【発明が解決しようとする課題】
【0008】
1方向(y方向)では1μm未満の広がりであるが、ほかの2つの方向ではできるだけ大きく広がっている光分布(シート光)が望ましく、これに関しy方向ではシート光の上および下に光が存在しないことが望ましい。このシート光の上および下の光は、観察方向(y方向)からの測定を妨害する可能性がある。
【0009】
これまでに知られている解決策
a)干渉パターンは、y方向では薄く、かつ原理的には理論的にx方向およびz方向に無限に広がることができるが、ただしy方向に周期的に連なっており、したがってシート光の外に非常に多くの光が存在している。
【0010】
b)ベッセルビーム(独国特許出願公開第102007063274号明細書)は、理論的にはz方向に無限に広がることができ、yでは所望の直径を有しているが、ただしビームの外ではy方向で出力を非常に多く復活させる。すなわちベッセルビームをx方向にスキャンすると確かにシート光は得られるが、所望の平面の上および下に非常に多くの光出力が伴う。
【0011】
c)円柱レンズによる線焦点:円柱レンズによりx方向の焦点を生成することができる。すなわちこのビームをデフォーカスによりz方向にスキャンすると、同様にシート光を実現することができる。
【0012】
円柱レンズは、入射するコリメートされたレーザビームから、x方向の線焦点を成形する(円柱レンズの後ろに間隔fをあけて)。この線焦点をz方向に変位することができる(デフォーカス、例えば変位可能なレンズまたはSLMによる焦点距離fの変更によって実現可能)。ただし、この線焦点はz方向の広がりが非常に小さく(DOF≒λ/NA
2、DOF=焦点深度)、この広がりは、線焦点がy方向で薄くなればなるほど、ますます小さくなる。
【0013】
例:NA=0.5→λ=0.488μmの場合、DOF≒λ/NA
2≒2μmとなる。
上に挙げた解決策の欠点は、単一ビームの広がりが小さいということ、またはビームをスキャンしなければならないという必要条件である。さらに、ベッセルビームの場合はy方向に、およびx線焦点の場合はz方向に、非常に多くの光が存在しており、この光は試料を退色させる可能性がある。したがって、さらなる目標は、光の焦点の広がりを大きくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は独立請求項の特徴によって特徴づけられる。
好ましい変形形態は従属請求項の対象である。
特許請求項は、明確に本発明の開示内容に含まれている。
【0015】
本発明は、「SPIM」顕微鏡検査のための顕微鏡ならびに帰属の顕微鏡方法ならびに顕微鏡の動作方法ならびに特許請求項に挙げたSPIM顕微鏡検査のためのSincフィルタおよびマシュービームの有利な使用に関する。
【0016】
これに関し、本発明により以下のことを提案する。
z方向における伝播不変性のまたは、明確に規定された分布は、光の周波数スペクトルにおけるz成分を制限することによって得られる。各々のz成分には、「伝播」により、もう1つの位相シフトが生じるので、周波数スペクトルのz成分をフィルタ関数によって限定することが有利である。とりわけ、z方向のフィルタ関数としてSinc(z)関数を使用することが提案される。
【0017】
原理的には、Sinc(z)^2関数のようなその他の関数も考えられるが、Sinc関数は、zでの(理想的に)一定のプロフィルを可能にするという特別な利点を提供する。
【0018】
もちろん、正確なフィルタ関数はさらに最適化することができ、それゆえSinc関数はここでは、z方向において比較的大きな領域にわたり、軸上でのほぼ一定のビームプロフィルを可能にする関数のために特に有利として挙げられている。
【0019】
つまり、本発明によれば、線焦点の広がりは、z方向では、円柱レンズの前のSinc(z)フィルタによって大きくすることができる。このためにSinc(z)フィルタはy方向に変形され、y方向のフィルタとして実現される。ただし、これに関しては、Sinc関数は正および負の値を有するので、構造が比較的複雑なフィルタが必要である。純粋な振幅フィルタは正の値しか透過できない。フィルタ透過の負の値は、λ/2の位相シフトに相当する。ただし、追加的な例えばλ/2の位相シフトにより負の値も透過することができる。このフィルタ関数はx方向では一定であることができる。
【0020】
図2は、このような、複素フィルタの理論的に理想的な透過軌道の一例を示している。コリメートされたレーザビームLKが概略的に示されており、このレーザビームは、使用された光学系の瞳内に配置された空間フィルタFを通り抜け、この空間フィルタにより振幅および位相において影響を及ぼされる。対応する空間的な光分布は、変調されたレーザビームMLとして概略的に示されている。
【0021】
ここでは、最初に空間周波数フィルタsinc(ν
z)が示されている。
照明方向において、円柱レンズZLおよび生成されたシート光LBが続いている。sinc(ν
z)は、エヴァルトの方程式によりν
y方向にリスケーリングされたν
y=0(軸上)でゼロ位のSincに相当することが有利である。したがって、y軸上に投射されたSinc(ν
z)はz方向での広がりを生じさせる。
【0022】
ただし、ν
y軸に投射されたSinc(ν
z)は、未だ、y方向でのビームプロフィルを理想的には制限していない。したがって、y方向に投射されるsinc(ν
z)は、例えばsinc(ν
y)と(掛け算で)重ね合わされる。すなわち、このsinc(ν
y)がシート光をy方向において制限し、その一方で、ν
y軸に投射されたSinc(ν
z)はシート光を特定のz距離にわたって一定にする。
【0023】
両方のSinc関数は、影響し合う。すなわち、小さなy広がりは、広げられたsinc(ν
y)を必要とし、この広げられたsinc(ν
y)は、例に示したように、例えば投射されたsinc(ν
z)に相当するのが望ましい。
【0024】
これにより、この例では、DOF≒8μmを達成することができる。さらなる例を以降のページに挙げる。
さらなる一例では、実質的にx軸に沿って一定に形成された円柱光学系を用いる代わりに、通常の回転対称な例えば球面を有する光学系を用いてもシート光を実施することができる。この場合、z方向のフィルタ関数(Sinc(ν
z))は、回転対称の関数としてx−y平面内に投射され、そして、yでの所望の制限ならびにxおよびzでの所望の広がりを得るため、1つまたは2つのさらなるxおよびyのフィルタ関数と掛け合わされ、つまり、例えばy方向において薄いシート光のためのy方向での非常に広いsinc(ν
y)関数およびx方向での大きな広がりのためのx方向での非常に狭いsinc(ν
x)関数と掛け合わされる。
【0025】
図3では、
図2のY軸に沿った、Y/Z切断面に沿った断面での、3つのフィルタ関数(x、y、z)を重ね合わせた振幅分布Aを例示的に示している。
こうすることで意外にも、図示した円柱レンズのようなアナモフィック光学系を使用しなくても、y方向で約1μmの厚さで、z方向で10μmの焦点長さの、広げられた線焦点(波長0.488μm)を実現することができる(100μm×10μm×1μm X×Z×Y)。
【0026】
さらに、100μm×100μm×4μm(xの幅×zの深度×yの厚さ)のシート光を実現することができる。
軸上(角度ゼロ)で、Sinc関数は単純に重なり合っており、かつ相互に「破壊」し合っており、つまり常にその時々のより小さな幅のSinc関数が優位である(
図3も参照)。
【0027】
Sinc関数を互いから分離するため、つまり、できるだけ多くの周波数情報を伝送するために、軸外で対物レンズの瞳内に、理想的にはできるだけ大きな開口で(例えば対物レンズのNA=1の場合にNA=0.85で)フィルタを設けることができる。これにより意外にも、さらに厚さの小さいシート光、例えば100μm×100μm×2μm(x×z×y)が可能である。一般にSinc関数のゼロ点は、照明光学系の瞳内で自由に選択することができる。
【0028】
yの直径が1μmの、より小さいシート光も可能である(例えば波長0.5μmで10μm×100μm×1μm X×Z×Y)。とりわけ、この新規のフィルタにより、側方の広さが大きいと同時にy方向の厚さが小さく、かつy方向でのシート光の外の光が少ないシート光を生成することができ、このシート光は、現況技術から知られている例えばガウスビームとしての、xもしくはzでの寸法が少なくとも2倍大きいシート光、またはベッセルビームもしくは2ビーム干渉パターンとしての、y方向でのシート光の外の光強度が少なくとも10分の1のシート光より明らかに優れている。
【0029】
このシート光はさらに、z方向にもx方向にも延びていることができる(瞳内でのフィルタの位置に応じて)。これは構成を特に柔軟にする。
シート光をx方向、y方向、およびz方向に変位させるために(焦点またはシフト)、シート光を位相関数によって変調することができる。つまり、このシート光は、例えばSLM(空間光変調器)を用いて、その空間全体を移動(スキャン)することもできる。このSLMは単独でまたは振幅フィルタと協働して用いられ、シート光の変位を例えばy方向で生じさせる。これにより、例えばy方向からの観察ビームによる試料全体の共焦点スキャンが可能である。
【0030】
さらに、複数のSinc^3フィルタ、したがって、シート光を、相並べてまたは重ね合わせて配置することができる。これによりシート光面を拡大することができ、または例えばSTEDのために、励起領域の周縁での追加的な脱励起を促すことができる。
【0031】
例えば、デフォーカスまたは位相シフトなしで2つのSinc^3フィルタを瞳内に設けることにより、シート光を変調(構造化)することができる。これにより、変調周波数を自由に調整することができる。発生する干渉場は、SIM(ZEISS Elyra S.1)または構造化された照明を用いる類似の方法に利用することができる。シート光の厚さをさらに小さくすることができ(例えば0.7μm)、その際、シート光の広がりはより小さくなる。
【0032】
数式および定義
SINC関数:
【0033】
【数1】
エヴァルトの方程式:
【0034】
【数2】
軸外:軸外位置rν
xで:
【0035】
【数3】
したがって
【0036】
【数4】
特別な場合:ν
x=0で軸上位置:
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
後の
図4に基づく表示では右上および左上にそれぞれ、生成されたsinc(ν
z)関数がZ軸に沿って、異なるピーク配置で示されている。
【0039】
ピークを中心に配置すると、より良いZプロフィルが生じることが明らかになっている。
左下には例として、
【0040】
【数7】
でのSinc(ν
z)を示しており(左の図、ν
z軸は右に向かっている)、右下では同じSinc(ν
z)フィルタが、エヴァルトの方程式に基づいて横座標に投射されている(右の図)。すなわち、この軌道は、z方向での相応の部分的に一定の軌道を得るために用いなければならない瞳内の複素フィルタに対応している。
【0041】
この本発明による、sinc(ν
z)関数のエヴァルトの方程式に基づくy方向へのリスケーリング(変形または投射)は、意外にも非常に有利である。
図5の表示はそれぞれ、最初に左上に、
図4で右下に示したようなサイドの主ピークを有する断面画像としての、瞳内の複素フィルタとしてのSinc(ν
z)フィルタを示している。中央上では、瞳内にSinc(z)フィルタが配置されたレンズ(対物レンズ)の理想的な焦点位置(z=0)でのx−y平面の断面(フィルタを有するシステムの点広がり関数PSF)(対数スケーリング)を示しており、右上にはy−z軌道(z、すなわち光の伝播方向に沿って)を示している。
【0042】
下の列には左から右へと、上記の素子が、右側の実際の光分布に対応するリニアスケーリングで示されている。
左下:x−y平面(z=0)の断面 − リニアスケーリングでのPSF
中央下:x−z軌道
右下:y−z軌道、リニアスケーリング、「光針」の左の領域へのズーム。
【0043】
十分に長いZ軌道にわたって、方向を強く一定に制限されたビーム軌道が達成できるのが有利であることが明らかになっている。
一般的なSinc^3フィルタ
arg
x=π[ν
x−rν
x]/Δ
x
arg
y=π[ν
y−rν
y]/Δ
y
【0044】
【数8】
複素フィルタ
【0045】
【数9】
図6の表示は、上では例として、本発明に基づく瞳内での片側の軸外関数を対数スケーリングまたはリニアスケーリングで示しており(左上および左下)、X−Y方向(中央上)およびXZ方向(中央下)での焦点内の照明状況を示しており、かつ光のy/Z分布を対数スケーリング(右上)およびリニアスケーリング(右下)で示している。
【0046】
図7では、瞳内で形成された非対称で片側のsinc関数FSincの例を部分的に認識することができる。