特許第6282767号(P6282767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282767
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】部品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20180208BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20180208BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20180208BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   G06Q10/00 300
   G06Q10/00ZJM
   G06K7/10 100
   G06K17/00 022
   E02F9/20 N
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-47412(P2017-47412)
(22)【出願日】2017年3月13日
(62)【分割の表示】特願2014-10707(P2014-10707)の分割
【原出願日】2014年1月23日
(65)【公開番号】特開2017-162475(P2017-162475A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草木 貴巳
(72)【発明者】
【氏名】浮須 健介
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弘
(72)【発明者】
【氏名】冨永 哲兆
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−221727(JP,A)
【文献】 特開2006−338259(JP,A)
【文献】 特開2009−217718(JP,A)
【文献】 特開2008−243018(JP,A)
【文献】 特開2010−060792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
E02F 9/20
G06K 7/10
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとタグリーダとを備える部品管理システムにおいて、
前記タグリーダは、
部品に付されたICタグを読み込むICタグリード部と、
前記サーバと通信するタグリーダ通信部と、
前記ICタグリード部が前記ICタグを読み取ると前記タグリーダ通信部を介して前記ICタグの情報を前記サーバに送信するタグリーダ制御部と、
前記ICタグを付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部と、を備え、
前記ICタグの情報は、当該ICタグを付している部品の前回の交換日時を少なくとも含み、
前記サーバは、
前記タグリーダと通信するサーバ通信部と、
前記部品の負荷状況を含む前記部品の情報を蓄積する部品情報記憶部と、
前記タグリーダから前記ICタグの情報を受信すると前記部品情報記憶部から当該ICタグが付された部品の情報を検索し、その検索結果に基づいて所定の報知情報を算出して前記サーバ通信部を介して前記タグリーダに送信するサーバ制御部と、
前記タグリーダから受信した前記ICタグの情報に含まれる前回の交換日時以後の、前記部品の負荷状況を参照して次回の部品交換時期を算出する第1部品交換時期算出部と、を備え、
前記サーバ制御部は、前記第1部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を前記報知情報として前記タグリーダに送信し、
前記タグリーダ制御部は、前記入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品に付された前記ICタグから前回の交換日時を読み取れなかった場合に、前記入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバへ通知する部品管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品管理システムにおいて、
前記サーバは、前記タグリーダから受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して前記不正規品の次回の部品交換時期を算出する第3部品交換時期算出部をさらに備え、
前記サーバ制御部は、前記タグリーダから受信した情報の中に、不正規品であることを示す情報があるときは、前記第3部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報として前記タグリーダへ送信するとともに、前記不正規品であることを示す情報がないときは、前記第1部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報として前記タグリーダへ送信する部品管理システム。
【請求項3】
サーバとタグリーダとを備える部品管理システムにおいて、
前記タグリーダは、
部品に付されたICタグを読み込むICタグリード部と、
前記サーバと通信するタグリーダ通信部と、
前記ICタグリード部が前記ICタグを読み取ると前記タグリーダ通信部を介して前記ICタグの情報を前記サーバに送信するタグリーダ制御部と、
前記ICタグを付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部と、を備え、
前記ICタグの情報は、当該ICタグを付している部品の前回の交換日時を少なくとも含み、
前記サーバは、
前記タグリーダと通信するサーバ通信部と、
前記ICタグを付している部品の負荷状況および部品の前回の交換日時を含む前記部品の情報を蓄積する部品情報記憶部と、
前記タグリーダから前記ICタグの情報を受信すると前記部品情報記憶部から当該ICタグが付された部品の情報を検索し、その検索結果に基づいて所定の報知情報を算出して前記サーバ通信部を介して前記タグリーダに送信するサーバ制御部と、を備え
前記サーバ制御部は、
前記前回の交換日時以後の前記部品の負荷状況を参照して次回の部品交換時期を算出する第2部品交換時期算出部と、
前記タグリーダから受信した情報により特定される部品に関連する部品(以下、関連部品)を検索する関連部品検索部と、を備え、
前記サーバ制御部は、前記タグリーダから受信した情報により特定される部品について、関連部品検索部により検索された前記関連部品があると判断すると、前記関連部品について前記第2部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報として前記タグリーダに送信し、
前記タグリーダ制御部は、前記入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品に付された前記ICタグから前回の交換日時を読み取れなかった場合に、前記入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバへ通知する部品管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の部品管理システムにおいて、
前記サーバは、
前記タグリーダから受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して前記不正規品の次回の部品交換時期を算出する第3部品交換時期算出部と、
前記タグリーダから受信した不正規品の設置個所に直前に取り付けられていた部品(以後、最後の正規部品と呼ぶ)の部品交換日時以後の前記最後の正規部品の負荷情報を参照して前記不正規品の次回の部品交換時期を算出する第4部品交換時期算出部と、をさらに備え、
前記サーバ制御部は、前記タグリーダから受信した情報および前記部品情報記憶部に保存されている情報により、前記第2、第3または第4部品交換時期算出部を選択し、選択した算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報として前記タグリーダへ送信し、
前記サーバ制御部は、前記タグリーダから受信した情報の中に不正規品であることを示す情報がない場合に前記第2部品交換時期算出部を選択し、前記タグリーダから受信した情報の中に不正規品であることを示す情報があり、かつ前記最後の正規部品の部品交換日時が前記部品情報記憶部に保存されている場合に前記第4部品交換時期算出部を選択し、それ以外の場合は前記第3部品交換時期算出部を選択する部品管理システム。
【請求項5】
サーバとタグリーダとを備える部品管理システムにおいて、
前記タグリーダは、
部品に付されたICタグを読み込むICタグリード部と、
前記サーバと通信するタグリーダ通信部と、
前記ICタグリード部が前記ICタグを読み取ると前記タグリーダ通信部を介して前記ICタグの情報を前記サーバに送信するタグリーダ制御部と、
前記ICタグを付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部と、を備え、
前記ICタグの情報は、当該ICタグを付している部品の前回の交換日時および部品の前回の点検日時を少なくとも含み、
前記サーバは、
前記タグリーダと通信するサーバ通信部と、
部品の負荷状況、部品の前回の交換日時および部品の前回の点検日時を含む前記部品の情報を蓄積する部品情報記憶部と、
前記タグリーダから前記ICタグの情報を受信すると前記部品情報記憶部から当該ICタグが付された部品の情報を検索し、その検索結果に基づいて所定の報知情報を算出して前記サーバ通信部を介して前記タグリーダに送信するサーバ制御部と、
前記タグリーダから受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して前記不正規品の次回の部品交換時期を算出する第3部品交換時期算出部と、
前記タグリーダから受信した不正規品の設置個所に直前に取り付けられていた部品(以後、最後の正規部品と呼ぶ)の部品交換日時以後の前記最後の正規部品の負荷情報を参照して前記不正規品の次回の部品交換時期を算出する第4部品交換時期算出部と、
前記最後の正規部品の前回の点検日時以後の前記最後の正規部品の負荷情報を参照して前記不正規品の次回の部品交換時期を算出する第5部品交換時期算出部と、を備え、
前記タグリーダ制御部は、前記入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品に付された前記ICタグから前回の交換日時を読み取れなかった場合に、前記入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバへ通知し、
前記サーバ制御部は、前記タグリーダから不正規品であることを受信すると、前記タグリーダから受信した情報、および前記部品情報記憶部に保存されている情報により前記第3、第4または第5部品交換時期算出部を選択し、選択した算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報として前記タグリーダへ送信する部品管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の部品管理システムにおいて、
前記サーバ制御部は、まず前記部品情報記憶部に前記最後の正規部品の前回の交換日時が保存されているかを確認し保存されている場合は前記第4部品交換時期算出部を選択し、次に前記最後の正規部品の前回の点検日時が保存されているかを確認し保存されている場合は前記第5部品交換時期算出部を選択し、それ以外の場合は前記第3部品交換時期算出部を選択する部品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグリーダとサーバとを備える部品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の部品を集積した装置では、部品の交換漏れを防ぎつつ過多な交換も避けるために、部品にその部品に関する情報を記録したICタグを付して、次回の部品交換時期を管理することが広く行われている。たとえば特許文献1には、メンテナンス周期情報とICタグに記録された部品の製造年月日から、部品交換及びメンテナンスの要否を自動で判断するシステムが開示されている。
しかし、たとえば建設機械など負荷が一様でない環境下で使用されるような部品は、その使用時間だけではなく、部品の具体的な使用態様、例えば負荷の大きさ等も考慮しなければ次回の部品交換時期を正確に算出することができない。そのため、建設機械の具体的な使用態様の情報を定期的にサーバに収集し、サーバ上で建設機械の部品の交換時期を算出することが近年行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−053934
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サービスマンがメンテナンス対象の建設機械の作業現場において、たとえば特定の部品の交換時期を算出するためには、部品を特定してからサーバにその情報を入力する煩雑な処理が必要である。すなわち情報入力操作が困難な外出先で容易に建設機械の部品交換時期などを入手できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明は、サーバとタグリーダとを備える部品管理システムに適用される。タグリーダは、部品に付されたICタグを読み込むICタグリード部と、サーバと通信するタグリーダ通信部と、ICタグリード部がICタグを読み取るとタグリーダ通信部を介してICタグの情報をサーバに送信するタグリーダ制御部と、ICタグを付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部と、を備える。ICタグの情報は、当該ICタグを付している部品の前回の交換日時を少なくとも含む。サーバは、タグリーダと通信するサーバ通信部と、部品の負荷状況を含む部品の情報を蓄積する部品情報記憶部と、タグリーダからICタグの情報を受信すると部品情報記憶部から当該ICタグが付された部品の情報を検索し、その検索結果に基づいて所定の報知情報を算出してサーバ通信部を介してタグリーダに送信するサーバ制御部と、タグリーダから受信したICタグの情報に含まれる前回の交換日時以後の、部品の負荷状況を参照して次回の部品交換時期を算出する第1部品交換時期算出部と、を備える。サーバ制御部は、第1部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダに送信する。タグリーダ制御部は、入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品に付されたICタグから前回の交換日時を読み取れなかった場合に、入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバへ通知する。
(2)請求項2の発明による部品管理システムは次のように構成される。すなわち、請求項1に記載の部品管理システムにおいて、サーバは、タグリーダから受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する第3部品交換時期算出部をさらに備える。サーバ制御部は、タグリーダから受信した情報の中に、不正規品であることを示す情報があるときは、第3部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダへ送信するとともに、不正規品であることを示す情報がないときは、第1部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダへ送信する。
(3)請求項3の発明は、サーバとタグリーダとを備える部品管理システムに適用される。タグリーダは、部品に付されたICタグを読み込むICタグリード部と、
サーバと通信するタグリーダ通信部と、ICタグリード部がICタグを読み取るとタグリーダ通信部を介してICタグの情報をサーバに送信するタグリーダ制御部と、ICタグを付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部と、を備える。ICタグの情報は、当該ICタグを付している部品の前回の交換日時を少なくとも含む。サーバは、タグリーダと通信するサーバ通信部と、ICタグを付している部品の負荷状況および部品の前回の交換日時を含む部品の情報を蓄積する部品情報記憶部と、タグリーダからICタグの情報を受信すると部品情報記憶部から当該ICタグが付された部品の情報を検索し、その検索結果に基づいて所定の報知情報を算出してサーバ通信部を介してタグリーダに送信するサーバ制御部と、を備える。サーバ制御部は、前回の交換日時以後の部品の負荷状況を参照して次回の部品交換時期を算出する第2部品交換時期算出部と、タグリーダから受信した情報により特定される部品に関連する部品(以下、関連部品)を検索する関連部品検索部と、を備える。サーバ制御部は、タグリーダから受信した情報により特定される部品について、関連部品検索部により検索された関連部品があると判断すると、関連部品について第2部品交換時期算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダに送信する。タグリーダ制御部は、入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品に付されたICタグから前回の交換日時を読み取れなかった場合に、入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバへ通知する。
(4)請求項4の発明による部品管理システムは次のように構成される。すなわち、請求項3に記載の部品管理システムにおいて、サーバは、タグリーダから受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する第3部品交換時期算出部と、タグリーダから受信した不正規品の設置個所に直前に取り付けられていた部品(以下、最後の正規部品と呼ぶ)の部品交換日時以後の最後の正規部品の負荷情報を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する第4部品交換時期算出部と、をさらに備える。サーバ制御部は、タグリーダから受信した情報および部品情報記憶部に保存されている情報により、第2、第3または第4部品交換時期算出部を選択し、選択した算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダへ送信する。サーバ制御部は、タグリーダから受信した情報の中に不正規品であることを示す情報がない場合に第2部品交換時期算出部を選択し、タグリーダから受信した情報の中に不正規品であることを示す情報があり、かつ最後の正規部品の部品交換日時が部品情報記憶部に保存されている場合に第4部品交換時期算出部を選択し、それ以外の場合は第3部品交換時期算出部を選択する。
(5)請求項5の発明は、サーバとタグリーダとを備える部品管理システムに適用される。タグリーダは、部品に付されたICタグを読み込むICタグリード部と、サーバと通信するタグリーダ通信部と、ICタグリード部がICタグを読み取るとタグリーダ通信部を介してICタグの情報をサーバに送信するタグリーダ制御部と、ICタグを付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部と、を備える。ICタグの情報は、当該ICタグを付している部品の前回の交換日時および部品の前回の点検日時を少なくとも含む。サーバは、タグリーダと通信するサーバ通信部と、部品の負荷状況、部品の前回の交換日時および部品の前回の点検日時を含む部品の情報を蓄積する部品情報記憶部と、タグリーダからICタグの情報を受信すると部品情報記憶部から当該ICタグが付された部品の情報を検索し、その検索結果に基づいて所定の報知情報を算出してサーバ通信部を介してタグリーダに送信するサーバ制御部と、タグリーダから受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する第3部品交換時期算出部と、タグリーダから受信した不正規品の設置個所に直前に取り付けられていた部品(以下、最後の正規部品と呼ぶ)の部品交換日時以後の最後の正規部品の負荷情報を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する第4部品交換時期算出部と、最後の正規部品の前回の点検日時以後の最後の正規部品の負荷情報を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する第5部品交換時期算出部と、を備える。タグリーダ制御部は、入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品に付されたICタグから前回の交換日時を読み取れなかった場合に、入力部により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバへ通知する。サーバ制御部は、タグリーダから不正規品であることを受信すると、タグリーダから受信した情報、および部品情報記憶部に保存されている情報により第3、第4または第5部品交換時期算出部を選択し、選択した算出部により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダへ送信する。
(6)請求項6の発明による部品管理システムは次のように構成される。すなわち、請求項5に記載の部品管理システムにおいて、サーバ制御部は、まず部品情報記憶部に最後の正規部品の前回の交換日時が保存されているかを確認し保存されている場合は第4部品交換時期算出部を選択し、次に最後の正規部品の前回の点検日時が保存されているかを確認し保存されている場合は第5部品交換時期算出部を選択し、それ以外の場合は第3部品交換時期算出部を選択する。
【発明の効果】
【0006】
本発明による部品管理システムによれば、対象部品にタグリーダをかざすだけで、ICタグに記録されている種々の情報を読み出して部品を特定し、サーバに蓄積された部品の具体的な使用態様情報などを用いて算出した種々の情報、たとえば部品交換時期を容易に入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態におけるシステムの構成
図2】取付部位番号対応表の一例
図3】部品データベースの一例
図4】稼働実績記録の一例
図5】関連部品リストの一例
図6】使用部品対応表の一例
図7】第1の実施の形態におけるサーバの動作をあらわすフローチャート
図8】第2の実施の形態におけるサーバの動作をあらわすフローチャート
図9】第3の実施の形態におけるタグリーダの動作をあらわすフローチャート
図10】第3の実施の形態においてタグリーダに表示される情報入力用インタフェース
図11】第3の実施の形態におけるサーバの動作をあらわすフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、図1図7を参照して、本発明による部品管理システムを建設機械に適用した第1の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態における構成を示している。
本発明に係る部品管理システム1は、タグリーダ10、およびサーバ20を備え、建設機械30に用いられる。建設機械30は、複数あってもよい。また、タグリーダ10とサーバ20、サーバ20と建設機械30は、それぞれ通信衛星を介して通信ができる。なお、タグリーダ10は建設機械30の点検や部品交換を行うサービスマンが使用する。
【0009】
タグリーダ10は、タグリーダ制御部11、リード/ライト部12、入力部13、表示部14、記憶部15、タグリーダ通信部16、および報知部17を備える。
【0010】
タグリーダ制御部11は、不図示のCPU、RAMおよびROMを備え、ROMに保存されている後述するプログラムをRAMに展開して実行する。また、タグリーダ制御部11は、他の構成部とバスで接続されており、それらとのデータ授受ができるだけでなく、構成部同士のデータ授受を中継することができる。たとえば、リード/ライト部12で読み込んだICタグ34の情報をタグリーダ通信部16を介してサーバ20に送信するほか、タグリーダ通信部16がサーバ20から受信したデータを表示部14に表示する。
【0011】
リード/ライト部12は、不図示のアンテナを備え、建設機械30に設けられている部品に貼り付けられている所定距離内のICタグ34と通信ができる。リード/ライト部12は、ICタグ34から読み込んだ情報をタグリーダ制御部11に出力するだけでなく、タグリーダ制御部11から入力された情報をICタグ34に書き込むことができる。ICタグ34に保存される情報は、後述するサーバ20の部品データベース24の1レコードと同じであり、たとえば、部品取付日時や最終点検日時は、タグリーダ10からICタグ34に書きこまれる。
【0012】
入力部13は、不図示のタッチパネルやボタンを備え、サービスマンの入力をタグリーダ制御部11に伝達することができる。表示部14は、不図示の液晶ディスプレイを備え、タグリーダ制御部11を経由して伝達されるリード/ライト部12が読み取った情報や、タグリーダ通信部16が受信した情報が表示される。
記憶部15は、不図示のフラッシュメモリにより構成され、この記憶部15には、後述する取付部位番号対応表18が保存される。
【0013】
取付部位番号対応表18とは、図2に示すように取付部位番号と取付部位名称の対応を建設機械の機種ごとに示したものである。なお後述するとおり、全ての建設機械30に固有な識別子である建設機械IDの上5桁が機種を表すので、取付部位番号対応表18は、建設機械IDの上5桁、取付部位番号、そして取付部位名称から構成される。また、この表は部位の特定を目的としているため、同一の部品を使用する場合でも取付場所が異なる場合は異なる部位コードを付している。たとえば建設機械IDの上5桁がC0101の機種では、本体の左右にブームシリンダーがあるため、左は部位コード0101を、右は部位コード0201を付して区別している。
【0014】
タグリーダ通信部16は、ICタグ34に関する情報をサーバ20と通信し、ICタグ34に部品取付日時や最終点検日時を書き込む際に、サーバ20へその日時の情報および部品を特定する情報を送信する。報知部17は、不図示のスピーカーを備え、スピーカーからアラームを発することによりサービスマンに各種イベントの発生を報知する。
【0015】
サーバ20は、サーバ制御部21、部品情報記憶部22、およびサーバ通信部23から構成される。サーバ制御部21は、不図示のCPU、RAMおよびROMを備え、ROMに保存されている後述するプログラムをRAMに展開して実行する。また、サーバ制御部21は、他の構成部とバスで接続されており、それらとのデータ授受ができるだけでなく、構成部同士のデータ授受を中継することができる。
【0016】
部品情報記憶部22には、部品データベース24、稼働実績記録25、関連部品リスト26、使用部品対応表27が記憶されている。
部品データベース24は、図3に示すように、建設機械30に使用されている部品に関する情報を記録している。インデックスは部品データベース24のレコードを識別する一意な値であり、自動的に全てのレコードに対して異なる値が割り振られる。部品IDは、10桁からなる全ての部品に固有な識別子であり、上5桁が部品の型番を、下5桁が型番ごとのシリアルナンバーを示す。建設機械IDは、10桁からなる全ての建設機械に固有な識別子であり、上5桁が建設機械の機種を、下5桁が機種ごとのシリアルナンバーを示す。また、取付部位番号は図2を用いて説明した取付位置を、部品取付日時は当該部品を取り付けた日時を、最終点検日時は当該部品が建設機械に取り付けられた状態で最後に点検をした日時を示す。すなわち、部品取付直後は最終点検日時は空欄であり、次回の点検によって初めて日時が書き込まれる。
【0017】
いずれの部品も用途、すなわちどの建設機械30のどこに取り付けるかをあらかじめ定めているため、部品ID、建設機械ID、取付部位番号はあらかじめサーバ20の部品データベース24に記録されている。ただし、部品取付日時および最終点検日時は、組立てや交換・点検の際に、その日時がタグリーダ10からサーバ20に送信され、部品データベース24に記録される。
【0018】
稼働実績記録25は、建設機械30の後述する稼働情報収集部33が収集し、建機通信部32を介してサーバ20に送信されたデータを蓄積したものであり、図4に示すように建設機械30の1日ごとの各動作の稼働時間および負荷の大きさが記録されている。後述する使用部品対応表27により、各動作により使用される部品が特定できるので、部品データベース24に記録されている標準交換時間および部品取り付け日時をあわせて参照することにより、後述のように次回の部品交換時期が算出できる。
【0019】
関連部品リスト26は、機種ごとに不具合の発生原因が関連する部品(以下、関連部品)のグループを示したリストであり、たとえば図5のようなものである。たとえば同一グループに属する、作動油フィルター、タンク、油圧ポンプ、ピストン、コントロールバルブの5つのいずれかに不具合があると、他の4つにも不具合がある可能性が高いことを示している。
【0020】
使用部品対応表27は、稼働実績記録25に記載されている建設機械30の動作と、その動作により負荷が生じる部品の取付部位番号の対応を、機種ごとに示す表であり、たとえば図6のようなものである。たとえば、機種、すなわち建設機械IDの上5桁、がC0101であれば掘削により、取付部位番号0001、0002、0101、0201の4つの部品に負荷を生じることを表している。なお、表中の「N/A」は動作が不可能なため負荷が生じる部品がないことを表している。
【0021】
サーバ通信部23は、不図示の衛星通信ユニットを有し、タグリーダ10および建設機械30と通信衛星を介して通信できる。サーバ通信部23は、建設機械30から定期的にその稼働情報を受信し、それらは稼働実績記録25に記録される。また、タグリーダ10から受信したデータに基づき、部品情報記憶部22を検索し、後述する処理の結果をタグリーダ10に送信する。
【0022】
建設機械30は、図示しないエンジンと、エンジンに駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプからの吐出油で駆動される各種油圧アクチュエータと、エンジンや油圧ポンプを電子制御するコントローラと、油圧アクチュエータなどを操作する操作装置などを備えている。コントローラには、建機制御部31、建機通信部32、稼働情報収集部33、が設けられている。また、エンジンや油圧ポンプなどの建設機械30の構成部品には、ICタグ34が設けられている。なお、建設機械IDはあらかじめサービスマンが認識しているものとする。
【0023】
建機制御部31は、不図示のCPU、RAMおよびROMを備え、ROMに保存されている後述するプログラムをRAMに展開して実行する。また、建機制御部31は、建機通信部32および稼働情報収集部33とバスで接続されており、稼働情報収集部33から建機通信部32へのデータ授受を中継することができる。ICタグ34は、消耗品であり交換対象となる個々の部品に貼り付けられ、各ICタグ34には図3に示す部品データベース24の1レコードと同様のデータが保存されている。
【0024】
建機通信部32は、不図示の衛星通信ユニットを有し、建設機械30の位置に関わらずサーバ20と通信ができる。稼働情報収集部33は、不図示の圧力制御ユニット、油圧ポンプ、および各種センサの出力を同期して収集しており、収集したデータは定期的に(例えば1日1回)建機通信部32を経由してサーバ20に送信される。このデータはサーバ20では稼働実績記録25として保存される。
【0025】
次に、第1の実施の形態における動作を説明する。
タグリーダ制御部11は、リード/ライト部12がICタグ34を読み取ると、そのICタグ34に保存されていた情報をタグリーダ通信部16を介してサーバ20に送信する。そして、サーバ20からデータを受信するとタグリーダ制御部11は表示部14にそのデータを出力して表示させるとともに、報知部17のスピーカーからアラーム音を発信させ、サーバ20から受信したデータの存在をタグリーダ10を使用しているサービスマンに報知する。
【0026】
サーバ制御部21が実行する処理を、図7を参照し説明する。サーバ制御部21は、一定時間ごと(例えば1分ごと)に図7のフローチャートで示すプログラムを実行する。以下の説明で特に明示しない場合は、各ステップの実行主体はサーバ制御部21のCPUである。
【0027】
ステップS210では、サーバ制御部21は、タグリーダ10がICタグ34から読み取ったデータをサーバ通信部23が受信しているかを判断する。データを受信している場合はステップS220に進み、データを受信していない場合は図7のフローチャートを終了する。
【0028】
ステップS220では、サーバ制御部21は、受信したデータから建設機械ID、および部品取付日時を特定し、稼働実績記録25からその部品取付日時以後で、建設機械IDが一致する稼働実績記録25を全て抽出してステップS230に進む。
ステップS230では、サーバ制御部21は、受信したデータに含まれる取付部位コードを特定し、使用部品対応表27から当該部品が使用される作業を特定する。そして、抽出した稼働実績記録25から先の作業が含まれる時間を累計し、当該部品の現在までの累計稼働時間を算出する。ただし、稼働実績記録25に記録されている平均負荷、または最大負荷が予め設定する高負荷基準値を超えている場合には、高負荷作業が多く行われたと判断して、記録されている稼働時間に1を超える係数をかけた時間を累計してもよい。また、稼働実績記録25に記録されている平均負荷、または最大負荷が予め設定する低負荷基準値未満の場合には、低負荷作業が多く行われたと判断して、記録されている稼働時間に1未満の係数をかけた時間を累計してもよい。
【0029】
続くステップS240では、サーバ制御部21は、ステップS230で算出した累計稼働時間が、部品データベース24に予め記録されている当該部品の標準交換時間を超過しているかを判断し、超過している場合はステップS270に進み、超過していない場合はステップS250に進む。
【0030】
ステップS250では、サーバ制御部21は、部品取付日時から現在までの当該部品の累計稼働時間から、1日あたりの当該部品の平均稼働時間を算出し、当該部品の標準交換時間に達する時期、すなわち当該部品の次回の部品交換時期を算出する。ただし、重みづけにより近時の1日あたりの稼働時間を重視してもよい。なお、以後ステップS220、S230、S250の手順によって実行される次回の部品交換時期の算出を、以後、正規部品の部品交換時期算出処理と呼ぶ。続くステップS260では、ステップS250で算出した次回の部品交換時期をサーバ通信部23を介してタグリーダ10に送信し、図7のフローチャートを終了する。
【0031】
ステップS270では、サーバ制御部21は、受信したデータから特定される部品が、関連部品リスト26に存在するかを検索し、存在する場合は同一グループに属する他の部品の名称を記録してステップS280に進み、存在しない場合はステップS290に進む。たとえば、建設機械IDの上5桁がC0101であり、受信したデータから特定される部品が、エンジンフィルターである場合は、同じリスト番号2のグループに属するガスケット、エンジンピストン、シリンダーヘッドおよびシリンダーブロックを記録する。
【0032】
ステップS280では、サーバ制御部21は、以下の通知および部品のリストをサーバ通信部23を介してタグリーダ10に送信して図7のフローチャートを終了する。その通知とは、「タグリーダで読み取った部品は次回の部品交換時期を超過しているので、当該部品を交換すべきである。さらに、関連する以下の部品を点検して必要に応じて交換すべきである。」という旨の通知である。また、部品のリストとは、ステップS270において記録した、関連部品リスト26において当該部品と同一グループに属する部品のリストである。
【0033】
ステップS290では、サーバ制御部21は、「タグリーダで読み取った部品は次回の部品交換時期を超過しており、当該部品を交換した方がよい。」という旨の通知を、サーバ通信部23を介してタグリーダ10に送信し、図7のフローチャートを終了する。
なお、ステップS280およびステップS290において、ステップS240において算出した、超過している時間数をあわせて通知してもよい。
【0034】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)第1の実施の形態に係る部品管理システム1は、タグリーダ10とサーバ20とを備える。タグリーダ10は、部品に付されたICタグ34を読み込むリード/ライト部12と、サーバ20と通信するタグリーダ通信部16と、リード/ライト部12がICタグ34を読み取るとタグリーダ通信部16を介してICタグ34の情報をサーバ20に送信するタグリーダ制御部11と、を備える。サーバ20は、タグリーダ10と通信するサーバ通信部23と、部品の情報を蓄積する部品情報記憶部22である部品データベース24および稼働実績記録25と、タグリーダ10からICタグ34の情報を受信すると部品データベース24および稼働実績記録25から当該ICタグ34が付された部品の情報を検索し、その検索結果に基づいて当該ICタグ34が付された部品の次回の部品交換時期を算出して(図7のステップS250)、サーバ通信部23を介してタグリーダ10に送信する。
【0035】
そのため、対象部品にタグリーダ10によりICタグ34を読み込むだけで、ICタグ34に記録されている種々の情報を読み出して部品を特定し、サーバ20に蓄積された部品の具体的な使用態様情報などを用いて算出した種々の情報、上記第1の実施の形態においては部品交換時期を容易に入手することができる。
【0036】
(2)ICタグ34の情報は、ICタグ34を付している部品の前回の交換日時を少なくとも含み、サーバ20は、図7のステップS250においてタグリーダ10から受信したICタグ34の情報に含まれる部品について、その部品取付日時以後の稼働実績記録25を参照して次回の部品交換時期を算出する。すなわち、サーバ20は図7のステップS250において、稼働実績に基づく部品交換時期算出処理を実行する。そして、サーバ制御部21は、稼働実績に基づく部品交換時期算出処理により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダ10に送信する。
【0037】
そのため第1の実施の形態の部品管理システム1は、サーバ20が有している建設機械30の負荷情報を考慮して、部品の次回の部品交換時期を算出できるという利点がある。また、タグリーダ10のユーザ、すなわちサービスマンがタグリーダ10を用いてICタグ34を読取ると、サーバ20で算出した報知情報、すなわちICタグ34が付されていた部品の次回の部品交換時期が表示部14に表示されるので、サービスマンは必要に応じて即座に点検をすることができる。
【0038】
(3)サーバ20は、図7のステップS270において、タグリーダ10から受信したICタグ34の情報により特定される部品に関連する部品を検索する。すなわち、サーバ20は図7のステップS270において関連部品検索処理を実行する。サーバ制御部21は、タグリーダ10からICタグ34の情報を受信すると、受信したICタグ34の情報により特定される部品の部品取付日時を基準として算出した次回の部品交換時期がICタグ34の情報受信時以前であり、かつ関連部品検索処理により検索された関連部品があると判断する場合に、関連部品について点検または交換を促す報知情報をタグリーダ10に送信する。
【0039】
そのため、サービスマンはタグリーダ10で読取ったICタグ34が付されている部品の交換が本来交換すべき時期よりも遅れていた場合に、その影響が生じる可能性がある部品について点検または交換を促す報知情報が即座に得られる。
【0040】
なお、後述する実施の形態および変形例においては、サーバ20の部品データベース24に各部品の部品取付日時や最終点検日時が保存されている場合があるが、第1の実施の形態においては、サーバ20の部品データベース24には、各部品の部品取付日時および最終点検日時を保存する必要はない。
【0041】
(変形例1)
第1の実施の形態では、サーバ制御部21は、図7のステップS240において、次回の部品交換時期を超過しているかを判断したが、所定の期間内、例えばICタグ34の情報を受信してから1月以内に次回の部品交換時期に到達するか否かを判断するようにしてもよい。この場合は、ステップS290において送信する通知は、次回の部品交換時期が近いので交換部品の手配、および部品交換用のメンテナンススケジュール作成を促すものとしてもよい。また、ステップS280において送信する通知は、ステップS290のものに加えて、関連する部品に問題が生じている可能性があるので、点検した方がよい旨の通知である。
【0042】
以上説明した変形例1によれば、次の作用効果を奏する。
サーバ制御部21は、タグリーダ10からICタグ34の情報を受信すると、受信したICタグ34の情報により特定される部品の部品取付日時を基準として算出した次回の部品交換時期がICタグ34の情報受信時から所定期間内であり、かつ関連部品検索処理により検索された関連部品があると判断する場合に、関連部品の情報を報知情報として送信する。
【0043】
この変形例1によれば、当該部品の次回の部品交換時期を超過する前に交換部品の手配や交換スケジュールの作成を促すため、次回の部品交換時期の超過を未然に防ぐことができる。また、不具合の原因が関連する部品を同時に通知するため、サービスマンはそれらの部品をあわせて点検することにより、点検の効率を上げることができる。
【0044】
(変形例2)
第1の実施の形態のサーバ20では、部品情報記憶部22の部品データベース24と稼働実績記録25の情報を利用して部品の交換時期をサーバ20が演算し、その演算結果をタグリーダ10に送信するものとした。本発明の部品管理システムはこれに限定されない。たとえば、タグリーダ10から送信されてきた部品ID、機種ID等に基づいて、ICタグ34の情報には記録されない部品情報、すなわち、サーバ20でのみ演算可能な部品情報を算出してタグリーダ10に送信するようにしてもよい、
【0045】
(変形例3)
第1の実施の形態では、タグリーダ10はタグリーダ通信部16を備えていたが、タグリーダ10の構成はこれに限定されない。タグリーダ10は通信部を備えず、その代わりに通信用のインタフェース、たとえばシリアルポートやUSB端子を備え、通信機能を有する機器、たとえば携帯電話やモデムを接続して通信を行ってもよい。
この変形例3によれば、タグリーダ10の製造コストを低減でき、さらに状況に応じて最適な通信機器を選択して接続することができる。たとえば、周囲に無線LANのアクセスポイントが設置されている環境であれば無線LAN通信機と接続し、砂漠などインフラが全くない環境では通信衛星と直接通信のできる衛星携帯電話と接続して通信を行う。
【0046】
(第2の実施の形態)
以下、図8を参照して本発明による部品管理システムを建設機械に適用した第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態と第1の実施の形態との構成における主な相違は、サーバ制御部21のROMに保存されているプログラムが異なる点にある。
【0047】
以下、第2の実施の形態の動作を説明する。
タグリーダ制御部11の動作は第1の実施の形態と同一である。
図8のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における図7のフローチャートに示すプログラムに代わって、第2の実施の形態においてサーバ制御部21が実行する処理手順を示すものである。
【0048】
ステップS310では、サーバ制御部21は、タグリーダ10がICタグ34から読み取ったデータをサーバ通信部23が受信しているかを判断する。データを受信している場合はステップS320に進み、データを受信していない場合は図8のフローチャートを終了する。
【0049】
ステップS320では、サーバ制御部21は、受信したデータから特定される部品を、関連部品リスト26から検索し、存在する場合は同一グループに属する他の部品の名称を記録してステップS330に進む。
【0050】
ステップS330では、以後の処理(ステップS340−370)において処理対象を当該部品のほかにステップS320で記録した部品も含めるべく、処理対象を改める。ステップS340では、サーバ制御部21は、受信したデータから機種、機体番号、および部品取付日時を特定し、稼働実績記録25から部品取付日時以後で、機種および機体番号が一致する稼働実績記録25を抽出してステップS350に進む。
【0051】
ステップS350では、サーバ制御部21は、受信したデータに含まれる取付部位コードを特定し、使用部品対応表27から処理対象の部品が使用される作業を特定する。そして、抽出した稼働実績記録25から処理対象の部品が使用される作業が含まれる時間を累計し、処理対象の部品の現在までの累計稼働時間を算出し、ステップS360に進む。ただし、稼働実績記録25に記録されている平均負荷、または最大負荷が予め設定する高負荷基準値を超えている場合には、高負荷作業が多く行われたと判断して、記録されている稼働時間に1を超える係数をかけた時間を累計してもよい。また、稼働実績記録25に記録されている平均負荷、または最大負荷が予め設定する低負荷基準値未満の場合には、低負荷作業が多く行われたと判断して、記録されている稼働時間に1未満の係数をかけた時間を累計してもよい。
【0052】
ステップS360では、サーバ制御部21は、部品取付日時から現在までの当該部品の累計稼働時間に基づき、1日あたりの当該部品の平均稼働時間を算出し、当該部品の標準交換時間に達する時期、すなわち当該部品の次回の部品交換時期を算出する。ただし、重みづけにより近時の1日あたりの稼働時間を重視してもよい。なお、ステップS350において算出した累積稼働時間が、処理対象の部品の標準交換時間を超えていた場合には次回の部品交換時期は「期間超過により至急」とする。続くステップS370では、サーバ制御部21は、算出した全ての部品の次回の部品交換時期をタグリーダ10に送信し、図8のフローチャートを終了する。
【0053】
以上説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
第2の実施の形態に係る部品管理システム1は、タグリーダ10とサーバ20とから構成される。ICタグ34の情報は、当該ICタグを付している部品の部品取付日時を少なくとも含み、部品情報記憶部22の蓄積情報とは、ICタグ34を付している部品の負荷状況および部品取付日時を含む。すなわち、部品データベース24と稼働実績記録25に記憶されている情報である。サーバ制御部21は、図8のステップS360を実行して、部品取付日時以後の部品の負荷状況を参照して次回の部品交換時期を算出する。これが取付日基準交換日算出処理である。サーバ制御部21は、また、図8のステップS320を実行して、タグリーダ10から受信したICタグ34の情報により特定される部品に関連する部品を検索する。これが関連部品検索処理である。サーバ制御部21は、タグリーダ10から受信した情報により特定される部品について、関連部品検索処理により検索された関連部品があると判断すると、取付日基準交換日算出処理により算出した関連部品の次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダ10に送信する。
【0054】
そのため、サービスマンは部品に付されているICタグ34をタグリーダ10で読取ると、その部品に関連する全ての部品について、これらの部品が取り付けられている建設機械30の稼働情報を考慮した次回の部品交換時期を知ることができる。このように、サービスマンは特段の指示を行うことなく、関連する全ての部品について次回の部品交換時期を入手することができるため、交換すべき部品をもれなく簡便に知ることができ、その結果、メンテナンス作業が容易である。
【0055】
(第3の実施の形態)
以下、図9図11を参照して、本発明による部品管理システムを建設機械に適用した第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は、タグリーダにあらかじめ読取るICタグ34の情報が入力されている点、および部品の不正規品の対策がされている点が特徴である。
【0056】
第3の実施の形態と第1の実施の形態との構成における主な相違は、タグリーダ制御部11のROM、およびサーバ制御部21のROMに保存されているプログラムが異なる点である。
【0057】
以下、第3の実施の形態におけるタグリーダ10の動作を説明する。
リード/ライト部12は、タグリーダ制御部11による読取り指令によりICタグ34を読取り、タグリーダ制御部11にその読み取った情報を伝達するが、読取りができなかった場合には、読取りができなかった旨の情報をタグリーダ制御部11に伝達する。
【0058】
第1の実施の形態では、タグリーダ10のタグリーダ制御部11は、リード/ライト部12によるICタグ34の読取り完了およびタグリーダ通信部16のデータ受信に応じて動作を開始したが、第3の実施の形態ではそれらに加えてサービスマンの操作により図9のフローチャートに示すプログラムの実行を開始する。
【0059】
以下、図9のフローチャートに示すプログラムの詳細を説明する。
サービスマンの操作によりプログラムが起動されると、ステップS401では、タグリーダ制御部11は、図10に示す情報入力用インタフェース14aを表示部14に表示し、サービスマンによる建設機械IDの入力を促す。続くステップS402では、タグリーダ制御部11は、サービスマンによる建設機械IDの入力を待ってステップS403に進む。
【0060】
ステップS403では、タグリーダ制御部11は、取付部位番号対応表18からサービスマンが入力した建設機械IDの上5桁が一致する欄を検索し、その欄に表示されている取付部位名称の一覧を取付部位名称リスト14cとして情報入力用インタフェース14aに追加する。例えば取付部位名称リスト14cはドロップダウンリストであり、リストに含まれる任意の取付部位を選択できる構造になっている。
続くステップS404では、タグリーダ制御部11は、サービスマンによる取付部位名称リスト14cからの選択を待ち、選択があるとステップS405に進む。
【0061】
ステップS405では、タグリーダ制御部11は、まず、サービスマンがステップS404で選択した取付部位について、取付部位番号対応表18およびサービスマンがステップS402で入力した建設機械IDを参照して、取付部位番号を特定する。次に、サービスマンがステップS402で入力した建設機械IDと、特定した取付部位番号とからなるデータを、照合データとして一時的に保存する。
【0062】
続くステップS406では、タグリーダ制御部11は、サービスマンからのタグ読取り指示を待ち、読取り指示があればリード/ライト部12に読取り指令を送り、ステップS407に進む。サービスマンからのタグ読取り指示とは、たとえばサービスマンによる不図示のタグデータ読み取りボタンの押下である。
【0063】
ステップS407では、タグリーダ制御部11は、リード/ライト部12からの情報が、読取ったICタグ34の情報であるか、読取りができなかった旨の情報であるか、を判断する。リード/ライト部12からの情報が、ICタグ34の情報である場合にはステップS408へ、読取りができなかった旨の情報である場合はステップS409へ進む。
【0064】
ステップS408では、タグリーダ制御部11は、読取ったICタグ34の情報に部品取付日時の情報が含まれるかを判断し、含まれる場合はステップS410に進み、含まれない場合はステップS409に進む。
【0065】
ステップS409では、ステップS402でサービスマンが入力した建設機械ID、ステップS405で特定した取付部位番号、不正規品があったことを示す特別なコード、の3つを不正規品情報としてサーバ20へ送信し、図9のフローチャートを終了する。
【0066】
ステップS410では、タグリーダ制御部11は、読取ったICタグ34の機種コードおよび取付部位番号が、ステップS405で作成した照合データと一致するかを判断し、両者とも一致している場合はステップS412に進み、一方でも一致しない場合はステップS411に進む。
【0067】
ステップS411では、タグリーダ制御部11は、表示部14に入力した部位と読取ったICタグ34の情報が一致しない旨の表示を出力するとともに、報知部17のスピーカーからアラーム音を発して、一致しないことをサービスマンに報知する。そして再度のICタグ34の読取りに備えてステップS406に戻る。
【0068】
ステップS412では、タグリーダ制御部11は、読取ったICタグ34の情報をタグリーダ通信部16を介してサーバ20に送信し、ステップS413に進む。ステップS413では、タグリーダ制御部11は、ステップS406〜ステップS407において情報を読取ったICタグ34に対して、最終点検日時の日付を現在時刻に更新する書き込みを行い、図9のフローチャートを終了する。
【0069】
以下、第3の実施の形態におけるサーバ20の動作を説明する。
図11のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における図7のフローチャートに示すプログラムに代わって、第3の実施の形態においてサーバ制御部21により一定時間ごと、たとえば1分ごとに実行される。以下の説明では、第1の実施の形態における図7と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、サーバ20が受信した情報が不正規品情報であった場合の対処が追加されている点で、第1の実施の形態と異なる。
【0070】
ステップS501では、サーバ制御部21はタグリーダ通信部16から、ICタグ34の情報もしくは不正規品情報を受信したかを判断する。そして、いずれかのデータを受信していた場合はステップS502に進み、受信していない場合は図11に示すフローチャートを終了する。
【0071】
ステップS502では、サーバ制御部21は、受信したデータがICタグ34の情報であったかを判断し、ICタグ34の情報であった場合はステップS503に進み、ICタグ34の情報でない場合、すなわち不正規品情報であった場合はステップS504に進む。不正規品情報には、不正規品があったことを示す特別なコードが含まれるため、受信したデータにこの特別なコードが含まれていなければ、受信したデータがICタグ34の情報であると判断できる。
【0072】
ステップS503では、サーバ制御部21は、受信したICタグ34の情報から特定される部品について、部品データベース24の当該部品の点検日を現在時刻に更新し、ステップS220に進む。ステップS220以下では、受信したICタグ34が付されていた部品の次回の部品交換時期を算出して送信、もしくは次回の部品交換時期を超過している旨を送信して図11のフローチャートを終了する。
【0073】
ステップS504では、サーバ制御部21は、不正規品情報に含まれる建設機械IDおよび取付部位番号を用いて、部品データベース24から不正規品が取り付けられていた位置に直前に取り付けられていた正規の部品(以後、最後の正規部品と呼ぶ)を検索する。例えば、まず、部品データベース24から、不正規品情報に含まれていた建設機械IDおよび取付部位番号と一致する建設機械IDおよび取付部位番号が付されている部品を検索する。そして、複数の部品が該当した場合は、最も部品取付日時が新しいものが最後の正規部品であり、1つのみが該当した場合はその部品が最後の正規部品である。
【0074】
続くステップS505では、サーバ制御部21は、ステップS504において最後の正規部品が見つかったかを判断し、見つかった場合にはステップS506に進み、見つからなかった場合はステップS507に進む。
ステップS506では、サーバ制御部21は、部品データベース24に最後の正規部品の最終点検日時が記録されているかを判断し、記録されている場合はステップS508に進み、記録されていない場合はステップS509に進む。
【0075】
ステップS507では、不正規品が取り付けられた日時を知る手がかりがないため、サーバ制御部21は、以下の手順(以後、受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理と呼ぶ)により不正規品の次回の部品交換時期を算出し、ステップS510に進む。
【0076】
まず、不正規品情報から、当該不正規品が取り付けられていた建設機械30の建設機械IDを抽出し、当該建設機械IDを有する建設機械の過去一定期間における稼働実績記録25を全て抽出する。たとえばこの期間は過去1年とすることができる。不正規品情報から当該不正規品の取付部位番号を特定し、使用部品対応表27から当該部品が使用される作業を特定する。抽出した稼働実績記録25から上記特定された作業が含まれる時間を累計し、当該部品の現在までの累計稼働時間を算出する。この累計時間を稼働実績記録25を抽出した日数で割ることにより、1日あたりの当該部品の平均稼働時間を算出する。当該部品の標準交換時間をその平均稼働時間で割ることにより使用できる日数を算出する。この不正規品データを受信した日付に算出した日数を加えて不正規品の次回の部品交換時期を算出する。ただし、不正規品の標準交換時間は最後の正規部品よりも短い時間、たとえば正規部品の3分の1とする。
【0077】
ステップS508では、最後の正規部品の最終点検日時以後に不正規品に交換されているため、サーバ制御部21は、その最終点検日時を基準として以下の手順(以後、点検時基準の不正規品部品交換時期算出処理と呼ぶ)により不正規品の次回の部品交換時期を算出し、ステップS510に進む。
【0078】
まず、不正規品情報から、当該不正規品が取り付けられていた建設機械の建設機械IDを抽出し、最後の正規部品の最終点検日時以後の当該建設機械IDを有する建設機械30の稼働実績記録25を全て抽出する。次に不正規品情報から当該不正規品の取付部位番号を特定し、使用部品対応表27から当該部品が使用される作業を特定する。抽出した稼働実績記録25から上記特定された作業が含まれる時間を累計し、当該部品の現在までの累計稼働時間を算出する。この累計時間を稼働実績記録25を抽出した日数で割ることにより、1日あたりの当該部品の平均稼働時間を算出する。当該部品の標準交換時間をその平均稼働時間で割ることにより使用できる日数を算出する。最終点検日時に算出した日数を加えて不正規品の次回の部品交換時期を算出する。ただし、不正規品の標準交換時間は最後の正規部品よりも短い時間、たとえば正規部品の3分の1とする。
【0079】
ステップS509では、最後の正規部品の部品取付日時以後に不正規品に交換されているため、サーバ制御部21は、その部品取付日時を基準として以下の手順(以後、交換時基準の不正規品部品交換時期算出処理と呼ぶ)により不正規品の次回の部品交換時期を算出し、ステップS510に進む。
【0080】
まず、不正規品情報から、当該不正規品が取り付けられていた建設機械30の建設機械IDを抽出し、当該建設機械IDを有する建設機械の稼働実績記録25から最後の正規部品の部品取付日時以後の稼働実績を全て抽出する。次に不正規品情報から当該不正規品の取付部位番号を特定し、使用部品対応表27から当該部品が使用される作業を特定する。抽出した稼働実績記録25から先の作業が含まれる時間を累計し、当該部品の現在までの累計稼働時間を算出する。この累計時間を稼働実績記録25を抽出した日数で割ることにより、1日あたりの当該部品の平均稼働時間を算出する。当該部品の標準交換時間をその平均稼働時間で割ることにより使用できる日数を算出する。部品取付日時に算出した日数を加えて不正規品の次回の部品交換時期を算出する。ただし、不正規品の標準交換時間は最後の正規部品よりも短い時間、たとえば正規部品の3分の1とする。
【0081】
ステップS510では、サーバ制御部21は、算出した不正規品の部品交換時期算出基準日、およびその理由を、サーバ通信部23を介してタグリーダ10に送信する。送信するメッセージは例えば「次回の部品交換時期:2014年6月上旬。算出基準日:本日。理由:最後の正規部品の記録がないため」である。このメッセージを見たサービスマンは、本日基準で不正規品の次回の部品交換時期を算出しているため、上記次回の部品交換時期よりも十分に早く正規部品に交換すべきであると判断できる。
【0082】
以上説明した第3の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)タグリーダ10は、ICタグ34を付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部13を備える。また、タグリーダ制御部11は、入力部13により入力した情報から特定された設置個所の部品に付されたICタグ34から部品取付日時を読み取れなかった場合に、入力部13により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバ20へ通知する。
【0083】
そのため、タグリーダ10は、ICタグ34が付されていない不正規品、部品取付日時の保存領域が設けられていないICタグ34が付された不正規品、または部品取付日時の保存領域が設けられているが日付が書き込まれていないICタグ34が付された不正規品が、入力部13から入力した情報により特定される設置個所に設置されていることを、サーバ20に通知することができる。
【0084】
(2)ICタグ34の情報は、ICタグ34を付している部品の部品取付日時および最終点検日時を少なくとも含み、部品情報記憶部22の部品データベース24に蓄積される情報は、部品の部品取付日時および最終点検日時を含む。サーバ20は、図11のステップS507においてタグリーダ10から受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する。これが受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理である。サーバ20はまた、図11のステップS509において、タグリーダ10から受信した不正規品の設置個所に取り付けられていた部品、つまり最後の正規部品の部品取付日時以後の負荷情報を参照して、不正規品の次回の部品交換時期を算出する。これが交換時基準の不正規品部品交換時期算出処理である。サーバ20は、図11のステップS508において、最後の正規部品について前回の点検日時以後の負荷情報を参照して、不正規品の次回の部品交換時期を算出する。これが点検時基準の不正規品部品交換時期算出処理である。タグリーダ10は、ICタグ34を付した部品の設置箇所を特定する情報を入力する入力部13をさらに備える。タグリーダ制御部11は、入力部13により入力した情報から特定された設置個所の部品に付されたICタグ34から前回の交換日時を読み取れなかった場合に、入力部13により入力した情報から特定された設置個所の部品が不正規品であることをサーバ20へ通知する。サーバ制御部21は、タグリーダ10から不正規品情報を受信すると、タグリーダ10から受信した情報、および部品情報記憶部22、たとえば部品データベース24に保存されているデータにより、いずれかの不正規品部品交換時期算出処理を選択し、選択した算出処理により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダ10へ送信する。
そのため、不正規品の次回の部品交換時期を客観的事実から推定できる過去の使用期間を考慮して算出できる。
【0085】
(3)タグリーダ10は、図9のステップS410において、入力部13により入力された部品の設置箇所を特定する情報と読み込んだICタグ34に含まれる部品の情報とから両者の設置箇所が一致するか否かを判定する。これが設置箇所一致判定処理である。報知部17は、設置箇所一致判定処理により両者の設置箇所が一致しないと判断された場合に一致しないことを報知する。
【0086】
そのため、サービスマンが予め入力部13から入力した設置個所ではない箇所に付された部品に付されたICタグ34を読込むと報知部17から報知がなされ、サービスマンはタグの読取り間違いに気づくことができる。そして、入力部13から入力した設置個所に付された部品のICタグ34を読込むことができる。この効果は、部品が密集しており特定のICタグ34の読取り操作が難しい場合や、図2に示した左右のブームシリンダーのように取付位置の左右だけが異なりサービスマンの認識間違いが起こりやすい場合、さらに類似する部品が隣接して配置されている場合などに顕著である。
【0087】
(変形例1)
第3の実施の形態では、部品データベース24およびICタグ34に最終点検日時を記録していたが、それらに最終点検日時を記録しない構成をとってもよい。そして、サーバ20は、タグリーダ10からICタグ34の情報を受信したとき、正規部品の部品交換時期算出処理により部品の次回の部品交換時期を算出する。また、不正規品情報を受信したとき、部品データベース24に最後の正規部品が存在し、かつ最後の正規部品の部品取付日時が記録されている場合には、取付時基準の不正規品部品交換時期算出処理により不正規品の次回の部品交換時期を算出し、それ以外の場合は受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理により不正規品の次回の部品交換時期を算出する。
【0088】
したがって、変形例1においては、サーバ制御部21が実行する図11に示すフローチャートは、ステップS506の代わりにステップS509を配置し、ステップS509の実行後にステップS510へと進む処理に変更する。
【0089】
以上説明した変形例1によれば、次の作用効果を奏する。
サーバ20は、タグリーダ10から受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して、不正規品の次回の部品交換時期を算出する。すなわち、受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理とを実行する。またサーバ20は、最後の正規部品の部品取付日時以後の前記最後の正規部品の負荷情報を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する。すなわち取付時基準の不正規品部品交換時期算出処理を実行する。サーバ制御部21は、タグリーダ10から受信した情報、および部品データベース24に保存されているデータによりいずれかの部品交換時期算出処理を選択し、選択した部品交換時期算出処理により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダ10へ送信する。サーバ制御部21は、タグリーダ10から受信した情報の中に不正規品があったことを示す特別なコードがない場合に正規部品の部品交換時期算出処理を選択する。サーバ制御部21は、タグリーダ10から受信した情報の中に不正規品があったことを示す特別なコードがあり、かつ最後の正規部品の部品取付日時が部品データベース24に保存されている場合には、取付時基準の不正規品部品交換時期算出処理を選択し、それ以外の場合は受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理を選択する。
そのため、最終点検日時をICタグ34および部品データベース24のいずれにも保存していなくても、不正規品の次回の部品交換時期を算出することができる。
【0090】
(変形例2)
第3の実施の形態では、部品データベース24に最終点検日時、および部品取付日時を記録していたが、それらを記録しない構成をとってもよい。さらに、ICタグ34には部品取付日時のみを記録し、最終点検日時を記録しない構成をとってもよい。そして、サーバ20は、タグリーダ10からICタグ34の情報を受信すると、正規部品の部品交換時期算出処理により次回の部品交換時期を算出し、不正規品情報を受け取ると受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理により次回の部品交換時期を算出する。
【0091】
したがって、変形例2においては、サーバ制御部21が実行する図11に示すフローチャートは、ステップS506の代わりにステップS509を配置し、ステップS509の実行後にステップS510へと進む処理に変更する。
【0092】
以上説明した変形例2によれば、次の作用効果を奏する。
サーバ20は、タグリーダ10から受信した不正規品の設置個所にある部品の過去の負荷状況を参照して不正規品の次回の部品交換時期を算出する。すなわち、受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理を図11のステップS507のように実行する。サーバ制御部21は、タグリーダ10から受信した情報の中に、不正規品があったことを示す特別なコードがあるときは、受信時基準の不正規品部品交換時期算出処理により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダ10へ送信する。不正規品があったことを示す特別なコードがないときは、取付時基準の部品交換時期算出処理により算出した次回の部品交換時期を報知情報としてタグリーダ10へ送信する。
そのため、最終点検日時をICタグ34および部品データベース24のいずれにも保存しておらず、部品取付日時を部品データベース24に保存していなくても、不正規品の次回の部品交換時期を算出することができる。
【0093】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。また、上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…タグリーダ、11…タグリーダ制御部、12…リード/ライト部、13…入力部、14…表示部、15…記憶部、16…タグリーダ通信部、17…報知部、18…取付部位番号対応表、20…サーバ、21…サーバ制御部、22…部品情報記憶部、23…サーバ通信部、24…部品データベース、25…稼働実績記録、26…関連部品リスト、27…使用部品対応表、30…建設機械、31…建機制御部、32…建機通信部、33…稼働情報収集部、34…ICタグ
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