(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに異なる調理機器と通信可能に接続された複数の端末装置とネットワークを介して接続し、複数の調理機器の情報を管理する情報提供システムにおける情報提供方法であって、
前記端末装置が制御する調理機器での食品の調理時間と、前記端末装置が制御する調理機器の性能の経年劣化の状態を表す第1の情報とを含む調理機器ログを前記複数の端末装置のそれぞれから前記ネットワークを介して受信し、
前記受信した調理機器ログを収集して管理する第1のメモリを用いて、前記第1の情報と前記調理時間とに基づいて、前記経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨調理時間の候補を算出し、前記経年劣化の状態にそれぞれ対応する前記推奨調理時間の候補を表す第3の情報を第2のメモリに保存し、
前記複数の端末装置のうちの第1の端末装置から前記ネットワークを介して受信した前記第1の端末装置と接続する第1の調理機器の性能の経年劣化の状態を表す第2の情報に対応する前記第3の情報を前記第2のメモリから検索して、当該第3の情報を前記端末装置へ送信し、
前記第3の情報を用いて、少なくとも前記第1の調理機器に対する推奨調理時間を含む調理時間の候補の中から何れか1つをユーザに選択させるユーザインタフェースを前記第1の調理機器と接続する端末装置のタッチパネル式のディスプレイに表示させる
情報提供方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明者らが本開示に係る各態様の発明をするにあたって、検討した事項を説明する。
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
調理機器を構成する部材は、この部材を利用する時間、または利用する回数が増えるに従って、この部材を用いて提供する機能の性能は変化する。例えば、調理機器の好適な一例である電子レンジは、マグネトロンを備えている。例えば、電子レンジを用いて食品を加熱調理するとき、あたため出力(例えばワット)とあたため時間を設定する。電子レンジは、マグネトロンを制御し、あたため時間に対応する間、設定したあたため出力に対応する強さのマイクロ波がマグネトロンから出力される。このマイクロ波が照射される範囲内に食品を配置することにより、食品に熱が与えられ、食品があたためられる。
【0011】
調理機器を製造するとき、設定したあたため出力に対応するマイクロ波の強さは、所定の値となるように設計している。しかしながら、加熱調理を行った回数、またはあたため時間の累積値が大きくなるにつれて、マグネトロンから出力されるマイクロ波の強さは、設計した値よりも低下する傾向にあることが経験的に知られている。加熱調理を行った回数、またはあたため時間の累積値が大きくなった結果、マグネトロンから出力されるマイクロ波の強さが設計した値よりも低下した電子レンジを加熱調理の性能が経年劣化した電子レンジまたは経年劣化した電子レンジということにする。
【0012】
例えば、経年劣化していない電子レンジと、経年劣化した電子レンジとでは、同じ食品について、同じあたため出力を設定し、同じあたため時間を設定したとしても、加熱調理により得られる食品の温かさは異なる。この原因は、経年劣化した電子レンジにおいて、マグネトロンから出力されるマイクロ波の強さは、設計した値よりも低下した結果、調理時間において食品に与えられる熱の量が低下することにある。
【0013】
しかしながら、従来においては調理機器の外部から提供される調理プログラムにおいて想定している調理機器の性能は、経年劣化していないことを前提にしている。つまり、あたため調理を行った回数、あたため時間の累積値に関係なく、設定したあたため出力に対応するマイクロ波の強さは常に設計された値であることを前提にしている。
【0014】
特許文献1では、クックブックに記載のバーコードを読み取って、対応する調理プログラムを電子レンジ本体に送る構成である。しかしながら、電子レンジ本体の加熱調理の性能が経年劣化することに関し、何ら考慮していない。従って、クックブックに記載の同じバーコードを読み取った場合、電子レンジが経年劣化している、経年劣化していないに関係なく、同じ調理プログラムが電子レンジ本体に送られる。よって、同じ食品を同じ調理プログラムに含まれる調理時間で加熱調理をしたとき、得られる食品のあたたかは、使用している電子レンジの経年劣化の度合いに応じて異なるという技術的課題を有する。
【0015】
特許文献2では、食品を入れる皿と使用履歴情報(加熱手段、加熱制御パターン、加熱時間等)とをキーとして、条件に合致した調理レシピをサーバより取得することが開示されている。特許文献2では、加熱調理の性能が経年劣化しているオーブンである場合、加熱調理の性能が経年劣化していないオーブンである場合に関係なく、キーとして利用する皿と使用履歴情報が同じであれば、同じ調理レシピが取得されることを意味する。よって、同じ食品を同じ調理レシピに含まれる同じ加熱時間で加熱調理をしたとしても、得られる食品のあたたかは、使用しているオーブンの経年劣化の度合いに応じて異なるという技術的課題を有する。
【0016】
このことは、電子レンジが備えるマグネトロンに限ったことではなく、調理機器が備える加熱調理を行うときに利用する他の部材(ヒータなど)についても同様である。つまり、加熱調理を行った回数、またはあたため時間の累積値が大きくなるにつれて、加熱調理に用いる部材から出力される熱が、設計した値よりも低下するのであれば、食品に与えられる熱の量も低下するので、同様の技術的課題を有する。
【0017】
つまり、経年劣化した調理機器は、経年劣化していない調理機器を対象として作成された調理プログラムに含まれる調理時間の設定に従って加熱調理を行っても最適な調理を行えない。このような調理機器の経年劣化を考慮した調理プログラムを提供するための技術的な解決策に関して、検討はされていなかった。
【0018】
以上の考察により、本発明者らは加熱調理の性能が経年劣化した調理機器であっても、経年劣化に応じた調理時間を調理機器に設定できれば、経年劣化していない調理機器と同じ程度の温かさの食品に得ることができることに着目し、以下の開示の態様を想到するに至った。
【0019】
本開示の一態様に係る制御方法は、複数の調理機器のうちの第1の調理機器と接続し、タッチパネル式のディスプレイを有する端末装置の制御方法であって、端末装置のコンピュータに対して、複数の調理機器の各々での食品の調理時間と、複数の調理機器の各々の性能の経年劣化の状態を表す第1の情報とを少なくとも含む調理機器ログを管理するメモリを用いて、第1の情報と調理時間とに基づいて算出される推奨調理時間の候補の中から、第1の調理機器の性能の経年劣化の状態を表す第2の情報に対応する推奨調理時間を表す第3の情報をサーバ装置から取得させ、第3の情報を用いて、少なくとも第1の調理機器に対する推奨調理時間を含む調理時間の候補の中から何れか1つをユーザに選択させるユーザインタフェースを端末装置のディスプレイに表示させ、ユーザインタフェースにおける操作入力によって調理時間の選択が検知されると、選択された調理時間を設定する設定コマンドを第1の調理機器へ出力する。
【0020】
このように構成することにより、端末装置は、第1の調理機器の経年劣化に応じた調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0021】
本開示の一態様に係る制御方法は、端末装置のコンピュータに対して、更に、第1の調理機器での調理対象の食品に対する標準調理時間をサーバから取得させ、標準調理時間及び推奨調理時間をディスプレイに表示させ、標準調理時間に対応するアイコン及び推奨調理時間に対応するアイコンのいずれかの選択を検知すると、選択されたアイコンに対応する調理時間を設定する設定コマンドを第1の調理機器へ出力する。
【0022】
このように構成することにより、端末装置を利用するユーザは、ディスプレイの表示を通じて、標準調理時間及び推奨調理時間を認識できる。更に、選択されたアイコンに対応する調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0023】
本開示の一態様に係る制御方法は、端末装置のコンピュータに対して、更に、複数の調理機器の経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨調理時間の候補をサーバ装置から取得させ、経年劣化の状態と推奨調理時間の候補との関係、及び、関係における第1の調理機器に対する推奨調理時間の領域をディスプレイに表示させ、第1の調理機器に対する推奨調理時間の領域の選択が検知されると、推奨調理時間に対応する調理時間を設定する設定コマンドを第1の調理機器へ出力する。
【0024】
このように構成することにより、端末装置を利用するユーザは、ディスプレイの表示を通じて、経年劣化の状態と推奨調理時間の候補との関係、及び、関係における第1の調理機器に対する推奨調理時間の領域を認識できる。更に、第1の調理機器に対する推奨調理時間に対応する調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0025】
本開示の一態様に係る制御方法は、端末装置のコンピュータに対して、更に、複数の調理機器の経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨調理時間の候補をサーバ装置から取得させ、経年劣化の状態と推奨調理時間の候補との関係、及び、関係における第1の調理機器に対する推奨調理時間の領域をディスプレイに表示させ、ユーザインタフェースにおける操作入力によって、関係を示す表示画面へのタッチ操作が検知されると、タッチ操作された表示画面上の位置に基づいて推奨調理時間を特定し、特定した推奨調理時間に対応する調理時間を設定する設定コマンドを第1の調理機器へ出力する。
【0026】
このように構成することにより、端末装置を利用するユーザは、ディスプレイの表示を通じて、経年劣化の状態と推奨調理時間の候補との関係、及び、関係における第1の調理機器に対する推奨調理時間の領域を認識できる。更に、第1の調理機器に対する推奨調理時間に対応する調理時間とは異なる推奨調理時間に対応する調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0027】
本開示の一態様に係る制御方法は、第3の情報は、食品の標準調理時間に対する推奨調理時間の延長割合を表す情報であって、端末装置のコンピュータに対して、更に、第1の調理機器での調理対象の食品の標準調理時間をサーバ装置から取得させ、標準調理時間と延長割合とに基づいて算出される標準調理時間に対する延長時間、及び、第2の情報に応じて視覚化された第1の調理機器の経年劣化の状態をディスプレイに表示させる。
【0028】
このように構成することにより、端末装置を利用するユーザは、ディスプレイに表示される視覚化された第1の調理機器の経年劣化の状態を通じて、第1の調理機器の経年劣化の状態を認識できる。
【0029】
本開示の一態様に係る制御方法は、第1の情報は、複数の調理機器のそれぞれにおける第1の調理機能の総使用回数、及び、第2の調理機能の総使用回数を含み、第2の情報は、第1の調理機器における第1の調理機能の総使用回数、及び、第2の調理機能の総使用回数を含み、第3の情報は、第1の調理機器における第1の調理機能について、食品の標準調理時間に対する推奨調理時間の延長割合を表す情報であって、端末装置のコンピュータに対して、更に、第1の調理機器での第1の調理機能による調理対象の食品に対する標準調理時間をサーバから取得させ、標準調理時間と延長割合とに基づいて算出される標準調理時間に対する延長時間、及び、第2の情報に対応する、第1の調理機器の第1の調理機能及び第2の調理機能の使用傾向をディスプレイに表示させる。
【0030】
このように構成することにより、第1の調理機器の第1の調理機能及び第2の調理機能の使用傾向に応じた延長時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0031】
本開示の一態様に係る制御方法は、第1の情報は、複数の調理機器のそれぞれにおける調理機能の総使用回数であって、第2の情報は、第1の調理機器における調理機能の総使用回数であって、推奨調理時間の候補は、調理機器ログの各ログが総使用回数の所定の範囲毎にグループ化された複数のグループにおける、総使用回数が最も少ないグループの調理時間の平均値に対する、グループ毎の調理時間の平均値の増加割合である。
【0032】
このように構成することにより、第1の調理機器における調理機能の総使用回数を範囲の中に含むグループの調理時間の平均値の増加割合を含む第3の情報をサーバから取得できる。
【0033】
本開示の一態様に係る制御方法は、第1の情報は、複数の調理機器のそれぞれにおける第1の調理機能の第1の総使用回数、及び、第2の調理機能の第2の総使用回数であって、第2の情報は、第1の調理機器における第1の調理機能の総使用回数、及び、第2の調理機能の総使用回数であって、第1の調理機能の推奨調理時間の候補は、複数の調理機器の調理機器ログがそれぞれ第1の総使用回数及び第2の総使用回数の組み合わせ毎にグループ化された複数のグループにおける、第1の総使用回数及び第2の総使用回数が最も少ない組み合わせに対応するグループの第1の調理機能での調理時間の平均値に対する、グループ毎の第1の調理機能での調理時間の平均値の増加割合である。
【0034】
このように構成することにより、第1の調理機器における第1の調理機能の総使用回数および第2の調理機能の総使用回数をそれぞれ範囲の中に含むグループの調理時間の平均値の増加割合を含む第3の情報をサーバから取得できる。
【0035】
本開示の一態様に係るプログラムは、複数の調理機器のうちの第1の調理機器と接続し、タッチパネル式のディスプレイを有する端末装置を実行させるプログラムであって、端末装置のコンピュータに対して、複数の調理機器の各々での食品の調理時間と、複数の調理機器の各々の性能の経年劣化の状態を表す第1の情報とを少なくとも含む調理機器ログを管理するメモリを用いて、第1の情報と調理時間とに基づいて算出される推奨調理時間の候補の中から、第1の調理機器の性能の経年劣化の状態を表す第2の情報に対応する推奨調理時間を表す第3の情報をサーバから取得させ、第3の情報を用いて、少なくとも第1の調理機器に対する推奨調理時間を含む調理時間の候補の中から何れか1つをユーザに選択させるユーザインタフェースをディスプレイに表示させ、ユーザインタフェースにおける操作入力によって調理時間の選択が検知されると、選択された調理時間を第1の調理機器に設定する設定コマンドを第1の調理機器へ出力する処理を実行させる。
【0036】
このように構成することにより、端末装置は、第1の調理機器の経年劣化に応じた調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0037】
本開示の一態様に係る端末装置は、複数の調理機器のうちの第1の調理機器と接続し、タッチパネル式のディスプレイを有する端末装置であって、複数の調理機器の各々での食品の調理時間と、複数の調理機器の各々の性能の経年劣化の状態を表す第1の情報とを少なくとも含む調理機器ログを管理するメモリを用いて、第1の情報と調理時間とに基づいて算出される推奨調理時間の候補の中から、第1の調理機器の性能の経年劣化の状態を表す第2の情報に対応する推奨調理時間を表す第3の情報をサーバから取得する取得部と、第3の情報を用いて、少なくとも第1の調理機器に対する推奨調理時間を含む調理時間の候補の中から何れか1つをユーザに選択させるユーザインタフェースをディスプレイに表示する表示部と、ユーザインタフェースにおける操作入力によって調理時間の選択が検知されると、選択された調理時間を設定する設定コマンドを第1の調理機器へ出力する設定部と、を具備する。
【0038】
このように構成することにより、端末装置は、第1の調理機器の経年劣化に応じた調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0039】
本開示の一態様に係る端末装置は、ディスプレイを有する端末装置は、第1の調理機器とネットワークを介して接続する。
【0040】
このように構成することにより、端末装置は、ネットワークを介して第1の調理機器の経年劣化に応じた調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0041】
本開示の一態様に係る情報提供方法は、互いに異なる調理機器と通信可能に接続された複数の端末装置とネットワークを介して接続し、複数の調理機器の情報を管理する情報提供システムにおける情報提供方法であって、端末装置が制御する調理機器での食品の調理時間と、端末装置が制御する調理機器の性能の経年劣化の状態を表す第1の情報とを含む調理機器ログを複数の端末装置のそれぞれからネットワークを介して受信し、受信した調理機器ログを収集して管理する第1のメモリを用いて、第1の情報と調理時間とに基づいて、経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨調理時間の候補を算出し、経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨調理時間の候補を表す第3の情報を第2のメモリに保存し、複数の端末装置のうちの第1の端末装置からネットワークを介して受信した第1の端末装置と接続する第1の調理機器の性能の経年劣化の状態を表す第2の情報に対応する第3の情報を第2のメモリから検索して、当該第3の情報を端末装置へ送信し、第3の情報を用いて、少なくとも第1の調理機器に対する推奨調理時間を含む調理時間の候補の中から何れか1つをユーザに選択させるユーザインタフェースを第1の調理機器と接続する端末装置のタッチパネル式のディスプレイに表示させる。
【0042】
このように構成することにより、第1の調理機器の経年劣化に応じた調理時間を端滅装置に提供できるので、端末装置は、第1の調理機器の経年劣化に応じた調理時間を第1の調理機器に設定することができる。
【0043】
(実施の形態)
以下、本開示の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0045】
(提供するサービスの全体像)
図1Aは、本開示の一実施の形態における情報提供システムの全体像を示す図である。
【0046】
グループ10は、例えば企業、団体、家庭等であり、その規模を問わない。グループ10には、複数の機器11である機器A、機器Bおよびホームゲートウェイ12が存在する。
【0047】
また、
図1Aには図示していないが、グループ10とは異なるグループには、グループ10と同様に、複数の機器およびホームゲートウェイが存在する。ここでは、グループ10に関する説明を行う。グループ10と異なるグループについても、グループ10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。グループ10の複数の機器11の1つには、例えばインターネットと接続可能な機器A(例えば、スマートフォン、PC、TV等)がある。また複数の機器11の1つには、例えば、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器B(例えば、電子レンジ、照明、洗濯機、冷蔵庫等)がある。機器11(特に機器A)、ホームゲートウェイ12及びクラウドサーバ21は、インターネットを介して相互に通信可能に接続されている。機器A、機器Bおよびホームゲートウェイ12は、例えば、ユーザ1の宅内のネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。宅内のネットワークは無線のネットワークでもよいし、有線のネットワークでもよい。機器Bは、インターネットと接続不可能な機器であるが、例えば、宅内のネットワークを介して、ホームゲートウェイ12又は機器A(例えば、スマートフォン)と相互に通信可能に接続されている。宅内のネットワークを介してホームゲートウェイ12又は機器Aと接続することにより、機器Bは、機器A又はホームゲートウェイ12を介してインターネットと接続可能となる。機器Aおよびホームゲートウェイ12は、クラウドサーバ21は、インターネットを介して相互に通信可能に接続されている。よって、機器Bは、クラウドサーバ21と、機器A又はホームゲートウェイ12を介して相互に通信可能に接続される。よって、機器11が機器Aまたは、機器Bのいずれであっても、機器11はクラウドサーバ21とインターネットを介して相互に通信可能に接続することが可能となる。またグループ10には複数の機器11を使用する使用者に対応するユーザ1が存在する。
【0048】
データセンタ運営会社20には、クラウドサーバ21が存在する。クラウドサーバ21とはインターネットを介して様々な機器と連携する仮想化サーバである。主に通常のデータベース管理ツール等で扱うことが困難な巨大なデータ(ビッグデータ)等を管理する。データセンタ運営会社20は、データ管理又はクラウドサーバ21の管理、それらを行うデータセンタの運営等を行っている。データセンタ運営会社20が行っている役務については詳細を後述する。ここで、データセンタ運営会社20は、データ管理又はクラウドサーバ21の運営等のみを行っている会社に限らない。
【0049】
図1Bは、本開示の一実施の形態に係る情報提供システムにおけるデータセンタ運営会社と機器メーカとの関係を示す図である。例えば複数の機器11のうちの一つの機器を開発・製造している機器メーカが、併せてデータ管理又はクラウドサーバ21の管理等を行っている場合は、機器メーカがデータセンタ運営会社20に該当する。
【0050】
また、データセンタ運営会社20は一つの会社に限らない。
図1Cは、本開示の一実施の形態に係る情報提供システムにおけるデータセンタ運営会社と機器メーカおよび管理会社との関係を示す図である。例えば機器メーカ及び他の管理会社が共同もしくは分担してデータ管理又はクラウドサーバ21の運営を行っている場合は、両者もしくはいずれか一方がデータセンタ運営会社20に該当するものとする。
【0051】
サービスプロバイダ30は、サーバ31を保有している。ここで言うサーバ31とは、その規模は問わず例えば、個人用PC内のメモリ等も含む。また、サービスプロバイダ30がサーバ31を保有していない場合もある。
【0052】
なお、上記サービスにおいてホームゲートウェイ12は必須ではない。例えば、クラウドサーバ21が全てのデータ管理を行っている場合等は、ホームゲートウェイ12は不要となる。また、家庭内のあらゆる機器がインターネットに接続されている場合のように、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器は存在しない場合もある。
【0053】
次に、上記サービスにおける情報の流れを説明する。
【0054】
まず、グループ10の機器A又は機器Bは、各ログ情報をデータセンタ運営会社20のクラウドサーバ21に送信する。クラウドサーバ21は機器A又は機器Bのログ情報を集積する(
図1Aの(a))。ここで、ログ情報とは複数の機器11の、例えば運転状況及び動作日時等を示す情報である。例えば、テレビの視聴履歴及びレコーダーの録画予約情報、洗濯機の運転日時・洗濯物の量、冷蔵庫の開閉日時・開閉回数などであるが、これらのものに限らずあらゆる機器から取得が可能なすべての情報をいう。ログ情報は、インターネットを介して複数の機器11自体から直接クラウドサーバ21に提供される場合もある。また複数の機器11から一旦ホームゲートウェイ12にログ情報が集積され、ホームゲートウェイ12からクラウドサーバ21に提供されてもよい。又は、複数の機器11から一旦インターネットに接続可能な他の機器にログ情報が集積され、当該他の機器からクラウドサーバ21に提供されてもよい。
【0055】
次に、データセンタ運営会社20のクラウドサーバ21は、集積したログ情報を一定の単位でサービスプロバイダ30に提供する。ここで、データセンタ運営会社が集積した情報を整理してサービスプロバイダ30に提供することの出来る単位でもいいし、サービスプロバイダ30が要求した単位でもいい。一定の単位と記載したが一定でなくてもよく、状況に応じて提供する情報量が変化する場合もある。上記ログ情報は、必要に応じてサービスプロバイダ30が保有するサーバ31に保存される(
図1Aの(b))。そして、サービスプロバイダ30は、ログ情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、ユーザに提供する。提供するユーザは、複数の機器11を使用するユーザ1でもよいし、外部のユーザ2でもよい。ユーザへのサービス提供方法は、例えば、サービスプロバイダからインターネット介してユーザへ提供されてもよい(
図1Aの(e)、(f))。また、ユーザへのサービス提供方法は、例えば、データセンタ運営会社20のクラウドサーバ21を再度経由して、ユーザに提供されてもよい(
図1Aの(c)、(d))。また、データセンタ運営会社20のクラウドサーバ21がログ情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、サービスプロバイダ30に提供してもよい。
【0056】
なお、ユーザ1とユーザ2とは、別でも同一でもよい。
【0057】
(実施の形態)
[情報提供システムの構成]
図2は、本開示の一実施の形態に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。
図2に示す情報提供システムは、推奨する調理プログラム(調理設定)をユーザに提示する第1の端末装置に対応する端末装置100と、第1の調理機器(第1の電子レンジ)に対応する電子レンジ200と、サーバ装置300とを含む。サーバ装置300は、推奨する調理プログラムを保持する。
図2において、端末装置100は、
図1Aに示すグループ10の機器11の一例である。より具体的には、端末装置100は、例えば
図1Aに示すインターネットに接続可能な機器A(例えば、スマートフォン)に相当する。また、電子レンジ200は、例えば
図1Aに示すグループ10の機器11の一例である。より具体的には、電子レンジ200は、
図1Aに示すインターネットに接続できない機器Bに相当する。また、電子レンジ200は、例えば、宅内のネットワークを介して
図1Aに示す機器Aまたはホームゲートウェイと相互に通信可能となるように接続される。また、サーバ装置300は、
図1Aに示すクラウドサーバ21又はサーバ31に相当する。また、
図2には図示されていないが、電子レンジ200とは異なる1以上の電子レンジがインターネットを介して、サーバ装置300と相互に通信可能に接続されている。
【0058】
以下では、電子レンジ200とは異なる電子レンジを第2の電子レンジ(第2の調理機器)と言うことにする。端末装置100は、例えば
図1Aに示すグループ10の機器Aであっても良い。また、第2の電子レンジは、例えば
図1Aに示すグループ10の機器Bであっても良い。この場合には、グループ10の宅内のネットワークを介して機器Aまたはホームゲートウェイと相互に通信可能に接続される。また、第2の電子レンジは、例えば
図1Aに示すグループ10とは異なるグループの機器Aであってもよい。また、第2の電子レンジは、例えば
図1Aに示すグループ10とは異なるグループの機器Bであっても良い。この場合、第2の電子レンジは、グループ10とは異なるグループの宅内のネットワークを介してグループ10とは異なるグループの機器A(例えば第2の端末装置)またはホームゲートウェイと相互に通信可能に接続される。第2の電子レンジの構成は、後述する電子レンジ200の構成と同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。
【0059】
なお、以下では、電子レンジ200の調理機能として、レンジ機能(あたため処理)を用いる場合について説明する。つまり、サーバ装置300から端末装置100へ送信される調理プログラムには、電子レンジ200に設定すべき調理時間(あたため時間)の設定が含まれる。ただし、電子レンジの調理機能は、レンジ機能に限らず、例えば、オーブン、グリル又はスチーム機能などに対して本実施の形態を適用してもよい。
【0060】
[端末装置100の構成]
端末装置100において、表示入力部101は、ユーザへの情報の提示及びユーザの各種操作の受け付けを行うためのUI(User Interface)102を例えば、タッチパネル式のディスプレイに表示する。具体的には、表示入力部101は、サーバ装置300から送信される情報(あたため設定)を用いて、少なくとも電子レンジ200に対する推奨調理時間を含む調理時間の候補の中から何れか1つをユーザに選択させるUI102を表示する。また、表示入力部101は、ユーザの物理的な操作(例えば、タッチパネルに対するタッチ操作)を受け付けて、各種処理を実行し、処理結果をUI102及び認識部104に出力する。例えば、表示入力部101は、バーコード認識機能の起動を要求するユーザの操作入力を受け付けたことを、認識部104へ通知する。また、表示入力部101は、UI102を介して入力されたあたため設定(ユーザに選択されたあたため設定)を設定送信部107に出力する。例えば、表示入力部101は、タッチパネルなどである。UI102の詳細については後述する。
【0061】
撮影部103は、食品又は食品の包装を含む画像を撮影して画像データを取得し、画像データを認識部104に出力する。例えば、撮影部103は、食品の包装に記載されたバーコードを含む画像データを取得する。
【0062】
認識部104は、撮影部103から受け取る画像データを解析して、撮影部103で撮影された食品を認識する。例えば、認識部104は、バーコードを含む画像データを受け取ると、バーコードの画像データを解析して、当該バーコードに対応する数字(バーコード番号)に変換する。なお、バーコードの認識には従来の画像解析の手法を用いればよい。そして、認識部104は、得られた情報(例えば、バーコード番号)を取得部105に出力する。なお、バーコードは、食品の認識に用いる情報の一例であって、これに限定されない。例えば、認識部104は、食品自体、又は、食品の包装全体の画像に基づいて食品を一意に特定してもよい。
【0063】
本実施の形態において、端末装置100と通信可能に接続された調理機器は、電子レンジ200である。電子レンジ200を用いて食品を調理したときの情報は、電子レンジ200内部に記録される調理機器ログに対応するレンジ内部ログ250(後述する)は、電子レンジ200から端末装置100へ送信される。取得部105は、直近で電子レンジ200から受信したレンジ内部ログ250(後述する)に含まれるデータをキーとして、サーバ装置300(検索部301)に推奨あたため設定を要求する。一方、サーバ装置300は、電子レンジ200および1以上の第2の電子レンジを含む複数の電子レンジのそれぞれの調理機器ログを予め収集したレンジ内部ログ370をメモリで管理している。レンジ内部ログ370の詳細は後述する。サーバ装置300は、レンジ内部ログ370に含まれる複数の電子レンジのそれぞれについて、電子レンジの性能の経年劣化の状態を表す情報(例えば、総使用回数又は総使用時間など)とそれぞれの電子レンジで設定された食品のあたため時間とに基づいて算出される推奨あたため時間の候補の中から、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を表す情報(例えば、総使用回数又は総使用時間など)に対応する推奨あたため時間を表す情報(推奨あたため設定)を決定する。サーバ装置300は、推奨あたため設定を要求した端末装置(この例では、端末装置100)へ決定した推奨あたため設定を送信する。そして、取得部105は、当該要求に対してサーバ装置300から受け取った推奨あたため設定をUI生成部106に出力する。
【0064】
また、取得部105は、認識部104から受け取る情報(例えば、バーコード番号)をキーとして、サーバ装置300(検索部301)に食品情報(つまり、バーコード番号に対応する食品情報。後述する)を要求する。そして、取得部105は、当該要求に対してサーバ装置300から受け取った食品情報をUI生成部106に出力する。
【0065】
ここで、「食品情報」には、例えば、バーコード番号、食品の分量、標準あたため出力(ワット)、標準あたため時間などが含まれる。また、標準あたため出力とは、電子レンジの経年劣化がないと想定をしたときにおいて、バーコード番号に対応する食品をあたためるときの電子レンジの出力(ワット)に対応する。標準あたため時間とは、例えば、電子レンジの経年劣化がないと想定をしたときにおいて、バーコード番号に対応する食品を標準あたため出力であたためる時間に対応する。また、「推奨あたため設定」とは、食品に対して、電子レンジの経年劣化に対応するあたため時間(調理時間)を含む。例えば、推奨あたため設定は、食品の標準あたため時間よりも適したあたため時間(推奨あたため時間)、又は、食品の標準あたため時間に対する推奨あたため時間の増加の割合(以下、標準あたため時間に対する推奨あたため時間の「延長割合」と呼ぶこともある)を示す。
【0066】
UI生成部106は、取得部105から受け取った食品情報(例えば、標準あたため時間)、及び、推奨あたため設定(推奨あたため時間)を用いてUI102を生成する。例えば、UI生成部106は、食品情報に示される標準あたため時間、及び、レンジ内部ログ250を用いて学習されたあたため時間(推奨あたため時間)をユーザに選択させるUI102を生成する。UI生成部106は、生成したUI102を表示入力部101に出力する。
【0067】
設定送信部107は、UI102で選択されたあたため設定を、電子レンジ200(後述する設定受信部201)に行わせるための設定コマンドを電子レンジ200と接続するネットワークに出力する。これにより設定コマンドがネットワークを介して電子レンジ200へ送信される。これにより、UI102におけるユーザの操作入力によって選択されたあたため時間が電子レンジ200に設定される。例えば、あたため設定(調理設定)を実行する設定コマンドには、あたため出力(ワット数など)及びあたため時間(調理時間)に対応する情報が含まれる。ユーザは、あたため設定がなされた電子レンジ200にあたため処理を実行するボタン(図示せず)を押すことで、あたため処理が実行される。また、設定コマンドにあたため処理の実行を指示するコマンドを含めてもよい。このようにすることにより、端末装置100から電子レンジ200のあたため設定および、あたため処理を遠隔操作することが可能となる。なお、端末装置100と電子レンジ200との間の通信には、例えば、NFC(Near Field Communication)、Wi−Fi(登録商標)、又は、Bluetooth(登録商標)といった無線の通信路(ネットワーク)を介して行われる。
【0068】
または、端末装置100と電子レンジ200との間の通信は、例えば有線の通信路(またはネットワーク)を介して行われるのでもよい。
【0069】
ログ送受信部108は、電子レンジ200(ログ送信部204)から送信されたレンジ内部ログ250(後述する)を受け取り、受け取ったレンジ内部ログ250を、サーバ装置300(後述するログ受信部302)に送信する。また、受け取ったレンジ内部ログ250は、収集されデータベースとして保存される。レンジ内部ログ250を収集したデータベースは、端末装置100が備えるメモリで管理される。メモリとは、例えばRAM、及びハードディスクのいずれか、またはこれらの組み合わせを含む。なお、端末装置100とサーバ装置300との間の通信は、例えば、インターネットを介して行われる。
【0070】
[電子レンジ200の構成]
調理機器として、電子レンジを例にして説明をする。
【0071】
調理機器は、電子レンジに限定されるものではなく、例えば電気を利用して所望の調理機能を提供する調理機器であれば、どのような調理機器であってもよい。
【0072】
電子レンジ200において、設定受信部201は、端末装置100(設定送信部107)から、あたため設定に対応する設定コマンドを受信する。設定受信部201は、受信したあたため設定に対応する設定コマンドに示された内容をあたため部202に指示する。
【0073】
あたため部202は、設定受信部201から受け取るあたため設定に対応する設定コマンドに従って、あたため処理を実行する。例えば、あたため部202におけるあたため処理には、マグネトロンなどを備える通常の電子レンジと同様の装置が用いられる。例えば、あたため部202は、設定コマンドを受け取ると、あたため時間およびあたため出力を電子レンジ200の内部に設定する。あたため部202は、マグネトロンを用いて、設定したあたため時間の間、設定したあたため出力で食品を加熱調理する。但し、設定したあたため出力に基づいてマグネトロンから出力される電磁波の強さは、経年劣化に従って低下する。
【0074】
記録部203は、あたため部202で実行されたあたため処理に対応する内容をレンジ内部ログ250に記録する。また、記録部203は、レンジ内部ログ250にログが記録されたことをログ送信部204に通知する。
【0075】
ログ送信部204は、記録部203からレンジ内部ログ250にログが記録されたことを通知されると、レンジ内部ログ250を端末装置100(ログ送受信部108)に送信する。
【0076】
レンジ内部ログ250は、電子レンジ200で、いつ、どれくらい(ワット、時間など)あたためたかを記録するログである。レンジ内部ログ250は、例えば、データベースに保存される。データベースは例えば、電子レンジ200が備えるメモリ(記憶部)で管理される。さらに、レンジ内部ログ250は、電子レンジ200の使用開始から(または、機器を購入してから)のべ何回あたためたか(総使用回数)、及び、機器の使用開始から(または、機器を購入してから)のべどれくらいあたためたか(総使用時間)を記録するログである。ここでは、レンジ内部ログ250には、電子レンジ200での食品のあたため時間、及び、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を表す情報(総使用回数又は総使用時間)が少なくとも記録される。なお、電子レンジ200において、あたため機能(レンジ機能)以外の機能(調理メニュー。例えば、オーブン、グリル、スチームなど)がある場合には、調理メニュー毎に上記総使用回数、総使用時間についてのログが存在する。
【0077】
[サーバ装置300の構成]
サーバ装置300において、検索部301は、端末装置100(取得部105)から受け取ったレンジ内部ログ250をキーとして学習済みあたため設定360のデータベースを検索して、キーに対応する学習済みあたため設定を取得する。つまり、検索部301は、端末装置100から受信した電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を表す情報に対応する推奨あたため時間を表す情報を電子レンジ200の性能の経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨あたため時間の候補を表す情報が保存された学習済みあたため設定360のデータベースから読み出す。電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を表す情報とは、例えば、総使用回数である。推奨あたため時間を表す情報とは、推奨あたため設定であり、例えば、上述した延長割合である。学習済みあたため設定360のデータベースには、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨あたため時間の候補を表す情報が保存されている。また、検索部301は、端末装置100(取得部105)から受け取った情報(例えば、バーコード番号)をキーとして食品情報350のデータベースを検索して、キーに対応する食品情報を取得する。検索部301は、取得した食品情報及び推奨あたため設定を端末装置100(取得部105)に送信する。
【0078】
なお、検索部301は、取得した推奨あたため設定(延長割合)をそのまま端末装置100へ送信してもよく、推奨あたため設定(延長割合)を用いて算出した推奨あたため時間を端末装置100へ送信してもよい。ここで、推奨あたため時間は、標準あたため時間と延長割合とを乗算することにより得られる。
【0079】
ログ受信部302は、端末装置100(ログ送受信部108)から送信されたレンジ内部ログ250を受信し、レンジ内部ログ370のデータベースに保存する。また、ログ受信部302は、1以上の第2の電子レンジからそれぞれ対応するレンジ内部ログを受信する。受信したレンジ内部ログは、レンジ内部ログ370のデータベースに収集され、保存される。すなわち、ログ受信部302は、複数の電子レンジのそれぞれと対応するレンジ内部ログを受信する。受信したレンジ内部ログは、レンジ内部ログ370のデータベースに収集される。レンジ内部ログ370のデータベースはサーバ装置300が備えるメモリ(図示せず)で管理される。メモリとは、例えばRAM、及びハードディスクのいずれか、またはこれらの組み合わせを含む。レンジ内部ログ370のデータベースには、各電子レンジにて調理する食品のあたため時間、及び、各電子レンジの性能の経年劣化の状態を表す情報(総使用回数など)を少なくとも含んでいる。
【0080】
学習部303は、レンジ内部ログ370を解析することにより、標準のあたため時間よりも適した温度に食品をあたためられる設定を学習する。学習部303は、学習によって得られたあたため設定(学習済みあたため設定)を、学習済みあたため設定360のデータベースに保存する。学習済みあたため設定360のデータベースは、例えばサーバ装置300が備えるメモリで管理される。メモリとは、例えばRAM、及びハードディスクのいずれか、またはこれらの組み合わせを含む。学習部303は、複数の電子レンジのレンジ内部ログ370に記録された、電子レンジの性能の経年劣化の状態を表す情報(総使用回数など)とあたため時間とに基づいて、上記経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨あたため時間の候補(例えば、延長割合)を算出し、上記経年劣化の状態にそれぞれ対応する推奨あたため時間の候補を表す情報をメモリ(学習済みあたため設定360のデータベース)に保存する。例えば、レンジ内部ログ370内のレンジ機能の総使用回数に着目した場合、学習部303は、レンジ内部ログ370の各ログが総使用回数の所定の範囲毎にグループ化された複数のグループにおける、総使用回数が最も少ないグループのあたため時間の平均値に対する、グループ毎のあたため時間の平均値の増加割合を、推奨あたため時間の候補(延長割合)とする。
【0081】
また、学習部303は、推奨あたため時間の候補を算出する際、あたため機能の総使用回数のみでなく、他の機能(例えば、オーブン機能)の総使用回数を用いてもよい。この場合、学習部303は、レンジ内部ログ370の各ログがレンジ機能の総使用回数及びオーブン機能の総使用回数の組み合わせ毎にグループ化された複数のグループにおける、レンジ/オーブンの双方の総使用回数が最も少ない組み合わせに対応するグループのあたため時間の平均値に対する、グループ毎のあたため時間の平均値の増加割合を、推奨あたため時間の候補(延長割合)としてもよい。
【0082】
図3Aは、本開示の一実施の形態に係るサーバ装置に保存されるデータベースの一例を示す図である。具体的には、食品情報350を保存するデータベースの内容の一例を示す図である。
【0083】
食品情報350は、例えば、
図3Aに示すように、バーコード番号、商品名(食品名)、メーカ、分量、標準あたため出力、標準あたため時間などを組にしたデータである。例えば、食品情報350は、別途収集され、データベースに保存されている。食品情報350のデータベースは、例えばサーバ装置300が備えるメモリに管理されている。サーバ装置300が備えるメモリとは、例えばRAM、及びハードディスクのいずれか、またはこれらの組み合わせを含む。
【0084】
学習済みあたため設定360は、学習部303によって学習され、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態と最適なあたため設定(推奨あたため設定)とが対応付けられている。学習部303の学習結果は、収集されて、学習済みあたため設定360のデータベースに保存される。学習済みあたため設定360のデータベースは、例えばサーバ装置300が備えるメモリに管理されている。サーバ装置300が備えるメモリとは、例えばRAM、及びハードディスクのいずれか、またはこれらの組み合わせを含む。例えば、学習済みあたため設定360は、総使用回数(総使用時間)と、標準あたため時間に対する推奨あたため時間の延長割合とを組にしたデータである。
【0085】
図3Bは、本開示の一実施の形態に係るクラウドに保存されるデータベースの一例を示す図である。具体的には、レンジ内部ログ370を保存するデータベースの一例を示す図である。より具体的には、レンジ内部ログ370が保存するレンジ内部ログのうち、電子レンジ200に対応するレンジ内部ログの一例を示す。また、
図3Bには、図示していないが、レンジ内部ログ370は、1以上の第2の電子レンジに対応するレンジ内部ログも保存している。
【0086】
レンジ内部ログ370は、どの機器で、いつ、どれくらい(ワット、時間など)あたためたかを記録するログである。レンジ内部ログ370は、例えば、
図3Bに示すように、機器ID、あたため開始時刻、調理メニュー(レンジ、オーブンなど)、出力(ワット、温度)、使用時間、総使用回数、及び、総使用回数の組によって構成される。電子レンジ200は、あたため処理が実行される毎に、機器ID、あたため開始時刻、調理メニュー(レンジ、オーブンなど)、出力(ワット、温度)、使用時間、総使用回数、及び、総使用回数の組によって構成されるレンジ内部ログ250を電子レンジ200のメモリに保存し、保存したレンジ内部ログ250を端末装置へ送る。
【0087】
例えば端末装置100から送信されるレンジ内部ログ250をログ受信部302が受信する。受信したレンジ内部ログは、レンジ内部ログ370のデータベースに収集される。
【0088】
また、第2の電子レンジは、あたため処理が実行される毎に、機器ID、あたため開始時刻、調理メニュー(レンジ、オーブンなど)、出力(ワット、温度)、使用時間、総使用回数、及び、総使用回数の組によって構成されるレンジ内部を第2の電子レンジのメモリに保存し、保存したレンジ内部ログを第2の端末装置へ送る。例えば、1以上の第2の電子レンジと接続する第2の端末装置から送信されたレンジ内部ログをログ受信部302が受信する。受信したレンジ内部ログは、レンジ内部ログ370のデータベースに収集される。
【0089】
なお、食品情報350を保存するデータベース、学習済みあたため設定360を保存するデータベース、レンジ内部ログ370を保存するデータベースは、サーバ装置300が備える1以上のメモリで管理される。
【0090】
レンジ内部ログ370が保存する1以上の第2の電子レンジのレンジ内部ログのデータ構成については、
図3Bで説明をした電子レンジ200に対応するレンジ内部ログのデータ構成と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0091】
上述の例では、電子レンジを特定する情報として機器IDを用いて説明をしたがこれに限定をされる必要はない。例えば、電子レンジを特定する他の属性情報を含めてもよい。他の属性情報として、例えば、電子レンジの型番号または、電子レンジを製造する製造業者に関する情報を含めてもよい。また、電子レンジを出荷する前に電子レンジを用いる部品(マグネトロン、ヒータなど)に対して所定の試験を行い、行った所定の試験に対する値(初期値)を属性情報として含めてもよい。所定の試験とは、例えば、部品の経年劣化を測定する試験などがある。
【0092】
サーバ装置300は、属性情報が同じまたは類似する属性情報を含む電子レンジのレンジ内部ログをレンジ内部ログ370から抽出できるように構成してもよい。
【0093】
[あたため設定の取得方法]
次に、
図2に示す端末装置100におけるあたため設定の取得方法について説明する。
図4は、本開示の一実施の形態に係る端末装置におけるあたため設定の取得処理の一例を示すフローチャートである。
【0094】
図4に示すフローチャートは、例えば、端末装置100において、食品のバーコード認識機能の立ち上げをユーザが選択した場合に開始される。
【0095】
図4において、ステップ(以下、「ST」と表す)101では、撮影部103は、食品のバーコードを撮影する。
【0096】
ST102では、認識部104は、ST101で撮影されたバーコードの画像データ(撮影画像)に対して画像認識を施し、バーコード番号を取得する。
【0097】
ST103では、取得部105は、レンジ内部ログ250、及び、ST102で取得したバーコード番号をアップロードすることにより、サーバ装置300に対してあたため設定を要求する。
【0098】
ST104では、取得部105は、ST103におけるあたため設定の要求に対する応答としてのあたため設定を、サーバ装置300から受信する。サーバ装置300から受信されるあたため設定には、推奨あたため設定(学習済みあたため設定)、及び、標準あたため設定(標準調理設定)が含まれる。なお、サーバ装置300における推奨あたため設定の決定方法については後述する。
【0099】
ST105では、UI生成部106は、ST104で受け取った推奨あたため設定及び標準あたため設定の何れかをユーザに選択させるUI102を生成する。ユーザは、UI102において、推奨あたため設定又は標準あたため設定を選択する。
【0100】
推奨あたため設定が選択された場合(ST105:YES)、ST106では、設定送信部107は、推奨あたため設定を電子レンジ200に送信する。一方、標準あたため設定が選択された場合(ST105:NO)、ST107では、設定送信部107は、標準あたため設定を電子レンジ200に送信する。このようにして、電子レンジ200に対してあたため設定が設定される。
【0101】
なお、
図4では、端末装置100におけるにおけるあたため設定の取得処理を例に説明をした。第2の電子レンジと接続する第2の端末装置におけるあたため設定の取得処理についても
図4の動作と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0102】
[ログアップロード方法]
次に、
図2に示す端末装置100がレンジ内部ログ250をサーバ装置300へアップロードするまでの処理について説明する。
図5は、本開示の一実施の形態に係るレンジ内部ログのアップロード処理を示すシーケンス図である。具体的には、端末装置100が電子レンジ200から受信したレンジ内部ログ250をサーバ装置300へアップロードする処理を示すシーケンス図である。
【0103】
図5において、ST201では、端末装置100(設定送信部107)は、あたため設定を行う設定コマンドを電子レンジ200(設定受信部201)へ送信する。すなわち、ST201の処理は、
図4に示すST106又はST107の処理に相当する。
【0104】
ST202では、電子レンジ200のあたため部202は、ST201で受信したあたため設定に従ってあたため処理を実行する。
【0105】
ST203では、記録部203は、ST202で実行されたあたため処理の内容をレンジ内部ログ250として電子レンジ200が備えるメモリに記録する。レンジ内部ログ250は、例えば、電子レンジ200が備えるメモリで管理されるデータベースに保存される。レンジ内部ログ250は例えば、あたため処理を行ったときの時刻、あたため処理を行ったときに利用した電子レンジの機能(例えば、レンジ、オーブンなど)、あたため出力(ワット、温度)を含む。レンジ内部ログ250は、更に、あたため処理を行ったときに利用した電子レンジ200の機能の総使用時間、総使用回数を含む。例えば、電子レンジ200を購入した後、食品をあたためるのに電子レンジ200のレンジ機能を初めて用いた場合、総使用回数に「1」が記録され、総使用時間に、あたため処理を用いるときに設定したあたため時間を記録する。以後、電子レンジ200のレンジ機能を用いる毎に総使用回数の値に「1」を加算し、総使用時間の値に、あたため処理を用いるときに設定したあたため時間を加算すればよい。他の機能(例えばオーブン機能、グリル機能、トースト機能、スチーム機能)にける、総使用回数、総使用時間の記録についても同様である。
【0106】
ST204では、ログ送信部204は、ST203で電子レンジ200に記録されたレンジ内部ログ250の内容うち、少なくとも端末装置100へ送信していない内容を端末装置100(ログ送受信部108)へ送信する。
【0107】
なお、端末装置100は、例えば、ST204において、電子レンジ200から、レンジ内部ログ250を受け取った場合、ユーザに対して追加のあたため処理を実行するか否かを選択させるUIを生成してもよい。例えば、サーバ装置300においてレンジ内部ログ370のデータベースに保存される各電子レンジのレンジ内部ログが十分に収集されていない場合、ユーザに対して提供可能なあたため時間として、標準あたため時間しか存在しない状況が生じる。
【0108】
この場合、端末装置100は、ユーザに対して追加のあたため処理を実行するか否かを選択させるUIを表示すればよい。ユーザが追加のあたため処理を選択した場合、端末装置100は、追加のあたため処理を電子レンジ200へ指示すればよい。追加のあたため処理が行われる場合には、端末装置100及び電子レンジ200は、例えば、ST201〜ST203の処理を、追加のあたため回数分繰り返す。最初の追加のあたため処理の直前に行ったあたため処理を最初のあたため処理ということにする。
【0109】
追加のあたため処理が行われる場合には、電子レンジ200は、最初のあたため処理において、ST203で電子レンジ200に記録されたレンジ内部ログ250における、使用時間および総使用時間を更新する。具体的には、最初のあたため処理において、レンジ内部ログ250に記録された使用時間(1回目のあたため時間)と追加で設定したあたため時間(2回目以降のあたため時間)との合計時間を最初のあたため処理における使用時間として更新する。また、最初のあたため処理において、レンジ内部ログ250に記録された総使用時間(1回目のあたため時間)と追加で設定したあたため時間(2回目以降のあたため時間)との合計時間を最初のあたため処理における総使用時間として、更新する。
【0110】
そして、端末装置100は、UIの表示を介してユーザが追加のあたため処理が否である選択をしたとき、この選択の直前に電子レンジ200から受信したレンジ内部ログ250をサーバ装置300へアップロードすればよい。
【0111】
ST205では、端末装置100のログ送受信部108は、ST204において電子レンジ200から受け取ったレンジ内部ログ250をサーバ装置300(ログ受信部302)へアップロードする。なお、電子レンジ200から受け取ったレンジ内部ログ250は、端末装置100が備えるメモリに保存される。端末装置100が備えるメモリに保存したレンジ内部ログ250は、推奨あたため設定の要求(
図4に示すST103)の際に使用される。
【0112】
ST206では、サーバ装置300のログ受信部302は、ST205において端末装置100からレンジ内部ログ250を受信する。受信したレンジ内部ログ250は、サーバ装置300のメモリが管理するレンジ内部ログ370に追加され、保存される。これにより、サーバ装置300には、電子レンジ200からの各々のレンジ内部ログ250によって構成されるレンジ内部ログ370が保存される。なお、第2の電子レンジと接続する第2の端末装置がレンジ内部ログをアップロードするまでの処理については、
図5の説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0113】
[学習処理]
次に、サーバ装置300の学習部303における学習処理について説明する。
図6Aは、本開示の一実施の形態に係るサーバ装置における学習処理を示すフローチャートである。具体的には、学習部303における学習処理の一例を示すフローチャートである。
【0114】
図6Aにおいて、ST301では、学習部303は、データベースに保存されたレンジ内部ログ370を取得する。このとき、レンジ内部ログ370に含まれる各電子レンジのレンジ内部ログがそれぞれ、機器ID以外の属性情報を含む場合、属性情報が同じまたは類似するものを抽出して取得してもよい。
【0115】
ST302では、学習部303は、ST301で取得したレンジ内部ログ370内のあたための総使用回数を複数のグループにグループ化し、各グループにおけるあたため時間の平均を算出する。
【0116】
なお、平均値の計算に用いる各レンジ内部ログに対応する電子レンジについて、互いに属性情報が同じまたは類似するものを選択して平均値の算出をしたいのであれば、ST301において、属性情報が同じまたは類似する電子レンジのレンジ内部ログをレンジ内部ログ370から抽出して取得すればよい。このようにすることにより、算出する平均値の信頼性を高くすることができる。なお、属性情報として、例えば、電子レンジの型番号または、電子レンジを製造する製造業者に関する情報などがある。または、電子レンジを出荷する前に電子レンジを用いる部品(マグネトロン、ヒータなど)に対して所定の試験を行い、行った所定の試験に対する値(初期値)を属性情報としてもよい。所定の試験とは、例えば、部品の経年劣化を測定する試験などがある。
【0117】
図6Bは、本開示の一実施の形態に係るサーバ装置において、各電子レンジのレンジ内部ログをグループ化するときに用いるテーブルの一例を示す図である。
【0118】
図6Bでは、電子レンジのレンジ機能を使用したときのあたための総使用回数の範囲と、この範囲に対応するグループA〜グループDとの関係が予め定義されている。
図6Bでは、レンジ内部ログ370において、あたための総使用回数が1−5000回の電子レンジのレンジ内部ログをグループAとする。また、あたための総使用回数が5001−10000回のレンジ内部ログをグループBとする。また、あたための総使用回数が10001−15000回のレンジ内部ログをグループCとする。また、あたための総使用回数が15001−20000回のレンジ内部ログをグループDとする。
【0119】
例えば、学習部303は、
図6Bに示すテーブルを用いて、レンジ内部ログ370に含まれる各電子レンジのレンジ内部ログをグループA〜グループDのいずれかに分類する。そして、学習部303は、グループA〜D毎にレンジ内部ログに含まれるあたため時間の平均値を算出する。
【0120】
ST303では、学習部303は、各グループの推奨あたため設定(延長割合)を求める。
【0121】
あたための総使用回数が少ないほど、電子レンジ200の性能の経年劣化の度合いは少なく、特定の食品に対する最適なあたため時間はより少ないことが想定される。そこで、学習部303は、グループA(あたため総使用回数が最も少ないグループ)を基準として、グループAのあたため時間の平均値に対する他のグループのあたため時間の平均値の増加度合を、あたため時間の延長割合(つまり、推奨あたため時間の候補)として算出する。
【0122】
具体的には、
図6Bでは、学習部303は、グループBのあたため時間の平均値が、グループAのあたため時間の平均値に対して、どれだけの割合(何%)増加しているかを求める。同様にして、学習部303は、グループCのあたため時間の平均値が、グループAのあたため時間の平均値に対して、どれだけの割合(何%)増加しているかを求める。グループDについても同様である。
【0123】
そして、学習部303は、各グループ(総使用回数)と、あたため時間の延長割合とを組とするデータを学習済みあたため設定(推奨あたため設定)360をサーバ装置300が備えるメモリで管理されるデータベースに保存する。例えば、
図6Bの場合、学習済みあたため設定360では、グループAとあたため時間の延長割合:100%(増加無し)とが対応付けられる。また、グループBとあたため時間の延長割合:110%(10%増加)とが対応付けられる。また、グループCとあたため時間の延長割合:120%(20%増加)とが対応付けられる。また、グループDとあたため時間の延長割合:130%(30%増加)とが対応付けられる。
【0124】
なお、電子レンジ200のあたため対象の食品が異なれば当該食品に適したあたため時間は異なる。これに対して、学習部303は、あたため対象の食品を特定することなく、単純に、レンジ内部ログ370のあたための総使用回数に基づいて各ログをグループ化し、グループ毎のあたため時間の平均値を算出している。これは、各電子レンジ200を使用するユーザの食生活が大きく変わらないものとし、電子レンジ200において調理する食品を特定しなくても、電子レンジ200のあたため時間(あたため処理)の全体的な傾向から、当該電子レンジ200に対するあたため時間の増減度合いを推定できるという仮定に基づくものである。
【0125】
また、学習部303におけるグループ化の単位は総使用回数5000回毎に限定するものではなく、他の回数(すなわち、グループ数)に適宜設定すればよい。また、学習部303におけるグループ化において、総使用回数ではなく、総使用時間を用いてもよい。
【0126】
また、学習部303では、グループ毎のあたため時間の平均を算出する場合に限定されず、中間値の算出など他の方法を適用してもよい。
【0127】
また、
図6のST303の処理は、一定時間毎に定期的に行われてもよく、レンジ内部ログ370が更新される度に(レンジ内部ログ250がアップロードされる度に)行われてもよい。
【0128】
[推奨あたため設定の決定]
次に、サーバ装置300における推奨あたため設定の決定方法の詳細について説明する。
図7は、本開示の一実施の形態に係るサーバ装置300における推奨あたため設定の決定処理の一例を示すフローチャートである。例えば、
図7に示すフローチャートは、サーバ装置300に対して、端末装置100からあたため設定の要求があった場合に開始される。
【0129】
ST401では、検索部301は、端末装置100から送信される食品情報(バーコード番号)をキーとして、食品情報350のデータベース(
図3A)を検索して、キーであるバーコード番号に対応する食品のあたため時間(標準あたため設定)を取得する。
【0130】
ST402では、検索部301は、端末装置100から送信されるレンジ内部ログ250(電子レンジ200の直近のログ)に含まれるあたための総使用回数が、学習済みあたため設定360におけるどのグループに属するかを特定する。
【0131】
ST403では、検索部301は、ST402で特定したグループをキーとして、学習済みあたため設定360のデータベースを検索して、キーであるグループに対応する学習済みあたため設定(例えば、標準あたため時間からの延長割合)を取得する。
【0132】
ST404では、検索部301は、推奨あたため設定(推奨あたため時間)を算出する。例えば、検索部301は、ST401で取得した標準あたため時間とST403で取得したあたため時間の延長割合とを乗算することにより、推奨あたため設定を算出する。例えば、標準あたため時間が1分(60秒)であり、延長割合が110%である場合、検索部301は、推奨あたため設定を66秒とする。
【0133】
なお、ST404の処理は、端末装置100(例えば、取得部105)が行ってもよい。具体的には、検索部301は、ST404の処理を実行せずに、ST401で取得した標準あたため設定、及び、ST403で取得したあたため時間の延長割合を端末装置100に送信し、端末装置100がST404と同様にして、標準あたため時間とあたため時間の延長割合とを乗算すればよい。
【0134】
[UI102の表示]
次に、UI102におけるあたため時間をユーザに選択させる表示例について説明する。
【0135】
[表示例1]
図8Aは、本開示の一実施の形態に係るUIの一例を示す図である。
【0136】
図8Aに示す表示画面を表示するために、例えば端末装置100、電子レンジ200およびサーバ装置300は、以下の動作を行う。例えば端末装置100(取得部105)は、あたため対象の食品情報(バーコード番号)及び電子レンジ200のレンジ内部ログ250(少なくとも総使用回数)をアップロードする。そして、端末装置100は、あたため対象の食品の標準あたため時間と推奨あたため時間とをサーバ装置300から取得する。
【0137】
UI生成部106は、標準あたため時間、及び、推奨あたため時間のいずれかをユーザに選択させるUI102を生成する。そして、表示入力部101は、標準あたため時間及び推奨あたため時間を端末装置100のディスプレイに表示する。
【0138】
例えば、
図8Aに示すように、UI102には、標準あたため時間(
図8Aでは1分)の選択領域1021と、推奨あたため時間(
図8Aでは1分20秒)の選択領域1022とを有する。選択領域1021および選択領域1022は、例えば、ボタンアイコンである。ユーザは、
図8Aに示すUI102において、所望するあたため時間に相当する領域を、例えば、タッチ操作により選択する(例えば、
図4に示すST105)。
【0139】
UI102におけるタッチ操作入力によって、選択領域1021の選択が検知されると、端末装置100(設定送信部107)は、選択領域1021に対応するあたため設定(
図8Aではあたため出力が600W、あたため時間が1分)を実行する設定コマンドを電子レンジへ送信する。
【0140】
UI102における操作入力によって、選択領域1021の選択が検知されると、端末装置100(設定送信部107)は、選択領域1022に対応するあたため設定(
図8Aではあたため出力が600W、あたため時間が1分20秒)を実行する設定コマンドを電子レンジへ送信する。
【0141】
これにより、電子レンジ200は、受け取った設定コマンドを実行することにより、選択領域1021に対応するあたため設定がなされる。そして、電子レンジ200は、ユーザに選択されたあたため設定に基づいてあたため処理を実行する。
【0142】
これにより、ユーザは、あたため対象の食品に対する推奨あたため時間を選択することができるので、当該食品を、電子レンジ200で追加のあたため処理を行わずに、最適な温度にあたためることができる。
【0143】
なお、端末装置100は、標準あたため時間を取得せず、推奨あたため時間のみを取得して、UI102において推奨あたため時間のみをディスプレイに表示してもよい。
【0144】
[表示例2]
図8Bは、本開示の一実施の形態に係るUIの一例を示す図である。
【0145】
図8Bに示す表示画面を表示するために、例えば端末装置100、電子レンジ200およびサーバ装置300は、以下の動作を行う。端末装置100(取得部105)は、あたため対象の食品情報(バーコード番号)及び電子レンジ200のレンジ内部ログ250(少なくとも総使用回数)をアップロードする。そして、端末装置100は、あたため対象の食品の標準あたため時間と、推奨あたため時間と、学習済みあたため設定360の全ての情報と、をサーバ装置300から取得する。すなわち、端末装置100は、電子レンジ200に対する推奨あたため時間の候補(延長割合又はあたため時間)のみでなく、あたための総使用回数のグループにそれぞれ対応する推奨あたため時間の候補(延長割合)も取得する。
【0146】
UI生成部106は、
図8Bに示すように、学習済みあたため設定360に示される、あたための総使用回数(つまり、経年劣化の状態)と、あたため時間の延長割合との関係を表示するUI102を生成する。更に、UI生成部106は、当該UI102に表示される上記関係における、電子レンジ200に対する推奨あたため時間(延長割合)の領域を強調して表示させる。つまり、表示入力部101は、あたための総使用回数(例えば
図6Bに示すグループA〜D)と延長割合との関係、及び、当該関係における電子レンジ200の総使用回数に対応する延長割合の領域を端末装置100のディスプレイに表示する。
【0147】
図8Bに示すUI102では、あたための総使用回数と、横軸をあたための総使用回数(つまり、電子レンジの性能の経年劣化の状態)とし、縦軸を基準(あたための総使用回数の最も少ないグループ)に対するあたため時間の延長割合とするグラフが端末装置100のディスプレイに表示される。
【0148】
また、UI102には、当該グラフ上に、学習済みあたため設定360に示されるあたための総使用回数とあたため時間の延長割合との関係がプロットされ、プロット間が結ばれている。さらに、UI102には、総使用回数と延長割合との関係における、ユーザが実際に使用する電子レンジ200に対する延長割合を示す領域(点線で囲まれた位置)が端末装置100のディスプレイに表示される。
【0149】
ユーザは、
図8Bに示すUI102において、所望するあたため時間の延長割合に相当する領域を、例えば、タッチ操作により選択する。
【0150】
例えば、
図8Bに示すUI102を参照することより、ユーザは、総使用回数が5001−10000回の電子レンジのあたため時間の平均が、総使用回数が1−5000回の電子レンジ200のあたため時間の平均よりも約10%増加していることが分かる。また、ユーザは、自身が使用する電子レンジ200の総使用回数が5001−10000回の範囲内であることから、電子レンジに対する推奨あたため時間が標準あたため時間よりも約10%増加していることが分かる。
【0151】
このように、ユーザは、自身が使用する電子レンジ200に対する推奨あたため時間を特定することができるとともに、経年劣化の度合いに応じた他の電子レンジの推奨あたため時間も認識することができる。例えば、ユーザは、
図8Bに示すUI102より、自身が使用する電子レンジ200の経年劣化の度合い(総使用回数)が5001−10000回のグループの中でより劣化している(総使用回数がより多い)ことが分かるので、推奨あたため時間と異なるグループ(10001−15000回)のあたため時間を選択することも可能である。
【0152】
例えばユーザは、UI102(
図8Bに示すグラフ)の領域をタッチ操作により選択する。端末装置100は、タッチ操作により選択された領域の位置を特定する。例えば、端末装置100は、グラフにおける選択した領域の横軸の位置を特定する。これにより、ユーザがどのグループを選択したのかを特定できる。そして特定したグループとグラフに示された関係に基づいて、特定したグループに対応するあたため時間の延長割合を特定する。このようにすることで、タッチ操作により選択した領域に対応するあたため時間の延長割合を特定できる。
【0153】
端末装置100(設定送信部107)は、UI102において選択された選択領域に相当するグループのあたため時間の延長割合と、標準あたため時間とを乗算することにより、あたため時間を算出する。そして、端末装置100(設定送信部107)は、算出したあたため時間を含むあたため設定を実行する設定コマンドを電子レンジ200に送信する。電子レンジ200は、設定コマンドを実行し、あたため設定を行うとともに、あたため設定に基づいてあたため処理を実行する。
【0154】
なお、上記では、あたための総使用回数を所定の範囲毎にグループ化して得られるグループ単位の延長割合を使用する場合について説明したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば、UI生成部106は、
図8Bに示すUI102において、サーバ装置300から受信した推奨あたため時間(延長割合)を示す各プロットを用いて、プロット間の総使用回数と延長割合との関係(太線)を補間してもよい。これにより、
図8Bに示すUI102では、電子レンジ200の総使用回数に対するあたため時間の延長割合をより細かく提示することができる。例えば、
図8Bに示すUI102では、ユーザは、自身が使用する電子レンジ200の総使用回数(約10000回)に対応するあたため時間の延長割合(点線で囲まれた部分)が約115%であることが分かる。こうすることで、ユーザは、自身が使用する電子レンジ200の性能の経年劣化の状態に応じた推奨あたため時間をより正確に特定することができる。
【0155】
また、
図8Bに示すUI102では、あたため時間の延長割合と経年劣化の状態(総使用回数)との関係が表示される場合について説明したが、これに限定されず、例えば、推奨あたため時間と経年劣化の状態(総使用回数)との関係が端末装置100のディスプレイに表示されてもよい。
【0156】
[表示例3]
図8Cは、本開示の一実施の形態に係るUIの一例を示す図である。
【0157】
図8Cに示す表示画面を表示するために、例えば端末装置100、電子レンジ200およびサーバ装置300は、以下の動作を行う。端末装置100(取得部105)は、あたため対象の食品情報(バーコード番号)及び電子レンジ200のレンジ内部ログ250(少なくとも総使用回数)をアップロードする。そして、端末装置100は、あたため対象の食品の標準あたため時間と、電子レンジ200のレンジ内部ログ250に対応するあたため時間の延長割合と、をサーバ装置300から取得する。
【0158】
UI生成部106は、電子レンジ200のレンジ内部ログ250におけるあたための総使用回数を人間の年齢として表すことにより、電子レンジ200の経年劣化の状態を擬人化させたUI102を生成する。
【0159】
例えば、UI生成部106は、あたための総使用回数と、人間の年齢との対応付けを有する。UI生成部106は、上記対応付けに基づいて、レンジ内部ログ250におけるあたための総使用回数に対応付けられた人間の年齢を特定する。
【0160】
また、UI生成部106は、サーバ装置300から受け取った標準あたため時間と、あたため時間の延長割合とを乗算して、推奨あたため時間を算出する。そして、UI生成部106は、推奨あたため時間と標準あたため時間との差を、推奨あたため時間における、標準あたため時間に対する延長時間として算出する。なお、サーバ装置300がこの延長時間を算出して、算出した延長時間を端末装置100へ送信してもよい。
【0161】
そして、UI生成部106は、
図8Cに示すように、電子レンジ200を擬人化した際の年齢(
図8Cでは60歳)と、標準あたため時間に対する延長時間(
図8Cでは30秒)とを表示して、ユーザにあたため時間を選択させるUI102を生成する。すなわち、表示入力部101は、標準あたため時間と延長割合とに基づいて算出される標準あたため時間に対する延長時間、及び、レンジ内部ログ250内のあたための総使用回数に応じて擬人化された電子レンジ200の経年劣化の状態をディスプレイに表示する。
【0162】
ユーザは、
図8Cに示すUI102において、あたため時間を延長するか否かを例えば、タッチ操作により選択する。端末装置100は、ユーザがあたため時間の延長を選択した場合(“はい”を選択)、あたため時間を延長した時間(つまり、推奨あたため時間)を設定し、ユーザがあたため時間の延長を選択しなかった場合(“いいえ”を選択)、あたため時間を延長しない時間(つまり、標準あたため時間)を設定する。そして、端末装置100(設定送信部107)は、算出したあたため時間を含むあたため設定を電子レンジ200に送信する。電子レンジ200は、ユーザに選択されたあたため設定に基づいてあたため処理を実行する。
【0163】
こうすることで、ユーザは、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を視覚的に確認することが可能となり、経年劣化の状態に応じたあたため時間を選択することができる。
【0164】
また、UI生成部106は、推奨あたため時間と標準あたため時間との差が予め定めた時間よりも長くなったとき、電子レンジ200の買い替えを薦めるメッセージを含むUI102を生成してもよい。または、UI生成部106は、電子レンジ200のレンジ内部ログ250におけるあたための総使用回数が所定の回数よりも大きくなると、電子レンジ200の買い替えを薦めるメッセージを含むUI102を生成してもよい。
【0165】
または、
図8Cに示すUI102において、あたため時間を延長するか否かの選択がタッチ操作により行われた後、電子レンジ200の買い替えを薦めるメッセージを含む情報をディスプレイに表示してもよい。
【0166】
なお、サーバ装置300が延長時間を算出する構成を採用する場合、算出した延長時間が予め定めた時間よりも長くなれば、延長時間とともに、電子レンジ200の買い替えを薦めるメッセージを端末装置100へ送信してもよい。
【0167】
買い替えを薦めるメッセージは、購入対象の機器の製品名、写真などを含むデータを含んでもよい。また買い替えを薦めるメッセージは、インターネットを介して購入対象の機器の広告情報または、この広告情報を提供する広告サーバ装置(図示せず)へのURL(Uniform Resource Locator)を含んでもよい。
【0168】
なお、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を、あたための総使用回数に応じて視覚化する方法としては、擬人化に限定されず、例えば、動物を用いた表現でもよく、電子レンジそのもののイラストなどを用いた表現でもよい。
【0169】
以上、UI102の表示例について説明した。
【0170】
なお、
図8A〜
図8Cでは、タッチパネル式のディスプレイに表示されるUI102へのタッチ操作からユーザの選択を検知するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば端末装置100は、マイクなどの集音部(図示せず)、集音した音声の内容を認識する音声認識部(図示せず)を備えてもよい。そして、端末装置100は、ディスプレイに表示される推奨調理時間を含む調理時間の候補の中から音声認識部が認識した音声に関連する調理時間を1つ選択できるように構成してもよい。このように構成をすることにより、音声による選択が可能となる。
【0171】
なお、
図8A〜
図8Cでは、UI102をタッチパネル式のディスプレイに表示する構成であったがこれに限定をされる者ではない。例えば端末装置100は、スピーカーなどの音声出力手段(図示せず)を備え、音声出力手段は、推奨調理時間を含む調理時間の候補の内容を出力してもよい。
【0172】
このようにして、本実施の形態によれば、端末装置100は、複数の電子レンジのレンジ内部ログ370に記録された、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を表す情報とあたため時間とに基づいて得られる推奨あたため時間の候補の中から、電子レンジ200の性能の経年劣化の状態を表す情報に対応する推奨あたため時間を表す情報をサーバ装置から取得する、そして端末装置100は、取得した情報を用いて、電子レンジ200に対する推奨あたため時間を含むあたため時間の候補の中から何れか1つをユーザに選択させるUI102をディスプレイに表示する。
【0173】
このように、複数の電子レンジでの実際のあたため時間に基づいて学習された推奨あたため時間を端末装置100のディスプレイに表示することで、ユーザに対して、電子レンジ200の使用開始前に、当該電子レンジの性能の経年劣化に応じた最適なあたため時間(調理時間)の設定を提供することができる。すなわち、本実施の形態によれば、調理機器の経年劣化に応じた調理プログラムを提供することができる。
【0174】
(実施の形態における変形例)
上記実施の形態では、各電子レンジのあたための総使用回数のみに基づいて電子レンジ200の性能の経年劣化に応じたあたため時間をユーザに提供する場合について説明した。これに対して、本変形例では、各電子レンジ200の各メニュー(レンジ(あたため)、オーブン、グリル、スチーム等)の総使用回数に応じたあたため時間をユーザに提供する場合について説明する。
【0175】
なお、以下の説明では、一例として、電子レンジ200がレンジ機能及びオーブン機能を備える場合について説明する。
【0176】
この場合、端末装置100は、あたための総使用回数(又は総使用時間)、及び、オーブンの総使用回数(又は総使用時間)を含むレンジ内部ログ250をサーバ装置300へアップロードする。
【0177】
[学習処理]
上記実施の形態では、例えば、
図6AのST302において、あたための総使用回数をグループ化して、グループ毎にあたため時間の平均を算出した。
【0178】
これに対して、本変形例では、サーバ装置300の学習部303は、レンジ内部ログ370の各電子レンジに対応するレンジ内部ログを、あたための総使用回数及びオーブンの総使用回数の組み合わせ毎にグループ化する。
図9Aは、本開示の一実施の形態の変形例において、各電子レンジのレンジ内部ログをグループ化するときに用いるテーブルの一例を示す図である。
図9Aでは、電子レンジのレンジ機能を使用したときのあたための総使用回数の範囲と、電子レンジのオーブン機能を使用したときの総使用回数の範囲との組み合わせと、この組み合わせに対応するグループA〜グループLとの関係が予め定義されている。例えば、学習部303は、レンジ内部ログ370内の各電子レンジに対応するレンジ内部ログを
図9Aに示すようグループA〜グループLのいずれかに分類する。これにより、レンジ内部ログ370内の各電子レンジに対応するレンジ内部ログは、あたための総使用回数及びオーブンの総使用回数の組み合わせに応じたグループA〜Lにグループ化される。換言すると、電子レンジのレンジ機能及びオーブン機能の使用傾向が同程度のレンジ内部ログがそれぞれ同一グループにグループ化される。
【0179】
そして、学習部303は、グループ毎にあたため時間の平均値を算出する。
【0180】
次いで、学習部303は、学習部303は、各グループの推奨あたため時間(延長割合)を求める(
図6AのST303に相当)。
【0181】
例えば、学習部303は、各グループB〜Lのあたため時間の平均値が、グループA(あたため総使用回数:1−5000回、オーブンの総使用回数:1−1000)のあたため時間の平均値に対して、どれだけの割合(何%)増加しているかを求める。そして、学習部303は、各グループと、あたため時間の延長割合とを組とするデータを学習済みあたため設定(推奨あたため設定)360としてデータベースに保存する。
【0182】
このように、学習部303は、レンジ内部ログ370に含まれる各電子レンジに対応するレンジ内部ログがレンジ機能の総使用回数及びオーブン機能の総使用回数の組み合わせ毎にグループ化された複数のグループにおける、レンジ/オーブン機能の総使用回数が最も少ない組み合わせに対応するグループのレンジ機能での調理時間(あたため時間)の平均値に対する、グループ毎のあたため時間の平均値の増加割合を、レンジ機能の推奨あたため時間とする。
【0183】
[推奨あたため設定の決定]
本変形例では、
図7に示すST401〜ST404の処理のうち、ST402の処理が異なる。
【0184】
サーバ装置300の検索部301は、ST402の処理の代わりに、端末装置100から送信されるレンジ内部ログ250に含まれる、あたための総使用回数、及び、オーブンの総使用回数が、
図9Aにおけるどのグループ(例えば、
図9Aに示すグループA〜L)に属するかを特定する。
【0185】
そして、検索部301は、特定したグループに対応する学習済みあたため設定(例えば、標準あたため時間からの延長割合)を取得する。例えば、電子レンジ200のレンジ内部ログ250において、あたための総使用回数が5001〜10000回の範囲内であり、オーブンの総使用回数が1〜1000回の範囲内である場合、検索部301は、
図9Aに示すグループDに対応する学習済みあたため設定を取得する。
【0186】
[UI102の表示例]
図9Bは、本開示の一実施の形態に係るUIの一例を示す図である。
【0187】
図9Bに示す表示画面を表示するために、例えば端末装置100、電子レンジ200およびサーバ装置300は、以下の動作を行う。端末装置100(取得部105)は、あたため対象の食品情報(バーコード番号)、及び、電子レンジ200のレンジ内部ログ250(少なくとも、レンジ/オーブン機能の総使用回数)をアップロードする。そして、端末装置100は、あたため対象(つまり、レンジ機能による調理対象)の食品の標準あたため時間と、電子レンジ200のレンジ内部ログ250に対応するあたため時間の延長割合(つまり、レンジ機能の調理設定)と、をサーバ装置300から取得する。
【0188】
UI生成部106は、電子レンジ200のレンジ内部ログ250のあたため/オーブンの総使用回数に基づいて、ユーザによる電子レンジ200の使用傾向を特定する。例えば、UI生成部106は、電子レンジ200のレンジ内部ログ250のあたため/オーブンの総使用回数が
図9Aに示すグループCに該当する場合、ユーザが電子レンジ200のレンジ機能と比較してオーブン機能をよく使用している傾向であることを特定する。また、例えば、UI生成部106は、電子レンジ200のレンジ内部ログ250のあたため/オーブンの総使用回数が
図9Aに示すグループD、G、Jなどに該当する場合、ユーザが電子レンジ200のオーブン機能と比較してレンジ機能をよく使用している傾向であることを特定する。UI生成部106は、特定した電子レンジの使用傾向を表示するUI102を生成する。例えば、
図9Bに示すUI102では、「あなたはオーブンをよく使っています。」という表示によって、ユーザがオーブン機能をよく使用していることを表示している。
【0189】
また、UI生成部106は、サーバ装置300から受け取った推奨あたため設定(あたため時間の延長割合)に対応する延長時間(
図9Bでは20秒)を表示するとともに、ユーザにあたため時間を選択させる選択領域(
図9Bでは「はい/いいえ」)を表示するUI102を生成する。
【0190】
つまり、表示入力部101は、あたため対象の食品の標準あたため時間と延長割合割合に基づいて算出される前記標準調理時間に対する延長時間、及び、電子レンジ200のレンジ内部ログ250に対応する、電子レンジ200のレンジ機能及びオーブン機能の使用傾向を表示する。
【0191】
ユーザは、
図9Bに示すUI102において、あたため時間を延長するか否かを例えば、タッチ操作により選択する。端末装置100は、ユーザがあたため時間の延長を選択した場合(“はい”を選択)、あたため時間を延長した時間(つまり、推奨あたため時間)を設定し、ユーザがあたため時間の延長を選択しなかった場合(“いいえ”を選択)、あたため時間を延長しない時間(つまり、標準あたため時間)を設定する。そして、端末装置100(設定送信部107)は、算出したあたため時間を電子レンジ200に送信する。電子レンジ200は、ユーザに選択されたあたため設定に基づいてあたため処理を実行する。
【0192】
電子レンジ200では、各メニューの利用傾向に応じて、性能の劣化傾向が異なる可能性がある。すなわち、或るメニュー(例えばオーブン機能)の利用傾向が、他のメニュー(例えばレンジ機能)の性能に影響を及ぼす可能性がある。これに対して、本変形例では、端末装置100は、複数の調理機能(レンジ機能及びオーブン機能)の使用回数の組み合わせに応じた推奨あたため時間をサーバ装置300から取得する。こうすることで、単にあたための総使用回数に基づいて学習されたあたため設定を用いる場合と比較して、ユーザは、電子レンジ200全体の性能の経年劣化に応じたあたため設定をより精度良く設定することができる。
【0193】
以上、本開示の実施の形態について説明した。
【0194】
なお、上記実施の形態において、レンジ内部ログ370と、ユーザの属性とを対応付けて、推奨あたため時間を求めてもよい。ここで、ユーザ属性とは、ユーザID、年齢層、性別、職業、家族構成、居住地域などを組にしたデータである。また、この場合、レンジ内部ログ250には、更に、電子レンジ200を使用したユーザのユーザIDが記録されているものとする。第2の電子レンジのレンジ内部ログについても同様である。この場合、レンジ内部ログ370に含まれる各電子レンジに対応するレンジ内部ログには、ユーザIDが含まれることになる。具体的には、サーバ装置300(学習部303)は、ユーザ属性の或る項目(例えば、年齢層)毎に、レンジ内部ログ370の各各電子レンジに対応するレンジ内部ログをグループ化する。そして、サーバ装置300は、各グループにおいて、上記実施の形態と同様に、電子レンジの経年劣化の状態(例えば総使用回数)に対応する推奨あたため時間を算出する。つまり、学習済みあたため設定360として、ユーザ属性及び総使用回数と、推奨あたため時間(例えば延長割合)とが対応付けられる。一方、端末装置100は、あたため対象の食品情報(バーコード番号)、及び、電子レンジ200の総使用回数に加え、電子レンジ200を操作するユーザのユーザIDをアップロードする。これにより、端末装置100は、当該ユーザに対応する年齢層における、あたため対象の食品の推奨あたため時間を取得することができる。こうすることで、ユーザに対して、ユーザと同一年齢層の他のユーザのあたため時間を考慮した推奨あたため時間を提供することができる。なお、推奨あたため時間の算出において用いるユーザ属性は、年齢層に限らず、他の項目を用いてもよい。
【0195】
また、上記実施の形態において、電子レンジ200がインターネットに接続可能な場合には、電子レンジ200がサーバ装置300に直接接続してもよい。この場合、例えば、電子レンジ200は、
図2に示す端末装置100の構成を具備し、UI102によってユーザに対して推奨あたため設定を提示すればよい。
【0196】
また、上記実施の形態では、電子レンジ200のレンジ機能(あたため処理)の推奨設定がユーザに提供される場合について説明した。しかし、上記実施の形態において、推奨設定が提供される機能は、レンジ機能に限定されず、例えば、オーブン、グリル、スチーム等の他の機能でもよい。
【0197】
以上、本開示に係る実施形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した端末装置100又はサーバ装置300の各装置の機能は、コンピュータプログラムにより実現され得る。
【0198】
図10は、本開示の一実施の形態に係るコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図であり、具体的には、各装置の機能をプログラムにより実現するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。このコンピュータ1100は、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置1101、ディスプレイやスピーカーなどの出力装置1102、CPU(Central Processing Unit)1103、ROM(Read Only Memory)1104、RAM(Random Access Memory)1105、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置1106、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置1107、ネットワークを介して通信を行うネットワークカード1108を備え、各部はバス1109により接続される。
【0199】
そして、読取装置1107は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1106に記憶させる。あるいは、ネットワークカード1108が、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1106に記憶させる。
【0200】
そして、CPU1103が、記憶装置1106に記憶されたプログラムをRAM1105にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1105から順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。
【0201】
また、上記態様において説明された技術は、例えば、以下のクラウドサービスの類型において実現されうる。しかし、上記態様において説明された技術が実現される類型はこれに限られるものでない。
【0202】
(サービスの類型1:自社データセンタ型)
図11は、本開示の一実施の形態に係るクラウドサービスの類型1(自社データセンタ型)の一例を示す図である。本類型は、サービスプロバイダ30がグループ10から情報を取得し、ユーザに対してサービスを提供する類型である。本類型では、サービスプロバイダ30が、データセンタ運営会社の機能を有している。即ち、サービスプロバイダが、ビッグデータの管理をするクラウドサーバ21を保有している。従って、データセンタ運営会社は存在しない。
【0203】
本類型では、サービスプロバイダ30は、データセンタ(クラウドサーバ21)を運営、管理している(43)。また、サービスプロバイダ30は、OS(42)及びアプリケーション(41)を管理する。サービスプロバイダ30は、サービスプロバイダ30が管理するOS(42)及びアプリケーション(41)を用いてサービス提供を行う(44)。
【0204】
(サービスの類型2:IaaS利用型)
図12は、本開示の一実施の形態に係るクラウドサービスの類型2(IaaS利用型)の一例を示す図である。ここでIaaSとはインフラストラクチャー・アズ・ア・サービスの略であり、コンピュータシステムを構築および稼動させるための基盤そのものを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
【0205】
本類型では、データセンタ運営会社20がデータセンタ(クラウドサーバ21)を運営、管理している(43)。また、サービスプロバイダ30は、OS(42)及びアプリケーション(41)を管理する。サービスプロバイダ30は、サービスプロバイダ30が管理するOS(42)及びアプリケーション(41)を用いてサービス提供を行う(44)。
【0206】
(サービスの類型3:PaaS利用型)
図13は、本開示の一実施の形態に係るクラウドサービスの類型3(PaaS利用型)の一例を示す図である。ここでPaaSとはプラットフォーム・アズ・ア・サービスの略であり、ソフトウェアを構築および稼動させるための土台となるプラットフォームを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
【0207】
本類型では、データセンタ運営会社20は、OS(42)を管理し、データセンタ(クラウドサーバ21)を運営、管理している(43)。また、サービスプロバイダ30は、アプリケーション(41)を管理する。サービスプロバイダ30は、データセンタ運営会社20が管理するOS(42)及びサービスプロバイダ30が管理するアプリケーション(41)を用いてサービス提供を行う(44)。
【0208】
(サービスの類型4:SaaS利用型)
図14は、本開示の一実施の形態に係るクラウドサービスの類型4(SaaS利用型)の一例を示す図である。ここでSaaSとはソフトウェア・アズ・ア・サービスの略である。例えばデータセンタ(クラウドサーバ)を保有しているプラットフォーム提供者が提供するアプリケーションを、データセンタ(クラウドサーバ)を保有していない会社・個人(利用者)がインターネットなどのネットワーク経由で使用できる機能を有するクラウドサービス提供モデルである。
【0209】
本類型では、データセンタ運営会社20は、アプリケーション(41)を管理し、OS(42)を管理し、データセンタ(クラウドサーバ21)を運営、管理している(43)。また、サービスプロバイダ30は、データセンタ運営会社20が管理するOS(42)及びアプリケーション(41)を用いてサービス提供を行う(44)。
【0210】
以上いずれの類型においても、サービスプロバイダ30がサービス提供行為を行ったものとする。また例えば、サービスプロバイダ若しくはデータセンタ運営会社は、OS、アプリケーション若しくはビックデータのデータベース等を自ら開発してもよいし、また、第三者に外注させてもよい。