(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282590
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】編物又は織物材料に柔軟性を持たせる器具
(51)【国際特許分類】
D06C 5/00 20060101AFI20180208BHJP
D06C 19/00 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
D06C5/00 E
D06C19/00
【請求項の数】22
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-531896(P2014-531896)
(86)(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公表番号】特表2014-530306(P2014-530306A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】US2012055848
(87)【国際公開番号】WO2013043559
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年8月13日
(31)【優先権主張番号】13/240,447
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317011687
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デイ・クリフォード・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー・ドウェイン
【審査官】
小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−361657(JP,A)
【文献】
特公昭44−023912(JP,B1)
【文献】
米国特許第04356602(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06C 3/00−29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状材料に柔軟性を持たせる器具であって、
フレームと、
前記フレームに取り付けられた第1のリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪であって、それぞれの車輪が前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を有する、車輪と、を含む第1のリング保持具組立品と、
前記管状材料の移動方向の近位側に位置付けられる近位端及び前記管状材料の前記移動方向の遠位側に位置付けられる遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、第1のマンドレル組立品と、を備え、
前記第1のマンドレル組立品の前記車輪が、前記第1のリング保持具組立品のそれぞれの対の前記車輪の間に、かつこれらと係合するように配置され、前記第1のマンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記第1のリング保持具組立品の前記それぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られており、
前記フレームに取り付けられた第2のリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪であって、それぞれの車輪が前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を有する、車輪と、を含む第2のリング保持具組立品と、
前記管状材料の移動方向の近位側に位置付けられる近位端及び前記管状材料の前記移動方向の遠位側に位置付けられる遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、第2のマンドレル組立品と、を更に備え、
前記第2のマンドレル組立品の前記車輪が、前記第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の前記車輪の間に、かつこれらと係合するように配置され、前記第2のマンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記第2のリング保持具組立品の前記それぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られ、
前記第2のリング保持具組立品及び前記第2のマンドレル組立品は、柔軟性を持たせられる管状材料が前記第1及び第2のマンドレル組立品の周囲の上を連続して通過することができるように、前記第1のリング保持具組立品と前記第1のマンドレル組立品に関連する位置において前記フレーム上に取り付けられる、器具。
【請求項2】
管状材料に柔軟性を持たせる器具であって、
フレームと、
前記フレームに取り付けられたリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪であって、それぞれの車輪が前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を有する、車輪と、を含むリング保持具組立品と、
前記管状材料の移動方向の近位側に位置付けられる近位端及び前記管状材料の前記移動方向の遠位側に位置付けられる遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、マンドレル組立品と、を備え、
前記マンドレル組立品の前記車輪が、前記リング保持具組立品のそれぞれの対の前記車輪の間に、かつこれらと係合するように配置され、前記マンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記リング保持具組立品の前記それぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られており、
前記マンドレルが円錐形であり、前記近位端から前記遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有し、前記マンドレル組立品の前記車輪が、前記マンドレルの前記遠位端に取り付けられている、器具。
【請求項3】
互いに隣接して配置され、かつそれぞれが前記マンドレルの長手方向軸に対して略垂直に位置した長手方向軸を有し、かつ前記マンドレルの遠位端から間隔を置いた、少なくとも1対の機械的駆動のローラー、を更に備える、請求項1または2に記載の器具。
【請求項4】
前記少なくとも1対の機械的駆動のローラーが、前記マンドレルの周囲の上及び前記対のローラーの間を通過する、柔軟性を持たせられる管状材料の連続的な動きを駆動するように適合される、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記柔軟性を持たせられる材料が酸化再生セルロースを含む、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記マンドレルの前記遠位端が直径およそ15.2cm(6インチ)である、請求項1または2に記載の器具。
【請求項7】
前記マンドレルの前記近位端が直径およそ7.62cm(3インチ)である、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記マンドレル組立品が少なくとも8つの車輪を有する、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記マンドレルが、略円錐形であり、前記近位端から前記遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記マンドレルが略球状又は半球の形状を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記マンドレルが、略楕円形の形状である、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
管状材料に柔軟性を持たせる器具であって、
フレームと、
前記フレームに取り付けられた第1のリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む第1のリング保持具組立品と、
前記管状材料の移動方向の近位側に位置付けられる近位端及び前記管状材料の前記移動方向の遠位側に位置付けられる遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、第1のマンドレル組立品と、を備え、
前記第1のマンドレル組立品の前記車輪が、前記第1のリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、これらに実質的に隣接して位置し、それによって任意の更なる構造用支持材なしで前記第1のリング保持具組立品とフレームとに対する前記第1のマンドレル組立品の位置を保持し、
前記フレームに取り付けられた第2のリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む第2のリング保持具組立品と、
前記管状材料の移動方向の近位側に位置付けられる近位端及び前記管状材料の前記移動方向の遠位側に位置付けられる遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、第2のマンドレル組立品と、を更に備え、
前記第2のマンドレル組立品の前記車輪は、前記第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、これらに実質的に隣接して位置し、それによって任意の更なる構造用支持材なしで前記第2のリング保持具組立品とフレームとに対する前記第2のマンドレル組立品の位置を保持する、器具。
【請求項13】
管状材料に柔軟性を持たせる器具であって、
フレームと、
前記フレームに取り付けられたリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含むリング保持具組立品と、
前記管状材料の移動方向の近位側に位置付けられる近位端及び前記管状材料の前記移動方向の遠位側に位置付けられる遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、マンドレル組立品と、を備え、
前記マンドレル組立品の前記車輪が、前記リング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、これらに実質的に隣接して位置し、それによって任意の更なる構造用支持材なしで前記リング保持具組立品とフレームとに対する前記マンドレル組立品の位置を保持し、
前記マンドレルが円錐形であり、前記近位端から前記遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有し、前記マンドレル組立品の前記車輪が、前記マンドレルの前記遠位端に取り付けられており、
前記リング保持具組立品の前記対の車輪のそれぞれは、前記管状材料の前記移動方向に沿って互いに整列している、器具。
【請求項14】
柔軟性を持たせられる管状材料を更に含み、前記管状材料は前記マンドレルに被さって前記リング保持具組立品及び前記マンドレル組立品の前記隣接した車輪の間を進むように適合される、請求項12または13に記載の器具。
【請求項15】
前記管状材料は連続的な管状ニット構造である、請求項14に記載の器具。
【請求項16】
前記管状ニット構造は酸化再生セルロースを含む、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記マンドレルの前記遠位端は直径およそ15.2cm(6インチ)である、請求項12または13に記載の器具。
【請求項18】
前記マンドレルの前記近位端は直径およそ7.62cm(3インチ)である、請求項17に記載の器具。
【請求項19】
前記マンドレル組立品は少なくとも8つの車輪を有する、請求項18に記載の器具。
【請求項20】
前記マンドレルが、略円錐形であり、前記近位端から前記遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有する、請求項12に記載の器具。
【請求項21】
前記リング保持具組立品のそれぞれの車輪は、前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を更に含み、前記マンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記リング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られる、請求項12または13に記載の器具。
【請求項22】
前記第1及び第2のリング保持具組立品のそれぞれの車輪が、前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を更に含み、前記第1及び第2のマンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記第1及び第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られる、請求項12に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編布又は織布又は編物又は織物材料の製造に概して関し、より具体的には、連続的に編物又は織物管状構造に柔軟性を持たせる方法及び器具に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で用いる用語、柔軟性を持たせる(pliabilization)は、編物又は織物構造を1つ以上の方向に伸ばし、その結果その構造の寸法がその方向(単数又は複数)に増大するプロセスのことである。そのように編物又は織物構造にとって、寸法の増大は、材料の厚さの減少、及び/又は孔径の増大という結果になり得る。
【0003】
編物又は織物構造に柔軟性を持たせることが望ましい又は不可欠である用途が多くある。例えば、ポリサッカライドで作られる材料(例えば、レーヨン、綿、酸化セルロース、ORC等のセルロース系材料を含む)は、加工中又は湿気に曝される間に収縮を受けやすく、材料の柔軟性が少なくなる。柔軟性を持たせることは、そのような材料の硬直性を少なくし、それによって意図する目的又は用途に使えるようにするためにそのような材料にとって必要である。ORC布地の場合には、柔軟性を持たせることの利点は、材料の孔構造を開きより効率的な乾燥ステップを可能にすることである。
【0004】
均一に全方向で柔軟性を持たせることを確実にすることは重要である。均一に柔軟性を持たせられない場合、材料の部分を除去廃棄して、残りの材料が全方向に均一な特性を有することを確実にしなければならない場合がある。そうしなければ、製品の性能に影響を与える可能性がある。
【0005】
管状の編物又は織物構造を考察する場合、管状の「ソックス」を拡大した器具に被せて通し、そのソックスを放射状に拡張させる又は引っ張ることが知られている。しかしながら、多くの既知の装置では、拡大した器具に被せて連続的に送り込むことが不可能であるやり方で拡大した器具は取り付けられる。逆に、マンドレルに被さって進むことができるソックスの長さは、取付機構の物理的干渉のため限度がある。別の既知の先行技術システムが
図1a及び1bに示され、当該システムは円錐形状のピン12のそれぞれの対の間に適所に保持された対向するリング10を含む。
図1bに示すように、ソックス14はリングを覆って送り込まれると引っ張られる。しかしながら、このシステムは、材料をソックスの円周の周りで均等に引っ張らず、むしろ不均一で、主として2次元の延伸が生じる。少なくともいくつかの既知の装置では、放射状の延伸、及び管状の布地を引っ張るための連続的な送り込みを達成する課題に取り組む試みがなされてきた。これらの装置は、米国特許第1,775,894号及び英国特許第282,896号で述べられる。開示されたこれらの機械は大きく扱いにくく、上述の第1,775,894号の特許の
図5に示されるように、比較的長い経路に沿って延びる一連の組の回転車輪に依存する。布地が1組の車輪から次の組へと連続的に通過するとき、及び任意の所定の組の周囲車輪の間でも、布地は延伸及び非延伸の両方を繰り返すので、開示された機械も均一な延伸が得られるとは考えにくい。更に、開示された延伸器具は、布地が延伸器具に被さって進む際に、フレームに対する位置を保持するための大きく扱いにくい取付機構を必要とする。
【0006】
上述の先行技術装置のもう一つの欠点は、延伸させるために布地を載せて引っ張る車輪は、布地がそれらの車輪を覆って進むのを補助するために機械的に駆動することである。それはまた、布地にかかる速度及び/又は張力はプロセスの過程を通して変動するので、均一性が少ない延伸が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、均一なやり方で連続的な管状の編物又は織物構造に柔軟性を持たせる新しく改善された器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フレームと、円周リングを含むフレームに取り付けられたリング保持具組立品と、リングの周りに周方向に間隔を置いてかつリングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、管状材料に柔軟性を持たせる器具を提供する。車輪はそれぞれ、車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を有する。器具は、近位端及び遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、マンドレルの円周の周りに間隔を置いて複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、マンドレル組立品を更に含む。マンドレル組立品の車輪は、近位端から間隔を置いた位置に最大外周を越えて放射状に延出するようにマンドレルに取り付けられる。マンドレル組立品の車輪は、リング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、かつこれらに係合するように配置され、マンドレル組立品の車輪は、車輪の外縁がリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られる。
【0009】
器具は、フレームに取り付けられた第2のリング保持具組立品を更に含んでもよく、第2のリング保持具組立品は、円周リング及びリングの周りに周方向に間隔が置かれかつリングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪を含む。車輪はそれぞれ、車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を有する。第2のマンドレル組立品を更に含んでもよく、第2のマンドレル組立品は、近位端及び遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、近位端から間隔を置いた位置にマンドレルの外周の周りに間隔を置いて最大外周を越えて放射状に延出するようにマンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪を含む。第2のマンドレル組立品の車輪は、第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、かつこれらに係合するように配置され、第2のマンドレル組立品の車輪は、車輪の外縁が第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られる。第2のリング保持具組立品及び第2のマンドレル組立品は、柔軟性を持たせられる管状材料が第1のマンドレル組立品及び第2のマンドレル組立品の上を連続して周方向に通過することができるように、第1のリング保持具組立品及び第1のマンドレル組立品に相対的な位置においてフレーム上に取り付けられる。
【0010】
別の実施形態では、器具は、互いに隣接して配置され、かつそれぞれがマンドレルの長手方向軸に対して略垂直に位置した長手方向軸を有し、かつマンドレルの遠位端から間隔を置いた、少なくとも1対の機械的駆動のローラー、を更に備える。少なくとも1対の機械的駆動のローラーは、マンドレルの上及び対のローラーの間を周方向に通過する、柔軟性を持たせられる管状材料の連続的な動きを駆動するように適合されてもよい。
【0011】
柔軟性を持たせられる材料は酸化再生セルロースを含んでもよい。
【0012】
別の実施形態では、マンドレルの遠位端が直径およそ15.2cm(6インチ)、かつ/又はマンドレルの近位端が直径およそ7.62cm(3インチ)である。器具は、少なくとも8つの車輪を更に有してもよい。
【0013】
更に別の実施形態では、マンドレルは略円錐形であり、近位端から遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有する。あるいは、マンドレルは略球状又は半球の形状、若しくは略楕円形の形状を有してもよい。
【0014】
更に、フレームと、フレームに取り付けられたリング保持具組立品であって、円周リングと、リングの周りに周方向に間隔が置いてかつリングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含むリング保持具組立品と、近位端及び遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、近位端から間隔を置いた位置にマンドレルの円周の周りに間隔を置いて最大外周を越えて放射状に延出するようにマンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含むマンドレル組立品と、を含む管状材料に柔軟性を持たせる器具が提供される。マンドレル組立品の車輪は、リング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、これらに実質的に隣接して位置し、それによって任意の更なる構造用支持材なしでリング保持具組立品とフレームに対するマンドレル組立品の位置を保持する。
【0015】
器具は、柔軟性を持たせられる管状材料を更に含んでもよく、管状材料はマンドレルに被さってリング保持具組立品及びマンドレル組立品の隣接した車輪の間を進むように適合される。管状材料は連続的な管状ニット構造であってもよく、かつ酸化再生セルロースを含んでもよい。
【0016】
別の実施形態では、マンドレルの遠位端は直径およそ15.2cm(6インチ)で、かつ/又はマンドレルの近位端は直径およそ7.62cm(3インチ)である。マンドレルは、少なくとも8つの車輪を更に有してよい。
【0017】
更に別の実施形態では、マンドレルは実質的に円錐形で、近位端から遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有する。
【0018】
更に別の実施形態では、リング保持具組立品の車輪はそれぞれ、車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を更に含み、マンドレル組立品の車輪は、車輪の外縁がリング保持組立品のそれぞれの対の車輪の凹部内に嵌合するような寸法と形状に作られる。
【0019】
更に別の実施形態では、器具は、フレームに取り付けられた第2のリング保持具組立品であって、円周リングと、リングの周りに周方向に間隔を置いてかつリングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む第2のリング保持具組立品と、近位端及び遠位端並びに最大外周を有する第2のマンドレルと、近位端から間隔を置いた位置にマンドレルの円周の周りに間隔を置いて最大外周を越えて放射状に延出するようにマンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、第2のマンドレル組立品と、を更に備える。第2のマンドレル組立品の車輪は、第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、これらに実質的に隣接して位置し、それによって任意の更なる構造用支持材なしで第2のリング保持具組立品及びフレームに対する第2のマンドレル組立品の位置を保持する。
【0020】
更に別の実施形態では、第1及び第2のリング保持具組立品のそれぞれの車輪は、車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を更に含み、第1及び第2のマンドレル組立品の車輪は、車輪の外縁が第1及び第2のリング保持組立品のそれぞれの対の車輪の凹部内に嵌合するような寸法と形状に作られる。
【0021】
本発明のこれら及び他の目的、特徴並びに利点は、添付の図面と関連づけて解釈される、その例示的実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】材料に柔軟性を持たせる先行技術装置を示す。
【
図1b】材料に柔軟性を持たせる先行技術装置を示す。
【
図2a】本発明による管状材料に柔軟性を持たせる器具を示す。
【
図2b】本発明による管状材料に柔軟性を持たせる器具を示す。
【
図3】本発明によるリング保持具組立品及びマンドレル組立品の組み合わせの拡大図である。
【
図4】
図3のマンドレル組立品の構成要素をより詳しく示す。
【
図5】
図3のリング保持具組立品をより詳しく示す。
【
図7】管状材料と組み合わせて
図3の組み合わせ組立品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図2a及び2bは、本発明による管状材料に柔軟性を持たせる器具を示す。器具200は、任意の好適な形式であってもよく、更に地面の上に(図示するように)又はテーブルの上若しくは任意の好適な固定表面の上に立つように構成されてもよい、固定フレーム210又は類似のものを含む。管状材料は、
図2bで矢印によって示される経路で器具を通して送り込まれる。管状材料は、第1のローラー231上に送り込まれ、
図3及び
図4により詳しく示されるマンドレル305の上を周方向に通過する。一旦マンドレル305に被さって進むと、管状材料は旋回するアーム230に被さって進み、次に機械的に駆動され材料が器具を通って進むのを補助する第1の組の駆動ローラー232の間を進む。好ましい実施形態では、組立品は、第2のマンドレル305aを含み、材料は第2のローラー234上に送り込まれ、器具を出る前に、第2のマンドレル305aに被さって第2の組の駆動ローラー236を通る。第2のマンドレルを使用することは、布地に安定して均一な柔軟性を持たせることを更に確実にする働きをする。
【0024】
図3〜6は、リング保持具組立品306とマンドレル組立品304との組み合わせをより詳しく示す。マンドレル組立品は、
図4により詳しく示され、マンドレル305及びマンドレルの遠位端の周りに周方向に間隔を置いた多数の車輪308を含む。例示したマンドレルは円錐形であるが、車輪がマンドレルの最大外周を越えて放射状に延出するという条件で、例えば、球状、楕円形、フットボール形状等の様々な他の形状が利用されてもよい。好ましくは、マンドレルの外周はその近位端311から遠位端309へと増加する。車輪の数はマンドレルの最大外周の円周によって決まり、その円周自体は、柔軟性を持たせられる編物又は織物管状材料の形式及び寸法、及び柔軟性を持たせる所望量によって決まる。これは、例えば、個々のストランドを弱めることなく任意の表面の結合を破壊するために必要とする伸張の量を決めることで決められてもよい。一実施形態では、柔軟性を持たせる材料は酸化再生セルロースの管状ニット構造で、マンドレルの遠位端の直径はおよそ15.2cm(6インチ)で、更におよそ0.32cm(1/8インチ)ほど外方に延出する8つの車輪(以下で説明する)を備える。マンドレルの近位端311も、
図7に示すように、管状材料301の近位端がその近位端に被さることによって容易に始動できるような寸法及び形状である。更に、マンドレルの近位端の直径はおよそ7.62cm(3インチ)で、マンドレルの長さlはおよそ20.3cm(8インチ)である。材料をマンドレルの近位端に被せて引いた後、
図7で矢印によって示されるように、材料はマンドレルの車輪308に被さって送り込まれる。
【0025】
マンドレル組立品は、
図3及び6に示すようにリング保持具組立品310内に取り付けられる。リング保持具組立品310は、1つ以上の取り付けフランジ312によって機械のフレーム210に取り付けられる。
図5に詳細に示すように、リング保持具組立品は円周フレーム314を含み、それに周方向に間隔が置かれた複数の対の車輪316が取り付けられる。それぞれの対の車輪は円周フレームから内方に好ましくは伸びて、マンドレルの長手方向軸L−Lに沿った方向に回転する。対の車輪316はそれぞれがマンドレル組立品の対応する車輪308と整合するように位置し、マンドレル組立品の車輪308は、
図6に示されるように、対の車輪316の両方の間に位置するが、それらと円周接触して位置する。このように取り付けられると、管状材料は、マンドレル組立品の車輪308とリング保持具組立品の車輪316との間に位置する。好ましい実施形態では、マンドレル組立品の車輪308は更に、リング保持具組立品車輪316の円周の周りに延在する凹部318と係合するような寸法及び形状である。
【0026】
車輪308及び316は、それらの間を状材料が進むと、受動的に回転する。対応する車輪対316の間で車輪308が係合することにより、材料がマンドレルに被さって進むにつれてマンドレルが近位方向又は遠位方向のどちらかに動かないように保持する働きをし、マンドレルが「フリーフローティング」、つまり任意の更なる機械への付着が無いことを可能にする。これは、無限の長さの管状材料が比較的小さなマンドレルに被さって引かれることを可能にし、はるかに高い製造柔軟性及びより高い効率が可能になる。
【0027】
更に、受動的に回転する車輪で、車輪は、車輪を横切って/覆って引かれる布地の摩擦によって完全に駆動され、任意の他の機械的力によって駆動されない。これは、駆動機構によって材料上に被着する異物からの潜在的な汚染のリスクを取り除き、例えば、引き裂き、裂目、たてのほころび、硬点等の材料のバリエーションも可能にし、材料が独立して伸張及び収縮することができ、繊維構造への損傷の増加につながり得る材料の結合を防ぐ。本発明の実施形態は、湿度含有量、編物構造のバリエーション、及び繊維構造並びにその製造を関連する他の機械的な属性による材料のバリエーションも許容し、更に繊維構造の2.54cm(各インチ)からの最大収率を増加させる。最後に、本明細書で説明するプロセスは、繊維構造が更に加工される能力を増加させ、下流プロセスの処理能力速度も上昇させる。
【0028】
本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照して本明細書で説明したが、当然のことながら、本発明はこれらと同じ実施形態に限定されず、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって本明細書において様々なその他変更及び修正が達成できる。
【0029】
〔実施の態様〕
(1) 管状材料に柔軟性を持たせる(pliabilizing)器具であって、
フレームと、
前記フレームに取り付けられたリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪であって、それぞれの車輪が前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を有する、車輪と、を含むリング保持具組立品と、
近位端及び遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、マンドレル組立品と、を備え、
前記マンドレル組立品の前記車輪が、前記リング保持具組立品のそれぞれの対の前記車輪の間に、かつこれらと係合するように配置され、前記マンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記リング保持具組立品の前記それぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られる、器具。
(2) 前記フレームに取り付けられた第2のリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔が置かれかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪であって、それぞれの車輪が前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を有する、車輪と、を含む第2のリング保持具組立品と、
近位端及び遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの前記円周の周りに間隔を置いて、前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた、複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、第2のマンドレル組立品と、を更に備え、
前記第2のマンドレル組立品の前記車輪が、前記第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の前記車輪の間に、かつこれらと係合するように配置され、前記第2のマンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記第2のリング保持具組立品の前記それぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法及び形状に作られ、
前記第2のリング保持具組立品及び前記第2のマンドレル組立品は、柔軟性を持たせられる管状材料が前記第1及び第2のマンドレル組立品の上を連続して周方向に通過することができるように、前記第1のリング保持具組立品と前記第1のマンドレル組立品に相対的な位置において前記フレーム上に取り付けられる、実施態様1に記載の器具。
(3) 互いに隣接して配置され、かつそれぞれが前記マンドレルの長手方向軸に対して略垂直に位置した長手方向軸を有し、かつ前記マンドレルの遠位端から間隔を置いた、少なくとも1対の機械的駆動のローラー、を更に備える、実施態様1に記載の器具。
(4) 前記少なくとも1対の機械的駆動のローラーが、前記マンドレルの上及び前記対のローラーの間を周方向に通過する、柔軟性を持たせられる管状材料の連続的な動きを駆動するように適合される、実施態様3に記載の器具。
(5) 前記柔軟性を持たせられる材料が酸化再生セルロースを含む、実施態様4に記載の器具。
【0030】
(6) 前記マンドレルの前記遠位端が直径およそ15.2cm(6インチ)である、実施態様1に記載の器具。
(7) 前記マンドレルの前記近位端が直径およそ7.62cm(3インチ)である、実施態様6に記載の器具。
(8) 前記マンドレル組立品が少なくとも8つの車輪を有する、実施態様7に記載の器具。
(9) 前記マンドレルが、略円錐形であり、前記近位端から前記遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有する、実施態様1に記載の器具。
(10) 前記マンドレルが略球状又は半球の形状を有する、実施態様1に記載の器具。
【0031】
(11) 前記マンドレルが、略楕円形の形状である、実施態様1に記載の器具。
(12) 管状材料に柔軟性を持たせる器具であって、
フレームと、
前記フレームに取り付けられたリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含むリング保持具組立品と、
近位端及び遠位端並びに最大外周を有するマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、マンドレル組立品と、を備え、
前記マンドレル組立品の前記車輪が、前記リング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、これらに実質的に隣接して位置し、それによって任意の更なる構造用支持材なしで前記リング保持具組立品とフレームとに対する前記マンドレル組立品の位置を保持する、器具。
(13) 柔軟性を持たせられる管状材料を更に含み、前記管状材料は前記マンドレルに被さって前記リング保持具組立品及び前記マンドレル組立品の前記隣接した車輪の間を進むように適合される、実施態様12に記載の器具。
(14) 前記管状材料は連続的な管状ニット構造である、実施態様13に記載の器具。
(15) 前記管状ニット構造は酸化再生セルロースを含む、実施態様14に記載の器具。
【0032】
(16) 前記マンドレルの前記遠位端は直径およそ15.2cm(6インチ)である、実施態様12に記載の器具。
(17) 前記マンドレルの前記近位端は直径およそ7.62cm(3インチ)である、実施態様16に記載の器具。
(18) 前記マンドレル組立品は少なくとも8つの車輪を有する、実施態様17に記載の器具。
(19) 前記マンドレルは実質的に円錐形で、前記近位端から前記遠位端へ寸法が連続的に増加する外径を有する、実施態様12に記載の器具。
(20) 前記リング保持具組立品の車輪はそれぞれ、前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を更に含み、前記マンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記リング保持組立品のそれぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法と形状に作られる、実施態様12に記載の器具。
【0033】
(21) 前記フレームに取り付けられた第2のリング保持具組立品であって、円周リングと、前記リングの周りに周方向に間隔を置いてかつ前記リングに取り付けられた複数の対の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む第2のリング保持具組立品と、
近位端及び遠位端並びに最大外周を有する第2のマンドレルと、前記近位端から間隔を置いた位置に前記マンドレルの円周の周りに間隔を置いて前記最大外周を越えて放射状に延出するように前記マンドレルに取り付けられた複数の非機械的駆動の回転可能な車輪と、を含む、第2のマンドレル組立品と、を更に備え、
前記第2のマンドレル組立品の前記車輪は、前記第2のリング保持具組立品のそれぞれの対の車輪の間に、これらに実質的に隣接して位置し、それによって任意の更なる構造用支持材なしで前記第2のリング保持具組立品とフレームとに対する前記第2のマンドレル組立品の位置を保持する、実施態様12に記載の器具。
(22) 前記第1及び第2のリング保持具組立品のそれぞれの車輪が、前記車輪の外縁の周りを周方向に延在する凹部を更に含み、前記第1及び第2のマンドレル組立品の前記車輪は、前記車輪の外縁が前記第1及び第2のリング保持組立品のそれぞれの対の車輪の前記凹部内に嵌合するような寸法と形状に作られる、実施態様21に記載の器具。