デコーダにデータ信号を送信することを含むステップを含み、前記データ信号は、前記分割を予測するステップが実行されたか否かを示すデジタル情報を含む、請求項1に記載の符号化方法。
復号化ブロックの分割をまず再構築することを含むステップを実行することにより、先にブロックに分割され、符号化された現在画像を示すデータ信号(F)を復号化する方法であって、復号化される現在ブロック(CTBu)に対して、
・所定の比較基準の適用によって、現在ブロックの前記分割を示す第1のデジタル情報シーケンス(Su)と、復号化ブロックの前記分割を示す第2のデジタル情報シーケンス(Sri)との間で、又は実際には現在ブロックの分割と復号化ブロックの分割との間で、符号化中に実行される比較を示す少なくとも1つのデジタル情報(S’u)の有無を、前記データ信号(F)において識別すること(D1)であって、前記所定の比較基準の適用に従って、識別された前記少なくとも1つのデジタル情報が、前記復号化ブロックの分割から生じ、かつ現在ブロックの分割から生じるサブブロックに対応するサブブロックが、前記現在ブロックの前記分割から生じたサブブロックの分割深度レベルを上回る分割深度レベルを有するか否かを示す、識別すること(D1)と、
・前記復号化ブロックの前記再構築された分割及び前記識別された少なくとも1つのデジタル情報から、前記現在ブロックの前記分割を再構築すること(D22)と、を含むステップを含むことを特徴とする、復号化する方法。
請求項9に記載の復号化する方法を実行する復号化装置であって、先にブロックに分割され、符号化された現在画像を示すデータ信号(F)を復号化するように構成され、まず、復号化ブロックの前記分割を再構築するのに適する再構築手段(MPRI)を備え、前記復号化装置は、復号化される現在ブロック(CTBu)に対して、
・所定の比較基準の適用によって、現在ブロックの前記分割を示す第1のデジタル情報シーケンス(Su)と、復号化ブロックの前記分割を示す第2のデジタル情報シーケンス(Sri)との間で、又は前記現在ブロックの分割と復号化ブロックの分割との間で、符号化時に実行される比較を示す少なくとも1つのデジタル情報(S’u)の有無を、前記データ信号において識別する識別手段(MS)であって、前記所定の比較基準の適用に従って、識別された前記少なくとも1つのデジタル情報が、前記復号化ブロックの分割から生じ、かつ現在ブロックの分割から生じるサブブロックに対応するサブブロックが、前記現在ブロックの前記分割から生じたサブブロックの分割深度レベルを上回る分割深度レベルを有するか否かを示す識別手段(MS)を備え、
・前記再構築手段(MPRI)が、前記復号化ブロックの前記再構築された分割及び前記識別されたデジタル情報から、前記現在ブロックの前記分割を再構築することに適することを特徴とする、復号化装置。
【背景技術】
【0003】
現在準備中であり、B.Bross、W.J Han、J.R.Ohm、G.J.Sullivan、及びT.Wiegandによる、「High efficiency video coding(HEVC)text specification draft 6」Document JCTVC−H1003 of JCT−VC、San Jose、CA、USA、February 2012という題名の文献に記載されているHEVC標準は、ビデオシーケンスのブロック分割を利用するという意味で、先行するH.264標準と同様である。それにもかかわらず、HEVC標準は、使用される分割が「四分木」と呼ばれるツリー構造に準拠することにより、H.264標準とは異なる。そのため、
図1Aに示されるように、現在画像I
Nはまず、例えば、64×64ピクセルのサイズを有する複数の正方形ブロックCTB
1、CTB
2、・・・、CTB
i、・・・、CTB
L(1≦i≦L)に分割される。所与のブロックCTB
iについて、ブロックが、
・ルート下の第1のレベルのリーフが、ブロックCTB
iが初回、既に複数の符号化ブロックに分割されたブロックCTB
iの分割での第1の深度レベルに対応し、
・第1のレベルのリーフ下の第2のレベルのリーフが、既に1回分割されたブロックCTB
iが2回目に、複数の符号化ブロックに分割されるブロックCTB
iの分割での第2の深度レベルに対応し、以下同様であり、
・k−1回分割されたブロックCTB
iが最後にもう1回、複数の符号化ブロックに分割されたブロックCTB
iの分割での第kの深度レベルに対応する、第k−1レベルのリーフ下の第kのレベルのリーフ
である符号化ツリーのルートを構成するものと考えられる。
【0004】
HEVC互換性コーダでは、ブロックCTB
iの分割は、所定の分割深度レベルまで繰り返される。
【0005】
図1Aに示されるブロックCTB
iの上述した連続分割の終了時、ブロックは最後に、CB
1、CB
2、・・・、CB
j、・・・、CB
Mと書かれる複数の符号化ブロックに分割される。但し、1≦j≦Mである。
【0006】
上記符号化ブロックのサイズは、ツリー構造のリーフがそれぞれ、様々な分割深度レベルで得られる符号化ブロックCB
1、CB
2、・・・、CB
j、・・・、CB
Mを示す四分木型構造に準拠するブロック分割を用いて、適応的に選択し得る。
【0007】
図1Aを参照すると、所与のブロックCB
jについて、ブロックが、例えば、離散コサイン変換(DCT)型の上記ブロックの予測及び変換ツリーのルートを構成するものと考えられる。所与のブロックCB
jの予測ツリーは、ブロックCB
jが、「予測ブロック」と呼ばれる複数のブロックPB
1、PB
2、・・・、PB
t、・・・、PB
P(1≦t≦P)に分割される方法を示す。考慮中の予測ブロックPB
tについて、例えば、符号化モード、動きベクトル等の予測パラメータが予測ユニットで指定される。
【0008】
考慮中の符号化ブロックCB
jには様々な分割モードが存在する。例として、
図1Aは、ブロック間予測の状況での考慮中の符号化ブロックCB
jの様々な分割モードを示す。これらの分割モードのうちの4つがある。
・PART_2N×2Nモードは、考慮中の符号化ブロックCB
jが分割されないことに対応し、したがって、単一の予測ブロックPB
1に対応し、
・PART_2N×Nモードは、考慮中の符号化ブロックCB
jが水平に2つの矩形予測ブロックPB
1及びPB
2に分割されることに対応し、
・PART_N×2Nモードは、考慮中の符号化ブロックCB
jが垂直に2つの矩形予測ブロックPB
1及びPB
2に分割されることに対応し、
・PART_N×Nモードは、考慮中の符号化ブロックCB
jが、同じサイズの4個の正方形予測ブロックPB
1、PB
2、PB
3、及びPB
4に分割されることに対応する。
【0009】
考慮中の符号化ブロックCB
jの予測符号化後、もう1回、「変換」ブロックと呼ばれる複数のより小さなブロックTB
1、TB
2、・・・、TB
v、・・・、TB
Q(1≦v≦Q)に分割し得る。そのような分割は、リーフが、様々な分割深度レベルで得られる各符号化ブロックTB
1、TB
2、・・・、TB
v、・・・、TB
Qを示す「残差四分木」として知られている四分木構造に準拠する。
【0010】
図1Aは、PART_N×N分割を用いて予測された符号化ブロックCB
jの分割の一例を示す。示される例では、符号化ブロックCB
jのブロックPB
2及びPB
3はそれら自体それぞれ、例として、それぞれ同じサイズの4個のより小さな正方形ブロックTB
1、TB
2、TB
3、及びTB
4、並びにTB
5、TB
6、TB
7、及びTB
8に分割される。そのような分割は、
図1Aで破線で示されている。
【0011】
図1Bは、予測符号化及び変換符号化後に得られた考慮中のブロックCTB
iの分割の一例を、対応する分割ツリー構造と共に示す。示される例では、
・符号化ツリーのルートとして見なされるブロックCTB
iは、太い実線で描かれ、
・第1に、符号化ツリーのリーフを構成し、第2に、残差四分木のルートを構成する符号化ブロックCB
1〜CB
16は、細い実線で描かれ、
・残差四分木のリーフを構成する変換ブロックTB
1〜TB
16は、破線で描かれる。
【0012】
このようにして構成されるツリー構造では、
・符号化ブロックCB
1〜CB
4等の符号化ブロックのみを含む第1の分割深度レベルNP1、
・第2の分割深度レベルNP2であって、
・ブロックCB
1を分割した結果として得られるブロックCB
5〜CB
8及びブロックCB
4を分割した結果として得られるブロックCB
9〜CB
12等の符号化ブロックと、
・ブロックCB
2を分割した結果として得られるブロックTB
1〜TB
4等の変換ブロックと、
を含む、第2の分割深度レベルNP2、並びに
・第3の分割深度レベルNP3であって、
・ブロックCB
10を分割した結果として得られるブロックCB
13〜CB
16等の符号化ブロックと、
・ブロックCB
7を分割した結果得られるブロックTB
5〜TB
8、ブロックTB
2を分割した結果得られるブロックTB
9〜TB
12、及びブロックCB
12を分割した結果得られるブロックTB
12〜TB
16等の変換ブロックと、
を含む、第3の分割深度レベルNP3
が存在する。
【0013】
HEVC互換性コーダでは、考慮中のブロックCTB
iについて、そのブロックの複数の異なる分割を、コーダにおいて競わせ、すなわち、分割反復の異なる各組み合わせを競わせて、最良の分割、すなわち、所定の符号化性能基準、例えば、当業者に周知の基準であるデータレート/歪みコスト又は効率/複雑性妥協の適用において、考慮中のブロックCTB
iの符号化を最適化する分割を選択する。
【0014】
考慮中のブロックCTB
iの最適な分割が実行されると、この最適な分割を示すデジタル情報シーケンス、例えば、一連のビットが、ストリームで送信され、ビデオデコーダによって読み取られる。
【0015】
そのようなストリームは同様に、
・定量化された残差ブロックの係数と、任意選択的に、ブロック間モード符号化が実行される場合には、動きベクトルに関する残差データとで構成される残差データと、
・使用される符号化モードを示す符号化パラメータ、特に、
・予測モード(ブロック内予測、ブロック間予測、情報がデコーダに送信されない、すなわち、「スキップ」する予測を実行するデフォルト予測)、
・予測のタイプを指定する情報(向き、参照画像成分等)、
・変換のタイプ、例えば、4×4DCT、8×8DCT等、及び
・必要な場合には、動き情報等
である、符号化パラメータと、
を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特定の状況では、既に符号化され、次に復号化されたブロックに対して実行される複数のサブブロックへの分割が、符号化される、考慮中のブロックCTB
iの分割に類似することが生じ得る。その結果、符号化されるブロックCTB
iの分割を示すデジタル情報シーケンスも、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割を示すデジタル情報シーケンスに類似する。符号化されるブロックCTB
iの分割を示すデジタル情報シーケンスが、高シグナリングコストを示す無視できない量のデジタル情報を含み、それにより、符号化の性能が低減することを理解されたい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的の1つは、上述した当分野の現況の欠点を是正することである。
【0018】
このために、本発明は、一態様において、符号化される現在ブロックに対して、以下のステップ:
・現在ブロックを少なくとも1回、複数のサブブロックに分割するステップと、
・第1のデジタル情報シーケンスの形態で現在ブロックの分割を表現するステップと、
を実行する、先にブロックに分割された現在画像を符号化する方法を提供する。
【0019】
そのような符号化方法は、
・既に符号化され、次に復号化され、第2のデジタル情報シーケンスの形態で表現されるブロックの分割に相対して、現在ブロックの分割を予測することであって、第1及び第2のシーケンスを互いに比較するか、又は対応する分割を互いに比較し、次に、所定の比較基準の適用において比較を示す残差デジタル情報を特定することにより、分割を予測することと、
・特定された残差デジタル情報を符号化することと、
を含むステップを含むという点において注目に値する。
【0020】
したがって、そのような提供により、現在ブロックの分割と、参照分割、すなわち、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割との差のみを符号化することが可能になり、それにより、現在ブロックの分割を再構築するために、復号化時に必要なデジタル情報量が大幅に低減する。
【0021】
特定の実施態様では、符号化方法は、デコーダにデータ信号を送信することを含むステップを含み、この信号は、分割予測ステップが実行されたか否かを示すデジタル情報を含む。
【0022】
そのような提供により、任意の現在又は将来のコーダは、考慮中の画像シーケンス、考慮中の画像、又は考慮中の画像部分(若しくは「スライス」)に対して、現在ブロックの分割の予測をアクティブ化するか、又は非アクティブ化する選択肢を有することが可能になる。その結果、そのような分割予測方法は、現在のビデオのコンテキストに適合可能であるため、特に柔軟である。
【0023】
別の特定の実施態様では、上記分割予測ステップが実行される場合、データ信号は、上述したように符号化された残差デジタル情報を含む。
【0024】
そのような提供により、現在ブロックを再構築するために、現在ブロックの結果と参照分割との差の結果をデコーダに通知することが可能になる。
【0025】
さらに別の特定の実施態様では、現在ブロック及び既に符号化され、次に復号化されたブロックはそれぞれ、少なくとも1回分割されて、所定の分割深度レベル以下の2つの分割深度レベルを取得し、所定の比較基準は、以下である:
・等しい分割深度レベルでの現在ブロックの分割と、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割とを比較し、
・所定の分割深度レベルとの比較を繰り返し、
・各比較の終了時に、比較された分割がそれぞれ同じであるか、又は異なるかに応じて、第1の値又は第2の値のいずれかである残差デジタル情報を特定する。
【0026】
そのような提供により、
・現在ブロック又は既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割の少なくとも一方が、高分割深度レベルで実行された場合、及び
・現在ブロックの分割深度レベルが、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割深度レベルとは非常に異なる場合、
シグナリングのコストを低減することが可能になる。
【0027】
さらに別の特定の実施態様では、上記比較基準は以下である:
・現在ブロックの分割から生じるサブブロックと、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割から生じる対応するサブブロックとが、再度分割されていない場合、残差デジタル情報は特定されず、
・現在ブロックの分割から生じるサブブロックが再度分割されており、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割から生じる対応するサブブロックが再度分割されているか、又は再度分割されていない場合、残差デジタル情報は特定される。
【0028】
一変形では、比較基準は以下である。
・現在ブロックの分割から生じるサブブロックと、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割から生じる対応するサブブロックとが、再度分割されていた場合、残差デジタル情報は特定されず、
・現在ブロックの分割から生じるサブブロックと、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割から生じる対応するサブブロックとが、再度分割されていない場合、残差デジタル情報は特定され、
・現在ブロックの分割から生じるサブブロックが再度分割されており、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割から生じる対応するサブブロックが再度分割されていない場合、残差デジタル情報は特定される。
【0029】
更に別の特定の実施態様では、符号化され、次に復号化されたブロックは、予め識別される位置を、
・現在画像の復号化部分、
・既に復号化された別の画像、又は
・現在ブロックが配置される別の画像成分に関連付けられた画像成分
に有する。
【0030】
したがって、そのような提供により、ブロック内予測モード又はブロック間予測モードを使用することにより等しく良好に二次元画像又は画像部分を符号化する状況で、本発明を実施することが可能になる。
【0031】
ブロック間符号化を用いる場合、既に復号化された他の画像は、現在画像の前又は後に発生する画像であり得る。
【0032】
したがって、そのような提供により、単方向予測又は双方向予測方式のいずれかを使用して二次元画像を符号化する状況で、本発明を実行することが可能になる。
【0033】
最後に、そのような提供により、既に符号化され、次に復号化された少なくとも1つの第2の画像成分に相対して第1の画像成分を符号化する提案がなされている、マルチビュー3D符号化又はHEVC 3D符号化等の三次元(3D)ビデオ符号化に対して本発明を実行することが可能になる。
【0034】
第1及び第2の画像成分が、1つの画像の個片ではなく、本発明の意味では、完全な画像の2つの異なるビューを示すことが観測されるはずである。
【0035】
そのような第1及び第2の画像成分はそれぞれ、例えば、現在開発中の新しいマルチビュービデオプラス深度(MVD)ビデオ符号化フォーマットで使用されるような、テクスチャ成分及び関連付けられた深度成分であり得る。
【0036】
代替的には、上述した第1及び第2の画像成分はそれぞれ、深度成分及び関連付けられたテクスチャ成分であり得る。
【0037】
当然ながら、他のタイプの第1及び第2の画像成分も考えられ得る。
【0038】
したがって、第1及び第2の画像成分はそれぞれ、
・同じマルチビュー画像の2つのビュー、
・ルマ成分及び彩度成分、又は
・スケーリング可能なビデオ符号化中の2つの異なるレイヤ
であり得る。
【0039】
第2の画像成分及び第3の画像成分に相対して第1の画像成分を符号化することを考えることも可能である。そのような状況下では、例として、
・第1の画像成分は成分Yであり得、
・第2の画像成分は成分Uであり得、
・第3の画像成分は成分Vであり得る。
【0040】
本発明は、先にブロックに分割された現在画像を符号化する符号化装置も提供し、この装置は、上述した符号化方法を実行するように設計される。符号化される現在ブロックに対して、そのような装置は、
・現在ブロックを少なくとも1回、複数のサブブロックに分割する分割手段と、
・第1のデジタル情報シーケンスの形態で現在ブロックの分割を表現する表現手段と、
を備える。
【0041】
そのような符号化装置は、
・既に符号化され、次に復号化され、第2のデジタル情報シーケンスの形態で表現されるブロックの分割に相対して、現在ブロックの分割を予測する予測手段であって、予測手段は、第1及び第2のシーケンスを互いに比較するか、又は対応する分割を互いに比較し、次に、所定の比較基準の適用において比較を示す残差デジタル情報を特定することに適する、予測手段と、
・特定された残差デジタル情報を符号化する符号化手段と、
備えるという点で注目に値する。
【0042】
本発明は、上述した符号化方法を使用して符号化された画像を示すデータ信号も提供する。そのような信号は、上述したように、上記符号化された残差デジタル情報を含むという点で注目に値する。
【0043】
本発明は、復号化する現在ブロックに対して、復号化ブロックの分割をまず再構築することを含むステップを実行することにより、先にブロックに分割され、符号化された現在画像を示すデータ信号を復号化する方法も提供する。
【0044】
そのような復号化方法は、
・所定の比較基準の適用において、現在ブロックの分割を示す第1のデジタル情報シーケンスと、復号化ブロックの上述した分割を示す第2のデジタル情報シーケンスとの間で、又は実際には対応する分割間で、符号化中に実行される比較を示す残差デジタル情報を、上記データ信号において識別することと、
・復号化ブロックの再構築された分割及び識別された残差デジタル情報から、現在ブロックの分割を再構築することと、
を含むステップを含むという点で注目に値する。
【0045】
符号化情報、より詳細には、現在ブロックの分割と参照分割との差を示す残差デジタル情報を受信して読み取る際、そのような復号化技法により、上述された符号化方法で実行される予測の逆である予測の適用で、現在ブロックを再構築することが可能である。
【0046】
本発明は、上述された復号化方法を実行する復号化装置も提供し、上記復号化装置は、先にブロックに分割され、符号化された現在画像を示すデータ信号を復号化するように構成され、復号化される現在ブロックに対して、まず、復号化ブロックの分割を再構築するのに適する再構築手段を備える。
【0047】
そのような復号化装置は、
・所定の比較基準の適用において、現在ブロックの分割を示す第1のデジタル情報シーケンスと、復号化ブロックの分割を示す第2のデジタル情報シーケンスとの間で、又は対応する分割間で、符号化時に実行される比較を示す残差デジタル情報を、データ信号において識別する識別手段
を備え、
・上述した再構築手段が、復号化ブロックの再構築された分割及び識別された残差デジタル情報から、現在ブロックの分割を再構築することに適する
という点で注目に値する。
【0048】
本発明は、コンピュータで実行されると、本発明の符号化方法又は復号化方法を実行する命令を含むコンピュータプログラムも提供する。
【0049】
プログラムは、任意のプログラミング言語を使用し得、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形態等のソースコードとオブジェクトコードとの間に存在するコードの形態、又は任意の他の所望の形態であり得る。
【0050】
本発明は、コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読データ媒体も提供し、プログラムは、上述したような本発明の符号化方法又は復号化方法を実行するように構成される命令を含む。
【0051】
データ媒体は、プログラムを記憶することが可能な任意のエンティティ又は装置であり得る。例えば、媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)等の記憶手段、例えば、コンパクトディスク(CD)ROM、微小電子回路ROM、又は実際には磁気記録手段、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)スティック又はハードディスクを含み得る。
【0052】
さらに、データ媒体は、電気ケーブル、光ケーブル、無線、又は他の手段によって伝達し得る電気信号又は光信号等の伝送可能媒体であり得る。本発明のプログラムは、特に、インターネット型ネットワークからダウンロードし得る。
【0053】
代替的には、データ媒体は、プログラムが組み込まれる集積回路であり得、回路は、上述された符号化方法又は復号化方法を実行するように、又は実行に使用されるように構成される。
【0054】
上述した符号化装置及び対応するコンピュータプログラムは少なくとも、本発明の符号化方法により付与される利点と同じ利点を呈する。
【0055】
上述した復号化装置並びに対応するコンピュータプログラム及びデータ媒体は少なくとも、本発明の復号化方法により付与される利点と同じ利点を呈する。
【0056】
他の特徴及び利点が、図を参照して行われる好ましい実施態様の説明を読むことから現れる。
【発明を実施するための形態】
【0058】
発明の符号化方法の詳細な説明
本発明の符号化方法が使用されて、例えば、準備中のHEVC 2D標準に準拠する符号化により得られるものと同様のバイナリストリームとして、画像又は画像シーケンスを符号化する、本発明の一実施態様の説明が以下に続く。
【0059】
この実施態様では、本発明の符号化方法は、例として、当初はHEVC 2D標準に準拠したコーダに変更を行うことにより、ソフトウェア又はハードウェアの形態で実施される。本発明の符号化方法は、
図2に示されるように、ステップC1〜C7を含むアルゴリズムの形態で示される。
【0060】
本発明の実施形態では、本発明の符号化方法は、
図3に示されるような符号化装置COで実施される。
【0061】
図2に示される前ステップC1中、画像IC
1、・・・、IC
j、・・・、IC
MのシーケンスSQの部分を形成する現在画像IC
jは、例えば、64×64ピクセルサイズを呈する複数のブロックCTB
1、CTB
2、・・・、CTB
u、・・・、CTB
S(1≦u≦S)に従来通りに分割される。そのような分割ステップは、
図3に示される第1の分割ソフトウェアモジュールMP1によって実行される。
【0062】
本発明の意味において、「ブロック」という用語が、例えば、B.Bross、W.J Han、J.R.Ohm、G.J.Sullivan、及びT.Wiegandによる、「High efficiency video coding(HEVC)text specification draft 6」Document JCTVC−H1003 of JCT−VC、San Jose、CA、USA、February 2012という題名の文献で、特にHEVC標準において使用される用語での「符号化単位」と同じ意味を有することが観測されるはずである。
【0063】
特に、そのような符号化単位は、矩形又は正方形の形状であり、ブロック、マクロブロック、又は実際には他の幾何学的形状を示すピクセルセットとしても知られるピクセルセットを一緒にグループ化する。
【0064】
図2に示されるステップC2中、現在画像IC
jのブロックCTB
uが、符号化の現在ブロックとして選択される。
【0065】
図2に示されるステップC3中、選択されたブロックCTB
uは複数の符号化サブブロックB
1、B
2、・・・、B
f、・・・、B
Gに分割される。但し、1≦f≦Gである。そのような分割は、上述したように、「四分木」型構造に準拠する。当然ながら、他のタイプのツリー構造を考えることもできる。
【0066】
本発明によれば、ブロックCTB
uは、所定の分割深度レベルk
p以下である分割深度レベルk
1に達するまで、少なくとも1回分割される(k
1≧0、k
p≧0)。
【0067】
上記分割は、
図3に示される第2の分割ソフトウェアモジュールMP2によって実行される。
【0068】
ステップC2〜C3は、全てのブロックCTB
1、CTB
2、・・・、CTB
Sに対して繰り返される。
【0069】
ブロックCTB
uを分割する一例を
図4Aに示す。
【0070】
示される例では、現在ブロックCTB
uは、コーダによって設定される深度レベルk
1=2に分割され、上記レベルは、例えば、k
p=4等の所定の分割深度レベルk
p未満である。示される例では、分割深度レベルk
1は、選択されたブロックCTB
uに対して得られる最終的な分割が符号化性能基準、例えば、特にデータレート/歪みコストを最適化するレベルとして決定される。
【0071】
図4Aを参照すると、所与の現在ブロックCTB
uについて、このブロックが符号化ツリーACのルートを構成するものと考えられ、この符号化ツリーACでは、
・ルート下の第1のレベルのリーフが、ブロックCTB
uが初回、複数の符号化サブブロック、例えば、4つの符号化サブブロックB
1、B
2、B
3、B
4に分割されているブロックCTB
uの第1の分割深度レベルに対応し、
・第1のレベルのリーフ下の第2のレベルのリーフが、1回分割されたブロックCTB
uが2回目に、ブロックB
1の分割から生じる複数の符号化サブブロック、例えば、4つの符号化サブブロックB
5、B
6、B
7、B
8に分割されているブロックCTB
uの第2の分割深度レベルに対応する。
【0072】
図2に示されるステップC4中、ビットS
1、S
2、・・・、S
u、・・・、S
SのシーケンスSが生成され、これらのビットはそれぞれ、ブロックCTB
1、CTB
2、・・・、CTB
u、・・・、CTB
Sに対して実行された分割を示す。ブロックCTB
1、CTB
2、・・・、CTB
u、・・・、CTB
Sが復号化されたものも生成され、復号化ブロックは、
図2及び
図3では、CTBD
1、CTBD
2、・・・、CTBD
u、・・・、CTBD
Sと書かれる。そのような復号化ブロックは、コーダCOがシーケンスSQの後続画像を符号化するために再使用するためのものである。
【0073】
バイナリシーケンスを生成するそのようなステップは、
図3に示されるデータプロセッサソフトウェアモジュールPSBによって実行される。
【0074】
上述した復号化ステップは、これもまた
図3に示される復号化モジュールMDによって実行される。
【0075】
本発明によれば、
図2に示されるステップC5中、現在ブロックCTB
uの分割は、既に符号化され、次に復号化されたブロックの分割に相対して予測され、このブロックは、既に符号化され、次に復号化された複数の候補ブロック:CTBr
1、CTBr
2、・・・、CTBr
i、・・・、CTBr
Lから選択される。但し、1≦i≦Lである。
【0076】
そのような予測ステップC5は、
図3に示される予測ソフトウェアモジュールMPRで実行される。
【0077】
例として、既に符号化され、次に復号化された選択ブロックは、ブロックCTBr
iである。
【0078】
選択ブロックCTBr
iは先に、複数の符号化サブブロックBr
1、Br
2、・・・、Br
f、・・・、Br
Gに分割されている。但し、1≦f≦Gである。そのような分割は、上述したように、四分木型構造に準拠する。
【0079】
当然ながら、他のタイプのツリー構造を考えることもできる。
【0080】
本発明によれば、ブロックCTBr
iの分割は、所定の分割深度レベルk
p以下の分割深度レベルk
2が得られるまで、少なくとも1回実行される(k
2≧0、k
p≧0)。
【0081】
上記分割は、
図3に示される第2の分割ソフトウェアモジュールMP2によって実行される。
【0082】
ブロックCTBr
iを分割する一例を
図4Bに示す。
【0083】
示される例では、現在ブロックCTBr
iの分割は、コーダによって設定される、k
p=4等の所定の分割深度レベルk
p未満の深度レベルk
2=3まで実行される。分割深度レベルk
2は、選択されたブロックCTBr
iに対して得られる最終的な分割が符号化性能基準、例えば、特にデータレート/歪みコストを最適化するレベルとして決定される。
【0084】
図4Bを参照すると、所与のブロックCTBr
iについて、このブロックが符号化ツリーACrのルートを構成するものと考えられ、この符号化ツリーでは、
・ルート下の第1のレベルのリーフが、ブロックCTBr
iが初回、複数の符号化サブブロック、例えば、4つの符号化サブブロックBr
1、Br
2、Br
3、Br
4に分割されているブロックCTBr
iの第1の分割深度レベルに対応し、
・第1のレベルのリーフ下の第2のレベルのリーフが、1回分割されたブロックCTBr
iが2回目に、複数の符号化サブブロック、例えば、サブブロックBr
1の分割によって得られる4つの符号化サブブロックBr
5、Br
6、Br
7、Br
8に分割されているブロックCTBr
iの第2の分割深度レベルに対応し、
・第2のレベルのリーフ下の第3のレベルのリーフが、2回分割されたブロックCTBr
iが3回目に、複数の符号化サブブロック、例えば、サブブロックBr
7の分割によって得られる4つの符号化サブブロックBr
9、Br
10、Br
11、Br
12に分割されているブロックCTBr
iの第3の分割深度レベルに対応する。
【0085】
符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの分割は、ビットのシーケンスSr
iの形態で表現される。
【0086】
以下の表は、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの分割を示すシーケンスSr
iの内容と、現在ブロックCTB
uの分割を示すシーケンスS
uの内容との一例を示す。
【0088】
シーケンスSr
iについて、
・最初のビット「1」は、ブロックCTBr
iが4個のより小さなサブブロックBr
1、Br
2、Br
3、Br
4に分割されることを示し、
・2番目のビット「1」は、サブブロックBr
1が4個のより小さなサブブロックBr
5、Br
6、Br
7、Br
8に分割されることを示し、
・3番目のビット「0」は、サブブロックBr
5が分割されないことを示し、
・4番目のビット「0」は、サブブロックBr
6が分割されないことを示し、
・5番目のビット「1」は、サブブロックBr
7が4個のより小さなサブブロックBr
9、Br
10、Br
11、Br
12に分割されることを示し、
・6番目のビット「0」は、サブブロックBr
9が分割されないことを示し、
・7番目のビット「0」は、サブブロックBr
10が分割されないことを示し、
・8番目のビット「0」は、サブブロックBr
11が分割されないことを示し、
・9番目のビット「0」は、サブブロックBr
12が分割されないことを示し、
・10番目のビット「0」は、サブブロックBr
8が分割されないことを示し、
・11番目のビット「0」は、サブブロックBr
2が分割されないことを示し、
・12番目のビット「0」は、サブブロックBr
3が分割されないことを示し、
・13番目のビット「0」は、サブブロックBr
4が分割されないことを示す。
【0089】
シーケンスS
uについて、
・最初のビット「1」は、ブロックCTB
uが4個のサブブロックB
1、B
2、B
3、B
4に分割されることを示し、
・2番目のビット「1」は、ブロックB
1が4個のサブブロックB
5、B
6、B
7、B
8に分割されることを示し、
・3番目のビット「0」は、サブブロックB
5が分割されないことを示し、
・4番目のビット「0」は、サブブロックB
6が分割されないことを示し、
・5番目のビット「0」は、サブブロックB
7が分割されないことを示し、
・6番目のビット「0」は、サブブロックB
8が分割されないことを示し、
・7番目のビット「0」は、サブブロックB
2が分割されないことを示し、
・8番目のビット「0」は、サブブロックB
3が分割されないことを示し、
・9番目のビット「0」は、サブブロックB
4が分割されないことを示す。
【0090】
シーケンスS
uの最後の3ビットは、サブブロックB
7と、ブロックCTBr
iのサブブロックBr
7との分割に違いがあることを示すための、シーケンスの末尾までのオフセットである。
【0091】
図2に示される上記予測ステップC5は、
・シーケンスSr
i及びS
uを互いに比較するか、又は実際には、対応する分割を互いに比較するサブステップC51と、
・所定の比較基準の適用において、上記比較を示す残差ビットを特定するサブステップC52と、
を備える。
【0092】
予測ステップC5の終了時、各現在ブロックCTB
uの予測された分割を示すシーケンスS’
uが得られる。
【0093】
予測ステップC5は、全てのシーケンスS
1〜S
Sに対して繰り返されて、現在ブロックCTB
1〜CTB
Sの予測分割を示すシーケンスS’
1〜S’
Sが得られる。
【0094】
HEVC互換性コーダが、上記予測ステップを実行したか、又は実行しなかったかは、分割の予測が実行されたことを示す「1」ビット又は分割の予測が実行されなかったことを示す「0」ビット等のデジタル情報によってシグナリングされる。状況に応じて、そのような1ビットは、画像シーケンスごと、画像ごと、又は実際には画像部分若しくは「スライス」ごとにシグナリングし得る。
【0095】
第1の比較基準によれば、以下のステップが実行される。
・等しい分割深度レベルk
1、k
2での現在ブロックCTB
uの分割と、既に符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの分割とを比較し、
・上記所定の分割深度レベルk
pまで、上記比較を繰り返し、
・各比較の終了時に、比較された分割がそれぞれ同じであるか、又は異なるかに応じて、第1の値又は第2の値を有する残差デジタル情報を特定する。
【0096】
このために、上記比較は、分割深度レベルk
pまで掘り下げて、以下の表T1に準拠して実行され、ここで説明される例では、k
pは4に等しい。
【0098】
この例では、第1の値を有する残差情報は「0」ビットであり、第2の値を有する残差情報は「1」ビットである。
【0099】
表T1は、
・等しい分割深度レベルで、現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが、等しく分割されている場合(「1」ビット)、比較からの残差情報値が「0」ビットであることを示す1行目、
・等しい分割深度レベルで、現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが両方とも分割されていない場合(「0」ビット)、比較からの残差情報値が「0」ビットであることを示す2行目、
・等しい分割深度レベルで、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックが分割されており(「1」ビット)、現在ブロックCTB
uの対応するサブブロックが分割されていない(「0」ビット)場合、比較からの残差情報値が「1」ビットであることを示す3行目、及び
・等しい分割深度レベルで、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックが分割されておらず(「0」ビット)、一方、現在ブロックCTB
uの対応するサブブロックが分割されている(「1」ビット)場合、比較からの残差情報値が「1」ビットであることを示す4行目
を含む。
【0100】
等しい分割深度レベルでの分割は、例えば、当業者に周知の「ラスタ走査」順等の、現在ブロックCTB
uのサブブロック及び符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックの順序の所定の順で比較される。
【0101】
表T1による比較の終了時、現在ブロックCTB
uの予測分割を示す残差ビットシーケンスは以下である。
【0103】
シーケンスS’
u内の最後の「0」ビットは、ブロックCTB
u及びCTBr
iがいずれも分割深度レベルk
p=4に達していないことを示す。
【0104】
代替として、以下に与えられるようなビット値の別の変換を表T1において使用し得る。
【0106】
上述した第1の比較基準と同様の第2の比較基準の適用において、上記比較は、分割深度レベルk
pまで掘り下げて、以下の表T2に準拠して実行され、ここで説明される例では、k
pは4に等しい。
【0108】
この例では、第1の値を有する残差情報は「0」ビットであり、第2の値を有する残差情報は「1」ビットに、現在ブロックCTB
u及び符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックの異なる分割のロケーションを与えるビットが続くものである。
【0109】
表T2は、
・等しい分割深度レベルで、現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが、等しく分割されている場合(「1」ビット)、比較から生じる残差情報値が「0」ビットであることを示す1行目、
・等しい分割深度レベルで、現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが両方とも分割されていない場合(「0」ビット)、比較から生じる残差情報値が「0」ビットであることを示す2行目、
・等しい分割深度レベルで、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックが等しく分割されており(「1」ビット)、一方、現在ブロックCTB
uの対応するサブブロックが分割されていない(「0」ビット)場合、比較から生じる残差情報値が「1」ビットの後に、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックの異なる分割のロケーションを示す別のビットが続くものであることを示す3行目、及び
・等しい分割深度レベルで、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックが分割されておらず(「0」ビット)、一方、現在ブロックCTB
uの対応するサブブロックが分割されている(「1」ビット)場合、比較から生じる残差情報値が「1」ビットの後に、ブロックCTB
uのサブブロックの異なる分割のロケーションを示す別のビットが続くものであることを示す4行目
を含む。
【0110】
表T2に準拠した比較の終了時、現在ブロックCTB
uの予測分割を示す残差ビットシーケンスは以下である。
【0112】
このシーケンスS’
uでは、
図4A及び
図4Bを参照すると、
・最初のビット「0」は、第1の分割深度レベルで考えて、4個のサブブロックへのブロックCTBr
i及びCTB
uの同じ分割を示し、
・2番目のビット「0」は、第2の分割深度レベルで考えて、ブロックCTBr
i及びCTB
uの左上の第1のサブブロックの同じ分割を示し、
・3番目のビット「1」は、第3の分割深度レベルで考えて、現在ブロックCTB
uの対応するサブブロックには見られない、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの左上に配置される第1のサブブロックのサブブロックが分割されたことを示し、
・4番目のビット「0」は、いずれのブロックCTB
u及びCTBr
iも分割深度レベルk
p=4に達していないことを示し、
・5番目のビット「0」は、サブブロックBr
5が分割されなかったことを示し、
・6番目のビット「0」は、サブブロックBr
6が分割されなかったことを示し、
・7番目のビット「1」は、サブブロックBr
7が4個のサブブロックに分割されることを示し、
・8番目のビット「0」は、サブブロックBr
8が分割されなかったことを示す。
【0113】
代替として、以下に与えられるようなビット値の別の変換を表T2において使用し得る。
【0115】
第3の比較基準の適用において、上記比較は、以下の表T3に準拠して実行される。
【0117】
表T3は、
・現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが、等しく分割されている場合(「1」ビット)、この比較から生じる残差情報値が「1」ビットであることを示す1行目、
・現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが両方とも分割されていない場合(「0」ビット)、比較の結果、残差情報は特定されないことを示す2行目、及び
・符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックが分割されており(「1」ビット)、一方、現在ブロックCTB
uの対応するサブブロックが分割されていない(「0」ビット)場合、比較から生じる残差情報値が「0」ビットであることを示す3行目
を含む。
【0118】
次に、上述したシーケンスSr
i及びS
uは互いに比較され、シーケンスSr
iの最初のビットは、シーケンスS
uの最初のビットと比較され、各シーケンスの最後のビットまで比較が続けられる。
【0119】
表T3に従って実行される比較の終了時、現在ブロックCTB
uの予測分割を示す残差ビットシーケンスは以下である。
【0121】
第4の比較基準の適用において、上記比較は以下の表T4に準拠して実行される。
【0123】
表4は、
・現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが、等しく分割されている場合(「1」ビット)、この比較の結果として、残差情報は特定されないことを示す1行目、
・現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが両方とも分割されていない場合(「0」ビット)、比較から生じる残差情報値は「0」ビットであることを示す2行目、及び
・符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックが分割されており(「1」ビット)、一方、現在ブロックCTB
uの対応するサブブロックが分割されていない(「0」ビット)場合、比較から生じる残差情報値が「1」ビットの後に、ブロックCTBr
iのサブブロックの異なる分割のタイプを示す他のビットが直接続くものであることを示す3行目
を含む。
【0124】
次に、上述したシーケンスSr
i及びS
uは互いに比較され、シーケンスSr
iの最初のビットは、シーケンスS
uの最初のビットと比較され、各シーケンスの最後のビットまで比較が続けられる。
【0125】
表T4に従って実行される比較の終了時、現在ブロックCTB
uの予測分割を示す残差ビットシーケンスは以下である。
【0127】
このシーケンスS’
uでは、
図4Bを参照すると、「1」ビットに続く4つの「0」ビットは、サブブロックBr
7が4個のサブブロックBr
9、Br
10、Br
11、Br
12に分割されることを示す。
【0128】
上述した第2の比較基準と第3の比較基準との組み合わせである第5の比較基準の適用において、上記比較は、以下の表T5に準拠して実行され、第2の分割深度レベルから開始され、ここで説明される例では4に等しい分割深度レベルk
pまで続けられる。
【0130】
表T5は、表T3と同じ変換を使用する。表T5は、等しい分割深度レベルで、現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの対応するサブブロックとが別様に分割されていた場合、現在ブロックCTB
uのサブブロックと、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのサブブロックとの分割が異なることを明示的に示すために、深度レベルビットが「1」に設定されることを示す、「深度レベルビット」と記された追加の列を有することで、表T3と異なる。
【0131】
表T5に準拠した比較の終了時、現在ブロックCTB
uの予測分割を示す残差ビットシーケンスは以下である。
【0133】
このシーケンスでは、
図4A及び
図4Bを参照すると、
・第2の分割深度レベルにおいて、ブロックCTB
uのサブブロックB
1の分割は、ブロックCTBr
iのサブブロックBr
1の分割と同じであるため、第1の深度レベルビットは「0」であり、
・第3の分割深度レベルにおいて、ブロックCTB
uのサブブロックB
7は分割されず、一方、ブロックCTBr
iのサブブロックBr
7は4個のサブブロックBr
9〜Br
12に分割されているため、第2の深度レベルビットは「1」であり、
・CTB
u及びCTBr
iのいずれも第4の分割深度レベルk
pに達していないため、第3の深度レベルビットは「0」である。
【0134】
図2を参照すると、予測ステップC5の終了時、現在ブロックCTB
uの予測分割を示すシーケンスS’
uは、ステップC6中に符号化される。
【0135】
そのような符号化ステップは、
図3に示されるエントロピーコーダCEによって実行される。
【0136】
その後、
図2に示されるステップC7中、シーケンスS’
uを、例えば、ブロックCTB
uの符号化モードCM、TRと書かれたそのテクスチャ残差、及びMVRと書かれたその動きベクトル(MV)残差等の他の従来の残差データと共に含むデータ信号Fが、
図5に示されるように構築される。
【0137】
データ信号Fは、
図3に示されるように、ストリーム構築ソフトウェアモジュールCFにおいて構築される。
【0138】
次に、データ信号Fは、通信ネットワーク(図示せず)を介してリモート端末に送信される。リモート端末は、更に詳細に後述するデコーダを有する。
【0139】
図6A〜
図6Cを参照して、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iの様々な予め識別された位置について説明する。
【0140】
図6Aを参照すると、現在画像IC
jは、例えば、二次元画像で構成される。この例では、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iは、既に符号化され、次に復号化された現在画像IC
jの部分において選択される。例として、そのような選択は、現在ブロックCTB
uの近傍の4個のブロックの中から行われ、それらのブロックは以下である:
・現在ブロックCTB
uの左に配置されるブロックCTBr
x、
・現在ブロックCTB
uの左上に配置されるブロックCTBr
iそれ自体、
・現在ブロックCTB
uの上に配置されるブロックCTBr
y、及び
・現在ブロックCTB
uの右上に配置されるブロックCTBr
z。
【0141】
選択されたブロックCTBr
iのインデックスは、データ信号Fにおいて送信される。
【0142】
図6Bを参照すると、画像IC
jはここでも二次元画像である。この例では、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iは、既に符号化され、次に復号化され、例として、現在画像IC
jの直前の画像I
refにおいて選択される。符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iは、画像I
ref内の、例えば、現在画像IC
j内の現在ブロックCTB
uと同じ位置に配置される。符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのインデックスは、データ信号Fにおいて送信される。
【0143】
図6Bに示される例に対する可能な代替では、符号化され、次に復号化されたブロックは、
図6Aの例と同様に、上述した画像I
refにおいて選択されるのではなく、既に符号化され、次に復号化された画像IC
jの部分において選択し得る。
図6Bに示されるこの変形の例では、選択された符号化され、次に復号化されたブロックは、
図6BにおいてCTB’r
iと書かれ、現在ブロックCTB
uの右上に配置される。選択されたブロックCTB’r
iのインデックスは、データ信号Fにおいて送信される。
【0144】
図6Cを参照すると、画像IC
jは、第1の画像成分CI
1j及び第2の画像成分CI
2jを含む三次元画像である。第1の画像成分CI
1jは、第2の画像成分CI
2jに関連付けて取得される。示される例では、符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iは第1の画像成分CI
1jにおいて選択される。そのような成分は、参照画像成分、すなわち、現在ブロックCTB
uが配置された第2の画像成分CI
2jの符号化に使用するために先に符号化され、次に復号化された成分としてみなされる。符号化され、次に復号化されたブロックCTBr
iのインデックスは、データ信号Fにおいて送信される。
【0145】
そのような第1及び第2の画像成分はそれぞれ、例えば、現在開発中のマルチビュービデオプラス深度(MVD)として知られている新しいビデオ符号化フォーマットで実施されるような、テクスチャ成分及び関連付けられた深度成分であり得る。
【0146】
代替的には、上述した第1及び第2の画像成分はそれぞれ、深度成分及びそれに関連付けられたテクスチャ成分であり得る。
【0147】
当然ながら、他のタイプの第1及び第2の画像成分を使用することを考えることも可能である。
【0148】
したがって、第1及び第2の画像成分はそれぞれ、
・同じマルチビュー画像の2つのビュー、
・ルマ成分及び彩度成分、又は
・スケーリング可能なビデオ符号化中の2つの異なるレイヤ
であることができる。
【0149】
第2の画像成分及び第3の画像成分に相対して第1の画像成分を符号化することを考えることも可能である。例として、これにより、
・第1の画像成分は成分Yであり得、
・第2の画像成分は成分Uであり得、
・第3の画像成分は成分Vであり得る
ことを与え得る。
【0150】
発明の復号化方法の詳細な説明
本発明の復号化方法が、例えば、現在開発中のHEVC 2D標準に準拠して符号化することによって得られるものと同様のバイナリストリーム内の画像シーケンスの復号化に使用される本発明の一実施形態について以下に説明する。
【0151】
この実施態様では、本発明の復号化方法は、例えば、当初はHEVC 2D標準に準拠したデコーダに変更を行うことにより、ソフトウェア又はハードウェアの形態で実施される。本発明の復号化方法は、
図7に示されるようなステップD1〜D2を含むアルゴリズムの形態で示される。
【0152】
本発明の実施態様では、本発明の復号化方法は、
図8に示される復号化装置DOにおいて実施され、この装置は、
図3のコーダCOによって送られるデータ信号Fを受信するように構成される。
【0153】
図7に示されるステップD1中、現在のブロックCTB
uに関連付けられた以下の項目が、データ信号F内で識別される:シーケンスS’
u、符号化モードCM、テクスチャ残差TR、及び動きベクトル残差MVR。
【0154】
そのようなステップは、
図8に示されるように、選択ソフトウェアモジュールMSによって実行され、このモジュールは、シーケンスS’
uを構成するデータの冒頭に、信号Fを指す読み出しポインタを配置するように構成される。
【0155】
図7に示されるステップD2中、現在ブロックCTB
uに関連付けられた以下の項目のエントロピー復号化の従来の様式で、サブステップD21が実行される:符号化モードCM、テクスチャ残差TR、及び動きベクトル残差MVR。
【0156】
そのようなステップは、
図8に示されるようにエントロピー復号化モジュールDEによって実行される。
【0157】
図7に示されるそれと同じステップD2中、復号化ブロックCTBr
iの先に再構築された分割を示すシーケンスSr
i及び読み出されたシーケンスS’
uに基づいて、現在ブロックCTB
uの分割を示すシーケンスS
uを再構築するサブステップD22が実行される。シーケンスSr
iは、
図8に示されるように、逆予測モジュールMPRIによって先に再構築されている。
【0158】
より詳細には、そのような再構築は、
図2の予測ステップC5において実行される予測の逆である予測を実行することを含む。
【0159】
このために、復号化されたブロックCTBr
iの先に再構築された分割を示すシーケンスSr
iは、読み出されたシーケンスS’
uに追加され、それにより、現在ブロックCTB
uの分割を示す再構築シーケンスS
uを提供する。
【0160】
サブステップD21及びD22は、同時に実行してもよく、又は代替的に、いずれかの順序で実行してもよい。
【0161】
ステップD1及びD2は、データ信号Fにおいて識別される全てのシーケンスS’
1〜S’
Sに対して繰り返される。
【0162】
当然ながら、上述した実施態様は、純粋に非限定的な表示として与えられ、本発明の範囲を逸脱せずに、当業者により多くの変更を容易に行い得る。