(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
誘導性遺伝子発現システムが、Cre-LoxP組換えシステム、FLP-FRT組換えシステム、テトラサイクリン(Tet)制御転写活性化システム、エクジソン誘導性システム、熱ショックオン/オフシステム、lacO/IPTGシステム、Cumateリプレッサータンパク質CymRシステム、ニトロレダクターゼシステム、クメルマイシン/ノボビオシン調節システム、RheoSwitchリガンドRSL1システム、キメラ二分核内受容体発現システム、GAL4システム、ステロールまたはステロイドもしくは合成ステロイド誘導/抑制システム、およびそれらの任意の組み合わせより選択される、請求項1記載の非ヒトトランスジェニック動物。
第1のプロモーターに機能的に連結されかつloxP部位の制御下にある第1の外因性核酸分子であって、loxP部位がCreリコンビナーゼタンパク質の非存在下で第1の核酸分子の発現を妨げる、第1の外因性核酸分子;
第2のプロモーターに機能的に連結された、リバースtTA(rtTA)をコードする第2の外因性核酸分子;および
TetOオペレーターの制御下で第3のプロモーターに機能的に連結された、Creリコンビナーゼタンパク質をコードする第3の外因性核酸分子
を含むゲノムを含む、非ヒトトランスジェニック動物であって、
第1の外因性核酸分子が、ドミナントブラックβ-デフェンシン103、およびドミナントネガティブRab7から選択されるタンパク質をコードする、請求項1記載の非ヒトトランスジェニック動物。
イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アヒル、ガチョウ、ニワトリ、霊長類動物、魚、カエル、サンショウウオ、ヘビ、トカゲ、キツネ、イタチ、ウサギ、ミンク、ビーバー、アーミン、カワウソ、クロテン、アザラシ、コヨーテ、チンチラ、シカ、マスクラット、またはポッサムである、請求項1記載の非ヒトトランスジェニック動物。
誘導性遺伝子発現システムがCre-LoxP組換えシステムを含み、誘導剤がCreリコンビナーゼタンパク質であり、かつCreリコンビナーゼがトランスジェニック動物へ局所投与される、請求項12記載の方法。
精原幹細胞(SSC)、転移因子を使用するpiggyBac(商標)移動DNA技術、ザントモナス(Xanthamonas)転写アクチベーター様(TAL)ヌクレアーゼ(XTN)、またはそれらの組み合わせを使用して、外因性核酸分子を動物中へ移入する、請求項12記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】動物において色変化をもたらすための遺伝子構築物の態様の図式描写である。
【
図2】動物の皮膚または柔毛においてカスタマイズ可能なパターンおよび色を作製するための遺伝子構築物の態様の図式描写である。
【
図3】動物の皮膚または柔毛においてカスタマイズ可能なパターンおよび色を作製するための遺伝子構築物の態様の図式描写である。
【
図4】マウスの皮膚または柔毛においてカスタマイズ可能なパターンおよび色を作製するための遺伝子構築物の一態様の図式描写である。構築物は、全ての皮膚線維芽細胞において発現され、シグナル伝達分子β-Def103のドミナントブラック型を駆動する、ケラチン14プロモーターを含む。β-Def103の発現は、マーカーとして使用される、リングフィンガータンパク質(RFP)をコードするLoxP切除可能核酸によってブロックされている。RFPをコードする核酸分子は構築物のために必要ではなく、STOPによって置き換えることができる。
【
図5】(A)リコンビナーゼの経皮適用によって活性化されたβ-Def103発現は、成体マウスのコートまたは柔毛中に遺伝子的に永久的な変更を作製することを示す。(B)マーキング変更の微調整を達成することができる:単一の狭い黒線を有するマウスを、リコンビナーゼの注射によって作製する。皮膚/柔毛パターンの変化は多数のサイクルのコート再生を通じて持続し、このことは、内在する幹細胞の変化の成功を示している。
【
図6】トランスジェニックマウスのコート色が、マウスの皮膚へ適用されるリコンビナーゼの量によって漸増され得ることを示している。マウスへ適用されるリコンビナーゼの量の増加は、導入遺伝子発現およびユーメラニン活性化のレベルを増加させる。
【
図7】増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)の精子特異的発現、およびドミナントネガティブRab7のリコンビナーゼ介在メラニン細胞特異的発現を伴う、ノックインウシについての遺伝子構築物の一態様の図式描写である。PIGGYBAC(商標)トランスポゾンによって切り取ることができる、ネオマイシン耐性バイオマーカータンパク質をコードする核酸配列が構築物の中央に配置されており、構築物にはショートホモロジーアームが隣接している。
【
図8】皮膚においてカスタマイズ可能な識別パターンを発現するように遺伝子操作されたブラックアンガス雌牛の描写を示す。
【0030】
配列の簡単な説明
配列番号1は、二機能酵素CarRP様アイソフォーム1[アシルトシホン・ピスム(Acyrthosiphon pisum)]のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号XP_001943170)である。
【0031】
配列番号2は、二機能酵素CarRP様[アシルトシホン・ピスム]のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号XP_001950787)である。
【0032】
配列番号3は、リコペンシクラーゼ/フィトエンシンターゼ様[アシルトシホン・ピスム]のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号XP_001950868)である。
【0033】
配列番号4は、フィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム]のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号XP_001943225)である。
【0034】
配列番号5は、フィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム]のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号XP_001950764)である。
【0035】
配列番号6は、フィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム]のアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号XP001946689)である。
【0036】
配列番号7は、フィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム]のアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号XP_001943938)である。
【0037】
配列番号8は、メラノコルチン1受容体のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号EDL11741)である。
【0038】
配列番号9は、αメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)のアミノ酸配列である。
【0039】
配列番号10は、βメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)のアミノ酸配列である。
【0040】
配列番号11は、βメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)のアミノ酸配列である。
【0041】
配列番号12は、γメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)のアミノ酸配列である。
【0042】
配列番号13は、β-デフェンシンタンパク質のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号AAT67592)である。
【0043】
配列番号14は、アグーチシグナル伝達タンパク質前駆体のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_056585)である。
【0044】
配列番号15は、チロシナーゼ(TYR)のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号BAA00341)である。
【0045】
配列番号16は、メラニン細胞特異的輸送タンパク質のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号Q62052)である。
【0046】
配列番号17は、rabタンパク質ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ成分A2のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_067325)である。
【0047】
配列番号18は、ras関連タンパク質Rab-7aのアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_033031)である。
【0048】
配列番号19は、推定E3ユビキチンタンパク質リガーゼ(HERC2)のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_084390)である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な開示
本発明は、動物においてカスタマイズ可能な形質を作製するための材料および方法を提供する。例えば、本発明は、動物の皮膚および/または柔毛においてカスタマイズ可能なパターンを作製するための材料および方法を提供する。他の態様において、カスタマイズ可能な形質は、動物の皮膚または柔毛の長さおよび/または質感を含み得る。あるいは、本発明は、動物の体毛、爪、かぎ爪、および/または角の質感、構造強度、および/または長さの制御された変化をもたらすために使用することができる。
【0050】
ある具体的な態様において、本発明の方法は、ケラチン-14特異的プロモーター、loxpカセット中の赤色蛍光タンパク質、色素カセット中のドミナントブラック(ΔG23)βデフェンシン103、およびSV40(イントロンを含む)ポリアデニル化配列を含む遺伝子構築物を、動物の細胞中へ導入する工程を含む。遺伝子構築物を有する動物の皮膚へCreリコンビナーゼ(またはHTNCre)を含む組成物を次いで適用すると、動物の柔毛は、組成物が適用された場所で黒色に変わる。このようにして、柔毛は、所望の形状で変色するように永久的に遺伝子改変される。
【0051】
従って、一態様において、本発明は、動物の皮膚および/または柔毛においてカスタマイズ可能で永久的なパターンを作製するための方法を提供する。
【0052】
別の態様において、本発明は、動物種の皮膚および/または柔毛において多色パターンを製造するための方法を提供する。
【0053】
さらなる態様において、本発明は、動物がその生涯を通じてその色を維持するように柔毛が生え続けるように、動物種の皮膚および/または柔毛においてカスタマイズ可能なパターンを作製する方法を提供する。
【0054】
本発明はまた、その動物内で遺伝性であるカスタマイズ可能な所定のストライプパターンを作製する方法を提供する。
【0055】
一態様において、トランスジェニック動物は、遺伝性の柔らかいかぎ爪または柔らかい体毛もしくは柔毛を有する。
【0056】
別の態様において、本発明は、トランスジェニック動物の細胞、組織、または部分(例えば、皮膚、体毛、柔毛)、およびそれらの使用を提供する。一態様において、トランスジェニック動物は、皮膚および/または柔毛においてカスタマイズ可能な色および/またはパターンを有し、皮膚または柔毛は、衣類、敷物、靴、馬具、馬用ハーネス、室内装飾材料、および他の革製品の製造に有用な、皮、毛皮、革などの製造のために、その後トランスジェニック動物から取り出すことができる。
【0057】
カスタマイズ可能な形質を有するトランスジェニック動物
一態様において、本発明は、カスタマイズ可能な形質を有するトランスジェニック動物を提供し、ここで、トランスジェニック動物は(例えばそのゲノム中に)関心対象のタンパク質をコードする外因性核酸分子を含み、この核酸分子は、プロモーターに機能的に連結されており、かつ、遺伝子発現を活性化するために誘導剤の存在を必要とする誘導性遺伝子発現システムの制御下にあり、外因性核酸分子の発現は誘導剤の非存在下で阻害される。
【0058】
ある態様において、タンパク質をコードする外因性核酸分子は、色素タンパク質;色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質;発光(例えば、蛍光)タンパク質;動物の皮膚または柔毛の長さおよび/または質感に関与するタンパク質;ならびに動物の爪、かぎ爪、および/または角の質感、構造強度、および/または長さに関与するタンパク質より選択される。
【0059】
ある具体的な態様において、本発明は、カスタマイズ可能な柔毛または皮膚の着色を有するトランスジェニック動物を提供し、ここで、トランスジェニック動物のゲノムは関心対象の色素タンパク質または関心対象の色素の合成および/もしくは輸送に関与するタンパク質をコードする外因性核酸分子を含み、この外因性核酸分子は、プロモーターに機能的に連結されており、かつ、部位特異的組換えシステムである誘導性遺伝子発現システムの制御下にあり、、部位特異的組換えシステムは、部位特異的組換えの非存在下で第1の核酸分子の発現を阻害する。
【0060】
外因性核酸分子の発現は、トランスジェニック動物への例えばリコンビナーゼの適用後に誘導され得る。
【0061】
一態様において、外因性核酸分子、プロモーター、および/または部位特異的組換えシステムは、着色構築物中に含有される。
【0062】
一態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、その発現がCre/LoxP組換えシステムの制御下にある外因性核酸分子を含み、ここで、Cre/LoxP組換えシステムは外因性核酸分子の発現を妨げる。ある具体的な態様において、Cre/LoxP組換えシステムはlox-stop-lox(LSL)配列を含む。
【0063】
一態様において、着色構築物を、受精卵などの細胞中へ移入する。着色構築物を、レンチウイルス、前核注射、および卵細胞質内精子注入法(ICSI)を含むがこれらに限定されない任意の通常の手段を使用して、受精卵中へ移入することができる。
【0064】
ある態様において、1つまたは複数の着色構築物をトランスジェニック動物のゲノム中へ導入する。着色構築物は、各核酸分子が関心対象のタンパク質をコードする、2つ以上の外因性核酸分子を含むことができる。
【0065】
ある態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、関心対象の核酸分子の発現を制御するための2つ以上の誘導性遺伝子発現システムを含む。
【0066】
ある具体的な態様において、本発明は、カスタマイズ可能な形質(例えば、柔毛または皮膚の着色)を有するトランスジェニック動物を提供し、ここで、トランスジェニック動物のゲノムは以下を含む:
第1のプロモーターに機能的に連結されかつloxP部位の制御下にある、関心対象のタンパク質(例えば着色タンパク質)をコードする第1の外因性核酸分子であって、loxP部位は、Creリコンビナーゼタンパク質の非存在下で第1の外因性核酸分子の発現を妨げる、第1の外因性核酸分子;ならびに
第2のプロモーターに機能的に連結された、Creリコンビナーゼタンパク質をコードする第2の核酸分子。
【0067】
別の具体的な態様において、本発明は、カスタマイズ可能な形質(例えば、柔毛または皮膚の着色)を有するトランスジェニック動物を提供し、ここで、トランスジェニック動物のゲノムは以下を含む:
第1のプロモーターに機能的に連結されかつloxP部位の制御下にある、関心対象のタンパク質(例えば着色タンパク質)をコードする第1の外因性核酸分子であって、loxP部位は、Creリコンビナーゼタンパク質の非存在下で第1核酸分子の発現を妨げる、第1の外因性核酸分子;
第2のプロモーターに機能的に連結された、リバースtRA(rtTA)をコードする第2の核酸;および
TetOオペレーターの制御下で第3のプロモーターに機能的に連結された、Creリコンビナーゼタンパク質をコードする第3の核酸分子。
【0068】
図2および3は、関心対象(例えば、色素タンパク質、および生物色素の合成に関与するタンパク質)の外因性核酸分子の発現がCre-LoxP組換えシステムおよびテトラサイクリン(Tet)制御転写活性化システムの制御下にある、発現構築物の態様を示す。
【0069】
ある具体的な態様において、DMSO担体と混合されたドキシサイクリン(またはエクジソンなど)を、金色の柔毛色を有するトランスジェニック動物へ適用し、それによってトランスジェニック動物の色が赤色に変わり;その後、DMSOと混合されたCreまたはHTNCreをそのトランスジェニック動物へ適用し、黒色を生じさせる。
【0070】
別の具体的な態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、その発現がテトラサイクリン(Tet)制御転写活性化システムの制御下にある外因性核酸分子を含む。
【0071】
別の態様において、本発明は、カスタマイズ可能な形質(例えば、柔毛または皮膚の着色)を有するトランスジェニック動物を提供し、ここで、トランスジェニック動物のゲノムは、第1のプロモーターに機能的に連結されておりかつ誘導性遺伝子発現システム(例えば、テトラサイクリン(Tet)制御転写活性化システム)の制御下にある、関心対象のタンパク質(例えば着色タンパク質)をコードする第1の外因性核酸分子を含み、ここで、誘導性遺伝子発現システムは、その不活性化状態(誘導の非存在)において、第1の核酸分子の発現を妨げる。
【0072】
トランスジェニック動物は、以下を含むがこれらに限定されない任意の種のものであり得る:イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、およびハムスターなど、飼い慣らされた動物および実験動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物種;家畜、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アヒル、ガチョウ、およびニワトリ;霊長類動物、例えば、類人猿、チンパンジー、オランウータン、ヒト、およびサル;魚;両生類動物、例えば、カエルおよびサンショウウオ;爬虫類動物、例えば、ヘビおよびトカゲ;ならびに他の動物、例えば、キツネ、イタチ、ウサギ、ミンク、ビーバー、アーミン、カワウソ、クロテン、アザラシ、コヨーテ、チンチラ、シカ、マスクラット、およびポッサム。ある態様において、動物はヒトではない。
【0073】
色素タンパク質
用語「色素タンパク質」は、本明細書において使用される場合、色素を含むタンパク質を指す。用語「色素」は、本明細書において使用される場合、発光しないが、波長選択的吸収の結果として反射光または透過光の色を変化させる物質を指し、この物理的プロセスは、物質が光を発するする、蛍光、燐光、およびルミネセンスの他の形式とは異なる。色素タンパク質としては、色素蛋白、例えばシトクロムおよびフラビンタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
発光タンパク質
用語「発光タンパク質」は、本明細書において使用される場合、発光するタンパク質を指す。本発明に従って有用な発光タンパク質としては、蛍光タンパク質、例えば、しかしこれらに限定されないが、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、および赤色蛍光タンパク質;ならびに燐光性タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。蛍光タンパク質は、それら自体のポリペプチド配列内の3つのアミノ酸の配列から可視波長発色団を形成するために自己充足的であるという独特な特性を共有するクラスのタンパク質のメンバーである。蛍光タンパク質を含む様々な発光タンパク質が公知である。本発明に従って有用な蛍光タンパク質としては、米国特許第7,160,698号、米国特許出願公開第2009/0221799号、第2009/0092960号、第2007/0204355号、第2007/0122851号、第2006/0183133号、第2005/0048609号、第2012/0238726号、第2012/0034643号、第2011/0269945号、第2011/0223636号、第2011/0152502号、第2011/0126305号、第2011/0099646号、第2010/0286370号、第2010/0233726号、第2010/0184116号、第2010/0087006号、第2010/0035287号、第2007/0021598号、第2005/0244921号、第2005/0221338号、第2004/0146972号、および第2001/0003650号に開示される蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限定されず、これらの全ては参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0075】
生物色素の合成に関与するタンパク質
生物色素の合成に関与するタンパク質としては、野生型もしくは突然変異型のメラノコルチン受容体(MC1R)、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)(例えば、α-MSH、β-MSH、γ-MSH)、β-デフェンシン103、アグーチシグナル伝達タンパク質(ASP)、チロシナーゼ(TYR)、メラニン細胞特異的輸送タンパク質、Ras関連タンパク質Rab-7、rabタンパク質ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ成分A2、および推定E3ユビキチンタンパク質リガーゼ(HERC2)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
ある態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、生物色素の合成に関与するタンパク質をコードする外因性核酸分子を含む。
【0077】
生物色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質をコードする核酸分子は、ドミナントMC1R E92Kおよびアグーチ遺伝子を含むがこれらに限定されない遺伝子に由来し得る。ある態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、メラニン(例えば、フェオメラニン、ユーメラニン);ウロクローム;クロロフィル;ビリルビン;ビリベルジン;フィコビリン;フィコエリトロビリン;ステルコビリン;ウロビリン;ヘモシアニン;ヘモグロビン;ミオグロビン;ルシフェリン;カロテノイド、例えば、ヘマトクロム、カロテン(例えば、αおよびβカロテン、リコペン、ロドプシン)、キサントフィル(例えば、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン);フィトクロム;フィコビリンタンパク質(例えば、R-フィコエリトリン(R-PE)、B-フィコエリトリン(B-PE)、C-フィコシアニン(CPC)、アロフィコシアニン(APC));ポリエンエノラート;ならびにフラボノイドを含むがこれらに限定されない、生物色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質をコードする核酸分子を含む。
【0078】
黄色、赤色、または橙色のカロテノイド色素は、Moran (2010) and Verdoes (2003)に記載されるように、フィトエンシンターゼ、デサチュラーゼ、およびシクラーゼを発現する動物において合成され得る。一態様において、カロテノイド色素は、基質としてゲラニルゲラニルピロリン酸を使用して合成される。
【0079】
生物色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質としては、二機能酵素CarRP様アイソフォーム1([アシルトシホン・ピスム](例えば、GenBankアクセッション番号XP_001943170(配列番号1))、二機能酵素CarRP様[アシルトシホン・ピスム](例えば、GenBankアクセッション番号XP_001950787(配列番号2))、リコペンシクラーゼ/フィトエンシンターゼ様[アシルトシホン・ピスム](例えば、GenBankアクセッション番号XP_001950868(配列番号3))、フィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム](例えば、GenBankアクセッション番号XP_001943225(配列番号4))、フィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム](例えば、GenBankアクセッション番号XP_001950764(配列番号5))、フィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム](例えば、GenBankアクセッション番号XP001946689(配列番号6))、およびフィトエンデヒドロゲナーゼ様[アシルトシホン・ピスム](例えば、GenBankアクセッション番号XP_001943938(配列番号7))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
生物色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質は、メラノコルチン1受容体(例えば、GenBankアクセッション番号EDL11741(配列番号8))、αメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)(例えば、配列番号9)、βメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)(例えば、配列番号10、配列番号11)、γメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)(例えば、配列番号12)、β-デフェンシン(例えば、GenBankアクセッション番号AAT67592(配列番号13))、アグーチシグナル伝達タンパク質前駆体(例えば、GenBankアクセッション番号NP_056585(配列番号14))、チロシナーゼ(TYR)(例えば、GenBankアクセッション番号BAA00341(配列番号15))、メラニン細胞特異的輸送タンパク質(例えば、GenBankアクセッション番号Q62052(配列番号16))、rabタンパク質ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ成分A2(例えば、GenBankアクセッション番号NP_067325(配列番号17))、ras関連タンパク質Rab-7a(例えば、GenBankアクセッション番号NP_033031(配列番号18))、および推定E3ユビキチンタンパク質リガーゼ(HERC2)(例えば、GenBankアクセッション番号NP_084390(配列番号19))を含むがこれらに限定されない、任意の動物起源(例えば、マウス、ブタ、ヒト)のものであり得る。
【0081】
ある態様において、生物色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質は、配列番号1〜19のいずれかと、少なくとも80%同一性を有するか、または80%よりも高い(例えば、少なくとも85%、87%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)任意の同一性の割合を有するタンパク質であり得る。
【0082】
体毛、爪、かぎ爪、および/または角の質感、構造強度、および/または長さに関与するタンパク質
ある態様において、トランスジェニック動物は、体毛の質(例えば、ストレートのもしくはカールした体毛)または長さを変更するタンパク質をコードする核酸分子を発現する。一態様において、外毛根鞘におけるWNT3またはDVL2の条件的過剰発現は、動物においてより短い体毛を誘導する。ある態様において、トランスジェニック動物は、動物の体毛、爪、かぎ爪、および/または角の質感、構造強度、および/または長さに関与するタンパク質をコードする核酸分子を発現する。
【0083】
動物の体毛、爪、かぎ爪、および/または角の質感、構造強度、および/または長さの制御に関与するタンパク質としては、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン2A、ケラチンHB6、ケラチン3、ケラチン4、ケラチン5、ケラチン6、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン9、ケラチン10、ケラチン11、ケラチン12、ケラチン13、ケラチン14、ケラチン15、ケラチン16、ケラチン17、ケラチン18、ケラチン19、ケラチン20、ケラチン23、ケラチン24、ケラチン25、ケラチン26、ケラチン27、ケラチン28、ケラチン31、ケラチン32、ケラチン33、ケラチン34、ケラチン35、ケラチン36、ケラチン37、ケラチン38、ケラチン39、ケラチン40、ケラチン71、ケラチン72、ケラチン73、ケラチン74、ケラチン75、ケラチン76、ケラチン77、ケラチン78、ケラチン79、ケラチン80、ケラチン81、ケラチン82、ケラチン83、ケラチン84、ケラチン85、およびケラチン86を含むがこれらに限定されない、ケラチンタンパク質が挙げられる。
【0084】
アミノ酸および/またはポリヌクレオチド配列の修飾
様々な色素タンパク質;色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質;動物の皮膚または柔毛の長さおよび/または質感に関与するタンパク質;ならびに動物の爪、かぎ爪、および/または角の質感、構造強度、および/または長さに関与するタンパク質のアミノ酸配列は、GenBankデータベースなどから、公的に入手可能である。本発明はそのようなタンパク質の使用を包含する。
【0085】
本発明の範囲内のポリヌクレオチドおよびポリペプチドはまた、本明細書において具体的に例示される配列との同一性によって定義することができる。配列同一性は、典型的に60%を超え、好ましくは75%を超え、より好ましくは80%を超え、さらにより好ましくは90%を超え、95%を超えることができる。配列の同一性は、本明細書において例示される配列と比較して60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%であり得る。
【0086】
特に指定のない限り、本明細書において使用される場合、2つの配列の配列同一性の割合は、Karlin and Altschul (1993)において改変された、Karlin and Altschul (1990)のアルゴリズムを使用して決定することができる。そのようなアルゴリズムをAltschul et al. (1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラムへ組み込む。BLAST検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で行い、所望の配列同一性の割合を有する配列を得ることができる。比較目的のためのギャップアライメントを得るために、Gapped BLASTをAltschul et al. (1997)に記載されるように使用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(NBLASTおよびXBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。NCBI/NIHウェブサイトを参照されたい。
【0087】
プロモーターエレメント
本発明に従うある態様において、核酸分子は、構成的、誘導性、または組織特異的プロモーターに機能的に連結されている。
【0088】
用語「構成的プロモーター」は、本明細書において使用される場合、その関連遺伝子の連続的な転写を可能にする未制御プロモーターであるその通常の意味を指す。本発明に従って有用な構成的プロモーターとしては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、CMV-ニワトリβアクチンプロモーター、ユビキチンプロモーター、JeTプロモーター、SV40プロモーター、βグロビンプロモーター、伸長因子1α(EF1-α)プロモーター、RSVプロモーター、およびMo-MLV-LTRプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明に従って有用なプロモーターとしては、ユニバーサルプロモーター(例えば、Rosa26);組織特異的プロモーター、例えば、ケラチノサイト特異的プロモーター(例えば、ケラチン14);メラニン細胞特異的プロモーター(例えば、メラノコルチン1受容体(MCR1)遺伝子のプロモーター);および真皮乳頭特異的プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。本発明に従って有用なプロモーターとしては、メラニン細胞特異的プロモーターおよびマトリックス細胞特異的プロモーターが挙げられる。
【0090】
ケラチノサイト特異的プロモーターとしては、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン2A、ケラチンHB6、ケラチン3、ケラチン4、ケラチン5、ケラチン6、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン9、ケラチン10、ケラチン11、ケラチン12、ケラチン13、ケラチン14、ケラチン15、ケラチン16、ケラチン17、ケラチン18、ケラチン19、ケラチン20、ケラチン23、ケラチン24、ケラチン25、ケラチン26、ケラチン27、ケラチン28、ケラチン31、ケラチン32、ケラチン33、ケラチン34、ケラチン35、ケラチン36、ケラチン37、ケラチン38、ケラチン39、ケラチン40、ケラチン71、ケラチン72、ケラチン73、ケラチン74、ケラチン75、ケラチン76、ケラチン77、ケラチン78、ケラチン79、ケラチン80、ケラチン81、ケラチン82、ケラチン83、ケラチン84、ケラチン85、およびケラチン86遺伝子のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
ある態様において、本発明に従って有用なプロモーターとしては、NF-KB、インターフェロンγ、エストロゲン、およびまたはグルココルチコイドのような、関心対象の内因性生物学的因子の存在下で遺伝子発現を誘導するプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明に従って有用なプロモーターとしては、ウイルス、細菌、および/または原生動物など関心対象の感染因子の存在下で遺伝子発現を誘導するプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
一態様において、真皮乳頭特異的プロモーターを、体節由来の細胞においてカスタマイズ可能な着色、色、またはパターンを作製するために使用し;有用なプロモーターとしては、Ripply2プロモーター、Tabbyプロモーター、およびTickedプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。プロモーターの選択は、多数の種間比較を行うことおよび/または十分に保存されたプロモーターエレメントの範囲を使用することによって決定することができる。ある態様において、プロモーターエレメントは、レポータータンパク質をコードする核酸分子をさらに含み、これは薬物の投与、および/またはトランスジェニック動物におけるバイオマーカーの循環レベルもしくは代謝状態に応答して発現される。一態様において、プロモーターは、例えば心臓へのストレス、循環サイトカインのレベルの増加、および/またはステロイドの存在もしくは活性の増加のような、トランスジェニック動物における関心対象の生理的状態の存在に応答して、関心対象のタンパク質(例えば、色素タンパク質、および/または生物色素の合成に関与するタンパク質)の発現を誘導する。
【0094】
誘導性発現システム
本発明に従って有用な誘導性遺伝子発現システムとしては、部位特異的組換えシステム、例えば、しかしこれに限定されないが、Cre-LoxP組換えシステム;FLP-FRT組換えシステム;テトラサイクリン(Tet)制御転写活性化システム;エクジソン誘導性システム;熱ショックオン/オフシステム;lacO/IPTGシステム;Cumateリプレッサータンパク質CymRシステム;ニトロレダクターゼシステム;クメルマイシン/ノボビオシン調節システム;RheoSwitchリガンドRSL1システム;キメラ二分核内受容体発現システム;GAL4システム;ステロールまたはステロイドもしくは合成ステロイド誘導/抑制システム;およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
一態様において、本発明に従って有用な誘導システムはCre-LoxP組換えシステムである。トランスジェニック動物のゲノムは、その発現がCre/LoxP組換えシステムの制御下にある外因性核酸分子を含み得、ここで、Cre/LoxP組換えシステムは外因性核酸分子の発現を妨げる。ある具体的な態様において、Cre/LoxP組換えシステムはlox-stop-lox(LSL)配列を含む。
【0096】
Cre-LoxP組換えシステムは、細胞またはトランスジェニック動物のDNAにおいて部位特異的欠失、挿入、転座、および逆位を行うために有用な部位特異的組換え技術である。Creリコンビナーゼタンパク質(「組換えを引き起こす(cause recombination)」と元は命名された座によってコードされる)は、4つのサブユニットおよび以下の2つのドメインからなる:より大きなカルボキシル(C末端)ドメインおよびより小さなアミノ(N-末端)ドメイン。loxP(locus of X-over P1)はバクテリオファージP1上の部位であり、34 bpからなる。Creリコンビナーゼが介在する組換えの結果は、シスまたはトランスで配置され得る、loxP部位の位置および方向に依存する。シス配置の場合、loxP部位の方向は同一または反対であり得る。トランス配置の場合、関与するDNA鎖は線形または環状であり得る。Creリコンビナーゼが介在する組換えの結果は、シスloxP部位の場合、間にある配列の除去(loxP部位が同じ方向にある場合)または逆位(loxP部位が反対の方向にある場合)であり得、トランスloxP部位の場合、2つの分子(染色体)間の転座または一方のDNAのもう一方への挿入であり得る。Cre-LoxP組換えシステムは当技術分野において公知であり、例えば、Andras Nagy, Cre recombinase: the universal reagent for genome tailoring, Genesis 26:99-109 (2000)を参照のこと。
【0097】
Lox-Stop-Lox(LSL)カセットは、Creが介在する組換えが存在しない場合に導入遺伝子の発現を妨げる。Creリコンビナーゼの存在下で、LoxP部位は再結合し、stopカセットは欠失される。Lox-Stop-Lox(LSL)カセットは当技術分野において公知である。Allen Institute for Brain Science, Mouse Brain Connectivity Altas, Technical White Paper: Transgenic Characterization Overview (2012)を参照されたい。
【0098】
ある態様において、loxP部位は、レポーター遺伝子をコードする遺伝子(例えば、lacz、GFP)および/または第2の着色タンパク質をコードする核酸分子(例えば、第1の着色が優性活性MC1Rを含有する場合、別のアグーチ遺伝子がloxP部位に隣接し得る)をさらに含む。
【0099】
テトラサイクリン(Tet)制御転写活性化は、転写が抗生物質テトラサイクリンまたはその誘導体の1つ(例えば、ドキシサイクリン)の存在または非存在によって可逆的に制御される、誘導性発現の方法である。遺伝子発現は、誘導性プロモーター内に配置されたテトラサイクリン応答エレメント(TRE)へのTet-offまたはTet-onタンパク質の結合の結果として活性化される。Tet-onおよびTet-offタンパク質は両方とも遺伝子発現を活性化する。Tet-Offタンパク質はテトラサイクリン誘導体−ドキシサイクリン(Dox)の非存在下で遺伝子発現を活性化するのに対して、Tet-onタンパク質はDoxの存在下で遺伝子発現を活性化する。
【0100】
Tet-offシステムにおいて、TetR(テトラサイクリンリプレッサー)タンパク質(大腸菌から得ることができる)とVP16タンパク質(単純ヘルペスウイルスから得ることができる)とを融合させることによって作製される、テトラサイクリントランスアクチベーター(tTA)タンパク質が、DNA上のTetOオペレーターで結合する。いったん結合されると、TetOオペレーターは、TetOオペレーターへ連結されたプロモーターを活性化し、それによって、近くの遺伝子の転写が活性化される。テトラサイクリン誘導体は、tTAに結合し、そのTRE配列への結合を不可能にし、それによって標的遺伝子のトランス活性化が妨げられる。
【0101】
Tet-Onシステムにおいて、tTAタンパク質にドキシサイクリンが結合すると、ドキシサイクリン結合tTAは、TetOオペレーターに結合することができる。従って、システムへのドキシサイクリンの導入は、遺伝子産物の転写を開始させる。Tet-onシステムは、より速い応答性のために時には好ましい。
【0102】
リバースtTA(rtTA)は、Dox(Tet-on)の添加による迅速な遺伝子活性化についての補足的な遺伝子モジュールである。Kistner et al., Doxycycline mediated quantitative and tissue-specific control of gene expression in transgenic mice, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol. 93, pp. 10933-10938 (1996)を参照されたい。
【0103】
Tet-on Advancedトランスアクチベーター(rtTA2
s-M2としても公知)は、低下した基礎発現を示し、Tet-onと比べて10倍より低いDox濃度で機能する、Tet-Onの代替型である。さらに、その発現は、ヒトコドン最適化されており、かつ、3つの最小限の転写活性化ドメインを利用するために、真核細胞中でより安定していると考えられる。Tet-on 3G(rtTA-V10としても公知)は、Tet-on Advancedと類似しており、ヒトコドン最適化されており、3つの最小限のVP16活性化ドメインから構成される。Tet-on 3Gは、元のTet-onよりも100倍より低いDoxに対して感受性である。
【0104】
テトラサイクリン応答性調節発現エレメントの一態様において、テトラサイクリン制御リバーストランスアクチベーター(rtTA)は、tetR(例えば、大腸菌Tn10由来);エフェクターとして役立つ哺乳動物転写因子VP16トランス活性化ドメイン;およびrtTAエフェクター転写を制御する組織特異的プロモーターを含む。ドキシサイクリンの存在下で、rtTAは、導入遺伝子の発現を駆動するCMVプロモーターの上流に配置された(TeTO)
7オペレーター(7縦列反復TetO配列)へ結合する。結果として、導入遺伝子発現は、ドキシサイクリンの投与および投与中止によってスイッチオンまたはオフすることができる。
【0105】
発現構築物
本発明はまた、トランスジェニック動物を製造するために有用な発現構築物、ベクター、ならびに宿主細胞を提供する。
【0106】
本明細書において使用される場合、用語「発現構築物」は、機能的に連結された核酸配列の転写を提供する核酸配列の組み合わせを指す。本発明の発現構築物はまた、発現構築物が発現される意図された宿主細胞において機能的である調節エレメントを通常含む。従って、当業者は、例えば、細菌宿主細胞、酵母宿主細胞、植物宿主細胞、昆虫宿主細胞、哺乳動物宿主細胞、およびヒト宿主細胞における使用のための調節エレメントを選択することができる。調節エレメントは、プロモーター、転写終結配列、翻訳終結配列、エンハンサー、およびポリアデニル化エレメントを含む。
【0107】
ある態様において、本発明は、着色構築物およびパターン形成構築物を含む、動物の色および/またはパターンをカスタマイズするための発現構築物を提供する。
【0108】
図1は、プロモーター、loxPカセット、関心対象の色素タンパク質または関心対象の色素の合成および/もしくは輸送に関与するタンパク質をコードする核酸分子、ならびにポリアデニル化配列を含む、着色構築物のある態様を示す。着色構築物の一態様において、関心対象の色素タンパク質または関心対象の色素の合成および/もしくは輸送に関与するタンパク質の発現は、Creリコンビナーゼの適用によって活性化される。
【0109】
別の態様において、本発明はパターン構築物を提供する。
図2はパターン形成構築物のある態様を示す。一態様において、パターン形成構築物のプロモーターは、体節境界指定に特異的な遺伝子に由来する。一態様において、プロモーターは、Ripply2プロモーター、Tabbyプロモーター、およびTickedプロモーターより選択される。一態様において、トランスジェニック動物は着色構築物およびパターン形成構築物を含む。一態様において、トランスジェニック動物は、背側の皮膚上にカスタマイズ可能な構成的縦縞を有する。
【0110】
一態様において、トランスジェニック動物のゲノムは以下を含む:
1)プロモーターがメラニン細胞特異的プロモーターであり、かつ、核酸分子が赤色色素の合成に関与するタンパク質(例えば、ASIPまたはMC1R)をコードする、
図1に示される着色構築物;
2)プロモーターが真皮乳頭特異的プロモーターであり、かつ、核酸分子が-デフェンシン103をコードする、
図1に示される着色構築物;ならびに
3)プロモーターがメラニン細胞特異的プロモーターである、
図3に示される構築物のセット。
【0111】
本発明の発現構築物は、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド配列へ機能的に連結されたプロモーター配列を含むことができる。プロモーターは、当技術分野において公知の標準技術を使用して、ポリヌクレオチド中へ組み込むことができる。プロモーターの複数のコピーまたは複数のプロモーターを本発明の発現構築物中に使用することができる。好ましい態様において、プロモーターは、その天然遺伝子環境における転写開始部位からの距離とほぼ同じ転写開始部位からの距離に配置することができる。プロモーター活性の実質的な減少なしに、この距離をいくらか変更することが可能である。転写開始部位は発現構築物中に典型的に含まれる。
【0112】
本明細書において使用される場合、用語「機能的に連結された」は記載の成分の並置を指し、ここで、成分は、それらが意図された様式で機能することを可能にする関係にある。一般に、機能的に連結された成分は、連続的な関係にある。コード配列へ機能的に連結された配列は、コード配列の複製、転写、および/または翻訳をもたらし得る。例えば、コード配列は、プロモーターがそのコード配列の転写を指示することができる場合、プロモーターに機能的に連結されている。
【0113】
「コード配列」または「コード領域」は、mRNAへ転写されるおよび/またはポリペプチドへ翻訳されるポリヌクレオチド配列である。例えば、コード配列は関心対象のポリペプチドをコードし得る。コード配列の境界は、5'末端の翻訳開始コドンおよび3'末端の翻訳終止コドンによって決定される。
【0114】
用語「プロモーター」は、本明細書において使用される場合、所望の分子をコードする核酸配列など、転写される核酸配列へ機能的に連結されたDNA配列を指す。プロモーターは通常、転写される核酸配列の上流に配置されており、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的結合のための部位を提供する。具体的な態様において、プロモーターは通常、転写されて所望の分子を生成する核酸配列の上流に配置されており、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的結合のための部位を提供する。
【0115】
プロモーターに加えて、1つまたは複数のエンハンサー配列、例えば、しかしこれらに限定されないが、サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメントおよびSV40エンハンサーエレメントが含まれてもよい。追加の含まれる配列は、イントロン配列、例えば、βグロビンイントロンまたは一般的なイントロン、転写終結配列、ならびにmRNAポリアデニル化(pA)配列、例えば、しかしこれらに限定されないが、SV40-pA、β-グロビン-pA、ヒト成長ホルモン(hGH)pAおよびSCF-pAである。
【0116】
一態様において、発現構築物は、ポリアデニル化配列、例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)およびSV40由来のポリアデニル化配列を含む。
【0117】
用語「ポリA」または「p(A)」または「pA」は、転写終結およびmRNAポリアデニル化を指示する核酸配列を指す。ポリA配列はヘキサヌクレオチドモチーフAAUAAAを特徴とする。一般的に使用されるポリアデニル化シグナルは、SV40 pA、ヒト成長ホルモン(hGH)pA、βアクチンpA、およびβ-グロビンpAである。配列は32〜450 bpの長さの範囲にわたり得る。複数のpAシグナルを使用してもよい。
【0118】
一態様において、遺伝子構築物は、PIGGYBAC(商標)トランスポゾンによって切り取ることができる、ネオマイシン耐性バイオマーカータンパク質といった選択マーカーをコードする核酸分子を含む。一態様において、構築物はショートホモロジーアームに隣接している。
【0119】
用語「ベクター」は、宿主細胞へコーディング情報(例えば、本発明のポリヌクレオチド)を移入するために使用される任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)を指すために使用される。
【0120】
用語「発現ベクター」および「転写ベクター」は、宿主細胞(例えば、対象の細胞)における使用に適しており、かつ外因性核酸配列の発現を指示および/または制御する核酸配列を含有するベクターを指すために交換可能に使用される。発現としては、転写、翻訳、および、イントロンが存在する場合はRNAスプライシングなどのプロセスを含むが、これらに限定されない。本発明に従って有用なベクターとしては、プラスミド、ウイルス、BAC、YACなどが挙げられる。特定のウイルスベクターとしては、例示的に、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびレンチウイルス由来のものが挙げられる。
【0121】
本明細書において使用される場合、用語「単離された」分子(例えば、単離された核酸分子)は、組換え技術によって産生された場合は他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まない、または化学合成された場合は化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない分子を指す。
【0122】
用語「組換え」は、2つ以上の核酸が連結されており、かつ、本来は連結された状態では見られない、核酸構築物を示すために使用される。
【0123】
本明細書において使用される用語「核酸」は、一本鎖、二本鎖の、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む任意の形態の、2つ以上のヌクレオチドを有するRNAまたはDNA分子を指す。
【0124】
用語「ヌクレオチド配列」は、核酸の一本鎖形態のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド中のヌクレオチドの順序を指すために使用される。
【0125】
用語「発現された」は、対応のmRNAを生成するための核酸配列の転写および/または対応のタンパク質を生成するためのmRNAの翻訳を指す。発現構築物は、組換え的にまたは合成的にまたは周知の方法を使用するDNA合成によって、作製することができる。
【0126】
本明細書において使用される用語「調節エレメント」は、機能的に連結された核酸配列の発現のある局面を制御するヌクレオチド配列を指す。例示的な調節エレメントとしては、例示的に、エンハンサー、内部リボソーム進入部位(IRES)、イントロン、複製起点、ポリアデニル化シグナル(pA)、プロモーター、転写終結配列、および核酸配列の複製、転写、転写後プロセシングに寄与する、上流調節ドメインが挙げられる。当業者は、単なるルーチン実験を用いて、発現構築物におけるこれらのおよび他の調節エレメントを選択および使用することができる。
【0127】
一態様において、本発明の構築物は内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。一態様において、発現構築物はkozakコンセンサス配列を含む。
【0128】
任意で、レポーター遺伝子が導入遺伝子構築物中に含まれる。本明細書において使用される用語「レポーター遺伝子」は、発現された場合、例えば、化学発光、蛍光、比色反応、抗体結合、誘導性マーカー、リガンド結合アッセイなどによって容易に検出可能である遺伝子を指す。例示的なレポーター遺伝子としては、緑色蛍光タンパク質が挙げられるが、これに限定されない。遺伝子操作による組換え核酸、ベクター、形質転換宿主細胞、タンパク質およびタンパク質断片の製造は周知である。
【0129】
必要に応じて、ベクターは、部位特異的相同組換えを指示する隣接する核酸配列を任意で含有し得る。所望の遺伝子座中への相同組換えを可能にするための隣接するDNA配列の使用は、当技術分野において公知である。現在、染色体挿入部位に対応する数キロベースまでまたはそれ以上の隣接するDNAが、外因性DNAでの染色体配列の正確な置き換えを確実にするために、ベクター中でコーディング配列(または相同組換えによって染色体上の位置中へ挿入される本発明の任意の他の配列)の両側に存在することが好ましい。例えば、Deng et al, 1993, Mol. Cell. Biol 13(4):2134-40; Deng et al, 1992, Mol Cell Biol 12(8):3365-71 ; およびThomas et al, 1992, Mol Cell Biol 12(7):2919-23を参照されたい。本発明の細胞は関心対象の遺伝子の複数のコピーを含有し得ることも注意されるべきである。
【0130】
形質転換宿主細胞は、本発明の核酸構築物を含有するベクターで形質転換またはトランスフェクトされており、かつ、関心対象の機能的に連結された核酸を転写または翻訳してもしなくてもよい、細胞である。
【0131】
動物の形質のカスタマイゼーションのためのRNA干渉カセット
別の態様において、本発明は、カスタマイズ可能な形質を有するトランスジェニック動物を提供し、ここで、トランスジェニック動物のゲノムは、
プロモーターに機能的に連結されており、かつ、遺伝子発現を活性化するために誘導剤の存在を必要とする誘導性遺伝子発現システムの制御下にある、関心対象の外因性阻害性RNAコード配列
を含み、関心対象の外因性阻害性RNAコード配列の発現は、誘導剤の非存在下で阻害される。
【0132】
ある態様において、関心対象の外因性阻害性RNAコード配列は、色素タンパク質;色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質;動物の皮膚または柔毛の長さおよび/または質感に関与するタンパク質;発光(例えば、蛍光)タンパク質;ならびに動物の爪、かぎ爪、または角テクスチャーの質感、構造強度、および/または長さに関与するタンパク質をコードする核酸配列の発現に干渉する。
【0133】
一態様において、外因性阻害性RNAコード配列は、爪における架橋アクチンの発現に干渉するsiRNAをコードし、それによって鋭い代わりに柔らかい爪を有する遺伝子操作された動物(例えばネコ)が生産される。
【0134】
一態様において、RNAi構築物は、loxP部位に隣接するレポーター遺伝子の制御下にあり、かつ、架橋ケラチンに特異的なプロモーターに機能的に連結された、架橋ケラチンをコードする核酸分子の発現に干渉するsiRNAを含む。
【0135】
動物の体毛、爪、かぎ爪および/または角の質感、構造強度、および/または長さに関与するケラチンタンパク質としては、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン2A、ケラチンHB6、ケラチン3、ケラチン4、ケラチン5、ケラチン6、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン9、ケラチン10、ケラチン11、ケラチン12、ケラチン13、ケラチン14、ケラチン15、ケラチン16、ケラチン17、ケラチン18、ケラチン19、ケラチン20、ケラチン23、ケラチン24、ケラチン25、ケラチン26、ケラチン27、ケラチン28、ケラチン31、ケラチン32、ケラチン33、ケラチン34、ケラチン35、ケラチン36、ケラチン37、ケラチン38、ケラチン39、ケラチン40、ケラチン71、ケラチン72、ケラチン73、ケラチン74、ケラチン75、ケラチン76、ケラチン77、ケラチン78、ケラチン79、ケラチン80、ケラチン81、ケラチン82、ケラチン83、ケラチン84、ケラチン85、およびケラチン86が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
一態様において、本発明は、siRNAコード配列および3'UTR配列を含むmicroRNAカセットを提供する。
【0137】
本明細書において使用される場合、用語「RNA干渉」(「RNAi」)は、RNAの選択的細胞内分解を指す。RNAiは、外来RNA(例えば、ウイルスRNA)を除去するために細胞中に天然に生じる。天然のRNAiは、他の同様のRNA配列へ分解機構を向ける遊離dsRNAから切断された断片によって進行する。あるいは、RNAiは、例えば、PKC-
ιなどの内因性標的遺伝子の発現をサイレンシングするために、人の手によって開始することができる。
【0138】
本明細書において使用される場合、用語「低分子干渉RNA(small interfering RNA)」(「siRNA」)(当技術分野において「低分子干渉RNA(short interfering RNA)」とも呼ばれる)は、RNA干渉を指示または媒介することができる約10〜50ヌクレオチド(またはヌクレオチドアナログ)を含むRNA(またはRNAアナログ)を指す。
【0139】
本明細書において使用される場合、「標的特異的RNA干渉(RNAi)を指示するために標的mRNA配列に十分に相補的な配列」を有するsiRNAは、そのsiRNAがRNAi機構またはプロセスによって標的mRNA(例えば、PKC-
ι mRNA)の破壊を引き起こすために十分な配列を有することを意味する。「mRNA」または「メッセンジャーRNA」または「転写物」は、1つまたは複数のポリペプチドのアミノ酸配列を指定する一本鎖RNAである。この情報は、リボソームがmRNAへ結合するタンパク質合成の間に翻訳される。
【0140】
用語「ヌクレオチド」は、糖部分へエステル結合で結合された1つまたは複数のリン酸基を有するヌクレオシドを指す。例示的なヌクレオチドとしては、ヌクレオシド一リン酸、二リン酸および三リン酸が挙げられる。用語「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」は、本明細書において交換可能に使用され、5'および3'炭素原子間でホスホジエステル結合によって一緒に連結されたヌクレオチドのポリマーを指す。用語「核酸」または「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、またはそれらのいずれかの断片、ゲノムもしくは合成起源のDNAもしくはRNA(これらは、一本鎖もしくは二本鎖であり得、センス鎖もしくはアンチセンス鎖を示し得る)、ペプチド核酸(PNA)、または起源が天然もしくは合成の、任意のDNA様もしくはRNA様物質を包含する。当業者によって理解されるように、核酸がRNAである場合、デオキシヌクレオチドA、G、C、およびTは、それぞれ、リボヌクレオチドA、G、C、およびUによって置き換えられる。
【0141】
本明細書において使用される場合、用語「RNA」または「RNA分子」または「リボ核酸分子」は、リボヌクレオチドのポリマーを一般に指す。用語「DNA」または「DNA分子」または「デオキシリボ核酸分子」は、デオキシリボヌクレオチドのポリマーを一般に指す。DNAおよびRNA分子は、(例えば、それぞれ、DNA複製またはDNAの転写によって)天然に合成され得る。RNA分子は、転写後に修飾され得る。DNAおよびRNA分子はまた化学合成することができる。DNAおよびRNA分子は、一本鎖(即ち、それぞれ、ssRNAおよびssDNA)または多本鎖(例えば、二本鎖、即ち、それぞれ、dsRNAおよびdsDNA)であり得る。しかし、本発明の性質に基づいて、用語「RNA」または「RNA分子」または「リボ核酸分子」はまた、主に(即ち、80%を超える、または好ましくは90%を超える)リボヌクレオチドを含み、しかし少なくとも1つの非リボヌクレオチド分子、例えば、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドおよび/または少なくとも1つのヌクレオチドアナログを任意で含む、ポリマーを指し得る。
【0142】
本明細書において使用される場合、本明細書において「改変ヌクレオチド」または「修飾ヌクレオチド」とも呼ばれる、用語「ヌクレオチドアナログ」は、非天然リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含む、非標準ヌクレオチドを指す。好ましいヌクレオチドアナログは、ヌクレオチドの特定の化学的性質を変えるが、その意図される機能を行うヌクレオチドアナログの能力を保持するように、任意の位置で修飾されている。
【0143】
本明細書において使用される場合、用語「RNAアナログ」は、対応の未改変または未修飾RNAと比較して改変または修飾されたヌクレオチドを少なくとも1つ有するが、対応の未改変または未修飾RNAと同一または類似の性質または機能を保持している、ポリヌクレオチド(例えば、化学合成ポリヌクレオチド)を指す。上記で議論したように、オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル結合を有するRNA分子と比較してより遅い加水分解速度のRNAアナログをもたらす結合で連結されていてもよい。例示的なRNAアナログとしては、糖修飾および/または骨格修飾リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドが挙げられる。そのような改変または修飾は、例えばRNAの末端へのまたは内部での(RNAの1つまたは複数のヌクレオチドでの)、非ヌクレオチド物質の付加をさらに含むことができる。RNAアナログは、RNA干渉を媒介するまたは他の方法で標的遺伝子発現を減少させる能力をそれが有するように天然RNAと十分に類似してさえいれば十分である。
【0144】
トランスジェニック非ヒト動物の作製方法
導入遺伝子を非ヒト動物へ導入し、トランスジェニック動物を製造するために、任意の様々な方法を使用することができる。そのような技術は当技術分野において周知であり、胚性幹細胞およびiPS細胞の前核マイクロインジェクション、ウイルス感染および形質転換を含むが、これらに限定されない。使用することができるトランスジェニック動物の製造方法としては、J. P. Sundberg and T. Ichiki, Eds., Genetically Engineered Mice Handbook, CRC Press; 2006; M. H. Hofker and I. van Deursen, Eds., Transgenic Mouse Methods and Protocols, Humana Press, 2002; A. L. Joyner, Gene Targeting: A Practical Approach, Oxford University Press, 2000; Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press; 2002, ISBN-10: 0879695919; K. Turksen (Ed.), Embryonic stem cells: methods and protocols in Methods Mol. Biol. 2002; 185, Humana Press; Current Protocols in Stem Cell Biology, ISBN: 978047015180; Meyer et al. PNAS USA, vol. 107 (34), 15022-15026に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
ある態様において、部位特異的ノックインを有する遺伝子操作された動物は、精原幹細胞(SSC)、転移因子を使用するpiggyBac(商標)移動DNA技術、ザントモナス(Xanthamonas)転写アクチベーター様(TAL)ヌクレアーゼ(XTN)[TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)としても公知]、およびそれらの組み合わせを使用して作製することができる。
【0146】
動物の形質をカスタマイズするための方法
一態様において、本発明は、本発明のトランスジェニック動物を使用して動物の形質をカスタマイズする方法を提供する。一態様において、本方法は以下の工程を含む:
a)そのゲノムが関心対象のタンパク質をコードする外因性核酸分子を含む、トランスジェニック動物を提供する工程であって、該核酸分子が、プロモーターに機能的に連結されており、かつ遺伝子発現を活性化するために誘導剤の存在を必要とする誘導性遺伝子発現システムの制御下にあり、該外因性核酸分子の発現が誘導剤の非存在下で阻害される、工程;
b)誘導剤をトランスジェニック動物へ投与し、それによって外因性核酸分子の発現を誘導する工程。
【0147】
ある態様において、外因性核酸分子は関心対象のタンパク質をコードし、ここで、関心対象のタンパク質は、色素タンパク質;色素の合成および/または輸送に関与するタンパク質;発光(例えば、蛍光)タンパク質;動物の皮膚または柔毛の長さおよび/または質感に関与するタンパク質;ならびに動物の爪、かぎ爪および/または角の質感、構造強度、および/または長さに関与するタンパク質より選択される。
【0148】
ある態様において、本発明に従って有用な誘導性遺伝子発現システムとしては、部位特異的組換えシステム、例えば、しかしこれに限定されないが、Cre-LoxP組換えシステム;FLP-FRT組換えシステム;テトラサイクリン(Tet)制御転写活性化システム;エクジソン誘導性システム;熱ショックオン/オフシステム;lacO/IPTGシステム:Cumateリプレッサータンパク質CymRシステム;ニトロレダクターゼシステム;クメルマイシン/ノボビオシン調節システム;RheoSwitchリガンドRSL1システム;キメラ二分核内受容体発現システム;GAL4システム;ステロールまたはステロイドもしくは合成ステロイド誘導/抑制システム;およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
ある態様において、本発明に従って有用な遺伝子発現のための誘導剤としては、creリコンビナーゼ、HTCre;FLPリコンビナーゼ;テトラサイクリンまたはその誘導体、例えばドキシサイクリン;エクジソン;Cumate;ニトロレダクターゼステロイド;およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
一態様において、トランスジェニック動物は、部位特異的組換えシステムの制御下にある外因性核酸分子を含み、外因性核酸分子の発現は、トランスジェニック動物への、リコンビナーゼタンパク質の投与(例えば局所投与による)、またはリコンビナーゼタンパク質をコードする核酸分子の投与(例えば注射による)後に誘導される。
【0151】
一態様において、トランスジェニック動物のゲノムは、その発現がCre/LoxP組換えシステムの制御下にある外因性核酸分子を含み、ここで、Cre/LoxP組換えシステムは外因性核酸分子の発現を妨げ、ここで、トランスジェニック動物への、Creリコンビナーゼおよび/またはHTCreの投与(例えば局所投与による)、またはCreリコンビナーゼおよび/またはHTCreをコードする核酸分子の投与(例えば注射による)が、外因性核酸分子の発現を誘導し、それによって関心対象の動物の形質をカスタマイズする。
【0152】
別の具体的な態様において、動物の形質をカスタマイズする方法は、以下の工程を含む:
a)そのゲノムが、
第1のプロモーターに機能的に連結されかつloxP部位の制御下にある、関心対象のタンパク質(例えば着色タンパク質)をコードする第1の外因性核酸分子であって、loxP部位が、Creリコンビナーゼタンパク質の非存在下で第1の核酸分子の発現を妨げる、第1の外因性核酸分子、
第2のプロモーターに機能的に連結された、リバースtTA(rtTA)をコードする第2の核酸、および
TetOオペレーターの制御下で第3のプロモーターに機能的に連結された、Creリコンビナーゼタンパク質をコードする第3の核酸分子
を含むトランスジェニック動物を提供する工程;ならびに
b)ドキシサイクリンをトランスジェニック動物へ投与し、それによって外因性核酸分子の発現を誘導する工程。
【0153】
トランスジェニック動物への投与のための誘導剤は、担体と組み合わせることができる形態であってよい。用語「担体」は、それと共に化合物が投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような薬学的担体は、無菌液体、例えば、水および油、例えば、石油、例えば鉱油、植物油、例えば落花生油、大豆油およびゴマ油、動物油、または合成起源の油であり得る。食塩水ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射剤のために、液体担体として使用することができる。
【0154】
誘導剤および組成物は、経口、吸入、または非経口投与、例えば、静脈内、皮下、局所、経皮、皮内、経粘膜、腹腔内、筋肉内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内注射、注入、およびエレクトロポレーション、ならびにトランスジェニック動物中へ(一時的にまたは永久的に)挿入される任意の医療器具または物体の成分としての同時投与を含む、標準経路によって、トランスジェニック動物へ投与することができる。
【実施例】
【0155】
以下は、本発明を実施するための手順および態様を説明する実施例である。実施例は限定として解釈されるべきではない。
【0156】
実施例1−動物における皮膚または柔毛の着色のカスタマイゼーション
この実施例は、動物における皮膚および柔毛の着色をカスタマイズするための遺伝子構築物の態様を提供する。
【0157】
皮膚または柔毛においてカスタマイズされた着色およびパターンを有する動物
褐色(「アグーチ」着色)の皮膚色を有するC3H/HeJマウス株を、以下の3つの構築物を発現するように遺伝子操作する:1)ケラチン-14特異的プロモーター、赤色蛍光タンパク質をコードする核酸を含むloxpカセット、ドミナントブラック(ΔG23)βデフェンシン103タンパク質をコードする核酸を含む色素カセット、およびSV40(イントロンを含む)ポリアデニル化配列を含む構築物;2)rtTAをコードする核酸の転写を開始するケラチン-14特異的プロモーターに機能的に連結された、リバーステトラサイクリントランスアクチベーター(rtTA)をコードする核酸分子、およびSV40ポリアデニル化配列を含む構築物;ならびに3)ASPをコードする核酸分子の転写を開始するテトラサイクリン感受性プロモーター(TetO)7へ機能的に連結された、アグーチシグナル伝達タンパク質(ASP)、およびウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列を含む構築物。
【0158】
ドキシサイクリンを遺伝子改変マウスへ与えると、マウス柔毛は金色に変わる(これは、出生後の毛色の遺伝子改変の最初の実証である)。担体ベース(例えば、脂質二重層のようなタンパク質担体)による、遺伝子操作されたマウスの剃られた皮膚へのCreまたはHTNCreの適用は、Creおよび/またはHTNCreが適用される領域中の柔毛の遺伝子的に永久的な黒色着色を誘導する。本発明によれば、褐色の柔毛を持って生まれたマウスを、任意に形作られた黒色マーキングを有する金色の柔毛を有するように改変することができる。例えば、黒色ネームまたは黒色ロゴを、金色バックグラウンドを有するマウス柔毛上に作製することができる。
【0159】
動物において皮膚の着色をカスタマイズするために、動物は、着色構築物のみを発現することができ、パターン形成構築物(
図2に示される通り)を発現する必要がない。着色およびパターンのカスタマイゼーションは、Creおよび/またはHTNCreの適用によって直接活性化される。
【0160】
一態様において、遺伝性パターンは、パターン形成構築物を発現するように動物を遺伝子改変することによって作製することができる。
図2はパターン形成構築物の一態様を示す。プロモーターは、Ripply2プロモーターであり得、または体節境界指定に特異的な任意の遺伝子由来であり得る。代替のプロモーターは、TabbyまたはTickedプロモーターであり得る。
【0161】
一態様において、そのゲノムが着色構築物およびパターン形成構築物を含む、遺伝子改変動物は、背側の皮膚上に構成的な縦縞を有する。
【0162】
複雑な/多色のパターン
図3は、動物の皮膚または柔毛において複雑なまたは多色のパターンを作製するための遺伝子構築物のある態様を示す。一態様において、複雑なパターンは、誘導性のメカニズムを有するプロモーターなどの、誘導システムを含む構築物を使用して作製することができる。
図3に示されるように、Creは、rtTAプロモーターについて特異的な組織においてのみドキシサイクリンの存在によって活性化される。組織特異的プロモーターの使用は動物において体節境界を維持し;例えば、導入遺伝子は、発生期間の間だけ活性化され得る。誘導システムはまた多色を作製するために使用することができる。
【0163】
本発明に従って有用な誘導システムとしては、テトラサイクリン、エクジソン、およびタモキシフェン誘導システム;FLP-FRT組換えシステム;およびCre-LOX組換えシステムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
実施例2−カスタマイズされた柔毛色およびパターンを有するマウス
この実施例は、細胞膜を容易に横断することができるリコンビナーゼであるHTNCreの経皮適用によって、その柔毛色が永久的に変更され得る遺伝子改変マウスの作製を示す。
【0165】
図4は、マウス皮膚または柔毛においてカスタマイズされたパターンおよび色を作製するための遺伝子構築物を示す。構築物は、全ての皮膚線維芽細胞において発現され、シグナル伝達分子β-Def103のドミナントブラック型を駆動する、ケラチン14プロモーターを含み;β-Def103の発現は、リングフィンガータンパク質(RFP)をコードするLoxp切除可能核酸によってブロックされている(RFPはマーカーとして使用される)。
【0166】
アグーチマウスを、「ドミナントブラック」シグナル伝達分子βDef103をコードする導入遺伝子を発現するように遺伝子操作し、導入遺伝子発現をリコンビナーゼの適用によって活性化する。
【0167】
図5AおよびBは、ドミナントブラック色素タンパク質の発現が、担体溶液中のHTNCreの皮膚または皮内適用によって活性化されている、2匹の遺伝子操作されたマウスを示す写真である。本発明より前には、リコンビナーゼは生きている動物に適用されたことはなかった。
【0168】
図6は、遺伝子操作されたマウスへのリコンビナーゼの適用が、柔毛色の用量依存変化を生じさせ得ることを示している。アグーチマウス体毛の先端は、通常、黄色フェオメラニンを含む細胞を特徴とする(A)。
図6に示されるように、リコンビナーゼ用量を増加させることにより導入遺伝子の活性化を増加させることによって、マウス柔毛色素は、フェオメラニンおよび黒色ユーメラニンのミックスへ(B)、純粋なユーメラニンへ(C)、結果的に区画化構造が分解する程多いメラニンへ(D)、シフトし得る。この実施例は、リコンビナーゼの経皮適用が、遺伝子操作されたマウスにおける毛色の微調整をもたらし得ることを示している。
【0169】
実施例3−ウシ識別のためのカスタマイズされた皮膚色およびパターン
畜牛業において、個体識別のための出生プロセッシングのロバストな方法は、所有権の証明、群管理、動物の移動の追跡、および恐らく最も重要なことには、動物疾患トレーサビリティーのために、ますます重要となった。
【0170】
この実施例は、ウシ識別のためのコード(例えば、バーコード)として使用することができるカスタマイズされた皮膚色およびパターンを有するトランスジェニックウシを提供する。トランスジェニックウシは、実施例2に記載の方法を使用して作製することができる。実施例2に示されるように、そのゲノムがCre-LoxP組換えシステムを含むトランスジェニックマウスへのリコンビナーゼの経皮または皮内適用は、出生後にコート色のカスタマイズ可能な変化を誘導する。
【0171】
図7は、ウシにおいてカスタマイズされたパターンまたは色識別を作製するための構築物設計を示す。構築物は、MC1Rプロモーターに機能的に連結されかつloxP-STOP-loxP配列の制御下にあるドミナントネガティブRab7をコードする核酸分子を含む。Rab7の発現はCreリコンビナーゼの適用によって誘導することができる。TALヌクレアーゼの使用は、ショートホモロジーアームでの部位特異的ノックインを可能にする。構築物上のアクロシンプロモーター/EGFPアームは、遺伝子改変された精子についての流動選別を可能にし、それによって、F1世代において100%遺伝子改変された子孫を確実にする。構築物について重要なエレメントは、MC1R(メラノコルチン受容体)プロモーターであり、これは、リコンビナーゼによって活性化された場合にのみ、ドミナントネガティブRab7遺伝子の発現を駆動する。構築物中の様々なエレメントの組み合わせは、ウシにおける永久的な識別情報の作製を可能にする、部位特異的ノックインで改変されたウシの作製を可能にする。
【0172】
図8は、皮膚においてカスタマイズ可能な識別パターンを発現するように遺伝子操作されたブラックアンガス(Black Angus)雌牛の描写を示す。
【0173】
出生プロセッシングの間、そのゲノムが
図7に示される構築物を含むウシへCreリコンビナーゼを適用することによって、個体識別情報を容易に作製することができる。さらに、導入遺伝子は動物の皮膚においてのみ発現され、これは食品加工の間に除去することができ;従って、動物の皮膚におけるウシ識別の作製は、USDAなどの政府機関の規制問題を引き起こさない。
【0174】
ある態様において、部位特異的ノックイン動物は、精原幹細胞(SSC)、転移因子を使用するpiggyBac(商標)移動DNA技術、ザントモナス転写アクチベーター様(TAL)ヌクレアーゼ(XTN)[TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)としても公知]、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない通常の技術を使用して作製することができる。
【0175】
一態様において、ブラックアンガスコート色は、重要なメラニン産生遺伝子Tyrp1の細胞内輸送のために必要とされるメラニン細胞特異的ドミナントネガティブRab7を使用して、ヘテロ接合ノックインにより出生後に改変される。
【0176】
実施例4−ウシ疾患検出のためのカスタマイズされた皮膚色およびパターン
疾患はほぼ全ての牛肉および酪農業者の関心事であり、多くの一般的な疾患は、明白な臨床徴候がなく、劇的に生産に影響を与え得る。突然死は、しばしば、クロストリジウム症の最初かつ唯一の徴候である。準臨床的乳腺炎は酪農生産において一般的で費用のかかる問題である。めったに明白な臨床徴候を有さない、ウシ海綿状脳症(BSE)の風評でさえ、牛肉産業に大きな経済的損失をもたらす。感染症に加えて、ウシの代謝性疾患も経済的損失をもたらし得る:肉牛の1/3が、餌中のキレート剤の存在に起因して、準臨床的銅欠乏症を有する。本発明に従う(例えば、リコンビナーゼ活性化されるコート色特異的マーカーを使用する)、柔毛または皮膚色の変化は、ウシにおける疾患の存在を確認するために使用することができる。
【0177】
一態様において、ウシ疾患検出のための構築物は、MC1Rプロモーターが代替のリコンビナーゼシステム(例えば、Flp-Frt組換えシステム)および/または疾患特異的プロモーター、例えば、NFkB、Ifnγ、もしくは銅欠乏症標的に応答性のプロモーターで置き換えられることを除いては、
図7に示される構築物と同一である。
【0178】
一態様において、出生プロセッシングの間、ウシにリコンビナーゼを塗布し、所望のシンボルを作製する。いったんウシが炎症性または代謝性ストレスを生じると、塗布された領域は変色する(疾患特異的プロモーターによって調節される色素タンパク質の発現)。ウシ疾患検出適用は、異なるリコンビナーゼおよびリコンビナーゼ標的の使用によってウシ識別適用と組み合わせて使用することができる。
【0179】
実施例5−カスタマイズ可能なコートを有するイヌ
異なる犬種は、色素遺伝子の突然変異の異なる組み合わせの結果としてコート色を有する。パグは、「ドミナントブラック」シグナル伝達分子βDef103の内因性発現を有さないインタクトなメラノコルチン受容体を有する。
【0180】
カスタマイズされた柔毛色およびパターンを有するイヌを、ウシについての実施例3および4に記載の方法を使用して、またはマウスについての実施例2に示される方法によって、作製することができる。一態様において、そのゲノムが
図7に示される構築物を含む、遺伝子操作されたパグは、カスタマイズ可能な色およびパターン、例えば、虎縞模様、ロゴ、文字、およびハートを有する柔毛を有する。
【0181】
イヌにおける卵発生システムが変わっていることに起因して、イヌは、通常、遺伝子操作するのが困難である。現在、遺伝子操作されたイヌは、体外受精(IVF)によって作製することができない。部位特異的ノックインを有する遺伝子操作されたイヌは、精原幹細胞(SSC)、転移因子を使用するpiggyBac(商標)移動DNA技術、ザントモナス転写アクチベーター様(TAL)ヌクレアーゼ(XTN)[TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)としても公知]、およびそれらの組み合わせを使用して作製することができる。
【0182】
本明細書において援用される、刊行物、特許出願および特許を含む、全ての参考文献は、各々の参考文献が参照により組み入れられるように個々にかつ具体的に示されかつその全体が本明細書に記載されているかのように同程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。
【0183】
本発明を説明する文脈において使用される用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」ならびに同様の指示物は、本明細書において特に指定のない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈される。
【0184】
本明細書において特に指定のない限り、本明細書中の値の範囲の記載は、その範囲に入る各々の別個の値を個々に指す略記方法として役立つことを意図したものであるにすぎず、各々の別個の値は、それが本明細書中に個々に記載されているかのように本明細書に組み入れられる。特に指定のない限り、本明細書において提供される全ての正確な値は、対応の近似値を代表する(例えば、特定の因子または測定に関して提供される全ての正確かつ例示的な値は、適切である場合、「約」によって修飾される、対応の近似的な測定も提供するように見なすことができる)。
【0185】
特に指定のない限り、本明細書中に提供されるあらゆる例、または例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、本発明をより上手く説明することを意図したものにすぎず、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明示的に記載されない限り、本明細書における言葉は、任意の要素が本発明の実施に不可欠なものであることを示すものと解釈されるべきではない。
【0186】
特に指定のない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、要素に関して「含む」、「有する」、「包含する」、および「含有する」などの用語を使用する本発明の任意の局面または態様の本明細書における説明は、その特定の要素「からなる」、「から本質的になる」、または「を実質的に含む」本発明の同様の局面または態様についてのサポートを提供するように意図される(例えば、特に指定のない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、特定の要素を含むと本明細書において記載される組成物は、その要素からなる組成物も記載していると理解されるべきである)。
【0187】
本明細書に記載される例および態様は例示目的のためにすぎないこと、およびそれらを考慮しての様々な改変または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲内に含まれることが、理解されるべきである。
【0188】
参考文献