特許第6282797号(P6282797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282797
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/36 20060101AFI20180208BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   E06B1/36 Z
   E06B7/22 F
   E06B7/22 Z
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-203715(P2012-203715)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-58795(P2014-58795A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年9月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】五所尾 友博
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−089782(JP,U)
【文献】 特開2006−063524(JP,A)
【文献】 特開平08−135331(JP,A)
【文献】 特開2009−127401(JP,A)
【文献】 実開昭58−037391(JP,U)
【文献】 実開昭61−020773(JP,U)
【文献】 特開2001−107658(JP,A)
【文献】 実開平05−062697(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/36
E06B 3/32−3/34
E06B 7/12−7/14
E06B 7/16−7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横枠および縦枠により矩形に構成される枠体を中間枠により上下または左右に仕切り、前記中間枠により仕切られた枠内の障子より室内側に取付けるアタッチメントにより、各枠内に互いに異なる種類の障子を収容して段窓または連窓として構成される窓において、
前記アタッチメントと障子の室内側の面との間に設けられた第1のシーリング材と、前記アタッチメントと前記枠体の室内側部分との間に設けられた乾式の第2のシーリング材とを備え、
前記中間枠により仕切られた一方の枠内に取付けられる窓が外開き窓であり、
前記外開き窓を構成する障子の框の室外側に、弾性材でなる水切り片を取付け、
この水切り片が、前記枠体の見込み面に形成した突起に接触する室内側水切り部と、前記枠体の見付け面に当接する室外側水切り部とを備えたことを特徴とする窓。
【請求項2】
横枠および縦枠により矩形に構成される枠体を中間枠により上下または左右に仕切り、前記中間枠により仕切られた枠内の障子より室内側に取付けるアタッチメントにより、各枠内に互いに異なる種類の障子を収容して段窓または連窓として構成される窓において、
前記アタッチメントと障子の室内側の面との間に設けられた第1のシーリング材と、前記アタッチメントと前記枠体の室内側部分との間に設けられた乾式の第2のシーリング材とを備え、
前記中間枠により仕切られた一方の枠内に取付けられる窓が外開き窓であり、
前記外開き窓の障子を収容する枠体の上枠に弾性材でなる水切り片を取付け、
この水切り片は、障子を閉じた状態において、障子の上框から上方に突出させた突出片を当接させる室内側水切り部と、前記突出片から離れてこの突出片の見付け面に対面する室外側水切り部とを備えたことを特徴とする窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等に設置される窓に係わり、より詳しくは、外開き窓と嵌め殺し窓が左右に連続した連窓や、外開き窓と嵌め殺し窓が上下に連続した段窓等のように、異種の障子を上下または左右に並べて構成される窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、汎用枠の不要部分を切断してアタッチメントを取付けることにより、枠体内に異種の障子を取付けた段窓が知られている。例えば特許文献1には、縦外すべり出し窓や嵌め殺し窓を収容した段窓が開示されている。一方、室内側に押縁として設けるアタッチメントにより、嵌め殺し窓を構成した窓が特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の障子の取付け構造においては、押縁にシーリング材を取付け、このシーリング材を障子に当接させて押縁を枠体に係合し固定した構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−6467号公報
【特許文献2】特開2006−63524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、バルコニーなしの超高層マンションが増えて来ており、直接風雨にさらされる窓が増えてきている。このような窓では、従来の気密性能では室内に漏気したり、長時間降雨や外壁流下水により室内に漏水したりするという不具合を生じることがあった。特に共通の枠体を上向きまたは横向きの中間枠で仕切り、中間枠で仕切られた2つの枠内に外開き窓と嵌め殺し窓のような異種の障子を収容する場合、これらの異種の障子を同じ枠材を使用して構成する上でアタッチメントを使用することが必要となり、アタッチメントと枠体との間から漏水したり漏気したりすることがあった。
【0005】
また、漏水や漏気があると、その都度シーリング材でシールを施していたが、施工に手間がかかり、コスト高になるという問題点があった。また、従来の窓の構造では、室外側から水が浸入するルートが複数あるため、気水密性を確保するためには複数個所のシーリングが必要となり、手間とコストを要するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、段窓または連窓として構成される窓であって、気水密性を向上させたアタッチメント付きの窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における窓は、横枠および縦枠により矩形に構成される枠体を中間枠により上下または左右に仕切り、前記中間枠により仕切られた枠内の障子より室内側に取付けるアタッチメントにより、各枠内に互いに異なる種類の障子を収容して段窓または連窓として構成される窓において、
前記アタッチメントと障子の室内側の面との間に設けられた第1のシーリング材と、前記アタッチメントと前記枠体の室内側部分との間に設けられた乾式の第2のシーリング材とを備え、
前記アタッチメントを設ける前記枠体の見込み面に突起を形成すると共に、前記アタッチメントに前記突起に係合させる係合部を形成し、
前記第2のシーリング材は、前記突起よりも室内側部位に設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明における窓は、前記第1のシーリング材と前記第2のシーリング材とを、前記アタッチメントにおける見付け方向に延びる直線上に配置したことを特徴とする。
【0009】
本発明における窓は、前記異種の障子を構成する一方の障子は、嵌め殺し窓として構成される障子であり、
前記嵌め殺し窓を構成するアタッチメントとして、障子より室内側に設けられる前記アタッチメントの他に、室外側に設けられて押縁としての役目を有する別のアタッチメントを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明における窓は、前記中間枠により仕切られた一方の枠内に取付けられる窓が外開き窓であり、
前記外開き窓を構成する障子の框の室外側に、弾性材でなる水切り片を取付けたことを特徴とする。
【0011】
本発明における窓は、横枠および縦枠により矩形に構成される枠体を中間枠により上下または左右に仕切り、前記中間枠により仕切られた枠内の障子より室内側に取付けるアタッチメントにより、各枠内に互いに異なる種類の障子を収容して段窓または連窓として構成される窓において、
前記アタッチメントと障子の室内側の面との間に設けられた第1のシーリング材と、前記アタッチメントと前記枠体の室内側部分との間に設けられた乾式の第2のシーリング材とを備え、
前記中間枠により仕切られた一方の枠内に取付けられる窓が外開き窓であり、
前記外開き窓を構成する障子の框の室外側に、弾性材でなる水切り片を取付け、
この水切り片が、前記枠体の見込み面に形成した突起に接触する室内側水切り部と、前記枠体の見付け面に当接する室外側水切り部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明における窓は、横枠および縦枠により矩形に構成される枠体を中間枠により上下または左右に仕切り、前記中間枠により仕切られた枠内の障子より室内側に取付けるアタッチメントにより、各枠内に互いに異なる種類の障子を収容して段窓または連窓として構成される窓において、
前記アタッチメントと障子の室内側の面との間に設けられた第1のシーリング材と、前記アタッチメントと前記枠体の室内側部分との間に設けられた乾式の第2のシーリング材とを備え、
前記中間枠により仕切られた一方の枠内に取付けられる窓が外開き窓であり、
前記外開き窓の障子を収容する枠体の上枠に弾性材でなる水切り片を取付け、
この水切り片は、障子を閉じた状態において、障子の上框から上方に突出させた突出片を当接させる室内側水切り部と、前記突出片から離れてこの突出片の見付け面に対面する室外側水切り部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、障子の室外側と枠体との間にも水切り片やシーリング材が設けられ、この室外側水切り片やシーリング材と本発明により設ける乾式のシーリング材との間に空間が形成されるが、この空間と窓の室内側との間が乾式のシーリング材によって高い気密性で密閉されるため、強風の多い高層域であっても、外気と前記空間との気圧差が微小となり、気圧差による前記空間への雨水の浸入が防止され、このことから、室内への漏水の防止効果が促進される。
【0014】
また、アタッチメントを設ける枠体の見込み面に形成した突起に、アタッチメントに設けた係合部を係合させたので、強固なアタッチメントの支持構造が得られる。
【0015】
請求項2の発明によれば、室内側アタッチメントに係わる第1のシーリング材と前記第2のシーリング材とを、前記アタッチメントにおける見付け方向に延びる直線上に配置したので、外気と室内とを仕切る空間の室内外方向の距離が大きくなり、より漏水や漏気防止効果が促進される。
【0016】
請求項の発明によれば、嵌め殺し窓の室外側にもアタッチメントを備えたので、嵌め殺し窓と組み合わせて構成する窓の構成が嵌め殺し窓による制約を受けにくくなり、構成の自由度が上がる。
【0017】
請求項の発明によれば、外開き窓を構成する障子の框に、弾性材でなる水切り片を取付けたので、漏水や漏気防止効果が促進される。
【0018】
請求項の発明によれば、枠体の見込み面に形成した突起に接触する室内側水切り部と、枠体の見付け面に当接する室外側水切り部とを備えた水切り片の構成としたので、枠体を伝って流下する雨水の窓内への浸入が良好に防止される。
【0019】
請求項の発明によれば、外開き窓の障子を閉じた状態において、障子の上框から上方に突出させた突出片を当接させる室内側水切り部と、前記突出片から室外側に離れてこの突出片の見付け面に対面する室外側水切り部とを有する水切り片を上枠に取付けたので、室外側水切り部によって雨水を障子に接触させることなく落下させることができる上、下から吹き上げる雨水も室内側水切り部によって障子内への浸入を防止することが可能となり、良好な漏水や漏気防止効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態である段窓を室内側から見た正面図である。
図2図1のE−E拡大断面図である。
図3図2の上部拡大断面図である。
図4図2の下部拡大断面図である。
図5図1のF−F拡大断面図である。
図6図1のG−G拡大断面図である。
図7図5の外開き窓の枢着部側の構成を示す拡大断面図である。
図8図5の外開き窓の自由端側の構成を示す拡大断面図である。
図9図3の上部の水切り片の構成を示す拡大断面図である。
図10】この実施の形態の嵌め殺し窓のシール構造を示す図6の要部拡大断面図である。
図11図10の変形例を示す要部拡大断面図である。
図12】本発明の他の実施の形態である連窓を室内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の一実施の形態である段窓を室内側から見た正面図、図2図1のE−E拡大断面図、図3図4はそれぞれ図2の上部、下部拡大断面図、図5図6はそれぞれ図1のF−F、G−G拡大断面図である。図1図6において、1、2は縦枠、3は上枠、4は下枠、5は中間枠(無目)である。これらの枠材1〜5は、例えば、アルミニウム合金製または樹脂製押出形材からなる。上枠3、下枠4および中間枠5はそれぞれタッピングホール3a,4a,5a(図2図4参照)を備え、縦枠1,2に貫通するタッピングねじ(図示せず)をこれらのタッピングホール3a,4a,5aに切込んで螺合することにより、縦枠1,2間に枠材3〜5を固定して方形の枠体を構成する。
【0022】
6は中間枠5により仕切られた上下の枠のうち、上部の枠内に装着された障子であり、外開き窓を構成するものである。7は中間枠5により仕切られた上下の枠のうち、下部の枠内に装着された障子であり、嵌め殺し窓を構成するものである。障子6と障子7のパネル12が外表面が一致するように配置されている。
【0023】
外開き窓を構成する障子6は、対をなす押出形材でなる左右の縦框8,9間に押出形材でなる上框10と下框11を、これらに設けたタッピングホール10a,11a(図3参照)に、縦框8,9を貫通するタッピングねじ(図示せず)を切込み螺合して固定し、これらの框内にパネル(2重パネル)12を固定したものである。図5に示すように、この障子6は、一方の縦框8と縦枠1とを蝶番13で結合することにより、縦枠1に回動可能に取付けられる。14,15はこの障子6が閉じた際に、障子6の縦框8,9を受けるために縦枠1,2に取付けたアタッチメント、16は縦框9に取付けた開閉用のハンドルである。
【0024】
パネル12の框8〜11内への取付けは、図3に示すように、下框11のパネル収容溝11bに収容したゴムライナー17上にパネル12を載せ、かつパネル12の下部の室内外の面に固着した弾性材でなるシーリング受け材19,20を、下框11のパネル収容溝11b内に形成した室内外の嵌合部11c,11dに嵌め、同時に、パネル12の上部の室外側の面に固着した弾性材でなるシーリング受け材21を上框10の室外側嵌合部10bに嵌める。さらに、同時に、図5に示すように、縦框9に設けたゴムライナー22にパネル12の片側を当接させ、かつパネル12の左右両側の室外側の面に固着した弾性材でなるシーリング受け材23,24を縦框8,9に設けた嵌合部8a,9aに嵌合してパネル12を框8〜11内に収容する。
【0025】
また、図5に示すように、パネル12の両側の室内側の面に装着する押縁25,26により、パネル12の室内側の面を押圧して固定する。押縁25,26は、パネル12の室内側の面に固着したシーリング受け材27,28および室外側シーリング受け材23,24を押縁25,26で圧縮して押縁25,26に設けた係合部25a,25bを、框8,9の見込み面に設けたL字形の突起8b,8cおよび9b,9cに、シーリング受け材23〜28の圧縮後の復元によりそれぞれ係合させて固定する。
【0026】
また、図3に示すように、上部の押縁30は、パネル12の上部の室内側の面に固着したシーリング受け材31および室外側シーリング受け材21を押縁30で圧縮し、押縁30に設けた係合部30a,30bを、上框10の見込み面に設けたL字形の突起10c,10dに、シーリング受け材21,31の圧縮後の復元によりそれぞれ係合させて固定する。
【0027】
その後、図3図5に示すように、框8〜11または押縁25,26,30とパネル12とシーリング受け材19,20,21,23,24,27,28,31との間に形成されている溝に湿式シーリング材33を充填してシールする。
【0028】
図3に示すように、上枠3と中間枠5の障子6との各対向部3b,5bにはそれぞれシーリング材取付け溝3c,5cを形成し、これらの取付け溝3c,5cにそれぞれゴム等の弾性材でなる乾式シーリング材35,36を嵌合して取付ける。これらのシーリング材35,36は,障子6を閉じたときに、それぞれ上框10、下框11の室内側の面を当接させてシールするものである。
【0029】
図5に示すように、縦枠1,2の見込み面1a,2aにはそれぞれ障子6を受けるための押出形材からなるアタッチメント14,15を取付ける。障子6のヒンジ13側のアタッチメント14は、図7に示すように、縦枠1の見込み面1aに形成したL字形の突起、すなわち先端を室外側に向けて曲成した突起1b,1cに、アタッチメント14に形成した係合部14a,14bをそれぞれ係合させ、タッピングねじ38により縦枠1に固定して取付ける。
【0030】
このアタッチメント14は、障子6の縦框8の室内側の面に対向する面にシーリング材取付け溝14cを形成し、その取付け溝14cに、ゴム等の弾性材からなる乾式シーリング材(第1のシーリング材)40を嵌合して取付ける。このシーリング材40には、障子6を閉じた状態において、縦框8の室内側の面が当接して縦框8とアタッチメント14との間をシールする。
【0031】
また、このアタッチメント14の室内側端部に、縦枠1の見込み面1aに当接させる突起14dを形成すると共に、この突起14dの室外側近傍に、シーリング材取付け部としての突起(溝でもよい)14eを形成する。そしてこの突起14eにゴム等の弾性材からなる乾式シーリング材(第2のシーリング材)41を嵌合する。このシーリング材41は、アタッチメント14を縦枠1に取付けた状態において、縦枠1の見込み面1aに圧縮された状態で当接してアタッチメント14と縦枠1との間をシールする。このシーリング材41は、縦枠1の見込み面1aに形成した突起1cよりも室内側に位置する。
【0032】
図7において、43は水切り片であり、この水切り片43はゴム等の弾性材からなり、障子6の縦框8の室外側でヒンジ13側端部に形成した取付け溝8dに基部43aを嵌合して取付けられる。この水切り片43は、縦枠1の見込み面1aに形成したL字形の突起1dに当接し、縦框8と縦枠1との間に形成される空間44を閉塞する。
【0033】
障子6の自由端側のアタッチメント15は、図8に示すように、縦枠2の見込み面2aに形成したL字形の突起2b、すなわち先端を室外側に向けて曲成した突起2b,2cに、アタッチメント15に形成した係合部15a,15bをそれぞれ係合させ、タッピングねじ45により縦枠2に固定して取付ける。
【0034】
このアタッチメント15は、障子6の縦框9の室内側の面に対向する面にシーリング材取付け溝15cを形成し、その取付け溝15cに、ゴム等の弾性材からなる乾式シーリング材(第1のシーリング材)46を嵌合して取付ける。このシーリング材46は、障子6を閉じた状態において、縦框9の室内側の面が当接して縦框9とアタッチメント15との間をシールする。
【0035】
また、このアタッチメント15の室内側端部に、縦枠2の見込み面2aに当接させる突起15dを形成すると共に、この突起15dの室外側近傍に、シーリング材取付け部としての突起(溝でもよい)15eを形成する。そしてこの突起15eにゴム等の弾性材からなる乾式シーリング材(第2のシーリング材)47を嵌合して取付ける。このシーリング材47は、アタッチメント15を縦枠2に取付けた状態において、縦枠2の見込み面2aに圧縮された状態で当接してアタッチメント15と縦枠2との間をシールする。このシーリング材47は、縦枠2の見込み面2aに形成した突起2cよりも室内側に位置する。
【0036】
図8において、49は水切り片であり、この水切り片49はゴム等の弾性材からなり、障子6の縦框9の室外側に形成した取付け溝9dに基部49aを嵌合して取付けられる。この水切り片49は、縦枠2の見込み面2aに形成した突起2dに接触する室内側水切り部49bと、縦枠2の室外側見付け面2eに当接する室外側水切り部49cとを備え、縦框9と縦枠2との間の空間50を閉塞する。
【0037】
図3図9に示すように、上枠3の室外側の下部にシーリング材取付け溝3dを形成し、この溝3dにゴム等の弾性材でなる水切り片51の基部51aを嵌合して水切り片51を取付ける。この水切り片51は、障子6を閉じた状態において、障子6の上框10から上方に突出させた突出片10eを当接させる室内側水切り部51bと、突出片10eから室外側に離れた箇所に位置し、この突出片10eの見付け面に対面する室外側水切り部51cとを備える。室内側水切り部51bは突出片10eとの接触時に一定位置で曲がり、突出片10eとの接触が安定して行なわれるように、室内側水切り部51bの根本部に薄肉部51dを形成している。なお、この薄肉部51は、図8に示す水切り片49の室外側水切り部49cの根元部にも形成されている。
【0038】
図4図6に示すように、嵌め殺し窓を構成する障子7は、左右の縦枠1,2と、中間枠5と、下枠4とでパネル(2重パネル)53が囲まれて構成される。図6において、54,55は縦枠1,2の見込み面1a,2aにタッピングねじ56,57により取付けられる室外側アタッチメントであり、押縁を構成するものである。
【0039】
なお、これらのアタッチメント54,55は、図10にアタッチメント55について示すように、縦枠2の見込み面2aに先端を室内側に向けて曲成したL字形のかぎ状突起2f,2gに、アタッチメント55にJ字形に曲成して形成したかぎ状の係合部55a,55bを係合させ、さらに室外側の突起55cを縦枠2の見込み面2aに当接させることにより、アタッチメント55の室外側への移動や縦枠2からアタッチメント55が離れることを防止した構造にしてタッピングねじ57によりアタッチメント55を固定する。図6に示すように、縦枠1に取付けるアタッチメント54も同様の構造で取付けられる。
【0040】
この嵌め殺し窓7を構成するパネル53は、図4に示すように、下枠4のパネル収容溝4bに収容したゴムライナー60上にパネル53を載せ、かつパネル53の下部の室内外の面に固着した弾性材でなるシーリング受け材61,62を、下枠4のパネル収容溝4b内に形成した室内外の嵌合部4c,4dに嵌め、同時に、パネル53の上部の室外側の面に固着した弾性材でなるシーリング受け材63を中間枠5の室外側嵌合部5bに嵌める。さらに、図6に示すように、アタッチメント54、55に設けたゴムライナー64,65にパネル53の両側面を当接させ、かつパネル53の左右両側の室外側の面に固着した弾性材でなるシーリング受け材66,67をアタッチメント54,55に設けた嵌合部54d,55dに嵌合してパネル53を縦枠1,2、下枠4および中間枠5で囲まれた枠内に収容する。
【0041】
また、図6に示すように、パネル53の両側の室内側の面に装着するアタッチメント70,71により、パネル53の室内側の面を押圧して固定する。アタッチメント70,71は、パネル53の室内側の面に固着したシーリング受け材72,73をアタッチメント70,71で圧縮してアタッチメント70,71にJ字形のかぎ状に曲成した係合部70a,70bおよび71a,71bを、それぞれ、縦枠1,2の見込み面1a,2aに先端を室外側に曲成して形成したかぎ状の突起1b,1cおよび2b,2cに、シーリング受け材62,63,66,67,72,73の圧縮後の復元によりそれぞれ係合させて固定する。これらのアタッチメント70,71の固定構造を、図10にアタッチメント71で代表させ、拡大して示す。
【0042】
図10に示すように、縦枠2にはシーリング材の取付け溝2hが形成されており、この取付け溝2hにゴム等の弾性材でなる乾式シーリング材75を装着する。そして、前記アタッチメント71の取付け時に、このシーリング材75を係合部71bで押圧してアタッチメント71と縦枠2との間をシールする。図6に示すように、縦枠1とアタッチメント70との間も同様の構造で取付け溝1hにシーリング材76が取付けられ、アタッチメント70と縦枠1との間がシールされる。シーリング材76,75は、それぞれ、縦枠1,2の見込み面1a,2aに形成した突起1b,2bよりも室内側に位置する。
【0043】
また、図4に示すように、上部のアタッチメント78は、パネル53の上部の室内側の面に固着したシーリング受け材79および室外側シーリング受け材63をアタッチメント78で圧縮してアタッチメント78に設けた係合部78a,78bを、中間枠5の見込み面5cに設けたL字形の突起5d,5eに、シーリング受け材63,79の圧縮後の復元によりそれぞれ係合させて固定する。
【0044】
その後、図4図6に示すように、下枠4、中間枠5、アタッチメント54,55,70,71,78とパネル53とシーリング受け材61,62,63,72,73,79との間に形成されている溝に湿式シーリング材80を充填してシールする。
【0045】
上述のように、この実施の形態においては、縦枠1,2の室内側アタッチメント14,15,70,71と、障子6,7の室内側の面との設けられたシーリング材40,46,80のみならず、アタッチメント14,15,70,71と枠体の障子6,7より室内側部分との間に、乾式のシーリング材41,47,75,76を備えたので、アタッチメントと枠体との間からの漏水や漏気を防止することができる。
【0046】
また、障子6,7の室外側と枠体との間にも水切り片43,49,51が設けられ、この室外側水切り片43,49,51またはアタッチメント54,55と本発明により設ける乾式のシーリング材41,47,75,76との間に空間が形成されるが、この空間と窓の室内側との間がこのシーリング材41,47,75,76によって密閉されるため、高層マンション等において、強風時において、外気と前記空間との気圧差が微小となり、気圧差による前記空間への雨水の浸入が防止される。
【0047】
また、アタッチメントと枠体との間のシーリング材41,47,75,76を乾式としたので、施工が容易となる。
【0048】
また、この実施の形態においては、障子6,7との間のシーリング材40,46および80と枠体とのシーリング材41,47および75,76とを、アタッチメント14,15および70,71における見付け方向に延びる直線上に配置したので、外気と室内とを仕切る空間が広くなり、より漏水防止効果が促進される。
【0049】
また、この実施の形態によれば、アタッチメント14,15および70,71を設ける枠体の見込み面に形成したかぎ状の突起1b,1c,2b,2cに、アタッチメントに設けた係合部14a,14b,15a,15bおよび70a,70b,71a,71bを係合させたので、強風に耐えうる強固なアタッチメント14,15および70,71の支持構造が得られる。
【0050】
また、この実施の形態によれば、嵌め殺し窓7の室外側にもアタッチメント54,55を備えたので、嵌め殺し窓7と組み合わせて構成する窓の構成が嵌め殺し窓による制約を受けにくくなり、構成の自由度が上がる。例えば、図11について後述するように、図10の例とサイズが異なる嵌め殺し窓を取付けることも可能となり、その場合、突起2b,2cにアタッチメント71Aを取り付け、突起2cよりも室内寄りにシーリング材84を取付けることにより、高い気水密性を維持することができる。
【0051】
またこの実施の形態によれば、図5に示すように、外開き窓を構成する障子6の框8,9に、弾性材でなる水切り片43,49を取付けたので、漏水防止効果が促進される。
【0052】
またこの実施の形態によれば、図8に示すように、障子6の自由端側に設ける水切り片49を、縦枠2の見込み面2aに形成した突起2dに接触する室内側水切り部49bと、縦枠2の見付け面2eに当接する室外側水切り部49cとを備えた2枚構造としたので、外壁面を伝って流下する雨水の窓内への浸入が良好に防止される。
【0053】
またこの実施の形態によれば、図9に示すように、上枠3に取付ける水切り片51を、外開き窓の障子6を閉じた状態において、障子6の上框10から上方に突出させた突出片10eを当接させる室内側水切り部51bと、突出片10eから室外側に離れてこの突出片10eの見付け面に対面する室外側水切り部51cとを有する2枚構造としたので、室外側水切り部51cから流下する雨水82を障子6に接触させることなく落下させることができる上、矢印83に示すように下から吹き上げる雨水も室内側水切り部51bによって障子内への浸入を防止することが可能となり、良好な漏水防止効果が得られる。
【0054】
図11は本発明による窓の嵌め殺し窓7における他の実施の形態を示すもので、図10に対応して描いたものである。この実施の形態は、アタッチメント71Aとして、外開き窓6に用いたアタッチメント15に類似する構造のアタッチメントを用いたものである。すなわちこのアタッチメント71Aは、室内外方向の幅Wが広いパネル53に対応するため、アタッチメント71Aの室内外方向の幅Xを大きくしたものである。このアタッチメント71Aには、縦枠2に設けた突起2b,2cにそれぞれ係合する係合部71a,71bを備えると共に、係合部71bより室内側に見込み面2aに当接する突起71cを有する。また、突起71cと係合部71bとの間にシーリング材取付け部としての突起(溝でもよい)71dを設けこの突起71dにゴム等の弾性材でなる乾式のシーリング材84を取付けたものである。
【0055】
この実施の形態においては、アタッチメント71Aの取付け状態において、室内側の突起71cが見込み面2aに当接すると共に、シーリング材84がアタッチメント71Aと見込み面2aとの間で圧縮されてシールする。この実施の形態においても、シーリング材80とシーリング材84が見付け面方向に直線上に並ぶことにより、アタッチメント55,71A間の空間85の室内外方向の幅が大きくなり、シーリング効果が促進される。
【0056】
また、見込み面2aにかぎ状の突起2b,2cを形成すると共に、突起2b,2cの間にパネル53の幅が小さい場合には縦枠2側にシーリング材75(図10参照)を設けるための取付け溝2hを設けておくことにより、パネル53の幅Wの大小に応じてアタッチメント71Aの室内外方向の幅Xを変えることで同じ突起2b,2cを用いたアタッチメント71,71Aの取付けが可能となり、縦枠2の兼用が可能となる。このアタッチメント71Aの構造は縦枠1にも適用される。
【0057】
以上の説明は段窓について行なったが、図12に示すように、本発明は異種の窓が横並びに配置される連窓にも適用できる。図12において、1A,2Aは縦枠、3Aは上枠、4Aは下枠、5Aはこの枠内を左右に仕切る中間枠である。また、6Aは外開き窓の障子、7Aは嵌め殺し窓を構成する障子である。86,87は外開き窓6Aにおいて、それぞれ上枠3A、下枠4Aと障子6Aとの間に設けたアタッチメント、88,89はそれぞれ上枠3A、下枠4Aと嵌め殺し窓7Aとの間に設けたアタッチメントであり、これらは上枠3A,4Aを外開き窓と嵌め殺し窓に兼用するためのものである。このようなアタッチメント86〜89にも前記アタッチメント14,15,70,71,71Aと同様の取付け構造ならびにシール構造を用いる。
【0058】
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明は、異種の障子が外開き窓や嵌め殺し窓を構成する場合のみならず、他の種類の窓の組み合わせにも適用することが可能であり、また、障子を3枚以上並設する場合にも適用可能である。また、本発明を実施する場合、上記実施の形態に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,1A,2,2A:縦枠、3,3A:上枠、4,4A:下枠、5,5A:中間枠、6,6A:外開き窓を構成する障子、7,7A:嵌め殺し窓を構成する障子、8,9:縦框、10:上框、11:下框、12:パネル、13:蝶番、14,15:アタッチメント、33:湿式シーリング材、35,36,40,41,47:乾式シーリング材、43,49,51:水切り片、53:パネル、54,55:アタッチメント、70,71,78:アタッチメント、75,76:乾式シーリング材、80:湿式シーリング材、86〜89:アタッチメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12