(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比較器は、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値を前記正常範囲と比較して、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値が前記正常範囲に該当する場合、いかなる信号も出力しない、請求項2または3に記載の逆並列サイリスタの故障検出器。
前記比較器は、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値を前記故障範囲と比較して、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値が前記故障範囲に該当する場合、離散信号を出力する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の逆並列サイリスタの故障検出器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HVDCシステムに含まれる多数の構成要素のうち、直流を交流にそして交流を直流に変換する電力変換機が最も重要である。この電力変換機は動作電圧が非常に高いため、多数のサイリスタが直列に接続されて1つのバルブを構成している。このようなバルブは、電力変換機を設置する前に、動作時に印加される電圧と電力で動作を確認する必要がある。しかし、動作時に印加される電圧と電力で動作を確認するためには膨大な電力が消費され、安定上の問題が発生する可能性がある。
【0006】
一方、静止型無効電力補償装置(Static Var Compensator、SVC)は回転機である同期調相機の無効電力制御機能をサイリスタバルブを利用して静止型形態として実現する。静止型無効電力補償装置(Static Var Compensator、SVC)はフレキシブルAC送電システム(Flexible AC Transmission System、FACTS)の一種として、送電系統の電圧調整、過渡安定度の向上などを可能にする装置である。
【0007】
静止型無効電力補償装置(Static Var Compensator、SVC)は、電力系統に並列に接続されて無効電力を吸収または供給することで、電圧を一定に維持する、または所望の制御動作を行う装置である。
【0008】
静止型無効電力補償装置は用途に応じて、サイリスタを利用してリアクタの位相を制御するTCR(Thyristor Controlled Reactor)、キャパシタをスイッチングするTSC(Thyristor Switched Capacitor)、固定型キャパシタバンク(Fixed Capacitor)などを組み合せて構成することができる。
【0009】
TCR(Thyristor Controlled Reactor)とTSC(Thyristor Switched Capacitor)に使用されるサイリスタバルブは逆並列(anti―parallel)に接続される。
【0010】
サイリスタは意図しない過電圧、インパルス過電流などによって故障することがある。一般的に、故障したサイリスタの抵抗値は0[Ω]となり、マルチメータ(Multimeter)を介して故障したサイリスタが容易に検出される。
【0011】
しかし、逆並列サイリスタのうち1つのサイリスタを第1サイリスタとし、他の1つを第2サイリスタとし、第1、2サイリスタの内部抵抗をそれぞれR1、R2とすれば、合成抵抗はR=R1*R2/R1+R2であるため、R1、R2のいずれかが0[Ω]であれば合成抵抗がR=0[Ω]となって、第1、2サイリスタのうち故障したサイリスタを把握することができない。
【0012】
即ち、逆並列サイリスタの構造上、故障したサイリスタの故障を判別するためには、逆並列サイリスタを分離した後、それぞれのサイリスタをマルチメータ(Multimeter)を利用して判別しなければならない不便がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、逆並列サイリスタの故障検出器によって逆並列サイリスタの故障を容易に判別して、ユーザの便宜性を向上させることができ、メンテナンスの時間を短縮させることができる。
【0014】
本発明の実施例によれば、逆並列に接続される第1サイリスタ及び第2サイリスタの故障を検出する逆並列サイリスタの故障検出器は、前記第1サイリスタ及び前記第2サイリスタに電源を供給する電源部と、前記第1サイリスタに流れる第1電流の測定値を出力する第1電流センサと、前記第2サイリスタに流れる第2電流の測定値を出力する第2電流センサと、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値が設定された故障条件を満足する場合、故障したサイリスタを知らせる検出器と、を含む。
【0015】
前記故障条件は、前記第1サイリスタと前記第2サイリスタのうちの少なくとも1つが故障であるときの電流の測定範囲が、前記第1サイリスタと前記第2サイリスタが正常動作であるときの電流の測定範囲を超過することである。
【0016】
前記検出器は、前記第1電流センサ及び前記第2電流センサに接続される比較器と、前記比較器に接続される検出ロジックと、前記検出ロジックに接続される第1出力部及び第2出力部と、を含む。
【0017】
前記比較器は、正常であると判定されるための正常範囲と故障であると判定されるための故障範囲を設定させる。
【0018】
前記故障範囲は前記正常範囲より大きい。
【0019】
前記比較器は、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値を前記正常範囲と比較して、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値が前記正常範囲に該当する場合、いかなる信号も出力しない。
【0020】
前記比較器は、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値を前記故障範囲と比較して、前記第1電流の測定値または前記第2電流の測定値が前記故障範囲に該当する場合、離散信号を出力する。
【0021】
前記離散信号は、前記第1サイリスタ及び前記第2サイリスタに対して互いに異なるレベルを有する第1信号及び第2信号を含む。
【0022】
前記検出ロジックは、前記第1信号を基に故障信号を生成して前記第1出力部に送信する。
【0023】
前記検出ロジックは、前記第2信号を基に故障信号を生成して前記第2出力部に送信する。
【0024】
前記第1出力部または前記第2出力部は、前記故障信号に対応する故障通知信号を出力する。
【0025】
前記第1電流センサ及び前記第2電流センサのそれぞれは、ロゴスキーコイル電流センサである。
【0026】
前記第1電流センサは、前記第1サイリスタと非接触状態で前記第1サイリスタに流れる電流を測定し、前記第2電流センサは、前記第2サイリスタと非接触状態で前記第2サイリスタに流れる電流を測定する。
【0027】
前記電源部は、外部から電源の供給を受けて前記検出器の内部と前記第1サイリスタ及び前記第2サイリスタに電源を供給する。
【0028】
前記逆並列に接続される前記第1サイリスタ及び前記第2サイリスタはRCスナバ回路を更に含み、前記RCスナバ回路は、抵抗とキャパシタが直列に接続される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施例に係る逆並列サイリスタ故障検出器を示した図である。
【0031】
図1に示されたように、本発明の一実施例に係る逆並列サイリスタ故障検出器1は、バルブ2、検出器200及び電源部100を含むことができる。電源部100は検出器200に含まれてもよいが、これについては限定しない。電源部100は第1、2サイリスタ10、20に電源を供給することができる。
【0032】
バルブ2は、互いに逆並列に接続される第1及び第2サイリスタ10、20を含むことができる。
【0033】
第1電流センサ40は、第1サイリスタ10の一側に設置されて、第1サイリスタ10に供給される電流に対する第1測定値を測定することができる。
【0034】
第2電流センサ50は、第2サイリスタ20の一側に設置されて、第2サイリスタ20に供給される電流に対する第2測定値を測定することができる。
【0035】
第1及び第2電流センサ40、50は検出器200に含まれてもよいが、これについては限定しない。
【0036】
第1電流センサ40と第2電流センサ50それぞれは、ロゴスキーコイル(Rogowski coil)電流センサである。ロゴスキーコイル電流センサは変流器(Current Transformer、CT)と類似した形態であり、鉄心がなく、大電流を測定するのに容易であり、また、安価な利点がある。また、ロゴスキーコイル電流センサは電圧信号を出力させることができる。
【0037】
ロゴスキーコイルは、電流の変換によって生じる磁束の変化を利用して電流を測定するためのコイルであり、トーラス(Torus)状に導線が巻回される。
【0038】
検出器200は、第1、2電流センサ40、50から入力を受けた第1、2測定値を比較し、第1、2測定値を比較した結果が設定された故障条件を満足するか確認することができる。また、検出器200は、その比較結果が故障条件を満足する場合、第1、2サイリスタ10、20のうちの少なくとも1つに対する故障通知信号を出力することができる。
【0039】
故障条件は、第2範囲が第1範囲を超過することであり、第1範囲は第1サイリスタ10と第2サイリスタ20が正常動作であるときの電流の測定範囲であり、第2範囲は第1サイリスタ10と第2サイリスタ20のうちの少なくとも1つが故障であるときの電流の測定範囲である。
【0040】
検出器200は、第1、2電流センサ40、50に接続される比較器60と、比較器60に接続される検出ロジック70と、検出ロジック70にそれぞれ接続される第1出力部80及び第2出力部90を含むことができる。
【0041】
比較器60は、第1、2電流センサ40、50から入力される第1、2測定値の入力を受けて比較し、比較を介して第1、2サイリスタ10、20の状態を示す離散信号(discrete signal)を出力することができる。
【0042】
離散信号は、第1信号または第2信号である。例えば、第1サイリスタ10が故障であれば、第1信号が出力され、第2サイリスタ20が故障であれば、第2信号が出力される。例えば、第1信号はハイレベル(high level)を有し、第2信号はローレベル(low level)を有することができるが、これについては限定しない。
【0043】
検出ロジック70は、第1信号または第2信号の入力を受けて、第1、2サイリスタ10、20のうち故障したサイリスタを判別して故障信号を生成することができる。
【0044】
第1出力部80と第2出力部90は故障信号を出力することができる。
【0045】
検出ロジック70は第1信号を受信すると、第1信号に応答して第1サイリスタ10が故障したことを示す故障信号を生成して第1出力部80に伝達することができる。検出ロジック70は第2信号を受信すると、第2信号に応答して第2サイリスタ20が故障したことを示す故障信号を生成して第2出力部90に伝達することができ、第1、2出力部80、90のうち故障信号の入力を受けた出力部は故障通知信号を出力することができる。
【0046】
第1及び第2出力部80、90それぞれは、発光素子(LED)であってもよいが、これについては限定しない。
【0047】
他の例として、第1及び第2出力部80、90の代わりに、第1サイリスタ10または第2サイリスタ20が故障したことをディスプレイするディスプレイ部を使用することもできるが、これについては限定しない。
【0048】
比較器60の第1入力端61は第1、2電流センサ40、50のうちの1つと接続され、比較器60の第2入力端62は第1、2電流センサ40、50のうちの他の1つと接続される。
【0049】
電源部100は、外部から電源の供給を受けて前記検出器200の内部と前記第1、2サイリスタ10、20に電源を供給することができる。
【0050】
逆並列に接続される前記第1、2サイリスタ10、20はRCスナバ(snubber)回路32、34を更に含むことができる。RCスナバ回路32、34は抵抗34とキャパシタ32が直列に接続される。RCスナバ回路32、34はRCローパスフィルタ(low―pass filter)ともいう。
【0051】
電源部100は、負荷102と接続され、電源部100と負荷102は直列接続される。
【0052】
負荷102は電気的、機械的エネルギーを発生する装置の出力エネルギーを消費するものであってもよく、または消費する動力の大きさであってもよい。
【0053】
図2は、
図1のバルブの構成を詳しく示した図である。
【0054】
図2に示されたように、バルブ2は逆並列サイリスタ10、20とRCスナバ回路32、34で構成される。
【0055】
詳しくは、逆並列サイリスタ10、20は第1サイリスタ10と第2サイリスタ20が相互逆並列に接続される。
【0056】
好ましくは、RCスナバ回路32、34は逆並列に接続された第1サイリスタ10と第2サイリスタ20との間に並列に接続される。
【0057】
RCスナバ回路32、34に含まれたキャパシタ32と抵抗34は直列に接続される。
【0058】
RCスナバ回路32、34は逆並列サイリスタ10、20に並列に接続される。
【0059】
詳しくは、第1サイリスタ10のカソード端11と第2サイリスタ20のアノード端22が接続され、第2サイリスタ20のカソード端21と第1サイリスタ10のアノード端12が接続される。
【0060】
また、RCスナバ回路32、34の一端は第1サイリスタ10のカソード端11と第2サイリスタ20のアノード端22が接続される第1ノードに接続され、RCスナバ回路32、34の他端は第2サイリスタ20のカソード端21と第1サイリスタ10のアノード端12が接続される第2ノードに接続される。
【0061】
RCスナバ回路32、34は、入力脈流電圧を一定出力電圧に昇圧するときのスイッチング損失を減らすことができる。
【0062】
図3は、
図1の検出器の構成を詳しく示した図である。
【0063】
図3に示されたように、検出器200は、比較器60、検出ロジック70及び第1、2出力部80、90を含むことができる。
【0064】
図示されていないが、第1及び第2電流センサ40、50が検出器200に含まれてもよいが、これについては限定しない。
【0065】
検出器200は、電源部100から供給された電源によって動作して、第1、2サイリスタ10、20の故障を検出することができる。
【0066】
比較器60は、第1、2電流センサ40、50と検出ロジック70に接続され、検出ロジック70は第1、2出力部80、90と接続される。
【0067】
詳しくは、第1、第2電流センサ40、50それぞれは、比較器60の第1及び第2入力端61、62に接続される。
【0068】
第1、2電流センサ40、50それぞれは、第1、2サイリスタ10、20に接続されて、第1、2サイリスタ10、20それぞれに流れる電流を測定することができる。
【0069】
第1、2電流センサ40、50それぞれは、ロゴスキーコイル電流センサであり、例えば、それぞれのロゴスキーコイル電流センサのうちの1つは逆並列サイリスタのうちの正方向サイリスタ、例えば第1サイリスタ10にコイルが巻回され、他の1つは逆並列サイリスタのうちの逆方向サイリスタ、例えば第2サイリスタ20にコイルが巻回される。
【0070】
コイルが巻回されるということは、第1、2電流センサ40、50がそれぞれの逆並列サイリスタ10、20に直接接触することではなく、非接触状態で電流を測定することを意味することができる。
【0071】
逆並列サイリスタ、つまり第1及び第2サイリスタ10、20が分離されなくても、第1、2電流センサ40、50が逆並列サイリスタ10、20それぞれに非接触状態で巻回されて電流を測定することができる。これによって、逆並列サイリスタ10、20を分離しなくても逆並列サイリスタ10、20それぞれの故障を検出することができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0072】
比較器60は、第1、2電流センサ40、50それぞれから第1及び第2測定値の入力を受けることができ、第1及び第2測定値を基に、1(high)または0(Low)を有する離散信号を出力することができる。例えば、1は第1信号であり、0は第2信号であるが、これについては限定しない。
【0073】
検出ロジック70は、比較器60から入力を受けた離散信号を基に、逆並列に接続された第1、2サイリスタ10、20のうち故障したサイリスタを判別することができる。
【0074】
検出ロジック70は、簡単なロジック回路であってもよく、多様な形態のプロセッサであってもよく、また、比較器60の1(high)または0(Low)を有する離散信号のうち離散信号が1(high)であれば、第1サイリスタ10が故障であると判別することができ、離散信号が0(Low)であれば、第2サイリスタ20が故障であると判別することができる。
【0075】
これとは異なり、離散信号が1(high)であれば、第2サイリスタ20が故障であると判別することができ、離散信号が0(Low)であれば、第1サイリスタ10が故障であると判別することもできる。
【0076】
第1、2出力部80、90は故障通知信号を出力することができる。
【0077】
出力部80、90はスピーカ、ランプ、電灯、モニタなどであり、好ましくはLEDランプとして、光信号を出力することができる。
【0078】
比較器60は、第1入力端61、第2入力端62及び離散信号出力端63を含むことができる。
【0079】
比較器60の第1入力端61は第1電流センサ40及び第2電流センサ50のうちの1つ、好ましくは第1電流センサ40に接続され、第2入力端62は第1電流センサ40及び第2電流センサ50のうちの他の1つ、好ましくは第2電流センサ50に接続される。後述する説明では、第1電流センサ40は比較器60の第1入力端61と接続され、第2電流センサ50は比較器60の第2入力端62と接続されることと仮定するが、これについては限定しない。
【0080】
比較器60は、第1及び第2測定値それぞれに含まれる電流値の大きさを比較することができる。詳しくは、第1または第2測定値それぞれに含まれる電流値の大きさが第1範囲または第2範囲と比較される。
【0081】
第1範囲は、正常であると判定されるための正常範囲であり、第2範囲は、第1範囲より大きく、故障であると判定されるための故障範囲である。
【0082】
このような比較を介して、比較器60の出力値として1(high)または0(Low)を有する離散信号が出力される。1(high)を有する離散信号は第1サイリスタ10の故障信号であり、0(Low)を有する離散信号は第2サイリスタ20の故障信号である。詳しくは、比較器60は第1サイリスタ10を対象に、第1電流センサ40から測定された第1測定値が正常であると判定されるための正常範囲より大きな故障範囲に該当する電流であれば、1(high)を有する離散信号を出力することができ、正常であると判定されるための範囲であれば、いかなる離散信号も出力しない。
【0083】
また、比較器60は第2サイリスタ20を対象に、第2電流センサ50から測定された第2測定値が正常であると判定されるための正常範囲より大きな故障範囲に該当する電流であれば、0(Low)を有する離散信号を出力することができ、正常であると判定されるための正常範囲に該当すれば、いかなる離散信号も出力しない。
【0084】
逆に、比較器60は第1サイリスタ10を対象に、第1電流センサ40から測定された第1測定値が正常であると判定されるための正常範囲より大きな故障範囲に該当する電流であれば、0(Low)を有する離散信号を出力することができ、正常であると判定されるための正常範囲に該当する電流であれば、いかなる離散信号も出力しない。
【0085】
また、比較器60は第2サイリスタ20を対象に、第2電流センサ50から測定された第2測定値が正常であると判定されるための範囲より大きな故障範囲に該当する電流であれば、1(high)を有する離散信号を出力することができ、正常であると判定されるための正常範囲に該当する電流であれば、いかなる離散信号も出力しない。
【0086】
検出ロジック70は、比較器60の離散信号出力端63と接続される。
【0087】
検出ロジック70は、比較器60から入力を受けた離散信号(discrete signal)を基に、逆並列サイリスタを構成する第1及び第2サイリスタ10、20のうちどのサイリスタが故障したかを判別することができ、判別結果を基に故障信号を生成して、第1出力部80及び/又は第2出力部90に出力することができる。
【0088】
検出ロジック70は、離散信号の入力を受ける離散信号入力端71と故障信号を出力する第1及び第2故障信号出力端72、73を含むことができる。
【0089】
検出ロジック70の離散信号入力端71は、比較器60の離散信号出力端63と接続される。
【0090】
出力部80、90は、第1出力部80と第2出力部90を含むことができる。第1及び第2出力部80、90はスピーカ、ランプ、電灯、モニタなどであり、好ましくはLEDランプとして、光信号がLEDランプを介して出力される。
【0091】
第1出力部80は、検出ロジック70の第1故障信号出力端72に接続され、第2出力部90は検出ロジック70の第2故障信号出力端73に接続される。これとは異なり、第1出力部80は検出ロジック70の第2故障信号出力端73に接続され、第2出力部90は検出ロジック70の第1故障信号出力端72に接続されてもよい。
【0092】
後述する説明では説明の便宜のために、第1出力部80は第1故障信号出力端72に接続され、第2出力部90は第2故障信号出力端73に接続されると説明することができる。
【0093】
第1出力部80と第2出力部90それぞれは、故障信号を光、音などの信号で出力することができる。
【0094】
図4は、本発明の一実施例として、サイリスタバルブのうち故障したサイリスタを含むバルブ2への逆並列サイリスタ故障検出器1の接続を説明するための図である。
【0095】
図1ないし
図4に示されたように、第1電流センサ40は第1サイリスタ10に接触しない状態で第1サイリスタ10の電流を測定することができ、第2電流センサ50は第2サイリスタ20に接触しない状態で第2サイリスタ20の電流を測定することができる。
【0096】
第1サイリスタ10と第1電流センサ40との接続と、第2サイリスタ20と第2電流センサ50との接続は、ロゴスキーコイル電流センサのコイルがサイリスタに非接触状態で巻回されることである。
【0097】
検出器200に含まれる電源部100はRCスナバ回路32、34に接続され、RCスナバ回路32、34は逆並列サイリスタ10、20と並列に接続されている。
【0098】
詳しくは、電源部100の一端はRCスナバ回路32、34のキャパシタ32の一端と接続され、キャパシタ32の他端はRCスナバ回路32、34の抵抗34の一端と接続され、抵抗34の他端は電源部100の他端と接続される。
【0099】
検出器200の電源部100は、サイリスタバルブ2に含まれた第1及び第2サイリスタ10、20のうちの少なくとも1つのサイリスタが故障であるとき、サイリスタバルブ2に電源を印加することができ、検出器200の第1、2電流センサ40、50はサイリスタバルブ2に接続されて、故障サイリスタと正常サイリスタを両方とも測定することができる。
【0100】
故障サイリスタの内部抵抗は0[Ω]に近接するため、正常サイリスタに比べてさらに大きな電流が流れ、これによって第1、2電流センサ40、50が故障サイリスタから測定した電流の測定値または正常サイリスタから測定した電流の測定値を比較器60に伝達すると、比較器60は故障サイリスタの内部抵抗が0[Ω]に近接するため、正常サイリスタに比べてさらに大きな電流が流れるかを比較して離散信号に出力することができる。このとき、比較器には正常であると判定されるための第1範囲と故障であると判定されるための第2範囲が設定される。第2範囲は第1範囲より大きい。
【0101】
例えば、逆並列サイリスタを構成する第1及び第2サイリスタ10、20のうち第1サイリスタ10は第1内部抵抗がR1を有し、第2サイリスタ20は第2内部抵抗がR2を有することができる。
【0102】
第1、2サイリスタ10、20にかかる電圧Vが100[v]であり、第1サイリスタ10が正常であり、R1が10[Ω]であれば、I1は10[A]が出力される。
【0103】
しかし、第1、2サイリスタ10、20にかかる電圧Vが100[v]であり、第2サイリスタ20が故障であり、R2が0[Ω]に近ければ、I2は10[A]より大きくなる。
【0104】
バルブ2は、並列に接続された第1サイリスタ10と第2サイリスタ20を含んでいるため、バルブ2の抵抗は第1サイリスタ10と第2サイリスタ20の合成抵抗であり、合成抵抗をRと称することができる。
【0105】
合成抵抗は(R=R1*R2/R1+R2)であるため、R1、R2のいずれかが0[Ω]であれば合成抵抗はR=0[Ω]になって、故障したサイリスタを把握することができないが、第1、第2の電流センサ40、50でサイリスタそれぞれの電流を測定すれば、故障したサイリスタから測定された電流値が、故障していないサイリスタから測定された電流値より大きくなるため、故障したサイリスタをさらに容易に判別することができる。
【0106】
また、比較器60は第1及び第2サイリスタ10、20それぞれから測定された第1及び第2測定値の入力を受けて、サイリスタの故障時に1(high)または0(Low)を有する離散信号を出力することができ、検出ロジック70は離散信号の入力を受けて、このような離散信号を基に、故障したサイリスタを判別することができる。もし、サイリスタが故障していない場合、比較器60からいかなる離散信号も出力されないが、これについては限定しない。
【0107】
検出ロジック70は、第1、2出力部80、90に接続される。例えば、第1出力部80を介して第1サイリスタ10の故障有無が通知され、第2出力部90を介して第2サイリスタ20の故障有無が通知される。即ち、故障したサイリスタに対応するように設定された出力部を介して故障通知信号が出力されるため、さらに容易に故障したサイリスタを確認及び識別することができる。
【0108】
図5は、本発明の一実施例である逆並列サイリスタ故障検出器の正常状態の周期に応じた電流の状態を説明するための図であり、
図6は、本発明の一実施例である逆並列サイリスタ故障検出器の故障状態の周期に応じた電流の状態を説明するための図である。
【0109】
図5は、第1、2サイリスタ10、20が正常動作であるとき周期Tに応じてサイリスタに流れる電流Iに対する第1、2測定値を示し、
図6は、第1、2サイリスタ10、20のうちの1つが故障であるときの周期Tに応じた電流Iに対する第1、2測定値を示すことができる。
【0110】
説明の便宜のために、
図5及び
図6は直交座標系の第1象限のみを説明することができ、横軸は第1、2サイリスタ10、20の動作周期Tであり、縦軸は第1、2サイリスタ10、20に流れる電流Iに対する第1、2測定値である。
【0111】
図5(a)は、電源部100が第1、2サイリスタ10、20に交流電源を供給するとき周期Tに応じて第1サイリスタ10に流れる電流Iを示した図である。このとき、第1サイリスタ10は奇数周期(T1、T3など)で一定電流値I
aを出力することができる。
【0112】
一定電流値I
aは、例えば10Aであり、故障電流値I
b、I
cは例えば20Aである。
【0113】
一定電流値I
aは第1範囲に含まれ、故障電流値I
b、I
cは第1範囲を超過する第2範囲に含まれる。
【0114】
図5(b)は、電源部100が第1、2サイリスタ10、20に交流電源を供給するとき周期Tに応じて第2サイリスタ20に流れる電流Iを示した図である。このとき、第2サイリスタ20は偶数周期(T2、T4など)で一定電流値I
aを出力することができる。
【0115】
図5(c)は、電源部100が第1、2サイリスタ10、20に交流電源を供給するとき周期Tに応じて第1、2サイリスタ10、20に流れる電流Iを示す図である。このとき、第1、2サイリスタ10、20はすべての周期(T1、T2、T3、T4など)で一定電流値I
aを出力することができる。
【0116】
即ち、比較器60は一定電流値I
aの入力を受けて、いかなる離散信号も出力させず、検出ロジック70は比較器60からいかなる離散信号も入力されないことを基に、第1、2サイリスタが正常動作すると判断することができる。
【0117】
図6(a)は、第1サイリスタ10の故障を示すことができる。また、電源部100が第1、2サイリスタ10、20に交流電源を供給するとき周期Tに応じて第1サイリスタ10に流れる電流Iを示した図である。このとき、第1サイリスタ10が故障であるため、内部抵抗が0[Ω]に近く、よって、第1サイリスタ10のすべての周期(T1、T2、T3、T4など)で故障電流値I
b、I
cが出力される。
【0118】
図6(b)は、電源部100が第1、2サイリスタ10、20に交流電源を供給するとき周期Tに応じて第2サイリスタ20に流れる電流Iを示す図である。このとき、第2サイリスタ20が正常であれば、第2サイリスタ20は偶数周期(T2、T4など)で一定電流値I
aを出力することができる。
【0119】
図6(c)は、電源部100が第1、2サイリスタ10、20に交流電源を供給するとき周期Tに応じて第1、2サイリスタ10、20に流れる電流Iを示す図である。このとき、第1サイリスタ10が故障であり、第2サイリスタ20が正常であれば、第1、2サイリスタ10、20は奇数周期(T1、T3など)で10Aの正常電流値を出力するが、偶数周期(T2、T4など)では20Aの故障電流値I
b、I
cを出力することができる。
【0120】
即ち、比較器60は一定電流値I
aと故障電流値I
b、I
cの入力を受けて、一定電流値I
aに対してはいかなる離散信号も出力させず、故障電流値I
b、I
cに対しては0(low)を有する離散信号を出力させることができる。検出ロジック70は、比較器60からいかなる離散信号も出力されないことを基に、第1サイリスタ10が正常であると判別し、比較器60から0(low)を有する離散信号が出力されることを基に、第2サイリスタ20が故障であると判別することができる。
【0121】
逆並列サイリスタ10、20のうち故障したサイリスタは短絡(Short)状態になって、内部抵抗値が0[Ω]に近い回路になる。
【0122】
故障したサイリスタは短絡(Short)状態であるため、逆並列サイリスタ10、20のスイッチング動作に関係なく常に電流が流れることになり、故障したサイリスタは内部抵抗が0[Ω]であるため、正常の電流より大きな電流が流れる。
【0123】
比較器60は、正常であるサイリスタから測定される電流と故障したサイリスタから測定される電流が同時に検出されて、逆並列サイリスタ10、20のサイリスタが正常であるときより大きな電流の入力を受けることになり、これによって、出力値として1(high)または0(low)を有する離散信号を生成することができる。
【0124】
図7及び
図8は、本発明の一実施例である逆並列サイリスタ故障検出器の第1、2サイリスタ10、20に流れる電流と、比較器60に入力される電流、比較器60から出力される電流、第1、2出力部80、90から出力される信号を示した図である。
【0125】
説明の便宜のために、
図7及び
図8は直交座標系の第1象限のみを説明することができ、横軸は時間t軸であり、縦軸は電流I値である。
【0126】
図7(a)は、第1、2電流センサ40、50が第1、2サイリスタ10、20に流れる時間tに応じた電流Iを示す図である。
【0127】
図7(a)の実線k1は、第1電流センサ40が第1サイリスタ10に流れる電流を測定したものであり、
図7(a)の点線k2は、第2電流センサ50が第2サイリスタ20に流れる電流を測定したものである。
【0128】
図7(a)によって、第1サイリスタ10に流れる電流と第2サイリスタ20に流れる電流の大きさの差が分かる。
【0129】
図7(b)の実線k1は、比較器60に入力された第1サイリスタ10に流れる時間tに応じた電流Iの波形を示したものであり、
図7(c)の点線k2は、比較器60に入力された第2サイリスタ20に流れる時間tに応じた電流Iの波形を示したものである。
【0130】
即ち、
図7(b)は、第1電流センサ40を介して比較器60の第1入力端に第1サイリスタ10の電流が入力されることを示す図であり、
図7(c)は、第2電流センサ50を介して比較器60の第2入力端に第2サイリスタ20の電流が入力されることを示す図である。
【0131】
図7(a)ないし
図7(c)によって、第1サイリスタ10と第2サイリスタ20に流れる電流の大きさが異なることが分かる。
【0132】
例えば、第1、2電流センサ40、50がロゴスキーコイル電流センサであれば、第1、2電流センサ40、50は第1、2サイリスタ10、20の変化によって生じる磁束の変化を介して電流を測定し、これを第1、2電流センサ40、50が比較器60に出力して電流の大きさを比較することができる。
【0133】
実施例によって電流を測定して電流を出力するが、電流センサが電流を測定して電圧を出力するセンサであってもよい。
【0134】
図7(d)は、比較器60から出力される離散信号を示したものであり、
図7(d)の縦軸Hは離散信号のhigh信号またはlow信号であり、横軸は時間tの経過を示す。即ち、
図7(d)はhigh信号の出力を示すことができる。
【0135】
図7(e)は、第1出力部80からの故障通知信号の出力を示したものである。
【0136】
図7(f)の第2出力部90は、信号を出力しない状態を示したものである。
【0137】
図7(e)及び
図7(f)の縦軸Fは故障(fault)を示し、横軸tは時間の経過を示すことができる。
【0138】
即ち、比較器60は第1サイリスタ10に流れる電流と第2サイリスタ20に流れる電流の比較を介して第1サイリスタ10の電流がより大きいことを感知して、離散信号を出力することができる。
【0139】
検出ロジック70は、第1サイリスタ10が故障であると判別して、第1出力部80から故障通知信号を出力することができる。
【0140】
図8(a)は、第1、2電流センサ40、50が第1、2サイリスタ10、20に流れる時間tに応じた電流Iを示す図である。
【0141】
図8(a)の実線k1は、第2サイリスタ20に流れる電流を示すことができ、点線k2は第1サイリスタ10に流れる電流を示すことができる。
【0142】
図8(b)の点線(k2)は、比較器60の第1入力端に入力される第1サイリスタ10に流れる電流Iの波形を示したものであり、
図8(c)の実線k1は比較器60の第2入力端に入力される第2サイリスタ20に流れる電流Iの波形を示したものである。
【0143】
図8(d)は、比較器60から出力される離散信号を示したものであり、
図8(d)の縦軸Hは離散信号のhigh信号またはlow信号であり、横軸は時間tの経過を示す。即ち、
図8(d)はhigh信号の出力を示すことができる。
【0144】
図8(e)の第1出力部90は、信号を出力しない状態を示したものである。
【0145】
図8(f)は、第2出力部90からの故障通知信号の出力を示したものである。
【0146】
図8(e)ないし
図8(f)の縦軸Fは故障(fault)を示し、横軸tは時間の経過を示すことができる。
【0147】
即ち、比較器60は第1サイリスタ10に流れる電流と第2サイリスタ20に流れる電流の比較を介して、第2サイリスタ20の電流がより大きいことを感知して、離散信号を出力することができる。
【0148】
検出ロジック70は、第2サイリスタ20が故障であると判別し、第2出力部90から故障通知信号を出力することができる。
【0149】
本発明の逆並列サイリスタの故障検出器は、電流センサを介して逆並列サイリスタの電流をそれぞれ測定し測定値を比較することで、逆並列サイリスタの故障を容易に判別することができる。
【0150】
また、第1電流センサと第2電流センサがロゴスキーコイル電流センサであり、逆並列サイリスタに接触せずに逆並列サイリスタの電流を検出することができるため、逆並列サイリスタの故障検出が簡単になる利点がある。
【0151】
また、逆並列サイリスタの故障検出器は、測定値を介して第1、2出力部から故障通知信号の出力を受けることで、容易に故障した逆並列サイリスタが分かる。
【0152】
また、比較器は第1、2電流センサで測定した第1、2測定値の比較を通じて逆並列サイリスタのうち故障したサイリスタを正確に把握できるため、メンテナンスの時間を節約することができる。