特許第6282657号(P6282657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282657
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】特に加圧液体用の封止継手
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3204 20160101AFI20180208BHJP
【FI】
   F16J15/3204 201
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-531656(P2015-531656)
(86)(22)【出願日】2013年9月16日
(65)【公表番号】特表2015-528556(P2015-528556A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】IB2013002014
(87)【国際公開番号】WO2014041420
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2015年9月24日
(31)【優先権主張番号】1258667
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジラルド,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】リュトー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】スーデ,アルノー
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−500482(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02173264(GB,A)
【文献】 特開2004−044745(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02258275(GB,A)
【文献】 特開昭61−065913(JP,A)
【文献】 特開2009−103264(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/009317(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0031828(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0117810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00 − 15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方では、外側軸方向フランジ(3)および内側半径方向フランジ(4)を有する支持リング(2)と、他方では、テフロン系シーリング材で作られるワッシャ(5)とを備え、ワッシャは、軸方向フランジ(3)の外表面(3’)を少なくとも部分的に覆うことによって、および可撓性シーリングリップ(6)を形成するように半径方向フランジ(4)の内側端部(4’)を越えて延びることによって、前記リング(2)上に取り付けられまたは配置され、可撓性シーリングリップは、封止されるべき要素(7)に対して円周方向に当てるように設計されまたは封止されるべき要素(7)の上に円周方向に当てるように設計され、次いで前記シーリングリップ(6)は、封止されるべき要素に大部分が当たっている環状部分(6’)と環状湾曲接続部分(6’’)とを有する、加圧液体用の封止継手であって、
シーリングリップ(6)は、0.4mmと0.7mmとの間の厚さ(EL)を有し、応力がないときには、ピーク角度が90°−αでありαが15°と45°との間であるスリーブまたはテーパ付きリングを形成することを特徴とする、封止継手(1)。
【請求項2】
応力がないときには平坦な壁を有するテーパ付きスリーブの形のシーリングリップ(6)が、ワッシャ(5)の予湾曲したまたは内へ曲がった環状領域(8)によって、半径方向フランジ(4)に当たっているかつ/またはそれと一体に作られるワッシャ(5)の部分(5’)に接続され、環状領域は、前記半径方向フランジ(4)の内側端部(4’)の直後に配置され、封止されるべき媒体(MLS)の方向に配向され、環状接続部分(6’’)の部分である、請求項1に記載の封止継手。
【請求項3】
シーリングリップ(6)の厚さが、0.45mmと0.65mmとの間であり、角度αは、20°と40°との間であり、予湾曲した領域(8)は、担持リング(2)上に取り付ける前または後にワッシャ(5)の壁の局所的な変形によって成形される、請求項1または2に記載の封止継手。
【請求項4】
支持リング(2)、テフロン系材料で作られるワッシャ(5)、および封止されるべき要素(7)の相対的な寸法および配置が、前記リップ(6)の自由端縁(6’’’)から1.5mmと5.0mmとの間の軸方向距離(P)を有する前記要素(7)へのシーリングリップ(6)の部分(6’)の緊密な接触および支持のための領域(9)を画定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の封止継手。
【請求項5】
シーリングリップ(6)が、封止されるべき要素(7)に当たるように設計されるこのリップ(6)の部分(6’)の接触面のレベルで送出構造(10)を備え、送出構造は、螺旋形、またはねじ形であり、両側が傾斜または異なる勾配であり、横断面または輪郭が非対称三角形の形状である溝の形である、請求項1から4のいずれか一項に記載の封止継手。
【請求項6】
シーリングワッシャ(5)が、軸方向フランジ(3)の自由端縁(3’’)を越えて延び突出部分(11)を形成し、突出部分は、内部に向かって傾斜または湾曲させられ、前記自由端縁(3’’)の少なくとも外側隆起を覆う、請求項1から5のいずれか一項に記載の封止継手。
【請求項7】
シーリングリップ(6)の支持および補強のための環状構造体(12)を備え、環状構造体は、封止されるべき媒体(MLS)と反対側に配置され、湾曲環状部分(6’’)の形状を部分的にとることによって、および湾曲環状部分から分離されることによって、前記リップ(6)の湾曲環状部分(6’’)の高さで延びる、請求項1から6のいずれか一項に記載の封止継手。
【請求項8】
支持および補強のための環状構造体(12)が、湾曲円周方向フランジから成り、前記湾曲円周方向フランジの湾曲半径は、封止されるべき要素(7)の周りに封止継手(1)を設置した後のシーリングリップ(6)の環状接続部分(6’’)の圧力がないときの湾曲半径よりも大きく、シーリングリップ(6)に対する応力がないときのワッシャ(5)の予湾曲した環状領域(8)の湾曲半径よりも大きい、請求項7に記載の封止継手。
【請求項9】
円周方向フランジの形の支持および補強のための環状構造体(12)が、封止されるべき要素(7)から短い距離まで延び、円周方向フランジの自由端縁(12’)は前記要素(7)からある距離を置いて配置され、距離はシーリングリップ(6)の厚さ(EL)未満である、請求項7および8のいずれかに記載の封止継手。
【請求項10】
支持および補強のための環状構造体(12)が第2のリング(13)の部分であり、第2のリングは、前記構造体を形成する湾曲環状フランジ(12)の部分によって内側から延ばされる少なくとも1つの半径方向フランジ(13’)を備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の封止継手。
【請求項11】
支持リング(2)の半径方向フランジ(4)上に配置されるワッシャ(5)の少なくとも部分(5’)が、半径方向フランジ(4)と第2のリング(13)の半径方向フランジ(13’)との間に挟み込まれて、前記ワッシャ部分(5’)の機械的締結を確実にする、請求項10に記載の封止継手。
【請求項12】
支持および補強のための環状構造体(12)が、支持リング(2)の一体部分であり、内部に半径方向フランジ(4)を延ばす湾曲フランジの部分から成る、請求項7から9のいずれか一項に記載の封止継手。
【請求項13】
ワッシャ(5)が、一方では加圧媒体(MLS)に向かって、他方では封止継手(1)の取り付けハウジング(14)の壁(14’)に向かって方向付けられる支持リング(2)の表面のすべてを覆い、それに対して支持リング(2)の軸方向フランジ(3)は気密に押し当たることになる、請求項1から9および12のいずれか一項に記載の封止継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止継手(またはガスケット)、特に、回転運動によって駆動され、静止本体、要素、またはケーシング等の通路、ハウジング、または開口等の中にまたはそれを通って延びるシャフトまたは回転軸等の可動要素のレベルで、かつその周りで封止することを確実にする封止継手の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
より特に、本発明は、一方では、外側軸方向フランジおよび内側半径方向フランジを有する支持リングまたはフレーム(通常、鋼板で作られる)と、他方では、テフロン(登録商標)系シーリング材で作られるワッシャとを備える封止継手に関し、ワッシャは、軸方向フランジの外表面を少なくとも部分的に覆うことによって、および可撓性シーリングリップを形成するように半径方向フランジの内側端部を越えて延びることによって、前記リング上に取り付けられまたは配置される。このリップは、封止されるべき要素、特にシャフト等の回転円筒形要素に対してまたはその上に円周方向に当てるように設計され、次いで前記シーリングリップは、封止されるべき要素に大部分が当たっている第1の環状部分と第2の環状湾曲接続部分(リップの第1の端部分を、リングの半径方向フランジと一体に作られるワッシャの部分に接続する)とを有する。
【0003】
このような継手は、特に、文献国際公開第2008/009317号パンフレット、および米国特許出願公開第2003/0031828号明細書(図5a)によって知られている。
【0004】
これらの継手は、同じワッシャによって、二重シール、すなわち可動要素に対する内部動的シール(リングによって支持されない可撓性シーリングリップを使って)、および封止されるべき要素が通常通過するハウジングまたは取り付け開口の壁に対する外部静的シール(軸方向フランジの外表面上に存在するワッシャ部分を使って)の両方を確実にする。
【0005】
しかし、これらの2つの文献によって開示されている封止継手は、少なくとも次の2つの欠点を有する。
【0006】
1)緊密度およびシーリング機能を維持する点からみると負の効果があるシーリングリップの自由端の上昇が、特にこのリップが大きな長さ(かなりの軸方向距離)にわたって封止されるべき要素に当たっている場合に見出される。
【0007】
2)これらの継手は、変形に対する低い抵抗のため、さらには、シーリングリップが圧力を受ける場合に(たとえば、シーリングポンプシャフトなどの用途で)起こり得るシーリングリップの回転のため、圧力に耐えるのに適していない(隔離されるべき媒体が典型的にはおよそ1バールと10バールとの間の加圧液体を含む場合に、封止されるべき要素のレベルにおけるシーリング機能の問題)。
【0008】
これらの2つの欠点を改善しようとするために、文献米国特許出願公開第2002/0117810号明細書は、シーリングリップがかなりの厚さを有し、封止されるべき要素に当たる一次シーリングリップと二次弾性支持リップとに半径方向に再分割される封止継手を提案している。
【0009】
この二次リップは、封止されるべき要素に抗して自由端(先端)に応力を加える支持力を働かせ、したがってその分離およびその上昇と戦うことによって(かなりの圧力がないときには)この端部と接触する。
【0010】
加えて、隔離されるべき媒体が圧力を受ける場合には、一次および二次リップは、緊密に重ね合わされ、回転なしで圧力に耐えることができる大きな厚さの単一リップを一緒に形成する。
【0011】
しかし、リップ/要素接触領域が小さな距離を有する場合には満足感をもたらすが、この解決策は、構造的に複雑であり、その達成は困難である(リップの正確な切欠き、一次および二次リップの重複加工を必要とする)。
【0012】
加えて、底部リップの大きな厚さを考慮に入れると、材料コストが高く、リップと可動要素との間の摩擦力が増大させられる。
【0013】
最後に、文献米国特許出願公開第2002/0117810号明細書においては、外部静的シール(継手とハウジングとの間)が、第2のシーリング材を用いることによって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2008/009317号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0031828号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0117810号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、実施するのが容易で経済的な簡単な解決策を提案することによって少なくとも上述の主要な欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このために、本発明は、改善され特に圧力に耐えるのに適した、上述のタイプの封止継手(またはガスケット)を提案し、それによって、この継手は、シーリングリップが、典型的には0.8mm未満の小さな厚さを有し、応力がないときには、ピーク角度が90°−αであり、αが10°と50°との間であるスリーブまたはテーパ付きリングを本質的に形成することを特徴とする。
【0017】
本発明は下記の説明を用いてよりよく理解され、下記の説明は好ましい実施形態に関し、非限定的な例として与えられ、添付の図面を参照してなされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】いかなる応力もないときの、第1の実施形態による封止継手の切断図である。
図2】ハウジング内に、および封止されるべき要素(シャフト)の周りに取り付けた後の、図1の封止継手と同様の切断図である。
図3図1および図2に示されるような封止継手を備える燃料ポンプのシーリングシステムの部分切断図である。
図4】本発明の第1の実施形態の他の設計変形例による、取り付け状態における封止継手の部分切断図である。
図5】本発明の第1の実施形態の別の他の設計変形例による、取り付け状態における封止継手の部分切断図である。
図6】本発明の第2の実施形態の設計変形例による、取り付け状態における封止継手の部分切断図である。
図7】本発明の第2の実施形態の別の設計変形例による、取り付け状態における封止継手の部分切断図である。
図8】本発明の第2の実施形態の他の設計変形例による、取り付け状態における封止継手の部分切断図である。
図9】応力がないときの(取り付け前の)図8の継手の部分切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図2および図4図8は、特に加圧液体用の封止継手1を示している。この継手1は、一方では、外側軸方向フランジ3および内側半径方向フランジ4を有する支持リングまたはフレーム2と、他方では、テフロン系シーリング材で作られるワッシャ5とを備え、ワッシャは、軸方向フランジ3の外表面3’を少なくとも部分的に覆うことによって、および可撓性シーリングリップ6を形成するように半径方向フランジ4の内側端部4’を越えて延びることによって、前記リング2上に取り付けられまたは配置される。可撓性シーリングリップは、封止されるべき要素7、特にシャフト等の回転円筒形要素に対してまたはその上に円周方向に当てるように設計され、次いで前記シーリングリップ6は、封止されるべき要素に大部分が当たっている第1の環状部分6’と第2の環状湾曲接続部分6’’とを有する。
【0020】
本発明によれば、図1がより具体的に示すように、シーリングリップ6は、典型的には0.8mm未満の小さな厚さELを有し、応力がないときには、ピーク角度が90°−αでありαが10°と50°との間であるスリーブまたはテーパ付きリングを本質的に形成する(図1および図9)。
【0021】
換言すれば、図1が示すように、ピーク角度AS=90°−αは、40°と80°との間である(αは、継手1の対称中心軸に垂直な平面に対する角度である)。
【0022】
本発明者らは、予想外に驚くべきことに、接触領域9がかなりの軸方向寸法を有する場合でも、リップ5が2つの上述の技術的構成を有する上記に示されるタイプの封止継手1が、リップ6の端部の上昇の現象を経験しないことを見出した。
【0023】
加えて、一方では継手1の対称中心軸(通常、要素7の回転/対称軸Xと組み合わされる)に対する、封止されるべき要素7に対して当てる前のシーリングリップ6の特定の初期傾斜(ワッシャ4に固有)および他方では半径方向フランジ4の内側端部4’上に緊密に当てるワッシャ5の部分5’に対する、封止されるべき要素7に対して当てる前のシーリングリップ6の特定の初期傾斜(角度α)は、同時にリップ6の予調整という結果となり、リップの予調整は、リップ6が初めに傾斜させられる側からの圧力適用の場合、回転に対するその抵抗を増大させる。
【0024】
もちろん、リップ6とワッシャ5の部分5’との間の接続は、きれいな折りたたみ線を有さず、むしろ湾曲した移行領域8を有する。
【0025】
より具体的には、本発明の有利な構成によれば、好ましくは応力がないときには本質的に平坦な壁を有するテーパ付きスリーブの形のシーリングリップ6は、ワッシャ5の予湾曲したまたは内へ曲がった環状領域8によって、半径方向フランジ4に当たっているかつ/またはそれと一体に作られるワッシャ5の部分5’に接続され、環状領域は、有利には前記半径方向フランジ4の内側端部4’の直後に配置され、封止されるべき媒体MLSの方向に配向され、環状接続部分6’’の部分である。
【0026】
したがって、領域8は、封止継手1の製造中に(好ましくは、リング2とのワッシャ5の係合中の変形によって)、ワッシャ5内に(ワッシャの壁の恒久局所的な変形の形で)形成され、要素7上への継手1の取り付け中に接続部分6’’の湾曲の開始を構成する。
【0027】
コストを制限し、継手1の設計および製造工程(特に上述の文献国際公開第2008/009317号パンフレットに説明されている製造工程に関して)を複雑にすることを回避すると共に、本発明者らによれば上述の欠点に最適に応じることを可能にする本発明の好ましい実際の実施形態と合致して、シーリングリップ6の厚さは、0.4mmと0.7mmとの間、好ましくは0.45mmと0.65mmとの間であるということ、および角度αは、15°と45°との間、好ましくは20°と40°との間であるということが有利には提供される。加えて、予湾曲した領域8は、有利には、担持リング2上に取り付ける前または後にワッシャ5の壁の局所的な変形によって成形される。
【0028】
特に圧力の下で最終アプリケーション要件を満たすために十分な品質のシールを確実にするように、支持リング2、テフロン系材料で作られるワッシャ5、および封止されるべき要素7の相対的な寸法および配置は、前記リップ6の自由端縁6’’’から1.5mmと5.0mmとの間、好ましくは2.5mmと3.5mmとの間の軸方向距離P(方向Xに)を有する前記要素7へのシーリングリップ6の部分6’の緊密な接触および支持のための領域9を画定するために決定され得る。
【0029】
このかなりの距離にもかかわらず、本発明者らは、上述の幾何学的配置を重視することにより、端部6’’の上昇の現象を防止し、回転(リップ6の折りたたみおよび半径方向フランジ4の下の通過)に対する抵抗の増大をもたらすことを可能にし得ることを見出した。
【0030】
リップ6の部分6’は、円滑な支持面(接触領域9)を備えることができ、通常、本質的に一定の厚さ(使用条件に基づく厚さの変動が考えられ得るが)を有する。
【0031】
しかしながら、添付の図には詳細に示されていない(図2に図面でのみ示されている)本発明の追加の特徴によれば、シーリングリップ6は、封止されるべき要素7に当たるように設計されるこのリップ6の部分6’の接触面のレベルで送出構造10を備えることができ、送出構造は、螺旋形、またはねじ形であり、有利には両側が傾斜または異なる勾配であり、好ましくは横断面または輪郭が非対称三角形の形状である溝の形である。
【0032】
このような構造10は、たとえば、本出願人の名義でのPCT特許出願第PCT/FR2012/050239号明細書、および2012年2月3日の仏国特許出願第1251011号明細書に記載されているもののタイプであり得る。
【0033】
加えて、図1図4および図6図8に示されるように、シーリングワッシャ5は、軸方向フランジ3の自由端縁3’’を越えて延び突出部分11を形成し、突出部分は、内部に向かって傾斜または湾曲させられ、前記自由端縁11の少なくとも外側隆起を覆うということも提供され得る。
【0034】
したがって、突出部分11は、継手1のハウジング14への継手の導入のための正面の隆起に接続される傾斜を形成して、その心出しを容易にし、継手1の緊密化または調整取り付け中に軸方向フランジ3に対するワッシャ5のいかなる分離も防止する。
【0035】
高圧の際に動的シールの保全を確実にし、圧力ピーク(特に繰り返される)の場合にシーリングリップ6の損傷を防止し、かつ前記リップ6のいかなる回転も排除するように、継手1はまた、シーリングリップ6の支持および補強のための特定の環状構造体12を備えまたは含むことができ、環状構造体は、封止されるべき媒体MLSと反対側に配置され、湾曲環状部分6’’の形状を部分的にとることによって、および湾曲環状部分から分離されることによって、前記リップ6の湾曲環状部分6’’のレベルで延びる。
【0036】
添付図から明らかになるように、リップ6は、この構造体12と一体に作られるのでもなく、前記リップ6に対する十分な圧力がない(十分な圧力の存在のため図3の場合を除いては構造体12とリップ6との間の楔形隙間12’’が存在する)場合には構造体に当たってもいない。係合がないこのことにより、リップ6は、大きな可撓性と、封止されるべき可動要素7の起こり得る半径方向移動または非対称に適合する適切な能力とを有することを確実にすることを可能にする。
【0037】
この隙間12’’のサイズは、リップ6が要素7に当たると増加し、これは、部分6’’の無理な曲げのため、より強調された湾曲を結果としてもたらし、したがって部分6’’と構造体12との間のより著しい分離を結果としてもたらす(封止されるべき媒体によるリップ6に対する圧力がないとき)ことが、たとえば図1および図2を比べることによってさらに見出される。
【0038】
結果は、剛性構造体12の存在にもかかわらずリップ6の(リング2と要素7との間の相対移動への)良好な適合性である。
【0039】
本発明の有利な実施形態と合致して、支持および補強のための環状構造体12は、湾曲円周方向フランジから成り、前記フランジ12の湾曲半径は、封止されるべき要素7の周りに封止継手1を設置した後のシーリングリップ6の環状接続部分6’’の圧力がないときの湾曲半径よりも大きく、好ましくは、シーリングリップ6に対する応力がないときのワッシャ5の予湾曲した環状領域8の湾曲半径よりも大きい。
【0040】
好ましくは、円周方向フランジの形の支持および補強のための環状構造体12は、封止されるべき要素7から短い距離Dまで延び、フランジ12の自由端縁12’は前記要素7からある距離を置いて配置され、距離はシーリングリップ6の厚さEL未満、好ましくは前記厚さELの少なくとも半分未満、さらにはこの厚さの4分の1または3分の1程度(同様に表面の均一性および要素7の移動の作用)である。
【0041】
次いで、フランジ12はまた、これが部分を成す部品2または13との組合せで、ダストバリアスクリーン等として働くことができる。
【0042】
異なる変形例が図面の図1図5に示される本発明の第1の実施形態によれば、支持および補強のための構造体12は第2のリング13の部分であり、第2のリングは、前記構造体を形成する湾曲環状フランジ部分12によって内側から延ばされる少なくとも1つの半径方向フランジ13’を備える。
【0043】
第2のリング13は、異なる方法で(機械的に、接着して、物質的に、またはいくつかの係合方法の組合せによって)リング2および/またはワッシャ5と組み立てられることができ、次いでリングおよび/またはワッシャと共に、3つの構成部品を有する複合封止継手1を形成する。
【0044】
また、第2のリング13は、ハウジング14内の保持と共に、同時にリング2と共にその取り付けのための軸方向フランジ13’’を備えることが好ましい(リング13およびリング2は、同じ材料から製造されることが好ましい)。
【0045】
図示されていないが、シーリング材は、このフランジ13’’上に(ハウジング14と接触しているその表面上に)任意選択で設置され得る。
【0046】
有利には、支持リング2の半径方向フランジ4上に配置されるワッシャ5の少なくとも部分5’は、半径方向フランジ4と第2のリング13の半径方向フランジ13’との間に挟み込まれて、任意選択で前記ワッシャ部分5’の機械的締結を確実にする。
【0047】
第2のリング13は、ワッシャ5の挟み込みと共に支持リング2に弾力的に締め付け連動させることさえできる(図4)。
【0048】
図1から図5が示すように、フランジ12は、半径方向フランジ4の端部4’を越えてリップ6に付随し、ワッシャ5の部分5’と共にその移行のレベルで、しかしこのリップ6と一体に作られることなく、領域8の予湾曲に関与しまたはそれを支持することさえできる。
【0049】
いくつかの変形例が図6図8に示されている本発明の第2の実施形態によれば、支持および補強のための構造体12は、支持リング2の一体部分であり、内部に半径方向フランジ4を延ばす湾曲フランジの部分から成る。
【0050】
したがって、結果は、上述の利点を提供すると共に、追加の部品を必要としない簡単な継手構造体1である。
【0051】
支持リング2は、異なる形状を有することができる。特に、同じ基本形状が、ハウジング14の寸法、所望の剛性、利用できる空間要件、または局所的形状構成に従って、いくつかの変形例に分解され得る(図6図8)。
【0052】
特に化学的に攻撃的な液体に関する用途に適した実際の変形例の実施形態によれば、リング2の形状、およびこのリング上へのワッシャの相対的な配置は、前記ワッシャ5が、一方では加圧媒体MLSに向かって、他方では封止継手1の取り付けハウジング14の壁14’に向かって方向付けられる支持リング2の表面のすべてを覆い、それに対して支持リング2の軸方向フランジ3が気密に押し当たることになるように提供され得る。
【0053】
最後に、かなりの熱的変動の場合でさえも、ハウジング14内への継手1の取り付けの動きを確実にするために、本発明は、支持リング2、必要ならば第2のリング13が、本出願人のPCTおよび仏国特許出願に特定されているように、HLEタイププレートで作られるということを提供することができる。
【0054】
もちろん、本発明は、説明され添付の図面に示された実施形態に限定されるものではない。変更が、それによって本発明の保護の範囲を超えることなく、特にさまざまな要素の構成の観点からまたは均等技法の置換によって可能である。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9