(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282652
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】表示装置を備えた防炎性のハウジング
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20180208BHJP
G01F 1/84 20060101ALI20180208BHJP
G01F 15/14 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
G01D11/24 B
G01F1/84
G01F15/14
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-529766(P2015-529766)
(86)(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-530571(P2015-530571A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2012052632
(87)【国際公開番号】WO2014035373
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ, アトゥル ヴァサント
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−288577(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0063065(US,A1)
【文献】
特表2003−510598(JP,A)
【文献】
実開昭52−34994(JP,U)
【文献】
実開昭52−162369(JP,U)
【文献】
特開平11−167686(JP,A)
【文献】
特開平9−159491(JP,A)
【文献】
特開2006−278861(JP,A)
【文献】
特開2002−108563(JP,A)
【文献】
米国特許第6366436(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00−13/28
G01F 1/84、15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防炎性のハウジング(202)であって、
前記防炎性のハウジング(202)に形成される表示用のアパチャー(212)と、
前記表示用のアパチャー(212)に隣接する肩部(207)と、
外面(231)および周面(232)を有する透明パネル(230)と、
前記防炎性のハウジング(202)の内面(203)と係合し、前記透明パネル(230)を前記肩部(207)に押し当てるように構成されるネジ式保持要素を含むファスナ要素(236)とを備えており、
前記透明パネル(230)の前記周面(232)と前記防炎性のハウジング(202)の前記内面(203)との間の周面インターフェース領域(264)には、前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない周面ギャップが形成され、
前記透明パネル(230)の前記外面(231)と前記肩部(207)との間の面インターフェース領域(260)には、前記前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない面ギャップが形成されてなる、防炎性のハウジング(202)。
【請求項2】
前記肩部(207)に形成されるシール溝(209)と、前記シール溝(209)に配置されるシール(210)とをさらに備えており、前記シール(210)が前記表示用のアパチャー(212)から湿気が前記防炎性のハウジング(202)に進入するのを阻止するように構成されてなる、請求項1に記載の防炎性のハウジング(202)。
【請求項3】
前記肩部(207)が前記面インターフェース領域(260)を規定する前もって決められている肩幅を有してなる、請求項1に記載の防炎性のハウジング(202)。
【請求項4】
前記透明パネル(230)が前記周面インターフェース領域(264)を規定する前もって決められているパネル厚さを有してなる、請求項1に記載の防炎性のハウジング(202)。
【請求項5】
炎路長さが前もって決められているパネル厚さと前もって決められている肩幅とを足したものである、請求項1に記載の防炎性のハウジング(202)。
【請求項6】
前記周面インターフェース領域(264)が第一の炎路スパンL1を提供し、前記面インターフェース領域(260)が第二の炎路スパンL2を提供し、前記第一の炎路スパンLlを前記第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供してなる、請求項1に記載の防炎性のハウジング(202)。
【請求項7】
前記周面インターフェース領域(264)が第一の炎路スパンL1を提供し、前記面インターフェース領域(260)が第二の炎路スパンL2を提供し、前記第一の炎路スパンL1を前記第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供し、前記第二の炎路スパンL2が前記肩部(207)の肩幅から前記シール溝(209)のシール溝幅を引いたものである、請求項2に記載の防炎性のハウジング(202)。
【請求項8】
前記周面インターフェース領域(264)が第一の炎路スパンL1を提供し、前記面インターフェース領域(260)が第二の炎路スパンL2を提供し、前記第一の炎路スパンL1を前記第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供し、前記第二の炎路スパンL2が前記シール溝(209)から外側に配置される肩部外側部分(208)である、請求項2に記載の防炎性のハウジング(202)。
【請求項9】
防炎性のハウジングを形成する方法であって、
前記防炎性のハウジングに表示用のアパチャーを設けることと、
前記表示用のアパチャーに隣接する肩部を設けることと、
外面および周面を有する透明パネルを設けることと、
前記防炎性のハウジングの内面と係合し、前記透明パネルを前記肩部に押し当てるように構成されるネジ式保持要素を含むファスナ要素を設けることとを含み、
前記透明パネルの前記周面と前記防炎性のハウジングの前記内面との間の周面インターフェース領域には、前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない周面ギャップが形成され、
前記透明パネルの前記外面と前記肩部との間の面インターフェース領域には、前記前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない面ギャップが形成される、方法。
【請求項10】
前記肩部に形成されるシール溝を設けることと、前記シール溝に配置されるシールを設けることとをさらに含み、前記シールは、前記表示用のアパチャーから湿気が前記防炎性のハウジングに進入するのを阻止する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記肩部が前記面インターフェース領域を規定する前もって決められている肩幅を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記透明パネルが前記周面インターフェース領域を規定する前もって決められているパネル厚さを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
炎路長さが、前もって決められているパネル厚さと前もって決められている肩幅とを足したものである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、前記面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、前記第一の炎路スパンL1を前記第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記周面インターフェース領域が第一の炎路スパンを提供し、前記面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、前記第一の炎路スパンを前記第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたは超える炎路長さを提供し、前記第二の炎路スパンL2が前記肩部の肩幅から前記シール溝のシール溝幅を引いたものである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、前記面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、前記第一の炎路スパンL1を前記第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供し、前記第二の炎路スパンL2が前記シール溝から外側に配置されている肩部外側部分である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防炎性のハウジングに関するものであり、とくに表示装置を備えた防炎性のハウジングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コリオリ式質量流量計(フローメーター)および振動式デンシトメーターの如き振動式導管センサーは、一般的に、流動物質を収容している振動する導管の運動を検出するよう動作するようになっている。質量流量、密度などの如き導管内の物質に関する物性は、導管に接続されている運動トランスデューサから受け取る測定信号を処理することによって求めることができる。物質を充填した振動システムの振動モードは、収容する導管およびその導管に収容される物質の質量、剛性およびダンピング特性を組み合わせたものにより影響されるのが一般的である。
【0003】
典型的なコリオリ式質量流量計は、配管または他の移送システムにインラインで接続されているとともに、システム内のたとえば流体、スラリー、エマルジョンなどの物質を移送する1つ以上の導管を有している。各導管は、たとえば単純曲げモード、ねじれモード、ラジアルモードおよび結合モードを含む一組の固有の振動モードを有していると考えられる。コリオリ式の質量流量測定の典型的な用途では、導管を物質が流れる際、1つ以上の振動モードで導管が励振され、導管の運動が導管に沿って間隔をおいて位置する複数の部位で測定される。通常、励振は、導管を周期的に摂動するボイスコイルタイプのドライバの如き電気機械デバイスのようなアクチュエータによって加えられる。質量流量については、複数のトランスデューサ設置位置での振動と振動との間の遅延時間または位相差を測定することによって求めることができる。このようなトランスデューサ(または、ピックオフセンサー)は、通常2つ用いられて1つ以上のフロー導管の振動応答が測定されるようになっており、また、通常アクチュエータの上流側および下流側に配置されている。これらの2つのピックオフセンサーは電子計装装置に接続される。この電子計装装置は、2つのピックオフセンサーから信号を受け取り、この信号を処理してたとえば質量流量測定値などを算出する。したがって、コリオリ式質量流量計およびデンシトメーターを含む振動式フローメーターには、流体を測定するために振動する1つ以上のフローチューブが用いられている。
【0004】
環境によっては、防炎性の物理的バリアまたはハウジングを通して電気的信号を伝達する必要がある場合もある。たとえば、ハウジングは、メーター電子機器またはトランスミッタの電気路を取り囲んで収容するようになっていてもよい。危険な環境下
で用いるように設計されたプロセス制御トランスミッタでは、可燃性ガスの制御不能な爆発を回避するために防炎性のハウジングおよび/またはバリアを有する複数の防護方法を組み合わせたものが用いられることが多い。防炎性のデバイスおよび構造に関する順守要件については国際規格に定められている。
【0005】
コリオリ式流量計のトランスミッタの場合、電子機器内の電気エネルギにより生じるうる気体の爆発が容器を越えて伝搬することのないよう防炎性のコンパートメントまたはハウジングの中に能動的電子部品を収容することがよく知られている。したがって、外部から視認可能なままであることを必要とする表示装置の構成要素を収容しているハウジングを密封する必要性が存在する。
【0006】
図1には、従来の硬化可能なシーリング材を用いた従来の防炎性の表示パネルインターフェースが示されている。注封材料または接着剤(potting material or adhesive)は、硬化可能なシーリング材から構成され、組立て前にハウジングおよび/またはガラスパネルのうちの一方または両方に塗布される。図示されているように、ガラスパネルがハウジングの中の適切な位置に移動されると、注封材料または接着剤はガラスパネルとハウジングの一部との間で少なくとも部分的に圧縮される。したがって、注封材料または接着剤は、ガラスパネルとハウジングの対応する部分との間のインターフェース領域の実質的に全体を覆うように広がることが望ましい。次いで、硬化可能なシーリング材は、時間の経過とともに硬化するようにしてもよいし、または当該材料を硬化させるために加熱処理または他の処理を加えるようにしてもよい。注封材料または接着剤は、ハウジングとガラスパネルとの間にシールを形成するだけでなく、これら2つの部材を結合する結合機能を提供することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術には欠点がある。注封材料または接着剤は、環境規制および/または作業場規制を受けるので高価であり、その取り扱い、塗布および廃棄に費用がかかる恐れがある。注封材料または接着剤は、地域によっては、規則によって許可されない場合もある。注封材料または接着剤は、不適切にまたは不完全に塗布される場合もある。塗布後、注封材料または接着剤は気泡、割れ目、溝または不規則な境界を有している恐れもあれば、狭すぎて所望の長さの炎路を形成することができない場合もある。注封材料または接着剤は、時間の経過とともに縮みかつ/またはひび割れする恐れがあり、ガラスパネルでは、時間の経過とともに漏洩が生じる恐れがある。注封材料または接着剤は、ガラスパネルおよびハウジングのうちの一方または両方に対する粘着力を失ってしまう恐れがある。
【0008】
したがって、対応するハウジングとの間に防炎性のシールを形成するためにはこれらの材料による結合を必要としないようなガラス表示パネルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様では、防炎性のハウジングは、防炎性のハウジングに形成される表示用のアパチャーと、表示用のアパチャーに隣接する肩部と、外面および周面を有する透明パネルと、 防炎性のハウジングの内面と係合し、透明パネルを肩部に押し当てるように構成されるファスナ要素とを備えており、 透明パネルの周面と防炎性のハウジングの内面との間の周面インターフェース領域には、前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない周面ギャップが形成され、 透明パネルの外面と肩部との間の面インターフェース領域には、前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない面ギャップが形成される。
【0010】
好ましくは、防炎性のハウジングは、肩部に形成されるシール溝と、シール溝に配置されるシールとをさらに備えており、シールが表示用のアパチャーから湿気が防炎性のハウジングに進入するのを阻止するように構成されている。
【0011】
好ましくは、肩部は、面インターフェース領域を規定する前もって決められている肩幅を有している。
【0012】
好ましくは、透明パネルは、周面インターフェース領域を規定する前もって決められているパネル厚さを有している。
【0013】
好ましくは、炎路長さは、前もって決められているパネル厚さと前もって決められている肩幅とを足したものである。
【0014】
好ましくは、周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、第一の炎路スパンL1を第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供する。
【0015】
好ましくは、周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、第一の炎路スパンL1を第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供し、第二の炎路スパンL2が肩部(207)の肩幅からシール溝のシール溝幅を引いたものである。
【0016】
好ましくは、周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、第一の炎路スパンL1を第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供し、第二の炎路スパンL2がシール溝から外側に配置されている肩部外側部分である。
【0017】
本発明の1つの態様では、防炎性のハウジングを形成する方法は、防炎性のハウジングに表示用のアパチャーを設けることと、 表示用のアパチャーに隣接する肩部を設けることと、 外面および周面を有する透明パネルを設けることと、 防炎性のハウジングの内面と係合し、透明パネルを肩部に押し当てるように構成されるファスナ要素を設けることとを含み、 透明パネルの周面と防炎性のハウジングの内面との間の周面インターフェース領域には、前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない周面ギャップが形成され、 透明パネルの外面と肩部との間の面インターフェース領域には、前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えない面ギャップが形成される。
【0018】
好ましくは、かかる方法は、肩部に形成されるシール溝を設けることと、シール溝に配置されるシールを設けることとをさらに含み、シールは、表示用のアパチャーから湿気が防炎性のハウジングに進入するのを阻止する。
【0019】
好ましくは、肩部は、面インターフェース領域を規定する前もって決められている肩幅を有する。
【0020】
好ましくは、透明パネルは、周面インターフェース領域を規定する前もって決められているパネル厚さを有する。
【0021】
好ましくは、炎路長さは、前もって決められているパネル厚さと前もって決められている肩幅とを足したものである。
【0022】
好ましくは、周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、第一の炎路スパンL1を第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供する。
【0023】
好ましくは、周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、第一の炎路スパンL1を第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供し、第二の炎路スパンL2が肩部(207)の肩幅からシール溝のシール溝幅を引いたものである。
【0024】
好ましくは、周面インターフェース領域が第一の炎路スパンL1を提供し、面インターフェース領域が第二の炎路スパンL2を提供し、第一の炎路スパンL1を第二の炎路スパンL2に足したものが前もって決められている最小炎路長さと等しいまたはそれを超える炎路長さを提供し、第二の炎路スパンL2がシール溝から外側に配置されている肩部外側部分である。
【0025】
すべての図面上において同一の参照番号は同一の部品を表わしている。図面の縮尺は必ずしも均一ではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来の硬化可能なシーリング材を用いた従来の防炎性の表示パネルインターフェースを示す図である。
【
図2】本発明にかかる振動式フローメーターを示す図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる防炎性のハウジングを有するトランスミッタを示す図である。
【
図4】本発明のある実施形態にかかるトランスミッタの防炎性のハウジングをAAに沿って切断して得られた断面図である。
【
図5】本発明のある実施形態にかかる防炎性のハウジングの表示用のアパチャーを閉塞するための透明パネルを示す図である。
【
図6】本発明のある実施形態にかかるトランスミッタの防炎性のハウジングをAAに沿って切断して得られた断面図である。
【
図7】本発明のある実施形態にかかるトランスミッタの防炎性のハウジングをAAに沿って切断して得られた断面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2〜
図7および下記の記載には、本発明の最良のモードを作成および利用する方法を当業者に教示するための具体的な実施形態が示されている。本発明の原理を教示するために、従来技術の一部が単純化または省略されている場合もある。当業者にとって明らかなように、これらの実施形態の変形例もまた本発明の技術範囲内に含まれる。また、当業者にとって明らかなように、以下に記載の構成要素をさまざまな方法で組み合わせて本発明の複数の変形例を形成することもできる。したがって、本発明は、以下に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。
【0028】
図2には、本発明にかかる振動式フローメーター5が示されている。振動式フローメーター5は、フローメーター組立体10と、メーター電子機器20とを備えている。メーター電子機器20は、リード線100を通じてメーター組立体10へ接続され、密度、質量流量、体積流量、総質量流量、温度、および他の測定値もしくは情報のうちの一つ以上の測定値を通信経路26を通じて提供するように構成されている。当業者にとって明らかなように、振動式フローメーター5は、ドライバ、ピックオフセンサー、フロー導管または動作振動モードの数にかかわらず、いかなる振動式フローメーターであってもよい。実施形態によっては、振動式フローメーター5がコリオリ式質量流量計である場合もある。それに加えて、振動式フローメーター5が振動式デンシトメーターであってもよいことはいうまでもない。
【0029】
フローメーター組立体10は、一対のフランジ101a、101bと、マニホルド102a、102bと、ドライバ104と、ピックオフセンサー105a、105bと、フロー導管103A、103Bとを備えている。ドライバ104およびピックオフセンサー105a、105bは、フロー導管103A、103Bに接続されている。
【0030】
フランジ101a、101bはマニホルド102a、102bに固定されている。実施形態によっては、マニホルド102a、102bは、スペーサ106の両端に固定されている場合もある。スペーサ106は、配管の力がフロー導管103A、103Bにまで伝達されないように、マニホルド102aとマニホルド102bとの間の間隔を維持している。測定される流動流体を運ぶ配管(図示せず)の中にフローメーター組立体10が挿入されると、流動流体がフランジ101aを通ってフローメーター組立体10の中に流入し、流入口マニホルド102aを通り、ここで流動流体の全量がフロー導管103A、103Bの中に流れ、フロー導管103A、103Bを流れ、流出口マニホルド102bの中へ流入し、ここでフランジ101bからメーター組立体10の外へと流出する。
【0031】
流動流体は液体であってもよい。流動流体は気体であってもよい。流動流体は、混入気体および/または混入固体を含有する液体の如き多相流体であってもよい。
【0032】
フロー導管103A、103Bは、曲げ軸Wa−Wa、Wb−Wbに対して実質的に同一の質量分布、慣性モーメントおよび弾性モジュールを有するように、選択され、流入口マニホルド102aおよび流出口マニホルド102bに適切に取り付けられる。フロー導管103A、103Bは、マニホルド102a、102bから外側に向けてほぼ並列に延出している。
【0033】
フロー導管103A、103Bは、それぞれ対応する曲げ軸線Wa、Wbを中心としてかつ振動式フローメーター5のいわゆる第一の逆位相曲げモードで、互に反対方向に向けてドライバ104により振動させられる。ドライバ104は、たとえばマグネットをフロー導管103Aに取り付け、それと対をなすコイルをフロー導管103Bに取り付けたような構成の如き複数の公知の構成のうちの1つの構成を有していてもよい。この対をなすコイルに交流を流して両方の導管を振動させる。メーター電子機器20により、適切なドライブ信号がリード線110を通じてドライバ104へ加えられる。他のドライバデバイスも考えられており、それらもまた本明細書および請求項の範囲に含まれる。
【0034】
メーター電子機器20は、リード線111aおよびリード線111bからそれぞれセンサー信号を受信する。メーター電子機器20はリード線110上にドライブ信号を生じさせ、この信号により、ドライバ104はフロー導管103A、103Bを振動させる。他のセンサーデバイスも考えられており、それらもまた本明細書および請求項の範囲に含まれる。
【0035】
メーター電子機器20は、ピックオフセンサー105a、105bからの左側速度信号および右側速度信号を処理し、たとえば流量などを計算する。通信経路26は、メーター電子機器20にオペレータまたは他の電子装置との通信を可能とさせる入力手段および出力手段を提供している。
図2の記載は、コリオリ流量計の動作の例示のみを意図したものであり、本発明の教示を限定することを意図したものではない。
【0036】
1つの実施形態では、メーター電子機器20は、フロー導管103A、103Bを振動させるように構成されている。振動はドライバ104によって実行される。また、メーター電子機器20は、ピックオフセンサー105a、105bから得られる振動信号をさらに受信する。振動信号には、フロー導管103A、103Bの応答振動が含まれる。メーター電子機器20は、これらの応答振動を処理して応答周波数および/または位相差を求める。また、メーター電子機器20は、応答振動を処理して流動流体の質量流量および/または密度を含む1つ以上のフロー(流れ)に関する測定値を求める。他の応答振動特性および/またはフローに関する測定値も考えられており、それらもまた本明細書および請求項の範囲に含まれる。
【0037】
1つの実施形態では、フロー導管103A、103Bは図示されているような略U字形のフロー導管であってもよい。それに代えて、他の実施形態では、これらのフロー導管は、略真っ直ぐなフロー導管であってもよいしまたはU字形のフロー導管以外の1つ以上の湾曲したフロー導管であってもよい。さらなるフローメーターの形状および/または形態が用いられてもよく、それらもまた本明細書および請求項の範囲に含まれる。
【0038】
図3には、本発明のある実施形態にかかる防炎性のハウジング202を有するトランスミッタ200が示されている。防炎性のトランスミッタ200は、1つ以上のトランスミッタコンポーネント240(点線を参照)を保持することができる防炎性のハウジング202を備えている。防炎性のトランスミッタ200はたとえばメーター電子機器20を保持しかつ備えていてもよい。1つ以上のトランスミッタコンポーネント240には、回路基板が含まれてもよいしまたは他のデバイスまたはシステムが含まれてもよい。実施形態によっては、防炎性のトランスミッタ200は、1つ以上の振動式フローメーター5用の通信電子機器を備えている場合もある。また、防炎性のトランスミッタ200は、1つ以上の振動式フローメーター5用の操作および管理用の電子回路を備えていてもよい。また、防炎性のトランスミッタ200は、1つ以上の振動式フローメーター5用のパワー電子機器を備えていてもよい。
【0039】
防炎性のトランスミッタ200は、主として、実質的に中空の防炎性のハウジング202を備えていてもよい(
図4を参照)。防炎性のハウジング202は、金属を含むいかなる所望の材料から形成されてもよいが、所望ならば他の材料から形成されてもよい。防炎性のハウジング202が略シリンダ形状を有しているものとして示されているが、いうまでもなく防炎性のハウジング202はいかなる特定の形状またはサイズにも限定されない。防炎性のハウジング202は、実質的にシールされるように構成されていることに加えて、火花または炎を防炎性のハウジング202の中へまたは防炎性のハウジング202から広がるのを防止するように構成されている。
【0040】
防炎性のハウジング202は表示用のアパチャー212を有している。図示されているように、表示用のアパチャー212は、略円形状であってもよいし、または他の形状を有していてもよい。表示用のアパチャー212は、いかなる所望のサイズであってもよく、また、防炎性のハウジング202の外側表面積のうちのいかなる面積を占めるようになっていてもよい。表示用のアパチャー212を介して表示パネル220が少なくとも部分的に視認可能となっている。表示パネル220は、電子表示装置、光生成および/もしくは光操作表示装置、機械的表示装置または電気機械表示装置を含む1つ以上の表示要素250を有していてもよい。
【0041】
しかしながら、表示パネル220は防炎性のハウジング202の外側に向けて開放されていない(not open)。防炎性のハウジング202は、実質的に表示用のアパチャー212をシールする透明パネル230を有している(
図4を参照)。透明パネル230は、実施形態によってはガラスまたは強化ガラスのようないかなる適切な透明な材料を含有していてもよい。
【0042】
防炎性のハウジング202は、防炎性のハウジング202からの炎の排出または防炎性のハウジング202の中への炎の進入を阻止することが必要とされる、適用可能な防炎性の規格に合うように設計されてもよい。防炎性のトランスミッタ200は、当該防炎性のトランスミッタ200がたとえば危険な環境または爆発性環境に配置されているような場合、炎または火花が防炎性のトランスミッタ200の中に進入するのをまたは防炎性のトランスミッタ200から排出されるのを阻止するためのいかなる絶縁電子機器および/または物理的バリアをさらに有していてもよい。
【0043】
透明パネル230と防炎性のハウジング202との間のインターフェース(継手)は、スピゴット式継手であってもよい。スピゴット式継手とは、炎のエネルギが急激に散逸して炎が伝搬するのを阻止するための高精度のはめ合い部品のことである。
【0044】
スピゴット式継手は非常に高精度であることが必要なため従来のガラスパネルの技術分野では用いられてこなかった。スピゴット式継手は、実施形態によっては、1000分の数インチの程度の公差を達成することができるガラス処理技術の実現により、本明細書で用いられている。
【0045】
防炎性のハウジング202は、当該防炎性のハウジング202から延出する支持棒215を有していてもよい。実施形態によっては、1つ以上の支持棒215が防炎性のハウジング202に含まれている場合もある。支持棒215は支持棒通路216を有しており、ワイヤー、ケーブル、光ファイバーまたは他の通信リンクが支持棒通路216を介して防炎性のハウジング202の中に進入するまたは防炎性のハウジング202から外へ通り抜けるようになっていてもよい。支持棒215は、ネジ山の如きカップリング部218をさらに有していてもよく、カップリング部218は、振動式フローメーター5または付随する構造の如き他のデバイスまたは構造体に防炎性のハウジング202(すなわち、トランスミッタ200)を着脱可能に取り付けるようになっていてもよい。しかしながら、他のカップリング機構も考えられており、それらもまた本明細書および請求項の範囲に含まれる。
【0046】
図4は、本発明の実施形態にかかるトランスミッタ200の防炎性のハウジング202をAAに沿って切断して得られた断面図である。この図から分かるように、ハウジング202は、内面203により画定される実質的に中空のチャンバを有している。さらにこの図から分かるように、表示用のアパチャー212はハウジング202の壁を貫通している。いうまでもなく、ハウジング202は1つを超える数の表示用のアパチャー212を有していてもよい。またいうまでもなく、表示用のアパチャー212は、防炎性のハウジング202の他の位置に配置されてもよい。
【0047】
図示されている実施形態では、ハウジング202は略シリンダ形状を有し、表示用のアパチャー212は略円形状を有している。しかしながらいうまでもなく、ハウジング202および表示用のアパチャー212は、いかなる所望の形状およびサイズを有していてもよい。
【0048】
図示されている実施形態のハウジング202は肩部207を有している。ハウジング202が略シリンダ形状である場合、実施形態によっては、肩部207は略環状である場合もある。肩部207は、実質的に滑らかでかつ平坦となるように機械加工によりまたは他の方法により形成されてもよく、また、前もって決められている表面公差を満たすように形成されてもよい。実施形態によっては、前もって決められている表面公差には、表面平坦さ公差が含まれている場合もある。実施形態によっては、前もって決められている表面公差には、表面粗さ公差が含まれている場合もある。
【0049】
肩部207にはシール溝209が形成されてもよい。シール溝209はシール210を受けるようになっていてもよい。シール210は、湿気および他の汚染物質が表示用のアパチャー212からハウジング202の中に入ってこないようにするために設けられている。シール溝209が略環状である実施形態では、シール210はO−リング210であってもよい。実施形態によっては、シール210は実質的に弾力性を有している場合もある。
【0050】
1つ以上のシールは、構成部品と構成部品との間に狭持されうるO−リング、ガスケット、または他の構成部品の如き1つ以上の固形のシールであってもよい。それに代えて、1つ以上のシールは、前もって決められた形状を有せずかつ防炎性のフィードスルー200の構成部品のうちの1つ以上に塗布しうる液体、ペースト、グリースまたは他の材料であってもよい。1つ以上のシールは、実質的に変化しない材料であってもよい。それに代えて、1つ以上のシールは、組立工程時にまたは組立工程後に、固くなる、硬化する、または他の方法で変わるもしくは変えられる材料であってもよい。
【0051】
透明パネル230は、当該透明パネル230の外面231(
図5を参照)が肩部207と接触するように肩部207に取り付けられてもよい。また、透明パネル230の外面231も弾力性のあるシール210と接触するようになっていてもよい。
【0052】
組立て方法の実施形態によっては、透明パネル230はスピゴット式継手を形成するために防炎性のハウジング202に取り付けられるようになっている場合もある。透明パネル230の外面231および周面232のうちの1つ以上は、周面インターフェース領域264および外面インターフェース領域260のうちの一方または両方が前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えないように、磨かれ、かんながけされ、フライス加工され、グラインダにかけられ、エッチングされ、旋盤にかけられ、または他の方法で処理される。同様に、防炎性のハウジング202の肩部207および内面203のうちの1つ以上は、防炎性のハウジング202が透明パネル230に対して前もって決められているギャップを達成するように、磨かれ、かんながけされ、フライス加工され、グラインダにかけられ、エッチングされ、旋盤にかけられ、または他の方法で処理される。換言すれば、透明パネル230および防炎性のハウジング202は、前もって決められている防炎性のギャップ限界未満のギャップ高さを達成するように、磨かれるかまたは他の方法で処理される。
【0053】
透明パネル230の外面231は前もって決められている表面公差を満たすよう形成されるようになっていてもよい。透明パネル230の一面のみが外面231として示されているが、いうまでもなく、透明パネル230の両側が、前もって決められている表面公差に合わせて磨かれるか処理されてもよく、また、ハウジング202の内側から外側に向かって面するようになっていてもよい。実施形態によっては、前もって決められている表面公差には、前もって決められている表面平坦さ公差が含まれている場合もある。実施形態によっては、前もって決められている表面公差には、前もって決められている表面粗さ公差が含まれている場合もある。
【0054】
透明パネル230の周面232は、ハウジング202の内面203と接触するようになっていてもよい。透明パネル230の周面232は、前もって決められているサイズ公差を満たすように形成されるようになっていてもよい。実施形態によっては、前もって決められているサイズ公差には、前もって決められている寸法公差が含まれるようになっている場合もある。たとえば、周面232が略円形状である場合、周面232は、ハウジング202の内面203と周面232との間のギャップのギャップ高さが前もって決められている防炎性のギャップ限界未満になるように前もって決められている直径公差を満たすようになっていてもよい。実施形態によっては、前もって決められているサイズ公差には、前もって決められている表面粗さ公差が含まれるようになっている場合もある。
【0055】
組立て時、透明パネル230は、ハウジング202の内部に配置され、透明パネル230の外面231が肩部207と実質的に接触するようになっている。外面231とは、前もって決められている表面公差を満たすように形成された表面のことである。
【0056】
実施形態によっては、肩部207は面インターフェース領域260を画定するようになっている場合もある。面インターフェース領域260とは、透明パネル230の外面231が肩部207の表面と実質的に接触する領域のことである。面インターフェース領域260は略平坦なインターフェースである。面インターフェース領域260のサイズ、形状および面積は、肩部207のサイズおよび幾何学形状により規定される。肩部207および外面231が厳格な公差に合わせて形成されるので、面インターフェース領域260は、肩部207と外面231との間のギャップのギャップ高さが前もって決められている防炎性のギャップ限界未満である精密なフィットを提供する。このことは、外面231および肩部207のそれぞれのギャップ高さ公差が前もって決められている防炎性のギャップ限界の約2分の1である場合に達成可能となる。
【0057】
面インターフェース領域260は第二の炎路スパンL2を形成する。面インターフェース領域260のうちの一部または全部が第二の炎路スパンL2であってもよい。実施形態によっては、第二の炎路スパンL2は肩部207の肩幅である場合もある。実施形態によっては、第二の炎路スパンL2は、肩部207の肩幅からシール溝209のシール溝幅を引いたものである場合もある。それに代えて、実施形態によっては、第二の炎路スパンL2は、シール溝209から外側に位置する肩部の部分208である場合もある。
【0058】
また、透明パネル230を肩部207へ取り付けると、周面インターフェース領域264がさらに形成される。周面インターフェース領域264とは、透明パネル230の周面232がハウジング202の内面203に隣接する領域のことである。周面インターフェース領域264は、第一の炎路長さL1であってもよい。周面インターフェース領域264のサイズ、形状および面積は、透明パネル230の周面232のサイズおよび幾何学形状により規定される。透明パネル230の周面232が公差の厳格な公差に合わせて形成されるので、周面インターフェース領域264は、内面203と周面232との間のギャップのギャップ高さが前もって決められている防炎性のギャップ限界未満である精密なフィットをハウジング202の内面203に対して提供する。このことは、透明パネル230のギャップ高さ公差ならびに肩部207および内面203のギャップ高さ公差がそれぞれ前もって決められている防炎性のギャップ限界の約2分の1である場合に達成可能となる。
【0059】
透明パネル230と防炎性のハウジング202との間にギャップが存在しないこと、または少なくとも前もって決められている防炎性のギャップ限界未満であることが望ましい。ギャップは、気体の漏洩を可能にするので、気体の点火が引き起こされる恐れがある。ギャップにより、点火生成物が透明パネル230のまわりを伝搬し、防炎性のハウジング202から漏洩する恐れがある。したがって、透明パネル230、内面203および肩部207は、実質的に滑らかで規則的、すなわち前もって決められている表面仕上げ要件を満たすものである。
【0060】
第一の炎路スパンL1および第二の炎路スパンL2は、組み合わせられると、その結果としてまたは合計として炎路長さが(L1+L2)となる。炎路長さは前もって決められている最小炎路長さを超過するように構成される。炎路長さは、適用可能な防炎性の基準により与えられる前もって決められている最小炎路長さを超えるように設計されてもよい。前もって決められている最小炎路長さを超えることによって、炎路長さ(L1+L2)は、炎が透明パネル230のまわりをうまく通り抜けることができないように担保するようになっている。透明パネル230と防炎性のハウジング202の内面203との間の与えられたギャップを考慮して、炎が点火を引き起こすための十分な熱量またはエネルギ量を伴って透明パネル230の一方側から他方側まで、伝搬する恐れのないように、炎路長さが選択されるようになっていてもよい。したがって、ハウジング202の内側の炎は外側へ逃げることができず、また、ハウジング202の外側の炎はハウジング202の内側に伝搬することができない。
【0061】
透明パネル230と防炎性のハウジング202の内面203との間の炎路は、ギャップ高さおよび炎路長さの両方を有しているものと定義することができる。耐炎性の規格に準拠するには、小さなギャップ高さ、大きな炎路長さまたはその両方を維持する必要がある。
【0062】
定義によれば、炎路長さとは、炎がインターフェースを通り抜けるために伝搬する必要があるギャップまたはインターフェースの長さのことである。防炎性の規格には、通常防炎性特性を達成するために必要とされる最小炎路長さが定められている。ここでいう最小炎路長は、炎がインターフェースを通り抜ける場合にそのインターフェースを初めから終わりまで通過し終えるまでに消散してしまうように規定されている。
【0063】
防炎性のハウジング202の実施形態によっては、炎路長さは、透明パネルの厚みと肩部の幅とを足したものである場合もある。防炎性のハウジング202の実施形態によっては、炎路長さは、第一の炎路スパンL1と第二の炎路スパンL2とを足したものである場合もある。防炎性のハウジング202の実施形態によっては、炎路長さは、第一の炎路スパンL1と第二の炎路スパンL2とを足したものであり、第二の炎路スパンL2は、肩部の幅からシール溝の幅を引いたものである場合もある。防炎性のハウジング202の実施形態によっては、炎路長さは、第一の炎路スパンL1と第二の炎路スパンL2とを足したものであり、第二の炎路スパンL2は、シール溝209から外側に位置する肩部の部分208の肩幅である。
【0064】
実施形態によっては、防炎性のハウジング202は、IEC 60079−1:2007の5.2.4.3項に従うように設計されてもよい。この項では、断面ギャップ高さが最大約0.0059インチ(1インチの1000分の5.9)であってもよいしまたは最大約0.15ミリメートルであってもよい(IEC 60079− 1:2007として国際電気工学委員会により発行されている「爆発性のガス雰囲気用の電気装置―パート1:耐炎性の囲い「d」)スピゴット式継手が許可されている。たとえば、表面の高さが約0.00295インチより大きく変動しないように外面231が処理されるようになっていてもよい。外面231および肩部207の両方が約0.00295インチよりも大きく変動しない場合、2つの構成部材が合わされたとき、2つの構成部材間のギャップは、その断面の高さが約0.0059インチよりは大きくなりえない。
【0065】
透明パネル230が適切な位置に配置された後、当該透明パネル230は例えばファスナ要素236によりその位置に保持されるようになっていてもよい。ファスナ要素236は、透明パネル230を肩部207に押し当てるまたは押し付けるようになっていてもよい。したがって、ファスナ要素236は、透明パネル230と肩部207(すなわち、面インターフェース領域260)との間のギャップが前もって決められている防炎性ギャップ限度を超えないことを担保するようになっていてもよい。ファスナ要素236は、透明パネル230が肩部207から離れて移動することができないことを担保するようになっていてもよい。
【0066】
ファスナ要素236は、ハウジング202の内面203の内部ハウジングファスナ機構204に対応する周面ファスナ機構237を有していてもよい。実施形態によっては、ファスナ機構204、237はネジ山から構成され、その回りをファスナ要素236が回転してファスナ要素236を透明パネル230と接触させて保持するようになっている場合もある。
【0067】
他の実施形態では、ファスナ要素236は波形ワッシャとスナップリングとを組み合わせたものであってもよい。波形ワッシャはスナップリングと透明パネル230との間に配置される。スナップリングは、内面203の前もって決められている位置に適切に固定されるよう構成されている。たとえば、スナップリングは、内面203の溝、隆起部、他の突出部もしくはくぼみ、または複数のこのような要素と係合するようになっていてもよい。波形ワッシャとは、ワッシャの中央面から離れて位置する領域を有しかつ弾性力のあるバネのような材料から形成される起伏するワッシャのことである。したがって、波形ワッシャは、圧縮されると、膨張力を生成するようになる。波形ワッシャがスナップリングと透明パネル230との間で少なくとも部分的に圧縮されると、波形ワッシャは透明パネル230(または他の介在する構成部材)に対して力を加える。この力は透明パネル230を肩部207に押圧する。しかしながら、いうまでもなくファスナ機構204、237はいかなる適切なファスナ機構であってもよい。
【0068】
図示されているように、表示パネル220は、ファスナ要素236、表示用のアパチャー212および透明パネル230を通して視認可能なファスナ要素236の後側に配置されるようになっていてもよい。いうまでもなく、ファスナ要素236は、誇張された奥行きで図示されているが、透明パネル230および/または表示パネル220と比較して小さくともよい。
【0069】
他の実施形態では、表示パネル220はファスナ要素236に嵌め込まれるようになっている場合もある。表示パネル220は、ファスナ要素236の内部の領域の中に少なくとも部分的に入り込むようになっていてもよい。それに代えて、表示パネル220は、ファスナ要素236の内部の領域へ少なくとも部分的に入り込み、ファスナ要素236に固定されるようになっていてもよい。ファスナ(図示せず)は表示パネル220をファスナ要素236に固定するようになっていてもよい。他の代替え実施形態では、表示パネル220およびファスナ要素236は組み合わせて単一の構成部材を構成するようになっていてもよい。この単一の構成部材では、ファスナ要素236は、表示パネル220の一部となっているので、表示パネル220は内部ハウジングファスナ機構204と係合するようになっている。さらに他の代替え実施形態では、表示パネル220を透明パネル230と接触することができるようにすることにより、表示パネルが透明パネル230を肩部207に押し付けるように、ファスナ要素236を表示パネル220と接触するように取り付けるようにしてもよい。
【0070】
図5は、本発明のある実施形態にかかる防炎性のハウジング202の表示用のアパチャー212を閉塞するための透明パネル230が示されている。透明パネル230は略平坦であってもよい。透明パネル230は所望の形状および厚さを有していてもよい。
【0071】
実施形態によっては、透明パネル230はガラスから形成されている場合もある。実施形態によっては、透明パネル230は強化ガラスから形成されていてもよい。それに代えて、他の実施形態では、透明パネル230は、プレキシガラスから形成されていてもよいし、または、他の無色透明または透明なプラスチック材料(clear or transparent plastic materials)から形成されてもよい。透明パネル230の材料として他の透明な材料も考えられており、それらもまた本明細書および請求項の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【0072】
図6は、本発明のある実施形態にかかる防炎性のハウジング200をAAに沿って切断して得られた断面図である。この実施形態では、肩部207はシール用の溝209もシール210も有していない。したがって、図示されているように、肩幅全体が第二の炎路スパンL2を構成可能となっている。
【0073】
それに加えて、透明パネル230は、面取りされたまたは斜面が形成された縁部274を有していてもよい。斜面が形成された縁部274は、いかなるサイズまたは角度の斜面を有していてもよい。斜面が形成された縁部274により、透明パネル230を肩部207へ容易に取り付けることができるようになる。いうまでもなく斜面が形成される縁部274は、任意選択的な要素であって、防炎性のハウジング202のいずれの実施形態に設けられてもよい。
【0074】
図7は、本発明のある実施形態にかかる防炎性のハウジング200をAAに沿って切断して得られた断面図である。この実施形態では、肩部207の幅が最小になっており、炎路長さに著しく寄与していない。肩部207は、単に透明パネル230を配置するための保持面を提供する役目をしている。したがって、透明パネル230の周面232は、図示されているように、第一の炎路スパンL1、すなわち実質的に炎路の全長を構成している。
【0075】
上述の実施形態のうちのいずれの防炎性のハウジングであっても利点を有している。防炎性のハウジングは、硬化可能なシール材を扱うまたは用いることを必要とすることなく透明パネルインターフェースを提供することができる。防炎性のハウジングは、硬化可能なシール材を被着するステップを必要とすることなく透明パネルインターフェースを提供することができる。防炎性のハウジングは、極めて精密に形成することによって防炎性を実現している透明パネルインターフェースを提供することができる。防炎性のハウジングは、透明パネルとハウジングとの両方に硬化可能なシール材を結合することに依存することなく透明パネルインターフェースを提供することができる。
【0076】
上述の実施形態の詳細な記載は、本発明の技術範囲内に含まれるものとして本発明者が考えているすべての実施形態を完全に網羅するものではない。さらに正確にいえば、当業者にとって明らかなように、上述の実施形態のうちの一部の構成要素をさまざまに組み合わせてまたは除去してさらなる実施形態を作成してもよいし、また、このようなさらなる実施形態も本発明の技術範囲および教示範囲に含まれる。また、当業者にとって明らかなように、本発明の技術および教示の範囲に含まれるさらなる実施形態を作成するために、上述の実施形態を全体的にまたは部分的に組み合わせてもよい。したがって、本発明の技術範囲は添付の請求項によって決められるものである。