【実施例】
【0045】
(実施例1)
ラセカドトリル経口液体製剤
経口ラセカドトリル液のための組成物を表1に示す。表1の材料を使用し、以下の混合工程を用いた:
工程1:精製水とヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンとを、好適な容器内で、実験室用ミキサーで混合することによって溶液を生成した。
【0046】
工程2:ラセカドトリルを工程1の溶液に添加し、実験室用振とう器内で少なくとも12時間混合し、透明な溶液を生成した。
【0047】
工程3:クエン酸、ソルビトール溶液、高果糖コーンシロップ、及び塩化ナトリウムを混合して溶液を生成し、溶解するまで実験室用ミキサーを用いて混合した。
【0048】
工程4:好適な容器内で香味剤をポリエチレングリコール400内に混合することによって、別の混合物を調製した。続いて、この混合物を、工程3で得られた溶液と混合し、精製水で全量まで希釈した。
【0049】
【表1】
1:ISPからCAVASOL W7として市販されている
【0050】
実施例2:濃縮ラセカドトリル水性組成物
ラセカドトリルの水性酢酸塩緩衝液の製剤を3種類調製し、ラセカドトリルの水性クエン酸塩緩衝液の製剤を3種類調製した。これらの製剤は、ラセカドトリルのβ−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体(Captisol(登録商標))中混合物を使用して調製したものであり、それを表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
表2の材料を使用して、以下の混合工程を実施して、溶液を生成した。
【0053】
工程1:好適なガラス瓶に、Captisol(登録商標)を、それぞれ60%、70%及び78%のpH 4.5酢酸塩緩衝溶液として、秤量、混合及び調製した(処方1、3及び5)。更に、Captisol(登録商標)を、それぞれ60%、69%及び80%のpH 4.5クエン酸塩緩衝溶液として、秤量、混合及び調製した(処方2、4及び6)。
【0054】
工程2:氷酢酸(17.4M)又はクエン酸(3M)のいずれかを用いて、各瓶のpHをpH 4.5に調節した。
【0055】
工程3:ラセカドトリルを工程2の各瓶にゆっくりと添加し、ボルテックスミキサーを用いて5分間混合した後、各瓶を実験室用振とう器内に置き、溶液が形成されるまで24時間混合した。
【0056】
水溶液中でのラセカドトリルの安定性
比較の目的で、ラセカドトリルの安定性を室温及び40℃で試験した。
【0057】
【表3】
【0058】
これらの結果は、室温及び40℃の条件において、ラセカドトリルは12時間後に不安定であることを示す。更に、1週間の時点で、ラセカドトリルは1%未満存在する。
【0059】
緩衝液中でのラセカドトリルの安定性
比較の目的で、pH 4.5酢酸塩緩衝液及びpH 4.5クエン酸塩緩衝液中で可溶化したときのラセカドトリルの安定性を分析した(表4)。
【0060】
【表4】
【0061】
データは、40℃及び4週間で、安定性は多少損なわれるものの、水中よりも緩衝液中の方が安定であることを示す。データは、ラセカドトリルは水中よりも緩衝液中の方が安定であることも実証する。
【0062】
β−ヒドロキシプロピル−シクロデキストリン(β−HPCD)中でのラセカドトリルの安定性
β−ヒドロキシプロピル−シクロデキストリン中のラセカドトリルの製剤を評価した(表5)。
【0063】
【表5】
【0064】
データは、安定性は緩衝剤のみの場合に近いが、β−HPCDを使用するとより高い安定性が達成されることを示す。
【0065】
β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体
1溶液中でのラセカドトリルの安定性
上記実施例2で調製した試料の安定性を、β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体(Captisol(登録商標))溶液を用いて分析した。データを表6に示す。
【0066】
【表6】
【0067】
処方
1−pH 4.5酢酸塩緩衝液中、Captisol(登録商標)60%w/w
2−pH 4.5クエン酸塩緩衝液中、Captisol(登録商標)60%w/w
3−pH 4.5酢酸塩緩衝液中、Captisol(登録商標)70%w/w
4−pH 4.5クエン酸塩緩衝液中、Captisol(登録商標)69%w/w
5−pH 4.5酢酸塩緩衝液中、Captisol(登録商標)78%w/w
6−pH 4.5クエン酸塩緩衝液中、Captisol(登録商標)80%w/w
【0068】
試験方法
試料調製:
1.1mLのラセカドトリル溶液を、ピペットで100mLメスフラスコ(V.F.)に入れる。
2.溶液調製に使用した緩衝液と同じ緩衝液で、全量まで希釈する。
3.必要であれば、試料溶液を更に希釈して約0.1mg/mLとする。
【0069】
試料分析
標準(0.1mg/mLのラセカドトリルのアセトニトリル溶液)及び試料を、下記条件と類似の条件下で、好適なHPLCシステムに注入する。パラメータは、クロマトグラフィーを最適化するために変更されてもよい。
【0070】
注入した外部標準を用いて、ラセカドトリルの濃度を決定する。分解生成物の割合は、ラセカドトリルのピークを基準としたピーク面積の%によって決定される。
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】
移動相A:リン酸緩衝液、pH 2.5(緩衝液調製:1gのリン酸二水素カリウムを水に溶解し、リン酸でpH 2.5に調節し、水で1000mLに希釈する)
移動相B:100%アセトニトリル
【0074】
β−ヒドロキシプロピル−シクロデキストリン(β−HPCD)中でのラセカドトリルの安定性
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
【0077】
【表11】
【0078】
【表12】
【0079】
以上、本発明をその具体的な実施形態を参照しながら説明したが、本明細書中に開示される新規な着想から逸脱することなく多くの変更、改変、及び変形を行うことが可能であることは明らかである。したがって、こうした変更、改変、及び変形はすべて、付属の特許請求の範囲の趣旨及び広義の範囲に包含されるものとする。本明細書で引用するすべての特許出願、特許、及び他の刊行物は、それらの全容を援用するものである。
【0080】
〔実施の態様〕
(1) ラセカドトリルとシクロデキストリンとを含む液体組成物。
(2) 前記ラセカドトリルがRSラセミ体又はR体である、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記ラセカドトリルが、前記液体組成物100mL当たり約0.10グラム〜約0.30グラムの量で存在する、実施態様1に記載の組成物。
(4) 前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、又はこれらの混合物である、実施態様1に記載の組成物。
(5) 前記シクロデキストリンが、前記液体組成物100mL当たり約40重量%〜約65重量%の量で存在する、実施態様1に記載の組成物。
【0081】
(6) 緩衝剤、防腐剤、甘味料、粘度調整剤、着色料、芳香剤、香味剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される任意成分を更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(7) 前記緩衝剤がクエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、又はこれらの混合物である、実施態様6に記載の組成物。
(8) 前記甘味料が、ソルビトール、高果糖コーンシロップ、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、スクロース、又はこれらの混合物である、実施態様6に記載の組成物。
(9) 前記防腐剤が、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、プロピルパラベン、メチルパラベン、ブチルパラベン、又はこれらの混合物である、実施態様6に記載の組成物。
(10) 前記シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体である、実施態様1に記載の組成物。
【0082】
(11) 実施態様1に記載の組成物を含む剤形であって、液体経口剤形、軟質シェル固体剤形、硬質シェル固体剤形又は錠剤剤形である、剤形。
(12) 消化性健康有効成分である第2の有効成分を更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(13) 前記組成物が経口的に送達される、実施態様1に記載の組成物。
(14) 前記組成物が液体経口剤形である、実施態様1に記載の組成物。
(15) ラセカドトリルを含む液体組成物であって、25℃で約3〜約5のpHを有する、液体組成物。
【0083】
(16) 実施態様15に記載の組成物を含む剤形であって、液体経口剤形、軟質シェル固体剤形、硬質シェル固体剤形又は錠剤剤形である、剤形。
(17) 消化性健康有効成分である第2の有効成分を更に含む、実施態様15に記載の組成物。
(18) 液体組成物であって、
約0.1重量%〜約0.3重量%のラセカドトリルと、
約6重量%〜約8重量%のシクロデキストリンと、
約16重量%〜約19重量%のソルビトールと、
約45重量%〜約55重量%の高果糖コーンシロップと、
約0.1重量%〜約0.4重量%の塩化ナトリウムと、
約0.1重量%〜約0.8重量%のポリエチレングリコールと、
約15重量%〜約30重量%の水と、
約0重量%〜約0.5重量%の香味剤と、を含み、
各重量%は100mLの前記組成物を基準とする、液体組成物。
(19) 前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、又はこれらの混合物である、実施態様18に記載の組成物。
(20) 下痢を経験する対象者の治療方法であって、ラセカドトリルとシクロデキストリンとを含む組成物を前記対象者に経口投与する工程を含む、方法。