特許第6282617号(P6282617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282617
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】背面放熱を伴う絶縁体上半導体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20180208BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   H01L27/12 B
   H01L21/02 B
   H01L21/02 C
   H01L29/78 626C
   H01L29/78 627D
   H01L23/36 D
   H01L23/36 M
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-166752(P2015-166752)
(22)【出願日】2015年8月26日
(62)【分割の表示】特願2012-520758(P2012-520758)の分割
【原出願日】2010年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-26383(P2016-26383A)
(43)【公開日】2016年2月12日
【審査請求日】2015年9月7日
(31)【優先権主張番号】61/225,914
(32)【優先日】2009年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500398832
【氏名又は名称】クォルコム・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニゴール,ポール・エイ
(72)【発明者】
【氏名】モーリン,スチュアート・ビィ
(72)【発明者】
【氏名】スチューバー,マイケル・エイ
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−228273(JP,A)
【文献】 特開2007−329379(JP,A)
【文献】 特表2005−509294(JP,A)
【文献】 特開2008−004577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/336
H01L 23/36
H01L 23/373
H01L 27/12
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を製造する方法であって、
絶縁体上半導体ウェハのアクティブ層に複数のアクティブデバイスを形成するステップを含み、前記複数のアクティブデバイスはn型トランジスタおよびp型トランジスタを含み、各アクティブデバイスはチャネルを有しており、前記複数のアクティブデバイスは主にnチャネルトランジスタまたは主にpチャネルトランジスタであり、前記方法はさらに、
前記絶縁体上半導体ウェハの背面に配置される基板層から基板材料を除去するステップと、
前記n型トランジスタの少なくとも1つおよび前記p型トランジスタの少なくとも1つのチャネルに近接して、または、前記n型トランジスタの前記少なくとも1つおよび前記p型トランジスタの前記少なくとも1つの前記チャネルの部分に、起歪材料を形成するステップとを含み、前記起歪材料は前記主なnチャネルトランジスタ及び前記主なpチャネルトランジスタのいずれかのみにおいて電荷担体の移動度の増加を提供する、方法。
【請求項2】
前記起歪材料を形成する前に前記絶縁体上半導体ウェハにおける絶縁材料を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記起歪材料を形成するステップは、前記絶縁体上半導体ウェハの前記背面上にパターンを形成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記起歪材料を形成するステップは、起引張歪材料または起圧縮歪材料を形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記起歪材料は、窒化ケイ素、窒化アルミニウムおよびダイヤモンド状炭素を含む群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のアクティブデバイスの前記チャネルにおいて電荷担体の流れに平行方向または垂直方向に2軸歪または1軸歪を生成する異なるパターンに前記起歪材料を配置するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のアクティブデバイスにおける特定のアクティブデバイスのゲートを包囲するパターンと、前記複数のアクティブデバイスにおける前記特定のアクティブデバイスが長さに対する幅の大きい比率を有する、前記ゲートを包囲するパターンと、前記ゲートを横断するストライプ状のパターンと、前記ゲートの側に沿って形成されるストリップパターンとを含む群から選択されるパターンで前記起歪材料を配置するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記絶縁材料を除去するステップは、前記アクティブ層における前記複数のアクティブデバイスの一部のみを露出する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記起歪材料は、50W/m*Kより大きい熱伝導率を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
集積回路を製造する方法であって、
絶縁体上半導体ウェハのアクティブ層に複数のアクティブデバイスを形成するステップを含み、前記複数のアクティブデバイスはn型トランジスタおよびp型トランジスタを含み、各アクティブデバイスはチャネルを有しており、前記方法はさらに、
前記絶縁体上半導体ウェハの背面に配置される基板層から基板材料を除去するステップと、
前記絶縁体上半導体ウェハにおける絶縁材料を除去するステップと、
前記絶縁材料を除去した後、前記n型トランジスタの少なくとも1つおよび前記p型トランジスタの少なくとも1つのチャネルに近接して、または、前記n型トランジスタの前記少なくとも1つおよび前記p型トランジスタの前記少なくとも1つの前記チャネルの部分に、単層の起歪材料を形成するステップとを含み、
前記絶縁体上半導体ウェハの背部から前記絶縁材料を除去するステップは、前記n型トランジスタおよび前記p型トランジスタの一方の前記チャネルが前記絶縁材料から露出するとともに、前記n型トランジスタおよび前記p型トランジスタの他方の前記チャネルが前記絶縁材料に覆われるように、前記絶縁材料を除去することを含み、前記単層の起歪材料は、前記n型トランジスタの前記少なくとも1つおよび前記p型トランジスタの前記少なくとも1つにおいて電荷担体の移動度を高める、方法。
【請求項11】
前記起歪材料は、窒化ケイ素、窒化アルミニウムおよびダイヤモンド状炭素を含む群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記起歪材料が前記起歪材料において圧縮または引張歪を作り出すように形成される状態を変化させるステップをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
集積回路を製造する方法であって、
絶縁体上半導体ウェハのアクティブ層に複数のアクティブデバイスを形成するステップを含み、前記複数のアクティブデバイスはnチャネルトランジスタおよびpチャネルトランジスタを含み、各アクティブデバイスはチャネルを有しており、前記方法はさらに、
前記絶縁体上半導体ウェハの背面に配置される基板層から基板材料を除去するステップと、
前記nチャネルトランジスタの少なくとも1つおよび前記pチャネルトランジスタの少なくとも1つのチャネルに近接して、または、前記nチャネルトランジスタの前記少なくとも1つおよび前記pチャネルトランジスタの前記少なくとも1つのチャネルの部分に、起歪材料の第1の層を形成するステップと、
前記起歪材料の第1の層の部分を除去するステップと、
前記起歪材料の第1の層の除去された部分に起歪材料の第2の層を形成するステップとを含み、当該起歪材料の2つの層は実質的に同一平面上にあり、
前記起歪材料の第1の層の前記部分を除去した後に、前記起歪材料の第1の層は、前記nチャネルトランジスタの前記少なくとも1つおよび前記pチャネルトランジスタの前記少なくとも1つの一方の前記チャネルに近接して形成され、または、前記nチャネルトランジスタの前記少なくとも1つおよび前記pチャネルトランジスタの前記少なくとも1つの前記一方の前記チャネルの部分に形成されており、
前記起歪材料の第2の層は、前記nチャネルトランジスタの前記少なくとも1つおよび前記pチャネルトランジスタの前記少なくとも1つの他方の前記チャネルに近接して形成され、または、前記nチャネルトランジスタの前記少なくとも1つおよび前記pチャネルトランジスタの前記少なくとも1つの前記他方の前記チャネルの部分に形成されており、
前記起歪材料の第1の層及び前記起歪材料の第2の層を形成した後に、前記絶縁体上半導体ウェハにおける絶縁材料は、前記複数のアクティブデバイスと同じ広がりをもつ、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2009年7月15日に出願された米国仮特許出願第61/225,914号の利益を主張する。米国仮特許出願第61/225,914号の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
記述される本発明は、一般に、絶縁体上半導体デバイスおよび処理に関し、より詳細には絶縁体上半導体デバイスにおける放熱に関する。
【背景技術】
【0003】
絶縁体上半導体(SOI)技術は、1990年代後半に初めて商品化された。SOI技術を定義付ける特徴は、回路が形成される半導体領域が電気絶縁層によりバルク基板から分離されていることである。この絶縁層は、通常二酸化ケイ素である。二酸化ケイ素が選択される理由は、二酸化ケイ素はウエハを酸化することによりシリコンウエハ上に形成することができ、したがって効率的な製造に適しているからである。SOI技術の有利な態様は、アクティブ層をバルク基板から電気的に絶縁する絶縁層の能力に直接由来する。本明細書および添付の特許請求の範囲に使用される場合、信号処理回路がSOI構造上に形成された領域は、SOI構造のアクティブ層と呼ばれる。
【0004】
SOI技術は、SOI構造内のアクティブデバイスを絶縁する絶縁層の導入により、それらの電気特性を向上させるので、従来のバルク基板技術を超える改良を表す。たとえば、トランジスタの閾値電圧は望ましくは均一であり、トランジスタゲート下部の半導体材料の特性によって大部分が設定される。材料のこの領域が絶縁されている場合、さらなる処理がこの領域に影響を及ぼしてデバイスの閾値電圧を変える可能性は少ない。SOI構造の使用に由来するさらなる電気特性の向上には、デバイスがスイッチとして作用する場合、短チャネル効果が少なくなり、より高速に対する静電容量が減少し、挿入損失が低下することが含まれる。さらに絶縁層は、有害な放射線からのアクティブデバイスへの影響を低減させるように作用することができる。これは、地球大気外の有害な電離放射線が蔓延していると想定される空間で使用される集積回路にとってとりわけ重要である。
【0005】
SOIウエハ100が図1に示される。ウエハは、基板層101、絶縁層102、およびアクティブ層103を含む。基板は、通常シリコンなどの半導体材料である。絶縁層102は、基板層101の酸化を通じて形成される二酸化ケイ素であることが多い誘電体である。アクティブ層103は、ドーパント、誘電体、ポリシリコン、金属層、不動態化、および回路104がその中に形成された後に存在する他の層との組合せを含む。回路104は、金属配線と、抵抗器、コンデンサ、およびインダクタなどのパッシブデバイスと、トランジスタなどのアクティブデバイスとを含んでもよい。本明細書および添付の特許請求の範囲に使用される場合、SOIウエハ100の「上部」は、上面105を参照する一方で、SOIウエハ100の「底部」は底面106を参照する。この配向構想は、他の基準枠へのSOIウエハ100の相対配向、およびSOIウエハ100からの層の除去、またはSOIウエハ100への層の追加に関わらず持続する。したがって、アクティブ層103は常に絶縁層102の「上方」にある。さらに、アクティブ層103の中央から発し底面106に向かって延在するベクトルは、他の基準枠へのSOIウエハ100の相対配向、およびSOIウエハ100からの層の除去、またはSOIウエハ100への層の追加に関わらず、SOI構造の「背面」方向を常に指す。
【0006】
SOIデバイスは、上述のようにそれらのアクティブデバイスの電気特性を高め、保持
する能力が植えつけられている。しかし、絶縁層の導入によって、放熱するデバイスの能力に関して著しい問題が引き起こされる。集積回路におけるデバイスの小型化が増えることに起因して、より多くの熱を発生するデバイスがさらにより小さい面積に圧縮されなければならない。現代の集積回路では、回路104の発熱密度が極端になる可能性がある。絶縁層102の熱伝導率は、概して標準のバルク基板の熱伝導率よりかなり低いので、絶縁層102の導入によってこの問題が悪化する。先に述べたように、二酸化ケイ素は現代のSOI技術において遍在する絶縁層である。ケルビン温度(K)300度で、二酸化ケイ素は約1.4ワット毎メートル毎ケルビン(W/m*K)の熱伝導率を有する。バルク
シリコン基板は同じ温度で、約130W/m*Kの熱伝導率を有する。SOI技術によっ
て示される放熱性能のほぼ100倍の減少は、非常に問題である。集積回路の高レベルの熱は、そのデバイスの電気特性を予期される範囲外に変化させて致命的な設計欠陥を引き起こす可能性がある。未確認のままにすると、デバイス内の過度の熱によってデバイスの回路内で材料が曲がった形または溶けた形で永久かつ致命的な故障を引き起こす可能性がある。
【0007】
SOIデバイスにおける放熱の問題は、様々な解決策を使用した手法がとられてきた。1つの手法は、熱チャネリングピラーを絶縁層102からアクティブ層103を貫通して堆積することを含む。場合によっては、これらの熱チャネリングピラーは、金属が概して二酸化ケイ素に比べて非常に高度の伝導率を有するので、金属で形成される。一部の手法では、これらのピラーは、これらのピラーが回路の電気性能を妨げない一方で、同時に絶縁層102から立ち上がり、かつ絶縁層102から離れるように熱経路を提供するように、ポリシリコンで形成される。他の手法では、孔が絶縁層102を貫通し、熱チャネリングピラーが孔内に堆積される。この構成の結果は、放熱チャネルをアクティブ層103から絶縁層102内の孔を通って基板101に提供することである。次にこの熱は、基板101を通って放散される。
【0008】
SOIデバイスにおける放熱の問題への別の手法は、背面からウエハ上で作動することを含む。図1Bは、SOIウエハ100を、ハンドル基板108から成るハンドルウエハ107およびハンドル絶縁層109に接合可能にする方法を示す。これは一般的なタイプのハンドルだが、絶縁層109は、特定の現代の工程で使用される半導体材料を含むハンドルウエハとしての絶縁材料、または絶縁層109の代わりの伝導材料である必要はない。ハンドルウエハに接合後、得られる構造は、次いで図1Bに示された構造と上下が逆になる可能性がある。この手法の下では、次いで基板101および絶縁層102は、SOIウエハ100の背部から選択的に除去される。基板101の除去および絶縁層102の選択的除去に次いで、金属の層110は、エッチングされた領域に堆積されて絶縁層102を通したより多くの熱伝導が可能になる。この金属は、集積回路が動作可能であると、アクティブ層103内のデバイスに対して接地線または情報信号線として二次的に使用されることが多い。得られる構造は、背面放熱のないSOI構造の放熱より優れた放熱機能を示すが、絶縁層がアクティブ基板の下部から直接除去されることは、アクティブデバイスの電気特性を保持し高めることができるSOI構造の能力に関してその利点を減少させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態では、放熱層を有する集積回路が開示される。集積回路は、放熱層、放熱層の上方に位置するアクティブ層、およびアクティブ層の上方に位置するハンドル絶縁層を備える。放熱層は、高い熱伝導率を有し、かつ電気的に絶縁する。
【0010】
本発明の別の実施形態では、絶縁体上半導体デバイスから放熱する方法が開示される。第1のステップでは、熱は、絶縁層の上面を横方向に横切るアクティブ層を通ってチャネ
リングされる。第2のステップでは、熱は、アクティブ層から放熱層を通って放散される。アクティブ層は、放熱層上に配置される。さらに、絶縁層がアクティブ層上に配置され、絶縁層は放熱層と少なくとも部分的に垂直に同じ広がりをもち、また絶縁層は掘られた絶縁体領域を備える。また、放熱層は高い熱伝導率を有し、かつ電気的に絶縁し、前記放熱層は前記掘られた絶縁体領域に配置される。
【0011】
本発明の別の実施形態では、集積回路を製造する方法が開示される。1つのステップでは、アクティブ回路は、絶縁体上半導体ウエハのアクティブ層内に形成される。別のステップでは、基板材料は、絶縁体上半導体ウエハの背面上に配置された基板層から除去される。別のステップでは、絶縁材料は、前記絶縁体上半導体ウエハの背面から除去されて、掘られた絶縁体領域を形成する。別のステップでは、放熱層は、掘られた絶縁体領域上に配置される。放熱層は電気的に絶縁する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】先行技術に従う、SOI構造における放熱のための処理および装置のブロック図である。
図1B】先行技術に従う、SOI構造における放熱のための処理および装置のブロック図である。
図2】本発明に従う、放熱層を有するSOI構造のブロック図である。
図3】本発明に従う、放熱層およびパターン化した絶縁層を有するSOI構造のブロック図である。
図4】放熱層、パターン化した絶縁層、および背面金属接触を有するSOI構造のブロック図である。
図5】本発明に従う、取り付けられた背面放熱ハンドルウエハを有するSOI構造のブロック図である。
図6】本発明に従う、取り付けられた背面放熱ハンドルウエハ、およびパターン化した絶縁層を有するSOI構造のブロック図である。
図7】本発明に従う、放熱層を有する集積回路を製造する方法の工程流れ図である。
図8】本発明に従う、仮ハンドルウエハを使用する放熱層を有する集積回路を製造する方法の工程流れ図である。
図9】本発明に従う、パターン化した歪層を有するSOI構造のブロック図である。
図10】本発明に従う、使用可能な様々な歪層パターンのブロック図である。
図11】本発明に従う、パターン化した絶縁層および起歪層を有するSOI構造のブロック図である。
図12】本発明に従う、起歪層を有する集積回路を製造する方法の工程流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、添付の図面に1つまたは複数の例を図示する、開示された本発明の実施形態を詳細に参照する。各例は、本技術の限定としてではなく、本技術の説明の手段として提供されたものである。事実、修正形態および変形形態を、その精神および範囲を逸脱することなく本技術に対して行うことができることは当業者には明白であろう。たとえば、一実施形態の一部として示された、または説明された特徴は、さらに別の実施形態を得るために別の実施形態と共に使用されてもよい。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内として、かかる修正形態および変形形態を網羅することが意図されている。
【0014】
本発明の実施形態は、放熱性能が改善された一方で、SOI構造を伴う有利な電気的な
デバイス特性を保持するSOIデバイスの製造を提供する。さらに、上述の利点をもつデバイスを、半導体産業で最も多く使用される製造工程をほとんど修正せずに本発明に従って製造することができる。これは、新規の半導体のソリューションが直面する可能性がある、ほとんどの場合避けることができない固定した製造費用投資の必要を回避する、既存の製造工程に対する互換性を考慮すると大きな利点である。本発明の実施形態は、背面処理の利用、SOIの埋められた絶縁層の部分的な除去、および様々な構成の放熱層のSOI構造の背面上への堆積を通じてこの成果を到達する。
【0015】
本発明に従うSOI構造は、図2を参照して説明することができる。図2に示されるように、アクティブ層103はハンドルウエハ107上に配置される。上述の規則に従って、ハンドルウエハ107はアクティブ層103の上方にある。さらに、アクティブ層103は放熱層200の上方にある。放熱層200は熱的に伝導性であり、かつ電気的に絶縁する。放熱層200を形成するのに使用される可能性がある材料には、ダイアモンド、ダイアモンド状炭素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化ベリリウム、グラフェン、およびカーボンナノチューブのようなある種の炭素形成物が含まれる。
【0016】
電気的に絶縁し、かつ熱的に伝導性である放熱層200の材料を選択することは、SOI技術によって提供される有利な電気特性を保持する一方で、二酸化ケイ素の絶縁層を使用する従来のSOIデバイスが直面する放熱の問題を大幅に減少させる。一例として、純粋合成ダイアモンドの300Kにおける熱伝導率は約3,300W/m*Kであり、酸化
ベリリウムの熱伝導率は約260W/m*Kである。これは、1.4W/m*Kの熱伝導率を有する従来のSOI構造(上で説明した)における非熱伝導性の二酸化ケイ素層との比較である。本発明および添付の特許請求の範囲に使用される場合、材料の層は、その熱伝導率が50W/m*Kを超える場合、高い熱伝導率を有する。ダイアモンドおよび酸化ベ
リリウムのどちらも、従来のSOI構造に対して100倍を超える改善された放熱性能を提供する。本発明の特定の実施形態では、絶縁層102は少なくとも部分的に除去され、別の非常に薄い絶縁層が、熱伝導性材料の層が堆積される前に堆積されて、熱伝導性の層200を形成する。絶縁層が著しく薄いと、構造の能力が高められて、熱をアクティブ層103から熱伝導材料層に放散する。たとえば、堆積された絶縁層は、元の絶縁層と同じ材料の薄い層を含むことができる。熱的に伝導性で、かつ電気的に非伝導性の材料の利点は、従来のSOI構造の放熱特性が乏しいことによって制限されることなく、アクティブ層103内のアクティブデバイスの電気特性を保持することによって実現される。
【0017】
図2に表示された構造は、背面処理を使用して生成される。SOI構造は、通常のSOI処理方法とは対照的に、背面から操作されるので、放熱層200のために使用される材料を、安定性をアクティブ層103に提供する能力、またはアクティブ層103に回路を生成するための適切な基板として作用する能力のために選択する必要がない。この理由は、元の絶縁層(絶縁層102)が基層として働く一方で、回路が生成され、ハンドルウエハ107は、背面処理中に支援を提供するからである。絶縁層102の除去は、絶縁層102および基板101がアクティブ層103に機械的支持を提供するので、通常は望ましくないはずである。これらの層が定位置にない状態でアクティブ層103をさらに処理すると、回路104に対して恐らく致命的となる可能性があることになる。しかし、ハンドルウエハ107をこの段階で追加することによって、集積回路の追加処理が可能になる。この背面処理のために使用する方法は、以下により詳細に説明される。
【0018】
背面処理の別の有利な態様は、放熱層200の追加が半導体処理の後の段階で可能になり、これによって、そうでないと適用できない放熱層200用の材料の使用が可能になることである。従来の手法とは対照的に、背面処理によってアクティブ層103の半導体処理の完了後に放熱層200の追加が可能になる。半導体生産工程の特定の段階は、100
0℃を超える温度を必要とする。ある種の材料はこのような温度に耐えることができず、したがって概して放熱層200の代わりに熱拡散層として使用することは不適当だと考えられている。しかし、背面処理の使用によって放熱層200に対するより脆弱な材料の使用が可能になる。
【0019】
本発明に従う集積回路は、図3を参照して説明することができる。図3では、アクティブ層103は、SOIデバイスでは一般的であるように、絶縁層102上に配置される。しかし、絶縁層102は、掘られた絶縁体領域300によって画定されたパターンを形成するために一部が掘られてきた。掘られた絶縁体領域は連続的である必要はなく、むしろ絶縁層102は様々な方法でパターン化してアクティブ層103の異なる部分を露出することができる。図3では、放熱層200は、掘られた絶縁体領域300内を含む、集積回路の背面全体に塗布されている。本発明の特定の実施形態では、放熱層200は掘られた絶縁体領域300内のみに配置される。本発明の特定の実施形態では、放熱層200は、パターン化され、かつ掘られた絶縁体領域300の一部のみに配置される。図3では、掘られた絶縁体領域300は、掘られた絶縁体領域内の全絶縁材料を完全に除去して示されている。しかし、本発明の特定の実施形態では、掘られた絶縁体領域300は、残留の薄い絶縁層から成ってもよい。絶縁層の最初の厚さは、一般的に100ナノメートル(nm)から1000nmの範囲である。薄い絶縁層は、5nmから100nmの範囲とすることができる。しかし、いかなる程度の薄くすることも、結果的に薄い絶縁層をもたらすことになる。これは従来の方法を使用して達成させることは困難である可能性があるが、約1nm程度の単層の残余の絶縁層は十分である。いかなる程度の薄くすることも、放熱能力に関して最初の構造と比べて改善を構成することになる。図3に示された構造は、熱がアクティブ層103を横方向に通って流れ、次いで絶縁体が薄くなっている、または除去されている放熱層200を通り貫けて放散されることが可能であるとき、アクティブ層103内の絶縁デバイスによって提供される向上した電気特性の利点を保持する場合がある一方で、同時に高められた放熱を提供する場合がある。
【0020】
絶縁層102の除去の利点および欠点は、掘られた絶縁体領域300の特定のパターンの形成によって釣り合う場合がある。たとえば、掘られた絶縁体領域300は、アクティブ層103内の金属配線の最も低い層と同じ広がりをなす場合がある。図3に示されるように、掘られた絶縁体領域300は、最も低い金属層301と横方向に同じ広がりをもつ。本発明の特定の実施形態では、掘られた絶縁体領域300は、最も低い金属層301の特定の部分を露出する。本発明の特定の実施形態では、掘られた絶縁体領域300は、最も低い金属層301のすべてを露出する。本発明の特定の実施形態では、最も低い金属層301は、アクティブ層103内に形成された回路に対する配線の最も低い層である。この構造は、金属線が絶縁体上に配置されていない場合は、金属線は概して変化した電気特性から悪影響を受けない釣合いの観点から高度に有利である。さらに、金属は熱伝導率が高く、金属配線は通常アクティブデバイスと連携してこれらの金属線を放熱のために高効率のチャネルにする。アクティブ層103内で生成される熱の大部分は、アクティブデバイスによって生成されるが、熱はこれらのアクティブデバイスから金属線に、次いでSOI構造の背部を通り貫けて放熱層200を通って放散する。この手法は、金属線を通して熱をSOI構造の頂部の上から出して経路付けるのに概して優れているのは、現代の回路が多数の金属層を有して背面経路をより直接的な出口チャネルにするためである。
【0021】
本発明に従う別の絶縁体上半導体構造は、図4を参照して説明することができる。図4に示された集積回路を使用して、有利な放熱能力をSOI構造に提供する掘られた絶縁体領域300に対するパターンの追加の組を説明することができる。図4では、トランジスタゲート401を有するトランジスタのチャネル領域400は、絶縁層102の横方向範囲内にある。しかし、掘られた絶縁体領域300は、掘られた絶縁体領域300がトランジスタドレーン402およびトランジスタソース403と横方向にともに広がりをもつ場
合、トランジスタドレーン402およびトランジスタソース403を露出する。放熱層200は、トランジスタドレーン402およびトランジスタソース403を露出する掘られた絶縁体領域300の部分に配置される。金属接点404は、掘られた絶縁体領域300の別の部分に配置される。本発明の特定の実施形態では、金属接触404は、電気的に活性ではないが、代わりに放熱経路を提供するために存在する。本発明の特定の実施形態では、金属接触404は、アクティブ層103内の回路に対して電気接点として機能することができる。たとえば、金属接点404は、情報信号を別のシステムによって使用するためにアクティブ層103内で回路外に運ぶための信号線とすることができる可能性がある。別の例では、金属接点404は、アクティブ層103内の回路に対して接地線または電力線とすることができる可能性がある。本発明の特定の実施形態では、バンプ金属処理は、金属接点404がSOI構造に対するバンプ金属コネクタであるように、バンプ金属接点を図4に表示されたSOI構造上に堆積する。金属接点404が電気的に活性でない上述の実施形態では、金属接点404は金属である必要はなく、代わりに良好な熱伝導率を有するあらゆる材料とすることができる。本発明の特定の実施形態では、これらの金属接点は金属ピラー接点である。金属ピラー接点は、金または銅からなることが可能である。これらの材料はハンダに比べてはるかに良好な熱伝導率なので、これらの金属はハンダバンプに比べて有利に機能することになる。本発明の特定の実施形態では、金属接点404は、回路基板に取り付けることができる。本発明の特定の実施形態では、金属接点は、低温共通焼成セラミック基板、モジュール基板、集積回路、バンプ金属、金バンプ金属、銅ピラー、金ピラー、および任意の金属連結部に取り付け可能にすることができる。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、掘られた絶縁体領域300は、アクティブ層103内のアクティブデバイスの部分と横方向にともに広がりをもつ。図4に示されるように、これらの実施形態は、トランジスタドレーン402およびトランジスタソース403の露出を含む可能性がある一方で、絶縁層102によって包囲されたトランジスタチャネル400を保持する可能性がある。このような実施形態は、絶縁されたチャネル領域を有する一方で、非常に近接した放熱チャネルが可能になる有利な態様を示すことになる。チャネル400は絶縁層102によって包囲され続けるので、トランジスタの電気特性は保持される。トランジスタは、漏れ電流および基板容量がより少ないだけでなく、閾値電圧がより多く制御されることを示す。また、トランジスタのソースおよびドレーンがトランジスタチャネルに直接隣接するので、放熱層200にまさに直接的なチャネルが存在する。本発明の他の特定の実施形態では、掘られた絶縁体領域300は、SOI構造内のアクティブデバイスの一部のみを露出する。本発明の他の特定の実施形態では、掘られた絶縁体領域300は、SOI構造の個々のアクティブデバイス領域の他の部分を露出する。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、金属接触404は、掘られた絶縁体領域300の第1の部分に配置される。さらに、放熱層200は、前記掘られた絶縁体領域300の第2の部分に配置され、また金属接点404の一面上に配置される。このような構成は、図4において見ることができる。熱は、アクティブ層103から金属接点404を通って直接放散されることが可能になる。さらに、熱は、放熱層200を通って次に金属接点404を通って横方向に流れることができることになる。図4は、この実施形態を、掘られた酸化物領域300がアクティブ層103の領域と一致してパターン化された一実施形態と組み合わせて表示されているが、これらの実施形態は独立して機能することができる。
【0024】
アクティブ層103の部分との、放熱層200の位置合わせされ、パターン化するために、掘られた絶縁体領域300の使用に関して上述したあらゆる実施形態は、独立してもまたは組み合わせても使用し得る。さらに、掘られた絶縁体領域300を形成するために絶縁材料を除去するパターンは、放熱層200のパターン化した堆積と組み合わせることが可能である。たとえば、放熱層200は、SOI構造の背面全体に配置される可能性があり、掘られた絶縁体領域300のみに配置される可能性があり、または掘られた絶縁体
領域300の一部に配置される可能性がある。放熱層200をパターン化する方法を以下に論じる。
【0025】
掘られた絶縁体領域300がパターン化されているか、またはさらに放熱層200がパターン化されているかのいずれかの本発明の実施形態は、有利な特性を示す。放熱層200は電気的に絶縁するが、元の絶縁材料が特定の領域に残されたことから生じる若干の利点がある。たとえば、放熱層200は、元の酸化物より電気的に絶縁が少ない材料を含むことが可能である。その材料は、費用を最小化し、その電気的な絶縁性能を犠牲にして熱伝導率を最大化するように選択できる可能性がある。電気伝導性が重要であったアクティブ層103の一部では、元の絶縁体は残される可能性があり、掘られた絶縁体領域300は他の場所に位置される可能性がある。このようにして、パターン化することによって、放熱層200に対して最適な材料を選択する際の別の自由度が可能になる。
【0026】
掘られた絶縁体領域300をパターン化することは、アクティブ層103内で界面状態の生成を制限できるという別の利点を提供する。放熱層200が良好な電気絶縁体であっても、元の絶縁体の除去によって、放熱層200が塗布されると再接合されないダングリングボンドの生成を引き起こすので、元の絶縁体は概してアクティブ層103とより良い物理的接触をすることになる。これは、アクティブ層103の回路に問題を生じる可能性がある界面状態の生成を引き起こす。掘られた絶縁体領域300をパターン化することは、元の絶縁体がアクティブ層103のキー領域と接触したままでいられることが可能になることによって、これらのキー領域にこれらの界面状態の生成を有利に制限することができる。
【0027】
本発明に従う別のSOI構造は、図5を参照して説明することができる。前述の規則により、図5はハンドルウエハ107の下方のアクティブ層103を示す。本発明の他の実施形態を参照して説明したように、絶縁層102および基板101は、アクティブ層103の底部から背面処理を介して除去されている。本発明の特定の実施形態では、ハンドルウエハ107は仮接合を介してアクティブ層103に接合される。このことは、接合が半導体処理の後の段階の間に容易に外れる可能性があることを意味する。本発明の特定の実施形態では、永久的な第2ハンドルウエハ(永久的なハンドル放熱層500および永久的なハンドル基板層501として示されている)は、背面処理中、アクティブ層103に直接接合される。本発明の特定の実施形態では、永久ハンドル基板層501は、永久ハンドル放熱層500と同じ材料からなる。この構造によって、放熱機能のレベルを前述の実施形態の放熱機能のレベルに釣り合わせることが可能になるが、従来の技法を使用して、上面をアクティブ層103内の回路へ有利に接合することも可能になる。ハンドルウエハ107は仮接合を介して接合されるので、それが背面処理中に提供した支持がもはや必要なくなった後に除去することができる。その後、アクティブ層103は、上面接合および様々な他の適用を可能にするように、上面を露出させることになる。
【0028】
本発明に従う別のSOI構造は、図6を参照して説明することができる。図6は、パターン化した絶縁層の態様を、図5を参照して記載された背面永久ハンドルと組み合わせて本発明の特定の実施形態を示す。本発明の特定の実施形態では、永久ハンドル基板層501および永久ハンドル放熱層500は、放熱層200が塗布された後、SOI構造の背面に配置される。本発明の特定の実施形態では、永久ハンドル放熱層500に対して使用される材料は、放熱層200に対して使用される材料と同じであってもよい。放熱層200および500は、スパッタリングまたは何らかの他の方法を通して塗布される。先に記載されたように、放熱層200は、絶縁層102をパターン化することによって形成された掘られた酸化物領域に配置される。図6に示された特定の実施形態は、先に記載された本発明の特定の実施形態に沿って最も低い金属層301を露出するようにパターン化された絶縁層102を表示する。実際、上述の、パターン化され、かつ放熱する層の変形のすべ
ては、有利な放熱および電気特性を有する本発明のさらなる実施形態を作り出すために、図5を参照して記載された永久ハンドルの概念と組み合わせることができる。これらの実施形態は、アクティブ層103の回路と正面接合可能のさらなる有利な特性を有することになる。
【0029】
本発明に従う集積回路を生産する方法は、図7を参照して説明できる。本発明の特定の実施形態では、集積回路を生産する方法は、処理のためのSOIウエハの準備のステップ700から始まる。このステップは、SIMOXまたは注入法および切除法を使用して生成される、二酸化ケイ素絶縁体の上方の活性シリコンの層からなるSOIウエハの実際の生成を含むことが可能である。このステップはまた、作成済みのSOIの購入およびさらなる処理のための準備を含む可能性がある。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、ステップ700におけるSOIウエハの準備の次に、アクティブ回路をSOIウエハのアクティブ層に形成するステップ701が続く。このステップ中にこの層内に形成される回路としては、CMOS、BiCMOS、SiGe、GaAs、InGaAs、およびGaNなどの技術を挙げることができるが、これに限定されない。この回路は、ダイオードおよびトランジスタなどの様々なアクティブデバイス、抵抗器、コンデンサ、およびインダクタなどの様々なパッシブデバイス、ならびに金属線およびビアなどの経路指定回路を含むことが可能である。様々なフォトリソグラフィおよび化学析出ステップは、この回路を策定するために行うことができる。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、ステップ701におけるアクティブ回路の形成の次に、SOIウエハの背面処理が続く。本発明の特定の実施形態では、背面処理は、ステップ702における第2のハンドルウエハのアクティブ層の上方のSOIウエハへの取付けまたは永久接合から始まる。ハンドルウエハに永久接合を誘発するために使用される処理は、永久的な有機接着剤または無機接着剤、酸化物ガラス接合、ガルバニック接合、分子融合接合、あらゆる形態の電磁接合、および永久ウエハ接合を生成する他の公知の方法を含む。
【0032】
SOI構造へのハンドルウエハの永久接合に続いて、SOIウエハ基板はステップ703で除去されることが可能である。基板は、機械的手段および化学的手段を独立してまたは組み合わせて使用して除去される可能性がある。たとえば、機械的研磨を使用して、基板材料を元の厚さの約800マイクロメータ(μm)から約20μmに薄くすることが可能である。基板がシリコンの場合は、基板材料の最終的な厚さは、KOHまたはTMAHなどのウェットエッチで除去されてもよい。基板材料の最終的な厚さはまた、ドライプラズマエッチを使用して除去されてもよい。基板は、高精度またはエッチング速度比で除去されることが可能である。エッチング速度比は、ウエハの背部から除去された望ましい基板材料の速度の、除去されるべきでなかった除去された追加の材料の速度に対する割合を指す。本発明の特定の実施形態では、絶縁層は、エッチング速度比が埋められた酸化物まで基板すべてを除去するほど著しく高いので、エッチング停止として作用する埋められた酸化物である。
【0033】
本発明の特定の実施形態では、ステップ703におけるSOI基板の除去の次に、先に記載された構造のいずれかを形成可能な、さらなる背面処理が続く。本発明の特定の実施形態では、SOI基板の除去の次に、ステップ704における掘られた絶縁体領域を形成するためのSOI絶縁層の除去が続く。先に記載されたように、絶縁層は、一緒に除去されてもよく、単に全体的に薄くされて元の厚さより薄いままにされてもよく、または掘られた絶縁層が前述のいくつかのパターンのいずれかを形成するような方法で除去されてもよい。これらのパターンは、標準のフォトリソグラフィ技法または選択的な化学蒸着を使用して形成されることが可能である。絶縁層を薄くすることは、アクティブ層の損傷を回
避するために注意深くなされなければならない。約1nm程度の絶縁材料の単層のみが必要とされるが、薄くすることは元の絶縁体の均一性によって制限される場合がある。たとえば、絶縁体除去の従来の方法は、開始時に使用する最初の層がそもそも5nmより大きい変化を有する場合は、5nm未満の最終層を残すことは不可能となることになる。さらに、これらのパターンは、アクティブ層の回路が遮蔽される程度と、得られるSOI構造が上記のように熱を効果的に放散する程度との有益なトレードオフを十分に利用するように構成されることが可能である。
【0034】
本発明の特定の実施形態では、ステップ704におけるSOIウエハの背面から絶縁材料の除去の次に、ステップ705における掘られた絶縁体領域のSOIウエハの背面上への放熱層の堆積が続く。この放熱層の堆積は、先に記載した構造のいずれかを生成するように行うことができる。このステップは、基板材料の除去直後に同様に続く可能性がある。さらに、このステップは、たとえば金属接点が2つ以上のステップにおいて配置された金属接点の堆積中に行われる可能性があるか、または孔が放熱層内で後に開いて電気接続のために金属接点を露出した場合は、金属接点の堆積後に行われる可能性がある。ステップ705においてこの放熱層の追加が、化学蒸着、スパッタリング、または何らかの他の方法を介して達成される可能性がある。さらに、先に記載された構造による放熱層のパターン化した堆積は、標準的なフォトリソグラフィ処理または選択的な化学蒸着の使用を介して達成される可能性がある。上記のように、本発明の特定の実施形態では、このステップで堆積された放熱層は、電気的に絶縁し、かつ熱的に伝導性である。
【0035】
本発明の特定の実施形態では、ステップ705における放熱層のSOIウエハの背面上への堆積の次に、SOIウエハの背面上の界面状態の不動態化が続く。ステップ704において絶縁体全体が除去される本発明の実施形態では、ステップ705において堆積された放熱層が高い界面状態密度を有する可能性があるので、これは非常に有利な可能性がある。堆積した膜は、膜を約800℃を超す高温で焼きなましをしない限り、非常に高い界面状態密度を有する傾向がある。この温度は、アクティブ回路が開発された後に標準ウエハが取り扱えるより高いので、高温の焼きなましはこの接合の選択肢にはない。しかし、界面状態は、低温焼きなましを使用して不動態化が可能である。本発明の特定の実施形態では、この低温焼きなましは、400〜450℃の温度範囲で行われ、純粋水素ガスまたはフォーミングガスのいずれかの水素含有雰囲気内で実現される。フォーミングガスは、非爆発性のN2およびH2の混合物である。この不動態化ステップは、別の方法で達成できる可能性があるよりもはるかに薄い放熱層を生じ得る。たとえば、この層は、5nm〜20nmの厚さにできる可能性があり、従来の化学蒸着機器またはスパッタリング機器を使用して約+/−5%の均一性を有することができる可能性がある。このステップによって、したがって非常に薄い絶縁層の堆積が可能になり、したがってアクティブ層からの非常に効率的な熱伝導が可能になる。これらの実施形態では、放熱層は、SOI構造の放熱性能を高めた、効果的に配置された絶縁材料の層を含むことになる。本発明の特定の実施形態では、高い熱伝導材料の層は、絶縁材料のこの薄い層の背部に配置され、放熱層は薄い絶縁材料層と熱伝導材料層の両方を含む。
【0036】
本発明の特定の実施形態では、ステップ704における絶縁層全体の除去の次に、前段落に記載された低温焼きなましの不動態化ステップが後続するステップ704で除去されたのと同じ絶縁材料の薄層の堆積が続くことができる。たとえば、除去された絶縁材料は、二酸化ケイ素である可能性があり、堆積された低温焼きなまし材料も二酸化ケイ素である可能性がある。二酸化ケイ素は、低界面状態位特性を有するので、使用に有利な材料である。二酸化ケイ素が除去され、次いで堆積することになる理由は、堆積および低温焼きなましの工程が、上に開示された方法を使用する元の層の部分的なエッチバックを通して達成できるより均一でより薄い絶縁材料の層を生成する可能性があることである。
【0037】
本発明の特定の実施形態では、ステップ705におけるSOIウエハの背面上への放熱層の堆積の次に、アクティブ層内のアクティブ回路への電気接触を後続工程中に可能にする、選択された領域の放熱層の除去が続く。一実施形態では、放熱層の部分を掘ることは、金属の最も低いレベルの領域が電気接触に対して金属を露出するように存在するところに位置する場合がある。あるいは、放熱層は、アクティブ構造に直接接触が可能になるように、アクティブシリコン領域の下で選択的に除去されてもよい。放熱層に加えて、他の誘電層は、電気接触のために様々な導体を露出するように除去されることを要求される場合がある。熱伝導層の除去は、フォトリソグラフィおよび適切な化学を使用するドライエッチングまたはウェットエッチングの周知の手段を使用して選択的に実現されてもよい。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、SOIウエハの背面からの放熱層の領域の除去の次に、ステップ706における金属接点の堆積が続く。これらの金属接点は、ステップ704またはステップ705において形成された掘られた絶縁体領域の第1の部分に堆積される。金属接点は、熱をアクティブ回路から迅速に放散することができる。本発明の特定の実施形態では、金属接点は、アクティブ回路から放熱のための熱チャネル、ならびに外部デバイスへの信号または電力接続のための接点の両方を提供し得る。これらの金属接点は、ボールボンド、はんだバンプ、銅ポスト、または他のダイ接点材料を含んでもよい。金属接点は、回路基板または低温共通焼成セラミック基板に取り付けるようにさらに構成できる可能性がある。このステップで生成される構造は、それによって構造の底面上のSOI構造のアクティブ層に接触を有することになり、これは標準SOIデバイスの反対方向である。
【0039】
本発明に従う集積回路の生産方法は、図8を参照して説明することができる。本発明の特定の実施形態では、集積回路の生産方法は、処理のためのSOIウエハの準備のステップ800に始まり、SOIウエハのアクティブ層内に回路を形成するステップ801に続く。ステップ800および801は、ステップ700および701のそれぞれを参照して先に記載されたように実行可能である。ステップ802は、ハンドルウエハをSOIウエハのアクティブ層の上面に接合することを含むことが可能である。ハンドルウエハは、アクティブ層に仮接合できる可能性がある。仮接合をハンドルウエハに誘発するために使用される処理には、Brewer Science HT 10.10、3MのWSS(Wafer Support System(ウェーハサポートシステム))、HD Micro polyimide(マイクロ・ポリイミド)、およびTMATなどの接着剤が含まれる。このハンドルウエハは、アクティブシリコンと接合され、基板上に配置されることになる絶縁層を含む可能性がある。この時点で、アクティブ回路は、したがって2つの絶縁層の間に挟まれることになる。あるいは、ハンドルウエハは、導体材料または半導体材料を含む可能性がある。ステップ802におけるハンドルウエハの仮接合に続いて、ステップ803、804、および805は、先に記載されたステップ703、704、および705のそれぞれのようにすべて実行することができる。
【0040】
本発明の特定の実施形態では、ステップ805における放熱層の堆積の次に、ステップ806における第2の永久ハンドルウエハをアクティブ層の下のSOI構造に取付けまたは永久接合することが続くことが可能である。この背面処理ステップの成果は、方向を接点を作成することができる方向からSOI構造内のアクティブ回路に変更することである。一旦この第2のハンドルウエハがSOIウエハの背面に永久接合されると、元のハンドルウエハは、ハンドルウエハが一時的で容易に元に戻せる処理を使用して接合されたことにより、ステップ807において容易に除去することができる。上面ハンドルウエハに永久接合を誘発するために使用された処理としては、永久の有機接着剤、酸化物ガラス接合、ガルバニック接合、分子融合接合、任意の電磁接合方法、および永久ウエハ接合を生成する他の公知の方法が挙げられる。分子融合接合などの一部の接合方法は、接合される両面に高度の平坦性が要求される場合がある。絶縁材料が選択的に除去された場合、このこ
とがウエハの表面に非平面性を導入する場合があり、これは接合をより困難にする。この場合、接合ステップの前にウエハの表面を平坦にして、接合効果を向上させるために化学機械研磨を使用してもよい。
【0041】
ステップ806において生成された構造は、SOI構造の上面に露出されたその構造のアクティブ層を有することになり、さらに処理によって上面からアクティブ回路に直接連結可能になる。ステップ806において接合される第2の永久ハンドルウエハは、全体が電気的に絶縁するが熱を伝導する材料からなることが可能である。さらに、第2のハンドルウエハは、基板材料上に配置された材料からなる可能性がある。この第2の構成は、基板材料が必要な安定性を最終的なSOIデバイスに提供する一方で、非常に高額の熱伝導材料である場合があるものをあまり使用しないので、費用を抑えることができる可能性がある。第2の永久ハンドルウエハ上の熱伝導材料は、ステップ805において放熱層を形成するために堆積されたのと同じ材料からなることが可能である。あるいは、ステップ806において接合された永久ハンドルウエハは、シリコンまたは高抵抗シリコンなどの導体材料または半導体材料からなることが可能である。
【0042】
背面起歪層
本発明の実施形態は、アクティブデバイスの生成をそのチャネルに密着する起歪材料を有するSOI構造に提供する。本発明の実施形態によって、起歪層が塗布される通常の段階よりデバイス製造工程の後の段階でこのような起歪材料の導入が可能になる。これによって、間欠的に製造する段階中に起歪層の有効性が増加する一方で、同時にSOI構造に損傷を与える危険性を低減することが可能になる。さらに、前述の利益を有するデバイスは、半導体産業において最も多く使用される製造工程に対する修正をほとんどなしで本発明によって製造可能である。これは、新規の半導体ソリューションが直面する可能性があるほとんどの場合避けることができない固定した生産費用投資の必要を回避する既存の製造工程に対する互換可能性を想定すると大きな利点である。本発明の実施形態は、背面処理の利用、SOI絶縁層の部分の可能な除去、およびSOI構造の背面上への様々な構成における起歪層の堆積を通じてこの成果を達成する。
【0043】
アクティブデバイスのチャネルをなす材料における機械的な引張歪または圧縮歪の導入は、このようなアクティブデバイスにおける電荷担体の移動度を増加させることが可能である。一般に、引張歪を誘発すると電子移動度が増加し、圧縮歪を誘発すると正孔移動度が増加する。したがって、n型金属酸化物半導体(NMOS)などのn型アクティブデバイスは、NMOSデバイスにおける電荷担体が電子なので引張歪がそのチャネル内で誘発される場合、より高い周波数で作動することが可能になる。同様に、p型金属酸化物半導体(PMOS)などのp型アクティブデバイスは、PMOSデバイスにおける電荷担体が電子なので圧縮歪がそのチャネル内で誘発される場合、より高い周波数で作動することが可能になる。
【0044】
本発明に従うSOI構造は、図9を参照して説明することができる。図9は、アクティブ層103、絶縁層102、および基板を含む元のSOIウエハが、ハンドルウエハ107に取り付けられており、その基盤を除去する背面処理を受けたSOI構造を示す。回路は、NMOS900などのn型アクティブデバイス、およびPMOS901などのp型アクティブデバイスを含むアクティブ層103内ですでに生成されている。さらに、起歪層902は、絶縁層102の背部に存在する。
【0045】
図9に示された構成は、半導体デバイスにおいて歪を誘発するための通常の手法に比べて特定の有利な特性を有する。デバイス内の応力は、ウエハの反りなどの問題をそれが生成する利益とともに引き起こす可能性があるので、半導体構造で誘発される応力の全体量をできるだけ具体的に限定し的を絞って保持することが望ましい。起歪層の有効性は、歪
を受けるべき領域と歪を受けている領域との距離が減少すると増加するので、半導体の誘発される歪全体は制限される一方で、起歪層をアクティブデバイスのチャネルにできる限り接近して設置することにより同じ有益なチャネル歪を達成する。このことは、最も低い層が概して最初に堆積されなければならないので、上面処理の製造手法の観点から問題がある。したがって、起歪層は通常FETデバイスのゲートの上方に堆積され、したがってチャネルからある程度の距離をおいて位置される。また歪層の非平面性は、ゲートのパターン化を通して導入され、FETデバイスの長さおよび幅などの形状効果に依存して起歪層を有効化させる。さらに、半導体デバイスは、600〜1050℃の範囲の極めて高温を含む歪層の堆積後、処理ステップをさらに受ける。この必要性は、半導体デバイスに2つの弱める効果を有する。最初は、起歪層によって誘発された歪は、起歪層の全体的な目的とは対照的に高温焼きなまし中に低減される場合がある。次に、起歪層は、アクティブ層およびウエハ反りの塑性変形を引き起こす場合があり、これは電気性能および得られるデバイスの生産収量を著しく低減することになる滑りおよび転位発生などのシリコン結晶欠陥を引き起こす場合がある。対照的に、本発明に従う背面処理を使用する起歪層の堆積によって、アクティブ層が完全に処理され、したがって初期の段階で応力の導入に関連した問題を回避した後、アクティブデバイスのチャネルに近接して起歪層を堆積することが可能になる。
【0046】
本発明の特定の実施形態では、起歪層は、リソグラフィ処理または他の製造方法(図11を参照して以下で論じられるものなど)を使用して塗布され、それによって起歪層のパターン化した堆積が可能になる。図9は、起歪層902が引張歪層903および圧縮歪層904を含むようにパターン化された具体的な実施形態を示す。本発明の特定の実施形態では、起歪層902のこれらの2つの部分は、引張歪または圧縮歪のいずれかをアクティブ層103上に生成する傾向を有する異なる材料を使用して形成することができる。引張歪を誘発可能な材料としては、窒化ケイ素および窒化アルミニウムが挙げられる。圧縮歪を誘発可能な材料としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、およびダイアモンド状炭素が挙げられる。同じ材料は、材料が堆積される条件に依存して圧縮歪または引張歪のいずれかを誘発することが可能である。本発明の特定の実施形態では、起歪層902の2つの部分は、異なる条件下で同じ材料を堆積することによって形成することができる。材料の起歪特性が堆積条件を調節することで制御することができるいくつかの材料は塗布することができる。たとえば、異なる条件下で化学蒸着を使用して堆積された窒化ケイ素または窒化アルミニウムは、引張歪または圧縮歪のいずれかを生成することができる。本発明の特定の実施形態では、引張歪層903は、NMOS900などのn型アクティブデバイスを有するSOI構造の領域にわたって堆積可能であり、圧縮歪層904は、PMOS901などのp型アクティブデバイスを有するSOI構造の領域にわたって堆積可能である。それによって、両方のデバイスの担体移動度を効率的に高めることが可能である。
【0047】
本発明の特定の実施形態では、均一な起歪層は、SOI構造の底部に背面処理中に塗布される。これらの実施形態は、特定キャリア型アクティブデバイスがアクティブ層103内の回路の優位に立つ状況を特に利用する。たとえば、アクティブ回路層103内のアクティブデバイスが主にNMOSトランジスタであった場合、均一の引張歪層は、SOI構造の背面に塗布できる可能性がある。それによって、NMOSトランジスタは高められることになり、より多数のNMOSトランジスタの強化によって提供される利点が、任意のPMOSトランジスタ内の担体の移動度の変更を潜在的に弱めることより勝ることになる。
【0048】
本発明の特定の実施形態では、(単数または複数の)起歪層は、アクティブ層103の背部に直接塗布される。これは、起歪層902が堆積される前に、絶縁層102を除去するさらなる背面処理ステップによって達成される。これらの実施形態は、起歪層の堆積が半導体デバイス処理順序のより後の段階で可能になる有利な特性を共有する。しかし、こ
れらの実施形態では、起歪層はアクティブ層103により近接している。したがって、電気特性および得られる半導体デバイスの生産量を高める一方で、依然としてそのアクティブデバイスのチャネル内の電荷担体の移動度を高めることが可能な全応力は、あまり必要とされない。本発明の特定の実施形態では、起歪層902がアクティブ層103上に直接堆積されると、起歪層902は、SOI構造の有利な特性を保持するための電気絶縁材料からなる。歪を誘発することと、電気絶縁体として作用可能なことの両方をともなう材料としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、およびダイアモンド状炭素が挙げられる。
【0049】
本発明の特定の実施形態では、異なるパターンがアクティブ層103内に歪を誘発するように適用される。これらのパターンは、2軸歪または1軸歪を電荷担体の流れに平行方向または垂直方向に生成することが可能である。これらのパターンは、上記のように複数の少なくとも部分的に垂直に同じ広がりをもつ起歪層の適用によって形成することができる。同様に、これらのパターンを、上記のように掘られた絶縁体領域に堆積された起歪層の適用によって形成することができる。引張歪または圧縮歪を誘発可能な様々なパターンは、図10を参照して説明することができる。ゲート1000は、起歪層1001によって包囲されている。起歪層1001が引張応力誘発層である場合、このパターンは、2軸引張歪をゲート1000の下のチャネルに生成する。起歪層1001が圧縮起歪層である場合、このパターンは、2軸圧縮歪をゲート1000の下のチャネルに生成する。ゲート1010は、起歪層1011によって包囲されている。ゲート1010は、幅に対する長さの大きい比率を有する。したがって、起歪層1011の適用は、主に1軸歪を、チャネルを通って電荷担体の流れに平行であり、起歪層1011が圧縮に対応するか引張に対応するかに基づいて、圧縮または引張のいずれかであるゲート1010の下のチャネルに誘発する。ゲート1020は、起歪層1021の上にわたる。このパターンは、主に1軸歪を、チャネルを通る電荷担体の流れに垂直であり、起歪層1021が圧縮または引張のそれぞれに対応するように、圧縮または引張のいずれかであるゲート1020の下のチャネル内に誘発する。最後に、ゲート1030は、起歪層1031によって包囲されている。このパターンの効果は、同じタイプの材料が起歪層1031および1011に使用された場合、層1011によって誘発されることになる反対の歪を生成する。たとえば、起歪層1031が引張誘発である場合、圧縮歪がゲート1030の下のチャネルに誘発されることになる。同様に起歪層1031が圧縮である場合、引張歪がゲート1030の下のチャネルに誘発されることになる。
【0050】
本発明によるSOI構造は、図11を参照して説明することができる。図11は、絶縁層102が掘られた絶縁体領域300を形成する特定のパターンに従って除去され、歪力の所望の分配をアクティブ層103内に生成する、アクティブ層103を含むSOI構造を示す。本発明の特定の実施形態では、引張歪および圧縮歪のいずれも、起歪層902すべてに対して同じ材料を使用してアクティブ層103内に誘発することができる。図10を参照して先に記載されたように、反対の型の歪をゲート1010および1030の下のチャネルに誘発するために、起歪層1011および1031に対して同じ材料を使用することができる。図11に示されたように、掘られた絶縁体領域300は、NMOS900などのn型アクティブデバイスのチャネルを露出し、PMOS901などのp型アクティブデバイスのチャネルを中心にパターン化する可能性がある。この場合、起歪層902は、掘られた絶縁体領域300のパターンと縦に並んで作用し、NMOS900の電子とPMOS901の正孔の両方の移動度を高めることになる、均一の引張起歪層である可能性がある。本発明の特定の実施形態では、前の実施形態と比較してパターンの極性および堆積された材料の歪の型が交換され、同じ二重の増進効果が得られることになる。
【0051】
本発明の特定の実施形態では、掘られた絶縁体領域300は、アクティブ層103内のアクティブデバイスの一部を露出させるためにのみ形成される可能性がある。たとえば、
掘られた絶縁体領域300は、NMOS900などのn型アクティブデバイスのチャネルを露出させるのみのパターン内で除去され、次いで引張起歪層はSOI構造の背部に堆積される。同様に本発明の特定の実施形態では、前の実施形態と比較してパターンの極性および堆積された材料の歪の型が交換される可能性がある。本発明の特定の実施形態では、残りの絶縁領域の下部の起歪層は、エッチング手順を介して除去される可能性がある。これらの実施形態では唯一の型のデバイスが歪められるが、これは、特にある種の半導体材料においてより性能依存の高い設計では、依然として有利な性能をもたらす。
【0052】
本発明の特定の実施形態では、歪をアクティブデバイス内で誘発するSOI構造の背面と接触する材料はまた、放熱層として機能することが可能である。したがって、この記載の第1の項における任意の放熱層は、さらに歪を誘発する層と交換される可能性がある。さらに起歪層がアクティブデバイスのチャネルなどの熱源と接触するようにパターン化されている実施形態をこの実施形態と組み合わせることによって、有利な結果をもたらす。特定の実施形態では、起歪層は、アクティブデバイスのチャネル上に堆積され、歪層および放熱層の両方として機能し、また標準の絶縁層がSOIデバイスに対してなす方法でデバイスを絶縁する。電気絶縁、熱伝導、および起歪をすることにより、これらの有利な特性すべてを提供することができる材料としては、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、およびダイアモンド状炭素が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、図10を参照に記載されたように、絶縁層102を完全に除去することができ、かつ熱を放散する一方で、同時に起歪層に対するパターンを提供することができる、パターン化した熱拡散層と交換することができる。
【0053】
本発明に従う集積回路を生成する方法は、図12を参照して説明することができる。ステップ1200では、基板が背面処理を使用してSOI構造の背部から除去される。本発明の特定の実施形態では、SOI構造は、SOI構造のアクティブ層内の回路がほぼ完全であるように、十分な処理をすでに受けている。ステップ1200における基板除去の方法は、図7のステップ703を参照して述べたものと同じである。本発明の特定の実施形態では、ステップ1200の次に、ステップ1203におけるSOI構造の背面上への起歪層の堆積が続く。堆積された起歪層は、スパッタリング、化学蒸着、または任意の他の方法を介してSOI層の背面全体にわたって堆積することができる。起歪層は圧縮歪または引張歪のいずれかを誘発可能である。また堆積された層は、ステップ1203において一部に第1の歪層を堆積し、次いでステップ1205において別の歪層を堆積するために、リソグラフィまたは何らかの他の方法を使用してパターン化することができる。この場合、引張誘発部分および圧縮誘発部分を有する可能性がある、多重部分起歪層が形成されることになる。本発明の特定の実施形態では、この多重部分起歪層は、ステップ1203およびステップ1205のそれぞれに対して異なる処理条件と組み合わせてこの2つのステップと同じ材料を使用して、実際に形成される可能性がある。上述のように、窒化ケイ素などの材料は、それらが塗布される条件に依存して引張または圧縮応力のいずれかを発揮する。
【0054】
本発明の特定の実施形態では、ステップ1200における基板材料の除去の次に、ステップ1201における絶縁材料の除去が続く。この除去は、図7のステップ704を参照して論じたあらゆる方法を含むことが可能である。本発明の特定の実施形態では、ステップ1201の次に、ステップ1202における放熱層の堆積が続くことが可能である。この堆積は、図7のステップ705および706を参照して論じたあらゆる方法を含むことが可能である。本発明の特定の実施形態では、ステップ1201の次に、ステップ1203における起歪層の堆積が代わりに続くことが可能である。起歪層および放熱層が全く同一である本発明の特定の実施形態では、これらの2つのステップ間に違いはない。本発明の特定の実施形態では、ステップ1201における絶縁層の除去は、絶縁材料をSOI構造の背部から完全に除去することが可能である。このステップの次に歪層の堆積1203
が続く場合、得られるSOI構造は、アクティブ層の背部上に直接堆積された歪層を含む。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、ステップ1201における絶縁層の除去は、絶縁材料を上記のようにある種のパターンで除去することができる。このことの次に、歪層がステップ1201において形成された掘られた絶縁体領域に堆積されるように、ステップ1203における歪層の堆積が続くことが可能である。たとえば、絶縁材料は、歪がその上でn型デバイス下のみなどで誘発されることになっている回路のそれらの部分の下のみで除去される可能性がある。その場合、起歪層は引張であるはずであり、n型デバイスのみが有利に歪むことになる一方で、p型デバイスは名目上の状態のままである。別の例として、絶縁材料は、単一の起歪層が引張歪および圧縮歪の両方をアクティブ層上に必要に応じて生成する可能性があるように、n型デバイスチャネルの下に、またp型デバイスチャネルの下の対応するネガティブパターン内に残される可能性がある。またステップ1201において絶縁材料のパターン化した除去の次に、異なる種類の起歪層を上述のように掘られた絶縁体領域の異なる部分に堆積するステップ1203と1205の順で続く可能性がある。
【0056】
本発明の特定の実施形態では、ステップ1203におけるSOI構造の背面上の起歪層の堆積の次に、ステップ1204における堆積された起歪層の部分のパターン化した除去が続く。このステップはしたがって、掘られた歪層領域を形成する。ステップ1205では、第2の歪層はSOI構造の背面上に堆積される。結果として、この第2の歪層は、掘られた歪層領域を満たす。ステップ1206では、掘られた歪層領域を満たさなかった追加の歪層は、SOI構造に対して背面さえも形成するために除去することができる。この手法は、ステップ1204における歪層の除去のみがパターン化される必要があるので、他の実施形態と比べて特定の有利な態様を有する。ステップ1206における第2の歪層の除去は、第1歪層および第2の歪層の化学成分の差によって支援された均一レベルまたは制御されたエッチングへの機械的研磨を含むことが可能である。さらに、起歪層の実際の堆積は、ステップ1203および1205の両方において均一とすることができる。化学蒸着などの堆積の一部の形式は、詳細なリソグラフィのパターニングに必ずしも適しているとは限らないという事実を考慮すれば、この手法はそれが詳細なパターニングをより効果的な方式で達成できるという点で有利である。
【0057】
発明の実施形態は主にその特定の実施形態に関して論じられてきたが、他の変形形態も可能である。記載されたシステムの様々な構成が本明細書に示された構成の代わりに、または本明細書に示された構成に追加して使用され得る。たとえば、デバイスはしばしばシリコン基板および酸化物絶縁体層を参照して論じられたが、本発明は任意の形態の絶縁体上半導体ウエハ、構造、またはデバイスとともに機能するであろう。たとえば、本発明はシリコンオンサファイア構造とともに機能するであろう。さらに本発明は、CMOS、バイポーラ、BiCMOS、SiGe、Ga、As、InGaAs、GaN、および任意の他の形態の半導体技術もしくは化合物半導体技術などのような任意の形態の技術を使用して回路上で機能または作動することが可能である。上述のように、絶縁層は完全に除去される必要はない。絶縁層はそのまま残すことができる可能性があり、次いで放熱層は絶縁層の表面上に配置される可能性がある。さらに絶縁層全体は完全に除去されるのではなく薄くされることが可能であり、または掘られた絶縁体領域が残余の薄くされた絶縁層を含んで形成されることが可能である。さらに本明細書に記載されたそれらの層の間に配置された材料の追加の層があってもよい。半導体処理は高度に詳細な分野であり、層は混乱を回避するように本発明を記載するために不可欠である場合のみ本明細書に記載されている。たとえば、回路がその環境と反応することを防止するためにアクティブ層上に配置された不動態化層があってもよい。さらに、1つのアクティブ層または1つの絶縁層を説明するときなどの語「層」の使用は、2つ以上の材料からなる層を除外するものではない。た
とえば、SOI構造のアクティブ層全体の下の二酸化ケイ素絶縁体に加えてアクティブ回路内の金属内張りの下にガラスまたは他の何らかの絶縁体の層があってもよい。しかし、絶縁層という用語は、ガラスおよび二酸化ケイ素絶縁体の構造全体を包含することが可能である。
【0058】
前述の説明は例示のみのためであり、本発明を制限することを意図しないことは、当業者は理解するであろう。本開示では、本発明が半導体処理または集積回路の特定の形態を必要とするシステムに限定されることを示すものはない。機能は、所望に応じてハードウェアまたはソフトウェアによって実行されてもよい。一般に、あらゆる示された図は可能な一構成を示すことを意図するだけであり、多くの変形形態が可能である。本発明と一致する方法およびシステムは、電子デバイスまたは光素子からの放熱に関連したあらゆることを包含する広範囲の用途で使用に適していることも当業者は理解するであろう。
【0059】
本明細書は、本発明の特定の実施形態に関連して詳細に記載されているが、前述の理解を達成すれば、当業者はこれらの実施形態の代替形態、変形形態、および等価物を容易に考え出し得ることが理解されよう。本発明のこれらおよび他の修正形態ならびに変形形態は、添付の特許請求の範囲により具体的に説明されている、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施されてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12