特許第6282725号(P6282725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6282725画像データ編集装置および画像データ編集方法ならびに画像データ編集プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282725
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】画像データ編集装置および画像データ編集方法ならびに画像データ編集プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20180208BHJP
【FI】
   G06T19/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-510245(P2016-510245)
(86)(22)【出願日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】JP2015057630
(87)【国際公開番号】WO2015146658
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-69425(P2014-69425)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白根 一登
(72)【発明者】
【氏名】槙 修一
【審査官】 千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−14259(JP,A)
【文献】 特開2012−13660(JP,A)
【文献】 特開2008−32449(JP,A)
【文献】 特開2008−20993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式センサにより収集される3次元点群データを記憶する記憶装置と、
前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する場合に使用される3次元画像生成パラメータを入力する入力装置と、
前記入力装置により設定された前記3次元画像生成パラメータに基づき前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する表示処理部と、
前記表示処理部から出力される前記3次元画像データに基づき、3次元画像を表示する表示装置と、
を有し、
前記3次元画像生成パラメータは、同じ平面を構成する点群として点が抽出される垂直方向の距離を決定する路面段差除去パラメータ、同じ平面を構成する点群として点が抽出される水平方向の距離を決定する壁段差除去パラメータ、および同じ平面を構成する点群として点を抽出する範囲を決定する隙間補間パラメータを含み、
前記表示処理部は、前記表示装置に前記路面段差除去パラメータの値を指定する路面段差除去スライドバー、前記壁段差除去パラメータの値を指定する壁段差除去スライドバー、および隙間補間パラメータの値を指定する隙間補間スライドバーをそれぞれ表示させる、画像データ編集装置。
【請求項2】
記憶装置が、移動式センサにより収集される3次元点群データを記憶する3次元点群データ記憶ステップと、
前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する場合に使用される3次元画像生成パラメータを入力する3次元画像生成パラメータ入力ステップと、
前記3次元画像生成パラメータに基づき、前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する3次元画像生成ステップと、
生成された3次元画像データを出力する3次元画像出力ステップと、
を有し、
前記3次元画像生成パラメータ入力ステップにおける前記3次元画像生成パラメータは、同じ平面を構成する点群として点が抽出される垂直方向の距離を決定する路面段差除去パラメータ、同じ平面を構成する点群として点が抽出される水平方向の距離を決定する壁段差除去パラメータ、および同じ平面を構成する点群として点を抽出する範囲を決定する隙間補間パラメータを含み、表示装置に表示される前記路面段差除去パラメータの値を指定する路面段差除去スライドバー、前記壁段差除去パラメータの値を指定する壁段差除去スライドバー、および前記隙間補間パラメータの値を指定する隙間補間スライドバーを用いて入力される、画像データ編集方法。
【請求項3】
記憶装置と、表示処理部と、入力装置と、表示装置とを有する画像データ編集装置のコンピュータに実行させる画像データ編集プログラムであって、
記憶装置が、移動式センサにより収集される3次元点群データを記憶する3次元点群データ記憶ステップと、
前記入力装置が、前記3次元点群データを3次元画像データに変換する場合に使用される3次元画像生成パラメータを前記表示処理部に入力する3次元画像生成パラメータ入力ステップと、
前記表示処理部が、前記3次元画像生成パラメータに基づき、前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する、3次元画像生成ステップと、
前記表示装置が、前記表示処理部から出力される前記3次元画像データに基づき、3次元画像を表示する3次元画像表示ステップと、
を前記コンピュータに実行させ
前記3次元画像生成パラメータは、同じ平面を構成する点群として点が抽出される垂直方向の距離を決定する路面段差除去パラメータ、同じ平面を構成する点群として点が抽出される水平方向の距離を決定する壁段差除去パラメータ、および同じ平面を構成する点群として点を抽出する範囲を決定する隙間補間パラメータを含み、
前記3次元画像生成パラメータ入力ステップは、
前記表示処理部が前記表示装置に表示される前記路面段差除去パラメータの値を指定する路面段差除去スライドバー、前記壁段差除去パラメータの値を指定する壁段差除去スライドバー、および前記隙間補間パラメータの値を指定する隙間補間スライドバーを表示するステップと、
前記入力部が路面段差除去スライドバー、壁段差除去スライドバー、および隙間補間スライドバーを操作して前記3次元画像生成パラメータを入力するステップと、
を有する、画像データ編集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ編集装置および画像データ編集方法ならびに画像データ編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
点の集合からなる3次元点群データを用いて、測定対象物の外形を再現することが知られている。
【0003】
特開2012−13660号公報(特許文献1)には、「測定対象物の点群データからその特徴を抽出し、対象物の輪郭に係るデータを自動的かつ短時間に生成する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−13660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象物を測定して3次元点群データを得る際、特に広い範囲の測定を行う場合には、センサを移動させながら測定を行う方法が有効である。しかしながら、移動式センサにより測定される3次元点群データには測定環境の影響が現れるため、特許文献1に記載された技術では、ユーザが必要とするデータが得られない場合があった。測定環境の影響は、たとえば路面上を走行する移動式センサの場合、路面の段差や路面の傾きなどに起因する測定誤差などであり、特許文献1に記載された技術では、この影響を除去して測定対象物の外形を再現することができなかった。
【0006】
本発明の目的は、移動式センサにより測定される3次元点群データに対する測定環境の影響を除去し、ユーザにとって必要なデータを得るために測定対象物の外見を再現可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0008】
本発明の一実施の形態は、移動式センサにより収集される3次元点群データを記憶する記憶装置を有する。また、前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する場合に使用される3次元画像生成パラメータを入力する入力装置を有する。また、前記入力装置により設定された前記3次元画像生成パラメータに基づき前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する表示処理部を有する。また、前記表示処理部から出力される前記3次元画像データに基づき、3次元画像を表示する表示装置を有する。
【0009】
また、他の実施の形態では、記憶装置が、移動式センサにより収集される3次元点群データを記憶する3次元点群データ記憶ステップを有する。また、前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する場合に使用される3次元画像生成パラメータを入力する3次元画像生成パラメータ入力ステップを有する。また、前記3次元画像生成パラメータに基づき、前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する3次元画像生成ステップを有する。また、生成された3次元画像データを出力する3次元画像出力ステップを有する。
【0010】
また、他の実施の形態では、記憶装置と、入力装置と、表示処理部と、表示装置とを有する画像データ編集装置のコンピュータに実行させる画像データ編集プログラムであって、記憶装置が、移動式センサにより収集される3次元点群データを記憶する3次元点群データ記憶ステップを前記コンピュータに実行させる。また、前記3次元点群データを3次元画像データに変換する場合に使用される3次元画像生成パラメータを前記表示処理部に入力する3次元画像生成パラメータ入力ステップを前記コンピュータに実行させる。また、前記表示処理部が、前記3次元画像生成パラメータに基づき、前記3次元点群データを3次元画像データへ変換する、3次元画像生成ステップを前記コンピュータに実行させる。また、前記表示装置が、前記表示処理部から出力される前記3次元画像データに基づき、3次元画像を表示する3次元画像表示ステップを前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0012】
本発明の代表的な実施の形態によれば、移動式センサにより測定される3次元点群データに対する測定環境の影響を除去し、ユーザにとって必要なデータを得るようにして、測定対象物の外見を再現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態における画像データ編集装置の構成例の概要を示す図である。
図2】測定環境の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態における3次元点群データを構成する各点を表示する3次元点群画像の例を示す図である。
図4】3次元点群画像と測定対象物との関係を示す図である。
図5】本発明の一実施の形態における3次元画像データに基づき表示される3次元画像の例を示す図である。
図6】本発明の一実施の形態における表示装置が表示する画像データ編集画面の例を示す図である。
図7】本発明の一実施の形態における表示装置が表示するデータ選択ダイアログボックスの例を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態における表示装置が表示する画像データ編集画面の他の例を示す図である。
図9】本発明の一実施の形態における隙間補間スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の隙間が補間される処理について説明するための図である。
図10】本発明の一実施の形態における隙間補間スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の隙間が補間される処理について説明するための図である。
図11】本発明の一実施の形態における隙間補間スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の隙間が補間される処理について説明するための図である。
図12】本発明の一実施の形態における隙間補間スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の隙間が補間される処理について説明するための図である。
図13】本発明の一実施の形態における隙間補間スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の隙間が補間される処理について説明するための図である。
図14】本発明の一実施の形態における隙間補間スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の隙間が補間される処理について説明するための図である。
図15】本発明の一実施の形態における壁段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の垂直方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図16】本発明の一実施の形態における壁段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の垂直方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図17】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図18】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図19】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図20】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図21】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図22】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図23】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
図24】本発明の一実施の形態における路面段差除去スライドバーがスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<全体構成>
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態における画像データ編集装置10の構成例の概要を示す図である。図1に示されるように画像データ編集装置10は、入力装置100と、処理装置200と、記憶装置300と、表示装置400とを有する。
【0016】
処理装置200は、入力処理部210と、データ変換処理部220と、表示処理部230と、データ入出力処理部240とを有する。
【0017】
記憶装置300は、3次元点群データ310と3次元画像データ320とを記憶する。
【0018】
また、図1の実線で示される入力装置100と、処理装置200と、記憶装置300と、表示装置400とは、所定のハードウェアにより実装される。そして、図1の破線で示される入力処理部210と、データ変換処理部220と、表示処理部230と、データ入出力処理部240とは、所定のハードウェアもしくはソフトウェアにより実装される。
【0019】
記憶装置300は、路面上を走行する移動式センサにより測定される3次元点群データ310をファイル名と対応付けて記憶する。以下、図2図4を用いて3次元点群データ310について詳細に説明する。
【0020】
図2に示される測定環境は、垂直方向に設けられる第1壁部610と、第2壁部630と、複数の矩形の部材からなるスリット部620とを有する。
【0021】
図2に示されるように、移動式センサ500は、周辺の複数の方向にレーザーを照射し、光が当たった点までの距離を測定することで3次元点群データ310を収集する。これによって、移動式センサ500は、測定対象物である第1壁部610と、スリット部620と、第2壁部630について3次元点群データ310を収集する。3次元点群データ310は、点群に含まれる各点の3次元空間上の座標の位置情報からなる。また、移動式センサ500により収集された3次元点群データ310は、記憶装置300に記憶される。
【0022】
図3は、図2に示される測定対象物である第1壁部610と、スリット部620と、第2壁部630について収集された3次元点群データ310を構成する各点を表示する3次元点群画像を示す。
【0023】
また、図4は、図3に示される3次元点群画像と測定対象物である第1壁部610と、スリット部620と、第2壁部630との関係を示す図である。図4に示されるように、第1壁部610および第2壁部630については、同じ平面を構成する連続する3次元点群データ310が収集される。また、スリット部620は、複数の矩形の部材からなり、スリット部620を構成する部材と部材との間には隙間が存在する。そして、各部材については3次元点群データ310が収集されるものの、レーザーが照射されない隙間については、3次元点群データ310は収集されない。
【0024】
図5は、図2に示される測定対象物である第1壁部610と、スリット部620と、第2壁部630について収集された3次元点群データ310から変換される3次元画像データ320に基づいて表示される3次元画像を示す。図5に示されるように、3次元点群データ310が収集された第1壁部610と、スリット部620と、第2壁部630については、対応する範囲に3次元画像が表示される。ここで、移動式センサ500は、路面を早い速度で移動することがある。このような場合には、測定対象物の3次元点群データ310を網羅して収集できないことがある。そして、実際には平面が存在するにも関わらず、図5に示されるような隙間601が表示されてしまうことがある。また、このような隙間601は、スリット部620の一部のような実際に存在する隙間なのか、実際には存在しない隙間なのかを区別することが困難であるという問題があった。その他にも、測定環境に起因する誤差としては、路面に段差や斜面があることにより、進行に伴い移動式センサ500の位置が上下方向に移動し、測定される高さ方向に誤差が生じるものがある。
【0025】
また、図2に示される測定環境では、各測定対象物について一方の面についてしか3次元点群データ310を収集していない。よって、図5に示される3次元画像は、厚みのない平面の画像である。
<応答画面>
【0026】
図6は、本発明の一実施の形態における表示装置400が表示する画像データ編集画面の例を示す図である。図6に示されるように、画像データ編集画面は、データ表示領域410と、データ参照ボタン420と、データ保存ボタン430と、点群データチェックボックス440と、画像データチェックボックス450と、パラメータ調整部460とを含む。
【0027】
入力装置100は、ユーザから入力を受け付ける。入力装置100が受け付けた入力は、入力処理部210を介して、データ変換処理部220に入力される。
【0028】
データ参照ボタン420を選択する入力を受け付けると、表示装置400は、画像データ編集画面に対して、図7に示されるデータ選択ダイアログボックス470を重畳して表示する。その後、データ選択ダイアログボックス470にて3次元点群データ310のファイル名(または、編集対象の画像データ群を識別するためのプロジェクト名)が選択されると、表示装置400は、データ選択ダイアログボックス470の表示を消去する。そして、表示装置400は、選択された3次元点群データ310のファイル名を処理装置200に出力する。その後、処理装置200は、出力された3次元点群データ310のファイル名を保持する。
【0029】
点群データチェックボックス440を選択する入力を受け付けると、処理装置200のデータ入出力処理部240は、処理装置200が保持するファイル名をキーに記憶装置300を検索することで、キーと対応する3次元点群データ310を取得する。そして、データ入出力処理部240は、取得した3次元点群データ310を表示処理部230に出力する。
【0030】
表示処理部230は、出力された3次元点群データ310を、3次元点群データ310を構成する各点を表示する3次元点群画像データへ変換し、変換した3次元点群画像データを表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元点群画像データに基づき、3次元点群画像を表示する。これにより、図8に示されるように、表示装置400は、データ選択ダイアログボックス470にて選択された3次元点群データ310の3次元点群画像をデータ表示領域410に表示する。また、点群データチェックボックス440の選択を解除する入力を受け付けると、表示装置400は、データ表示領域410に表示された3次元点群画像を消去する。
【0031】
データ保存ボタン430を選択する入力を受け付けると、データ表示領域410に表示される3次元画像を表示するための3次元点群画像データおよび3次元画像データ320が記憶装置300に記憶される。
【0032】
画像データチェックボックス450を選択する入力を受け付けると、処理装置200のデータ入出力処理部240は、処理装置200が保持するファイル名をキーに記憶装置300を検索することで、キーと対応する3次元点群データ310を取得する。そして、データ入出力処理部240は、取得した3次元点群データ310を表示処理部230に出力する。
【0033】
表示処理部230には、3次元点群データ310を3次元画像データ320に変換する際に使用するパラメータである3次元画像生成パラメータが設定されている。そして、表示処理部230は、設定されている3次元画像生成パラメータに基づき、出力された3次元点群データ310から構造物の同じ平面を構成する点群を抽出し、抽出した点群を3次元画像データ320へ変換する。
【0034】
表示処理部230は、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元画像データ320に基づき、3次元画像をデータ表示領域410に表示する。また、画像データチェックボックス450の選択を解除する入力を受け付けると、表示装置400は、データ表示領域410に表示された3次元画像を消去する。
【0035】
ここで、3次元画像生成パラメータとしては、路面段差の影響(例えば、水平方向に形成される平面の段差)を除去するための路面段差除去パラメータと、路面うねりの影響を除去するためのうねり除去パラメータと、隙間を補間するための隙間補間パラメータと、垂直方向に形成される平面の段差を除去するため壁段差除去パラメータとがある。これらのパラメータを調整することで、3次元点群データの測定環境に起因する誤差を除去したり、ユーザの用途に応じた3次元画像の生成が可能となる。
【0036】
そして、図8に示されるように、パラメータ調整部460は路面段差除去パラメータの値を指定するための路面段差除去スライドバー461と、うねり除去パラメータの値を指定するための、うねり除去スライドバー462と、隙間補間パラメータの値を指定するための隙間補間スライドバー463と、壁段差除去パラメータの値を指定するための壁段差除去スライドバー464とを有する。
【0037】
入力装置100は、路面段差除去スライドバー461、うねり除去スライドバー462、隙間補間スライドバー463、壁段差除去スライドバー464をスライドさせる入力を受け付ける。そして、各スライドバー461、462、463、464がスライドされることにより、スライド後の位置に応じた3次元画像生成パラメータが、データ変換処理部220に入力される。なお、スライドバー461、462、463、464をスライドさせることに替えて、3次元画像生成パラメータの値の入力を入力装置100が受け付けるようにしても良い。
【0038】
隙間補間パラメータは、表示処理部230が、同じ平面を構成する連続する点群を抽出する範囲を決定するためのパラメータである。隙間補間パラメータの値が大きくなるのに比例して、同じ平面を構成する連続する点群として点が抽出される範囲は広くなり、これにより、隙間が補間される。以下、図9図14を用いて、隙間補間スライドバー463がスライドされることに伴い、3次元画像の隙間が補間される処理について説明する。
【0039】
隙間補間パラメータは、初期値として「0」が設定されている。表示処理部230は、隙間補間パラメータの値が「0」である場合、図9に示されるように、3次元点群データ310の各点の位置からの距離が「A」以内の点であって、同じ平面上に存在する点を、同じ平面を構成する点群として抽出する(つまり、各点を中心とする半径A以内に存在する点であって、同じ平面上に存在する点を同じ平面を構成する点として抽出する)。
【0040】
そして、隙間補間パラメータの値が「0」である場合、表示処理部230は、同じ平面を構成する点群として、点群801と、点群802〜809と、点群810とを抽出する。
【0041】
表示処理部230は、抽出した点群801〜810を、図10に示される3次元画像901〜910を表示するための3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元画像データ320に基づき、3次元画像901〜910をデータ表示領域410に表示する。
【0042】
隙間補間スライドバー463がスライドされることにより、その位置に応じた隙間補間パラメータがデータ変換処理部220に入力され、データ変換処理部220に設定される隙間補間パラメータが入力される隙間補間パラメータへ変更される。
【0043】
隙間補間スライドバー463がスライドされることで、隙間補間パラメータの値が初期値である「0」から「5」に変更されると、図11に示されるように、表示処理部230は、3次元点群データ310の各点の位置からの距離が「B」(距離Bは、距離Aよりも長い)以内の点であって、同じ平面上に存在する点を、同じ平面を構成する点群として抽出する。
【0044】
そして、隙間補間パラメータの値が「5」である場合、表示処理部230は、同じ平面を構成する点群として、点群1001と、点群1002と、点群1003とを抽出する。
【0045】
表示処理部230は、抽出した点群1001〜1003から、図12に示される3次元画像1101〜1103を表示するための3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された、3次元画像データ320に基づき、3次元画像1101〜1103をデータ表示領域410に表示する。隙間補間パラメータの値が初期値よりも大きな値に変更されることで、スリット部を構成する部材と部材との間の隙間が補間され、スリット部は一つの3次元画像1102として表示される。
【0046】
隙間補間スライドバー463がさらにスライドされることで、隙間補間パラメータの値が「5」から「9」に変更されると、図13に示されるように表示処理部230は、3次元点群データ310の各点の位置からの距離が「C」(距離Cは、距離Bよりも長い)以内の点であって、同じ平面上に存在する点を、同じ平面を構成する点群として抽出する。
【0047】
そして、隙間補間パラメータの値が「9」である場合、表示処理部230は、同じ平面を構成する点群として、点群1201と、点群1202と、点群1203とを抽出する。
【0048】
表示処理部230は、抽出した点群1201〜1203を、図14に示される3次元画像1301〜1303を表示するための3次元画像データ320に変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元画像データ320に基づき、3次元画像1301〜1303をデータ表示領域410に表示する。隙間補間パラメータの値が「5」から「9」に変更されることで、3次元画像1103が有する隙間601が補間される。
【0049】
次に、壁段差除去パラメータは、表示処理部230が、同じ平面を構成する連続する点群を抽出する水平方向の距離を決定するためのパラメータである。壁段差除去パラメータの値が大きくなるのに比例して、同じ平面を構成する連続する点群として点が抽出される水平方向の距離が長くなり、これにより、垂直方向に形成される平面の段差が除去される。以下、図15および図16を用いて、壁段差除去スライドバー464がスライドされることに伴い、3次元画像の垂直方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明する。
【0050】
壁段差除去スライドバー464がスライドされることにより、壁段差除去パラメータの値が初期値である「0」から「5」に変更されると、図15に示されるように、表示処理部230は、3次元点群データ310の各点の位置から水平方向の距離が「H」(距離Hは、壁段差除去パラメータの値が初期値である「0」の場合の距離よりも長い)以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出する。なお、表示処理部230は、新たに構成される平面からの距離(平面と直交する直線の長さが相当する)が「H」以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出するようにしても良い。
【0051】
そして、壁段差除去パラメータの値が「5」である場合、表示処理部230は、同じ平面を構成する点群として、点群2001を抽出する。
【0052】
表示処理部230は、抽出した点群2001を図16に示される3次元画像2101を表示するための3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。また、表示処理部230は、抽出した点群2001を構成する各点の水平方向の座標の平均値を算出し、算出した平均値の位置に表示されるように、点群を3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元画像データ320に基づき、3次元画像2101をデータ表示領域410に表示する。壁段差除去パラメータの値が初期値よりも大きな値に変更されることで、水平面と直交する各平面の3次元画像1301〜1303(前述、図14)間の段差が除去される。
【0053】
次に、路面段差除去パラメータは、表示処理部230が、同じ平面を構成する連続する点群を抽出する垂直方向の距離を決定するためのパラメータである。路面段差除去パラメータの値が大きくなるのに比例して、同じ平面を構成する連続する点群として点が抽出される垂直方向の距離が長くなり、これにより、水平方向に形成される平面の段差が除去される。以下、図17図24を用いて、路面段差除去スライドバー461がスライドされることに伴い、3次元画像の水平方向に形成される平面の段差が除去される処理について説明する。
【0054】
図17に示される測定環境は、水平面と直交して上下方向に設けられる壁部1110と、路面よりも高い位置に水平方向に設けられる第1張出部1120と、第1張出部1120よりも高い位置に水平方向に設けられる第2張出部1130とを有する。
【0055】
図17に示されるように、移動式センサ500は、異なる方向について、測定対象物である壁部1110と、第1張出部1120と、第2張出部1130までの距離を瞬時に測定することで3次元点群データ310を収集する。
【0056】
ここで、図17に示される測定環境の路面の一部に段差がある。そして、路面上を走行する移動式センサ500により収集される3次元点群データ310には、路面の段差に起因する誤差が生じることがある。すなわち、図17に示されるように、移動式センサ500の移動方向に対して直交するように、路面に凹凸が続く測定環境において、移動式センサ500が凹部にある場合と凸部にある場合とで、移動式センサ500から壁部1110までの距離は変わらない。一方で、移動式センサ500が凹部にある場合と凸部にある場合とでは、移動式センサ500から第1張出部1120までの距離と、移動式センサ500から第2張出部1130までの距離は変化する。このため、測定環境(図17に示される測定環境)で収集される3次元点群データ310には、特に第1張出部1120と、第2張出部1130に相当する部分に、図18に示されるノイズが現れる。
【0057】
そして、図18に示されるように、本来は1つの水平な平面である第1張出部1120および第2張出部1130と対応する3次元点群データ310は、傾いた複数の平面を再現する3次元点群データ310になっている。
【0058】
路面段差除去パラメータは、初期値として「0」が設定されている。表示処理部230は、路面段差除去パラメータの値が「0」である場合、図19に示されるように、3次元点群データ310の各点の位置から垂直方向の距離が「D」以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出する。なお、表示処理部230は、新たに構成される平面からの距離(平面と直交する直線の長さが相当する)が「D」以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出するようにしても良い。
【0059】
そして、路面段差除去パラメータの値が「0」である場合、表示処理部230は、同じ平面を構成する点群として、点群1401と、点群1402と、点群1403と、点群1404とを抽出する。
【0060】
表示処理部230は、抽出した点群1401〜1404を、図20に示される3次元画像1501〜1504を表示するための3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元画像データ320に基づき、3次元画像1501〜1504をデータ表示領域410に表示する。
【0061】
路面段差除去スライドバー461がスライドされることにより、その位置に応じた路面段差除去パラメータがデータ変換処理部220に入力され、データ変換処理部220に設定される路面段差除去パラメータが入力される路面段差除去パラメータへ変更される。
【0062】
路面段差除去スライドバー461がスライドされることにより、路面段差除去パラメータの値が初期値である「0」から「5」に変更されると、図21に示されるように、表示処理部230は、3次元点群データ310の各点の位置から垂直方向の距離が「E」(距離Eは、距離Dよりも長い)以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出する。なお、表示処理部230は、新たに構成される平面からの距離(平面と直交する直線の長さが相当する)が「E」以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出するようにしても良い。
【0063】
そして、路面段差除去パラメータの値が「5」である場合、表示処理部230は、同じ平面を構成する点群として、点群1601と、点群1602と、点群1603とを抽出する。
【0064】
表示処理部230は、抽出した点群1601〜1603を図22に示される3次元画像1701〜1703を表示するための3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。また、表示処理部230は、点群を構成する各点の水平面からの高さの平均値を算出し、算出した高さの平均値の位置に表示されるように、点群を3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元画像データ320に基づき、3次元画像1701〜1703をデータ表示領域410に表示する。路面段差除去パラメータの値が初期値よりも大きな値に変更されることで、水平面と平行な隣接する平面である3次元画像1502と3次元画像1503の間の段差が除去される。
【0065】
なお、表示処理部230は、抽出した点群の各点の水平面からの高さが最も低い点から、水平面からの高さが最も高い点までの間のいずれかの位置に表示されるように、点群を3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力するようにしても良い。例えば、表示処理部230は、抽出した点群の各点の水平面からの高さの中央値の位置に表示されるように、抽出した点群を3次元画像データ320へ変換するようにしても良い。また、表示処理部230は、抽出した点群の各点の水平面からの高さが最も低い位置(または最も高い位置)に表示されるように、抽出した点群を3次元画像データ320へ変換するようにしても良い。
【0066】
路面段差除去スライドバー461がさらにスライドされることで、路面段差除去パラメータの値が「5」から「9」に変更されると、図23に示されるように表示処理部230は、3次元点群データ310の各点の位置からの距離が「F」(距離Fは、距離Eよりも長い)以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出する。なお、表示処理部230は、新たに構成される平面からの距離(平面と直交する直線の長さが相当する)が「F」以内の点を、同じ平面を構成する点群として抽出するようにしても良い。
【0067】
そして、路面段差除去パラメータの値が「9」である場合、表示処理部230は、同じ平面を構成する点群として、点群1801と、点群1802とを抽出する。
【0068】
表示処理部230は、抽出した点群1801と点群1802を、図24に示される3次元画像1901と3次元画像1902を表示するための3次元画像データ320へ変換し、変換した3次元画像データ320を表示装置400に出力する。そして、表示装置400は、表示処理部230から出力された3次元画像データ320に基づき、3次元画像1901と3次元画像1902とをデータ表示領域410に表示する。路面段差除去パラメータの値がさらに大きな値に変更されることで、水平面と平行な隣接する平面である3次元画像1701と3次元画像1702との間の段差が除去される。
【0069】
なお、次回以降に、3次元画像データを編集するに際しては、初期値に替えて、前回、3次元画像データ320へ変換するのに使用した3次元画像生成パラメータの値を、表示処理部230に入力するようにしても良い。
<本実施の形態の効果>
【0070】
以上説明した本実施の形態における画像データ編集装置によれば、3次元画像生成パラメータを調整することにより、3次元点群データ310を3次元画像データ320へ変換することで、移動式センサ500により測定される3次元点群データ310の測定環境に起因する誤差を除去することが可能になる。また、3次元点群データ310の測定環境に起因する誤差に拘わらず3次元画像生成パラメータを調整することが可能であり、ユーザの用途に応じて、測定対象物の外見を再現できるようになる。
特に3次元画像生成パラメータは、複数の調整項目をユーザに提示することで、ユーザが各々の調整項目は複数の値から選択可能である。これによりユーザはパラメータを自由に調整することにより、その用途に適した3次元画像データを生成することができる。
【0071】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0072】
例えば、3次元画像データ320が、CAD(Computer Aided Design)ソフトで編集可能なCADデータである実施形態もある。
【0073】
また、画像データ編集装置がタブレット端末である実施形態もある。その場合、タブレット端末が有するタッチパネルが、入力装置100および表示装置400として機能する。
【符号の説明】
【0074】
10…画像データ編集装置、100…入力装置、200…処理装置、210…入力処理部、220…データ変換処理部、230…表示処理部、240…データ入出力処理部、300…記憶装置、310…3次元点群データ、320…3次元画像データ、400…表示装置、410…データ表示領域、420…データ参照ボタン、430…データ保存ボタン、440…点群データチェックボックス、450…画像データチェックボックス、460…パラメータ調整部、461…路面段差除去スライドバー、462…うねり除去スライドバー、463…隙間補間スライドバー、464…壁段差除去スライドバー、470…データ選択ダイアログボックス、500…移動式センサ、601…隙間、610…第1壁部、620…スリット部、630…第2壁部、801,802,803,804,805,806,807,808,809,810,1001,1002,1003,1201,1202,1203,1401,1402,1403,1404,1601,1602,1603,1801,1802,2001…点群、901,902,903,904,905,906,907,908,909,910,1101,1102,1103,1301,1302,1303,1501,1502,1503,1504,1701,1702,1703,1901,1902…3次元画像、1110…壁部、1120…第1張出部、1130…第2張出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図21
図22
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図24