紙P(1)が所定量搬送されるまで、用紙のたるみがたるみセンサ1301がONとOFFを繰り返す一定のたるみ状態になるよう、定着モータ1424、および、吸引ファン910の駆動制御を繰り返す(S18)。
【0079】
また、上述のステップS11での紙厚検知が薄紙の場合、搬送されている用紙が薄く、一般的に薄い用紙は用紙のコシが弱く、容易に撓ませることができるが、外部からの力の影響を受けやすい。ただし、扶持搬送している機構の速度制御のみで用紙のたるみや突っ張りを制御しようとした場合、上方に弛んでしまったり、印字面が用紙搬送路に擦れてしまうといった可能性がある。この場合も、定着モータ1424の速度制御のみで印刷用紙P(1)のたるみや突っ張りを解消させるのではなく、より効果的にたるみ制御の精度を向上させるために、吸引ファン910による用紙の吸引を行う。
【0080】
薄紙で用紙たるみを検知した場合、主制御部1401は、ガイドに密着させすぎないよう、吸引ファン910による用紙の吸引を止めるために、吸引ファン910の駆動を停止するよう吸引ファン制御部1410より指示する(S27)。
【0081】
用紙突っ張りを検知した場合、主制御部1401は、印刷用紙P(1)が上方にたるまず、かつガイドに吸引しすぎないよう、吸引ファン910の回転速度を半速駆動するよう吸引ファン制御部1410より指示する(S30)。
【0082】
そして、主制御部1401は、このまま、印刷用紙P(1)が所定量搬送されるまで、用紙のたるみがたるみセンサ1301がONとOFFを繰り返す一定のたるみ状態になるよう、定着モータ1424、および、吸引ファン910の駆動制御を繰り返す(S28)。
【0083】
ここで、主制御部1401は、次に印刷する印刷命令がない場合(S19)電磁クラッチ制御部1404に指示を出し、電磁クラッチ制御部1404は、フィードローラ203と接合する電磁クラッチ1421の駆動を停止させる(S32)。
【0084】
その後、主制御部1401は、印刷用紙P(1)が搬送され続けると、排出センサ506が、印刷用紙P(1)の後端が排出センサ506の位置を通過したことを検知し、センサOFFの状態となる(S33)。
【0085】
そして、主制御部1401は、各モータ制御部、および、電磁クラッチ制御部に指示を出す。指示を受けた電磁クラッチ制御部1404は、搬送ローラ対302と接合される電磁クラッチ1421の駆動を停止させる(S34)。また、指示を受けた給紙モータ制御部1403は、給紙モータ1420を停止させる(S35)。さらに、指示を受けた吸引ファン制御部1410は、吸引ファン910を停止させる(S36)。さらにまた、指示を受けたIDモータ制御部1406は、IDモータ1423の駆動を停止させる(S37)。また、指示を受けたベルトモータ制御部1405は、ベルトモータ1422の駆動を停止させる(S38)。さらに、指示を受けた定着モータ制御部1407が、定着モータ1424の駆動を停止させ(S39)、動作終了となる。
【0086】
上述のステップS19において、次に印刷する印刷命令(印刷処理をしていないページの画像データ)が存在した場合、主制御部1401は、書き込みセンサ306がOFFの状態に戻った後、次の印刷用紙P(2)の給紙を開始する(S31)。そして、主制御部1401は、上述のステップS7に戻って、次の印刷用紙P(2)について繰出して搬送し、印刷する処理を行う。
【0087】
以上のように、主制御部1401は動作を繰り返し、複数の印刷用紙Pを連続して印刷する処理を行う。
【0088】
画像形成装置1では、印刷を行なう場合、区間ごとに異なる搬送機構の速度変動が時々刻々と入れ替わる。そのため、画像形成装置1では、印刷される印刷用紙P(媒体)が、厚い用紙や剛性の高い用紙であった場合に、用紙が極めて撓み難いために、それぞれのNIP部における速度変動を用紙を通して伝達しやすく、速度変動の影響を大きく受けやすい。そのため、用紙が突っ張ってしまった際におけるショックラインが大きくなり、たるみ過ぎてしまった場合の用紙跳ねによるこすれ、変形しやすい薄紙であった場合のガイドなどへの張り付きやこすれなど、印字品質が悪化する。上述の制御により、定着部500の速度制御に加え、吸引ファン910の切り替え制御を行うことによって、用紙の厚みがどのような状態においても、精度よく用紙のたるみをコントロールすることが可能である。さらに、画像形成装置1では、用紙の搬送される位置においても、シャッター板1303による用紙吸引のための制御を行う。
【0089】
次に、シャッター板1303の動作の詳細について説明する。
【0090】
図6、および、図7は、シャッター板1303が、搬送方向向かつて前後に稼動された場合を示した図である。図6では、印刷用紙Pの後端が、書き込みセンサ306から距離Mの位置に差し掛かった状態、図7では、印刷用紙Pの後端が、書き込みセンサ306から距離Nの位置に差し掛かった状態を示している。
【0091】
図10図11及び図12は、シャッター板1303が稼動している状態をしめした断面図である。図6及び図11に示されるように、シャッターモータ1306が回転駆動されると、シャッターモータ1306に噛み合うギア1304が回転される。ギア1304が回転駆動されると、ギア1304に噛み合うラック1305を介して、シャッター板1303が平行に稼動される。図6及び図11に示すように、この動作により、シャッター板1303が搬送方向上流側へ平行に稼動されることで、吸引孔(前)1302Fとシャッター孔(前)1303Fが重なり合い、且つ、吸引孔(後)1302Rとシャッター孔(後)1303Rは位置がずれ、吸引孔(後)1302Rがシャッター板1303により遮蔽される状態となる。この状態では、吸引ファン910による空気の吸引は吸引孔(前)1302F側のみで行われる。同様に、図7及び図12においては、シャッター板1303が搬送方向下流側へ平行に稼動されることで、吸引孔(後)1302Rとシャッター孔(後)1303Rが重なり合い、且つ、吸引孔(前)1302Fとシャッター孔(前)1303Fは位置がずれ、吸引孔(前)1302Fがシャッター板1303により遮蔽される状態となる。この状態では、吸引ファン910による空気の吸引は吸引孔(後)1302R側のみで行われる。
【0092】
図15は、上述の図14のフローチャートにおいて、シャッター板1303の移動制御を追加した場合の処理について、上述の図14との差分部分のみを示したフローチャートである。図15のフローチャート(シャッター板1303の移動制御を追加する場合)では、図14のステップS11〜S28が、ステップS11〜S30、S40〜S45に置き換わっている。図15のフローチャートでは、ステップS11〜S30、S40〜S45以外の処理については上述の図14と同様であるので、図示を省略している。
【0093】
図15のフローチャートでは、ステップS11の印刷用紙P(1)の紙厚検知結果が、厚紙であった場合に、主制御部1401が、ステップS17もしくはステップS21までの動作を行なった後、印刷用紙P(1)が書き込みセンサ306により検知されて(S13)から所定量Rだけ搬送されたものとする(S40)。
【0094】
このとき、印刷用紙P(1)の後端部が、図7に示されるような状態となる。この時、印刷用紙P(1)の定着部500により扶持搬送されている箇所より上流側は、定着部500のみで扶持された片持ち梁の状態となり、用紙の姿勢が安定しない。更には厚紙の後端部はNIPの状態により跳ねやすく、定着部500の外装部などに用紙後端が跳ねて接触し、定着前の印字面がこすれてしまうことがある。
【0095】
上述のステップS40の状態となるまで印刷用紙P(1)が搬送された状態(所定量R分搬送された状態)となると、主制御部1401より指示されたシャッターモータ制御部1408は、シャッターモータ1306を駆動しシャッター板1303を搬送方向下流側へ稼動させる(S41)。即ち、上述したように、吸引孔(後)1302R側からのみ、用紙の吸引を行う状態となる。
【0096】
また、主制御部1401より指示された吸引ファン制御部1410は、吸引ファン910を全速駆動し(S42)、印刷用紙P(1)の後端部がより安定してガイド部1302へ吸着するよう制御される。この制御により、印刷用紙P(1)の後端の跳ね上がりを防止する。この状態から所定量搬送される(S18)と、上述した図9のフローチャート図に倣った動作を行う。また、印刷用紙P(1)の紙厚検知(S11)において薄紙を検知した場合に、(S27)もしくは(S30)までの動作を行なった後、印刷用紙P(1)が書き込みセンサ306により検知されて(S13)から所定量Sだけ搬送されると(S43)、印刷用紙P(1)の後端部が、図6に示されるような状態となる。この時、印刷用紙P(1)の定着部500により扶持搬送されている箇所より上流側は、定着部500のみで扶持された片持ち梁の状態となり、用紙の姿勢が安定しない。更には薄紙の後端部は、中間転写ベルト701に静電気で吸い寄せられ、用紙後端が跳ねて接触し、定着前の印字面がこすれてしまうことがある。ステップS43まで印刷用紙P(1)が搬送されると、主制御部1401より指示されたシャッターモータ制御部1408は、シャッターモータ1306を駆動しシャッター板1303を搬送方向上流側へ稼動させる(S44)。即ち、上述したように、吸引孔(前)1302F側からのみ、用紙の吸引を行う状態となる。
【0097】
また、主制御部1401より指示された吸引ファン制御部1410は、吸引ファン910を全速駆動し(S45)、印刷用紙P(1)の後端部がより安定してガイド部1302へ吸着するよう制御される。この制御により、印刷用紙P(1)の後端の跳ね上がりを防止する。印刷用紙P(1)は、この状態から所定量搬送されると(S28)、上述の図14のフローチャートに従った処理(上述のステップS19からの処理)を行うことになる。
【0098】
なお、上述したシャッター板1303の開閉動作に関しては、上述した動作のみに限定されるものではなく、使用される用紙の特性や挙動に合わせて、印刷用紙Pの先端部がシャッター板1303の配設される領域に搬送された際に開閉を行い、先端の浮き上がりを防止するために吸引を行っても良い。
【0099】
また、上述の説明では、吸引ファン910の制御として停止、半速(全速時の半分程度の速度でファンを回転)、全速(全速でファンを回転)の3種類に絞って説明したが、用紙厚さの設定を多段階に設定しでも可能であると上述したのと同様、回転数の制御の区切りを限定するものではない。例えば、吸引ファン910の停止を行わず、少なくとも25%の速度で回転させる等の選択は任意である。吸引ファン910の具体的な仕様(諸元)については限定されないものであるが、例えば、ファンの風量を「0.69m^3/min」程度、ファンを構成する羽の直径を「60mm±1mm」、ファンを構成する羽の回転数(全速)を5400rpmとする物を適用するようにしてもよい。
【0100】
主制御部1401は、送られた紙厚のデータが、ユーザにより予め規定された紙厚(S1)と比較し相違があった場合、印刷動作自体の搬送速度、および画像の転写電圧、定着温度の設定等は設定された用紙厚に沿う制御を行い、たるみに関する定着モータ1424の駆動切り換え、および、吸引ファン910の駆動切り換えの制御は、送られた紙厚のデータに倣い制御を行うことが可能である。即ち、印刷用紙Pのたるみを制御する動作を、任意で画像形成装置1側において自動で制御するか、ユーザ側の設定において自動で制御するかの切り換えが行うようにしてもよい。また、上述したように、この実施形態では、用紙厚の設定を、オペレーションパネル1401で設定した場合においても、紙厚センサ306による自動設定を行った場合においても実施可能である。言い換えると、主制御部1401では、各制御(特に定着モータ1424の駆動切り換え、および、吸引ファン910の駆動切り換えの制御)を行う際に参照する印刷用紙Pの紙厚として、用紙センサ301による検知結果を優先するか、ユーザに設定された内容を優先するかを任意に適用(例えば、ユーザの設定等により変更可能なフラグで管理)するようにしてもよい。
【0101】
次に、画像形成装置1における各パラメータ設定の組合せの具体例について説明する。
【0102】
ここでは、例としてたるみセンサ1301が、印刷用紙Pの状態について、たるみセンサ1301からの距離が近い順に、「たるみすぎ」、「たるみ」、「突っ張り」、「突っ張り過ぎ」の4段階で検知可能であるものとする。また、以下では、紙厚センサ320が、印刷用紙Pの厚さについて厚い方から順に「厚紙」(たわみが発生しない程度の厚紙)、「通常」、「薄紙」、「極薄紙」の4段階で検知可能であるものとする。さらに、定着部500による搬送速度(ローラの回転速度)を「速い」、「遅い」の2段階で制御可能であるものとする。さらにまた、以下では、吸引ファン910の吸引力について、吸引力の強い順(ファン回転数の高い順)から「強吸引」(例えば、上述の全速の速度でファン回転)、「吸引」(例えば、上述の半速の速度でファン回転)の2段階で制御可能であるものとする。また、上述の通り、転写ガイド部1303では、「前半部分」の吸引孔(前)1302Fと「後半部分」の吸引孔(後)1302Rとを、それぞれ開状態(通風可能とした状態)又は閉状態(通風不可とした状態)とする制御が可能となっている。
【0103】
このとき、例えば、印刷用紙Pの厚さが「通常」、印刷用紙Pの状態が「たるみ」であった状態(以下、「第1の状態」と呼ぶ)を想定する。第1の状態の場合、主制御部1401は、例えば、定着部500による搬送速度を「速い」、ファン910の吸引力を「吸引」とし、転写ガイド部1303について前半部分及び後半部分の吸気孔を開状態とし、印刷用紙Pのたるみを減らすようにしてもよい。これにより、第1の状態でも、印刷用紙Pの跳ね等によるこすれを抑制することが可能となる。
【0104】
また、例えば、印刷用紙Pの厚さが「通常」、印刷用紙Pの状態が「突っ張り」であった状態(以下、「第2の状態」と呼ぶ)を想定する。第2の状態の場合、主制御部1401は、例えば、定着部500による搬送速度を「遅い」、ファン910の吸引力を「吸引」とし、転写ガイド部1303について前半部分及び後半部分の吸気孔を開状態とし、印刷用紙Pの突っ張りを減らすようにしてもよい。これにより、第2の状態でも、印刷用紙Pに対するショックライン発生を抑制することが可能となる。
【0105】
さらに、例えば、印刷用紙Pの厚さが「通常」、印刷用紙Pの状態が「たるみ過ぎ」であった状態(以下、「第3の状態」と呼ぶ)を想定する。第3の状態の場合、主制御部1401は、例えば、定着部500による搬送速度を「速い」、転写ガイド部1303について前半部分及び後半部分の吸気孔を閉状態とし、印刷用紙Pのたるみを減らすようにしてもよい。これにより、第2の状態でも、印刷用紙Pの跳ね等によるこすれを抑制することが可能となる。
【0106】
さらにまた、例えば、印刷用紙Pの厚さが「通常」、印刷用紙Pの状態が「突っ張り過ぎ」であった状態(以下、「第4の状態」と呼ぶ)を想定する。第4の状態の場合、主制御部1401は、例えば、定着部500による搬送速度を「遅い」、ファン910の吸引力を「強吸引」とし、転写ガイド部1303について前半部分及び後半部分の吸気孔を開状態とし、印刷用紙Pの突っ張りを減らすようにしてもよい。これにより、第4の状態でも、印刷用紙Pに対するショックライン発生を抑制することが可能となる。
【0107】
また、例えば、印刷用紙Pの厚さが「厚紙」(たわみが発生しない程度の厚紙)、印刷用紙Pの状態が「突っ張り」であった状態(以下、「第5の状態」と呼ぶ)を想定する。第5の状態の場合、主制御部1401は、例えば、例えば、定着部500による搬送速度を「遅い」、ファン910の吸引力を「強吸引」とし、転写ガイド部1303について前半部分及び後半部分の吸気孔を開状態とし、印刷用紙Pの突っ張りを減らすようにしてもよい。これにより、第5の状態でも、印刷用紙Pに対するショックライン発生を抑制することが可能となる。
【0108】
さらに、例えば、印刷用紙Pの厚さが「極薄紙」の状態(以下、「第6の状態」と呼ぶ)を想定する。第6の状態の場合、主制御部1401は、例えば、印刷容易Pの先端がNIP部から定着部500へ進入するときに、ファン910の吸引力を「吸引」とし、転写ガイド部1303について前半部分のみ吸気孔を開状態として、印刷用紙Pの先端を転写ガイド部1303側に吸引するようにしてもよい。これにより、第6の状態でも、印刷用紙Pの先端が中間転写ベルト701に張り付いてこすれが発生すること等を抑制することができる。また、第6の状態の場合、主制御部1401は、印刷容易Pの後端がNIP部から抜け出る時に、ファン910の吸引力を「吸引」とし、転写ガイド部1303について前半部分のみ吸気孔を開状態として、印刷用紙Pの後端を転写ガイド部1303側に吸引するようにしてもよい。これにより、第6の状態でも、印刷用紙Pの後端が跳ねて中間転写ベルト701に接触し、こすれが発生すること等を抑制することができる。
【0109】
さらにまた、例えば、主制御部1401に対する設定(例えば、ユーザ操作又は印刷データ上の設定)では印刷用紙Pの厚さが「厚紙」で、紙厚センサ320による検知結果が「薄紙」の状態(以下、「第7の状態」と呼ぶ)を想定する。第7の状態の場合、主制御部1401は、例えば、定着部500による搬送速度を「遅い」、ファン910の吸引力を「強吸引」、転写ガイド部1303について前半部分及び後半部分の吸気孔を開状態とし、印刷用紙Pの突っ張りを減らすようにしてもよい。これにより、第7の状態でも、印刷用紙Pに対するショックライン発生を抑制することが可能となる。
【0110】
さらにまた、例えば、主制御部1401に対する設定(例えば、ユーザ操作又は印刷データ上の設定)では印刷用紙Pの厚さが「薄紙」で、紙厚センサ320による検知結果が「厚紙」の状態(以下、「第8の状態」と呼ぶ)を想定する。第8の状態の場合、主制御部1401は、例えば、印刷容易Pの先端がNIP部から定着部500へ進入するときに、ファン910の吸引力を「吸引」、転写ガイド部1303について前半部分のみ吸気孔を開状態として、印刷用紙Pの先端を転写ガイド部1303側に吸引するようにしてもよい。これにより、第8の状態でも、印刷用紙Pの先端が中間転写ベルト701に張り付いてこすれが発生すること等を抑制することができる。また、第8の状態の場合、主制御部1401は、印刷容易Pの後端がNIP部から抜け出る時に、ファン910の吸引力を「吸引」、転写ガイド部1303について前半部分のみ吸気孔を開状態として、印刷用紙Pの後端を転写ガイド部1303側に吸引するようにしてもよい。これにより、第8の状態でも、印刷用紙Pの後端が跳ねて中間転写ベルト701に接触し、こすれが発生すること等を抑制することができる。
【0111】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0112】
第1の実施形態の画像形成装置1では、吸引制御により、ニップ部(転写部)から定着部500での印刷用紙Pの走行(搬送)の安定を図りつつ、印刷用紙Pの厚さや撓みづらさ、種類に問わず印刷用紙Pの弛みの制御を行うことが可能となる。また、印刷用紙Pの位置により吸引の位置や強弱を切り替えることで、厚紙のショックライン、跳ね上がりによるコスレ、薄紙の張り付きなどを防ぎ、印刷品質を保つことが可能となる。
【0113】
また、第1の実施形態の画像形成装置1では、定着部500での速度制御、吸引ファン910の切り替え制御、用紙厚さによる制御の切り替え、用紙位置による制御の切り替えの併用、組み合わせ等を行っている。これにより、第1の実施形態では、画像形成装置1の内部温度の上昇、定着部500の温度ばらつきなどによる速度切り換えだけの制御の場合に発生する速度ばらつきにより安定しなかいたるみの制御をより精度よく行うことが可能となる。
【0114】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0115】
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態の画像形成装置1のハードウェア構成及び機能的な構成は、第1の実施形態と同様に上述の図1図2等の図面を用いて説明することができる。
【0116】
以下では、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を説明し、共通する部分については説明を省略する。第2の実施形態の画像形成装置1では、両面印刷を行う際に印刷用紙Pを搬送する動作の一部が異なるため、以下では、その差異部分を中心に説明する。
【0117】
まず、第2の画像形成装置1における両面印刷を行う場合の処理(印刷用紙Pの搬送手順)について図2を用いて説明する。
【0118】
画像形成装置1では、両面印刷を行う場合、排出セパレータ901は両面搬送部900へ印刷用紙P(1)を引き込むために、図示されないソレノイドにより稼動され、上方に持ち上げられる。このとき、印刷用紙P(1)は搬送ローラ対902へ送られ、搬送ローラ対902により矢印Bの方向へ向かつて所定量搬送されると、駆動の切り替えを行い、搬送ローラ対902は逆転駆動される。この時、反転セパレータ903は、印刷用紙P(1)が通過した後、図示されないスプリングなどの付勢部により、上方に持ち上げられ、矢印方向Cへの搬送路が開かれる。そして、反転ローラ対902により印刷用紙P(1)は搬送ローラ対905へ搬送される。その後、水平搬送ローラ対306、再給紙ローラ対307へと順に搬送される。この時、印刷用紙P(1)は、再給紙センサ915により用紙の進入を検知されると、搬送ローラ対305へ合流する手前で、後から搬送されている印刷用紙P(2)が通過するまで所定の位置で待機する。印刷用紙P(2)が搬送ローラ対305により搬送され、書き込みセンサ306が印刷用紙P(2)の通過終了を検知し、OFFの状態となると、所定時間後、印刷用紙P(1)は、再給紙ローラ対907により再給紙搬送され、搬送ローラ対305へ送られる。その後、用紙(2)は、第1の実施例と同様に、下流側へ搬送されていく。
【0119】
なお、両面搬送部900の具体的な構造については上述の例に限定されず種々の構造を適用することができる。
【0120】
次に、第2の実施形態の画像形成装置1における印刷動作(主制御部1401による制御処理)について図16のフローチャートを用いて説明する。なお、図16では、上述の図15と同様の処理については同一のステップ番号を付している。
【0121】
図17では、第1の実施形態と同様の処理により印刷用紙P(1)の1面目の印刷が実行された後、印刷用紙P(1)が両面搬送部900内に供給され、印刷用紙P(1)が両面搬送部900内の水平搬送ローラ対906により搬送され再給紙センサ915に検知された時点以後の動作について説明している。
【0122】
印刷用紙P(1)が再給紙センサ915に検知され(S46)、印刷用紙P(1)がそのまま、再給紙ローラ対907へ扶持搬送され所定量搬送されると(S47)、図示されない両面搬送モータが停止され(S48)、印刷用紙P(1)が所定の位置で一時停止する。
【0123】
その後、印刷用紙P(1)が書き込みセンサ306を通過したことが検知されると(S49)、所定の時間経過後、再び図示されない両面搬送モータが駆動され(S50)、印刷用紙P(1)は所定量搬送され(S51)、その後、印刷用紙P(1)が再び書き込みセンサに検知される位置まで搬送される(S52)。
【0124】
そのまま、再給紙された印刷用紙P(1)が、ステップS52の時点から所定量Mだけ搬送されると(S53)、主制御部1401より指示されたシャッターモータ制御部1408が、シャッターモータ1306を駆動し、搬送方向上流側の吸引孔(前)1302F側のみ開口するようシャッター板1303を稼動する(S54)。
【0125】
さらに、主制御部1401は、吸引ファン制御部1410に指示して、吸引ファン910を全速駆動させる(S55)。
【0126】
その後、主制御部1401は、第1の実施形態と同様に、たるみセンサ1301での検知を行い(S25)、印刷用紙P(1)の2面目に対して1面目と同様の制御を行うことになる(ステップS26〜S30、S43〜S45、S28の処理を含む)。
【0127】
一度定着され水分を失った状態や、両面搬送されている間に、定着時の加熱によりカールを起こした状態で搬送されてくる印刷用紙Pの2面目を、2次転写部750より下流側へ搬送する際に、1面目の搬送時よりも用紙の先端部が中間転写ベルト701への張り付きやすい状態となっている。上述した制御を行うことにより、2面目の搬送時に、用紙の先端がガイド部1302を通過する際に強く吸引することにより、用紙の先端が中間転写ベルト701へ張り付くのを防止することができる。
【0128】
また、図17におけるステップS25以降の制御に限らず、用紙の後端が2次転写部750を抜ける直前や、定着部500に差し掛かる際に、1面目での吸引ファン910の駆動速度よりも回転速度を上げても良い。これにより、カールなどにより1面目の状態より跳ね上がりやすくなった2面目の用紙に対しても、よりこすれ等の問題を防ぐことが可能となる。
【0129】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0130】
このようにして、第1の実施例の効果に加え、両面印刷時にファン、および、吸引のための開口部の制御を追加することにより、水分が蒸発し硬化した用紙や、カールした用紙に対して、より効果的にたるみの制御を行うことが可能となる
(C)第3の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0131】
(C−1)第3の実施形態の構成及び動作
第3の実施形態の画像形成装置1のハードウェア構成及び機能的な構成は、第1の実施形態と同様に上述の図1図2等の図面を用いて説明することができる。
【0132】
以下では、第3の実施形態について第1の実施形態との差異を説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0133】
図17シャッター板1303の多段階動作を示した説明図である。
【0134】
図17(a)は、シャッター板1303の平面図である。
【0135】
図17(b−1)、図17(c−1)、図17(d−1)は、それぞれ、シャッター板1303の動作状態ごとの断面図(図17(a)のD−D線断面図)となっている。また、図17(b−2)、図17(c−2)、図17(d−2)は、それぞれ、シャッター板1303の動作状態ごとの断面図(図17(a)のE−E線断面図)となっている。図17(a)において、D−D線はシャッター板1303の幅方向の外側の領域AS−1に位置しており、E−E線はシャッター板1303の幅方向の中央部側の領域ACに位置している。
【0136】
図17に示すように、シャッター板1303の有するシャッター孔1303F、および、シャッター孔1303Rは、搬送方向に対して用紙幅方向の外側の領域AS−1、AS−2は小さく開口し、中央側の領域ACは大きく開口(外側の領域AS−1、AS−2よりも大きく開口)している。
【0137】
この実施形態では、図17に示すように、シャッター板1303は、シャッター孔1303F、および、シャッター孔1303Rについて、シャッター板1303の移動に応じて、搬送方向(前後方向)だけでなく、幅方向(左右方向)の領域ごとも開閉制御も可能となるように構成されている。具体的には、例えば、図17(b−1)、(b−2)に示すように、シャッター板1303が第1の位置に移動した場合、外側の領域AS−1、AS−2、及び中央側の領域ACの両方の領域のシャッター孔1303F及びシャッター孔1303Rが開口した状態(両方開口した状態)となる。また、図17(c−1)、(c−2)に示すように、シャッター板1303が第2の位置に移動した場合、外側の領域AS−1、AS−2、及び中央側の領域ACの両方の領域のシャッター孔1303Fだけが開口した状態(片側のみ開口した状態)となる。さらに、図17(d−1)、(d−2)に示すように、シャッター板1303が第3の位置に移動した場合、中央側の領域ACの領域のシャッター孔1303Fだけが開口した状態(片側のみ開口、且つ、用紙幅中央部のみ開口した状態)となる。
【0138】
以上のように、第3の実施形態の画像形成装置1では、シャッター板1303の稼動を多段階に稼動することにより、ガイド部1302の吸引孔(前)1302F側のみ、吸引孔(後)1302R側のみ、の開口パターンの他に、幅の狭い用紙が選択された際に、より用紙の吸引を効率よく行うために、用紙幅方向中央部のみ開口するといった開口パターンが選択可能となる。
【0139】
言い換えると、本発明の画像形成装置1では、上述の図17のようにシャッター板1303を構成することにより、シャッター板1303の領域を用紙搬送方向及び又は用紙幅方向において複数に分割し、分割した領域ごとに吸引制御(吸引の有無、及び吸引の強度)を制御することができる。この実施形態では、シャッター板1303を用紙幅方向に2分割(外側の領域AS−1、AS−2と中央側の領域ACに分割)し、さらに用紙搬送方向に2分割(シャッター孔1303Fとシャッター孔1303Rの領域に分割)し、領域ごとの吸引制御が可能となっているものとする。
【0140】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0141】
第3の実施形態では、シャッター板1303の領域を用紙搬送方向だけでなく、用紙幅方向にも複数に分割し、分割した領域ごとに吸引制御(吸引の有無、及び吸引の強度)を行っている。これにより、第3の実施形態では、第1の実施例の効果に加え、幅の違う印刷用紙Pにたいしても、吸引のための開口パターンを追加することにより、より効呆的にたるみの制御を行うことが可能となる。例えば、画像形成装置1において、印刷対象となる印刷用紙Pがハガキ等の幅が狭く厚い紙である場合には、シャッター板1303の中央側の領域ACのシャッター孔だけを開口して、より効率的(強力)に印刷用紙Pを吸引することができる。
【0142】
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0143】
(D−1)上記の各実施形態では、中間転写方式(中間転写ベルトを用いたトナー像の転写方式)を採用した画像形成装置の例について説明したが、本発明の画像形成装置においては、他の転写方式(例えば、直接転写方式等)を適用するようにしてもよい。
【0144】
(D−2)ダクト部1307を形成する部材(用紙搬送路を形成する部材)は、単一、複数のどちらにおいて形成されても実施可能である。ダクト部1307に設けられる孔(吸引孔(前)1302F、吸引孔(後)1302R)も通風可能な形状であれば、その形状が限定されることはない。また、ダクト部1307に設けられる孔の位置についても、上記の各実施形態に示す位置に限定されるものではなく、印刷用紙Pの状態の補正(例えば、たるみの補正)等が可能な位置や形状であればよい。
【0145】
(D−3)上記の各実施形態では、画像処理部における画像形成ユニットとして、K、Y、M、Cの4色による画像処理方式について示したが、対応する印字色、画像形成ユニットの数、画像処理の方式、配設位置等はこれに限定されるものではない。
【0146】
また、上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用する例について説明したが、複写機、複合機、FAX等の種々の画像形成装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0147】
1…画像形成装置、P…印刷用紙、100…用紙トレイ、102…用紙積載板、103…リフトアップレバー、104…モータ200…用紙繰り出し部、201…上昇検知部、202…ピックアップローラ、203…フィードローラ、204…リタードローラ、301…用紙センサ、302…搬送ローラ対、303…用紙センサ、304、305…搬送ローラ対、306…書き込みセンサ、320…紙厚センサ、400…画像形成部、401…感光体ドラム、402…帯電ローラ、406、406K、406Y、406M、406C…画像形成ユニット、500…定着部、501…アッパローラ、502…ロワローラ、503a…ハロゲンランプ、503b…ハロゲンランプ、504a、504b、504c、504d…排出ローラ対、600…マルチパーパストレイ、601…給紙ローラ、602…ピックローラ、603…リタードローラ、604…用紙積載板、700…中間転写ベルトユニット、701…中間転写ベルト、702…ドライブローラ、703…テンションローラ、704…2次転写バックアップローラ、705…1次転写ローラ、706…ベルトクリーニング部、707…2次転写ローラ、900…両面搬送部、901…排出セパレータ、902…反転ローラ対、903…反転セパレータ、904…搬送ガイド部、905…搬送ローラ対、906…水平搬送ローラ対、907…再給紙ローラ対、909…転写ガイド部、910…吸引ファン、914…退避部、915…再給紙センサ、916…両面搬送路、1300…たるみ検知部、1301…たるみセンサ、1302…転写ガイド部、1302F…吸引孔(前)、1302R…吸引孔(後)、1303…シャッター板、1303F…シャッター孔(前)、1303R…シャッター孔(後)、1303…転写ガイド部、1304…ギア、1305…ラック、1306…シャッターモータ、1307…ダクト部、1400…制御部、1401…主制御部、1401…オペレーションパネル、1402…インターフェース部、1403…給紙モータ制御部、1404…電磁クラッチ制御部、1405…ベルトモータ制御部、1406…IDモータ制御部、1407…定着モータ制御部、1408…シャッターモータ制御部、1410…吸引ファン制御部、1420…給紙モータ、1421…電磁クラッチ、1422…ベルトモータ、1423…IDモータ、1424…定着器モータ、1425…タイマーカウンタ。
図1
図2
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図17