(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1及び特許文献2に記載のベビーキャリアは、背当部と股あて部の内側に差し渡すようにして取付けられる座高調節用の補助帯の少なくとも一端が、背当部、股あて部及び前あて部が連続形成された本体部に対してベルベット式ファスナーや、金具及びベルト等によって着脱自在に係止できるように構成されるものであることから、補助帯と本体部を接続する係止部に負荷がかかりやすく、耐久性の懸念があった。特に、特許文献1及び特許文献2に記載のベルベット式ファスナーや、金具及びベルトによる係止具では補助帯と本体部の接続部において高い接続強度を得ることが困難であり、場合によっては使用者の歩行等による振動によって補助帯が揺動し、補助帯に着座した乳幼児の姿勢が不安定になりやすかった。更に、補助帯を着脱自在とするための係止具が例え蓋片によって覆われていても、乳幼児に凹凸感等の違和感のある感触や不快感を与える恐れがあった。
なお、特許文献1及び特許文献2には、乳幼児の開脚姿勢については追求するものがなく、乳幼児の月齢、大きさ、成長に応じて負担をかけない開脚姿勢で保持することの技術思想の開示や示唆はない。
【0008】
また、特許文献3及び特許文献4に記載の技術は、背当部、股あて部、前あて部等を構成する本体部自身の長さを調節可能とするものであり、本体部の長さ調節により乳幼児の身体にあてがう部位の面積(サイズ)が変更されることになる。したがって、本体部の設計自由度が制約され、例えば、月齢の低い時期の乳幼児に対して負担をかけない開脚姿勢で保持できるよう横幅サイズを設定しようとすると、乳幼児が大きくなった際に、その大きくなった乳幼児の臀部を十分覆うのに必要な面積(サイズ)を確保できず、乳幼児の負担を増大させ、安定した保持状態を得ることができなくなる。
【0009】
そこで、乳幼児の保持の高さ位置を調節することができ、かつ、乳幼児の月齢、大きさ、成長に応じて負担のかからない開脚姿勢の保持を可能とし、
首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児でも負担の少ない安定した保持を可能とするベビーキャリアの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明のベビーキャリアは、左右1対の肩ベルト部により使用者に装着され、乳幼児の身体にあてがわれ前記乳幼児を広い面積で支持する本体部と、一端が前記本体部の下端部に接続され前記本体部とは反対側で前記乳幼児の身体にあてがわれる補助保持部と、前記本体部及び前記補助保持部から一体に連続して前記本体部と前記補助
保持部の間に渡されて前記乳幼児の臀部の沈み深さを位置決めする位置決め台座部とを有する。
【0011】
上記本体部は、対面抱っこや前向きおんぶのように乳幼児の身体の腹側が乳幼児を保持する親等の使用者に向くように乳幼児を保持する際に乳幼児の背側にあてがわれ乳幼児の主に胴体部や、適宜、頭部及び首部を受け、乳幼児の身体を広い面積で支持し保護するものである。
【0012】
上記補助保持部は、前記本体部よりも乳幼児を保持する使用者に近い側に配設されて前記本体部の下端部に接続し、その自由端が上方に延び、前記本体部があてがわれる面とは反対側で前記乳幼児の身体にあてがわれるものである。つまり、対面抱っこや前向きおんぶのように乳幼児の身体の腹側が乳幼児を保持する親等の使用者に向くように乳幼児を保持する際には乳幼児の身体の腹側(反背側)にあてがわれるものである。通常、本体部よりも狭い面積で乳幼児の身体の腹側(反背側)にあてがわれ、前記本体部の下端部に接続する一端が前記本体部の下端部の左右方向(水平方向)の横幅よりも狭い幅からなる。
これら本体部と補助保持部は、使用者側に近い方に補助保持部が配設され、使用者側から遠い方に本体部が配設されるものである。
【0013】
上記肩ベルト部は、乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりするときに使用者の両肩に掛けられるものであり、使用者の肩及び背中にまわすだけの距離をもって、前記本体部及び/または前記補助保持部の左右両側に接続されているものである。
【0014】
上記位置決め台座部は、前記本体部及び前記補助保持部の相互の対向側で前記本体部及び前記補助保持部から一体に連続して前記本体部及び前記補助保持部の間に渡され、長さ方向の折り畳みによって長さ調節を自在とし、その長さ調節によって前記乳幼児の臀部の沈み深さを位置決めするものである。
ここで、上記長さ調節は、上記位置決め台座部に一体に形成した係合手段、例えば、ファスナ、スナップ、ボタンとループ、フックとリング、接着布等の係合により折り畳み状態を固定して位置決め台座部の長さを短縮し、係合の解除により折り畳みが展開される形態で位置決め台座部の長さ調節を行っても良いし、別体のアジャスター等を取付けることにより折り畳み状態を固定して長さを短縮し、アジャスター等の取り外しにより折り畳みが展開される形態で長さの調節を行っても良い。
【0015】
好ましくは、上記位置決め台座部は、その長さ方向の折り畳みにより前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅が、前記補助
保持部が接続されている前記本体部の下端部の横幅の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭に形成される。
【0016】
ここで、上記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅とは、長さ方向の折り畳みにより本体部と前記補助保持部との間を渡す長さを短くした位置決め台座部において、乳幼児の臀部の沈みを受け止めて乳幼児の臀部を位置決めする部位、つまり、乳幼児の臀部が着地される最下位の部位の横幅を意味する。
そして、上記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅が前記本体部の下端部の横幅の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内とは、首すわり前の低月齢の乳幼児を保持対象としても、乳幼児の体形、特に、柔らかい股関節に負荷をかけることのないように設定したものである。なお、上記本体部の下端部は、前記補助保持部の下端部との接続箇所である。
【0017】
前記位置決め台座部において前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くすることにより、前記本体部と前記補助保持部の間の深さが、前記本体部と前記補助保持部の両者が接続されている閉じられた最下端から上位に底上されることになるが、このとき前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くした位置決め台座部に受け止められる乳幼児の臀部の沈み横幅が、成長した大きい乳幼児であってもその臀部表面を覆うことができる適度に広い寸法に設定される前記本体部の下端部と同等の広い幅寸法であると、保持対象が首すわり前の低月齢の乳幼児である場合に、乳幼児は股幅を大きく広げないと、乳幼児Bの脚を前記位置決め台座部より下位に下ろすことができない。即ち、乳幼児は大きな股幅の開きが要求されることになる。
そこで、前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの位置決め台座部に開脚した状態で受け止められて乳幼児の臀部が到達する位置決め部位の横幅を、本体部の下端部の横幅の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭とすることで、首すわり前の低月齢の乳幼児であっても、開脚姿勢に無理がかからないようにしたものである。
【0018】
ここで、前記位置決め台座部の上記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅が、前記本体部の下端部の横幅の5/10未満では、乳幼児の股関節や鼠蹊部を圧迫してしまう恐れがあり、一方で、前記本体部の下端部の横幅の9/10を超えるものでは、首すわり前の低月齢の乳幼児にとって、過度な股幅の開きを要求する恐れがあり、体勢が未発達な低月齢の乳幼児にとって負担を強いるものとなる。
前記位置決め台座部の上記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅が、前記本体部の下端部の横幅の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭であれば、首すわり前の低月齢の乳幼児を保持対象とする際でも、前記位置決め台座部により乳幼児の臀部の沈み深さが上位に底上されることで前記位置決め台座部の下位から、補助保持部及び本体部の両者が接続されている閉じられた下端部までの間に、乳幼児が股幅を拡げ過ぎることなく脚を収めることができるようになり、かつ、股関節や鼠蹊部が圧迫されることもなく、乳幼児の開脚姿勢に負荷が少ないものとなる。
【0019】
また、好ましくは、前記補助保持部は、前記本体部の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅が、最大でも、前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅の1.4倍以下とされる。
【0020】
上記補助保持部の前記本体部の下端部との接続位置から15cmの高さ位置(長さ位置)までとは、前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの位置決め台座部に臀部が受け止められた乳幼児の両脚の膝より下位が補助保持部の左右両側から出される部位である。通常、首すわり前の低月齢の乳幼児の体形を想定して位置決め台座部の前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くして乳幼児の臀部の沈み深さを上方(高位置)に設定する際には、乳幼児の体重による撓み等を考慮しても、補助
保持部と接続している本体部の下端から最大でも5cm〜10cm程度であるから、乳幼児のM型の開脚姿勢では、本体部の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの範囲で、高い位置で保持されるM字型に開脚する低月齢の乳幼児の両脚の膝より下位が補助保持部の両側から出されることになる。
【0021】
ここで、乳幼児の臀部を高い位置で保持したときに乳幼児の両脚の膝より下位が出る部位となる前記補助保持部の左右両側の横幅が、前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅の1.4倍を超えたものでは、本体部の下端部の横幅を所定の幅狭として乳幼児の臀部を受け止める位置決め部位に乳幼児の臀部が位置決めされたときに、補助保持部の広い寸法によって、乳幼児の脚の動きが拘束されやすく脚の動きに自由度がなくなる。また、窮屈感、不自由さから乳幼児が補助保持部の両側から足を出そうとして股幅を過度に拡げてしまうことがある。特に、乳幼児の脚の動きが拘束されると、体勢が未発達な低月齢の乳幼児にとっての負担が大きく、乳幼児の運動機能を阻害させる恐れもある。
【0022】
そこで、前記補助保持部において、前記本体部の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅を、最大でも、前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅の1.4倍以下とすることで、首すわり前の低月齢の乳幼児を保持対象としたときでも、乳幼児の脚の動きを制限することなく、乳幼児の股幅の拡げ過ぎを防止できる。よって、乳幼児の運動機能を阻害させる恐れがなく、乳幼児の体形にかかる負荷を少なくできる。
上記15cmの高さ位置までとは、少なくとも15cmの高さまでは、所定の横幅に設定される必要があるが、所定の横幅寸法とするその範囲は、15cm以上であってもよい。
【0023】
請求項1の発明のベビーキャリアは、前記位置決め台座部を長さ方向に折り畳んで前記本体部と前記補助保持部の間の長さを短くしたとき、その折り畳んだ部分が前記乳幼児の臀部の沈みを受けとめる位置決め部位となるものである。好ましくは、折り畳んだ部分を選択的に位置決め部位として、前記乳幼児の臀部の沈みを受けとめる位置決め部位の厚みを選択可能とする構造である。
【0024】
請求項1の発明のベビーキャリアは、更に、前記本体部と前記補助保持部の下端部に接続し、前記使用者の腰回りに装着する腰ベルト部を有するものである。
上記腰ベルト部は、乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりするときに使用者の腰回りに取付けられ、前記乳幼児を支持する本体部の位置決めを行い、前記乳幼児の体重を支えるもので、通常、前記本体部及び前記補助保持部に対して略逆T字状を描くように配置され、その水平方向の長さ方向の端部に配設されるバックル等の連結具によって使用者の腰回りに取付け、取外し自在とされる。腰ベルト部の本体部及び補助
保持部への接続は、縫製であってもよいし、係合手段等による取付け、取り外し自在な構成であっても良い。
なお、上記の上下左右の方向は、乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりする縦抱き状態における方向性を示す。
【0025】
請求項2の発明のベビーキャリアは、前記本体部の前記乳幼児の身体の臀部にあてがわれる部位において、その左右両側部が前記乳幼児側(内方)に向かって折り曲げ自在な形状により、乳幼児が収容される空間に奥行きを持たせたものである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明に係るベビーキャリアによれば、乳幼児の身体にあてがわれる本体部と前記本体部とは反対側で前記乳幼児の身体にあてがわれる補助保持部との間に、前記本体部及び前記補助保持部から一体に連続して形成された位置決め台座部が渡されて配設され、この位置決め台座部は、その長さ方向に折り畳む長さ調節によって、前記本体部の前記補助保持部の間の深さの調節を自在とし、前記乳幼児の臀部の沈み深さを位置決めする。したがって、本体部及び補助保持部の間に配設された位置決め台座部に、本体部及び補助保持部の間に収容された乳幼児の臀部が受け止められることになるが、位置決め台座部の折り畳みにより本体部及び補助保持部の間を渡す長さを短くすると、本体部及び補助保持部の間に収容される乳幼児の沈み深さが高くなり、位置決め台座部の折り畳みを展開して本体部及び補助保持部の間を渡す長さを長くすると、本体部及び補助保持部の間に収容される乳幼児の沈み深さが低くなり、位置決め台座部による本体部及び補助保持部の間を渡す長さの調節により保持する乳幼児の高さ位置を調節できる。
【0027】
よって、身体が小さい低月齢の乳幼児でも、長さ方向の折り畳みにより位置決め台座部の本体部及び補助保持部の間を渡す長さを短くして、本体部の下端部と補助保持部の下端部の接続位置よりも高い位置で乳幼児を保持することができることから、乳幼児が本体部と補助保持部の間で沈み込んだり埋もれたりしてしまうことなく、乳幼児の頭部の位置がそれを保護する本体部の適切な位置に配置されて、乳幼児の負担を小さくでき、快適な保持を可能とする。また、乳幼児が成長して身体が大きくなった際には、折り畳みを展開し、位置決め台座部の本体部及び補助保持部の間を渡す長さを長くして、本体部の下端部と補助保持部の下端部の接続側の低い位置で乳幼児を保持し、乳幼児の身体を本体部の適切な位置で保護して快適な保持を可能とする。そして、使用者にとっても、快適な保持位置に乳幼児の高さ位置を調節できることになる。
このように保持する乳幼児の月齢、大きさ、成長に応じて、乳幼児の保持の高さ位置を調節し、乳幼児及び使用者にとって負担の少ない保持を可能とする。
【0028】
また、前記位置決め台座部により乳幼児の臀部の沈み深さが上位に底上されることで、乳幼児の股幅の開きが前記本体部の下端部の横幅寸法に左右されることなく、前記位置決め台座部の下位から、補助保持部及び本体部の両者が接続されている閉じられた下端部までの空間に、乳幼児が脚を収めることができるようになるから、低月齢の乳幼児にとってその股関節の開き過ぎの防止が可能となる。
【0029】
そして、このように乳幼児の臀部の深さを位置決めする位置決め台座部は、本体部及び補助保持部から一体に連続して形成されたものであるから、位置ずれが生じることもなく接続強度が安定しており、乳幼児の重みによって本体部及び補助保持部から位置決め台座部が外れることもなくて信頼性が高い。また、本体部と補助保持部との間の長さを短くしたときの位置決め台座部に乳幼児の臀部が受け止められたときでも揺動が少なくて乳幼児の臀部の重心位置も安定しやすく、体勢が安定しない首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児にとっての負担を少なくできる。
【0030】
このようにして、乳幼児の保持の高さ位置を調節することができ、かつ、乳幼児の月齢、大きさ、成長に応じて負担をかけない開脚姿勢の保持を可能とし、月齢が低い時期の乳幼児でも負担の少ない安定した保持を可能とする。
【0031】
特に、前記位置決め台座部は、前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅が、前記本体部の下端部の横幅の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭に形成することにより、首すわり前の低月齢の乳幼児を保持対象としても、乳幼児の股幅が必要以上に広げられて股関節が開き過ぎたりすることなくM字開脚とする自然な開脚姿勢で負担の少ない保持を可能とする。そして、本体部と補助保持部との間の長さを短くしたときの乳幼児の臀部の沈み横幅よりも本体部の下端部が所定の幅広であるから、位置決め台座部の折り畳みを展開して本体部及び補助保持部の間を渡す長さを長くした位置決め台座部に乳幼児の臀部が受け止められたときでも、本体部の下部の適度な広い寸法によって乳幼児の臀部が広く覆われて開脚姿勢に負担をかけることなく、安定した保持が可能である。
また、前記補助保持部は、前記本体部の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅が、最大でも、前記本体部と前記補助保持部との間の長さを短くしたときの前記乳幼児の臀部の沈み横幅の1.4倍以下であることで、脚の動きが拘束されたりすることなく、より負担の少ない開脚姿勢での保持を可能とする。
【0032】
請求項1の発明に係るベビーキャリアによれば、前記位置決め台座部を長さ方向に折り畳んだとき、その折り畳んだ部分を前記乳幼児の臀部の沈みを受け止める位置決め部位とすることから
、その折り畳んだ部分の嵩増しによって、安定感が増す。また、折り畳みの重ねの選択によっても乳幼児の臀部の沈み深さを調節でき、乳幼児の保持高さの位置の選択幅が広がる。
【0033】
請求項1の発明に係るベビーキャリアによれば、更に、前記本体部と前記補助保持部の下端部に接続し、前記使用者の腰回りに装着する腰ベルト部を具備することから
、乳幼児が成長して体重が重くなっても乳幼児の体重が肩、背中及び腰に分散されることで、肩が凝り易い使用者でも肩への負荷を少なくできる。
【0034】
請求項2の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部において前記乳幼児の身体の臀部にあてがわれる部位の左右両側が乳幼児側に向かって折り曲げ自在な形状により、乳幼児が収容される空間が奥行きのある立体的な空間を形成できるから、特に、月齢が低い時期の乳幼児がM字に開脚した動きが拘束され難いものとなる。よって、請求項1
に記載の効果に加えて、月齢が低い時期の乳幼児にとってより負担が少ない保持を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、同一の記号及び同一の符号はそれら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0037】
本実施の形態のベビーキャリア1は、乳幼児Bを保持する使用者M側とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれる本体部10と、本体部10の下部に接続し本体部10側とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれる補助保持部20と、長さ方向の一端が本体部10の乳幼児B側(内面側)に接続され、他端が補助保持部20の乳幼児B側(内面側)に接続され、本体部10と補助保持部20の間に渡されて配設された位置決め台座部30と、補助保持部20の上下方向に渡され使用者Mの肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部40と、本体部10と補助保持部20の下部に接続されて本体部10と補助保持部20の長さ方向に対して直角方向に配設し、使用者Mの腰回りに装着される腰ベルト部50とを有する。
【0038】
乳幼児Bを保持する使用者M側とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれる本体部10は、乳幼児Bを対面抱っこや前向きおんぶのように乳幼児Bの身体の腹側が乳幼児Bを保持する親等の使用者Mに向くように乳幼児Bを保持する際に乳幼児Bの身体の背側にあてがわれるものである。
本実施の形態の本体部10は、乳幼児Bを対面抱っこや前向きおんぶで保持する際に乳幼児Bの主に頭部にあてがわれて主に頭部を受ける略半楕円形状の頭当部11と、乳幼児Bの頭部側から背中、腰にかけてあてがわれて主に背中部分を受ける背当部12と、乳幼児Bの背中側から臀部にかけてあてがわれて主に臀部を受ける臀当部13が一体に形成されている。この本体部10は、表生地及び裏生地からなる外装生地の間にクッション材(弾性材)や可撓性を有し若干の弾性を持つ公知の芯材等を配設して、所定の柔軟性、可撓性、弾性、緩衝性等を有する。
【0039】
本体部10の外装生地については、例えば、少なくとも乳幼児Bの身体にあてがわれる面の一部または全部に通気性を有する生地を使用することで、乳幼児Bの身体の一面側の通気性を良くし、蒸れ等を防止することができる。
通気性を有する生地としては、例えば、所定の開口の網目・網模様構造を有するメッシュ(ネット)生地や、多少織目を粗くした粗密度の生地や、表裏のメッシュ生地間に通気性のある特定の厚みの空気層を形成する連結糸を織り込んでなる特定の厚みを有する立体編物(ダブルラッシェル)等が使用される。このような通気性を有する生地の使用により、通気性を確保し、湿気や熱を放散することができる。更に、生地を網目構造としたり生地に通気孔を複数設けたりすることで柔軟性やストレッチ性も増し、乳幼児Bや使用者Mの体形や動きへのフィット性、馴染みが良くなる。外装生地に吸水性の高い綿素材等の素材を使用することでも吸湿性が向上する。
【0040】
特に、立体編物(ダブルラッシェル)によれば、表裏のメッシュ生地間に織り込まれた連結糸によって形成される空気層により乳幼児Bや使用者Mの汗等の湿気に対しても、その湿気を収容できる容積を有しており、更に、使用者Mの動き及び乳幼児Bの動きが空気層の体積変化となって、空気層の空気が排出及び供給されるから、使用者Mや乳幼児Bの身体から発汗した汗を速やかに吸収でき、効果的に湿気や熱を逃すことができる。勿論、表裏のメッシュ生地及び空気層により通気性、通水性にも優れるから、水分の乾きも速い。更に、連結糸によって形成される空気層により多少の弾力性、クッション性等を有し、乳幼児Bが動いても、空気層の追随変化によって違和感が生じず、乳幼児Bの体形への馴染みもよい。加えて、表裏のメッシュ生地間に織り込まれた連結糸によって空気層内で対流を生じさせないので、断熱効果が高く、かつ、容積が大きいことから、長時間断熱作用を維持できる。
【0041】
この立体編物(ダブルラッシェル)はダブルラッシェル機やトリコット機等の織布製造機によって製造され、その商品は、旭化成株式会社から「フュージョン(商標名)」、また、帝人興産から「エアクィーン(商標名)」等として販売されているので、ここでは仔細な説明を省略する。
【0042】
なお、このような通気性を有する生地は、少なくとも乳幼児Bの身体に対応する位置に使用されることで蒸れ等を軽減できるが、本体部10の両面、即ち、乳幼児Bの身体にあてがわれる面及びそれとは反対側の表裏両面で、通気性を有する生地を使用することで、厚さ方向の通気性が増し、より効果的に湿気や熱を逃すことができる。また、通気性を有する生地を通気性のない生地で被覆自在とした2層構造によって、通気量を調節可能な構造としてもよい。
勿論、本発明を実施する場合は、通気性のない生地を外装生地の全体に使用してもよい。
【0043】
本体部10の表生地及び裏生地からなる外装生地の間に入れるクッション材としては、例えば、市販のウレタンや、東洋紡株式会社から商品名「ブレスエアー(登録商標)」、株式会社シーエンジから「C−CORE」、株式会社エアウィーヴから商品名「エアウィーヴ(登録商標)」等として販売されている立体網状構造体等が使用される。
特に、樹脂からなる連続線条体が不規則に蛇行して絡み合っており、かつ、蛇行した状態で随所に接着してなり、連続線条体間の空間が連続して所定の厚みを有する立体網状構造体によれば、ウレタンよりも軽量で通気性が高く、蒸れ等を軽減でき衛生的でもある。また、このように連続線条体が3次元状に絡み合い、連続した空隙を有する立体網状構造体100によれば、受圧面積が広くなり、乳幼児Bにかかる圧力が分散されやすいため、乳幼児Bの身体にかかる負担を軽減できる。
更に、芯材としても、硬質なウレタンや立体網状構造体が使用できる。
【0044】
本体部10において、このようなクッション材や芯材が配設されと、特に体勢が不安定な首すわり前の低月齢の乳幼児Bを保持するときでも、乳幼児Bの身体への衝撃を緩和して保護し、乳幼児Bにとって負担が少なく、抱き心地のよい高い保持安定性を得ることができる。
なお、クッション材や芯材の使用は、特定の一部のみの使用であっても良いし、クッション材及び芯材の両者を区別することなく用いることも可能である。例えば、頭当部11や背当部12では、クッション性を有し、かつ、硬質な素材で形成することにより、乳幼児Bの頭部や背中、腰部分をしっかり支持して身体のグラつきを防止し、後方への傾きや反り返りを防止できる。臀当部13ではクッション性を有し、かつ、軟質な素材で形成することにより、乳幼児Bの臀部を落ち込みやすくし、乳幼児Bの重心位置を安定させて保持安定性を高めることができる。このようなクッション材や芯材は取付け、取り外し自在な構成としても良い。
【0045】
なお、本実施の形態では、頭当部11と背当部12の境界部において表生地及び裏生地の外装生地の間に入れたクッション材や芯材を連続させないことによって、或いは、クッション材や芯材を連続させても表生地及び裏生地を縫合していることによって、或いは、クッション材や芯材自体が折曲自在に形成されていることで、頭当部11と背当部12の間が区別され、背当部12の面に対し頭当部11が折曲自在となっている。これにより、背当部12にて乳幼児Bの腰から背中部を安定して支持するも乳幼児Bの頭部の重みに応じて頭当部11が背当部12の面に対して傾斜し易く(折れ曲がり易く)、乳幼児Bの頭部及び首部に無理が加わらないように乳幼児Bの頭部及び首部を保護できるようになっている。更に、乳幼児Bの成長や保持形態に応じ、背当部12の面に対して頭当部11を乳幼児B側とは反対側に折曲して使用することで、乳幼児Bの視界を広げることができる。
【0046】
また、本実施の形態のベビーキャリア1においては、頭当部11と背当部12の境界部の乳幼児Bが配置される側(内面側)で、クッション性を有する材料で形成した略三角形状の接続部14を頭当部11と背当部12の面から突出して設けており、この接続部14により乳幼児Bの頭部の左右方向の傾きを支え、グラつきを防止して乳幼児Bの頭部及び首部への負担を軽減できるようになっている。特に、接続部14のクッション性によっても乳幼児Bの頭部及び首部を保護できる。更に、高い位置で保持されて頭当部11と背当部12が適切な位置にあてがわれる低月齢の乳幼児Bにとって、接続部14が乳幼児Bの胴体より上の位置に配置されて、周囲の光や音を遮断する効果を有し、快適な睡眠を促す効果も期待できる。
【0047】
なお、頭当部11には、図示しない所定の収容容積を有するポケット状の収納部が設けられており、
図1に示した本体部10の乳幼児Bが配置される側とは反対側の面(使用者Mがベビーキャリア1を装着した状態で意匠面側となる外面側)に、図示しない収納部を開閉自在とするためのスライドファスナ15(ホック、ボタン、接着布等であってもよい)を有し、乳幼児Mの頭部を覆う所定面積の図示しないヘッドフードや、保冷剤、タオル等の持ち物等を収容可能としている。図示しないヘッドフードは、例えば、その一端が収納部内に縫着等によって固着され、また、他端を肩ベルト部40に連結具(例えば、バックル、ホック、ナスカン、カラビナ、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等)を介して取付けることで、乳幼児Bの頭部を後頭部側から覆って支持し、保持している乳幼児Bが眠った際でも乳幼児Bの頭部が後方に倒れて乳幼児Bの身体がのけ反る事態を防止したり、乳幼児Bの日除けや、ベビーキャリア1の装着状態で抱っこしたまま授乳する際に授乳を隠すカバー等として機能したりする。
【0048】
そして、このような図示しない収納部を設けていることで、ヘッドフードを使わない時には、折り畳みや巻き込んで収納部の開口から挿入し内部に収納することができ、全体がコンパクトになり、デザイン性及び乳幼児Bの安全性を高めることができ、また、収容部の開口をファスナ15等で閉じることでヘッドフード等の存在を分からなくすることができるし、収納部に収容した持ち物等が落下することもない。しかし、本発明を実施する場合には、収納部を設けることなく、ヘッドフードを巻いて接着布等によって固定して整然と保持する構成としてもよいし、収容部及びヘッドフードを設けなくてもよい。
【0049】
また、本実施の形態の臀当部13においては、乳幼児Bの臀部の中央側を受ける中央部13Aと中央部13Aの左右両側に位置し乳幼児Bの太股付近に当たる左右1対の端部13Bとから構成されている。
【0050】
そして、本実施の形態のベビーキャリア1においては、立体裁断によって臀当部13の中央部13A及び1対の端部13Bを形成しており、中央部13A及び1対の端部13Bを内側(中心側)に向かって弧状に湾曲した1対の縫製線13aによって接ぎ合わせ、中央部13Aの面に対し端部13Bが乳幼児B側に折り曲げ自在に形成されている。更に、臀当部13の下端部を後述の腰ベルト部50の本体ベルト部51に対して、本体ベルト部51の上端部に接ぎ合わせる略直線状の縫製線13b及びその下方に弧状に湾曲した縫製線13c(
図6及び
図8参照)にて一体に接続している。
こうして、立体的な収容空間が形成されることで、後述する高い位置で保持する際の乳幼児Bの脚の動きが拘束され難くなり、また、乳幼児Bの臀部の重心位置も安定しやすい。
【0051】
即ち、立体裁断によって臀当部13の左右両側の端部13Bを乳幼児側に近づけることで、また、臀当部13の腰ベルト50への接続を縫製線13b及び縫製線13cの2辺で行うことによって、奥行きがでて収容空間に余裕ができることから、乳幼児Bの脚の動きに遊びができる。更に、乳幼児Bの臀部の重心が安定しやすい。特に、端部13Bに縫製線13aによって接ぎ合わされる中央部13Aの外形が中央側に湾曲した形状、即ち、上下の端部よりも中央側で幅狭の形状であることで、乳幼児Bの臀部が落ち込み易くて、臀部の位置ずれも生じ難い。よって、乳幼児Bの負担が少なく快適な姿勢での保持を可能とし、保持安定性が高くなる。つまり、乳幼児Bの臀部の位置から重心位置が定まり、乳幼児Bを保持することに無理がなくなる。
【0052】
なお、臀当部13において中央部13Aと端部13Bの接続は、表生地及び裏生地の外装生地の間に入れたクッション材等を連続させないことによって、或いは、クッション材等を連続させても表生地及び裏生地を縫合することによって、または、クッション材自体が折曲自在に形成されていることで、中央部13Aと端部13Bの間が区別され、中央部13Aの面に対し端部13Bが乳幼児B側に折曲自在に形成されている。
【0053】
本発明を実施する場合には、臀当部13の中央部において、立体裁断で形成したり、表生地及び裏生地の外装生地の中に入れるクッション材について厚みに変化を付けたり等することによって、臀部の落ち込みが自在なように窪みを形成することによって、または、表生地及び裏生地の外装生地の中に入れるクッション材についてクッション性や柔軟性を変化させる構造とすることによっても、乳幼児Bの臀部の落ち込みを安定化させ、保持安定性を高めることができる。
【0054】
また、開脚状態で保持される乳幼児Bにとってその太股には臀当部13の左右両側の外縁が接触することで負荷がかかりやすいことから、乳幼児Bの太股付近に当たる臀当部13の1対の端部13Bでは、クッション性の高いクッション材の配設等により中央部Aよりもクッション性を高めることで、乳幼児Bの太股への圧迫を軽減できる。
【0055】
更に、本実施の形態のベビーキャリア1では、臀当部13の上方側の横幅が背当部12側に向かって徐々に幅狭となっている。即ち、臀当部13の上方側では、左右両側の端部Bの外縁が上方に向かって内側(中心側)に傾いている。
これにより、後述するように乳幼児Bの臀部を低い位置で保持する場合でも、臀当部13の下方では乳幼児Bの臀部を覆う幅広の寸法によって臀部を受けとめて臀部の落ち込みを安定して支持するも、上方に向かって幅狭であることで乳幼児Bの脚の動きが拘束され難くなる。故に、快適な開脚姿勢での保持を可能とする。
【0056】
なお、本実施の形態の臀当部13は開脚状態の乳幼児Bの臀部を取り巻く広さの面積に形成するも、通常、その下端部の横幅は20cm〜35cmの範囲内に設定される。より好ましくは23cm〜30cmの範囲内とすることにより、我国(日本)の乳幼児Bの体形に対応して乳幼児Bの股幅を必要以上に広げて脚の動きを制限したりすることなく、開脚状態の乳幼児Bの体形にかかる負担を最小限にできる。ここでの横幅の幅寸法は、立体裁断で形成されている臀当部13の外面側で左右端縁間の生地長さを測定した数値である。
【0057】
また、本実施の形態のベビーキャリア1では、背当部12と臀当部13の境界部で水平方向の横幅が狭くそこから下方に向かって臀当部13を幅広とする設計によっても、構造的に臀当部13で乳幼児Bの臀部の落ち込みを容易としている。また、背当部12と臀当部13において、クッション性、硬さ等の特性を変えることでも、例えば、背当部12と比較して、臀当部13の硬さを柔らかくすることによって、臀当部13において乳幼児Bの臀部を落ち込みやすくできる。
【0058】
因みに、背当部12及び臀当部13を合わせた上下の縦幅の長さは、例えば、首すわり後の4カ月から12カ月の平均的な乳幼児Bの上半身の胴体の長さに対応させて、40cm〜45cmに設定され、また、背当部12の左右の横幅の長さも、例えば、首すわり後の4カ月から12カ月の平均的な乳幼児Bの背中幅に対応して、40cm〜45cmに設定される。
【0059】
そして、本実施の形態のベビーキャリア1において、このように頭当部11、背当部12及び臀当部13が一体に形成された本体部10には、臀当部13側の下端部で上述した直線状の縫製線13b及び弧状に湾曲した縫製線13cにて腰ベルト部50が縫い付けられている。なお、本体部10と腰ベルト部50は全体として略逆T字状に配設され、本体部10の下端及びその付近のみの縫製によって腰ベルト部50に一体に接続されており、腰ベルト部50の面方向に対して本体部10は直角方向に折れ曲がり自在となっている。
【0060】
腰ベルト部50は、本体部10及び後述する補助保持部20の下部において、本体部10及び補助保持部20の長さ方向(上下方向)に対して略直交方向に配設して乳幼児Bの体重の多くを受けるので強度的に耐えられ、かつ、使用者Mの腰回りに取付けても使用者Mの体形に無理が掛からないように力(乳幼児Bの体重)の分散が行われる形態として、本体部10及び後述の補助保持部20と一体化されて縦幅が幅広な本体ベルト部51と本体ベルト部51の長さ方向の両端部に配設されアジャスター付きバックルを有する布ベルトからなる左右1対の長さ調節部52とから構成されている。そして、この腰ベルト部50は、長さ調節部52に設けたアジャスター付きバックルの連結差込具53と連結受具54の連結係合によって使用者Mの腰回りに固定可能とし、連結差込具53と連結受具54を連結自在としていることで、使用者Mの腰回りに取付け及び取外し自在となっている。
【0061】
縦幅が幅広な本体ベルト部51は、所定の柔軟性、可撓性、弾性、緩衝性等を有する材料で形成され、使用者Mへの腰回りへの馴染みを良くし、フィット性を高めて使用者Mへの負担を少なくしている。例えば、表生地及び裏生地の外装生地の間に上述したような芯材やクッション材を入れて形成される。これにより、使用者Mの腰回りに掛かる荷重が分散されやすくなる。なお、本体ベルト部51においても、外装生地に通気性を有する生地を使用することで、蒸れ等の湿気を防止して、不快感を軽減できる。また、使用者Mの腰回りに触れる内面側を吸水性のある綿生地等で形成することによっても吸湿性が向上する。
【0062】
なお、
図1及び
図2において、本体ベルト部51の全体形状は、その下部が下方に向かって弧状に湾曲しており、本体部10及び補助保持部20と接続する中央側で上下方向の縦幅が最大で、その長さ方向の両端部に向かって縦幅が徐々に幅狭に形成され、10〜20cmの範囲内の縦幅寸法とし、使用者Mの腰回りに加わる力を効果的に分散させて、使用者Mが感じる重さを軽減できる構造となっている。
【0063】
本体ベルト部51の両端部に設けた左右1対の長さ調節部52は、使用者Mの腰回りへの取付けに必要なベルト長が決められるように所定の長さを有し、1対の雌雄のアジャスター付きバックルからなる連結差込具53と連結受具54においてアジャスター機能を有することで、使用者Mの腰の周囲の長さに合わせることができる。なお、アジャスターは、ベルト長を調節できるものであれば、独立したアジャスターでもよいし、連結具と一体となったものでもよい。
【0064】
本実施の形態においては、腰ベルト部50を環状に連結して使用者Mの腰回りに固定する連結差込具53と連結受具54が、1対の雌雄のバックルから構成されているため、ワンタッチでの着脱を可能し、その着脱操作が容易であり、人為的に連結係合を解かない限り外れることもなくて取付けの信頼性が高く、機械的強度も高い。
しかし、本発明を実施する場合には、バックルに限定されず、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等の連結具が使用可能であり、何れを選択してもよい。通常、簡単に連結可能であり、安全性の高いものが使用される。
【0065】
更に、腰ベルト部50には、本体部10と共に補助保持部20が縫製線13bにて縫い合わされている。
この補助保持部20は、本体部10の乳幼児B側に配設されて、その下端部が腰ベルト部50に本体部10と共に一体に取付けられているも、それ以外は本体部10と分離自在とされており、本体部10側とは反対側の乳幼児Bの身体にあてがわれる。乳幼児Bを対面抱っこや前向きおんぶで保持する際には、乳幼児Bの反背側、即ち、股側や腹側にあてがわれることになる。なお、補助保持部20と腰ベルト部50の関係も全体として略逆T字状に配設され、補助保持部20の下端のみの縫製によって腰ベルト部50に一体に接続されており、腰ベルト部50の面方向に対して補助保持部20も直角方向に折れ曲がり自在となっている。
【0066】
本実施の形態の補助保持部20は、その下端が本体部10と共に腰ベルト部50への縫い付けによって固着されているが、その固着側である一端部(下端部)の腰ベルト部50に接続した接続横幅W
2は、本体部10と腰ベルト部50とが縫い付けによって接続した接続横幅W
1よりも幅狭とされ、本体部10と腰ベルト部50の接続横幅W
1よりも内方で縫製線13bにて本体部10と共に腰ベルト部50に縫製され、そして、上方に延びた自由端の他端側に向かって徐々に幅広とした略台形状を呈している。
【0067】
例えば、補助保持部20は、腰ベルト部50に縫い付けて本体部10の下端部に接続する一端部(下端部)の接続横幅W
2(
図6参照)が、腰ベルト部50に縫い付けている本体部10の下端部の接続横幅W
1の50%〜90%の範囲内に設定され、後述するように乳幼児Bが低い位置で保持される場合でも、乳幼児Bの鼠径部を圧迫することがなく、かつ、乳幼児Bの脚の動きが制限され難い形態として形成されている。
【0068】
特に、本実施の形態の補助保持部20では、後述の位置決め台座部30に臀部が受け止められた乳幼児Bの脚が出される左右両側の外縁が、上方の自由端側から下方の腰ベルト部50及び本体部10への接続側に向かって垂直(90°)に、或いは、90°を超えて140°以下の傾斜で、横幅が下方に向かって徐々に幅狭とされて腰ベルト部50及び本体部10の下端部に接続している。
これにより、後述するように首すわり前の低月齢の乳幼児Bを保持対象として高い位置で保持するときでも、乳幼児Bの脚の動きが拘束されるのが防止され、また、乳幼児Bの股幅を必要以上に広げることなく低月齢の乳幼児Bにとって負担の少ない自然な姿勢、約130°の開脚姿勢が理想的とされているが、その自然な開脚姿勢に近い形態に導いて、開脚状態の乳幼児Bの体形にかかる負荷を最小限とする。
【0069】
なお、
図6及び
図8に示すように、補助保持部20は、その上下方向の長さ(縦幅寸法)が、本体部10の臀当部13と同程度の長さであり、乳幼児Bにあてがう面積が、臀当部13の面積よりも小さく(狭く)、補助保持部20を本体部10の臀当部13に対向配置した状態では補助保持部20から臀当部13の左右の端部13Bが食み出す程度に臀当部13の方が大きくなっている。
【0070】
本実施の形態のベビーキャリア1では、補助保持部20が使用者Mと乳幼児Bの間にが介在することになり、そこでは使用者Mと乳幼児Bが直接接触しないから、発汗による水分が使用者Mと乳幼児Bの間に溜まり難い。よって、乳幼児B及び使用者Mの間が蒸れ難く、不快感を軽減できる。また、使用者Mと乳幼児Bの間に補助保持部20が介在することで、使用者Mの衣類に乳幼児Bの体温によって生じる皺が入るのを防止できる。
このような補助保持部20においても、乳幼児Bの体形に無理が加わらないように所定の柔軟性、可撓性等を有する材料で形成される。補助保持部20は、乳幼児Bの身体にあてがわれる一方で、その裏面側が使用者M側に触れることから、好ましくは通気性を有する材料で形成することによって、乳幼児Bや使用者Mに触れる部分の通気を良くし湿気や熱を逃すことで、部分的な温度の上昇や蒸れを防止して、暑さや蒸れ等による不快感を軽減できる。即ち、通気性を有する材料を使用することで、乳幼児Bや使用者Mの蒸れ等の湿気や熱を逃すことができ乳幼児Bと使用者Mの間で異常な保温状態に至らない。
【0071】
本発明を実施する場合には、このような補助保持部20の構成として、例えば、補助保持部20の全体を表裏のメッシュ生地間に通気性のある特定の厚みの空気層を形成する連結糸を織り込んだ立体編物(ダブルラッシェル)で形成することも可能であるし、その表面または裏面を外装生地で被覆した構造とすることもできる。また、1枚或いは2枚以上の外装生地、好ましくは、補助保持部20の全体を、表裏に空気の流通を許容する通気性のあるメッシュ構造の生地のみで補助保持部20を構成することもできるし、表生地及び裏生地からなる外装生地の中にウレタンや立体網状構造体等の緩衝材を入れても良い。
【0072】
特に、立体編物(ダブルラッシェル)を使用した場合には、織布本体が全体で通気性のある空気層を保ち、表裏のメッシュ間に織り込まれた連結糸によって空気層内で対流を生じさせないので、断熱効果が高く、かつ、容積が大きいことから、長時間断熱作用を維持できる。また、汗等の湿気の発生に対しても、その湿気を収容できる容積を有し、使用者Mの動き及び乳幼児Bの動きは、織布本体の体積変化となって、織布本体の保持している高い温度の空気及び高い湿度の空気を排出し、外部から湿度の低い、気温の低い空気を導入する。つまり、湿気や熱が逃れやすい。したがって、湿気の上昇が防止され、また、 使用者Mの体や乳幼児Bの体から発汗した汗は、速やかに織布本体に吸収され、暑さや蒸れが著しく軽減される。よって。汗疹の発生が防止され、発汗対策、暑さ及び蒸れ対策、汗疹対策になる。そして、乳幼児Bを保持したときでもジトジト感、ベトベト感が生じない。更に、乳幼児Bを保持しているときの動きに対しても、織布本体の追随変化によって違和感がない。
【0073】
また、外装生地に入れる緩衝材として、樹脂からなる連続線条体が不規則に蛇行して絡み合っており、かつ、蛇行した状態で随所に接着してなる立体網状構造体を配設した場合でも、乳幼児Bや使用者Mの汗等の湿気を収容できる容積を有しており、連続線条体間の空間が連続し高い空隙率により、湿気や熱がこもり難くなる。特に、立体網状構造体の全体または一部が通気性を有する生地で覆われていると、新鮮な空気が取り入れられ、また、使用者Mの動き及び乳幼児Bの動きによって空気層の体積が変化するから、高い温度の空気及び高い湿度の空気が排出され、外部から湿度の低い、気温の低い空気が導入される。よって、使用者Mや乳幼児Bの身体の熱や湿気を逃すことができて、暑さや蒸れを軽減でき、乳幼児Bを保持したときのジトジト感、ベトベト感も少なくなる。更に、乳幼児Bを保持しているときの動きに対しても、立体網状構造体の追随変化によって違和感がない。
【0074】
なお、本実施の形態のベビーキャリア1では、乳幼児Bを広い面積で受け止め乳幼児Bの身体を支持して保護する本体部10に主に機械的強度が委ねられることから、補助保持部20の全体は、機械的強度を本体部10ほど強くする必要はないが、補助保持部20にも乳幼児Bの体重の一部がかかることから、強度的に耐えられる構成であればよい。また、補助保持部20について少なくともその表裏の外面を本体部10と同様の構成とすることで、補助保持部20と本体部10の一体感が出て、見栄えがよいものとなるが、本発明を実施する場合には、異なる構成を採用してもよい。
【0075】
そして、本実施の形態のベビーキャリア1においては、補助保持部20の自由端側の左右両端部に、接続布地25を介し、先端にアジャスター付きバックルの連結差込具23を有する所定長の布ベルトからなる左右1対の連結調整部22が取付けられ、また、本体部10の外面側(乳幼児B側とは反対側)の左右において背当部12と臀当部13の境界付近に連結差込具23の係合に対応するバックルの連結受具24が取付けられており、連結差込具23と連結受具24との連結係合により補助保持部20の自由端側の左右側部と本体部10の背当部12と臀当部13の境界付近の左右両側とを接続する所定長の接続部を形成する。
【0076】
よって、本実施の形態のベビーキャリア1においては、本体部10の乳幼児B側(内面側)で本体部10と共に腰ベルト部50に縫い付けられた補助保持部20が、その左右両側で連結調整部22及び連結差込具23と連結受具24の連結係合により形成される所定長の接続部21によって本体部10と接続されることで、本体部10と補助保持部20との間隔(距離)が固定され、本体部10と補助保持部20と接続部21との間に形成された空間内で乳幼児Bが位置決めされる。これより、本体部10と補助保持部20と接続部21との間に乳幼児Bが収容され、対面抱っこや前向きおんぶでは乳幼児Bの背側に本体部10があてがわれ、乳幼児Bの反背側の腹側には補助保持部20があてがわれ、そして、接続部21によって乳幼児Bが横に倒れないように保持される。特に、接続部21の下側において本体部10の左右側縁部と補助保持部20の左右側縁部との間に形成された環状の開口に乳幼児Bの脚が通されることになり、乳幼児Bの収容空間が規制されることで乳幼児Bのおんぶ時のそり返りや、抱っこ時に使用者Mの前屈姿勢等で本体部10の頭当部11側から乳幼児Bが落下してしまう事態を防止できる。更に、抱っことおんぶの切り替えを行って使用者Mに対する乳幼児Bの位置を移動するときでも、乳幼児Bの落下を防止して、熟練でなくとも使用者Mにとって抱っことおんぶの切り替えの操作を容易とする。
【0077】
特に、バックルの連結差込具23のアジャスター機能によって所定長の1対の連結調整部22の長さ調節を可能として接続部21の長さを調節できることから、乳幼児Bの大きさ、成長に応じて本体部10と補助保持部20の間隔(距離)を自在に調節できる。これより、乳幼児Bが窮屈さを感じることない使用者Mとの適度な密着距離で、乳幼児Bと使用者Mとの最適な間隔に調節することができる。故に、乳幼児Bによって揺れが少なく体の位置が安定する態様で乳幼児Bを保持でき、使用者Mと乳幼児Bの一体感により両者にとって負担の少ない快適な抱き心地が得られる
【0078】
なお、本実施の形態においては、連結差込具23と連結受具24が連結自在であるから、使用者Mの使い勝手に応じて、連結差込具23と連結受具24の連結係合により接続部21によって本体部10と補助保持部20が接続された状態で、本体部10と補助保持部20の間に乳幼児Bの出し入れを行うことができるし、連結差込具23と連結受具24の連結係合の解除により補助保持部20の自由端側が本体部10から分離された状態でも、本体部10と補助保持部20の間に乳幼児Bの出し入れを行うことができる。
【0079】
更に、本実施の形態においては、アジャスター機能付きのバックルによって、連結差込具23と連結受具24との連結係合により接続部21によって本体部10と補助保持部20を接続した状態でもアジャスター機能により両者間の間隔を自在に調節でき、本体部10と補助保持部20と接続部21との間に形成された空間内に乳幼児Bを収容した状態で本体部10と補助保持部20間の間隔の調整を可能として、使い勝手を良くしているが、本発明を実施する場合には、連結差込具23と連結受具24の両者にアジャスター機能を設けても良いし、何れか一方のみでもよいし、アジャスター機能を独立させてもよい。また、本体部10と補助保持部20を接続する手段は、バックルの係合に限らず、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等の連結具を使用した連結係合としてもよいし、伸縮性のゴムバンド、ゴムテープ等の伸縮性部材等を使用した接続としてもよい。例えば、長手方向に伸縮自在で、本体部10と補助保持部20との間で乳幼児Bを入れられる程度に伸長する幅3cm〜10cm程度の平らゴムを布地等で包んでデザイン的に処理したゴムバンド(ゴムテープ)を本体部10と補助保持部20の側部間に縫い付けることにより、その伸縮によって、本体部10と補助保持部20と間隔(距離)を自在に調節できる。このような伸縮性のゴムバンド、ゴムテープ等の伸縮性部材等が使用された接続では、本体部10と補助保持部20を接続する係合操作を必要とせず、使い勝手が良い。一方で、バックル等の係合による接続は耐久性が高い。
【0080】
なお、図において、連結調整部22は、補助保持部20の自由端側の左右両端部に突設した接続布地25に縫い付けることで接続布地25を介して補助保持部20に取付けられている。また、バックルの連結受具24も、本体部10に縫製した別布の接続ベルト布地26を介して本体部10に取付けられている。
【0081】
更に、本実施の形態のベビーキャリア1においては、左右1対の肩ベルト部40が補助保持部20の自由端側に縫い付けられている。
この左右1対の肩ベルト部40は、その一端部が補助保持部20の自由端側の上端部の左右に縫製によって堅固に取付けられ、その他端部が補助保持部20の自由端側の上部の左右側部に接続布地25を介して縫製によって堅固に取付けられている。即ち、本実施の形態の肩ベルト部40は、補助保持部20の上下方向に渡されている。なお、ここでの上下とは、補助保持部20の上下2箇所に接続されて使用者の肩が通される環状を形成するように渡されていればよく、相対的な位置関係を示すものであり、補助保持部20への接続位置を特定するものではない。また、厳格に上下の方向を追求するものではなく高低を示すものである。
【0082】
左右1対の肩ベルト部40は、補助保持部20及び本体部10に直接的または間接的に接続して乳幼児Bの体重の多くを受けるので強度的に耐えられ、かつ、使用者Mの肩回りに取付けても使用者Mの体形に無理が掛からないように力(乳幼児Bの体重)の分散が行われる形態として、補助保持部20の自由端側の上端に一体に接続し横幅が幅広な肩掛け部41と、肩掛け部41の他端に取付けられ補助保持部20の自由端側の上部の左右側部側に接続する調節ベルト部42から構成されている。
【0083】
肩掛け部41は、使用者Mの肩に掛けられることから、所定の柔軟性、可撓性、弾性、緩衝性等を有する材料で形成され、使用者Mの肩回りへの馴染みを良くし、フィット性を高めて使用者Mへの負担を少なくしている。例えば、表生地及び裏生地の外装生地の間に可撓性を有し若干の弾性を持つ芯材やクッション材を入れて形成され、使用者Mの肩またや背中の一部分に乳幼児Bの体重集中が生じないようにすることができる。なお、肩掛け部41においても、外装生地に通気性を有する生地を使用することで、蒸れ等の湿気を防止して、不快感を軽減できる。また、使用者Mの肩回りに触れる内面側を吸水性のある綿生地等で形成することによっても吸湿性が向上する。
【0084】
肩掛け部41の一端部に接続する調節ベルト部42は、使用者Mの肩回りへの取付けに必要なベルト長が決められるように所定の長さを有する布ベルトからなるベルト部42aと、肩掛け部41への接続側に配設されたアジャスター42bと補助保持部20の左右側部への接続側に配設されたアジャスター42cとから構成される。
【0085】
このように、所定長のベルト部42aの長さ方向の一端側にアジャスター42bが取付けられ、また、他端側でもアジャスター42cが取付けられていることで、ベルト長を調節自在とし、肩ベルト部40の長さを使用者Mの肩に掛け、背後に回すその肩回り長さに合わせることができる。
【0086】
なお、調節ベルト部42のアジャスター42bは肩掛け部41に縫い付けたベルト布地(符号及び記号は省略)を介して肩掛け部41に取付けられており、また、アジャスター42cは補助保持部20の自由端側の左右側部に設けた接続布地25に縫い付けたベルト布地(符号及び記号は省略)を介して接続布地25に取付けられている。
【0087】
また、左右1対の肩ベルト部40の肩掛け部41には、本体部10と接続するための回転式のバックルの連結差込具43が取付けられている。この連結差込具43が、本体部10の乳幼児B側(内面側)で頭当部11と背当部12の境界付近の左右両側から乳幼児B側に突設した接続部14の先端に取付けた回転式バックルの連結受具44と連結係合することにより、回転式バックルの連結差込具43及び連結受具44と接続部14とによって肩ベルト部40と本体部10が接続され、人為的にバックルの係合を外さない限り、肩ベルト部40と本体部10の接続状態が固定され、本体部10と補助時支持部20の間に収容された乳幼児Bの保持を可能とする。
【0088】
特に、回転式バックルの連結差込具43と連結受具44の連結係合は、連結差込具43の球状の凸部と、本体部10に接続部14を介して取付けた連結受具44の円形状の凹部とを嵌合することにより、連結差込具43に対して連結受具44が回転自在に接合され、連結受具44の側部の1対のプッシュボタンを押すことで接合の解除が可能となっている。このとき、連結差込具43の係合凸部が球状で、連結受具44の係合凹部が円形状となっていることで、接合方向が特定されることなく、両者は何処の角度からでも接合することができるから、使い勝手がよい。また、このように連結差込具43と連結受具44が回転自在に接合されていることにより、使用者Mや乳幼児Bの動き等に応じ肩ベルト部40に対する本体部10の接続角度が変化し、肩ベルト部40を掛けた使用者Mの負担や、肩ベルト部40と本体部10との接続部にかかる負荷を軽減できる。
【0089】
なお、回転式バックルの連結差込具43は、肩掛け部41に縫い付けたベルト布(符号及び記号は省略)を介して肩掛け部41に取付けられており、また、連結受具44においても接続部14に縫い付けたベルト布(符号及び記号は省略)を介して接続部14に取付けられている。
勿論、本体部10と肩ベルト40とを接続する手段も、回転式のバックルに限定されず、例えば、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等の連結具を使用することも可能である。また、本発明を実施する場合には、肩ベルト部40と本体部10の接続手段において、アジャスター機能及び調節ベルトを設けて肩ベルト部40と本体部10間の接続長さを調節自在に構成しても良い。
【0090】
更に、本実施の形態のベビーキャリア1においては、肩ベルト部40の肩掛け部41に取付けられた連結差込具43を、肩掛け部41に取付けた被覆カバー45によって被覆することにより、乳幼児Bが誤ってバックルの係合を解除してしまうのを防止している。また、プラスチックで形成されるバックルの紫外線等による劣化を防止する。更に、肩掛け部41に乳幼児Bの唇が当たり、それによって乳幼児Bの唇が刺激され、肩ベルト部40を舐めることがあっても、肩掛け部41に取付けた被覆カバー45によって被覆することにより、バックルで乳幼児Bの唇や舌を怪我させることがない。
【0091】
ここで、被覆カバー45について、図においては、肩掛け部41と一体に形成しているが、例えば面ファスナー(マジックテープ(登録商標))等の接着布、チャック、ボタン、ホック等により肩掛け部41に被覆カバーを着脱自在な構成とし、被覆カバー45のみを交換可能に形成してもよい。これにより、乳幼児Bが舐めたり、唾液、乳が付着したりしても被覆カバー45のみを交換し清潔に保つことができ、舐めることによる不潔感を解消することができる。また、被覆カバー45の形状もバックルを覆い隠すことができれば、肩掛け部41に巻き付ける形態としても良い。なお、被覆カバー45を取り替え可能とする場合には、被覆カバー45にパイル地やガーゼを使用することで洗濯が容易で、乳幼児Bが違和感のない感触となり、不自然さがなくなる。
しかし、本発明を実施する場合には、被覆カバー45を設けることなく、バックルを表出させてもよい。
【0092】
また、本実施の形態の肩掛け部41には、左右の肩ベルト部40間の間隔を調整保持する肩ベルト調整部46が設けられている。この肩ベルト調整部46は、左肩に掛ける肩掛け部41にベルト可動用アジャスター48を介して取付けた所定長さの調整ベルト部46aの先端にバックルの連結差込具46cを取付け、また、右肩に掛ける肩掛け部41にベルト可動用アジャスター48及びベルト布46bを介してバックルの連結受具46dを取付けており、連結差込具46cと連結受具46dが係合自在となっている。そして、バックルの連結差込具46cのアジャスターに取付けた調整ベルト部46aによるベルト長の調節により、左右の肩ベルト部40間を接続する肩ベルト調整部46の接続長さを調節して、左右の肩ベルト部40相互間の間隔(距離)が調整できるようになっている。
【0093】
これにより、左右の肩ベルト部40を肩に掛けた状態で、肩ベルト調整部46の連結差込具46cと連結受具46dを連結係合することで、左右の肩ベルト部40の間隔が固定されて所定の距離を保つことができ、左右の肩ベルト部40が肩から外れることがなくなる。また、アジャスターに取付けた調整ベルト部46aによるベルト長によるベルト長の調節により、使用者Mの体型、使い勝手、好みや乳幼児Bの抱き方等に応じて、乳幼児Bの体重を支持する支点を使用者Mにとって負担の少ない位置に調節できる。よって、肩の凝りやすい人でも、肩の負担を軽減できる。
なお、本発明を実施する場合には、連結差込具46cと連結受具46dの両者にアジャスター機能を設けても良いし、何れか一方のみでもよいし、アジャスター機能を独立させてもよい。
【0094】
更に、本実施の形態の肩ベルト調整部46は、肩掛け部41の表面上に沿って配設したスライドベルト47に対して4方向にベルト通し部があるベルト可動用アジャスター48を介して摺動自在とされ、肩ベルト調整部46の位置が肩掛け部41の表面上で移動自在となっている。
したがって、左右1対の肩ベルト部40を使用者Mの肩に掛けた際でも肩ベルト調整部46の位置を移動させて肩ベルト調整部46の連結差込具46cと連結受具46dの連結係合の位置を使用者Mにとって連結係合の操作がし易い最適な位置に調節できる。また、使用者Mの体型、使い勝手、好みや乳幼児Bの抱き方等に応じて、乳幼児Bの体重を支持する支点を使用者Mにとって負担の少ない位置に調節できる。これによっても、肩の凝る人には肩の負担を軽減できる。
因みに、本発明を実施する場合には、左右の肩ベルト部40相互間の間隔(距離)を調節したり、固定したりする手段は、バックルの連結やバックルの摺動によるものに限定されることはない。また、これらの機能は一つの部材で行ってもよいし、別々の部材で行ってもよい。
【0095】
そして、本実施の形態のベビーキャリア1においては、長さ方向の一端を本体部10の乳幼児B側(内面側)に接続し、他端を補助保持部20の乳幼児B側(内面側)に接続した位置決め台座部30が本体部10と補助保持部20の間に渡されて配設されている。
このように本体部10と補助保持部20の対向側の両者間に位置決め台座部30が配設されていることで、本体部10と補助保持部20の間に収容された乳幼児Bの臀部が位置決め台座部30に受け止められることになる。
【0096】
本実施の形態の位置決め台座部30は、所定長を有し、その長さ方向の一端が本体部10の背当部12と臀当部13の境界部付近から一体に延び、反対側の他端が補助保持部20の略1/3乃至2/3の範囲の高さ(長さ)位置から一体に延び、本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成されたものである。
【0097】
図1、
図2、
図4及び
図5において、位置決め台座部30は、本体部10の背当部12と臀当部13の境界部付近から一体に延びて中心側に向かって徐々に幅狭とされたのち、反対側の他端部に向かって徐々に幅広とされ、乳幼児Bを対面抱っこや前向きおんぶで保持する際に乳幼児10の臀部にあてがわれる第2の臀当部31と、第2の臀当部31から一定の横幅で一体に延びて形成され長さ寸法を調節可能とする長さ調節部32とからなる。
【0098】
位置決め台座部30においても、所定の柔軟性、可撓性、弾性、緩衝性等を有する材料で形成され、特に長さ調節部32においては、折り畳みが可能な程度に柔軟性、可撓性等を有し、また、乳幼児10の臀部にあてがわれる第2の臀当部31においては、柔軟性、可撓性に加え、臀部を柔らかく受ける弾性、緩衝性等を有する材料で形成されている。長さ調節部32においても乳幼児Bに違和感や不快感を与えることない程度に弾性、緩衝性を有してもよい。そして、この位置決め台座部30においては、通常、乳幼児10の重みを受ける外力が加わったときにその重力方向に弾性力が強く働いて伸長、弾性変形することのない伸縮性の少ない材料で形成される。
【0099】
本実施の形態の第2の臀当部31は、所定の機械的強度を確保しつつも、乳幼児Bの臀部に蒸れ等を助長させることのない程度に臀部にあてる面積を設定している。特に、本実施の形態では、その横幅が臀当部13の左右の端部13B間の距離幅よりも幅狭で、臀当部13の中央部13Aと端部13Bとの接続形状、即ち、縫製線13aの形状に合わせて、左右両端縁部が内側に弧状に湾曲し、横幅寸法を変化させている。これにより、本体部10の立体裁断で形成された臀当部13に重ね合わせた使用状態で、臀当部13の左右の端部13Bが乳幼児Bの太股にあてられるようになっている。そして、乳幼児B側において、臀当部13の中央部13Aとその両側の端部13と間の奥行き構造が表出されるようになっている。
【0100】
第2の臀部受け部31から一体に形成された長さ調節部32は、横幅が一定に形成され、本体部10及び補助保持部20の対向側とは反対の裏面側に、その長さ寸法を調節可能とするための調節具としてのスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを有し、このスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bは、所定距離、離れて取付けられている。
【0101】
よって、長さ調節部32において所定距離、離して取付けたスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを合わせて閉じることにより、雌側33aと雄側33bの間の長さが折り畳まれた状態で固定され、本体部10と補助保持部20の間を接続する位置決め台座部30の長さが短縮されることになる。一方、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合を解除している状態では折り畳みが展開され、位置決め台座部30は本来の長さによって本体部10と補助保持部20の間を接続する。
【0102】
このように、本実施の形態のベビーキャリア1においては、本体部10と補助保持部20の対向側(内面側)で本体部10と補助保持部20の間に渡された位置決め台座部30を有し、この位置決め台座部30にて、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを所定距離、離して取付けていることにより、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合がなされていない状態では、位置決め台座部30の本来の長さによって本体部10と補助保持部20の間が接続される。一方で、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合させることにより、雌側33aと雄側33bの間の長さが折り畳まれた状態で固定され、本体部10と補助保持部20の間を接続する長さがスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33b間の距離長さ分だけ短縮される。
【0103】
こうして長さ調節部32において所定距離、離して取付けたスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合によって、位置決め台座部30の本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短縮可能とし、位置決め台座部30の本体部10と補助保持部20の間を接続する長さが調節可能となっている。
【0104】
これより、本体部10と補助保持部20との間に乳幼児Bを配置した際、本体部10と補助保持部20の間を渡す位置決め台座部30のスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合がなされていない状態では、本体部10と補助保持部20の間に配設された位置決め台座部30の長さが長いため、本体部10と補助保持部20の間の深さが深く、本体部10と補助保持部20の間に収容されて位置決め台座部30に臀部が受け止められる乳幼児Bは、その臀部の沈み深さが深くなる。即ち、乳幼児Bの臀部が低い位置で位置決めされることになる。
【0105】
本実施の形態では、第2の臀当部31の長さと長さ調節部32の長さを合わせた位置決め台座部30の全体長さは、本体部10の背当部12と臀当部13の境界部付近で位置決め台座部30が接続されたところから補助保持部20に接続される本体部10の下端までの長さと、その本体部10の下端部に接続した補助保持部20の下端から位置決め台座部30が接続されたところまでの長さとを合わせたその長さ寸法以上に形成されている。これより、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合がなされていない状態の位置決め台座部30の本来の長さによって本体部10と補助保持部20の間を接続している位置決め台座部30に受け止められた乳幼児Bの臀部の沈み深さを本体部10及び補助保持部20で形成される深さに限りなく近づけている。つまり、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合がなされていない状態では、位置決め台座部30が本体部10及び補助保持部20の長さに沿って重ね合わされた状態で、それらの上に乳幼児Bの臀部が到達する。
【0106】
一方で、本体部10と補助保持部20の間を渡す位置決め台座部30のスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを合わせて閉じた係合状態では、1対の雌側33aと雄側33b間の長さが折り畳まれて本体部10と補助保持部20の間を接続している位置決め台座部30の接続長さが短縮されることから、位置決め台座部30によって本体部10と補助保持部20の間の深さが底上げされ、本体部10と補助保持部20の間に収容されて位置決め台座部30に臀部が受け止められる乳幼児Bは、その臀部の沈み深さが浅くなる。即ち、乳幼児Bの臀部が高い位置で位置決めされることになる。
【0107】
したがって、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、保持対象とする乳幼児Bの身長が低いときには、本体部10と補助保持部20の間に渡されて配設された位置決め台座部30のスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合させて、位置決め台座部30において本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くすることで、乳幼児Bの臀部の沈みが高い位置で位置決めされることから、保持する乳幼児Bの身長が低くても本体部10と乳幼児Bの位置関係において乳幼児Bの頭部が低い位置とならず、乳幼児Bの頭部が頭当部11に適切に配置され、本体部10と補助保持部20の間で乳幼児Bの身体が沈み込む姿勢とならずに、負担の少ない快適な姿勢で乳幼児Bが安定して保持される。
【0108】
そして、保持対象とする乳幼児Bの身長が高いときには、即ち、成長により乳幼児Bが大きくなった際には、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合を解いて、位置決め台座部30において本体部10と補助保持部20の間の接続長さを本来の長さに展開することで、乳幼児Bの臀部の沈みが低い位置で位置決めされることから、乳幼児Bの身体に対して適切な位置で本体部10の頭当部11、背当部12、臀当部13があてがわれ、負担の少ない快適な姿勢で乳幼児Bが安定して保持される。
【0109】
特に、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、位置決め台座部30の長さ調節部32を補助保持部20側に配置し、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの係合状態で1対の雌側33aと雄側33b間の長さが折り畳まれるが、その折畳部32a(
図4)を第2の臀当部31側に倒して臀当部31に重ね合わせた位置32A(
図5、
図6、
図10、
図12参照)に乳幼児Bの臀部が受け止められる設計としている。即ち、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合して位置決め台座部30の本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くした状態では、1対の雌側33aと雄側33b間の長さが折り畳まれた折畳部32aを第2の臀当部31に重ね合わせた位置32Aが、乳幼児Bの臀部の沈みが受け止められる位置決め部位となっている。
【0110】
そして、本実施の形態では、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合して本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くした状態の位置決め台座部30に乳幼児Bの臀部が受け止められて位置決めされる位置決め部位32において、その左右方向(水平方向)の横幅W
3が、10cm〜20cmの範囲内、より好ましくは、15cm〜20cmの範囲内に設定されており、本体部10の下端の横幅W
1(=本体部10が腰ベルト部50に接続した接続幅W
1)の5/10以上、9/10以下、より好ましくは、3/5以上、4/5以下の範囲内としている。
つまり、本実施の形態の位置決め台座部30は、本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3が、本体部10の下端の横幅W
1(=本体部10が腰ベルト部50に接続した接続幅W
1)の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭に形成されている。
【0111】
更に、本実施の形態の補助保持部20は、少なくとも本体部10の下端に接続された位置から15cm高さまでは、その横幅が、本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くした状態の位置決め台座部30に乳幼児Bが受け止められる位置決め部位32Aの横幅W
3、即ち、乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3の1.4倍以下に設定されている。
【0112】
このように、本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くしたときに乳幼児Bの臀部が到達する位置決め部位32A(折畳部32aを第2の臀当部31に重ね合わせた位置)の横幅W
3、即ち、乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3が、本体部10の下端の横幅W
1(=本体部10が腰ベルト部50に接続した接続幅W
1)よりも5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭とされていることで、位置決め部位32Aに臀部が受け止められた乳幼児Bは、過度に脚を拡げなくとも、臀当部31の左右の側縁部より内側で位置決め部位32Aの左右両側から脚を出すことができる。
更に、補助保持部20において、位置決め台座部30の位置決め部位32Aに臀部が受け止められた乳幼児Bの両脚が左右両側から出される、少なくとも本体部10の下端に接続された下端から15cm高さまでは、最大でもその横幅を乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3の1.4倍以下とすることにより、開脚した乳幼児Bの脚の動き、殊に、膝関節から下位の脚の動きが自由となり、脚の開きも過度に要求されない。
【0113】
特に、位置決め部位32Aの横幅W
3が、本体部10の下端の横幅W
1(=本体部10が腰ベルト部50に接続した接続幅W
1)よりも5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内であり、かつ、補助保持部20において少なくとも本体部10の下端に接続された下端から15cm高さまでの横幅が、位置決め部位32Aの横幅W
3の1.4倍以下であれば、股や膝の関節が柔らかい首すわり前の低月齢の乳幼児Bを保持対象とする場合でも、股幅が必要以上に広げられて股関節が開き過ぎたり、脚の動きが制限されたりすることもなく、股や膝の関節に負荷がかかるのが防止され股関節脱臼も防止できる。そして、乳幼児Bの臀部の位置よりも高い位置で膝が曲げられ、M字開脚とする自然な開脚姿勢で、乳幼児Bの重心が脚側ではなく臀部にかかるようにして、乳幼児Bの体形に負担の少ない保持を可能とする。
【0114】
更に、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くした位置決め台座部30の位置決め部位32Aに臀部が到達した乳幼児Bの両脚が左右両側から出される補助保持部20において、少なくとも本体部10の下端から高さ位置が15cmの範囲で左右両側縁部の傾斜が90°〜140°の範囲内で本体部10及び腰ベルト部50に接続されている。なお、図においては、補助保持部20は本体部10及び腰ベルト部50の接続側の下方に向かって徐々に幅狭とされて本体部10の下部に接続している。これにより、特に、約130°の開脚が理想的とされる首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児Bを保持対象とする際でも、その乳幼児Bの自然な開脚を妨げることなく、また、股関節や鼠蹊部の圧迫も少なく、月齢が低い時期の乳幼児Bの体形にかかる負荷がより少ないものとなる。
【0115】
加えて、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、位置決め台座部30において、乳幼児Bの身体の背中側から臀部にかけてあてがわれる第2の臀当部31の上位では、下方に向かって徐々に幅狭とされ、臀当部13の中央部13Aとその両側の端部13Bの立体裁断によって形成された中央部13Aに対して左右両側の端部13Bが乳幼児B側に折り曲げられた構造であり、奥行きのある空間を表出させていることにより、長さ方向の折り畳みにより本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くした位置決め台座部30によって乳幼児Bの臀部を高い位置で保持する際に、特に、月齢が低い時期の乳幼児Bを保持対象とする場合であっても、乳幼児Bの臀部が落ち込み易くて乳幼児Bの体形を臀部よりも膝の位置を高くしたM字型開脚の状態に容易に導くことできる。即ち、乳幼児Bが膝よりも臀部に重心位置がかかる状態に容易に導いて、乳幼児Bにとって負担の少ない安定した保持形態で保持できる。更に、乳幼児Bの脚の動きの自由度も高くて、乳幼児BのM字に開脚した動きが自由になりやすい。よって、股関節脱臼を防止でき、乳幼児Bにとっての負担がより少ないものとなる。
【0116】
更に、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、本体部10の臀当部13を構成する中央部13A及び端部13Bが立体裁断によって形成されて内側に湾曲した縫製線13aで両者が接ぎ合わされていることによって、加えて、本体部10の下端及びその付近の縫製によって腰ベルト50に縫い付けられていることによっても奥行きのある立体的な空間が形成され、乳幼児Bの臀部を落ち込み易くして、乳幼児Bの体形を臀部よりも膝の位置を高くしたM字型開脚の状態に容易に導くことできる。即ち、乳幼児Bが膝よりも臀部に重心位置がかかる状態に容易に導いて、乳幼児Bにとって負担の少ない安定した保持形態で保持できる。
【0117】
また、本実施の形態のベビーキャリア1においては、補助保持部20が本体部10よりも狭い横幅で本体部10の下端に接続されていることから、位置決め台座部30の折り畳みが展開されて本体部10と補助保持部20の間を本来の長さで渡す位置決め台座部30によって、身長が大きくなった乳幼児Bの臀部の沈みが低い位置で受け止められる際でも、即ち、乳幼児Bが低い位置で保持される場合でも、その乳幼児Bの股幅が必要以上に広げられて脚の動きが制限されるのが防止される。
特に、本実施の形態のベビーキャリア1では、本体部10において、乳幼児Bの身体の背中側から臀部にかけてあてがわれる臀当部13の上方では、背当部12に向かって徐々に幅狭とされていることから、位置決め台座部30の折り畳みが展開されて本体部10と補助保持部20の間を本来の長さで接続した位置決め台座部30に身長が大きくなった乳幼児Bを着地させたときでも、乳幼児Bの膝関節の動きが自由になりやすい。
【0118】
そして、本実施の形態の位置決め台座部30は、本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成していることで、位置ずれが生じることもなく本体部10及び補助保持部20への接続強度が安定している。特に、位置決め台座部30において本体部10と補助保持部20の間の長さを短くした状態では、主に位置決め部位32Aで乳幼児Bの体重を受け止めて本体部10と補助保持部20の接続側下端の底部から底上げされて乳幼児Bを支持することになるから、位置決め台座部30は、乳幼児Bの体重に十分耐えるように、本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成されて十分な機械的強度を持たせており、信頼性の高い橋渡し状態としている。
更に、位置決め台座部30の折り畳み状態を固定し長さ調節を行うための調節具がスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bであるから、折り畳み状態での固定の安定性も高く位置ずれが生じることもない。
【0119】
よって、本体部10及び補助保持部20の間の長さを短くした位置決め台座部30に乳幼児Bが受け止められるときでも揺動が少なくて乳幼児Bの臀部の重心位置も安定しやすく、体勢が不安定な首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児Bが保持対象であっても乳幼児Bがぐらつき難く、乳幼児Bにかかる負荷を少なくできる。即ち、本体部10及び補助保持部20の間に配設された位置決め台座部30において、その長さを短くしたときには、乳幼児Bの重みによって安定した張力がかかり、乳幼児Bの臀部の受け止めがそこに安定するから低月齢の乳幼児Bであっても乳幼児Bの体の位置が安定して安定感が得られ、保持姿勢に負担の少ないものとなる。
【0120】
更に、本実施の形態では、位置決め台座部30の長さ調節を行うためのスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bが、乳幼児Bの臀部を受け止める側とは反対側の裏面に取付けられていることから、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bが着地した乳幼児Bの身体に直接触れることがない。よって、スライド式ファスナ33によって怪我をさせることもなく、違和感や不快感を生じさせる恐れも少ない。
勿論、位置決め台座部30が本体部10及び補助保持部20から連続して一体に形成されており、位置決め台座部30を本体部10及び補助保持部20に取付けるための着脱部材もないことから、着脱部材による違和感や不快感を与えることもなく、また、着脱部材を必要としていないことで、位置決め台座部30を紛失する恐れもない。
【0121】
なお、本体部10及び補助保持部20の間の長さを短くした位置決め台座部30に乳幼児Bの臀部が受け止められて臀部の重みを支持する位置決め部位として、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bの間を長さ方向に折り畳んだ折畳部32aを第2の臀当部31側に倒して臀当部31に重ね合わせた位置32Aとする説明をしてきたが、実際に乳幼児Bを位置決め部位32Aで受け止める際には、折畳部32aを第2の臀当部31に重ね合わせた状態で使用してもよいし、折畳部32aを臀当部31に重ね合わせることなく乳幼児Bの股側に配置した状態で使用してもよい。このように第2の臀当部31への折畳部32aの重ね合わせの選択によっても乳幼児Bの臀部の高さ位置を調節できる。特に、折畳部32aを第2の臀当部31に重ね合わせた状態の使用では、機械的強度が高く、乳幼児Bの臀部の位置も安定化して保持位置の安定性が増す。
なお、第2の臀当部31に折畳部32aを重ね合わせた状態で固定する手段を別途設けることも可能である。
【0122】
また、上記実施の形態においては、位置決め台座部30が、補助保持部20の中間付近で下端から10cmの高さ(長さ)位置で接続されているが、本発明を実施する場合には、それより低い位置で接続することも可能であるし、位置決め台座部30の長さを長くして更に高い位置で接続しても良い。何れにせよ、本体部10及び補助保持部20の間の長さを短くした位置決め台座部30によって、乳幼児Bを高い位置で保持する際でも、通常、本体部10及び補助保持部10の下端の本来の深さよりも、乳幼児Bの重みによる撓み等を考慮しても、5cm〜10cm程度底上げされる設計とされる。また、本体部10への接続位置も臀当部13と背当部12の境界位置より下方でも良いし、上方でもよい。好ましくは位置決め台座部30の本来の長さを30cm〜40cmの範囲内とすると揺れが少なく、乳幼児Bへ負担を小さくできる。
【0123】
次に、このように構成された本実施の形態のベビーキャリア1を使用して乳幼児Bを保持するときの使用形態について説明する。
本実施の形態のベビーキャリア1を使用して乳幼児Bを保持する際には、使用者Mに近い方に補助保持部20が配設され、使用者Mから遠い方に本体部10が配設され、それら本体部10と補助保持部20との間に乳幼児Bが収容される。例えば、
図10及び
図11に示すように、乳幼児Bと使用者Mの顔が相向き合う縦向きの対面抱っこや、
図12及び
図13に示すように、乳幼児Bを使用者Mの背中側で使用者Mと同一方向に向けた縦向きの前向きおんぶでは、乳幼児Bの身体の腹側が使用者Mに向くように本体部10と補助保持部20との間に乳幼児Mが配置される。
【0124】
そして、補助保持部20の左右両側に連結調整部22(
図10乃至
図13においては符号及び記号は省略)を介して設けたバックルの連結差込具23(
図10乃至
図13においては符号及び記号は省略)を、本体部10の背当部12と臀当部13の境界部の外面側に設けたバックルの連結受具24(
図10乃至
図13においては符号及び記号は省略)に嵌合させて接続部21により本体部10及び補助保持部20を左右の側面側で接続することにより、本体部10と補助保持部20との間の間隔を制限し、また、本体部10と補助保持部20との間に収容された乳幼児Bの胴体の左右の傾きを側面側で拘束し、乳幼児Bの脱落を防止する。更に、補助保持部20と本体部10と接続部21によって形成される環状に乳幼児Bの脚が通されることで、乳幼児Bの反り返りによる落下や、使用者Mの前屈等によって本体部10の頭当部11側から乳幼児Bが落下するのを防止できる。
【0125】
また、肩ベルト部40に設けた回転式バックルの連結差込具43に、本体部10の内面側(乳幼児B側)において頭当部11と背当部12との境界部から突設した接続部14の先端に取付けた回転式バックルの連結受具44を嵌合させることにより、本体部10と肩ベルト部40の間を接続する。
【0126】
特に、本実施の形態のベビーキャリア1においては、このように本体部10の内面側(乳幼児B側)において頭当部11と背当部12との境界部の面からクッション性に富む接続部14を突設していることで、乳幼児Bの首部及び頭部の側面側をガードできるから、乳幼児Bの左右側の傾きにも対応して、乳幼児Bの首部及び頭部の側面側を支持して、乳幼児Bの首部及び頭部のグラつきを防止できる。よって、首すわり前の低月齢の乳幼児Bを保持する際でも、首部及び頭部のグラつきを防止して乳幼児Bの首曲がりを防止しできるから、乳幼児Bの頭部や首部にかかる負荷を少なくできる。
【0127】
そして、一端部が補助保持部20の左右の上端に固着され、他端部が補助保持部20の上部の左右側部に固着されて補助保持部20に環状に接続した左右1対の肩ベルト部40を使用者Mの肩に掛け、また、補助保持部20及び本体部10の下端に配設した腰ベルト部50を使用者Mの腰回りに巻いて、その両端部に取付けたバックルの連結差込具53と連結受具54(
図10乃至
図13においては符号及び記号は省略)を嵌合し、環状に連結して使用者Mの腰回りに固定することにより、ベビーキャリア1が使用者Mに装着される。これにより、本体部10と補助保持部20の間に収容された乳幼児Bの体重を使用者Mの両肩、背中及び腰に分散させ、乳幼児Bを抱っこまたはおんぶで保持する。
【0128】
なお、上述したように、本実施の形態のベビーキャリア1では、左右1対の肩ベルト部40において、調節ベルト部42のアジャスター42c,42bによって調節ベルト部42のベルト長を調節することにより、肩ベルト部40のベルト長を調節できるようになっている。更に、肩掛け部41に設けた肩ベルト調整部46のバックルの連結差込具46cと連結受具46dを連結係合させて左右の肩ベルト部40の間隔を所定の距離で固定することによって、左右の肩ベルト部40が使用者Mの肩から外れることがないようにできる。また、連結差込具46bと連結受具46dの一方または両方にアジャスター機能が設けられていることで、肩ベルト調整部46の長さを調節して、左右の肩ベルト部40相互間の間隔(距離)も調整できる。加えて、肩掛け部41に設けたスライドベルト47及びベルト可動用アジャスター48によって、肩ベルト調整部46の位置も調節できる。よって、使用者Mの体型等に応じ、使用者Mにとって負担の少ない位置に肩ベルト40を配置できる。
【0129】
このように肩ベルト調整部46によって左右一対の肩ベルト部40の間隔を調整でき、更に、調節ベルト部42のアジャスター42c,42bによって肩ベルト部40の長さ調節をでき、加えて、スライドベルト47及びベルト可動用アジャスター48によって、肩ベルト調整部46の位置を調節できることできることにより、使用者Mの体型に応じて、また、乳幼児Bを抱っこしたり、おんぶしたりする乳幼児Bの位置に応じて使用者Mにとって乳幼児Bを楽に保持できる最適な位置に設定することが容易に可能である。また、乳幼児Bと使用者Mとの間隔調節が容易にできて、乳幼児Bにとっての保持姿勢を適切に設定することができる。このため、体勢が不安定な低月齢の乳幼児Bを保持する場合でも、使用者Mの体形に肩ベルト部40をフィットさせ、乳幼児Bを使用者Mに密着させて安定的に保持することが可能である。また、乳幼児Bが膝よりも臀部に重心位置がかかるように調節して、低月齢の乳幼児Bを保持する際でも負担が少ない保持態様に容易に調節できる。更に、成長して大きくなった乳幼児Bを保持する際でも、肩ベルト部40の使用者Mへの装着状態を調節して、乳幼児Bが窮屈感を感じない適切な保持姿勢で保持することができる。
【0130】
また、腰ベルト部50においても、バックルに設けたアジャスター機能により長さ調節部52の長さを調節することによって、腰ベルト部50のベルト長を調節できるから、使用者Mの体型等に応じて腰回りにフィットさせることができ、使用者Mへの負担を少なくできる。
なお、本実施の形態のベビーキャリア1では使用者Mの腰に腰ベルト部50を止めてから、左右一対の肩ベルト部40を止めても良いし、逆に、左右の肩ベルト部40を止めてから、使用者Mの腰に止める腰ベルト部50を止めても良く、使い勝手が良い。
【0131】
そして、本実施の形態のベビーキャリア1においては、乳幼児Bが収容される本体部10と補助保持部20の間で本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成された位置決め台座部30が配設されており、その位置決め台座部30において、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bが所定の離間距離で取付けられている。このため、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを合わせてそのファスナを閉じる係合によって、位置決め台座部30の長さ方向の一部を折り畳み状態で固定可能とし、本体部10及び補助保持部20の間の接続長さを短くできる。即ち、位置決め台座部30によって、本体部10及び補助保持部20の間の深さの調節を自在とし、乳幼児Bの臀部の沈み深さを調節できる。
【0132】
したがって、例えば、
図10に示すように、乳幼児Bと使用者Mの顔が相向き合う対面抱っこで乳幼児Bを保持する際に、身長が低い低月齢の乳幼児Bであっても、本体部10及び補助保持部20の間の接続長さを短くした位置決め台座部30によって、乳幼児Bの臀部の位置を高くできるから、本体部10と補助保持部20の間で沈み込んだり埋もれたりしてしまうことがなく、乳幼児Bの身体の適切な位置に本体部10の頭当部11、背当部12及び臀当部13があてがわれ、乳幼児Bの負担を小さくして快適な保持を可能とする。
【0133】
特に、首すわり前の体勢が不安定な低月齢の乳幼児Bであっても、乳幼児Bの身体の適切な位置に本体部10の背当部12及び臀当部13があてがわれ、また、乳幼児Bの頭部に本体部10の頭当部11が適切に配置され、更に、本体部10の内面側(乳幼児B側)において頭当部11と背当部12との境界部の面から突設させたクッション性に富む接続部14が乳幼児Bの首部及び頭部の側面側をガードできるから、乳幼児Bの首部及び頭部の後方及び側面側を適切に支持して、首部及び頭部のグラつきを防止し、使用者Mの歩行等による振動でも負担がかかりやすい低月齢の乳幼児Bでも、乳幼児Bの体形、殊に頭部や首部にかかる負担を少なくできる。
【0134】
また、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合して本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くした状態の位置決め台座部30に乳幼児Bの臀部が沈む位置決め部位32Aにおいて、その左右方向(水平方向)の横幅W
3を、本体部10の下端の横幅W
1(=本体部10が腰ベルト部50に接続した接続幅)の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の範囲内の幅狭とし、かつ、補助保持部20において、少なくとも本体部10の下端に接続された位置から15cm高さまでの横幅は、位置決め部位32Aの横幅の1.4倍以下に形成されていることから、首すわり前の体勢が不安定な低月齢の乳幼児Bが保持対象であっても、乳幼児Bの股幅が必要以上に広げられたり、脚の動き、殊に膝関節の動きが制限されたりするのが防止される。よって、乳幼児Bの体形を臀部よりも膝の位置を高くしたM字型に開脚した自然な姿勢での保持を可能とし、乳幼児Bの体形に負担の少ないものとなる。
【0135】
殊に、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、本体部10と補助保持部20の間の接続長さを短くした位置決め台座部30の位置決め部位32Aに臀部が沈んだ乳幼児Bの脚が左右両側から出される補助保持部20の少なくとも本体部10の下端に接続された位置から15cm高さまでにおいて、左右両側縁部の傾斜が90°〜140°の範囲内の角度で本体部10の下端部に接続していることから、約130°の開脚が理想的とされる首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児Bの自然な開脚を妨げることがなく、股関節や鼠蹊部への圧迫も少ない。
【0136】
更に、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、位置決め台座部30の第2の臀当部31の両側において、内側に湾曲した縫製線13aにて接ぎ合わせられる立体裁断によって形成された臀当部13の中央部32A及びその左右両側の端部32Bの境界近傍が表出され、中央部13Aに対して左右両側の端部13Bが乳幼児B側に向かって折り曲がり自在とされ、奥行きのある立体的な空間が形成できる。よって、本体部10と補助保持部20の間に収容された乳幼児BのM字に開脚した動きが自由になりやすい。
【0137】
また、内側に湾曲した縫製線13aにて接ぎ合わせられる立体裁断によって形成された臀当部13の中央部32A及びその左右両側の端部32Bによって、乳幼児Bの保持状態では所定の柔軟性、可撓性、弾性、緩衝性等を有する材料で形成された中央部13Aが後方に向かって湾曲しやすくなっている。よって、乳幼児Bの臀部が落ち込み易くて乳幼児Bが膝よりも臀部に重心位置がかかりやすく、低月齢の乳幼児Bを保持する際でも負担が少ない保持態様となり、乳幼児Bの臀部の位置が適切な位置で安定化され、乳幼児Bの保持安定性が高くなっている。
【0138】
このように、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児Bを前向き抱っこする際でも負担の少ない開脚姿勢で安定した保持を可能とする。
【0139】
また、
図12に示すように、乳幼児Bを使用者Mの背中側で使用者Mと同一方向に向けた前向きおんぶする場合では、本体部10及び補助保持部20の間を接続する位置決め台座部30の長さを短くして乳幼児Bの臀部の位置を高くできることで、乳幼児Bの位置を使用者Mの腰の位置からより離れた位置で保持できることになるから、使用者Mの背骨と乳幼児Bの背骨が反発することなく使用者Mの曲線状の背骨ラインの形状に対して乳幼児Bの曲線状の背骨ラインの形状が沿いやすく、使用者Mに乳幼児Bが密着しやすくなる。よって、使用者M及び乳幼児Bにとって楽な姿勢で快適な保持が可能となる。特に、乳幼児Bをおんぶする使用者Mは抱っこよりも乳幼児Bの重みを感じ難くなり、楽に保持できる。また、使用者Mに乳幼児Bが密着しやすくなることによって、乳幼児Bの後方への反り返りが生じ難い状態のものとなる。
【0140】
一方、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合させることなく位置決め台座部30の本来の長さによって本体部10及び補助保持部20の間を接続した状態では、位置決め台座部30が本体部10及び補助保持部20に重なり合ってそれに沿うことから、
図11及び
図13に示すように、位置決め台座部30に受け止められる乳幼児Bの臀部の沈み深さは深くなる。
よって、乳幼児Bが成長して身長が高くなった際でも、本体部10及び補助保持部20の間の長さを本来の長さとした位置決め台座部30によって、乳幼児Bの臀部が低い位置で位置決めされることで、乳幼児Bの身体の適切な位置に本体部10の頭当部11、背当部12及び臀当部13があてがわれ、乳幼児Bの負担が小さい快適な保持を可能とする。
【0141】
なお、
図13に示すように、本体部10及び補助保持部20の間の長さを本来の長さとした位置決め台座部30に乳幼児Bの臀部を着地させて低い位置でおんぶする場合でも、補助保持部20と本体部10が接続部21によって接続されて、補助保持部20と本体部10と接続部21によって形成される環状に乳幼児Bの脚が通されていることで、乳幼児Bの反り返りによる落下を防止できる。
【0142】
このようにして、本実施の形態のベビーキャリア1によれば、本体部10と補助保持部20の間の内面側に渡されて配設された位置決め台座部30の長さがスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bによって調節自在とされていることにより、乳幼児Bの身長や抱っこまたはおんぶの保持形態によって保持する乳幼児Bの高さ位置を調節可能である。
特に、本体部10と補助保持部20の間を渡す長さを短縮したときの位置決め台座部30に乳幼児Bが受け止められる位置決め部位32Aの横幅寸法及び乳幼児Bの身体の股側にあてがわれる補助保持部20の横幅寸法を特定することにより、月齢が低い時期の乳幼児Bでも負担の少ない安定した保持を可能とし、また、乳幼児Bの月齢、大きさ、成長に応じて負担をかけない開脚姿勢で保持できる。
そして、位置決め台座部30の長さ調節を行うためのスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bが位置決め台座部30において乳幼児Bの着地側とは反対側の裏面に取付けられていることで、乳幼児Bに違和感や不快感を与えることなく乳幼児Bの臀部の高さ位置を調節することができる。
【0143】
以上説明してきたように、上記実施の形態に係るベビーキャリア1は、使用者M側とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれ乳幼児Bを支持する本体部10と、本体部10の下端部に接続され、本体部10とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれる補助保持部20と、本体部10と補助保持部20の対向側で本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成されて本体部10と補助保持部20の間に渡されて配設され、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bによる折り畳む長さ調節によって、本体部10と補助保持部20の間の長さを調節して本体部10と補助保持部20の間の深さの調節を自在とし、乳幼児Bの臀部の沈み深さを位置決めする位置決め台座部30と、補助保持部20に接続され、乳幼児Bを保持する使用者Mの肩に掛けられる1対の肩ベルト部40と、本体部10と補助保持部20の下端部に接続し、使用者Mの腰回りに装着する腰ベルト部50とを具備するものである。
【0144】
したがって、上記実施の形態に係るベビーキャリア1によれば、本体部10及び補助保持部20の間に配設された位置決め台座部30に本体部10及び補助保持部20の間に収容された乳幼児Bが受け止められることになるが、位置決め台座部30の裏面に所定距離で取付けられたスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合させて長さ調節部32の折り畳みにより本体部10及び補助保持部20の間の位置決め台座部30の長さを短くすると、本体部10及び補助保持部20の間に収容される乳幼児Bの臀部の沈み深さが浅くなり、一方で、高さ長さ調節部32の折り畳みを展開して本体部10及び補助保持部20の間の位置決め台座部30の長さを長くすると、本体部10及び補助保持部20の間に収容される乳幼児Bの臀部の沈み深さが深くなり、位置決め台座部30の長さの調節により保持する乳幼児Bの高さ位置を調節できる。
【0145】
よって、身体が小さい低月齢の乳幼児Bでも、長さ調節部32の折り畳みにより本体部10及び補助保持部20の間の位置決め台座部30の長さを短くして、本体部10の下端部と補助保持部20の下端部の接続位置よりも高い位置で乳幼児Bを保持することができることから、乳幼児Bが本体部10と補助保持部20の間で沈み込んだり埋もれたりしてしまうことなく、乳幼児Bの頭部の位置がそれを保護する本体部10の頭当部11に適切に配置されて、乳幼児Bの負担を小さくでき、快適な保持を可能とする。また、乳幼児Bが成長して身体が大きくなった際には、長さ調節部32の折り畳みを展開し、本体部10及び補助保持部20の間の位置決め台座部30の長さを長くして、本体部10の下端部と補助保持部20の下端部の接続側の低い位置で乳幼児Bを保持して、本体部10の頭当部11、背当部12及び臀当部13を乳幼児Bの身体の適切な位置にあてがい保護し、快適な保持を可能とする。また、使用者Mにとっても、快適な保持位置に乳幼児Bの高さ位置を調節できることになる。このように保持する乳幼児Bの月齢、大きさ、成長に応じて、乳幼児Bの保持の高さ位置を調節し、乳幼児B及び使用者Mにとって負担の少ない保持を可能とする。
【0146】
また、前記位置決め台座部により乳幼児の臀部の沈み深さが上位に底上されることで、乳幼児の股幅の開きが前記本体部の下端部の横幅寸法に左右されることなく、前記位置決め台座部の下位から、補助保持部及び本体部の両者が接続されている閉じられた下端部までの空間に、乳幼児が脚を収めることができるようになるから、低月齢の乳幼児にとってその股関節の開き過ぎの防止が可能となる。
更に、このように乳幼児Bの臀部を受け止める位置決め台座部30は、本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成されたものであるから、位置ずれが生じることもなく接続強度が安定しており、乳幼児Bの重みによって本体部10及び補助保持部20から位置決め台座部30が外れることもなくて信頼性が高く、また、長さを短くした位置決め台座部30に臀部が受け止められた乳幼児Mにとって、使用者Mの歩行等による振動でも揺動し難くて乳幼児Bの臀部の重心位置も安定しやすく、体勢が安定しない首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児Bにとっても揺れやぐらつきを少なくでき、安定した保持ができる。
このようにして、乳幼児Bの保持の高さ位置を調節することができ、かつ、乳幼児Bの月齢、大きさ、成長に応じて負担をかけない開脚姿勢の保持を可能とし、月齢が低い時期の乳幼児Bでも負担の少ない安定した保持を可能とする。
【0147】
特に、上記実施の形態に係るベビーキャリア1の位置決め台座部30は、その裏面に所定距離、離間して取付けられたスライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを係合させることにより長さ方向の折り畳み状態が固定され、その折り畳みにより本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅としての位置決め部位32Aの横幅W
3が、補助保持部20と接続する本体部10の下端部の横幅W
1の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭に形成されている。
【0148】
位置決め台座部30において、長さ方向の折り畳みにより本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたときに乳幼児Bの臀部が受け止められる位置決め部位32Aの横幅W
3、即ち、乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3が、本体部10の下端部の横幅W
1の1/3〜2/3の範囲内の幅狭に形成されているから、首すわり前の低月齢の乳幼児Bを保持対象としても、乳幼児Bの股幅が必要以上に広げられて股関節が開き過ぎたりすることなく、股関節脱臼が防止され、M字開脚とする自然な開脚姿勢で負担の少ない保持を可能とする。
【0149】
また、上記実施の形態に係るベビーキャリア1の補助保持部20は、本体部10の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅が、最大でも、本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅としての位置決め部位32Aの横幅W
3の1.4倍の以下であるものである。
特に、補助保持部20において、本体部10の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅が、最大でも、本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたときに乳幼児Bの臀部が受け止められる位置決め部位32Aの横幅W
3、即ち、乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3の1.4倍以下であるから、首すわり前の低月齢の乳幼児Bを保持対象としても、脚の動き、殊に膝関節の動きが拘束されたりすることなく、乳幼児Bの窮屈感も開放され、M字開脚とする自然な開脚姿勢でより負担の少ない保持を可能とする。
【0150】
このように、上記実施の形態に係るベビーキャリア1は、使用者M側とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれ乳幼児Bを支持する本体部10と、本体部10の下端部に接続され、本体部10とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれる補助保持部20と、本体部10と補助保持部20の対向側で本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成されて本体部10と補助保持部20の間に渡されて配設され、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bによる折り畳む長さ調節によって、本体部10と補助保持部20の間の長さを調節して本体部10と補助保持部20の間の深さの調節を自在とし、乳幼児Bの臀部の沈み深さを位置決めする位置決め台座部30と、補助保持部20に接続され、乳幼児Bを保持する使用者Mの肩に掛けられる1対の肩ベルト部40と、本体部10と補助保持部20の下端部に接続し、使用者Mの腰回りに装着する腰ベルト部50とを具備し、位置決め台座部130は、本体部10と補助保持部20との間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3が、本体部10の下端部の横幅W
1の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭に形成されており、かつ、補助保持部20は、本体部10の下端部との接続位置から15cmの範囲内の高さ位置までの左右両側の横幅が、最大でも、本体部10と補助保持部20との間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3の1.4倍以下である。
【0151】
即ち、上記実施の形態に係るベビーキャリア1は、左右1対の肩ベルト部40により使用者Mに装着され、乳幼児Bの身体にあてがわれ乳幼児Bを広い面積で支持する本体部10と、一端が本体部10の下端部に接続され本体部10とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれる補助保持部20と、本体部10及び補助保持部20から一体に連続して本体部10と補助
保持部20の間に渡されて乳幼児Bの臀部の沈み深さを位置決めする位置決め台座部30とを有し、位置決め台座部30において、その長さ方向に折り畳む長さ調節によって本体部10と補助保持部20の間の深さの調節を自在とし、本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3を、本体部10の下端部の横幅W
1の5/10以上、9/10以下の範囲内、より好ましくは、3/5以上、4/5以下の範囲内の範囲内の幅狭に形成し、かつ、補助保持部20において、本体部10の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅を、最大でも、本体部10と補助保持部20との間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅の1.4倍以下であるものである。
【0152】
したがって、上記実施の形態に係るベビーキャリア1によれば、位置決め台座部30は、本体部10と補助保持部20との間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3が、本体部10の下端部の横幅W
1の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭に形成され、かつ、補助保持部20は、本体部10の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅が、最大でも、本体部10と補助保持部20との間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅の1.4倍以下であるであるから、首すわり前の低月齢の乳幼児Bを保持対象としても、乳幼児Bの股幅が必要以上に広げられて股関節が開き過ぎたり脚の動きが拘束されたりすることなく、股関節脱臼が防止され、M字開脚とする自然な開脚姿勢で負担の少ない保持を可能とする。
また、本体部10と補助保持部20との間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅よりも本体部10の下端部が所定の幅広であるから、位置決め台座部20の折り畳みを展開して本体部10及び補助保持部20の間を渡す長さを長くして位置決め台座部30に乳幼児Bの臀部が受け止められたときでも、本体部10の下部の適度な広い寸法によって乳幼児Bの臀部が広く覆われて開脚姿勢に負担をかけることなく、安定した保持が可能である。更に、乳幼児Bの股幅が適切な幅で開脚して保持されることで、使用者Mとの密着感を得て安心感も増し、快適な抱き心地となる。
【0153】
そして、長さ方向の折り畳みにより本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたときに乳幼児Bの臀部が受け止められる位置決め部位32Aの横幅W
3、即ち、乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
3よりも本体部10の下端部が所定の幅広であるから、折り畳みを展開して本体部10と補助保持部20の間を渡す長さを長くした位置決め台座部30に乳幼児Bの臀部が受け止められるときでも、本体部10の下部の適度な広い寸法によって乳幼児Bの臀部が広く覆われて開脚姿勢に負担をかけることなく、安定した保持が可能である。
【0154】
また、位置決め台座部30が本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成されているから、別途、底上げ用に本体部10と補助
保持部20の中に取付けるクッション材等を用意する必要がないので紛失の恐れがなく、クッション材等による蒸れや暑さの助長もなく快適な保持を可能とする。
【0155】
このようにして上記実施の形態に係るベビーキャリア1によれば、乳幼児Bの保持の高さ位置を調節することができ、かつ、乳幼児Bの成長に応じて負担をかけない開脚姿勢で保持でき、月齢が低い時期の乳幼児Bでも負担の少ない安定した保持を可能とし、長時間乳幼児Bを保持しても乳幼児Bの疲れを少なくできる。そして、乳幼児Bへの負担が少ないことで、特に低月齢の乳幼児Bを保持した際に寝かしつけにも有利で、快適な睡眠環境を作り出すことができる。
【0156】
また、上記実施の形態に係るベビーキャリア1の補助保持部20は、本体部10の下端部との接続側である水平方向の下端と、そこから15cmの高さ位置までの左右両側縁とのなす角度が90°以上、140°以下の範囲内である。
【0157】
ここで、上記本体部10の下端部との接続側である水平方向の下端と、そこから15cmの高さ位置までの左右両側縁とがなす角度が90°〜140°の範囲内とは、補助保持部20において、本体部10と接続するその下端から前記15cmまでの高さの範囲内で、本体部10と補助保持部20との間の長さを短くしたときの位置決め台座部30に臀部が受け止められて高い位置で保持される乳幼児Bの両脚に対して、補助
保持部20の両側の縁が触れることになるから、その乳幼児Bの脚に触れる補助
保持部20の両側の縁の傾きを、下端の水平方向に対して90°〜140°の範囲内とすることで、首すわり前の低月齢期の乳幼児Bを保持対象とした際に、乳幼児Bの身体の股関節や鼠蹊部への圧迫も少なく、その乳幼児Bにとって理想的な約130°の開脚姿勢に近い形態に自然と導きやすくしたものである。
【0158】
したがって、上記実施の形態に係るベビーキャリア1によれば、補助保持部20は、本体部10の下端部との接続側である水平方向の下端と、そこから15cmの高さ位置までの左右両側縁とがなす角度が90°以上、140°以下の範囲内であるから、特に、約130°の開脚が理想的とされる月齢が低い時期の乳幼児の自然な開脚を妨げることがなくて、乳幼児の身体の股関節や鼠蹊部への圧迫も少なく、乳幼児の体形により負担の少ない保持が可能である。よって、130°の開脚姿勢が理想的である首すわり前の月齢が低い時期の乳幼児Bを保持対象とした場合でも、その開脚姿勢に近い姿勢に導くことができる。
【0159】
更に、本実施の形態に係るベビーキャリア1は、位置決め台座部30を長さ方向に折り畳んで本体部10と補助保持部20の間の長さを短くしたとき、その折り畳んだ部分32aが乳幼児Bの臀部を受け止める位置決め部位32Aとなることから、その折り畳んだ部分32aの嵩増しによって、安定感が増す。また、折り畳みの重ねの選択によって位置決め部位32Aの厚み、即ち、高さを調節でき、乳幼児Bの保持高さの位置の選択幅が広がる。
【0160】
更に、本実施の形態に係るベビーキャリア1の本体部10は、臀当部13において、中央部13Aに対してその左右両側の端部13Bが乳幼児B側に向かって折り曲げ自在とされ、乳幼児Bが収容される空間が奥行きのある立体的な空間を形成している。よって、本実施の形態に係るベビーキャリア1によれば、月齢が低い時期の乳幼児Bを保持対象として乳幼児Bの臀部全体を覆うように(包み込んで)保護しても、M字に開脚した動きが拘束され難く、乳幼児Bの窮屈感がより開放されて、月齢が低い時期の乳幼児Bにとってより負担が少ない保持を可能とする。また、乳幼児B側とは反対側の外面側から見て、見た目が立体的でスリムにまとまったすっきりとした印象を与えることができる。更に、乳幼児Bの臀部の位置よりも高い位置で膝が曲げられるM字開脚とする自然な開脚姿勢を維持しやすく、乳幼児Bの重心が脚側ではなく臀部にかかる保持形態に導くのが容易となり、乳幼児Bの体形により負担の少ない保持を可能とする。
より好ましくは、立体裁断による接ぎ合わせによって折り曲げ自在とし、その接ぎ合せ部位では中心側(内側)に向けて湾曲した縫製により、また、本体部10の下端及びその付近の縫製によって腰ベルト部50に一体に縫い合わせることにより、更に奥行きを持たせて、乳幼児Bの臀部を落ち込みやすくし、乳幼児Bの臀部の位置から重心位置が定まることで、乳幼児Bの体形にかかる負担を軽減できる。
【0161】
加えて、本実施の形態に係るベビーキャリア1では、本体部10と補助保持部20の下部に接続し、使用者Mの腰回りに装着する腰ベルト部50を有することによって、乳幼児Bの体重を使用者Mの肩・背中と腰に分散させて、使用者Mの肩への負担を軽くしているが、本発明を実施する場合には、腰ベルト部50を省略することも可能である。即ち、本体部10と補助
保持部20間に乳幼児Bが配置されることで、乳幼児Bが保持されるから、腰ベルト部50については必ずしも必要とされるものでなく、左右の肩ベルト部40のみで乳幼児Bの体重を支持して乳幼児Bを抱いたりおんぶしたりする形態としても良い。
【0162】
なお、上記実施の形態のベビーキャリア1においては、肩ベルト部40が補助保持部20の上下方向に接続されたものであるが、本発明を実施する場合には、乳幼児Bを保持することができれば、本体部10に肩ベルト部40が接続されても良いし、本体部10と補助保持部20とに肩ベルト部40が接続された構成としても良い。何れにせよ乳幼児Bの身体の邪魔にならない位置に接続されて、使用者Mの肩が通される環状を形成するように構成されていればよい。
更に、左右一対の肩ベルト部40を使用者Mの肩に平行に装着する形態に限らず、左右一対の肩ベルト部40をクロス掛けで装着する構造としてもよい。
【0163】
また、上記実施の形態のベビーキャリア1においては、位置決め台座部30において、折り畳み状態を固定するための固定手段として、スライド式ファスナ33の1対の雌側33aと雄側33bを使用して長さ調節部32の折り畳みによる長さ調節を可能としているが、本発明を実施する場合には、スライド式ファスナ33の数を増やして、段階的に折り畳み長さを選択可能に形成することも可能である。折り畳みの重ね枚数の調節によっても乳幼児Bの臀部の高さ位置を調節するその選択幅が広がる。
【0164】
折り畳みを固定する手段としてはスライド式ファスナ33に限定されず、スナップ、ボタンとループ、フックとリング、接着布等であっても良いし、別体のアジャスター等の取付けによって行っても良い。固定手段となる部材(部品)が位置決め台座部30に固着しているものであれば、紛失することもなく管理が容易であるが、使用時に折り畳みを固定する固定手段となる部材を取付ける構成としてもよい。
更に、本発明を実施する場合には、このようなスライド式ファスナ33等は、位置決め台座部30において、乳幼児B側に取付けることも可能である。
【0165】
また、本実施の形態のベビーキャリア1においては、補助保持部20及び接続部21によって、乳幼児Bの落下の防止効果を高くでき、また、抱っこやおんぶの際の取り扱いが熟練者なくとも、乳幼児Bの配置位置が分かりやすくなる。
ここで、上記実施の形態のベビーキャリア1においては、乳幼児Bの胴体が横に倒れないように安定に保持する形態として、連結差込具23と連結受具24との連結係合により補助保持部20の自由端側の左右側部と本体部10の背当部12と臀当部13の境界付近の左右両側とを接続する所定長の接続部21を形成しており、本体部10と補助
保持部20が分離自在であるため、スライド式ファスナ33の係合操作を容易にできるが、本発明を実施する場合には、本体部10と補助
保持部20を分離不可能として、乳幼児Bの脚用の開口を形成する構成としても良い。
【課題】乳幼児の保持の高さ位置を調節することができ、かつ、乳幼児の月齢、大きさ、成長に応じて負担のかからない開脚姿勢で保持でき、月齢が低い時期の乳幼児でも負担の少ない安定した保持を可能とすること。
【解決手段】本体部10及び補助保持部20から一体に連続して形成されて本体部10と補助保持部20の間に渡して配設され、長さ方向に折り畳む長さ調節により乳幼児Bのし沈み深さを位置決めする位置決め台座部30は、本体部10及び補助保持部20の間の長さを短くしたときの乳幼児Bの臀部の沈み横幅W
の5/10〜9/10の範囲内、より好ましくは、3/5〜4/5の範囲内の幅狭に形成され、かつ、補助保持部20は、本体部10の下端部との接続位置から15cmの高さ位置までの左右両側の横幅が、最大でも、乳幼児Bの臀部の沈み横幅W