【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明の一主題は、皮膚老化の徴候を低減および/または遅延させる薬剤としての、少なくとも1種の一般式(I)の化合物の使用である
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、
- R
1は、メチル基またはエチル基を表し、
- R
2は、水素原子またはメチル基もしくはエチル基を表し、
- R
3は、直鎖C
1〜C
6もしくは分岐鎖C
3〜C
6アルキル基、または直鎖C
2〜C
6もしくは分岐鎖C
3〜C
6アルケニル基を表し、
- Xは、=Oまたは-OHを表す)。
【0020】
好ましくは、これらの化合物は、
- R
1が、メチル基またはエチル基を表し、
- R
2が、水素原子またはメチル基もしくはエチル基を表し、
- R
3が、C
1〜C
6直鎖アルキル基を表し、
- Xが、=Oまたは-OHを表す、
一般式(I)の化合物である。
【0021】
特に、
- R
1が、メチル基またはエチル基を表し、
- R
2が、水素原子またはメチル基もしくはエチル基を表し、
- R
3が、C
1〜C
6直鎖アルキル基を表し、
- Xが、=Oを表す、
一般式(I)の化合物が使用されるであろう。
【0022】
本発明にしたがって、上記の一般式(I)の化合物は、好ましくは、単独でまたは混合物として、以下の化合物:
【0023】
【表1A】
【0024】
【表1B】
【0025】
から選択されるであろう。
【0026】
好ましい化合物は、ジンゲロン(gingerone)[またはジンゲロン(zingerone)]またはエチルジンゲロンから選択されるであろう。ジンゲロンは、例えばAldrich社から供給され得る。最も好ましいのは、エチルジンゲロンである。
【0027】
化合物2および7は、例えばSinoChemExper社から供給され得る。
【0028】
上記の標的とする一般式(I)の化合物は、天然起源または合成起源のある程度精製された分子の形態で使用し得る。好ましくは、天然起源であろう。特に、これらの化合物のいくつかは、これらを含む植物エキスの形態、特にショウガ、マンゴー、クランベリーおよび/またはラズベリーのエキスの形態で提供できる。
【0029】
このような化合物は、従来技術で既知の合成経路を介して合成できる。これらは、特に、市販のバニリンまたはエチルバニリンから調製できる。ジンゲロンは、例えば、アセトンによってバニリンを凝縮した後、水素化することによって得ることができる。
【0030】
「老化の皮膚徴候」という表現は、時間生物学的なものおよび/または光誘起されたもののいずれにしても老化に起因する皮膚の外観における任意の一時変異、例えば皺および小皺、萎縮した皮膚、弛緩した皮膚、弛んだ皮膚、菲薄化した皮膚、乾燥肌、輝きのないくすんだ皮膚、顔色の不均一性および皮膚表面の不均一性などを意味すると理解される。時間生物学的老化または経時的老化(加齢に伴う老化としても知られている)の徴候は、個体の内因性老化による皮膚の内部劣化に相当する。光誘起老化(または光加齢)の徴候は、紫外線への曝露に後続する皮膚の内部劣化に相当する。
【0031】
「皮膚」という用語は、本発明において、身体の被膜全体、特に、皮膚、粘膜および頭皮を意味すると理解されている。
【0032】
皮膚老化の徴候の低減および/またはその出現の遅延は、本発明による化合物を使用することによって、特に、表皮細胞の分化の増加もしくは改善および/または特に表皮角化細胞におけるフィラグリンの発現の増加もしくは刺激のために起こる。
【0033】
好ましくは、本発明にしたがって使用される組成物は、化粧料組成物であり、すなわち個体の美的外観を改善するためのものである。
【0034】
本発明による使用は、表皮の時間生物学的老化および/または光誘起老化の徴候、特に美的徴候を抑制するのに特に効果的である。本発明を通して、皮膚の時間生物学的老化の徴候の抑制を標的とすることが好ましい。
【0035】
したがって、本発明は、年齢に関係なく誰に対しても効果的である。時間生物学的老化の徴候を抑制する場合、30歳より上の年齢、好ましくは40歳より上の年齢の個体を標的とすることが好ましい。
【0036】
皮膚老化の徴候は、好ましくは、皺および小皺の出現ならびに/または脆弱化ならびに/または弛みならびに/または萎縮ならびに/または菲薄化ならびに/または乾燥ならびに/またはくすんだおよび/もしくは輝きのない外観ならびに/または不均一な顔色および/もしくは皮膚の表面から選択される。
【0037】
したがって、本発明を通して、より若々しい外観の皮膚および良好に水和された皮膚が得られる。
【0038】
上記の標的とする一般式(I)の化合物は、生理的に許容される媒体を含む組成物中に、前記組成物の総質量に対して0.1質量%から10質量%の間の含有量で存在する。
【0039】
「生理的に許容される媒体」は、本発明によれば、皮膚、粘膜、爪および/または毛髪に適合する化粧品として許容される媒体である。
【0040】
「化粧品として許容される媒体」という表現は、不快な外観を持たず、使用者に許容できない刺痛、緊張または発赤を一切起こさない媒体を意味すると理解されている。
【0041】
生理的に許容される媒体は、組成物が適用される支持体の性質、および組成物がパッケージされることを目的とする形態、特に室温、大気圧下で固体または流体の形態に適合されよう。
【0042】
組成物は、好ましくは、局所適用に適している。
【0043】
皮膚および/または粘膜への局所適用による投与の場合、当然ながら、本発明による組成物は、化粧品として許容される支持体、すなわち皮膚、粘膜、爪、毛髪と適合する支持体を含み、局所適用に通常使用される任意のガレヌス形態、特に、水溶液、水性アルコール溶液もしくは油性溶液、水中油型もしくは油中水型もしくは多重エマルジョン、水性もしくは油性ゲル、液体、ペースト状もしくは固体無水製品、懸濁液または分散系の形態、例えば小球を用いた水性相中油の分散系であってよく、こうした小球はナノ粒子およびナノカプセルなどのポリマーナノ粒子、またはさらに良いのはイオン系および/もしくは非イオン系の脂質小胞にできる分散系とすることができる。
【0044】
この組成物は、多少流動性を有してもよく、白色または有色のクリーム、軟膏、乳液、ローション、セラム、ペースト、またはフォームの外観を有してもよい。それらは、任意選択により、エアロゾル形態で皮膚に適用することができる。それらはまた、固体形態、例えば、スティック形態とすることができる。それらは、ケア用製品またはクレンジング用製品またはメイクアップ用製品として使用することができる。
【0045】
既知のように、本発明の組成物は、化粧品および皮膚科の各分野で通常の補助剤、例えば親水性または親油性ゲル化剤、親水性または親油性活性剤、保存剤、酸化防止剤、溶剤、香料、充填剤、スクリーニング剤、顔料、キレート剤、臭気吸収材および着色剤を含んでもよい。想定される分野で通常使用するこれらの様々な補助剤の量は、例えば、組成物の総質量の0.01%から20%である。その性質に応じて、これらの補助剤は、脂肪相、水性相、脂質小球および/またはナノ粒子に導入することができる。
【0046】
本発明の組成物がエマルジョンである場合、脂肪相の割合は、組成物の総質量の5質量%から80質量%、好ましくは、5質量%から50質量%の範囲とすることができる。エマルジョン形態の組成物中で使用される油、乳化剤および共乳化剤は、想定される分野で通常使用されるものから選択される。乳化剤および共乳化剤は、組成物中に、組成物の総質量の0.3質量%から30質量%、好ましくは0.5質量%から20質量%を範囲とする割合で存在する。
【0047】
本発明において使用できる油として、鉱油、植物起源の油(アプリコット油、ヒマワリ油)、動物起源の油、合成油、シリコーン系油およびフッ素化油(ペルフルオロポリエーテル)を挙げることができる。脂肪性物質として、脂肪アルコール(セチルアルコール)、脂肪酸およびワックス(蜜蝋)も使用することができる。
【0048】
本発明において使用できる乳化剤および共乳化剤として、例えばステアリン酸PEG-40およびステアリン酸PEG-100などのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ならびにステアリン酸グリセリルおよびトリステアリン酸ソルビタンなどのポリオール脂肪酸エステルを挙げることができる。
【0049】
親水性ゲル化剤として、具体的には、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマーなどのアクリルコポリマー、ポリアクリルアミド、多糖、天然ゴムおよび粘土を挙げることができ、親油性ゲル化剤として、ベントンなどの変性粘土、脂肪酸の金属塩、疎水性シリカおよびポリエチレンを挙げることができる。
【0050】
有利な一実施形態によれば、本発明による組成物は、抗紫外線遮断剤、保湿剤、脱色剤、抗糖化剤、NO-シンターゼ阻害剤、真皮もしくは表皮の高分子の合成を刺激する薬剤および/またはその分解を防ぐ薬剤、線維芽細胞もしくはケラチノサイト増殖を刺激する薬剤、筋弛緩剤または皮膚収縮解消剤(dermo-decontracting agent)、テンショニング剤(tensioning agent)、汚染を根絶する薬剤または遊離基捕捉剤、鎮静剤および細胞のエネルギー代謝に作用する活性剤から選択される他の活性剤を少なくとも1種含むであろう。
【0051】
これらの追加の活性剤の量は、大幅に異なる可能性があり、例えば組成物の総質量に対して10
-6質量%から20質量%、特に0.001質量%から10質量%であろう。
【0052】
本発明による組成物中で使用することができる線維芽細胞の増殖を刺激するための薬剤は、例えば、特にダイズから抽出された植物タンパク質またはポリペプチド(例えば、LSN社によって名称Eleseryl SH-VEG 8(登録商標)で販売されているまたはSilab社によって商標名Raffermine(登録商標)で販売されているダイズ抽出物)ならびにジベレリンおよびサイトカイニンなどの植物ホルモンから選択することができる。
【0053】
本発明による組成物中で使用することができる、ケラチノサイト増殖を刺激する薬剤は、特に、レチノールおよびそのエステルなどのレチノイド、例えばレチニルパルミテート、アデノシン、桂皮酸およびその誘導体、リコピンおよびその誘導体、フロログルシノール、Gattefosse社によって販売されているクルミ粉末抽出物、ならびにSederma社によって販売されているSolanum tuberosumの抽出物を含む。
【0054】
好ましくは、本発明を実施するために、上記の一般式(I)の化合物、および/またはそれを含有する組成物は、処置しようとする皮膚の部分、特に顔、首または手に、毎日または毎日数回適用し、適用は所望の効果に応じて様々な期間、毎日繰り返し、一般には3から6週間だが、延長しても継続してもよい。
【0055】
上記の一般式(I)の化合物またはそれを含有する組成物は、好ましくは、抑制が望まれる、老化の徴候による影響を受けた皮膚の領域に適用されよう。
【0056】
経口投与の場合、本発明の組成物は、任意の好適な形態、特定すれば経口で摂取される溶液、錠剤、ゲルカプセル、カプセルまたは代替として栄養食品または栄養補給剤の形態であってもよい。
【0057】
前記組成物は、経口投与に適した少なくとも1種の適切な賦形剤を追加で含む。
【0058】
経口で摂取される活性剤または本発明による組成物の場合、経口投与は、毎日または毎日数回、例えば朝と夕方でもよい。これを所望の効果に応じて数週間および/または数か月間継続してもよい。