【文献】
Composites Science and Technology,1994 Vol.52,No.3,p.299−307
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1及び2において、ウレタン(メタ)アクリレート中のイソシアネート基には触れられていない。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、作業性が良く、機械物性に優れた炭素繊維強化プラスチックをHUP(ハンドレイアップ)成形、RTM(Resin Transfer Molding)成形、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形にて製作できる熱硬化性樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、イソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、炭素繊維のマトリックスとして、作業性に優れ、且つ機械物性に優れる炭素繊維強化プラスチックを与えることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物は、一般式[化1]:
【化1】
(但し、式中、Xは、
2〜7個のイソシアネート基を有する化合物残基、Mは、式[化2]:
【化2】
を少なくとも含み、上記[化2]以外は、式[化3]:
【化3】
であり、Qは、
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル残基を示す。nは、2〜7である。)に示すウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)
、及び、重合性単量体を含む、炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物(但し、潤滑用物質を除く。)であって、前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物中のイソシアネート基は、0.1〜12重量%であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物は、一般式[化4]:
【化4】
(但し、式中、Xは、
2個のイソシアネート基
が反応した化合物残基、Yは、
2個の水酸基
が反応したアルコール化合物残基、Mは、式[化5]:
【化5】
を少なくとも含み、上記[化5]以外は、式[化6]:
【化6】
であり、Qは、
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル残基を示す。nは、1〜5000である。)に示すウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)
、及び、重合性単量体を含む、炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物(但し、潤滑用物質を除く。)であって、前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物中のイソシアネート基が0.1〜12重量%であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の製造方法は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)からなる炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の製造方法であって、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとを反応させるか、又は2個以上のイソシアネート基を有する化合物と
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと2個以上の水酸基を有するアルコール化合物
とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)
、及び、重合性単量体を含む、炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の製造方法であり、前記反応により、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)へ、イソシアネート基とエチレン性不飽和基を付与することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記
2個の水酸基
が反応したアルコール化合物は、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記
2個の水酸基
が反応したアルコール化合物は、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールの重縮合により得られるポリエステルポリオールであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記
2個の水酸基
が反応したアルコール化合物は、テレフタル酸、イソフタル酸、それらのエステル形成性誘導体から選ばれる1種以上と1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる1種以上との重縮合により得られるポリエステルポリオールであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記
2〜7個のイソシアネート基を有する化合物、および前記2個のイソシアネート基が反応した化合物は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、及びこれらの多量体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートから選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の好ましい実施態様において、前記
組成物中のイソシアネート基が0.1〜8重量%であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物の好ましい実施態様において、エチレン性不飽和基を有する熱硬化性樹脂に、本発明の炭素繊維強化プラスチック
におけるマトリックス用樹脂組成物が配合された樹脂組成物であって、前記配合された樹脂組成物中のイソシアネート基は0.1〜8重量%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、軽量高強度である炭素繊維強化プラスチックに使用される熱硬化性樹脂を提供することができるという有利な効果を奏する。また、本発明によれば、作業性、機械物性(曲げ強さ、圧縮強さ、層間せん断強さ)に優れる炭素繊維強化プラスチックを得ることができるため、様々な分野へ炭素繊維強化プラスチックを適用することができるという有利な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明においてウレタン(メタ)アクリレートとは、ウレタンメタクリレート及びウレタンアクリレートのことを示し、同様に(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルを示す。
【0024】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)は、一般式[化7]:
【0025】
【化7】
(但し、式中、Xは、2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Mは、式[化8]:
【0026】
【化8】
を少なくとも含み、上記[化8]以外は、式[化9]:
【0027】
【化9】
であり、Qは、エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。nは、2〜7である。)に示すことを特徴とする。
【0028】
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)は、一般式[化10]:
【0029】
【化10】
(但し、式中、Xは、2個以上のイソシアネート基を有する化合物残基、Yは、2個以上の水酸基を有するアルコール化合物残基、Mは、式[化11]:
【0030】
【化11】
を少なくとも含み、上記[化11]以外は、式[化12]:
【0031】
【化12】
であり、Qは、エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物残基を示す。nは、1〜5000である。)に示すことを特徴とする。
【0032】
本発明において、2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物を反応させると上記[化1]に記載の化合物を得ることができる。
【0033】
また、本発明において、2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物及び2個以上の水酸基を有するアルコール化合物を反応させると上記[化4]に記載の化合物を得ることができる。
【0034】
2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物を反応させるか、又は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物及び2個以上の水酸基を有するアルコール化合物を反応させて得られるイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)及びイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)と重合性単量体から成るウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)について説明する。
【0035】
イソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート(A)は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物、あるいは2個以上のイソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物及び2個以上の水酸基を有するアルコール化合物を反応させて得ることができる。この時、イソシアネート化合物のイソシアネート基モル数が、エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物及び2個以上の水酸基を有するアルコール化合物の全水酸基モル数よりも多くなるように反応させる。反応は残存するイソシアネート基の量が一定となるまで、言い換えれば水酸基がほぼ消費されるまで継続するのが好ましい。
【0036】
その結果得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、好ましくはイソシアネート基を0.1重量%から12重量%を有する。更に好ましくはイソシアネート基を0.3重量%から12重量%を有する。イソシアネート基が0.1重量%未満では炭素繊維との密着性に劣り、十分な圧縮強さ、層間せん断強さが得られない虞があり、12重量%を超えると曲げ強さや引張り強さが低下し、機械物性のバランスが崩れる虞がある。
【0037】
本発明に用いる2個以上イソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物、水添キシリレンジイソシアネート(1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、等の脂環族イソシアネート化合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物、2官能イソシアネート化合物が3量化されたイソシアヌレート環を有する3官能イソシアネート、市販されているポリオールで変性されたイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0038】
また、これらのイソシアネート化合物のうち、耐熱性、耐光性の観点から、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、及びこれらの多量体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが特に好ましい。
【0039】
2個以上の水酸基を有するアルコール化合物としては、脂肪族アルコール及びエーテル化ジフェノール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0040】
脂肪族アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが挙げられる。脂環族アルコールとしては、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール等が挙げられる。脂肪族アルコール化合物のうち、樹脂粘度や硬化物の機械物性の点から1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
【0041】
エーテル化ジフェノールとしては、例えばビスフェノールAとアルキレンンオキサイドを付加反応させて得られるジオール、ビスフェノールAとアルキレンンオキサイドの付加物を臭素化させて得られるジオール等が挙げられる。該アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドであり、該アルキレンオキサイドの平均付加モル数がビスフェノールAの1モルに対して2〜16モルであるものが好ましい。
【0042】
ポリエステルポリオールとしては、不飽和酸及び又は飽和酸と前述脂肪族アルコール及びエーテル化ジフェノールを重縮合させたものが挙げられる。不飽和酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられ、飽和酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル、酸ハロゲン化物等のようなエステル形成性誘導体が挙げられる。特に好ましいジカルボン酸としてテレフタル酸及びイソフタル酸が挙げられる。テレフタル酸及びイソフタル酸はそれらの低級アルキルエステルを用いても良く、例えば、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル等があるが、コスト及び取り扱い(ハンドリング)の点で、テレフタル酸ジメチルやイソフタル酸ジメチルが好ましい。これら不飽和酸、飽和酸は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0043】
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)化合物の好ましい実施態様において、前記2個以上の水酸基を有するアルコール化合物は、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールの重縮合により得られるポリエステルポリオールである。ポリエステルポリオールとしては、樹脂粘度と硬化物の機械物性の点から、テレフタル酸、イソフタル酸、それらのエステル形成性誘導体から選ばれる1種以上と1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる1種以上の重縮合により得られるポリエステルポリオールが特に好ましい。これらアルコール化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。更に、本発明の効果を損なわない範囲で、3価以上のポリオールも用いることができる。3価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0044】
エチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物とは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルのことであり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジアクリル化イソシアヌレートなどが挙げられる。これらのエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、これらエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物のうち、樹脂粘度や硬化物の機械物性の点から2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)は、2個以上イソシアネート基を有する化合物とエチレン性不飽和基を有するアルコール化合物、または2個以上イソシアネート基を有する化合物と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物とエチレン性不飽和基含有モノアルコール化合物を反応させて得ることができるが、これらの反応温度は40〜140℃で反応させるのが好ましく、70〜110℃で反応させるのがより好ましい。反応の終点は、滴定によるイソシアネート基の定量、または赤外線吸収スペクトル(以下IRと略す)におけるイソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)の追跡により、確認することができる。
【0046】
上記反応には、公知の触媒、重合禁止剤を用いることができる。触媒には酸性触媒、塩基性触媒が使用できるが、ジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ジアセテートなどの錫化合物が好ましい。触媒の添加量は仕込み重量に対して100〜2000ppm加えるのが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン等の多価フェノール系重合禁止剤が使用できる。重合禁止剤の添加量は仕込み重量に対して100〜2000ppm、加えるのが好ましい。また、イソシアネート基と反応しない重合性単量体を加えた系で合成することも必要に応じて可能である。
【0047】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)のエチレン性不飽和基当量は、特に限定はしないが、1500g/eq以上となると、機械物性(曲げ強さ、引張り強さ、圧縮強さ、層間せん断強さ)のバランスが悪くなり、成形品の耐熱性が低くなる虞がある。ただし、後述する他の熱硬化性樹脂とブレンドし、且つブレンド樹脂中のイソシアネート基が0.1〜7重量%になるように配合される場合は、この限りではない。
【0048】
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)化合物と重合性単量体から成ることを特徴とする。まず、イソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)と重合性単量体から成るウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)について説明する。
【0049】
本発明において用いられる重合性単量体としては、イソシアネート基と常温で反応しない化合物が好ましい。イソシアネート基と反応する重合性単量体を配合すると保管時に反応して増粘が上昇し作業性が悪くなる虞や十分な機械物性を得ることができない虞がある。ビニルモノマーや単官能アクリル酸エステル、多官能アクリル酸エステルが挙げられる。例えば、ビニルモノマーとして、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、単官能アクリル酸エステルとして、メタクリル酸メチル、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等、多官能アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレート、ノルボルネンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。重合性単量体としては、樹脂粘度と機械物性の点からスチレン、メタクリル酸メチルの適用が好ましい。
【0050】
好ましい実施態様において、本発明においては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)中のイソシアネート基重量%が、0を超えて8重量%、好ましくは0.1〜8重量%になるように重合性単量体を配合する。更に好ましくはウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)中のイソシアネート基重量%が0.2〜8重量%になるように重合性単量体を配合する。イソシアネート基が少量でも存在することにより、繊維等への接着性が向上し、より良好な機械物性を得ることができるためである。例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(A)100重量部を重合性単量体20〜200重量部に溶解することができる。好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレート(A)100重量部を重合性単量体40〜150重量部に溶解する。ウレタン(メタ)アクリレート(A)100重量部に対する重合性単量体の量が40部未満の場合、極めて高い粘度になり成形性に劣る虞がある。ウレタン(メタ)アクリレート(A)100重量部に対する重合性単量体の量が150部を超えると、得られる硬化成形物の性能が劣る虞がある。
【0051】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)中のイソシアネート基が0.1重量%未満では炭素繊維との密着性に劣り、十分な圧縮強さ、層間せん断強さが得られない虞があり、8重量%を超えると曲げ強さや引張り強さが低下し、機械物性のバランスが崩れる虞がある。
【0052】
本発明は、ハンドレイアップ成形、RTM(Resin Transfer Molding)成形やVaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形に適用するため、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)の粘度は、30〜700mPa・s(25℃)であることが好ましい。30mPa・s未満の場合、炭素繊維への含浸時に樹脂抜けの虞があり、700mPa・sを超える場合、未含浸部位が残る虞がある。ただし、温調設備を使用して意図的に樹脂粘度を低く又は高くする場合はこの限りではない。
【0053】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)の硬化は、従来のラジカル重合型樹脂と同様の公知の方法が適用できる。有機過酸化物による硬化、紫外線開始剤による硬化、電子線による硬化が挙げられる。また、硬化速度の調整のための促進剤、重合禁止剤、空気乾燥性を付与するためのワックス類も従来のラジカル硬化型樹脂と同様に添加することができる。
【0054】
有機過酸化物系の硬化剤として、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド系、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド系、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイドなどジアルキルパーオキサイド系等が挙げられる。硬化剤の添加量は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部である。
【0055】
紫外線開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等が挙げられる。紫外線開始剤の添加量は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部である。
【0056】
硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、ピリジン、フェニリモルホリン等の3級アミン類等が挙げられる。硬化促進剤の添加量は、0.05〜5重量部である。
【0057】
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック用樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有する熱硬化性樹脂に、本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)化合物が配合された0.1〜8重量%のイソシアネート基を有することを特徴とする。
【0058】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B)には、他のエチレン性不飽和基を有する熱硬化性樹脂をブレンドし使用することができる。熱硬化性樹脂とは、例えば、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂のことであり、いずれもブレンド樹脂中のイソシアネート基が0.1〜8重量%になるように配合することが、炭素繊維との密着性という観点から好ましい。また、水酸基やカルボキシル基を有する不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ(メタ)アクリレート樹脂とブレンドする場合は、保存安定性という観点から、成形直前混合が望ましい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック用樹脂組成物は炭素繊維以外の強化繊維との強化プラスチックにも適用できる。炭素繊維以外の強化繊維として、ガラス繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ボロン繊維、バサルト繊維、セルロース等をあげることができるが、これらには限定されない。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。本実施例において「部」は特に断らない限り重量部である。
【0060】
合成例におけるイソシアネート基含有量は、各樹脂を乾燥トルエンに溶解した後、過剰のジ−n−ブチルアミン溶液を加えて反応させ、残ったジ−n−ブチルアミンを塩酸で逆滴定し測定した。
【0061】
合成例1
ガス導入管、攪拌装置、冷却管、温度計を備えた反応容器にイソホロンジイソシアネート(エボニック社製)404部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール(デュポン社製)76部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、2.10重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.37重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−1)。
【0062】
合成例2
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート394部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)86部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、2.11重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.37重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−2)。
【0063】
合成例3
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器にテレフタル酸ジメチル687部、1,3−プロパンジオール539部を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら200℃で5時間エステル交換反応させ、水酸基当量138g/eqのポリエステルポリオール(P−1)を得た。次いで合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート314部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、ポリエステルポリオール(P−1)166部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とスチレンモノマー217部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、2.09重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー133部で希釈し、イソシアネート基を1.36重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−3)。
【0064】
合成例4
合成例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート206部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、テトラブロモビスフェノールA(2−ヒドロキシエチルエーテル)(明成化学社製)417部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート96部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部とスチレンモノマー240部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。ウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、2.31重量%、エチレン性不飽和基当量977g/eqであった。その後、スチレンモノマー40部で希釈し、イソシアネート基を1.66重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−4)。
【0065】
合成例5
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート396部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール85部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、0.21重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を0.14重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−5)。
【0066】
合成例6
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート425部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール55部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、6.85重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を4.45重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−6)。
【0067】
合成例7
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート445部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール35部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、11.59重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を7.53重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−7)。
【0068】
合成例8
合成例1と同様の装置に1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(武田薬品社製)333部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール37部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート279部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、2.06重量%、エチレン性不飽和基当量300g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.34重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−8)。
【0069】
合成例9
合成例1と同様の装置に2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(武田薬品社製)411部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,4−ブタンジオール127部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート112部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、1.94重量%、エチレン性不飽和基当量758g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.26重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−9)。
【0070】
合成例10
合成例1と同様の装置にポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製)356部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、2−ヒドロキシエチルメタクリレート293部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、1.98重量%、エチレン性不飽和基当量288g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.29重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−10)。
【0071】
合成例11
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート309部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、ポリエステルポリオール(P−1)294部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート47部とスチレンモノマー217部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、1.90重量%、エチレン性不飽和基当量1804g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.24重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−11)。
【0072】
合成例12
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート393部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール87部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が無くなったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、0.00重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を含有しないウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−12)。
【0073】
合成例13
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート395部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール85部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、0.10重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を0.07重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−13)。
【0074】
合成例14
合成例1と同様の装置にヘキサメチレンジイソシアネート503部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、2−ヒドロキシエチルアクリレート347部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、14.77重量%、エチレン性不飽和基当量284g/eqであった。その後、スチレンモノマー150部で希釈し、イソシアネート基を12.55重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−14)。
【0075】
合成例15
合成例1と同様の装置に、ビスフェノールA型エポキシ化合物(JER「#1004」)454部、メタクリル酸85部、2−メチルイミダゾール1.65部、モノメチルエーテルハイドロキノン0.3部を仕込み、空気を吹き込みながら、攪拌下、加熱して温度を110〜120℃に保持し10時間反応させた。その後、スチレンモノマー460部で希釈し、エチレン性不飽和基当量549g/eqのエポキシアクリレート樹脂を得た(a−15)。
【0076】
合成例16
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に無水フタル酸360部、フマル酸282部、エチレングリコール90部、プロピレングリコール399部を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら210℃で11時間、重縮合反応させた。の後、スチレンモノマー430部で希釈し、エチレン性不飽和基当量411g/eqの不飽和ポリエステル樹脂(a−16)。
【0077】
合成例17
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート397部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,3−プロパンジオール84部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート169部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、0.41重量%、エチレン性不飽和基当量500g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を0.26重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−17)。
【0078】
合成例18
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネート377部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら、1,6−ヘキサンジオール(宇部興産社製)105部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート167部とモノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、2.08重量%、エチレン性不飽和基当量505g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.35重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−18)。
【0079】
合成例19
合成例1と同様の装置にイソホロンジイソシアネートの3量体(エボニック社製VESTANT T 1890)358部とジブチル錫ジラウレート0.13部を仕込み、撹拌下、空気を吹き込みつつ加熱しながら溶解させたのち、2−ヒドロキシエチルメタクリレート106部とペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成社製アロニックスM−305)186部、モノメチルエーテルハイドロキノン0.32部の混合液を40分かけて滴下した。温度を85〜95℃に保持し反応させた。反応はIRにて追跡し、イソシアネート基の吸収(2250cm-1付近)が一定になったところを終点とした。反応には3時間を要した。重合性単量体による希釈前のウレタン(メタ)アクリレートのイソシアネート基含有量は、2.01重量%、エチレン性不飽和基当量234g/eqであった。その後、スチレンモノマー350部で希釈し、イソシアネート基を1.31重量%含有するウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た(a−19)。
【0080】
合成例20
合成例1と同様の装置に、フェノールノボラック型エポキシ化合物(DIC製「N−740」)405部、メタクリル酸195部、2−メチルイミダゾール1.65部、モノメチルエーテルハイドロキノン0.3部を仕込み、空気を吹き込みながら、攪拌下、加熱して温度を110〜120℃に保持し10時間反応させた。その後、スチレンモノマー400部で希釈し、エチレン性不飽和基当量264g/eqのエポキシアクリレート樹脂を得た(a−20)。
【0081】
実施例1〜13、参照例1〜4及び比較例1〜4を表1〜3に示す。粘度調整用にはメタクリル酸メチルを使用した。下記各評価結果を表4〜6に示す。参照例4はポリエステルポリオールをアルコール化合物に使用したウレタンメタクリレート(日本ユピカ社製ユピカ8921)である。
実施例14〜16、比較例5を表7、8に示す。下記評価結果を表10、11に示す。比較例5は、実施例16に対するものである。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】
【表10】
【0092】
積層板の作製
実施例1〜13、参照例1〜4及び比較例1〜3の各樹脂150部に促進剤として6%ナフテン酸コバルト0.5部を加え攪拌した後に、硬化剤メチルエチルケトンパーオキサイド1.0部を配合し、炭素繊維の平織りクロス(東レ(株)製 商品名『T−6343』)に含浸させ、ハンドレイアップ成形にて成形した。比較例4では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学製JER807)100部に脂肪族ポリアミン(三菱化学製JERキュアST11)53部を加えたものを含浸させ、積層板を成形した。
【0093】
積層構成:25cm×25cm×8枚、厚さ2mm、炭素繊維コンテント40Vf(体積)%。硬化条件:常温硬化(23℃)×6時間、80℃×2時間、100℃×2時間
【0094】
(作業性評価)
ハンドレイアップ成形の積層開始から終了までの時間を計測し、作業性の指標とした。◎:〜15分 ○:15〜20分 △:25〜30分 ×:30分〜
【0095】
(機械物性評価)
各積層板について、圧縮強さ(JIS K 7018)、層間せん断強さ(JIS K 7078)、曲げ強さ(JIS K 7074)、引張り強さ(JIS K 7113)を各JISに準拠し測定した。
【0096】
(耐熱性評価)
各樹脂の注型物を積層板作製時と同様の硬化方法で作製し、熱変形温度(JIS K 6911)をJISに準拠し測定した。
【0097】
(ボイド有無の確認)
20cm×2mmの断面をマイクロスコープ(200倍)で観察し、下記基準で評価した。○:0〜3個、△:3〜9個、×:10個以上
【0098】
表1,2,7に示した本発明のイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)が配合された実施例1〜16の樹脂を使用した炭素繊維強化プラスチックは、作業性、機械物性に優れる結果を示した。特に圧縮強さ、層間せん断強さにおいては良好な結果であった。また、実施例3、実施例8、実施例10、実施例16は、耐熱性においても良好な結果を示した。一方比較例1〜5では、十分な圧縮強さ、層間せん断強さを得ることができなかった。