特許第6282789号(P6282789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6282789ROR−ガンマ−tの阻害に有用な化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6282789
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ROR−ガンマ−tの阻害に有用な化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/20 20060101AFI20180208BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20180208BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   C07D495/20CSP
   A61K31/506
   A61K45/00
   A61P17/06
   A61P19/02
   A61P37/00
【請求項の数】11
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-542876(P2017-542876)
(86)(22)【出願日】2016年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016050374
(87)【国際公開番号】WO2017044410
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2017年8月15日
(31)【優先権主張番号】62/215,929
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147131
【弁理士】
【氏名又は名称】今里 崇之
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】モーフィー,ジョン リチャード
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−512926(JP,A)
【文献】 特表2013−510870(JP,A)
【文献】 特表2013−510859(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/101928(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物
【化1】
またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
以下の式の請求項1に記載の化合物
【化2】
またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項3】
以下の式の請求項1または2に記載の化合物。
【化3】
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、乾癬を治療するための医薬組成物
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、血清反応陰性脊椎関節症を治療するための医薬組成物
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎を治療するための医薬組成物
【請求項7】
一つまたは複数の医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤をさらに含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
一つまたは複数のその他の治療薬と併用される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
乾癬の治療のための薬剤の製造における請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用。
【請求項10】
血清反応陰性脊椎関節症の治療のための薬剤の製造における請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用。
【請求項11】
体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎を治療するための薬剤の製造における請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレチノイン酸受容体関連オーファン受容体ガンマ−t(RORγt)を阻害するのに有用な化合物、医薬組成物、およびRORγ活性に関連する疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レチノイン酸受容体関連オーファン受容体(ROR)は、多くの疾患において重要な病理学的制御因子として確認されている核内受容体(NR)スーパーファミリーのメンバーである。RORサブファミリーは、RORα、RORβおよびRORγから構成される。マウスおよびヒトRORγ遺伝子は、γ1とγ2との2つのアイソフォームを生成し、後者はγtとして言及されることが最も多い。RORγtシグナル伝達は、IL−23/IL−23シグナル伝達に反応することが多く、ナイーブなCD4+T細胞を、Th17と名付けられ、古典的なTh1およびTh2細胞と区別されるT細胞のサブセットに分化するのに必要とされ、それらの維持を支持する。Th17細胞はインターロイキン−17A(IL−17)およびIL−17Fを産生する。さらにTh17細胞は、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)、GM−CSF、CXCL1およびCCL20を含む、炎症反応を駆動することで知られるある範囲のその他の因子を産生する。NK細胞およびリンパ組織誘導(LTi)様細胞等の自然リンパ球系細胞は、IL−23受容体およびRORγtを発現し、刺激およびIL−23に応答して、IL−17を産生する。IL−23応答性、RORγt、およびIL−17発現細胞が自己免疫疾患(AI)、炎症性疾患およびがんに関連しているという実質的な証拠がある。したがって、RORγtの標的阻害は、上記の疾患の病態形成を減少させるために重要となりうる。
【0003】
AI疾患は、現在、治癒が存在しない慢性病態である。AI疾患の治療は、抗炎症、抗疼痛または免疫抑制薬を投与することによって、疾患のプロセスを制御し、症状を減少させる試みに関係している。残念ながら、抗炎症および抗疼痛薬の使用は、効果がないことがあり、免疫抑制薬の使用は壊滅的な長期の副作用をもたらすことが多い。免疫抑制薬の最も重い副作用は、感染症のリスクの増加および癌発症のより高いリスクである。
【0004】
RORγtに対する自然および合成リガンドが確認されている。RORγtに対する小分子阻害剤が、AIの文献で報告されている。国際特許第2015/017335号および国際特許第2014/179564号を参照のこと。しかしながら、現在の治療薬の非有効性または壊滅的な副作用と結びつくAI疾患の有病率から、患者にとってより多くの治療の選択肢を利用できるようにする必要がある。RORγtを標的とすることは、生体防御を抑制するリスクを最小限にしながら病原体の免疫細胞を標的することによる治療効果を最大にすることによって、現在のAI治療法を上回る利点を提示しうる。
【0005】
本発明はRORγt阻害剤である新規化合物を提供している。当該新規化合物は、ぶどう膜炎、多発性硬化症、関節リウマチ、移植片対宿主病、クローン病、その他の炎症性腸疾患、がん、乾癬、ならびに体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎および乾癬性関節炎等の血清反応陰性脊椎関節症に潜在的、効果的な治療の必要性を導くと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は以下の式の化合物、
【化1】

またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0007】
本発明はまた、治療を必要とする患者に、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む、患者の乾癬を治療する方法を提供する。さらに、本発明は、治療を必要とする患者に、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む、患者の血清反応陰性脊椎関節症を治療する方法を提供する。当該実施形態では、血清反応陰性脊椎関節症は、体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎である。
【0008】
本発明は、一つまたは複数の医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。さらなる実施形態では、組成物は一つまたは複数のその他の治療薬をさらに含む。さらなる実施形態では、本発明は、一つまたは複数の医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、乾癬を治療するための医薬組成物を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、一つまたは複数の医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、血清反応陰性脊椎関節症を治療するための医薬組成物を提供する。当該実施形態では、血清反応陰性脊椎関節症は、体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎である。
【0009】
さらに、本発明は、特に乾癬を治療するための治療法に使用される、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。さらに、本発明は、乾癬の治療に使用される、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、乾癬を治療するための治療薬を製造するために、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、特に血清反応陰性脊椎関節症を治療するための治療法に使用される、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。さらに、本発明は、血清反応陰性脊椎関節症の治療に使用される、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、血清反応陰性脊椎関節症を治療するための治療薬を製造するために、本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。前記実施形態では、血清反応陰性脊椎関節症は、体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎である。
【0011】
本発明はまた、本発明の化合物を合成するのに有用な中間体および工程を含む。
【0012】
「治療すること」(または「治療する」もしくは「治療」)という用語は、本明細書で使用するとき、既存の症状、病態または障害の進行または重症度を抑制する、遅延させる、止める、または逆転させることを指す。
【0013】
「脊椎関節症」という用語は、脊椎ならびに靭帯および腱が骨に付着している領域に一般的に関係するいくつかの慢性関節疾患を指す。脊椎関節症(spondylarthropathies)は、脊椎関節症(spondyloarthropathies)、または脊椎関節炎(spondyloarthritis)とも呼ばれることがある。
【0014】
「血清陰性」という用語は、リウマトイド因子が陰性である疾患を指す。
【0015】
本発明の化合物は、医薬的に許容可能な塩を形成するために反応させることができる。医薬的に許容可能な塩およびその一般的な調製方法は、当該技術分野で既知である。例えば、P. Stahl,ら. Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, 改訂版2版 (Wiley-VCH, 2011); S.M. Berge,ら, “Pharmaceutical Salts,” Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 66, No. 1, January 1977を参照のこと。
【0016】
当業者は、(I)に示される本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩が、以下に示される少なくとも2つのキラル中心を含むコアから構成されることを認識している。
【化2】

(I)
【0017】
本発明は全ての個別のエナンチオマー、およびラセミ体を含む前記化合物のエナンチオマーの混合物を考慮しているが、本発明の好ましい化合物は以下の(II)によって示される化合物
【化3】

(II)
またはその医薬的に許容可能な塩である。
【0018】
当業者はまた、全てのキラル中心について、カーン・インゴルド・プレローグ順位則(R)または(S)方向が、特定の化合物の置換パターンによって変化することを理解している。単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、キラル試薬から始まり、または立体選択的または立体特異的合成手法によって調製することができる。あるいは、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、本発明の化合物の合成の任意の都合の良い地点で、標準的なキラルクロマトグラフィーまたは結晶化手法によって、混合物から単離させることができる。本発明の化合物の単一のエナンチオマーが、本発明の好ましい実施形態である。
【0019】
本発明の化合物は、好ましくは、様々な投与経路で投与される医薬組成物として製剤化される。当該医薬組成物および同医薬組成物を調製する工程は、当該技術分野で既知である。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (A. Gennaro, ら, eds., 第21版, Mack Publishing Co., 2005)を参照のこと。より特に好ましくは、以下の式の化合物を含む組成物
【化4】

またはその医薬的に許容可能な塩および一つまたは複数の医薬的に許容可能な担体または希釈剤である。
【0020】
本発明の特に好ましい実施形態は、化合物(5’S)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1R)−1−[2−トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−2’−カルボキサミド
【化5】

またはその医薬的に許容可能な塩に関する。
【0021】
本発明の別の特に好ましい実施形態は、以下の化合物に関する。
【化6】
【0022】
本発明の化合物は一般的に、広い投与量範囲で有効である。例えば、1日あたりの投与量は、約1mg〜1gの範囲にある。いくつかの例では、前述の範囲の下限を下回る投与レベルが十二分に適切である場合もあり、他の場合では、好ましいベネフィット/リスク特性を維持しながら、多量の投与量を使用してもよく、したがって、投与量範囲を上回ることは、いかなる場合も本発明の範囲を限定することを意図していない。実際に投与される化合物の量は、治療条件、選択した投与経路、投与される実際の一つまたは複数の化合物、年齢、体重、個々の患者の反応、患者の症状の重症度を含む、関連する状況に照らして、医師によって決定されることは理解される。
【0023】
個別の異性体、エナンチオマーおよびジアステレオマーは、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィー等の方法によって、式Iの化合物の合成における通常の地点で、当業者によって分割されたり、溶解されてもよい(例えば、J. Jacques,ら, "Enantiomers, Racemates, and Resolutions", John Wiley and Sons, Inc., 1981およびE.L. Eliel and S.H. Wilen,” Stereochemistry of Organic Compounds”, Wiley-Interscience, 1994を参照のこと)。「異性体1」および「異性体2」の方向は、それぞれ第一および第二のキラルクロマトグラフィーから溶出する化合物を指し、合成の初期にキラルクロマトグラフィーを開始する場合、同方向は次の中間体および例に適用される。
【0024】
さらに、本明細書に記載の特定の中間体は一つまたは複数の保護基を含んでいてもよい。可変の保護基は、特定の反応条件および実施される特定の変換によって、各出現で同じであっても異なっていてもよい。保護および脱保護条件は当業者に既知であり、文献に記載されている(例えば、“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”, Fourth Edition, by Peter G.M. Wuts and Theodora W. Greene, John Wiley and Sons, Inc. 2007を参照のこと。)
【0025】
特定の略語は以下に記載する。「AUC」は曲線下の領域を指し、「BSA」はウシ血清アルブミンを指し、「CFA」はフロイント完全アジュバントを指し、「DBA」はdilute brown non-Agoutiを指し、「DCM」はジクロロメタンを指し、「DPBS」はダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を指し、「DMEM」はダルベッコ変法イーグル培地を指し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し、「EC50」は半数効果濃度(the effective concentration at half the maximal response)を指し、「EtOAc」は酢酸エチルを指し、「EtO」はエチルエーテルを指し、「EtOH」はエチルアルコールまたはエタノールを指し、「ee」は鏡像体過剰率を指し、「Ex」は例を指し、「FBS」はウシ胎仔血清を指し、「G」は重力を指し、「GAL」はベータガラクトシダーゼDNA結合領域を指し、「GPI」はグルコース−6−リン酸異性化酵素を指し、「HEC」はヒドロキシエチルセルロースを指し、「HEK」はヒト胎児性腎臓細胞を指し、「HEPES」は4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸を指し、「IC50」は薬剤に可能な最大阻害反応の50%を作り出す当該薬剤の濃度を指し、「IL」はインターロイキンを指し、「IPA」はイソプロピルアルコールまたはイソプロパノールを指し、「Kd」は解離定数を指し、「Ki」は阻害定数を指し、「MeOH」はメチルアルコールまたはメタノールを指し、「MEM」は最小必須培地を指し、「PBMC」は末梢血単核球を指し、「PBS」はリン酸緩衝食塩水を指し、「Prep」は調製を指し、「RAR」はレチノイン酸受容体を指し、「RPMI」はロズウェルパーク記念研究所を指す。「R」は保持時間を指し、「SCX」は強カチオン交換を指し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィーを指し、「THF」はテトラヒドロフランを指す。
【0026】
本発明の化合物またはその塩は、当該技術分野で既知の様々な方法で調製することができ、そのいくつかを以下の調製および実施例で説明する。記載の各経路の特定の合成ステップは、異なる方法で組み合わせて、本発明の化合物またはその塩を調製することができる。以下の各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕および結晶化を含む当該技術分野で既知の通常の方法で回収することができる。当業者は試薬および開始材料を容易に入手することができる。
【0027】
以下の調製および実施例はさらに、本発明を説明し、本発明の化合物の典型的な合成を示している。
本発明は以下を提供する。
[1]
以下の式の化合物
【化1】
またはその医薬的に許容可能な塩。
[2]
以下の式の請求項1に記載の化合物
【化2】
またはその医薬的に許容可能な塩。
[3]
以下の式の請求項1または2に記載の化合物。
【化3】
[4]
一つまたは複数の医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物またはその医薬的に許容可能な塩。
[5]
一つまたは複数のその他の治療薬を含む請求項4に記載の医薬組成物。
[6]
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を治療が必要な患者に投与することを含む、乾癬を治療する方法。
[7]
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を治療が必要な患者に投与することを含む、血清反応陰性脊椎関節症を治療する方法。
[8]
体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎を治療するための請求項7に記載の方法。
[9]
治療に使用するための請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩。
[10]
乾癬の治療に使用するための請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩。
[11]
血清反応陰性脊椎関節症の治療に使用するための請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩。
[12]
体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎の治療に使用するための請求項11に記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩。
[13]
乾癬の治療のための薬剤の製造における請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用。
[14]
血清反応陰性脊椎関節症の治療のための薬剤の製造における請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用。
[15]
体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎または乾癬性関節炎を治療するための薬剤の製造のための請求項14に記載の使用。
【実施例】
【0028】
調製および実施例
調製1
1−(3−チエニル)プロパン−2−オン
【化7】

無水酢酸(87.9mL、913mmol)中の2−(3−チエニル)酢酸(26.5g、146.5mmol)を懸濁し、1−メチルイミダゾール(7.57g、91.3mmol)を添加する。反応混合物を窒素下、室温で4時間攪拌する。反応混合物を0℃に冷却し、水(150mL)を添加し、1時間攪拌する。EtOAc(300mL)で溶液を希釈し、2M NaOH(200mlを2回)、水(200mL)およびブライン(200mL)で連続して洗浄する。有機抽出相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固し、黄色の油として標題化合物(28.16g、77%)を得る。H NMR(400.13MHz、CDCl)δ 2.14(s 3H)、3.7(s、2H)、6.94(d、J=5.1Hz、1H)、7.08(bs、1H)、7.29−7.26(m、1H)。
【0029】
調製2
1−(3−チエニル)プロパン−2−オール
【化8】

水素化ホウ素ナトリウム(1.61g、41.67mmol)に乾燥したMeOH(63mL)を添加し、MeOHを添加しながら反応混合物を−10℃に冷却する。さらに−20℃に冷却し、乾燥したMeOH(26.7mL)中の1−(3−チエニル)プロパン−2−オン(4.92g、33.34mmol)の溶液を40分にわたって滴下し、−20℃で1.5時間攪拌し、その後、室温で17時間攪拌する。当該溶液を−5℃(内部温度)に冷却し、塩化アンモニウムの飽和溶液(15ml)、その後1N HCl(15mL)でクエンチする。水(30mL)およびEtOAc(100mL)を添加する。減圧下で混合物を総量の1/3に濃縮する。EtOAc(100mLを2回)で混合物を抽出する。有機抽出物を一つに合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥濃縮し、標題化合物(4.74g、100%)を得る。質量スペクトル(m/z):125(M−OH+H)、164.8(M+Na)。
【0030】
代替の調製2a
MeOH(282mL)中の1−(3−チエニル)プロパン−2−オン(28.16g、140.6mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(7.06g、182.8mmol)を30分かけて0℃で滴下し、室温で一晩攪拌する。乾燥濃縮し、EtOAc(200mL)で希釈し、塩化アンモニウムの飽和溶液(150mL)で洗浄する。EtOAc(200mLを2回)で水性層を抽出する。有機抽出物を一つに合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。MeOH:DCM(0:100〜5:95)で溶出するシリカゲルフラッシュゲルクロマトグラフィーによって残渣を精製し、淡赤色の油として標題化合物(12.85g、64%)を得る。質量スペクトル(m/z):125(M−OH+H)。
【0031】
調製3
(2S)−1−(3−チエニル)プロパン−2−オール
【化9】

無水THF(10mL)およびトルエン(100mL)に3−ブロモチオフェン(6.88g、42.2mmol)を溶解する。−78℃に冷却する。当該溶液にsec−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.3mol/L、34mL、44mmol)をシリンジで15分かけて添加する。温度を−60℃未満に保持し、10分間攪拌し、その後(2S)−2−メチルオキシラン(4.9g、84.4mmol)を滴下する。5分後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(5.3mL、42mmol)を滴下漏斗で15分かけて添加する。温度を−55℃未満に保持する。添加が完了した後、−78℃で2時間攪拌する。飽和炭酸水素ナトリウムで−78℃でクエンチし、EtOを添加し、周囲温度に温める。飽和炭酸水素ナトリウム(2回)で洗浄し、その後飽和ブラインで洗浄する。硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。15%のEtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(3.85g、64.2%)を得る。混合した画分を再精製し、無色液体として標題化合物(4.29g、71.5%)を得る。H NMR(400.13MHz、CDCl)δ 7.28−7.26(dd、J=2.9、5.0、1H)、7.03−7.01(m、1H)、6.96(dd、J=1.2、4.9、1H)、4.04−3.95(m、1H)、2.83−2.68(m、2H)、1.63(s、1H)、1.22(d、J=6.2、3H)、OR[α]20D+25.50(c 1.00、CHCl)。
【0032】
調製4
(5’S)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]
【化10】

tert−ブチル4−オキソピペリジン−1−カルボン酸(6.50g、32.6mmol)および(2S)−1−(3−チエニル)プロパン−2−オール(4.64g、32.6mmol)をDCM(100mL)に溶解する。トリフルオロ酢酸(20mL、264.5mmol)を添加する。混合物を周囲温度で18時間攪拌する。混合物を減圧下で濃縮し、水およびEtOを添加する。有機層を水で洗浄し、洗浄した水性層を一つに合わせ、固体の炭酸ナトリウムでpHを塩基に調節する。固体の塩化ナトリウムで水性層を飽和し、EtOAc(5回)で水性層を洗浄する。EtOAc層を一つに合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、淡黄色の油として標題化合物(4.61g、63%)を得る。質量スペクトル(m/z):224.2(M+H)。
【0033】
調製5
tert−ブチル(5’S)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボン酸
【化11】

(5’S)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン](10.39g、46.53mmol)をDCM(100mL)に溶解する。二炭酸ジ−tert−ブチル(11.52mL、51.18mmol)を滴下し、混合物を周囲温度で1.5時間攪拌する。追加の二炭酸ジ−tert−ブチル(2.00mL、9.17mmol)を添加し、30分間攪拌し、減圧下で濃縮する。イミダゾール(2.21g、32.5mmol)を添加し、過剰な二炭酸ジ−tert−ブチルを破壊する(Synthesis、2001、No.4,550)。EtOを添加し、ブラインで洗浄する。硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。10%のEtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。15%のEtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで再精製し、無色油として標題化合物(12.92g、86%)を得る。H NMR(400.13MHz、d−DMSO)δ 7.33(d、J=5.1、1H)、6.77(d、J=5.1、1H)、3.92−3.72(m、3H)、3.15−2.91(s、2H)、2.62(dd、J=15.8、3.0、1H)、2.30(dd、J=15.8、10.6、1H)、2.1(m、1H)、1.76−1.63(m、2H)、1.51−1.40(m、1H)、1.38(s、9H)、1.24(d、J=6.2、3H)、SFCクロマトグラフィーに基づく100% ee、Lux Amylose−2、5mL/分、225nm、R=1.75分、OR[α]20D+82.1(c 1.00、CHCl)。
【0034】
調製6
tert−ブチル−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボン酸
【化12】

乾燥DCM(135mL)中1−(3−チエニル)プロパン−2−オール(12.85g、90.35mmol)およびtert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボン酸(23.40g、117.5mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(34.16mL、451.8mmol)を0℃で滴下し、室温で17時間攪拌し続ける。混合物を乾燥濃縮し、MeOHで残渣を希釈し、その後、減圧下で溶媒を除去する。MeOH中の残渣を取り出し、イオン交換クロマトグラフィーによって精製する。所望の生成物を含む層を一つに合わせ、減圧下で濃縮し、トルエン(3回)で共蒸着し、淡オレンジ色の固体の粗5−メチルスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]を得る。4−ジメチルアミノピリジン(2.23g、18.07mmol)およびトリエチルアミン(37.8mL、271.1mmol)を、乾燥DCM(90.35mL)中の5−メチルスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](20.18g、90.35mmol)の溶液に滴下し、0℃に冷却する。当該溶液に、乾燥DCM(27.1mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチル(30.49g、135.5mmol)の溶液を滴下する。室温で一晩攪拌する。水(100mL)を添加し、水性層をDCM(100mLを3回)で抽出し、ブライン(100mL)で洗浄し、減圧下で濃縮する。EtOAc:イソ−ヘキサン(0:100〜20:80)で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。残渣をDCM(3回)で共蒸着し、白色固体として標題化合物(27.64g、92.7%)を得る。質量スペクトル(m/z):346(M+Na)。
【0035】
代替の調製6a
tert−ブチル−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボン酸
乾燥DCM(100mL)中1−(3−チエニル)プロパン−2−オール(4.74g、33.34mmol)およびtert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボン酸(7.80g、38.34mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(20.17mL、266.72mmol)を0℃で滴下し、室温で一晩攪拌する。混合物を乾燥濃縮し、残渣をMeOHで希釈する。イオン交換クロマトグラフィーによって粗物質を精製する。所望の生成物を含む層を一つに合わせ、減圧下で濃縮し、DCM(3回)で共蒸着し、粗5−メチルスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](8.17g)を得る。4−ジメチルアミノピリジン(0.831g、6.67mmol)およびトリエチルアミン(9.29mL、66.68mmol)を、0℃に冷却した乾燥DCM(66.7mL)中の5−メチルスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](8.17g)の溶液に添加する。当該溶液に、乾燥DCM(16.7mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチルの溶液(18.19g、83.35mmol)を滴下する。室温で3日間攪拌する。水(60mL)を添加し、水性層をDCM(50mLを3回)で抽出し、ブライン(20mL)で洗浄し、分相器で濾過し、減圧下で濃縮する。EtOAc:イソ−ヘキサン(0:100〜20:80)で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製する。残渣をDCM(2回)で共蒸着し、標題化合物(9.41g、80%)を得る。質量スペクトル(m/z):346(M+Na)。
【0036】
調製7
1−(tert−ブトキシカルボニル)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−2’−カルボン酸
【化13】

tert−ブチル−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボン酸(7.16g、21.71mmol)をTHF(108.5mL)に溶解し、−78℃に冷却する。当該溶液にブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、13mL、32.56mmol)を20分かけて滴下し、添加が完了した後、混合物を追加で30分間攪拌する。カニューレを経由してCO中で泡立て、COを連続して添加しながら1時間、当該温度で攪拌し続ける。反応物をCOを連続して添加しながら、2時間かけて0℃に温め、水(80mL)で注意深くクエンチする。反応混合物を水に注ぎ、水性層をEtO(100mL)で抽出する。有機相を2N NaOH(15mLを3回)および水(50mL)で洗浄する。水性層を2N HCl(3回)でpH=6に酸性にし、EtOAcで抽出する。有機抽出物を一つに合わせ、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、灰白色の固体として標題化合物(7.89g、97%)を得る。質量スペクトル(m/z):390(M+Na)。
【0037】
調製8
1−(tert−ブトキシカルボニル)−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−2’−カルボン酸
【化14】

tert−ブチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボン酸(J. Med. Chem., 2011, 54, (8), pp 2687-2700および国際特許第2011060035号に記載のように調製する)(10g、32.32mmol)をTHF(100mL)に溶解し、−78℃に冷却する。当該溶液にブチルリチウム(22.22mL、35.55mmol)を15分かけて滴下し、添加が完了した後、混合物を追加で15分間攪拌する。カニューレを経由してCO中で泡立て、COを連続して添加しながら混合物を室温に温める。2時間後、混合物を0℃に冷却し、水を添加し、次にEtOを添加する。水性層を1N NaOHで塩基にし、有機層を1N NaOH(3回)で洗浄する。洗浄した塩基を一つに合わせ、5N HClでpH2に酸性にする。水性層をEtOAc(3回)で洗浄し、有機抽出物を一つに合わせ、ブラインで洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、白色固体として標題化合物(11.11g、97.27%)を得る。質量スペクトル(m/z):352.2(M−H)。
【0038】
調製9
(5’S)−1−tert−ブトキシカルボニル)−5’−メチル−4’,5’ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−2’−カルボン酸
【化15】

tert−ブチル(5’S)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボン酸(11.19g、34.60mmol)を無水THF(200mL)に溶解し、−78℃に冷却する。n−ブチルリチウム(21mL、34.64mmol)を20分かけて滴下する。添加が完了した後、−78℃で20分間攪拌し、カニューレを経由してCOガス中で60分間泡立てる。COを連続して添加しながら、混合物を室温に温める。室温で1時間攪拌した後、水(3mL)でクエンチし、減圧下で25%の容量まで濃縮する。EtOおよび水を添加する。水(2回)で洗浄し、洗浄した水性層を一つに合わせる。1N HClでpHを酸性に調節する。塩化ナトリウムで水性層を飽和し、EtOAc(2回)で抽出する。EtOAc抽出物を一つに合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、白色の泡として標題化合物(13.40g、100%)を得る。質量スペクトル(m/z):366(M−H)。
【0039】
調製10
5−(エチルスルファニル)ピリジン−2−カルボニトリル
【化16】

5−ブロモピリジン−2−カルボニトリル(49.42g、270.1mmol)および炭酸カリウム(113.5g、821.2mmol)を1−メチル−2−ピロリジノン(280mL)に溶解し、温度が50℃未満になるように、エタンチオール(26.4mL、356mmol)を30分かけて、分けて添加する。反応物を室温に冷却し、一晩攪拌する。EtOAc(1200mL)および水(2200mL)で希釈する。有機層を回収し、ブライン(300mLを3回)で洗浄し、硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、灰白色の固体として標題化合物(44.87g、100%)を得る。H NMR(400.13MHz、d−DMSO)δ 8.63(s、1H)、7.93(s、2H)、3.17(q、J=7.3、2H)、1.29(t、J=7.3、3H)。
【0040】
調製11
5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−カルボニトリル
【化17】

無水DCM(540mL)に5−(エチルスルファニル)ピリジン−2−カルボニトリル(44.36g、270.1mmol)に溶解し、−20℃に冷却する。内部温度を0℃〜−10℃に保持しながら、3−クロロペルオキシ安息香酸(130g、565.0mmol)を10〜12gずつ分けて1時間かけて添加する。反応混合物を氷浴で攪拌し、室温に一晩温める。1N NaOH(1L)、水、1N NaOH(500mLを2回)およびブラインで洗浄する。硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、白色固体として標題化合物(49.52g、93%)を得る。H NMR(400.13MHz、d−DMSO)δ 9.20(d、J=1.9、1H)、8.56(dd、J=2.0、8.1、1H)、8.36(d、J=8.1、1H)、3.52(q、J=7.3、2H)、1.16(t、J=7.5、3H)。
【0041】
調製12
1−[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メタンアミン塩酸塩
【化18】

5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−カルボニトリル(49.52g、252.4mmol)を、16.5gの3つに分ける。N下、2250mLのParrボトル中、10%のPd/C(1.65g、15.5mmol)を容器に添加し、MeOH(750mL)で湿らす。当該溶液に、MeOH(750mL)に溶解した5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−カルボニトリル(16.5g、84.09mmol)を添加する。当該溶液にHCl(6N水性、17.1ml、102.6mmol)を添加する。ボトルを密封し、Nでパージし、Hでパージし、室温で3時間68.9kPaに圧力をかける。Nでパージし、その後、混合物を濾過する。残りの分けられた5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−カルボニトリルにも上記のことを繰り返す。濾過物すべてを一つに合わせ、減圧下で濃縮し、ベージュ色の固体として標題化合物(59.61g、99%)を得る。質量スペクトル(m/z):201(M+H−HCl)。
【0042】
調製13
tert−ブチル 2’−({[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}カルバモイル)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−1−カルボン酸
【化19】

無水DCM(52mL)に、1−[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メタンアミン塩酸塩(3.1g、13mmol)、1−(tert−ブトキシカルボニル)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−2’−カルボン酸(3.9g、10mmol)を溶解する。0℃に冷却し、トリメチルアミン(10mL、73mmol)を滴下し、次にEtOAc中の2,4,6−トリプロピル−1,3,4,2,4,6−トリオキサトリホスホリナン−2,4,6−三酸化物(8.6g、14mmol)の1.67M溶液を滴下する。混合物を室温に温め、一晩攪拌する。水(50mL)を注意深く添加し、室温で10分間攪拌する。水性層をDCM(2回)で抽出し、有機抽出物を一つに合わせる。有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。50%〜100%のEtOAc/ヘキサン勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで粗物質を精製し、黄色の泡として標題化合物(4.89g、83%)を得る。質量スペクトル(m/z):550(M+H)。
【0043】
調製14
tert−ブチル(5’S)−2’−({[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}カルバモイル)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−1−カルボン酸
【化20】

無水THF(100mL)およびジメチルホルムアミド(50mL)に、1−[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メタンアミン塩酸塩(2.86g、10.5mmol)、(5’S)−1−tert−ブトキシカルボニル)−5’−メチル−4’,5’ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−2’−カルボン酸(3.50g、9.52mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.44g、10.5mmol)を溶解する。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.98mL、28.6mmol)を添加し、次に1−(3−ジメチルアミノプロピ)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を添加し、室温で一晩攪拌する。減圧下で約40%の容量まで濃縮し、その後、EtOAcを添加する。飽和炭酸水素ナトリウム(2回)、水(2回)、ブライン(2回)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。80%のEtOAc/ヘキサンでシリカゲルクロマトグラフィーを行い、灰色の泡として標題化合物(4.51g、86%)を得る。質量スペクトル(m/z):550(M+H)。
【0044】
調製15
N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−4’,5’,ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−2’−カルボキサミド二塩酸塩
【化21】

tert−ブチル 2’−({[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}カルバモイル)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−1−カルボン酸(0.95g、1.68mmol)を、MeOH(10mL)に溶解し、ジオキサン中の4M HCl(4.5mL、18mmol)を添加する。室温で1時間攪拌し、減圧下で濃縮し、白色固体として標題化合物(0.86g、100%)を得る。質量スペクトル(m/z):450(M+H−2HCl)。
【0045】
調製16
(5’S)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−4’,5’,ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−2’−カルボキサミド二塩酸塩
【化22】

tert−ブチル(5’S)−2’−({[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}カルバモイル)−5’−メチル−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−1−カルボン酸(1.14g、2.0mmol)を、1,4ジオキサン(10mL)およびMeOH(5mL)に溶解する。ジオキサン中の4M Hcl(5.0mL、20mmol)を添加し、室温で2時間攪拌する。約10mLに濃縮し、その後EtOを添加し、一晩強く攪拌する。ヘキサンを添加し、濾過し、ヘキサンでリンスし、淡黄色の固体として標題化合物(0.99g、91%)を得る。質量スペクトル(m/z):450(M+H−2HCl)。
【0046】
調製17
1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エタノール
【化23】

2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−カルバルデヒド(11.31mmol、1.992g)をTHF(56.56mL)に溶解し、0℃に冷却し、メチルマグネシウム臭化物(EtO中の3M)(33.94mmol、11.31mL)をゆっくりと添加する。反応物を室温に温め、2.5時間攪拌する。反応物を1N HClでクエンチする。EtOAcを添加し、1N HClで洗浄する。硫酸ナトリウムで有機物を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、標題化合物(1.663g、76.5%)を得る。質量スペクトル(m/z):193.0(M+H)
【0047】
調製18
5−(1−ブロモエチル)−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン
【化24】

1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エタノール(8.655mmol、1.663g)およびトリフェニルホスフィン(12.98mmol、3.405g)をDCM(86.55mL)に溶解し、室温でN−ブロモスクシンイミド(12.98mmol、2.311g)を添加する。3時間後、反応物を減圧下で濃縮する。得られた残渣を、10%のEtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(1.641g、74.34%)を得る。H NMR(400.13MHz、d−DMSO)δ 9.26(s、2H)、5.63(q、J=7.0Hz、1H)、2.09(d、J=7.0Hz、3H)。
【0048】
実施例1
N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド
【化25】

N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−4’,5’,ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−2’−カルボキサミド二塩酸塩(1.12g、2.31mmol)をアセトニトリル(11.6mL)およびジイソプロピルエチルアミン(2.42mL、13.9mmol)に溶解し、5−(1−ブロモエチル)−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン(0.71g、2.77mmol)を添加する。混合物を60℃で90分間加熱し、周囲温度に冷却し、減圧下で濃縮する。粗混合物をMeOH(5mL)に溶解し、50gのSCXカラムに充填する。MeOH(150mL)でフラッシュし、2N アンモニア/MeOH(150mL)で生成物を溶出する。アンモニア/MeOH洗浄物を減圧下で濃縮し、オレンジ色の泡を得る。粗物質に100%のDCM〜95%のDCM/MeOH勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを行い、標題化合物(1.54g、43%)を得る。質量スペクトル(m/z):624(M+H)。
【0049】
実施例2
(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1S)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド
【化26】
【0050】
実施例3
(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1R)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド
【化27】
【0051】
実施例4
(5R’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド異性体1
【化28】
【0052】
実施例5
(5R’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド異性体2
【化29】

N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド(1.28g、2.05mmol)をMeOH(58.5mL)に溶解する。SFC[AD−ICカラム(30x250mm、5μ)によるキラルクロマトグラフィーによって分離し、50%のIPA(20mMのNH)で、4.5mL(200mg)を120mL/分で10分毎に注入することで溶出し、実施例2の(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1S)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド、実施例3の(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1R)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド、および実施例4の(5R’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド異性体1を含む、実施例5の(5R’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド異性体2および混合留分を得る。混合留分を濃縮し、MeOH(55.5mL)に溶解する。SFC[OJ−Hカラム(30x250mm、5μ)によるキラルクロマトグラフィーによって混合物を分離し、22%のMeOH(20mMのNH)で、5.0mLを160mL/分で5分毎に注入することで溶出し、実施例4の(5R’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミド異性体1ならびに実施例3の(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1R)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミドおよび実施例2の(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1S)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミドの混合物を得る。混合留分を濃縮し、MeOH(30.0mL)に溶解する。SFC[AD−Hカラム(50x250mm、5μ)によるキラルクロマトグラフィーによって混合物を分離し、50%のIPA(20mMのNH)で、3.0mLを200mL/分で32分毎に注入することで溶出し、実施例2の(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1S)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミドおよび実施例3の(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1R)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミドを得る。各セットの純粋な画分を濃縮し、分離した生成物をアセトニトリル(0.6mL)に溶解し、水を添加し、−78℃に凍らせ、凍結乾燥し、実施例2の0.214g、16%、99.5% ee、R=2.94分、質量スペクトル(m/z):624(M+H)を得る。実施例3、0.203g、15%、98.9% ee、R=2.75分、質量スペクトル(m/z):624(M+H)。実施例4、0.251g、17%、98.3% ee、R=4.75分、質量スペクトル(m/z):624(M+H)。実施例5、0.272g、18%、100% ee、R=4.33分、質量スペクトル(m/z):624(M+H)。分析条件:SFC (220nmのUV)、カラム:AD−IC 30x250mm、5μ、移動相:50%のIPA(20mMのNH)。キラルLC分析条件:SFC(225nmのUV)、カラムChirocel OJ−H、20%のMeOH(0.2%のイソプロピルアミン)/CO、5mL/分。
【0053】
実施例2、(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1S)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミドの代替の調製
【化30】

および実施例3、(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1R)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’チエノ[2,3−C]ピラン]−2’−カルボキサミドの代替の調製
【化31】
【0054】
(5S’)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−4’,5’,ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3,c]ピラン]−2’−カルボキサミド二塩酸塩(28.28g、58.19mmol)をアセトニトリル(280mL)およびジイソプロピルエチルアミン(50mL、290.9mmol)に溶解し、5−(1−ブロモエチル)−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン(0.71g、2.77mmol)を添加し、周囲温度で一晩攪拌する。減圧下で濃縮し、粗混合物をDCMに溶解し、100%のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標題化合物の混合物を得る。キラルクロマトグラフィー[Chiralpak IAカラム(8x40.5cm、225nm)で分離し、40%のアセトニトリル/60%のイソプロピルアルコール(0.2%のジメチルエチルアミンで)で、400mL/分で溶出し、20mLを注入(2000mg)する。減圧下で各ジアステレオマーを濃縮し、熱いエタノール(250mL)に溶解し、熱いエタノールを濾過し、周囲温度に放冷し、冷たいエタノールでリンスする。真空オーブンで55℃で固体を乾燥させ、実施例2、9.94g、27%、90.8% ee、R=3.93分、質量スペクトル(m/z):624(M+H)および実施例3、9.42g、26%、98.8% ee、R=9.25分、質量スペクトル(m/z):624(M+H))を結晶性物質として得る。分析条件:Chiralpak IAカラム(4.6x150mm、225nm)および40%のアセトニトリル/60%のイソプロピルアルコール(0.2%ジメチルエチルアミンで)、1mL/分で溶出。
【0055】
X線回折、実施例3
単一の結晶を薄いMiTeGen繊維に23℃で載せる。CuKα照射源(λ=1.54178Å)およびSMART 6000CCD領域検出器(Bruker-AXS.SHELXTL(V2013 6.2)Madison、Wisconsin、USA)を備えたBruker D8に基づく3サイクル角度計回折計を使用してデータを集める。SAINT program V8.32b(Sheldrick、G.M.、(2008)、SHELXS-97、Acta Cryst.A64、112-122)を使用して細胞の精練およびデータ整理を行う。a=10.1624(2)Å、b=9.9080(2)Å、c°=°15.1085(3)Å、およびα=90°、β=100.6879(14)°、γ=90°の単斜のパラメーターを有する単位胞にインデックスを付ける。結晶構造の細胞重量は1494.87(5)Å3である。構造の計算密度は23℃で1.386g/cmである。直接の方法(Sheldrick、G.M.、(2008)、SHELXS-97、Acta Cryst.A64、112-122)によって構造を解析する。全ての原子パラメーターは独立して精密化した。空間群、すなわちP2は、最終適合度1.088で、F2(Sheldrick、G.M.、(2013)、SHELXL-2013、Program for crystal structure refinement、Institute fur anorg chemie、Gottingen、Germany)上で完全行列最小二乗精密化を上手く収束させることによって確認する。最終残留率R1は0.0771であり、最終精密化サイクルの後のピークとホールとの最大差分はそれぞれ、0.315と0.333(e.A−3)であった。絶対構造のパラメーターは0.072(17)に精密化する。
【0056】
実施例3の構造を決定し、その分子構造は実施例3について認められたものと矛盾していない。結晶構造が高品質であり、構造中の重原子(硫黄)の変則的な散乱分布を使用することによって、実施例3のキラル中心の絶対立体化学、(S)としてのC5、piperdine基から離れた(R)としてのC1を確立することに留意されたい。絶対構造は、結晶構造から(5’S)−N−{[5−(エチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−5’−メチル−1−{(1R)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]エチル}−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−2’−カルボキサミド構造へと決定される。
【0057】
生物学的アッセイ
RORa、bおよびg結合阻害剤
HisタグされたヒトRAR関連オーファン受容体アルファ(hRORa)、ヒトRAR関連オーファン受容体ベータ(hRORb)、およびヒトRAR関連オーファン受容体ガンマ(hRORg)を受容体リガンド競合結合アッセイに使用し、K値を決定する。典型的な手順は以下の通りである。
【0058】
受容体競合結合アッセイをDPBS(1L)(Hyclone#SH30028.03)、2.2gのBSA Fraction v(Roche#9048-46-8)、100mLのグリセロール(Fischer#56-81-5)および40mLのDMSO(試薬用)から構成されるバッファで実施する。最終ウェルは、20μg/mLのアプロチニンおよび20μg/mLのロイペプチンおよび10μMのPefablocを含む。典型的には受容体結合アッセイとして、アルファ結合については7nMの[3H]−25−ヒドロキシコレステロール、ベータ結合については20nMの[3H]−3−[[4−[[3−(2,6−ジクロロフェニル)−5−イソプロピル−イソオキサゾール−4−イル]メトキシ]−N,2−ジメチル−アニリノ]メチル]安息香酸、およびガンマ結合については6nMの[3H]25−ヒドロキシコレステロール等の放射標識されたリガンド、ならびにウェルあたり0.5μgのRORa受容体、0.03μgのRORb受容体、または0.13μgのRORg受容体が挙げられる。アッセイは典型的には96ウェルフォーマットで実施する。競合する試験化合物を約0.4nM〜25μMの範囲の様々な濃度で添加する。非特異的結合を、RORaおよびRORg結合については250nMの25−ヒドロキシコレステロール、RORb結合については250nMの3−[[4−[[3−(2,6−ジクロロフェニル)−5−イソプロピル−イソオキサゾール−4−イル]メトキシ]−N,2−ジメチル−アニリノ]メチル]安息香酸の存在下で決定する。サンプル、標識および受容体の溶液を96ウェルアッセイプレート(Costar 3632)に合わせ、室温で一晩インキュベートし、その後最終のビーズ濃度を1mg/ウェルにするために25μlのビーズ(Amersham YSi(2〜5ミクロン)銅His-tag Spa Beads、#RPNQ0096)を各反応液に添加する。プレートを室温でオービタルシェーカーで30分間混合する。4時間のインキュベーションの後、プレートをWallac MICROBETA(登録商標)計測器で読み取る。
【0059】
データを使用して、4パラメーターロジスティック適合を使用してIC50を推測する。RORaおよびRORgについての[3H]−25−ヒドロキシコレステロールのKd、RORb結合についての[3H]−3−[[4−[[3−(2,6−ジクロロフェニル)−5−イソプロピル−イソオキサゾール−4−イル]メトキシ]−N,2−ジメチル−アニリノ]メチル]安息香酸のKdは、飽和結合によって決定する。化合物についてのIC50値はCheng-Prushoff方程式を使用してKiに変換する。
【0060】
以下の例示的な化合物の結果を、以下の表2に示す。
【表1】

Mean±SEM、SEM=平均値の標準誤差
【0061】
これらの結果は、表2の化合物がRORg対RORaおよびRORbに選択的であることを示している。
【0062】
HEK293 RORg GAL4受容体間アッセイ
インバースアゴニスト作用の指標として、RAR関連オーファン受容体ガンマ(RORg)受容体間アッセイ(RORg−GAL4/pGL4.31)を、HEK293細胞内で実施する。HEK293細胞をFugene(商標)試薬を使用して同時導入する。GAL4結合領域およびホタルルシフェラーゼ遺伝子の最小のアデノウイルスプロモーター上流を含むレポータープラスミドを、イーストGAL4 DNA結合領域に縮合されたヒトRORgリガンド結合領域を構造的に発現するプラスミドと同時導入する。細胞をFBSのないMEM培地中のT150cmのフラスコに遺伝子導入する。18時間のインキュベーションの後、遺伝子導入された細胞をトリプシン処理し、10%のFBSを含む3:1のDMEM−F12の培地中の96ウェルマイクロタイタープレートに播き、4時間インキュベートし、その後、約0.05nM〜10μMの範囲の様々な濃度の試験化合物に暴露する。化合物で18時間のインキュベーションの後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ作用を標準的手法を使用して定量化する。データを4パラメーターロジスティック適合に適合させ、IC50値を決定する。
【0063】
以下の例示的な化合物の結果を、以下の表3に示す。
【表2】

Mean±SEM、SEM=平均値の標準誤差
【0064】
これらの結果は、表3の化合物が、ヒトRORg受容体についてインバースアゴニストであることを示している。
【0065】
PBMC IL−17分泌ELISAおよびCell TiterGlo生存率測定
PBMCを、新鮮なバフィーコートを等量のリン酸緩衝食塩水と最初に合わせることによって、全血バフィーコートから単離する。35mLのPBS/バフィーコート溶液を、50mLの円錐形管中の15mLのFicoll上でやさしく覆う。500×g(緩加速および緩減速)で30分間遠心分離にかけた後、血漿の上層を捨て、Ficoll界面に沿った細胞の層を回収し、保存する。各250mLの管を室温のRPMI-1640培地で上部まで充填する。管を500×G(緩加速および緩減速)で10分間遠心分離にかけ、培地を吸引によって取り除き、洗浄ステップを繰り返す。細胞を、氷上のLife Technologies社の氷冷Recovery Cell Culture Freezing Medium(カタログ番号12648−010)に再懸濁する。細胞濃度を6670万個の細胞/mLに調節する。細胞を1億個の細胞を有するバイアル中で−1℃/分ゆっくりと冷凍し、液体窒素に保管する。
【0066】
IL−17分泌の刺激および化合物の添加
PBMCを1mLの完全培地(30mMのHEPES、100ユニット/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、3.25mMのL−グルタミン、0.2μMのベータ−メルカプトエタノールおよび10%のFBSを含むRPMI-1640)で再懸濁することによって解凍し、次に2mL、4mL、8mLおよび16mLの完全培地をゆっくりと攪拌しながら滴下する。細胞を5分間遠心沈殿し、細胞ペレットを完全培地に再懸濁する。細胞の凝集塊を、23ゲージの注射器針および40μMのストレーナーによって細胞溶液を貫流することによって壊す。ウェルあたり10万個の細胞を、384ウェルのポリスチレン細胞培養で処理された総量30μLの平底プレートに添加する。完全培地で調製された抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、IL−23および化合物を含む刺激混合物を、総量30μL中の細胞に同時に添加する。添加された刺激混合物の最終濃度は、抗CD3抗体、抗CD28抗体およびIL−23についてそれぞれ、160ng/mL、500ng/mLおよび5ng/mLであり、DMSOについて0.3%である。プレートをAERASEAL(登録商標)封止フィルムで密封し、37℃、95%の湿度、および5%のCOで48時間インキュベートする。
【0067】
インキュベーション期間の後、プレートを200×gで5分間遠心する。上清を等量の1%のBSA/PBSで1:1に希釈し、R&D system(カタログ#D317E)ヒトIL−17 ELISAキットで、キットのプロトコルに従ってIL−17を試験するが、ただし、例外としてキットが供給する基質の代わりに、比色基質OPD(o−フェニレンジアミン二塩酸塩、Sigmaカタログ#P6912)を使用する。492nmの吸光度をEnvision multi-labelプレートリーダーで測定する。A492値は、以下に示すIL−17標準曲線に基づいてIL−17の濃度に変換する。
pg/mL IL−17=EC50[[(Top−Bottom)/(A492−Bottom)]−1](1/−Hill)
【0068】
IL−17分泌の阻害についてのIC50は、刺激剤も化合物も含まれないウェルの平均値から決定される最大阻害、および刺激剤を単独で含み、化合物が添加されていないウェルの平均値から決定される最小阻害で、標準4パラメーター適合を使用して、変換値に基づいて計算する。
【0069】
等量のCell TITERGLO(登録商標)細胞生存率試験試薬(Promegaカタログ#G7573)を、プレートに残っている細胞に添加し、室温でやさしく振盪しながら15分間インキュベーションをした後、発光をEnvision multi-labelプレートリーダーで測定する。細胞の死亡率は、100%の活性(細胞死)から、ゼロの発光単位、および刺激剤を単独で含み、化合物が添加されていないウェルの平均の発光単位としての最小活性(生存している細胞の最大数)までを設定することによって計算する。標準4パラメーター適合を使用してIC50を計算する。
【0070】
以下の例示的な化合物の結果を、以下の表4に示す。
【表3】

Mean±SEM、SEM=平均値の標準誤差
【0071】
これらの結果は、表4の化合物が、測定可能な細胞毒性がなく、PBMC中の抗CD3/抗CD28/IL−23刺激性IL−17分泌を阻害することを示している。
【0072】
グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(GPI)誘発性関節炎モデル
GPI誘発性関節炎を、K. Iwanamiら Arthritis Rheumatism 58, 754-763, 2008およびD. Schubertら J Immunology 172, 4503-4509, 2004から適用する。マウス(8〜9週齢の雄DBA/1マウス)(Harlan)を、免疫化の日(0日目)に集めた体重に基づいて治療群に割り当てる。免疫化の日(0日目)に、組み換えヒトGPI(PBS、Gibco中の4mg/mLに希釈)とフロイント完全アジュバント(CFA、Sigma)との1:1(v:v)混合物を、高速ホモジナイザー(Omni)で、低温室で40分間混合する。2mg/mLのGPIの最終濃度を乳濁液で達成する。マウスの尾の付け根にGPI乳濁液を注射する(2箇所に、各領域100μLを静脈内注射)。免疫化(0日目)と同じ日に、試験化合物の経口投与を開始する。0日目から始まり、足の関節腫脹の重症度に0〜3の評価システムに基づきスコアをつける(K. Iwanamiら Arthritis Rheumatism 58, 754-763, 2008を参照のこと。臨床スコアは4つの足すべての合計スコアを表している(最大スコアは12))。臨床スコアは0、2、4、7、8、9、10、11、12、14、16、18および21日目に評価する。
【0073】
AUCは、免疫化の日(0日目)から21日目にわたる経時的な臨床スコアについてトラペゾイド法を適用することによって計算する。試験p値はスチューデントt検定に由来する。
【0074】
実施例3(1000mg/Kg)およびビヒクル(精製水中、1%のHEC、0.25%のポリソルベート80、および0.05%の消泡剤)治療群(n=8/群)は、0日目に開始し、1日1回経口投与する。実施例3は、ビヒクル群に比べ、足の腫脹を減少させ、低い平均臨床スコアを疾患の経過を通じて維持する。当該効果は結果として、経時的な足の腫脹の累積測定値である臨床スコアAUCを75%が減少し、表5に示すようにビヒクル群に比べ統計的に有意である。
【表4】

値はMean±SEMとして示す。p<0.05対ビヒクル群(スチューデントt検定)。SEM=平均値の標準誤差
【要約】
本発明は新規のRORガンマ−t阻害剤およびその医薬組成物を提供している。
【化1】

【選択図】なし